稽古場見学、記者発表、インタビューなどから、近々公開される作品のおもしろさを探ります。

カムカムミニキーナ『>(ダイナリィ)』

羽田美智子が12年ぶりの舞台でONEOR8と初タッグ!新作公演『グレーのこと』

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女優の羽田美智子の12年ぶりの舞台出演となる公演『グレーのこと』が、浅草の劇場、浅草九劇にて、11月29日から上演される。同作は、田村孝裕の率いる実力派劇団のONEOR8の新作公演で、羽田とは初のタッグとなる。

物語は、”閻魔”のような存在たちが「死者が来世、何に生まれ変わるべきか」を話す会議から始まる。日頃の行いが良ければ人間へ、悪ければ下等動物へと輪廻を遂げる仕組みらしい。 ある日、とある死者について議論が割れた。それは善とも悪とも取れる行いで、人間へと輪廻させるかどうかの判断が下せないでいる。その時、”閻魔”となって間もない女が根底を覆すような言葉を口にする。「そもそも、人間に生まれ変わることって幸せなんですか?」
現世とあの世の間にあるグレーな世界。白か黒か、はっきりと解決できないグレーな問題。あいまいなこと、グレーなことに向き合いながら、本作は進んで行く。
 
ONEOR8は、作・演出を田村孝裕がつとめる人気実力派劇団。ありふれた日常的空間を舞台に、内面の本質を見つめることを忘れない作風で高い評価を得ており、過去の作品では高橋惠子、田中直樹、甲本雅裕、柄本佑、岡本麗、田中麗奈、中村蒼らが客演として出演している。
 
【羽田美智子コメント】
いつも最後には深いテーマを投げ掛けてくれるONEOR8の世界が好きです。
その世界に自分がどうはまっていくのか、それとも違和感となっていくのか…。
今から緊張していますが、楽しみで仕方がありません。
人間が人間として生きていく中で、何が正解か不正解か、神なのか悪魔なのか、そもそも人間は罪そのものか。
深いテーマをきっとシニカルかつユーモラスに、そして最後には問いを投げ掛けるでしょう田村さんの世界で自分がどこまでできるか…新しい挑戦です。
精一杯やらせていただきますので、よろしくお願い致します。

 
〈公演情報〉
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ONEOR8新作公演 『グレーのこと』
作・演出◇田村孝裕
出演◇恩田隆一、冨田直美、伊藤俊輔、山口森広/関口敦史、松本亮、長尾純子/山野史人、阿知波悟美、羽田美智子 
●11/29〜12/10◎浅草九劇
〈料金〉前売 3900円 当日 4300円(全席指定・税込)
〈前売開始 〉2017年 10月28日(土) 
〈ONEOR8 HP〉http://oneor8.net
〈浅草九劇 HP〉https://asakusa-kokono.com/







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UFO騒ぎに巻き込まれる一家! 青年座第228回公演『真っ赤なUFO』 高松潤インタビュー

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ピンクレディーの「UFO」がテレビを賑わせ、「スター・ウォーズ」などのSF映画が大流行していた昭和の時代を背景に、普通の父親とその家族が予想もしない出来事に巻き込まれていくという、舞台『真っ赤なUFO』が、9月29日から青年座劇場で上演される。(10月8日まで)
脚本は太田善也。青年座には、2010年に書き下ろした『つちのこ』以来の第2作目で、演出は『つちのこ』や朋友公演『ら・ら・ら』など、太田作品を多く手がけている黒岩亮が務める。

【ものがたり】
1978年(昭和53年)。ピンク・レディーの歌う「UFO」や映画「スター・ウォーズ」「未知との遭遇」が大ヒット。全国各地でUFOの目撃情報が相次いで報告され、空前のUFOブームが起きていた。
東京の郊外にある一軒家。印刷業を営む斉藤清は、優しい妻、市役所に勤める娘、大学生の息子、そして年老いた母と、一家五人、慎ましく暮らしていた。ところが、清が45歳の誕生日を迎えたその夜、とんでもない事が起きる。
それは、家族、娘の恋人、近所に住む親戚、さらには小説家や大学教授、そしてテレビ関係者をも巻き込み、大騒動となってゆく……

