稽古場見学、記者発表、インタビューなどから、近々公開される作品のおもしろさを探ります。

浪漫活劇譚『艶漢』第二夜

完全新作オリジナル舞台『Like A(ライカ)』来年2月上演決定!

『Like A』ロゴ

人気舞台『Club SLAZY』シリーズで演出・脚本を務めた三浦  香、脚本の伊勢直弘、振付の當間里美、楽曲制作の  Asu(BMIInc.)、最強タッグのスタッフ陣が送る、完全新作オリジナル舞台『Like A(ライカ)』の上演が決定した。 
出演者にミュージカル『テニスの王子様』堀尾聡史役、ミュージカル『青春-AOHARU-鉄道』のIGRいわて銀河鉄道役を演じた岩 義人、ミュージカル『ハートの国のアリス 〜The Best Revival〜』ナイトメア役や『DIABOLIK LOVERS〜re:requiem〜』で逆巻レイジ 役を演じた磔俊吾、『烈車戦隊トッキュウジャー』でトカッチ/トッキュウ 2 号役、舞台『プリンス・オブ・ストライド THE LIVE  STAGE』シリーズで諏訪怜治 役を演じた平牧  仁という顔ぶれが決定!今後の追加情報に注目したい。

岩 義人アー写岩 義人
俊吾磔俊吾
平牧 仁平牧 仁 

〈公演情報〉
『Like A(ライカ)』
●2018/2/3〜12◎新宿 FACE
脚本◇三浦 香・伊勢直弘
演出◇三浦 香
振付◇當間里美
楽曲制作◇Asu(BMI Inc.
出演◇岩 義人・磔俊吾・平牧 仁  ほか(50 音順))
〈公式サイト〉http://www.clie.asia/LikeA


c2017 CLIE




ミュージカル『魔界王子』
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ロック・ミュージカル『ロッキー・ホラー・ショー』のカリスマ! ROLLYインタビュー

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伝説のカルト・ロック・ミュージカル『ロッキー・ホラー・ショー』が5年ぶりに上演され、11月7日からの六本木ブルーシアター公演を皮切りに、12月31日の大阪公演まで5都市6劇場で公演を行う。
初演は1973年のロンドン。場所はロイヤル・コート・シアターにある小劇場のシアター・アップステアーズ。座席はわずか63席。しかし、チープで、セクシャルで、アナーキーで、グラム・ロックな音楽がきらめく舞台は瞬く間に大ヒット。イギリス・カンパニーを引き連れた日本初上陸は75年、同時期に映画化もされ、『ロッキー・ホラー・ショー』ブームが巻き起こり、以来、さまざまなカンパニーで上演されてきた。

【あらすじ】
友人の結婚式の勢いに乗せられ、自分たちも婚約してしまったブラッド(小池徹平)とジャネット(ソニン)。ふたりは恩師に報告しようと、嵐の夜、車を走らせていた。しかしタイヤがパンク。助けを求めた彼らは、人里離れた荒野に建つ古い城にたどり着く。困り果てた二人の前に現れたのは、不気味な執事リフラフ(ISSA)と使用人のマジェンタ(上木彩矢)やコロンビア(アヴちゃん)たち。その異様な雰囲気に呑まれて戸惑う二人をそっちのけに、城の中ではノリノリのパーティーが始まる。
さらに、黒いガーター&ストッキング姿も妖艶な城の主・フランク“N”・フルター(古田新太)が登場。いかにも性倒錯者然の彼は、この城で秘密の実験をしている科学者であるという。その実験とは、人造人間を創り出すこと。まさにこの夜は、彼の輝かしい実験が最終段階を迎えようとしていたのだった…。

