観劇予報

えんぶ4月号

『赤い靴』稽古場ルポ&奥秀太郎インタビュー

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映画監督として活躍し、また演劇の世界では引く手あまたな映像プランナーとして活躍する奥秀太郎が、脚本、演出、映像を手掛ける舞台『赤い靴』が2010年1月9日、10日に、東京芸術劇場で上演される。

彼にとっては、07年の『黒猫』に続く2本目の演劇作品で、映像作家ならではの視点を生かした独自のビジュアルを駆使し、幻想的かつ立体的な演劇空間作りに意欲的に取り組んでいる。

今回のモチーフになっているのは、実話に基づくとされる野口雨情作詞の童謡『赤い靴』と、アンデルセン童話の『赤い靴』。この二つの『赤い靴』が奥の解釈のもとで、ミックスされるという。
その稽古場を見学、奥秀太郎にインタビュー。DSCF1325

 

【稽古場ルポ】

稽古場にあったのは、大きな鏡と積み重ねられたダンボール、病院にあるようなカーテンの衝立て。それらを使って、本番の舞台での装置の出し入れを、何度もシミュレーションしている。

俳優たちが装置を持って、出たり引っ込めたりする動きが、そのまま舞台でのそれぞれの動きとして見えてしまうので、演出の奥秀太郎は、時間と台本とをすり合せながら、合理的できれいな流れになるまで丁寧に何度も繰り返す。その動きに直接絡むことの少ない映美くららは、自分のセリフや動線を稽古場の隅でじっと確認している。

奥は、演出の途中で何度もキャストやスタッフを呼び集める。言葉で自分の中にあるイメージを伝え、みんながそのイメージを汲み取り、また意見を出し合いながら、一つのシーンの転換を決めていくのだ。DSCF1328

年代が近いチームのせいか、演出家とキャストやスタッフとの間に上下関係のようなものがほとんどないし、奥が別のスタッフと話している間は、自然に役者同士が集まって段取りなどを自主的に確認している。

やっと段取りが決まって、1つのシーンが始まった。映美くららが扮するキミの幻想なのだろうか、牧師館の育ての親たちがキミに話しかけてくる。映美のセリフ回しは明晰で力があって、粗い稽古の段階なのに聞くものの心にすっと入ってくる。子供に戻ったような表情のキミが、大きな鏡に自分を映している様子はなんだか胸に迫ってくる。

こんなふうに作られていく場面が、実際の舞台ではどんなふうに立ち上がってくるのか、奥脚本の言葉と、音楽と、役者の演技の相乗効果に期待が高まる。
幻想的で毒のある、映像作家奥秀太郎ならではの魅力がつまった舞台になりそうだ。

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【奥秀太郎インタビュー】

ーー野口雨情の童謡『赤い靴』とアンデルセン童話の『赤い靴』からインスパイアされたそうですが、前からあたためていた素材なんですか?

自分の中に勝手に、将来作りたい題材や、10年計画、20年計画があって、そのうちの1つが『赤い靴』で、童謡にまつわる実話の面白さなども聞いて、いつか絶対にやりたいと思っていた題材なんです。

ーー「痴漢」という存在が出てきて、かなり重要なようですが、主人公のキミとの関係は?DSCF1367

キミは外国人の母と日本人の父を持っているんですが、9歳の時に2人は離婚して、母親に育てられるんです。だけど2年後に母親が病死して、その後、彼女は六本木の鳥居坂教会の一室で生活を送るようになる。そしてある年齢になったぐらいから、ネットで知り合った男性がその部屋に訪れるようになって。泥棒だの詐欺師だの痴漢だのというのは、そのネット上のコードネームなんです。よくミュージカルとかで、娼婦とか泥棒とか、キーワードがいろいろ出てくるじゃないですか。そのキーワード的な意味と、今一番情けないものを主役にしてみたかったので、「痴漢」かなと思って。

ーー映美くららさんをキャスティングしたキッカケは?

