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疾風怒濤のロックで観客を感動に誘う!DRUM TAO『ドラムロック 疾風』公開リハーサル&囲みインタビュー 

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世界23カ国、500都市で上演され、世界観客動員700万人を突破した和太鼓エンターテイメント集団DRUM TAO。ロックをテーマにした新作『ドラムロック 疾風』が、7月19日よりZeppブルーシアター六本木で東京公演を上演されている(30日まで)。

今回の作品『ドラムロック 疾風』は、アメリカをルーツにする“ROCK”を美しい和太鼓パフォーマンスで表現する新感覚の舞台。前作からさらに進化したDRUM TAOのパフォーマンス、オフブロードウェイでも喝采を浴びたフランコドラオの演出、世界各国で活躍するクリエイティブ集団ZERO-TENによるプロジェクションマッピング、そして彼らの舞台には欠かせないエッジーでクールな存在感を放つコシノジュンコによる衣装が融合。もはや和太鼓のイメージを超越した「THE 日本エンターテイメント」だ。
5月6日に大分県日田でプレビュー公演として上演され、九州公演を経ての東京公演だけに、一段とパワーアップ。舞台上を駆け抜けるような疾走感あふれるBEATに、美しいメロディーが重なった瞬間には、大きな感動が湧き上がる。

その舞台の初日開幕前に、公開ゲネプロと囲みインタビューが行われた。

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江良拓哉、岸野央明、西亜里沙、麓大輔

日本に初めてロックンロールが伝わった時期は諸説あり、どれもが正しいと思わせてくれるワクワクする逸話に満ちているが、1つのエポックは、ザ・ビートルズの来日ということに、異論を差し挟む人は少ないだろう。彼らがなしたのは、30年代にあったブルーズやR&B、さらにエルヴィス・プレスリーのようなロカビリーを彼らなりの解釈で導入した新しい音楽だった。それを総称してロックンロールといってもいいだろう。さらには解散までのわずか10年程度で作られた数枚の傑作アルバムで、アメリカ南部のソウル、ゴスペル、ミュージック・コンクレート(現代音楽)などを導入し、伝統と現代の融合による数えきれないほどの音楽の革新を行ってきた。 そして、今ではロックンロールといえば、テクノもヒップホップも貪欲に取り入れる、現代の「モード」とも言える様式を呈している。
 
今回、DRUM TAOがロックを導入すると聞いた時、すぐに傑作になる予感がした。なぜなら、DRUM TAOは常に、革新と伝統をミックスさせながら、音楽だけでなくエンターテインメントのショーとして絶えず「時代」を「舞台の歴史」を更新してきた存在だから。

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今回の公開リハで聴くことのできた曲は6曲。
どこかの森にいるような動物たちや自然界に溢れるSEが鳴り続け、奥の方ではトライバルなビートが鳴っている。すると、スポットライトに当たった4名の鈴を鳴らす男性が立っている。そして様々な太鼓のトライバルなビートが絡み合い、ZERO-TENによる印象的な映像が映し出されたかと思うと、始まるのが1曲目〈舞族(ぶぞく)〉だ。紗幕が上がり、掛け声と共に演出のフランクドラオによるシンメトリーに配置された小さい太鼓から大きな和太鼓まで8ビートのリズムを叩き出すのが新鮮だ。和太鼓ならではの肌が痺れるようなドスンドスンとした音圧。ロックのリズムが高揚感を醸し出し、絵も言われぬエモーショナルな空間を一瞬にして作りあげる。
かけ声の他と太鼓の音の以外は、幾人かの役者が、扇子を両手に持ちながら統制の取れたダンスをする。徐々にBPM(テンポ)は上がっていき、ハードロックと言わんばかりのパーカッシブなリズムが特徴的だ。まるでドラムスティックのようなバチさばき、レッド・ツェッペリンのジョン・ボーナムのスネアの圧倒的な存在感、ローリング・ストーンズのチャーリー・ワッツのタムのリズミカルな泥臭いリズム、ザ・ビートルズのリンゴ・スターのタイトなフィルの感覚。楽器は和太鼓なのに、ひっそりと浮かび上がるドラムのスターたち。歴史と伝統が作り上げる舞台だと感じさせてくれる。

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2曲目の〈GAIA供淵イアツー)〉では、琴の幽玄な調べから、太鼓のリズムに横笛が重なるどこか日本古来の「祭」を感じさせる音楽だ。ただ、リズムに抑揚がつき、スピード感があるので、ロックとしても捉えられる。そして西亜里沙が赤い扇子を持ち、赤と銀を基調としたどこか中華的な衣装で踊る。巨大な大陸、あるいは世界を表現するダイナミズムな踊りで目を奪う。

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3曲目は〈海武士II(カブトツー)〉は、三味線の水藤義徳がスリーフィンガーで爪弾くロックなメロディーが印象的なオープニング。ブルージーでありながら和のテイストも忘れない。どこにも聞いたことのない音色が響きわたる。そこから三味線のダイナミズムを活かした演奏と太鼓が絡み合い、インプロヴィゼーションのような様相を呈していく。そして3人の三味線と和太鼓の掛け合いが凄まじい迫力で迫ってくる。それらを彩る江良拓哉たちの棒さばきが圧巻だ。