主人公のフランク・フルターに、2011年の劇団☆新感線版から引き続いてこの役をつとめる古田新太。演出は、いのうえひでのりからバトンを渡された河原雅彦。“ロッキー・フリーク”を自称してはばからない2人が新タッグを組む。
さらにキャスト陣として、ミュージカル界でも活躍目覚ましい小池徹平とソニン。抜群のダンスと歌唱力を誇るISSA。アーティストでもある上木彩矢。注目のバンド女王蜂から舞台初挑戦となるボーカルのアヴちゃん。新感線きっての肉体派吉田メタル。舞台・ドラマ・バラエティーと幅広く活躍する武田真治など、グラム・ロックの香りも濃厚な多彩な顔ぶれが集まった。
そして、1995年の主演フランク・フルター役をはじめ、毎回この作品に携わり、今作ではナレーター・音楽監督・演奏までこなすROLLY。まさに『ロッキー・ホラー・ショー』のカリスマ的存在の彼に、この作品への想いを語ってもらった。

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ロックンロールと女装、これこそ僕のアイデンティティー
 
──1973年に初演された作品ですが、本作との出会いはいつ頃でしたか?
『ロッキー・ホラー・ショー』との出会いを話すと幼い頃の話から始めないといけない大切な作品です。幼稚園に行く前の頃、同時にいろいろ吸収しようとしていた多感な時期でした。家は電気屋さんを営業していて、女性従業員の方が住み込みでいらっしゃいました。お風呂に入るのも従業員のお姉さんに入れていただいたりした家だったんですよ。その方達が読んでいたんでしょうね。「スクリーン」「キネマ旬報」など映画雑誌がたくさんありました。僕はそれを盗み見るように貪り読んで、ハリウッド女優の、グレタ・ガルボ、マレーネ・ディートリヒ、マリリン・モンローなどのグラビア写真を見て、「こんな風になってみたい」と思ったんです。今思うとそれは男性としての女性への憧れではなくて、女性のアクセサリーをつけたり衣装を着たりする女性性への憧れでしょうね。ですから、ある日、従業員さんの下着を身につけて、鏡の前でハリウッド女優のポーズをつけたらこれまでに経験した事がない程のハイな気分になったわけです。お化粧をして、下着をつけてポーズをとっていることが、おぼろげにタブーを犯している実感がありました。タブーを犯すことが快感につながることに目覚めてしまったんです。まあ、家族にバレてこっぴどく怒られたわけですが(笑)。
──確かに、そうなるでしょうね。
その事件以降、例えば姉は、おやつの配分を決めるときは、僕だけ量が違うんです。不公平じゃないかと文句を言うと、窓を開けて、「一雄(ROLLYの本名)はなあー!」と叫んで、近所中に響き渡る声で僕が変態だということを知らしめようとした。姉にこのことで一生ゆすられるのだろうなと思った暗い幼年時代。そういう時期があって、中学生の時に、ロックが好きになって、「Queen」に目覚めました。フレディ・マーキュリーが当時、グラム・ロック的なメイクをして中性的なファッションをしていましたから、僕が「スクリーン」「キネ旬」の女優たちを見ていた時期と同じで、タブーを犯している人だと思って憧れるのは当然といえば当然だった。それから、高校生の時に、「淡路東映」という町の小さな映画館で『ロッキー・ホラー・ショー』『ファントム・オブ・パラダイス』、デヴィッド・ボウイの『地球に落ちて来た男』の三本立てを観たんです。
――すべてロックンロール映画ですね。昨年亡くなられたデヴィッド・ボウイさんもグラム・ロックの元祖ですから、ROLLYさんも影響を受けたのでしょうね。
ええ。特に映画『ロッキー・ホラー・ショー』のオープニングの、黒バックにピンクの口紅をつけた唇が喋るイントロから始まって、フランク・フルターが登場した時に、今まで好きだったロックンロールと女装という倒錯的なものが合体して、これが僕のアイデンティティーとさえ思いました。それから、劇中の音楽を何度も聴き、ビデオを何回も観た覚えがあります。

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『ロッキー・ホラー・ショー』に出たいとプロデューサーにアピール