この、ちょっと奇想天外なシチュエーションの物語の中で、娘の恋人・柴龍之介役で登場する高松潤に、この作品世界や俳優としての彼自身を語ってもらった。

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1970年代の昭和の匂いと一癖ある人間たちの面白さ

──高松さんは、太田善也さんと黒岩亮さんコンビの前作『つちのこ』にも出演していますね。今回と共通の部分はありますか。
太田さんの書かれる作品というのは、どの作品も太田色というか、1970年代が背景になっていることで、『つちのこ』の場合は岐阜の田舎の話で、今回は東京と、場所は違うんですけど、その時代ならではの匂いというものがあるんです。
──物語は1978年の話ですが、高松さんはまだ生まれたばかりですね。
ちょうど2歳くらいですね。先輩方の中には、当時のことをリアルタイムで知っている方も沢山いて、初めて「スター・ウォーズ」を観たときのショックとか、そういう話で盛り上がっていて。演出の黒岩先輩も、ちょっとSFオタクで、そういう話に一番熱くなっています(笑)。
──高松さんとしては、歴史を勉強しながらという感じなのでしょうか?
完全に時代物として捉えています。ですから当時の映画を見たり、YOU TUBEでCMを見たり、例えば「記憶にございません」というキーワードが出てくると、背景に何があったのか調べたりしています。この物語の1978年というのは、ちょうどオイルショックで景気が落ち込んだ時期だったことを知って、主人公は印刷業なので、その影響を受けて苦しんでいるという話に、「なるほどな」と思ったり。
──台本を読ませていただいたら、主人公は頑固で不器用な昭和の男性ですが、周りの人たちは、かなりユニークなキャラクターが出てきますね。
太田さんはいつも一癖も二癖もある人間を書かれて、そこが面白いんです。今回の僕の役も、名前からして柴龍之介とか普通じゃなくて(笑)。
──登場するシーンもインパクトがありますね。本人は真面目に考えて行動しているようですが。
真面目で真剣なんです(笑)。その真剣さが面白味を生むので、僕としても大真面目に取り組もうと思っています。
──高松さんへの当て書き部分などもありそうですね。
かなり当て書きされていると思います。太田さんとは、実はもう5本目なんです。入団2年目にスタジオ公演がありまして、それが太田さんの作・演出で、初めてお会いして、そのあと太田さんの主宰されていた劇団「散歩道楽」に、2回客演させていただきました。
──では、太田さんは高松さんを熟知しているのですね。いつもこういう個性的な役なのですか?
個性的ではありますね。太田さんの作品は、まずワークショップから始まって、ゲームをやって、そこから役者の個性とか面白いところを拾って書かれるんです。僕についても、いつも自分ではわからない面白さや新しい面を見つけてくださって、物語の中で僕の個性をどう生かすか工夫してくださるんです。今回の登場シーンも、色々考えてくださったうえでこういう形になったと思います。ありがたいですね。
──柴龍之介は、東京太陽族という劇団の俳優という設定ですが、どんなふうに演じようと?
柴については、演出の黒岩さんから、東京キッドブラザースの柴田恭兵さんのイメージと言われたんです。
──東京キッドブラザースは、1970年代に和製ロックミュージカルを上演して人気のあった劇団ですね。
ニューヨークのオフ・ブロードウェイで人気が出たそうですね。僕は去年、『朝食まで居たら?』でヒッピー役をやったのですが、その匂いのするような劇団だったのかなと。ですから柴もそれなりのポリシーを持っている俳優なのかなと思っています。
──そういう役どころで、物語の展開にどう絡んでいくのでしょうか。
物語の展開に関しては、ネタばれも含めてまだ言えない部分もあるのですが、たぶん結婚相手の父親を守るために闘うことになると思います。そこからどうなるかは、劇場で観るまでのお楽しみということにしておいてください(笑)。