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そのあとは、奏者たちが楽器を捨て、掛け声によるパフォーマンスで声が楽器になる。拍子木に間の取り方も絶妙で、ノリノリになれるダンサンブルな曲だ。ここから80年代のテクノから現代のヒップホップのリズムを感じるのは大げさだろうか。セグウェイという現代的な乗り物で、縦横無尽に舞台を横切る、その最新テクノロジーと古の歴史を組み合わせたパフォーマンスが、「DRUM TAO」というバンド、いや、「故きを温ねて新しきを知る」カンパニーそのものなのだろう。そして大太鼓の上でバチを振っている奏者の姿も圧倒的なかっこよさだった。

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4曲目に披露されたのが〈千本桜〜その先へ〜〉。これは5人の男性が琴で女性的なメロディーを弾きながら、時々スタッカートを入れて抑揚をつける。そしてギターで言えばミュート奏法に近い印象で儚い彩りをつけていく。中央の舞台に白い衣装の3人の女性の太鼓隊が現れ、西が、今度は真っ赤な衣装を着てゆったりと踊る。これは桜の花びらが咲き誇り、そして散っていくイメージだろうか。どこか儚くて美しいのに、女性的な強さが際立つバラードだ。主役は男性なのに、徐々に女性中心に変わっていく流れが、演出のフランコのフェミニンな部分とリズム感のあるテンポを感じさせてくれる。

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続いて披露されたのは〈沖縄〉。2人の三線奏者が掛け合い、岸野央明たちの太鼓が陽気なセッションを繰り広げるように始まる。セッションの親密な空気感が感じられる曲だが、徐々に雲行きが怪しくなる。映像が大都会のビルディングと日が昇る映像とともに映し出され、次第にトレンチコートを着た集団がダンスに加わっていく。オスプレイの問題、あるいは基地問題、そんな現代の沖縄を侵食する問題を提示する群舞が、ダークでありながらも、和太鼓と三線の音楽で、ウチナーンチュならではのメンタリティーの力強さと陽気さでそれを打ち消していく強さが心地良い。そして三線のメロディーの美しさには、やはり心を奪われてしまう。

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最後に披露されたのが〈夢幻響次淵爛殴鵐ョウ)〉。ここでは最初に戻ったかのようなロック的なイディオムを駆使しながら、リズミカルに太鼓と横笛が奏でる音が、次元のこ異なった世界へ連れていってくれる。岸野の太鼓は疲れを知らず、麓大輔の棒さばきが激しく律動しながら夢幻的な世界を作っていく。さらにキューブ形をした棒によるダンスも見事。最後に舞台中央の大太鼓を6人で叩く様は圧巻で、彼らが太鼓の周りを回りながら、バチを使ってドラムソロのようにひたすら叩いていく。ここでシンバルのような和太鼓のチャンパが4つ打ちのリズムをとれば、現代のJ ROCKにも引けをとならないコンテンポラリーなエネルギーを作り上げる。横笛の印象的なメロディーとともに太鼓がリズムの渦を作り出して舞台の中央に竜巻を作り上げて、メロディーが天に登って青いライトと合間って青空から雨が降っているかのような幻想的なシーンだった。

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ここまでの6曲だけで、まさに疾風怒濤の30分。ひと時も目が離せず、スピーディーでありながら、視覚に印象的なシーンもさりげなく残していく演出のフランコの手腕が素晴らしい。もちろん、曲の印象だけでなく、コシノジュンコのクールでいてシャープな衣装も見逃せない。動きづらさを一切感じさせず、照明に反射し美しい色をきらめかせて舞台映えする、緻密に考え抜かれた衣装だった。
 
奏者たちの肉体は言わずもがな、彼らの息遣い、テンポ、リズムが作り上げていく演奏、そこにスタッフワークの絶妙な合いの手が加わり、「THE 日本ロックンロールショー」を作り上げていく。決して古びずない、そして伝統に敬意を払った世界に誇るショーそのもので、ショーの完成度、カタルシスどれもが一級品。躍動的で、スピーディーな最新型の日本のエンターテインメントショーで、この日本公演のあとはアメリカ公演へと続いていく。彼らが各地でどんな感動をもたらすが、その展開が楽しみだ。


【囲みインタビュー】


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コシノジュンコ、江良拓哉、岸野央明、西亜里沙、麓大輔


ゲネプロの後、コシノジュンコ、江良拓哉、岸野央明、西亜里沙、麓大輔、フランコドラオが登壇。囲みインタビューが行われた。

──『ドラムロック 疾風』ということで、ロックをコンセプトにした作品ですが、テーマにした思いは?
西 音楽界にロックというジャンルが現れた時に新しい風が巻き起こったように、今回は、日本伝統の和太鼓と日本のエンターテインメントにロックを取り入れることで新しい風を吹き込みたいなという思いがテーマになっています。
──リズムはこれまでの作品とは違いますね?
岸野 僕はどちらかというと、今までのリズムとも合っている気がします。根本はリズムですからね。ロックは若者の食いつきがいいと思うので、ぜひ若い方に聴いていただいて、和太鼓はこんなにかっこいいんだと痺れてもらいたいなと思っています。

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──これまでにプレビュー公演をされていますが、どんな感想がありますか。
江良 疾風とあるように、あっという間に終わったと(笑)。
岸野 狙い通り(笑)。
西 テンポ感も良くて、展開の早さも特徴です。作品の中に激しいところもあれば、やさしいところもあるので、あっという間に終わってしまったという感想をいただいて、もう一度観たいとおっしゃられる方が多いです。