──そして、1995年の時に、フランク・フルター役で初主演を果たします。
ロック・バンドの「すかんち」でデビューしてから、『ROLLY HORROR SHOW』という曲を作りましたし、デビューした時から常に、『ロッキー・ホラー・ショー』を意識していました。いつか自分がピンクのビスチェを着て、フランク・フルターのような格好をして、舞台で思いっきり歌ったり踊ったりする。それを姉に見せつけることによって、姉のゆすりから脱出することができるんじゃないか。
──そこにたどり着くわけですね。
とはいうものの、役者を経験したことはないですし、演劇学校にも劇団にも行っていない。チャンスが訪れたのは、1993年の中野サンプラザで公演したROCK OPERA『ハムレット』に出演させてもらった時です。X JAPANのTOSHIさんが主演で、山本リンダさんや、劇団☆新感線の右近さん。そして今回もロッキー役で出ている吉田メタルさんといった方々で作る『ハムレット』がありました。
──錚々たるメンバーですね。ROLLYさんの役はなんだったのですか?
僕の役は、デーモン小暮閣下の演じる墓掘り人の恋人「好奇心」という役。ただ、役に没頭すればいいだけではなくて、稽古中に、自分なりに『ロッキー・ホラー・ショー』感を出そうと演じましたね。僕のソロの曲《人生なんか屁のようなもの》は歌詞がすでにあって、音楽監督の加藤和彦さんから「自分で作曲してもいいよ」とおっしゃってくれた。加藤さんは、僕に『ロッキー・ホラー・ショー』的な楽曲を作るチャンスをくれたんです。嬉しかったです。
──どんな曲だったのでしょう?
シャンソン風の歌で、リハーサルの時にピアノの人にメロディを口頭で伝えて弾いてもらいました。そして、近くにティッシュペーパーが置いてあったので、それを持って泣きながら、ステージの上からティッシュをハラハラ落とす演出を勝手にして歌ったんです。それをみていた当時のプロデューサーの草刈清子さんが、「この子ならできる!」と思ってくださったらしいんです。僕も草刈さんがどういう人か存じ上げていましたから、稽古の合間に、偶然を装って立ち話をしたんです。すると、「ところでティッシュペーパーのシーンは演出家の人から言われたの?」とおっしゃられる。僕は「『ロッキー・ホラー・ショー』が大好きで、それらしい演出ができたらなと思ったんです。僕はいつかフランク・フルターを演じたいんです」と。それから毎日のようにこのことをお伝えしました。そうしたら『ハムレット』の1年後に電話がかかって来て、「パルコ劇場で、あなたの主演で『ロッキー・ホラー・ショー』をやりましょう!」と。念願かなったのが95年で、それから5年間、フランク・フルターをつとめました。

