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堀井新太・黒島結菜らが演じる岩松了の最新作『少女ミウ』ザ・スズナリにて開幕!

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人間の暗部を独自の鋭い会話で描く作・演出家、岩松了。その最新作『少女ミウ』は、一家心中の生き残りとなった少女ミウをめぐる虚偽と真実についての青春群像劇。NHK連続テレビ小説『マッサン』などで注目を集める俳優・堀井新太ら10名の若手俳優たちが出演している。その公演が5月21日に、下北沢ザ・スズナリで開幕した。(6月4日まで)
そのレポートと堀井新太、黒島結菜、岩松了のコメントが届いた。

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【初日レポート】
 
21日に開幕した岩松了の新作、M&O playsプロデュース「少女ミウ」は、若手中心の俳優10名で繰り広げる青春群像劇。岩松が200席規模のザ・スズナリで作品を発表するのは6年ぶりとなる。タイトルロールのミウを期待の20歳・黒島結菜が、ミウに惹かれていくTVキャスター広沢役を24歳の堀井新太が演じている。
作品について予備知識がほぼなかった筆者の耳に、“ヒナンシジクイキ”“センリョウ”という語句が飛び込んできた。岩松が今回、東日本大震災をモチーフにしたことは大きな注目点であるだろう。“あの会社”の社員で賠償問題の責任者だった人物を父に持つ中学生のミウ(黒島)。6年前、母、妊娠中の姉とその夫、そしてミウの一家は「社会的な制裁」であるかのように避難指示区域に住んでいたが、父はその3ヶ月前に家族を残して失踪。またミウは、自分と同じ歳の異母姉妹がいることを知らされる。その少女が一家を訪れた日、家族はミウだけを残して心中する。そんな衝撃の幕開け。かくして少女ミウは隔離された場所から一人、社会という野へと放たれる。

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スズナリの小さな演技スペースを2段に分けて使い、一段降りるとそこは6年後のテレビ局である。とある番組が、震災被害者である2人の少女の復興への軌跡を長期間に渡って追うという企画を立て、その“2人の少女”こそ、ミウとあのときの少女・アオキユーコ(金澤美穂)であった。その番組の敏腕パーソナリティー・広沢(堀井)はやがて、2人の少女の間で揺れ動く。奥底にどこか野性的なものを感じさせながら純粋な処女性を放つミウと、やや鼻にかかった声や大人びた言動が蠱惑的な印象を与えるユーコ――二つで一つであるようで対照的な彼女たちの魅力に、広沢同様、観客も幻惑されてゆく。

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2段の舞台はそれぞれ、避難指示区域にあったかつてのミウの家とTV局(スタジオ、控え室)として使用。それらを分かつ灰色の幕は、硬質なシャッターを思わせる。場面もシームレスに入れ替わり、6年前と現在が行ったり来たり。なお6年前の場面は、新しいものから古いものへ時間が逆に流れている。そしてキャストの大半は、6年前と現在でそれぞれ別の2役を演じている。そんな少々トリッキーな作りは、まさにこの作品が描く“虚実”を表すにふさわしい。被災地の状況に対して真の実感を持てない首都圏、ドキュメンタリーとして出発するも徐々に練られたフェイクへと変化させていくメディアなど、現代の虚実にまつわる問題をビシッと突いてくる脚本でもある。
ミウとユーコ、そして広沢の三角関係が、全く別の男女の三角関係とリンクしている終盤の展開には痺れた。物語はメビウスの輪のように円環をなし、再び紡がれるだろう。虚から実、そしてまた虚へ。震災や原発といういつになくリアリティあるモチーフを用いて、岩松ならではのファンタジーに仕上がった。(取材・文:武田吏都)

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【コメント】
 
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堀井新太

(初日を迎えるにあたって)緊張していますけど、楽しみの方が強くて。稽古でやってきたことを思い切りやるしかないですね。ドラマ(「3人のパパ」)の撮影と並行して稽古していたのですが、ドラマの役とはとてもギャップのある大人の役なので、頭が良く見えるようにしないと(笑)。
稽古での岩松さんの“千本ノック”は、すごく楽しかったです。最初わからなかったことがわかってくるという、繰り返すことはそこに意味がありますね。例えば、「なぜここは机を触りながら台詞を言うんだろう?」と最初思っても、その仕草を何回も何回もやっていくと日常になってきて、そこに“居る”人になっていく。そういう新しい発見が常にどんどん出てくるのが面白かったです。
 