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──演出面で意図したところはありますか。
フランコ 2016年にオフブロードウェイで1週間の公演をしました。その時、ブロードウェイのプロデューサーが、もっと疾走感のある舞台、ニューヨークの人々は日本の伝統芸能を観ているわけではなくて、日本人がどんなエンターテインメントを作るのかを観にきたいと思っている、と言われました。だから、伝統芸能を前面に押し出すのではなくて、こんな表現はすごいということに挑戦してくれと、それがきっかけで、だったらロックかなということを意識しました。
──今回の衣装のコンセプトはありますか。
コシノ 日本のロックの始まりは60年代なんですよね。あの時の勢いはすごかったと思うんです。若い人たちはそれを知らないかもしれないけれど、TAOは、新しいものを取り入れるから面白いと思うんですね。もちろん、今までつちかってきた「さむらい魂」はありますので、何をやってもTAOらしさが根底にあると思います。それには時代に挑戦していくという勢いもありますし、何よりこれだけ関わっていながら初めて見たような新鮮さがありますね。これからも前に進んで行ってもらいたいです。

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──大分県で共同生活をされていますが、どのようなスケジュールなのですか。
岸野 1年中演奏活動ですが、制作期間はTAOの里にいるんですね。基本的には朝と夜は稽古、日中はクリエイション的な時間です。みんなで生活して、稽古をして、遊んだりもしています。
コシノ ゴルフ場のそばですものね。空気もいいしのびのびとできますね。
岸野 先生もよく来てくださいます。
──どんな遊びがありますか。
西 映画館やバー、サウナや大きなお風呂があるので、楽しんでいます。

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──一番後輩の麓さんはいかがですか。先輩に対する意識はありますか。
 ないですね(笑)。
フランコ 夜抜け出していたよね。
 最近はないです(笑)。家族より兄弟に近いです。
コシノ みんな料理が上手ですね。誰かプロがいるのかっていうぐらい。
フランコ 最初はホテルを作るつもりで始まったんです。4万屬療效呂涼罎法▲曠謄襪鮑遒辰董△客さんにライブを見せて泊まってもらうというコンセプトだった。ちなみに、西座長は我々のワイン館長です。ソムリエの称号を取るんだものね?
西 はい。
コシノ それで朝10キロ走ってるんでしょ? 
西 そうですね。朝と夜は真面目ですね。

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──世界の方々の反応はいかがですか。
江良 どこに行ってもすごい反応でありがたいですね。その土地によって盛り上がりが違いますね。暖かいところだと熱い人だったりしますが、最近では日本も海外と変わらないぐらい盛り上がりを感じます。
──最後に意気込みを。
岸野 おそらく皆さんの持っている和太鼓のイメージを覆すようなステージになっていますので、ぜひ一度騙されたと思って遊びに来てください。
江良 日本人でよかったというショーにしたいです。
 客席との距離が近いので、生の和太鼓を目で見て楽しめるショーになっています。
西 今回はロックですので、ロックのビート感と、和太鼓の音圧を体感することができます。ぜひいらしてください。

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〈公演情報〉
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DRUM TAO『ドラムロック 疾風』
演出・制作◇フランコドラオ
衣装デザイン◇コシノジュンコ
出演◇DRUM TAO
●7/19〜30◎Zepp ブルーシアター六本木
〈料金〉8,500円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉東京音協 03-5774-3030(平日11:00~17:00) 

(C)DRUM TAO
 

【取材・文・撮影/竹下力】






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主役はザコたち! 舞台『北斗の拳−世紀末ザコ伝説−』製作発表レポート

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大ヒット漫画『北斗の拳』が来年35周年を迎える。その初めての舞台化が、9月6日〜10日、シアターGロッソにて上演される。
 『北斗の拳』は、199X年、世界は核の炎に包まれるというディストピアな世界で、武論尊の原作・原哲夫の作画で、80年代『週刊少年ジャンプ』(集英社)黄金期の一世を風靡。アニメ化もされ、主題歌であるクリスタルキングの名曲「愛をとりもどせ」は大ヒットとなった。
 
今回は、川尻恵太(SUGARBOY)の脚本と、村井雄の演出で、主役はなんと“ザコ”。主人公ケンシロウや彼の兄のトキ、さらに長兄のラオウなどの中心人物ではなく、ザコによる、ザコのための、ザコだけの舞台。そのためタイトルも『北斗の拳−世紀末ザコ伝説−』と銘打たれている。
出演者は、磯貝龍虎、河合龍之介、寿里、林野健志などに加えてスーパー日舞の花園直道、またガールズユニット「A応P」の水希蒼、声優の千葉繁も声で出演する。舞台のOPENING LIVEは「愛をとりもどせ」で、クリスタルキングwith A応Pが担当する。
 
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ムッシュ、林野、花園、寿里、河合、磯貝、水希

この舞台の製作発表会が7月上旬に行われ、キャストの磯貝龍虎、河合龍之介、寿里、林野健志、花園直道、水希蒼が登壇。そしてOPENING LIVEを担当するクリスタルキングのムッシュ吉崎が登壇した。
その後、大相撲5月場所で横綱の稀勢の里らが巻いた『北斗の拳』仕様の化粧回しを紹介。

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さらに、北斗4兄弟の3男ジャギがシークレットゲストとして登場、製作発表会を大いに盛り上げた。

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Akemi、ムッシュ、林野、花園、シークレツトゲスト、寿里、河合、磯貝、水希
 