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古田新太からの優しい誘いに感動して

──ROLLYさんの才能と素晴らしい人との出会いがあったからこそですね。今回、フランク・フルターをつとめるのは古田新太さんですが、古田さんの印象はいかがですか。
いのうえひでのり版の2011年のとき、「いのうえひでのりさん演出で『ロッキー・ホラー・ショー』をやろうと思っている。役は変わるけど一緒に出ないか」と誘ってくれたんです。自分が好きな作品の好きな役を、先に演じてしまった僕を嫌わずに、逆に自分がフランク・フルターの時に呼んでくれるなんて、素敵な人だなと思いました。それから彼はこうもおっしゃった。「1986年の日本版で初めてフランク・フルターを演じた藤木孝さんも誘いたい。『ロッキー・ホラー・ショー』が好きな人間ばかりでやりたいと思っているんだ」と。古田さんの優しさにとても感動しましたね。それで、エディ役と日本語の歌詞を担当させていただきました。ロングランだったし、舞台は感動的な出来栄えで、さすがいのうえさんだと唸りました。僕もエディ役以外にもアンサンブルや映画版のように大きな唇を動かす役、通行人など、5役ぐらい演じました。
──今回の出演は、どなたからの声がけだったのですか。
古田さんがもう一度一緒にやりたいとおっしゃったんです。ひょっとしたら、ここまで『ロッキー・ホラー・ショー』の舞台に出ているのは僕だけですから、話が通じる奴がいて欲しかったのかもしれませんね。僕はどんな役でもかまわないんです。前作では、作詞をする時に全員分のデモテープを作ったほどですから、音楽もストーリーも全て知り尽くしています。だから役が違っても心は迷わない。今回はナレーター役ですが、アメリカのFOXでリメイク版『Rocky Horror Picture Show: Let's Do The Time Warp Again』(2016年)が作られましたね。その作品で、フレディ・マーキュリー亡きあと「Queen」でボーカルをしているアダム・ランバートが、エディ役を演じています。そしてナレーター役は、1975年の映画版でフランク・フルター役を演じた僕の憧れのティム・カリーがやっています。また、時代を超えて、音楽と音楽が、僕らの運命を繋げてくれたような奇跡を感じます。
──改めてこの作品と楽曲の魅力を語っていただくとしたら?
ナンバーの1つ《サイエンス・フィクション・ダブル・フィーチャー》という曲名に象徴されるような、B級SF映画を二本立て続けで観るような感覚なんです。つまり、リチャード・オブライエンさんが子供の時に体験した古い映画のパロディですよね。ありとあらゆるパロディが含まれていて、オールディーズなロックンロールが劇中歌になると、グラマラスで、シンプルなロックンロールになり、親しみやすい楽曲になる。同じく《タイムワープ》《スイート・トランスヴェスタイト》といった、みんなで一緒に歌えるロック・ミュージカルの定番が流れます。途中で僕が『ハムレット』で歌ったようなシャンソンもありますから、チープで懐かしい感じがいいんです。
――今回の演出の河原雅彦さんはどんな印象ですか。
いのうえ版は映画『ロッキー・ホラー・ショー』を、いかに舞台で表現するのかに重点を置いていました。例えば、ステージ上がプールになって人が泳いでいるのをLEDライトで表現していましたが、河原版は、原点に戻って、もともとロンドンの場末の劇場でやっていたような感じを出そうとしていると思います。11年版で最高にゴージャスなものをやっているので、これを超えるには、アラブの大富豪をスポンサーにつけないとできません(笑)。 

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アヴちゃんだけでなく女王蜂のメンバーも演奏で出演

──大人気ロックグループのボーカル「女王蜂」のアヴちゃんが、コロンビア役で舞台初出演するのも楽しみです。
今回は、女王蜂の他のメンバーにも出演してもらうんです。2011年の時、音楽も豪華だったので、今回はどうしようかと音楽監督として色々悩みました。まずは、腕のいいスタジオ・ミュージシャンに声をかけていたのですが、考えてみるとアヴちゃんが、『ロッキー・ホラー・ショー』をやっている間、女王蜂の他のメンバーは何もすることがないぞと。だったら女王蜂のメンバーも演奏で出演すればいいんだと。
──それは女王蜂ファンも楽しみですね。
スタジオ・ミュージシャンだったら、ステージの見えないところで演奏することになっていたと思いますが、女王蜂が演奏するのなら、大々的に演奏者も見えていてもいいじゃないか。しかも、それが普通のロック・バンドではなくて、日本一『ロッキー・ホラー・ショー』がに似合うヴィジュアリストたちですからね。アヴちゃんの出演が決まったあと、たまたま僕が出演中の舞台『ビッグ・フィッシュ』の楽屋に女王蜂が来たので、他のメンバーに、一緒に泥水をすすってみないか(笑)と誘って二つ返事で快諾していただきました。今までやって来た『ロッキー・ホラー・ショー』よりも、よりロッキンなルックスになるんじゃないかな。
──ROLLYさんのナレーター役も楽しみです。
ナレーターの役は、これまで藤木孝さん、細川俊之さん、瑳川哲朗さん、壤晴彦さんなど、ベテランの尊敬する俳優さんたちが演じています。今回は河原さんが、僕もギターを弾いてほしいと言うので、ナレーターもやるけれどギターも弾くというのは、今までにない見どころだと思います。
──まさに八面六臂の活躍ですね。最後に作品のアピールをいただければ。
偶然か必然か、古田新太=フランク・フルターみたいですよね?この人はフランク・フルターをやるべき人だったんです。僕らは50代で、ひょっとしたらこれが最後の『ロッキー・ホラー・ショー』になるかもしれない。5年後には別のフランク・フルターが生まれているかもしれませんが、僕たちは今回でラストかもしれないので、ぜひ劇場に観にきてください。