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航空宇宙工学を学ぶ日々から俳優志望へと大転換

──今回、主人公を演じる山秀樹さんと、その妻役の小林さやかさんは、高松さんと同じ70年代生まれですね。話が通じやすいところもあるのでは?
世代が同じという以上に、同じ劇団の俳優同士ということの良さと強みを感じますね。芝居の現場はまず顔合わせから始まりますが、劇団だと距離感が近いので、すぐに芝居そのものに取り組んでいけること。そして芝居のことでも日常のことでも、気さくに話し合えるのが有り難いです。
──高松さんは在団15年ですが、大学では航空宇宙工学を学んでいたそうで、そういう経歴の人は珍しいですね。
あまりいないと思います。親戚にパイロットがいたことから、高校時代に航空産業に興味を持って、これからこの業界が盛んになるのではないかと思って入学したんです。でもパイロットより作る側、研究職の方が自分には合うような気がしたので、人工衛星とかロケット作りに興味を持って、そちらを目指したんですが、途中で挫折しました。
──そこから演劇へ方向転換したのは?
就職の時期に、サラリーマンになるイメージが持てなくて、もともと映画が好きでよく観ていたんです。松田優作さんがとくに好きで、そこから俳優をやるにはどうしたらいいのだろうと考えて、演劇を観るようになって。優作さんが文学座出身ということや、映画などで好きな俳優さんが大体舞台経験者とか劇団出身の方だったので、伝統のある劇団の養成所に行った方がいいんだろうなと思ったんです。でも、何もやってないわけですから、勇気がなくてなかなか踏み込めなくて。その頃、二科目ぐらい足りなくて大学を留年することになってしまったので、その時間を利用して思い切って、短期留学みたいな形でロンドンに留学したんです。ロンドンにはたまたま親戚が住んでいたので、そこに住まわせてもらって、町のカルチャースクールに行ったりとか、演劇が盛んなのでそういう場所が色々あるんです。そこでシェイクスピア作品を読んだり、ワークショップとか体験してみたらすごく楽しくて。
──やってみたら演劇が合っていたわけですね?
そう思いました。それで帰ってきて、大学卒業と同時に養成所などいくつか受験した中に青年座研究所があって。青年座のことなど何も知らずに入ったんですが、入ってみて、自分の肌に合うな、ここでよかったなと思いました。
──研究所のレッスンはいかがでした?
楽しかったです。全部初めてやることばかりで新鮮でしたし、体を動かすのは好きでしたから。大学のサークルではバスケットボールをやっていたんです。
──俳優になった今、自分のどういうところが役者に向いていると思いますか?
理系だったことが役作りではプラスになっているかもしれません。論理的なメソッドとか好きなので。黒岩さんも役作りは薬の調合みたいだとおっしゃっていますし。性格的なことで言えば、人と接することが好きなんです。デスクワークとか数字を相手にするより、人間を相手にするほうが楽しいですね。
──人付き合いが好きなのは、この仕事ではメリットですね。
基本的に嫌いな人っていないんです。たまたま何か嫌なことを言われたりすることがあっても、それは何かしら原因があって、こうだからこう言ったのかなとか考えると、その人を嫌いになれないんです。

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「人類の宝として生きたい」という言葉に感動して

──劇団には色々な先輩がいると思いますが、たとえば目指す人とか、尊敬する先輩とかいたら教えてください。
尊敬は先輩全員です。役者を長く続けること自体たいへんなことですから、どんな先輩もまず尊敬しています。その中で、付き人をさせてもらった方が2人いて。劇団にはとくに付き人制度はないのですが、たまたまその時の状況で付くことになったのです。その1人は東恵美子さんで。
──東恵美子さんは青年座の創設メンバーの1人ですね。素晴らしい女優さんでした。
入団1年目に、車の運転手を兼ねて2ヶ月ぐらい付きました。蜷川幸雄さんの『リチャード三世』(03年・日生劇場)に出演していらしたときで、今日の稽古はこうだったとか、昔の話などもしてくださったり、毎日のように役者としての心構えとか色々な話をしていただいて、本当に貴重な体験をさせていただきました。
──それはすごい財産ですね。もう1人はどなたですか?
津嘉山正種さんです。3ヶ月ぐらい付きました。
──津嘉山さんも名優ですね。ご本人はどんな方ですか。
とにかくストイックで、役者というものはここまで芝居を突き詰めるのかという、それが一番衝撃でした。とても繊細な方で、優しさもある方です。このお二方は、今でも無条件に尊敬しています。
──津嘉山さんとは、昨年の『朝食まで居たら?』で共演しましたね。
3人きりの出演者で、1日の半分以上は一緒でしたから、たくさんのことを教えていただきました。毎日、明日はこうやってみようかとか話し合ったり、日常のこととか映画のこととか、昔の舞台の経験など、色々な話をしてくださるんです。
──名優たちの経験を直接そばで聞けた高松さんは、すごくラッキーですね。
本当に運がいいんです、僕は(笑)。
──運も才能のうちと言いますから。これからについても伺いたいのですが、役者としてどうなっていきたいですか。
まずは色々な役をやりたいです。そして、本当におこがましいのですが、志としては「人類の宝になりたい」と思っているんです。というのは、画家の篠田桃紅さんの絵を見たときすごい衝撃を受けまして、どんな人なのか知りたくて、桃紅さんが書かれた本を読んだんです。その中に「人類の宝として生きたい」という言葉があって、それに感動して、自分も表現者の一員として目指すならここかなと。
──まさに大志ですね。 
世界中の人たちを、楽しませたり、泣いてもらったり、感動してもらえるようになりたい。ですから映画にもどんどん出たいです。役者は人に影響を与えられる仕事だと思うんです。自分がそうだったように人の生き方を変えることができる。すごい職業だなと思います。昨年40歳になったのですが、40歳は不惑ですから、惑わず、生涯俳優でいきたいと腹を括りました。
──これからの高松さんにますます注目していきたいと思います。最後にご覧になる方にアピールをいただければ。
この作品は肩肘張らずに観られるわかりやすいお芝居で、きっと共感してくださるところも多々あると思います。SFというか、ちょっと夢のある内容になっていますし、非常に面白い作りになっていますので、必ず楽しんでいただけるのではないでしょうか。
──真っ赤なUFOは本当に降りてきますか?
どうでしょう? それはぜひ劇場で、ご自分の目で確かめてください(笑)。