【質疑応答】

磯貝龍虎、河合龍之介、寿里、花園直道、林野健志、木希蒼 (A 応 p)  、ビジュアルを担当するAkemi.S.ミラーが登場。

──この作品の出演が決まった時の心境を話してください。
水希
水希
 『北斗の拳』は母がとても好きで、姉がヒロインのユリアという名前にちなんでつけられるぐらい。小さい頃から、馴染みのある作品なので、キャストとして出演できること、「A応P」として出演できることが楽しみです。

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磯貝
 ドキドキして震えていましたね。原作は大好きで、本がふやけるほど読みました。ザコの死に様が好きで、ラオウにビンタされて頭が吹き飛ばされるのが好きですね。そんなザコをやるかもしれませんね(笑)。

河合
河合 『北斗の拳』(1983年)と同い年なんです。まさか、このタイミングでと驚きながら、記念すべき作品に出演させていただいて光栄です。

寿里
 寿里 お話をいただいた時は、正直、ザコの舞台って「何だろう?」と思いました(笑)。ただ、設定自体はとても面白くて、お芝居としてみなさんに届けられることを嬉しく思います。死に様に集中して、選ばれたザコとして、ザコ中のザコをやらせていただきます。

花園
花園
 普段は着物を着て紋付袴の和装でやっていますから、まさか、『北斗の拳』のオファーをいただけるなんて…。日本舞踊で古典舞踊からマイケル・ジャクソンまで踊りましたが、どういう風に絡むのか想像がつかないのですが、綺麗な歌舞伎の所作で死にたいと思います。

林野
林野 
最初にお話をいただいた時に、とうとうやるんだなと思いました。あの筋肉量と、世紀末感をどう表現するのかなと思った時に、ザコ役という話をいただいた。原作は主役のケンシロウが気持ちいいほどザコを倒してくれるのが楽しかったので、どんな舞台が展開されるか待ち遠しいですね。

ムッシュ
ムッシュ
 『北斗の拳』は83年に連載されましたが、私が歌い始めたのは、84年にテレビアニメされてから、ぶれずにずっと歌い続けました。そうして2017年にこの公演のOPENING LIVEのオファーがあって、よかったなと思っております。私の歌から舞台が始まるので、ザコ歌手になれたら光栄ですね。
──ザコになるためにどのような役作りをしていこうと思っていますか。
水希 女性のザコは想像がつかないし、「A応P」で歌っている時は男勝りの性格なので、そこを前面に出して挑もうと思っています。
磯貝 ザコは刃物を扱いますよね。まずは、でかいノコギリを使えるところから頑張っていこうと思います。そしていつでも死ねる準備を心がけていきたいですね。
河合 一番反響があったのが身内の役者たちからです。うらやましがられて、すでに入れ知恵をもらっているんです。自分たちの代表としてちゃんとやってくれよと言われているので、みんなの期待に恥じないザコを演じたいと思います。
寿里 まずは、公園に行って子供を追いかけ回すというザコさ加減を出します(笑)。ザコだから、現代社会に染まってもいいと思います。長いものに巻かれ、偉い人にはゴマをする、そんな役作りをしつつ、火炎放射器の免許を取らなくちゃいけないけど、どこで取ればいいのやら……後は筋肉ですね。ザコもあの筋肉を見れば相当な努力家だとわかりますから(笑)。
花園 僕は細い方なので、ステーキを週3回は食べておりまして、5キロぐらい太りたいと思っています。
林野 体がでかいので、人を投げたり、引きずり回すことをするかもしれないので、パワーのある体を作りたいと思います。そして、死ぬ時の声は高い声と低い声を使いこなせたらいいですね。漫画にはない裏のストーリーが展開されると思うし、どんな変化球が来るのかわからないので想像力を膨らませて稽古を心待ちしたいと思います。

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──OPENING LIVEで「A応P」さんと歌を披露されますね。
ムッシュ 楽しみですね。女性とのコラボは4組目です。いろんなバージョンがあるのですが、うら若き乙女たちと一緒にやれることにワクワクしています。来年は古希(70歳)ですから、孫と一緒にやっているような感じですね(笑)。
──ケンシロウやラオウといった主役級のキャラクターがいますが、どのキャラクターにどんな殺され方をしたいですか。
寿里 アミバ(ケンシロウの兄のトキに変装した悪役)に殺されることかな(笑)。
磯貝 ケンシロウの「北斗残骸拳」で残り5秒で死ぬと言われ、人生が走馬灯のように駆け巡る死に際を楽しみたいと思います。
花園 シン(ケンシロウのライバル)にケンシロウの胸にある北斗七星を意味する7つの傷をつけられたいですね。これだと主役のケンシロウになっちゃいますね(笑)。
──原作で好きなザコエピソードはありますか。
寿里 名台詞ですが、ケンシロウがとても大きな悪役のおばあさんに「そんな大きなババアがいるか」というようなことを突っ込むシーンが好きですね。
林野 ザコが死ぬ時の断末魔のイメージが強烈にあって、北斗神拳を受けて、死んでいく声が好きですね。
寿里 僕らが伝説の「あべし」「ひでぶ」と言ったら光栄ですね。恐れ多くて使えない。逆に「もずく」とかになっちゃうかも(笑)。