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黒島結菜
岩松さんの稽古では、“千本ノック”と呼ばれるように同じシーンを繰り返しやっていくんですけど、何回もやるうちに手とかちょっとビリビリしてきたり、今までなったことのない感覚になることが何回かありました。初めて体がそういう感じになったなっていう。考えなきゃいけないことが多くて頭もすごく使ったし、でも考えすぎてもわからなくなってしまうので、目の前のことをひとつひとつやっていけば、積み重ねで全体が見えてくるのかなと思いながらやっていました。そうして作り上げていったミウは、上手くつかめないとかいうことはなく、自分と離れているとか近いとか、そういうこともあまり気にしませんでした。今ミウを演じられて良かったなって、すごく思っています。

岩松了
この作品の脚本を執筆中に、別の仕事の取材で福島に行っていたんです。最初から温めていたというよりは、自分の生理的なものが福島に向かっていたのでごく自然に、こういう題材の話になっていきました。
若い俳優たちとやると、少しずつ良くなっていくのを目の当たりにできるのが楽しいから、本当は稽古があとひと月ぐらいあればいいなというぐらい。もしそれぐらいあれば、黒島さんや堀井くんに対しても今感じていることとはまた別のことを僕が感じ始めると思うし、そうなると人物像の輪郭がまた膨らんでくるから、やればやるだけ面白い座組みだろうなと思っているんですが。こういう座組で作るものについては、よくできたお菓子を「はい、どうぞ」と安全なところから差し出してもあまり意味ないなという感覚が僕の中にあります。そうではなく、自分の身を少し危険に晒したものを届けてみたい気持ちがあって、そうした作品になっているのではないでしょうか。

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〈公演情報〉
『少女ミウ』
作・演出◇岩松 了
出演◇堀井新太、黒島結菜
川口覚、富山えり子、金澤美穂、篠原悠伸、新名基浩、藤木修、
岩井七世、安澤千草
●5/21〜6/4◎ ザ・スズナリ
〈料金〉前売・当日共¥5,500 U-25 ¥3,500 (観劇時25歳以下対象・当日指定席券引換・枚数限定・要身分証明書・チケットぴあにて前売販売のみ取扱)
〈お問い合わせ〉 M&O plays 03-6427-9486(平日 11:00〜18:00)
http://morisk.com/plays/miu.html







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企画・脚本・演出・主演で大好きな落語を舞台化!『名人長二』豊原功補インタビュー

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モーパッサンの短編小説「親殺し」をベースに、三遊亭圓朝が新聞連載した『名人長二』。その落語が、小泉今日子が企画製作を行う「明後日プロデュース」の第2弾として舞台化され、5月25日から新宿・紀伊國屋ホールで上演される。(6月4日まで)

企画・脚本・演出・主演という4役で、この作品に挑むのは豊原功補。大好きな落語を題材に、指物師長二郎と彼に関わる人間たちの生き様を描き出す。共演には高橋惠子、山本亨、舞台初出演となる森岡龍、さらにモロ師岡、梅沢昌代、花王おさむという個性溢れる役者たちが並ぶ。そんな注目舞台にかける想いを豊原功補に語ってもらった「えんぶ6月号」の記事を、別バージョンの写真とともにご紹介する。

あまり語られていない人物に光を当てて書く

──今回、「明後日プロデュース」に、企画を持ち込んだきっかけは?
何か新しいものを作っていこうという環境が構築出来始めていたので、自分がやるならこういうものをと、この企画を出したんです。題材は好きな落語から取ろうと決めていて、「名人長二」は昔から志ん生さんのものをよく聞いていたのですが、一般にあまり認知されておらず、舞台化や映像化はもとより、落語としてもほとんど手付かずでしたから、これにしようと。
──原作がモーパッサンだそうですね。それも選んだ理由ですか?
圓朝は他にも「死神」というモーパッサンの短編を使っているという繋がりもありますし、フランスから日本に渡った「親殺し」に対する概念に興味を持ちました。そして結末は書かれていないから色々な終わり方ができる。チャレンジには打ってつけだなと。
──今回、相当アレンジしているのですか?
物語の骨格はそのままですが、原作や志ん生があまり語っていない、少ししか出てこない人たちに光を当てています。それなら書き足すことができるし、自分の思いが乗せられますから。そうすると物語が一色ではなくなって、結末に至ったとき、お客さんが色々なバリエーションで演劇を感じ取ってくれるかなと。
──落語を上演台本にする作業はどんなふうに?
まず最初に、志ん生が語っている「名人長二」を、全部書き起こすところからはじめました。そこから原作と照らし合わせて削るところは削り、自分の創作部分を入れ込んで。そのあと1回寝かせて、忘れて(笑)、時間が経ってからまた削って、けっこう良い地ならしが出来たと思いますし、すごく楽しかったです。
 