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たかまつじゅん○東京都出身、2003年青年座入団。最近の主な舞台作品は、『わが兄の弟』(2017年、演出=宮田慶子)『朝食まで居たら?』(2016年〜17年、演出=伊藤大)『フォーカード』(2016年、演出=宮田慶子)『外交官』(2015年、演出=黒岩亮)『地の乳房』(2014年、演出=宮田慶子)『UNIQUE NESS』(2014年、演出=早川康介)『つちのこ』(2010〜13年、演出=黒岩亮)以上、青年座。外部出演は舞台「刀剣乱舞」義伝 暁の独眼竜(2017年、脚本・演出=末満健一 マーベラス)など。


〈公演情報〉
チラシ表

劇団青年座 228 回公演
『真っ赤なUFO』
作◇太田善也
演出◇黒岩亮
出演◇山秀樹 小林さやか 當銀祥恵 松田周 山本与志恵 高松潤 井上夏葉 矢崎文也 平尾仁 山賀教弘 伊東潤
●9/29〜10/8◎青年座劇場
〈料金〉一般4,200円 U25チケット3,000円[25歳以下・青年座のみ取扱]初日割引3,000円(全席指定・税込) 
〈お問い合わせ〉劇団青年座 0120-291-481(チケット専用 11時〜18時、土日祝日除く)
〈青年座HP〉http://seinenza.com




【取材・文/榊原和子 撮影/竹下力】





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笑いと恐怖、戦慄を呼ぶ後藤ひろひとの傑作『人間風車』間もなく開幕! 加藤 諒・松田 凌インタビュー

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売れない童話作家・平川がやっとつかんだチャンス、しかしそこには卑劣な罠が仕掛けられていた。
どん底まで叩き落された作家が起こす、身悶えするような戦慄の出来事──。

後藤ひろひとが1997年に書き下ろした傑作戯曲『人間風車』は、2000年と2003年にパルコ劇場版として上演され、そのたびに演劇界を震撼させてきた。そして今回、14年ぶりに、河原雅彦の新演出でキャストも一新、満を持して上演することになり、 9月28日から東京芸術劇場プレイハウスで幕を開ける。(10/9まで。その後、高知、福岡、大阪、新潟、長野、仙台公演あり)

童話作家の物語を愛し、影響される青年サムに、舞台『パタリロ!』で俳優としての実力を示した加藤諒。その仲間の則明少年には、『男水!』や『東京喰種トーキョーグール』に主演、人気急上昇の松田凌。若き演技派2人が取り組むこの作品の世界観とは?
加藤諒と松田凌が語り合った「えんぶ10月号」の記事を別バージョンの写真とともにご紹介する。
 