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──これまでのザコ役経験や、プライベートでのザコエピソードを。
水希 ザコ役の経験はないのですが、私が「A応P」のメンバーで一番ザコです。みんなからの扱いがひどいけれど、私は嬉しいです。
磯貝 見た目が大きくて、力持ちで優しい村一番の男前といった役が多いので、ザコの経験はほとんどないですね。ただ、私生活はお酒を飲んだらまっすぐ家に変えられないザコですね。
河合 ゾンビの役をやったことがあります。これまでにいろんな死に方をしていますね。けれどザコは新鮮ですね。
寿里 学生の時に、公衆電話で電話していたら、不良に絡まれそうになって、やっつけられる前にノールックで財布を出しました(笑)。争い事が嫌いだし、身長が大きくなってから絡まれないんですけどね。
花園 スカルの面をつけて呪って最後はやっつけられるという舞踊劇はやっていますが、ザコは初めてですね。昔、公園で友達とコーラを飲んでいたら鳩がいっぱい集まってきて、野球の優勝パレードみたいに鳩にいっぱい吹きかけていましたね。
寿里 ザコですね。
花園 反省しています。
林野 『サイケデリック・ペイン』という舞台で、クラッシュという役を演じた時は、モヒカンにして、左手がかぎつめで、刀を持っていたんです。ザコかどうかはわかりませんが、見た目はいかついのに、おバカな役所を演じました。舞台上を変なセリフを言いながら走り回るのが楽しかったです。
ムッシュ テレビに出ている時はほぼザコです。低い声で人相の悪いサングラスをかけた歌手なんてザコっぽいじゃないですか。元祖ザコです(笑)。
──Akemiさんは、マイケル・ジャクソンさんやスーパーモデルjasmineさんのビジュアルを手がけ、ニューヨークで活躍もされています。ぜひこの舞台に参加したいということでしたね。
 
アケミ
Akemi
 ニューヨークでの25年間はまさに戦いでした。今回は、ザコの世界を表現させていただきますが、ニューヨークにはたくさんのザコがるつぼのように集まっているから、今回のお話はとても嬉しいですね。
──世紀末を舞台にしていますが、どのように美しさを表現しようと思いますか。
Akemi 美というのは魂の問題だと思うんです。1989年にニューヨークにわたりまして、ニューヨークコレクションから、マイケル・ジャクソンやドミンゴさんと、色々お仕事をしてきました。共通点は魂です。なので、みなさんの個性がザコに現れるように一緒になって考えていきたいと思います。ニューヨークではブロードウェイやリンカーンセンターでもビジュアルを担当したことがありますが、この舞台をブロードウェイに届かせたいですね。
──確かに日本にしかなさそうな設定の舞台ですね。
Akemi すごくショッキングですが現代的でもありますね。それを日本人が表現して、アメリカに持っていくのが楽しみです。

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──最後に意気込みを。
水希 とても緊張していますが、作品をきちんと伝えられるようなザコを演じます。
磯貝 最高のザコと言われるように頑張ります。
寿里 作品が楽しくなるのは間違いないですが、中身も素敵なものになるように頑張りたいと思います。
河合 役者みんなでがんばってザコを演じたいと思います。
花園 本番が終わるまで『北斗の拳』一色に染まって見事なザコになれるように頑張ります。
林野 ジャギ様の衣装がかっこいいので、僕らはどうなるのか楽しみですね。世界観も楽しみにしてください。女性もザコの生き様を観ていただけるし、子供さんも観ていただけると思いますよ。
ムッシュ 8公演、精一杯歌わせていただきます。
Akemi 本当にいい機会をいただき、日本から海外にスタートする舞台です。頑張りたいと思います。

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〈公演情報〉
舞台『北斗の拳−世紀末ザコ伝説−』
原作◇武論尊
脚本◇川尻恵太
演出◇村井雄
出演◇磯貝龍虎、河合龍之介、寿里、花園直道、林野健志、水希蒼(A 応 p ) ほか   (五十音順)
●9/6〜10◎シアターGロッソ
〈料金〉ザコシート6,999円 世紀末シート(前方エリア・特典付)9,999円 リングサイドシート(ステージエリア一部客席・特典3点付)19,999円(全席指定・税込)

(C)武論尊・原哲夫/NSP 1983, c北斗の拳−世紀末ザコ伝説−製作委員会2017 版権許諾証GP-907
 
 

【取材・文・撮影/竹下力】




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ナチ政権下の市民の意識を題材にした青年座公演『旗を高く掲げよ』小豆畑雅一インタビュー

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まもなく 50 年を迎えようとしている青年座劇場。つねに新しい創造の場であるこの劇場で、今年は、演劇界注目の劇作家の新作が連続上演される。その第1弾として劇団チョコレートケーキの古川健が書き下ろす新作は、『旗を高く掲げよ』。タイトルは、国家社会主義ドイツ労働党(ナチス)の党歌から取っている。

1939年9月、ドイツ軍がポーランドに侵攻し第二次世界大戦が勃発。その前年から物語は始まる。歴史教師のハロルドは善良なる市民で、妻レナーテ、娘リーザ、妻の父コントラートとベルリンに暮らすミュラー家は、ごく一般的なドイツ人家庭。1938 年 11 月、ドイツ各地で起こったユダヤ人に対する組織的暴動事件(水晶の夜)直後、事件を受けて亡命を決意したユダヤ人の友人オットーが今後のドイツを憂える。レナーテはナチス支持者で、時流に乗らない夫に物足りなさを感じている。夫、妻、義父、夫の友人、妻の友人、それぞれの立場からナチスドイツを語る。その数日後、SS(ナチス親衛隊)の友人ペーターが、ハロルドに歴史の専門知識を活かした仕事をしてほしいとSSへの入隊を奨める。乗り気のレナーテに対し、二の足を踏むハロルドだったが、迷いながらもついに入隊を決断する…。