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諦めないで、壊して、また作っていくこと

──このあとは演出家になるわけですが、脚本家の自分との闘いはありそうですか?
音楽で言えば作詞作曲をしたわけですから、あとはその曲をどういうグルーヴでとか、ここはシャウトしようとか、ここは楽器だけでいけるとか、自由にやらせてもらう感じですね。
──さらに俳優部分もあるわけですが、長二はやはりやってみたい役でしたか?
落語を聞いているときから、魅力的だなと思っていました。ただ、面白い人物かというとそうでもなくて、堅物で真っ直ぐで、わかりやすい。だから群像劇にして、周りの人間たちが喋っていることや、起きていることで、この作品の訴えたいことを表現できればと。人間は一緒にいても、それぞれ何を見ているか、何を考えているか、話さないとわからないですよね。そういうことを演劇的に見せて、お客さんはそれぞれの捉え方で捉えてくれればと思っているんです。
──話を聞いていると人間への興味が深くて、だから脚本を書きたくなるのでしょうね。
興味はありますね。人間ってなんだろうと常に考えていますから。
──俳優で、音楽も作って、今回は作・演出もする。俳優だけでは表現しきれない衝動があるのでしょうか?
要するに自分に納得しないんじゃないですか。だから衝動を露わにしてみることによって、こんなものかと思えるのか、じゃあ、もう1つ次も出してみようと思うのかで。やっぱり自分が俳優として100%面白いと感じるもの以外は、どこか割り切らないといけないこともありますよね。でも、せっかくこの仕事をしているのなら、この公演のように、どれだけ新しいものを作ったり、世界を広げることができるか。諦めないで、何かを壊して、新しく作ってということをやっていけるか。それを自分がやってないと、人に何か言えないと思っているので。
──とてもアグレッシブな生き方ですね。
そう思います。だからよく怪我するんです(笑)。
 

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とよはらこうすけ○1965年生まれ、東京都出身。1982年に俳優デビュー以降、数多くの映画、ドラマ、舞台に出演し活躍。2007年には、映画『受験のシンデレラ』でモナコ国際映画祭最優秀主演男優賞を受賞。最近の主な出演作は、映画『寄生獣』、『寄生獣/完結編』、『ストレイヤーズ・クロニクル』、『新宿スワン』、『新宿スワン2』、ドラマ『マザー・ゲーム』、『死の臓器』、『鴨川食堂』、『遺産相続弁護士 柿崎真一』、『Chef〜三ツ星の給食〜』、『愛を乞う人』、主な舞台出演作は、『ENRON』、『シダの群れ3 港の女歌手編』、『死と乙女』、『シブヤから遠く離れて』など。今後、映画『たたら侍』(5/20公開)、『紅い襷〜富岡製糸場物語〜』(9月公開予定)が公開待機中。

〈公演情報〉
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明後日プロデュースVol.2 
芝居噺『名人長二』
原案◇ギ・ド・モーパッサン「親殺し」
原作◇三遊亭圓朝「名人長二」 
企画・脚本・演出◇豊原功補
出演◇豊原功補 森岡龍/モロ師岡 梅沢昌代 花王おさむ/菊池均也 神農直隆 岩田和浩 牧野莉佳/山本亨 高橋惠子
●5/25〜6/4◎紀伊國屋ホール
〈料金〉6,800円(前売・当日共/全席指定/税込) 
〈お問い合わせ〉サンライズプロモーション東京 0570-00-3337(全日10:00〜18:00)

松本錦升 (市川染五郎)らによる新しい日本舞踊 未来座『賽=SAI=』6月に上演!

市川染五郎

日本舞踊協会は、3年ぶりの新作上演となる新たなシリーズの第1弾、日本舞踊 未来座『賽=SAI=』を6月15日〜18日に国立劇場小劇場にて上演する。
 
SAIとは「Succession And Innovation」。すなわち継承と革新。伝統をつなぎながら、“今”こそ一番輝き、そして“未来”へと光を放つ公演でありたい。そんな願いが込められている。また、SAIには賽子の賽の字を重ね合わせて、振られた賽子のように姿を変える日本舞踊の多彩さ、常に進化を目指していく、この公演の決意も表している。
今回は、水にまつわる4つの作品を上演。絶え間ない水の流れと過去、現在、未来へと移ろう時の流れが重なり合っていく…、水と時の世界を日本舞踊でたどる。愛や優しさを描くものから、コミカルな野良猫達の小さなコミュニティーを描いたものまで、涙したり、笑ったりと楽しめる公演となっている。