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ろーりー○大阪府高槻市出身。1990年にバンド「すかんち」のヴォーカル&ギターとしてデビュー。「恋のマジックポーション」「恋のミラクルサマー」などが大ヒット。俳優にも挑戦。コミカルな舞台からミュージカルまで幅広くこなす。主な舞台に『ロッキー・ホラー・ショー』、『星の王子さま』、『TOMMY』、『三文オペラ』、『ビッグ・フィッシュ』など。
 
〈公演情報〉
PARCO presents
RICHARD O'BRIEN'S
『ロッキー・ホラー・ショー』
脚本・作詞・作曲◇リチャード・オブライエン
演出◇河原雅彦
訳詞・音楽監督◇ROLLY
振付◇牧宗孝(MIKEY from 東京ゲゲゲイ)
出演◇古田新太 小池徹平 ISSA ソニン 上木彩矢 アヴちゃん(女王蜂) 吉田メタル 東京ゲゲゲイ(BOW・MARIE・YUYU・MIKU) 戸塚慎 若井龍也 佐藤マリン ROLLY 武田真治
演奏◇女王蜂(ひばりくん、やしちゃん、ルリちゃん)ながしまみのり、大塚茜
【東京公演】
●11/7〜12◎Zeppブルーシアター六本木
〈料金〉11,000円 U-25チケット6,000円〈観劇時25歳以下対象・当日指定席引換・要身分証明書〉(全席指定・税込)
●11/16〜12/3◎サンシャイン劇場
〈料金〉S席11,000円 A席9,000円 U-25チケット6,000円〈観劇時25歳以下対象・当日指定席引換・要身分証明書〉(全席指定・税込)
【北九州公演】
●12/9・10◎北九州芸術劇場 大ホール
〈料金〉S席9,500円 A席7,000円 ユース5,000円〈24歳以下・枚数限定・要身分証提示〉 高校生チケット1,500円〈枚数限定・窓口前売りのみ取扱い・購入時/入場時用学生証提示〉(全席指定・税込)
【仙台公演】
●12/16・17◎仙台サンプラザホール
〈料金〉S席10,000円 A席8,500円 U25チケット5,500円(全席指定・税込)
【松本公演】
●12/23・24◎まつもと市民芸術館 主ホール
〈料金〉S席9,500円 U18チケット7,000円(全席指定・税込)
【大阪公演】
●12/28〜31◎森ノ宮ピロティホール
〈料金〉12,500円(全席指定・税込)

〈お問い合わせ〉パルコステージ 03-3477-5858(月〜土11:00〜19:00/日・祝11:00〜15:00)



【取材・文・撮影/竹下力】




ミュージカル『魔界王子』
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名作舞台『オーファンズ』いよいよ開幕! 細貝圭、佐藤祐基、加藤虎ノ介インタビュー

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三人の孤児たちの深い孤独を描き、何度も上演されている名作舞台『オーファンズ』が、10月14日、15日に兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールで、そののち10月18日〜22日、東京・青山の草月ホールで上演される。
蝕まれた心が愛によって癒されていくというテーマで書かれた、ライル・ケスラー脚本によるこの傑作戯曲は、1983年にロサンゼルスで初演。日本では劇団四季により86年に日本初演、以来、さまざまなカンパニーや俳優たちによって上演されている。また、米国の映画版では名優のアルバート・フィニーやマシュー・モディーンが演じている。
今回この作品に挑むのは、『「デルフィニア戦記」第1章』『新・幕末純情伝』『パタリロ!』などに出演して活躍中の細貝圭、『鷗外の怪談』『AZUMI 幕末編』『わらいのまち』などで注目の佐藤祐基、映像で活躍し、舞台は『国語の時間』や『休暇 Holidays』などで強い印象を残す加藤虎ノ介。そして上演台本と演出はマキノノゾミという豪華な顔合わせとなる。