僕は宝塚歌劇の映像もよく作っていて、映美さんが出ていた月組の『薔薇の封印』を作ったのが、彼女を知った最初のきっかけです。その後、退団されたので、こちらから何回か出演のお願いというラブコールを(笑)、ずっと送っていました。
たぶん僕の世界は、今まで映美さんがやられてきた内容と全く違うものだと思うんです。でも、彼女もそういう違うもの、新しいものをやりたいと思ってくれて、僕にとっても映美さんにとっても挑戦の良い一歩にしたいですね。僕の台本はややこしくて、毒々しいものなんですが、そこをわかっていただいて、彼女なりにやっていただけたら、すごくオシャレなものになるんじゃないかなと思ってます。

ーー奥作品は、映像も舞台も洗練されているので、暗いものや怖いものを扱っても、最終的には美しいものとして立ち上がってくるのが魅力ですね。

今回も、まさにそういう世界になりそうです。音楽で入ってる藤井洋は天才だと思うし。『黒猫』もそうですけど、起きているのは三面記事的な題材ですが、彼の音楽や僕の映像で、そこをドラマッチックなものにできればいいなと思ってます。

DSCF1372ーー『黒猫』では奥演出の中に「自分が演劇をやるなら、こういうふうに映像を使いたいんだ」というものが見えた気がしましたが?

いろいろな演出家のかたたちの作品で仕事をしていて、そこでは映像を作るというチームの1員でもあるので、あまり偉そうな発言に聞こえたら困るんですけど、僕のどこかに演劇シーンを牽引したいという思いもあります。まず自分達のカンパニーを少しずつ成長させたいですね。なので、今年の夏も冬も、できればこういう公演をやりたいなと思ってるところです。

ーー奥さんは映像だけでもすごい世界を作れるのに、いろいろな面で手がかかる演劇をよくやるなと。

いや演劇は楽しいですよ。まぁ、本当にいろんな所で喧嘩もするし、叫んだり喚いたりしてますけど(笑)。
なぜ演劇をやるんでしょうねー? すごく好きだとしか言いようがなくて…やめられないですよね(笑)。だから、みんなやめないんだろうし、一生やってると思う。

ーー自分が見たいものがあって、それは自分が作るしかないっていう気持ちなんでしょうか?

それはありますね。今回も、前の『黒猫』もそうなんですが、映画と演劇、その2つのどちらの感覚もあるものを作りたいという思いがすごくあります。単館系映画ってのがすごく好きなんですよね。だから舞台でもそういう雰囲気のモノを作っていきたい。
今回、時間がないっていうのもありますけど、すごくキャストが集中してくれて、でも、みんな楽しんでくれているのが心強いです。映美さん以外は、あまり演劇業界では知られていない、でも実力のあるキャストたちです。大きなカンパニーとか作品で結果を出した人や有名な人の集合じゃなくて、自分達でのし上がる、というか自分達で作って上がっていく。そういう第一歩をみんなとやりたかった。今、みんなで何かやろうという気持ちで集まれているので、その力をすごく力強く感じています。

 

 

『赤い靴』

●1/9〜10◎東京芸術劇場 小ホール

脚本・演出◇奥秀太郎

出演◇映美くらら、岸健太朗、鈴木雄大、中本昂祐、リン・ホフディ  他

<料金>東京芸術劇場/¥4500

<お問合せ>オフステージ/03-5790-9719 offstage.ticket@gmail.com                   

  赤い靴 www.okushutaro.com

 

【取材/榊原和子 文/岩見那津子】


平幹二朗インタビューVOL.2

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VOL.1はこちら
http://blog.livedoor.jp/enbublog-forecast/archives/51356882.html
 

【自分だけの表現を求めて】

ーーいつも戯曲では、自分なりの発想をされるのですか?

僕は台本を読むとき、まずセリフを覚える作業をしながら、その台本の構造というか作りがどうなっているのかを考えるんです。それは机上でできるのですが、その構造が頭に入って納得したうえで自分の言葉にしていくときに、人がやるだろうという表現はとりたくないんです。
「僕だからやる表現というのを探さなくてはいけな い」といつも思います。そして、それはやはり「自分のどこかにないかな?」と、これまで見たり聞いたりした記憶の中で探すことだと思っています。同時に、最後は稽古してるなかでしか見つかってこないものであって、しかもその稽古をいつも本意気でするということからしか、発見できないと思っています。
本意気で稽古するためにはセリフを覚えておかないといけない。台本を見ながら段取りだけ追ったのではそれはできないんです。動きとかミザンセーヌ(演出とか配置)だけをチェックしましようという稽古をされるかたもいますが、それは僕はちょっと苦痛なんです。本意気でやるとミザンセーヌも違ってくるし、新しい発見がないと先に行けないんです。安定させる稽古もありますが、僕は安定させないのが稽古だと。揺り動かしてどこに行きつけるかという事を探る。だから毎回、本意気でやってしまうんです。