歴史上の出来事を題材に独自の視点で骨太な戯曲を創作する古川健。彼が今回掲げるテーマは「模範的なファシストは、模範的な市民でありえる」、言い換えれば、「模範的な市民は、模範的なファシストになりうる」。ナチス政権下、SS(ナチス親衛隊)という組織の中で生きる一般市民の意識変化を描き、現代日本人に警鐘を鳴らす。この作品で、物語の主人公ハロルド・ミュラーの同僚教師で、腕に障碍を持つブルーノ・コッホ役を演じる小豆畑雅一に、作品と俳優としての彼自身を語ってもらった。

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普通の人だからこそ変わっていくことがとても恐い

──古川健さんの作品に出演は初めてだそうですが、どんな印象がありましたか?
チョコレートケーキという劇団はすごいという話は前から聞いていて、いつかちゃんと見なくてはと思っていたところに、青年座の女優たちが参加しているユニットOn7が上演した『その頬、熱線に焼かれ』(作=古川健・演出=日澤雄介)を観ることができました。さすがというかすごい作品を書くなと思いました。
──今回はナチズムに席巻されていた頃のドイツを題材にしていますが、台本を読んで最初に感じたことは?
切り口がすごく面白いと思いました。市井の人たちの側から書いていて、面白いところを衝いているなと。そして、出てくる人たちはベルリンの街で暮らす普通の市民ばかりで、普通の人だからこそ彼らが変わっていくことがとても恐いと感じました。
──登場する人たちのほとんどは、状況の変化に気づきながらも流されていきますね。
大きな変化だと人は衝撃を受けると思いますが、少しずつ少しずつということで、気づかない。だからこそ恐ろしいですよね。それは今の時代にも言えることで、僕たちも色々なことでにじり寄られているなと。そういう流れで言えば、古川さんは歴史の切り取り方がすごくお上手で、大事な部分というか、状況が変化する部分をきちんと入れ込んで書いていますね。
──一番最初のシーンは1945年のベルリン陥落で、そこから〈水晶の夜〉の1938年に一気に戻りますね。そして何年かおきに状況の変化が描かれます。話の中心になるのは歴史教師のハロルドの一家で、彼らに関わる人たちがそれぞれの立場で出てきますが、小豆畑さんはブルーノ・コッホ役ですね。
ドイツ人でハロルドの友人、元同僚の教師です。腕に障碍を持っていて、そのせいでブルーノも少しずつ追い詰められていきます。ナチスが1933年に作った「遺伝病根絶法」によって、障碍者は生産性がない存在として扱われ、ユダヤ人ほどではありませんが、それに近い差別を受ける。そういう意味では(ユダヤ人とは)また違う切り口で、あの時代に起きたことを表現する存在だと思います。
──ハロルドとは仲の良い友人で、信頼し合っていますが、ハロルドの研究が上層部に気に入られたことでSS(ナチス親衛隊)に入隊することになり、2人はだんだん理解し合えなくなっていきますね。
ハロルドにしてみれば、単純に家族を食べさせるためとか喜ばせるためであり、戦争はいやだけど家族のためにということで流されていく。ハロルドがそうなっていく心理が、とてもうまく書かれています。ブルーノは先輩であるハロルドに憧れていた部分もあるのですが、そんなハロルドに次第に距離を置くようになる。ただ、ハロルドが最後までブルーノに対して人間同士として向き合っているのは救いです。

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稽古場撮影:坂本正郁

言葉に過不足がなくすっと入ってくるセリフ

──セリフなどに古川さんならではというところは?
読みやすいですね。内容の面白さもありますが、すっと読めます。言葉に過不足がないというか、盛る部分もなければ足らないところもなくて、すごく真っ直ぐ入ってくるんです。だから覚えやすいし、気持ちの流れが繋がっていく。「てにをは」を苦労して覚えたりしなくても、言葉がすっと出やすいんです。
──政治的な用語や状況説明なども入ってきますね。
それも人間の日常に即した言い方に落とし込まれていて、難しい話なんだと距離を置かれてしまわないように、言っていることがわかるという普通の感覚を大事に書かれているのがすごいなと。
──今回の演出は黒岩亮さんですが、小豆畑さんは何度も一緒の舞台を作っていますね。
劇団の中でも多い方じゃないかと思います。特に僕にとってターニングポイントとなる大切な作品を数多く演出してもらっていて、毎回大きな課題を与えてくれます。黒岩作品で印象深かったのは、劇団に入って4年目ぐらいの『パートタイマー・秋子』(作=永井愛/2003年)です。それまでワーワー喋ったりする賑やかな役が多かったんですが、この時は元引きこもりの役で。仕事を高畑淳子さん演じる秋子に取って代られ、泣きながら帰っていくという役でした。キャスティングが決まった時、口数も少ないし、元引きこもりだし、こんなに喋らない役どうしようと、ちょっとショックだったんですが、僕なりに一生懸命やってみたら、周りの人に面白かったよと評価していただいて、役者として1つ変化するきっかけになりました。その他にも『夫婦レコード』(作=中島淳彦/2004年・06年)とか、『こんにゃくの花』(作=ふたくちつよし/2005年)。あと『切り子たちの秋』(作=ふたくちつよし/2011年)なども印象に残っています。
──日本の現代ものが多かった黒岩作品が、今回はナチスドイツで、ちょっと異色ですね。
そうですね。僕は戦争の真っ只中という芝居にはあまり出演したことがなくて…、ですから、色々な映画を見たりして勉強しているところです。やはりあの時代の状況を、少しでも知っておかないと想像できない部分もありますので。
──黒岩さんからブルーノ役への要望はありましたか?
流れているリズム感を大切にと。戦争中であることや歴史教師のリズム。話は逸れますが、僕、わざとではないんですけど、よく誤読をするんです。台本をもらった時に、正解を求めないというか、勝手に思い込んだり、わざと乱暴に読むというか、それを稽古初日にやったりするんです。
──どんな部分を誤読するのですか?
自分の役に関してで、わざとではないんですが、もし間違っててもいいんじゃないかなと。もしかしたら作家も演出家も、思っていないことに気付けるかもしれないと思ったり、正解ではないかもしれないと思いながらも、自分の解釈で読んでみるんです。それが黒岩さん的には真逆を行っていたりして(笑)、でも、これは真逆なんだなとわかれば反対に行けばいいわけですから。それで今、ダメ出しが来ている状態ですが、そういう無駄も作品を作っていく楽しみではあると思うし。
──そのぶん解釈が深まる気もしますが、でも演出家からすると手間がかかる役者だなと?
その通りです(笑)。でもそれでベクトルがはっきりしたりするので。それこそ本読みをやった時と今では全然違うから、あ、こっちなんだなと思いながらやっているところです。