【あらすじ】
フィラデルフィアの廃屋で暮らすトリート(細貝圭)とフィリップ(佐藤佑基)の孤児兄弟は、凶暴な性格の兄トリートが臆病な弟フィリップを外の世界に出さず、トリートの稼ぎだけで生活をしていた。そこに、そこにやくざ者のハロルド(加藤虎ノ介)が迷い込んできて、彼もまた孤児だったことから、3人に疑似家族のような日々が訪れる。ハロルドはかつて自分がされたことを返すかのように、若い2人にさまざま事を教えていく。フィリップの中でトリートの存在は少しずつ薄れていき、やがてトリートは孤独感にさいなまれてしまう……

孤児(オーファン)との共生によって再生する孤児たち(オーファンズ)。この舞台を演じる細貝圭、佐藤祐基、加藤虎ノ介に稽古が始まる直前の時期に取り組みを聞いた。 

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細貝圭、加藤虎ノ介、佐藤祐基

自分たちがやるなら、また違うものになるはず

──作品についてはどんな形で知っていましたか?
細貝 昨年、他のカンパニーで上演されたことで知っていました。
加藤 僕はその公演を観たんですが、面白かったです。話をいただいて、すぐ、あの作品だと。
佐藤 僕も観ていないんですけど、名前だけは知っていました。
──ご自分の役柄についてどう感じていますか?
細貝 孤児の兄弟で、僕の演じるトリートが、弟のフィリップの親がわりとなって育てているんです。トリート自身は小さいときに親をなくして、愛情を受けずに育った。だから一番孤独なんですけど、強く生きなきゃいけないという信念と、弟への愛、自分なりの曲がった愛なんですけど、それで一生懸命生きている。それがとても切ないんですけど、どこか共感出来ます。それなのに手塩にかけて育てていたつもりのフィリップが、ハロルドの出現で、自分の手元からどんどん離れていく。そのやりきれなさというのもわかる気がします。
佐藤 フィリップは今までやったことのないジャンルの役です。わりと強い役をやることが多かったので。今回は良い経験で、贅沢な場を与えてもらったなと思っています。色々なアプローチの仕方はあると思いますが、すごく純粋にやりたいと思いますし、兄弟2人の空気感を大事にしていければと。
細貝 じゃ、公演終わるまで一切、俺に逆らっちゃダメだからね。
佐藤 なんでよ〜(笑)。俺のほうが本当は学年1つ年上なんだからね。いいもん、加藤さんに救ってもらおう(笑)。
加藤 ははは(笑)。
──加藤さんは作品を観ているということですが。
加藤 でもキャストの年齢も雰囲気も違いますから、自分たちがやるなら、また違うものになると思っています。今回の台本にちゃんと向き合うという感じですね。この2人とはそんなに年も離れていないので、わりと兄貴感覚になるのかなと。ハロルドは2人よりは長く世間を生きていて、それなりの経験はしている。そこは自然に出せるかなと思っています。

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せっかく情報収集したのに役に立ってない(笑)