ーーそういう苦しさの先にしか本物はないのでしょうね。誰もやってないことを考えるというのは、新しい切り口を見つけることですが、新しさを見つけるためには、逆に言うとたくさんの経験とか知識が必要なのかなと。

誰かがやったかどうかを知るためには、たくさんの経験はあったほうがいいとは思いますが、まずは自分の今やってることを疑ってかかることだと思います。
俳優は芝居が出来上がりかかると、安定させていこうという方向になる。確かに安定してると俳優はセリフがちゃんと出てくる。探ったり不安だったりすると覚えてるはずの セリフが出てこなくなりますから。でもそこをあえて疑ってかかることは必要です。「くさくないかな?」とか「もうちょっとリアルな方法があるんじゃないか?」とか。そういうときに僕は、娯楽作品でない外国のDVDなどを観るんです。直接役に立つというより「あの表情はとても真実だったな」とか、そういうところがワンカットでもあると刺激剤になるんです。

【リア王への孤独】

ーー昨年の活躍でたくさんの賞を受けられましたが、受賞式のときに「役者としてゼロに戻された」と話されていたのが記憶にあります。

DSCF0533『リア王』は蜷川幸雄さんの演出で、30年の付き合いの間にはいろいろな時期があって、10年の空白のあとに『グリークス』からまた一緒に仕事をするようになったんですが、『リア王』はそれから7年目の作品でした。蜷川さんの芝居では主役しかやってこなかったので、この年になって主役ができる作品はそうはないだろうと思っていたところに、リア王の役がきたので嬉しかった。
蜷川さんの稽古ではどこをどう通っていけば、目的地にたどり着けるという道筋はわかってるつもりでしたし、それまで蜷川さんからダメ出しを受けた覚えがないんです。唯一、太地喜和子との『近松心中物語』の舞台稽古で「感動しねぇんだよな」と言われて「このやろう」 と思った(笑)、それくらいしかダメを出されたことがないんです。ところが『リア王』ではすごいダメの連続で。蜷川さんは、海外も含めてたくさんの俳優と仕事をしているうちに見る目が違ってきていた。その人からさまざまなダメが出たので、今までのやりかたではダメなんだと思いました,
でも、どうしたらいいのかという のが見つからない。僕はだいたい、ためにためたものを瞬間的に爆発させて、その爆発の温度がどのくらい高いか、どこまで噴火できるかというので勝負してきた俳優なんです。でも『リア王』はそういうものでは通用しない。後半の狂ってさまよい歩くところなどはとくにダメと言われて、石コロみたいに歩いてほしいとか、ベケ ットの芝居みたいにただ不条理にそこにいるとか、そういう抽象的なダメがいっぱい出ました。それをクリアできずに舞台稽古も終わって、でも初日の幕は開くわけです。どうしたらいいだろうと放り出された孤独感がただあるだけでした。
でも同時にその孤独感がとても自由な気がしたんです。まるで無重力でいるような感覚というか。「よし、この感覚でやろう」と。そうしたら芝居がスッスッと進んでいった。だから苦労して苦労してメソッドを掴んだわけではなくて、偶然できたものだったんです。でもそれを周りにも誉めてもらえて、そこからはその感覚を頼りにしながら、道筋は理屈ではわからないんですが、イメージを頭に浮かべながらたどり着くという。そういう舞台でした。

【生きていることを楽しむ】

ーーそしてもう1つの受賞対象作品の『山の巨人たち』では、ファンタジーというか不条理劇の世界の魔術師を、不思議な存在感で演じられましたね。

『山の巨人たち』の演出家のジョルジュ・ラヴォーダンは蜷川さんよりは少し具体的で、セリフを叙情的に言わないで叙事的に言えというダメだしでした。僕はどうしても感情的にいうクセがあって、良いセリフらしく、説得力あるセリフらしく、整理されたセリフらしく言おうとする。それはいらないと。「書いてあることだけ を、叙事的に、脈絡なくてもいいから喋れ」と。