稽古場写真2
稽古場撮影:坂本正郁

天才だと思っていたら、もっと凄い才能の持ち主がゴロゴロ

──小豆畑さんの俳優歴も伺いたいのですが、大学は東京経済大学ですが、演劇の世界へ入った経緯は?
僕は広島出身で、まず東京に出てくるという目的で大学に入ったんです。最初はサッカー部にいたんですが、寮の先輩がゼミでブレヒトと寺山修司を研究していて、演劇研究会を作るということになった時、僕はゼミ生じゃなかったんですけど、たまたまバイクで事故を起こしていてサッカーどころではなくなっていたんです。そこで「小豆畑、今度ウチに参加して芝居やらないか?」と声をかけられたんですね。誘われたときは何の疑問も持たずに、「演劇か…ついにやる時が来たか」ぐらいの感じで、「じゃあやります」と(笑)。
──演劇をやる自分に違和感がなかったわけですね。
なかったですね。でも母親に電話をして、「サッカー部やめて演劇やるんだ」と言ったら「あ、そう。あんた何でも中途半端じゃけんねえ」と言われて、「えっ?」と。「中途半端」という親の評価を19歳にして初めて知って(笑)、「え、俺けっこうがんばって来たのに」とカチンと来て、「よし、演劇がんばってやるぞ、このやろう」って(笑)。今思うと母親なりのエールの送り方だったかもしれないんですけど、僕にとってはショックでしたね。そこから本気でやりはじめて。演劇研究会の劇団は「みつばち」という名前で、元「猫のホテル」の菅原永二くんとか、もっと後輩には山中崇とかお笑いの「たんぽぽ」の川村エミコとか、今も活躍している人たちが参加していました。
──そこから青年座を受けた経緯は?
先輩が就職活動をし始めていきなり演劇部が2人だけになって、「どうする?」となった時に、とにかく外に目を向けようということになったんです。当時、知り合いになった青年劇場の勉強会によく参加していたのですが、そのうち代表の福島明夫さんから「うち(青年劇場)に来るか?」と誘われたんです。「お前はバカだけど野心があるから制作をやってみないか?」と言われて。それで「わかりました」と言って内定みたいな感じになったんですが、その年の12月に卒業公演をやりまして、そこでお客さんが芝居を観て泣いているのを見ちゃったんですね。その時に、もうちょっと役者で勝負したいなと思ったんです。それで内定をお断りして、アメリカに行って俳優修業したいと福島さんに相談したら、「それより日本の劇団に入ってちゃんと力つけた方がいい。青年座か文学座の研究所を受けてみろ。受かったら大したもんだ」と言われて、「わかりました」と。両方とも受験して受かったんですが、その頃の青年座には、西田敏行さんがいらっしゃったり、竹中直人さんもご出身だったので、自分のタイプを考えると青年座の方がいいかなと思って青年座の研究所に入ったんです。
――その頃は小劇場演劇も隆んになっていたと思いますが、新劇を選んだのは?
大学の後輩もびっくりしてました。「え、新劇に行くんですか?」って。「劇団黒テント」に大学の先輩がいて、よく手伝いに行っていたので、小豆畑は小劇場へ行くみたいな空気はあったんです。でも「癖をちゃんと落としてやらないと長く続けられないから」と福島さんにも言われていましたし、やっぱり俳優を長くやりたかったので、基本から身に付けたいと思ったんです。
──青年座の研究所に入ってよかったなと思うことは?
具体的なエピソードを挙げていけばきりがないのですが、色々な意味で自分を知ることになったことですね。大学で演劇やってた頃は自分は天才だと思っていたんです。でも劇団にはもっと凄い才能の持ち主がゴロゴロいて、自分は凡人なんだと嫌と言うほど思い知らされた。そこから、背伸びしてもしょうがない。自分の声と体で、できることを精一杯するしかない。毎日ひたすら稽古するしかないと。そう思うようになってからは気持ちが楽になりました。
──色々なプロセスを経て、今、俳優のどういうところが面白いですか。
これは前からずっと思っていることなんですけど、お客さんの前でやることが大事で、観客席の空気を感じながらやるのがものすごく楽しい。お客さんを掴んだとか、掴めてないなら違うふうにやってみるとか、その日によってマイナーチェンジしてみたり、お客さんと駆け引きしたり、それがちゃんとできると楽しい。もちろん映像も面白さはあるんですけど、舞台がやめられないのはそこなんだろうなと。お客さんと一緒に呼吸できることが楽しいんです。