──お互いにこれまで共演したことは?
佐藤 細貝くんとは何回か一緒に出ているんですが、そんなにがっつり芝居してないんです。
細貝 3回かな。密にやるのは今回初めてです。
佐藤 加藤さんとは初めてなので新鮮です。
細貝 僕は、この前、加藤さんと仲の良い役者さんと共演したので、一方的に情報を入れてるんです(笑)。意外だったのはお酒飲まれないという。
佐藤 え、まったくですか?
加藤 うん、飲まない。
細貝 そしてゲームが好きらしいと。
加藤 ゲームは最近あまりやってない。
細貝 えーっ、せっかく情報収集したのに役に立ってない(笑)。
──役者の先輩として見た場合はいかがですか?
細貝 この作品は兄弟の成長物語で、加藤さんのハロルドは、その中でメンタルな部分を引っ張ってくれる人なので、そこはもうそのまま加藤さんに乗っかっていきたいですね。
佐藤 加藤さんは映像で見ていて、すごく深いお芝居をする方という印象があるので、そのまま先輩にしがみついていこうと思っています。
──加藤さんはおふたりについては?
加藤 僕は情報収集はしてなかったんですけど(笑)、すごく感じの良い方たちですから、きっと楽しく公演が終わるんじゃないかと思っています。とにかくイジメないでほしいなあ(笑)。
細貝 (笑)3人きりですから仲良くしましょう!  気になったらお互いに聞いたり、ディスカッションすることになるといいですね。
加藤 あんまり論理的な話はできないからね(笑)。
佐藤 細貝くんは論理的だよね。
細貝 よく言うよ〜(笑)。そんなところ一切ないから。
加藤 僕は細かく説明とかされるとアタマが真っ白になるからね(笑)。

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男だけの芝居にテンションが高くなるマキノさん

──加藤さんは、演出のマキノノゾミさんとは同じ時代に、関西演劇界で活躍していましたね。
加藤 今回、マキノさんに初めて演出していただくんですが、若い頃、一方的にマキノさんの劇団「M.O.P.」を拝見していて、一生縁がない方かなと思っていたんです。僕は劇団MOTHERで、わりと自由度の高い演劇で、あちらはかちっとしたお芝居をしていらっしゃって、全然ちがう芝居の世界でしたから。それが、役者を続けてきたことで、こうしてご一緒できるわけで、やはり嬉しいですね。この出演のお話がきたとき、作品が面白いのはもちろんわかっていたんですけど、マキノさんの演出ということで惹かれた部分も大きいんです。
──おふたりはマキノさんとは?
佐藤 初めてです。僕は鈴木裕美さんの演出した『ブラウニング・バージョン』(2005年)が初舞台だったんです。その公演は「テレンス・ラティガン3作連続上演」という企画で、他の2作をマキノノゾミさんと坂手洋二さんが演出していらっしゃって、マキノさんは、稽古場でお見かけしたことがあったんです。すごく大きな方だなという印象でした。それで今回、裕美さんに「今度マキノさんとやらせていただくんですよ」と伝えたら、「あら!」と。それしか言ってもらえませんでしたが(笑)。
細貝 僕は2年前くらいに、知り合いに飲みに誘われたその席でお会いしました。でもきっと覚えていないだろうなと思いつつ、この間、取材でお会いしたとき聞いてみたら、やっぱり覚えていらっしゃいませんでした(笑)。演出家としては、翻訳劇も沢山演出されていて、きっちりしたお芝居を作る方という印象ですね。
──取材で、この公演についてお話をしたそうですが、いかがでした?
細貝 男だけの芝居ということで、めちゃめちゃテンションあがってました。そういう作品はこれまで少なかったそうですし、ご自分が観てない作品だからこそ、今回は思いがあるというようなことを話されていて、それは嬉しいなと。あれだけの演出家の方がそんなふうに前のめりで取り組んでくださるのはすごく嬉しいですよね。
加藤 僕もその取材では一緒でしたが、この作品は今までたくさん上演されているけれど、自分たちならではの舞台にしたいとおっしゃっていました。そういう意味では、今までの『オーファンズ』公演も、それぞれに違いと良さがあったと思いますし、我々もまた、自分たちの『オーファンズ』になると思います。演出家と役者が違えば、当然、別の舞台になると思うし、良い舞台になればいいなというだけですね。