ーー魔術師たちの営んでいる世界の立脚点はどこかわからないのに、確かな存在がそこに見えた。それはおそらく叙事に徹した演技のおかげなのかもしれませんね。

ピランデルロの作品は、どこにたどり着くのか、何を言いたいのか、その根拠は何なのかというのが掴みにくい世界で、完結してるものでもわかりにくいのに、これは未完ですから本当に難解でした。それでも舞台稽古のときに演出家がハグしてくれたので(笑)、大丈夫なんだと、落ち着いて初日を迎えられました(笑)。

ーー役者としてその2本で大きな変化をされた平さんの新しい姿が、この『冬のライオン』のヘンリー王で観られることになりそうですね。

いや、安心して元の姿に戻ってるかもしれないですよ(笑)。

ーー今、いろいろな意味で楽しんで舞台をされているのではないかと。

楽しむということが、だんだんちょっと違ってきてますね。ステージをみながら同時に、今日生きてそこにいることを楽しむというのかな。年齢を考えれば明日はそこにいないかもしれない。ですから今日生きて、そこで芝居をやって、「ああ、今日も生きてた」というような楽しみでしょうか。

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幹の会+リリック プロデュース公演

『冬のライオン』

●2010/01/15〜24◎:東京グローブ座

●1/31〜6/19◎地方公演(1/31〜3/2中部北陸、3/9〜4/29九州、5/6〜6/7東北、6/13〜19千葉)

 

作◇ジェームズ・ゴールドマン 

訳◇小田島雄志

演出◇高瀬久男 

出演◇平幹二朗、麻実れい、廣田高志、城全能成、高橋礼恵/小林十市、三浦浩一 

<料金>

東京グローブ座  S席\8500 A席\7000 当日学生割引\6000円(全席指定/税込)

<チケットに関するお問い合わせ>

東京公演/03- 3360- 0353 リリック  http://lyric-aki.com

地方公演/全国演劇鑑賞団体

                             【文/榊原和子】

 

 

 


『赤い靴』公演 稽古場ルポvol.1 映美くららインタビュー

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映画監督として活躍し、また演劇の世界では引く手あまたな映像プランナーとして活躍する奥秀太郎が、脚本、演出、映像を手掛ける舞台『赤い靴』が2010年1月9日、10日に、東京芸術劇場で上演される。
彼にとっては、07年の『黒猫』に続く2本目の演劇作品で、映像作家ならではの視点を生かした独自のビジュアルを駆使し、幻想的かつ立体的な演劇空間作りに意欲的に取り組んでいる。

今回のモチーフになっているのは、実話に基づくとされる野口雨情作詞の童謡『赤い靴』と、アンデルセン童話の『赤い靴』。この二つの『赤い靴』が奥の解釈のもとで、ミックスされるという。
異人さんに連れられていってしまう少女。
赤い靴を履いたがために踊り続け、最後は両足首を切断されてしまう踊り子。
どちらも切なさ、哀しさ、痛みが漂う題材であるが、この二つがリンクしたとき立ち上がる世界は、まさに奥ワールドそのもの。現代的なテーマと幻想的なビジュアルが浮かび上がる舞台になりそうである。

キャストは、宝塚歌劇団月組でトップ娘役をつとめた映美くららが主人公のキミを演じ、その他に、大人計画などにも出演している岸建太朗や、元ハイレグ・ジーザスの女優リン・ホブデイ、映像で活躍する鈴木雄大、中本昂佑など、奥作品に馴染み深い出演者が集まった。

その稽古場のようすと、ヒロイン役の映美くらら、また奥秀太郎にインタビュー。作品に対する意気込みや、それぞれの近況を語ってもらった。

 

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【映美くららインタビュー】

ーー台本を読んだときの印象はいかがでした?

最初から奥秀太郎さんの世界だなというのをすごく感じて、正直いって「これは大変!!(笑)」って思いました。でもその深い世界を理解したいなと。この世界に入っていきたいと。
キミという人物は、私に伝わる部分もあって、最初に読んだときちょっと胸にせまるものがあったんです。とても哀しい感じというか。少しわかりました。今回は物語そのものも、取り残されてる感じがするんです、レトロというか。そういう面も含めて、人によって、いろんな見方ができるんじゃないかなと思っています。

ーー奥作品らしく幻想的な場面が多そうですね?