稽古場写真3
稽古場撮影:坂本正郁
 
歴史を詳しく知らない人でも、この芝居で何かを感じてもらえたら

──今、19年目ですが、青年座にいてよかったなと思うところは?
青年座は作品のジャンルがたくさんあります。家庭劇もあれば、歴史劇もあるし、コメディも文学作品もあります。幅広く色々なことにトライできるチャンスがある。それから、僕は今、演劇ワークショップを開催したり、舞芸(舞台芸術学院)で講師をしているんですが、そういう活動をさせてもらえることも有り難いなと思います。
──教えることで得るものも多いでしょうね?
生徒たちからはすごいエネルギーを貰っています。それに教えていると、演出家の言うことが少しは咀嚼できるようになって、テクニカル的にも上がったという実感があります。
──劇団でも中堅になって、大きな役どころを次々に演じることが多くなりました。これからの課題や目標は?
実は3年前からやっと、劇団の財産演目、『ブンナよ、木からおりてこい』(作=水上勉/1978年〜)に出られるようになったんです。僕の場合、17年かかりました。青年座に入った時、ちょうど「第3次ブンナ」(演出=鈴木完一郎/1992年―2000年)の公演中でしたが、それを観た時「僕にはできない」と思ったんです。命を扱う作品で、すごくシンプルで骨太で、今の僕には命を扱う作品はできないと。自分を天才だと思っていた当時の僕がそう思ったんです。あれから19年。今は「第5次ブンナ」(演出=磯村純/2012年〜)に「百舌」役で出演しています。
──『ブンナよ、木からおりてこい』は、1978年初演ということは来年で40年目を迎えるのですね。
「第5次ブンナ」としては今年10月の新国立劇場公演で一区切りとなります。ですから自分でも集大成にしたいなと思っています。
──演じてみて、やはり特別の作品だという手応えがありますか?
肉体的にも精神的にも、小手先が通じないというか、小手先でやったところで見てもらえないというか、芝居の握力がいるんです。芯にある太い何かを掴んで離さないでいないと、振り回されちゃうんです。それだけに終わった後、ほどくにも握力がいる。そういう役であり作品で、だからこそ劇団の財産であり、残り続けるのだなと。
──その経験を踏まえて、さらに目標も高くなったのでは?
そうですね。先ほど中堅と言っていただきましたが、自分ではいつも「若手のトップです」と言ってて(笑)。ただ、気持ちはそうでも年齢は上がって来ているので、今まで色々な演出家と一緒にやれてきた実績を生かしながら、これからも色々変化することを目標にしたいですね。
─今回もどんなブルーノになるか楽しみです。最後にメッセージをぜひ。
今回の『旗を高く掲げよ』というタイトルは、知らない人は知らないで過ぎていってしまうかもしれませんが、知っている人は色々なことを受け取るだろうなと思います。もちろん歴史を詳しく知らない人でも、この芝居を観て、そこから何かを感じてもらえればと思いますし、ナチズムの時代が背景にありますが、普通の人間の日常が描かれているので、観ている方にもきっと通じるものがあると思います。台本がとにかく面白くて、読みやすいので、これが面白くなかったら僕らの責任なので。
──自分でハードルを。
上げましたね(笑)。でも上げすぎたら下をくぐればいいので(笑)。いや、本当に素晴らしい本で、古川健さん独自の視点から描かれていますので、僕らはその世界をしっかり伝えられるようにがんばります。
 

掲載写真3
あずはたまさかず○広島県出身、1999年青年座入団。最近の主な舞台作品は、『フォーカード』(2016年、作=鈴木聡  演出=宮田慶子)『ブンナよ、木からおりてこい』(2015年〜17年、作=水上勉  補綴=小松幹生  演出=磯村純)『山猫からの手紙』(2015年、作=別役実 演出=伊藤大)『横濱短篇ホテル』(2013年・16年/作=マキノノゾミ 演出=宮田慶子)など。この10月には『ブンナよ、木からおりてこい』新国立劇場公演が控えている。
 

〈公演情報〉
青年座『旗を高く掲げよ』チラシ 
劇団青年座 227 回公演
『旗を高く掲げよ』
作◇古川健(劇団チョコレートケーキ)
演出◇黒岩亮
出演◇山野史人 石母田史朗 小豆畑雅一 豊田茂 嶋田翔平 鹿野宗健 渕野陽子 松熊つる松 田上唯 市橋恵
●7/28〜8/6◎青年座劇場
〈料金〉一般4,200円 U25[25歳以下]3,000円(全席指定・税込)※初日割引(7/28)3,000円
〈お問い合わせ〉劇団青年座 0120-291-481(チケット専用 11時〜18時、土日祝日除く)
〈青年座HP〉http://seinenza.com
 



【取材・文/榊原和子 撮影/竹下力】


 

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