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『オーファンズ』の歴史に、ちゃんと爪痕を残したい

──三人芝居ですが、それはいかがですか?
細貝 僕は『スワン』(2014年)という作品が三人でした。密な空間で芝居するのは緊張しますね。
佐藤 僕は初めてですが、面白そうだなと思いました。問題はセリフの分量ですよね。フィリップは食べ物とか薬とかの固有名詞をずっと言うんですが、そこがちょっと大変です。イメージを入れておかないと難しい。ばーっと口に出していくので、言い慣れておきたいですね。
細貝 トリートのセリフは、わりと感情を真っ直ぐに出せばいいので、素直にいこうと思っています。
加藤 僕は今回、セリフをきちんと入れて稽古に臨もうと、それを自分に課しているんですが、長台詞があるのでどうなるか(笑)。
細貝 加藤さんは、たぶんセリフは一番多いですよね。
──三人芝居の濃密な空間を楽しみにしています。最後に意気込みを。
加藤 翻訳劇ですが、かまえることなく観られるものにと、マキノさんも話していますが、僕自身も翻訳ものはちょっと近寄りがたいところがあって、外国の人間を演じることの恥ずかしさもあるんです。でも今回、そこを払拭していければと。日本人が観ても素直に共感できと思える作品なので、翻訳劇という壁を感じさせないものにしたいですね。話が面白いのですぐこの世界に入れると思います。
佐藤 僕は、役者として色々挑戦する部分が大きいので、久しぶりにちゃんと悩めるなと思っています。役の持っている色とか空気は初めてですし、自分にとっては大きな挑戦です。これまで強者と弱者でいえば強者をやることが多かったんですが、フィリップは弱者側で、純粋で、個である孤独や悲しさもあると思いますが、その中で柔らかさをどう表現できるかと思っています。心を自然にひらいていくところは、演じがいがあります。
細貝 僕は33歳になった直後の舞台になるんです。ちょうどデビュー10年で、このタイミングで骨太な作品でマキノさんの演出で、しかも三人芝居ですから、すごく嬉しいです。オープンマインドで、どんどんエネルギーをぶつけていって、この三人だからできる芝居にしたいし、今までの『オーファンズ』の歴史に、ちゃんと爪痕を残したいですね。

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細貝圭、加藤虎ノ介、佐藤祐基

ほそがいけい○東京都出身。幼少期から14年間米国で生活し、2008年にミュージカル「テニスの王子様」でデビュー。最近の出演作品は、舞台『新・幕末純情伝』、『パタリロ』、『TRICKSTER』、『剣豪将軍義輝〜星を継ぎし者たちへ〜』、テレビ『サヨナラ、えなりくん』(EX)、など。

さとうゆうき○東京都出身。大学在学中にオーディションに号各、04年にデビュー。06年『仮面ライダーカブト』で主人公の一人、加賀美新を演じる。その後、映像と舞台で活躍中。最近の出演作品は、映画『新宿スワン2』、テレビ『模倣犯』、舞台『鷗外の怪談』『GO WEST』『AZUMI 幕末編』『蒼い季節』『わらいのまち』など。

かとうとらのすけ○大阪府出身。大阪で舞台を中心に活動中、NHK朝の連続テレビ小説『ちりとてちん』(07年〜08年)で徒然亭四草役に抜擢され、脚光を浴びる。最近の出演作品はドラマ、『おみやさんSP2』(EX)『ブランケット・キャッツ』(NHK)など。舞台は『国語の時間』『OPUS/作品』『休暇 Holidays』など。

この公演の稽古場レポートはこちら
http://kangekiyoho.blog.jp/archives/52038188.html
 
〈公演情報〉
オーファンズキービジュアル
 
『オーファンズ』
作◇ライル・ケスラー  
翻訳◇小田島恒志 
上演台本・演出◇マキノノゾミ
出演◇細貝圭 佐藤祐基 加藤虎ノ介
●兵庫公演 10/14・15◎兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
〈料金〉6,000円(税込・全席指定)
〈お問い合わせ〉芸術文化センターチケットオフィス 0798-68-0255(10:00〜17:00月曜休)
●東京公演 10/18〜22◎草月ホール
〈料金〉6,500円(税込・全席指定)
〈お問い合わせ〉サンライズプロモーション東京:0570-00-3337(全日10:00〜18:00)




【取材・文/榊原和子 撮影/安川啓太】



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