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松田 凌・加藤 諒

ファンタジーの中に現実的でリアルな話が

──まず後藤ひろひと作品の印象から伺いたいのですが。
加藤 僕は『ダブリンの鐘つきカビ人間』とか『Paco〜パコと魔法の絵本〜』とか観ていて、先日も最新作の『FILL-IN』を観たばかりです。後藤さんの作品って、感動への持って行き方がすごく上手で、『FILL-IN』では、娘が死んだのに泣けなかったお父さんが、バンドをやって娘に近づけたとき、初めて涙するんです。ああいう素敵な作品もあれば、『人間風車』のような恐い作品もあるし、面白いですよね。
松田 僕は叔母が演劇好きだったので、その影響で『ダブリン〜』も『Paco』も映画も含めて観ていたのですが、でも『人間風車』だけは何故か観ていなかったんです。だからぜひ出たかったし、出演が決まったとき、叔母が一番喜んでくれました(笑)。でも、こういう物語を作り出す後藤さんの頭の中って、どうなってるんだろうなと思います。
加藤 ファンタジーの中に、テレビ局の裏側とか、現実的でリアルな話が入っていて、絶妙ですよね。
──演出は河原雅彦さんですが、加藤さんは何度も演出を受けていますね。
加藤 初めて演出していただいたのが『押忍!!ふんどし部!』で、再演、続編も含めて3回出ていて、それと河原さんも出演された『中の人』と『ライチ☆光クラブ』です。『ライチ』から2年ぶりなので、その間もちゃんと頑張ってましたよというところを見せたいです。
──河原さん期待の愛弟子とも言われていますね。
加藤 ええっ、そんなっ。
松田 素晴らしい!(笑)。僕は『黒いハンカチーフ』で演出を受けたのですが、僕があまりに芝居ができなくて、すごく怒られたことと、人間性をちょっと面白がってくれたことが記憶に残ってます。
加藤 怒られたの?
松田 河原さんが言ってることに、ハキハキと返事していたら、「お前、あんまり話聞いてないだろ」と言われたので、「いえ! 聞いてますよ!」って(笑)。そういう対応が珍しかったのか面白がってくれて。だから僕も、また河原さんに会えるのが嬉しいし、少しは成長したと思ってもらいたいです。

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その唯一無二感がサムと重なって

──演じる役柄にはどう取り組もうと思っていますか?
加藤 サムは多重人格みたいな役なので、その中に加藤諒らしさは残しつつ、怖い部分とのギャップはちゃんと出したいなと。全てにおいて難しい役なので、丁寧に丁寧にやりたいですね。
松田 僕、加藤さんのサム、本当に楽しみなんですよ。この唯一無二感がサムと重なって、見たくて見たくて(笑)、早く稽古始まらないかなと。でも見たらきっと嫉妬しちゃうんだろうな。
加藤 きっとコテンパンにやられてるところを見ると思うよ(笑)。阿部サダヲさんと河原さんが演じられて、しかも前作のサム、河原さんが目の前にいるわけだから、緊張する〜(笑)。
──松田さんの役は、成河さんの平川の話を聞きにくる則明少年ですね。
加藤 このチラシ、則明少年の感じがすごく出てるね。
松田 やんちゃ感を消してくれと言われたんですけど消せてない(笑)。則明のほかに何役かやらせていただきますが、それぞれ物語の中で色々なキーを持っているので、キーとしての仕事をちゃんと果たしたいなと。へんに堅くなり過ぎず、ふざけ過ぎず。加藤さんから色々盗みたい。僕すぐ先輩に甘えちゃうので、稽古場に行ったらたぶん心の拠り所として、すぐ「諒君、諒君」って頼っていくと思います。
加藤 今回、僕以上に頼れる先輩が、成河さんはじめいっぱいいらっしゃるから。
松田 成河さんのすごさは聞いてます。今回初めてご一緒できるのが楽しみで。 
加藤 僕はNODA・MAPの『ザ・キャラクター』とパルコ劇場の『クレージーハニー』で共演していて、『クレージーハニー』では本気でシャツをビリビリ! って破られました。
松田 わーっ(笑)。
──加藤さんは多摩美大で野田秀樹さんの授業を受けていたそうですね。
加藤 元々はミュージカルが好きだったんですが、多摩美にはお芝居の授業があまりなくて、野田さんの授業は、作品のためのワークショップをやるというので、それを受講していたら、公演にも声をかけていただいたんです。
──野田さんの授業で印象に残っているのは?
加藤 楽しんでみんなで作り上げていくということですね。すごく謎だったのが「骨を撫でる」みたいなのがあって(笑)。
松田 骨?
加藤 目の前に骨があると思って、それを撫でながら、水を感じながら歩いて下さいとか。野田さんのワークショップって、絶対歩くところから入るんですよ。それから目をつぶって全力で走るとか、超怖かった(笑)。でも毎週授業があったのは僕たちが受けていたクラスだけで、それ以降は、年に何回かのワークショップだけになったんです。だから本当に貴重な時間を過ごさせていただきました。
──松田さんも舞台キャリアはすごくて、ここ1年でもギリシア悲劇、新撰組もの、ミュージカル、『男水!』や『東京喰種』と次々に出ていますね。
松田 たぶんこの『人間風車』で、ちょうど50作目かなと。
加藤 ええ〜!? すごい! 僕、何作だろう? 
松田 でも50作とかいうと演劇猛者みたいに思われそうですけど、沢山の作品と出会わせてもらって、色々な役をいただいてきたことだけが、唯一自分の誇れることで、これからは中身をどんどん濃くしていきたいですね。