【演目】
 
「水ものがたり」
水の精が住むという小さな村にたどりついた一人の傷付いた男。実直さと同時に危うさをはらむ男は、永遠に流れ続ける水の流れに勇気づけられたり、愛や優しさを知っていく。水を通して〈永遠の愛〉を問いかける。
演出・振付:中村梅彌 振付:藤間直三 脚本:矢代朝子 作曲:常磐津文字兵衛 作調:仙波清彦
出演:松本錦升(市川染五郎)/松本錦升/尾上京/花柳ツル/坂東幸奈/中村梅/若柳佑輝子ほか

「女人角田(にょにん すみだ)〜たゆたふ〜」
今が盛りの華、舞踊家五人衆が艶やかな俚奏楽にのせて、名舞台の一瞬を日本舞踊独特の素踊り形式で甦らせる。「明治一代女」‐浜町河岸‐、「隅田川」‐班女前‐、「吉原」‐遊女八ツ橋花魁道中‐、「三人吉三」‐大川の場‐。
振付:橘芳慧 構成:織田紘二 作曲:本條秀太郎
出演:尾上紫/花柳貴代人/藤蔭静枝/藤間恵都子/水木佑歌

「当世うき夜猫」
時は現代、都会の片隅で楽しく生きる野良猫達の小さなコミュニティーに、ある雨上がりの夜事件が起きます。降りかかる災害、移民の受け入れ、人間社会にも必要なのは、強い絆で結ばれる事ではないかと問いかける。
演出:花柳輔太朗 振付:若柳吉優、花柳輔瑞佳 音楽:上妻宏光
出演:猿若清三郎/花ノ本海/藤間爽子ほか

「擽-くすぐり-」
水ー無色透明。無味無臭ー くすぐるーくすぐられると笑うーなにものとも交じり合う“水”と“水”が、くすぐり合うことで起こる“水の未来”。肉体のすべてを使った“おどり遊び”で心ゆくまで笑いたい。
演出:市川染五郎 振付:松本錦升 音楽:仙波清彦
出演:尾上紫/西川扇左衛門/花柳幸舞音/花柳輔蔵/花柳楽人/松本錦紫/松本錦升(市川染五郎)/若柳延祐/若柳竜公

関連イベント『未来座 SAI 大人のたしなみ講座〜日本舞踊〜』

この公演に先がけて、日本舞踊をもっと知って、身近に感じてもらい、鑑賞をもっと楽しんでもらおうと企画されたイベント『未来座 SAI 大人のたしなみ講座〜日本舞踊〜』が、5月27日に開催される。

第一限講座
“美しい所作を!” 講師:橘 芳慧 13:30〜15:00(12:45〜受付)
大河ドラマ「おんな城主 直虎」で所作指導を務める橘流家元・橘芳慧による日本舞踊の基本的な所作を学ぶ。
第二限講座
“日本舞踊を知ろう!” 講師:中村梅彌 16:00〜17:30(15:15〜受付)
中村流家元・中村梅彌による日本舞踊の振りや動きの意味を学ぶ。
第三限講座
“実践!踊ってみる!” 講師:花柳輔太朗 18:30〜20:00(17:45〜受付)
花柳流花柳会理事・花柳輔太朗による6月に開催される第一回日本舞踊 未来座『賽 SAI』公演の演目のひとつ『当世うき夜猫』の振付を学ぶ。
 
いずれの講座も最後には、松本錦升(市川染五郎)による舞踊が披露される。
会場は親子丼発祥の鶏料理の老舗「玉ひで」。講座定員30名までという少人数の濃密な空間で日本舞踊に親しめる機会だ。当日は浴衣の無料貸出しもある。
イベントは有料で、参加には「未来座」と講座のセット券が必要(事前チケット購入必要)。


〈公演情報〉
未来座=賽=宣伝ヴィジュアル

日本舞踊 未来座『賽=SAI=』
出演◇松本錦升(市川染五郎)/尾上京/花柳ツル/坂東幸奈/中村梅/若柳佑輝子/尾上紫/花柳貴代人/藤蔭静枝/藤間恵都子/水木佑歌/猿若清三郎/花ノ本海/藤間爽子/西川扇左衛門/花柳幸舞音/花柳輔蔵/花柳楽人/松本錦紫/若柳延祐/若柳竜公 他
●6/15〜18◎国立劇場 小劇場
〈料金〉7,000円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉日本舞踊協会 03-3533-6455

 

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