そうですね、過去のトラウマが出てきたりしますから。キミという女性は生きているだけで悲劇を招いてしまう。それは幼い時の過去とか、そういうものが根底にあるからなんです。そこをちゃんと描いていきたいと思ってます。それからキミの中に、狂気というか怖い部分もあって、思いが強いというか。まず私がキミと1つになりたいと思って、今、その作業を丁寧にやっているところです。
でも世の中の闇とか、暗い部分がお芝居の中で出てきますが、その中で、誰よりもひたむきに生きているのもキミなんです。

ーー奥作品や彼の演出についてはどうですか?

監督の独特の世界ですから、考えるよりも、まずゆだねてみよう、この世界に乗ってしまおうと思っています。いい意味でポーンと飛ぶことも大事なのかなと。レトロで遠い世界かと思うと、こちらに突きつけられるようなところもあって、現代ならではの問題点も出てくるので、見てる人たちにふと共通する痛みがあるのではと思います。

ーー女優としては、映像などを含めがんばってらっしゃいますが、宝塚を卒業してからだいぶ経ちますね。DSCF1301

まる4年、5年目に突入しました。やりたかった映像の仕事を、ちょっとずつやらせてもらえるようになって、そこで得るものが大きいですね。例えば集中力とかもそうなんですが、瞬間的に集中力を作っていく瞬発力がいる。最初は、それがうまくわからなかったんですが、最近その感覚を体感した時があって、それは舞台でも生かせると思っています。

ーー女優という仕事は身についてきましたか?

よく分からないけれど、皆さんにそう感じてもらえるようになったらいいです。現場でいろいろな役者さんや監督さんにお会いして、それぞれの価値観とか、取り組み方を間近に見て、話を聞いて、思いをキャッチして、自分も思いを投げて。とても刺激的です。

ーー宝塚の娘役から女優さんになるためには、それなりの段階が必要でしたか?

宝塚はやはり浮世離れした役を演じていましたし、とくに娘役は、生身の女性とは違う理想とか夢の女性を演じるわけですから、やはり今とは全然違うものでした。「リアルな女性とは?」といつも思っていて、自分もリアルな女性なのに…。でもまだ模索中です(笑)。だから、今、普通の日常こそ大事にしています。

ーー女優業は将来もずっと続けたいですか?

もし機会をいただけるのであれば。楽しいんです。終わりがない苦しさはあるんですけど、でも、それも含めて、求め続けるのをやめられないというか。これしかないんです。大袈裟ですけど(笑)、興味を示せるものがこれしかない、から。
表現ということが、まだ思うようにできないもどかしさはあるんですが、もっと自由にその世界で生きられたらって思ってます。それには、人としての日常とか、生活とか経験とか、友達とか家族とか恋愛とか。いろんな出来事に触れていたい。
嫌なことも、楽しいことも、全部たまっていくけど、でもそれがないと人に何かを与えられないと。

DSCF1298ーー役者はすべての経験がムダにならないと言いますからね。

私は、周りの人々に恵まれ、役者の友達だとか、仲間や事務所やマネージャーさん、監督、演出家、多くの方たちに出逢い、自分では気づかなかったところに気づかせてもらえ、それがあって今があると思っています。
でも、これからはそれだけじゃなくて、気がついたら自分がみんなを巻き込む存在に、と最近思うようになりました。
だからプライベートも仕事も、ありのまま楽しんで、ドキドキしていたいと、思っているところなんです。

(稽古場ルポと奥秀太郎インタビューは1/4掲載予定)

『赤い靴』

●10/1/9〜10◎東京芸術劇場 小ホール

脚本・演出◇奥秀太郎

出演◇映美くらら、岸健太朗、鈴木雄大、中本昂佑、リン・ホフディ  他

<料金>東京芸術劇場/¥4500

<お問合せ>オフステージ/03-5790-9719 offstage.ticket@gmail.com                   

  赤い靴 www.okushutaro.com

 

【取材/榊原和子 文/岩見那津子】


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