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見てしまったが故に何かが変わってしまった

──この『人間風車』の物語を、一読者として読んだ率直な感想は?
加藤 放心状態になりました。読んだあと全部吸い取られた感じがして。でも嫌な感じではないんです。余韻に浸りたいというか冷静に考えたいなと。読んでいる最中は、ジェットコースターに乗っているようで、それで急にドゴッと落とされるので。
松田 悪い意味ではなく、見てはいけないものを見てしまった感じです。そして、見てしまったが故に、自分の何かが変わってしまった…。後悔なのか嬉しさなのかわからないけど、確かに変わってしまった自分がいるんです。そこからまた、自分の中で噛み砕いて、紐解いていきたくなって、もう1回読み始めたら、また違った見方が出てきたりして、すごい作品だなと思います。
──色々な意味で究極の面白さがある作品ですね。
加藤 舞台を観終わった人に、「あーあ」と言われたいですね。「なんで見ちゃったんだろう」みたいな感じになってほしい。でもどんなものでも、見ないよりは見たほうがいいと思うんです。そこから何かが始まるので。
松田 色々な演劇がある中で、『人間風車』という作品は、滅多にない衝撃作だと思うんです。そして、一度この世界に入ってきてくだされば、心の中に今までなかったものが生まれて、残っていくと思う。だから、まずは劇場に足を運んで、舞台を観ていただきたいですね。
 
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かとうりょう○1990年生まれ、静岡県出身。2000年、バラエティ番組『あっぱれさんま大先生』でデビュー。その後、映像、舞台、CMと幅広く活躍中。最近の出演作は、ドラマは『とと姉ちゃん』『ゆとりですがなにか』『真田丸』、映画は『金メダル男』『本能寺ホテル』、舞台は残酷歌劇『ライチ☆光クラブ』舞台『パタリロ!』(主演)など。

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まつだりょう○1991年生まれ、兵庫県出身。2011年CMで芸能界デビュー、2012年、ミュージカル『薄桜鬼』斎藤一篇で初舞台初主演。以来、舞台や映像で活躍中。最近の出演作は、ドラマは『ニーチェ先生』『男水!』(主演)、映画は『ライチ★光クラブ』、舞台は『曇天に笑う』『瞑るおおかみ黒き鴨』『幸福な職場』ミュージカル『花・虞美人』舞台『男水!』(主演)『東京喰種』(主演)など。

〈公演情報〉
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PARCO&CUBE20th present 『人間風車』
作◇後藤ひろひと 
演出◇河原雅彦 
出演◇成河 ミムラ 加藤諒 矢崎広 松田凌 今野浩喜 菊池明明  川村紗也 山本圭祐  小松佐藤真弓 堀部圭亮 良知真次 
●9/28〜10/9◎東京芸術劇場プレイハウス
〈料金〉S席8,900円、A席7,800円 U-25チケット:5,000円(全席指定・税込)
その他、高知、福岡、大阪、新潟、長野、仙台公演あり
 〈お問い合わせ〉
パルコステージ 03-3477-5858(月〜土11:00〜19:00/日・祝11:00〜15:00)
キューブ 03-5485-2252(平日12:00〜18:00)
http://cubeinc.co.jp/stage/info/ningen2017.html




【文/宮田華子 撮影/岩田えり】





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