稽古場見学、記者発表、インタビューなどから、近々公開される作品のおもしろさを探ります。

浪漫活劇譚『艶漢』第二夜

神尾佑・吉田智則『飛龍伝』インタビュー


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吉田智則 神尾佑

つかこうへいの名作中の名作ともいうべき「飛龍伝」シリーズを3作上演する『ALL THAT 飛龍伝』が6月1日からいよいよ開幕する。

昨年の7月に亡くなった劇作家つかこうへいの最後の教え子たちである「北区つかこうへい劇団」。その解散公演となる『前進か死か』の第2弾にあたるのが、この「飛龍伝」シリーズ。

6月1日〜5日までが『初級革命講座 飛龍伝80』、そして7日〜9日『飛龍伝90』、10日〜12日『飛龍伝2000』という形で次々に上演していくことになっている。

そのスタートを飾る『初級革命講座 飛龍伝80』は、のちに大ヒットした『飛龍伝90』の原点となった戯曲であり、つか世界ならではの屈折した愛憎が、ひときわ色濃くエネルギッシュに描かれている作品だ。

そんな注目作に取り組むのは、北区つかこうへい劇団の1期生と2期生の神尾佑と吉田智則。

元学生運動家と機動隊という体制を異にする2人の男が対峙する物語に正面から取り組む2人に、
熱気あふれる稽古場で話を聞いた。


【つかさんの口調が聞こえてくる】
 

ーー最初にこの戯曲と向き合った時にどんなことを感じました?
 

神尾 読んだだけではやはり分かりにくい、難解な、まるで別役実さんを読んでるような不条理な感じがしたんですが、覚えてやっていくうちに、実はものすごく構造的にはシンプルだなと。間にいろんなものが入ってるから一見複雑に見えますが、本当は1人の男と男が向き合おうとしている、とてもシンプルな話だと思います。
 

ーー立場的に真逆な2人ですが、実は心情は分かリ合えるというような?
 

神尾 そうですね。つかさんの独特の人間の描き方で抱えているものを隠しながらわざとぶつかっていくし、相対する場所にいて違う方向を見ているようで、実は求めているところは同じだったりする。すごく矛盾するものを抱えながら自分自身も葛藤しているし、相手とも葛藤する。そういうところが非常に面白い、人間の愛憎劇だと思います。
 

ーー『飛龍伝』シリーズの原点でもある作品ですから、つか戯曲ならではのレトリックとかロジックなどもダイレクトに出ているのでは?
 

神尾 確かにつかさんのアイデンティティというか、哲学が色濃く出ている作品になってます。いたるところに、あのつかさん独特の口調が聞こえてくるような。やってて懐かしいし、楽しくて、その世界をいかに生々しく再現できるかと思いながら稽古しているところです。
 

ーー共演者は元学生運動家の熊田が吉田智則さんと、ヒロイン役の渋谷亜希さんですね。
 

神尾 渋谷さんは熊田の嫁とか、僕が演じる機動隊員の山崎が思いを寄せる小夜子とか、三役やってます。基本的には舞台上に1人か2人しかいない芝居ですから、出ている間は喋り続けるというたいへんハードな構造です。
 

ーー今まで出たなかでもいちばんセリフが多い作品では?
 

神尾 そうですね(笑)。『熱海殺人事件』も多かったんですけど、あちらはだいたい4人で出ていましたから。これは2人での濃い感じがずっと続きます。そういえば昔はこういうものをよくやっていたなと、ちょっと懐かしいです。
 

ーー1期下の吉田さんとはよく絡んでいたのですか?
 

神尾 ここまで絡むのは劇団の最初あたりにあったくらいで、意外と少なかったですね。
 

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【迷子にならないように読み解いていく】
 

ーーつかさんの稽古は、戯曲を覚えても口だてで毎日変わっていくわけですから、今回のように戯曲から直接というのは珍しいですね。
 

神尾 つかさんの戯曲を丸ごと覚えて、そのままやるというのは僕も初めてです。
 

ーーそのほうが役者さんとしては、やりやすいのでは?
 

神尾 いや、つかさんの言葉は覚えにくいんです。口だてでその場で付けられているので、普通に文章で書いていったらこう行くはずなのにこっちに行くみたいな感じで、文脈がおかしかったりするので覚えにくい。だから稽古しているなかで、いわば後付けになりますが、分析していかないと覚えられないし喋れないんです。このセリフはこういうことがあるから、ここでこいつに振ってるんだとか。
 

ーーそういうセリフに感情をのせていくには、自分なりに読み直す作業が必要なのでしょうね。
 

神尾 まさにそういうことをしています。こういうふうに書いてあるけど、本当はこういうことを言いたいんじゃなくて別のことを言ってる、というような独特の表現方法なので、迷子にならないようにちゃんと読み解いていく。そういうことを稽古場でやってます。
 

ーー迷子にならないためには何が大事なんでしょうか?
 

神尾 それぞれの役に対してつかさんがどういう思いで書いたのか、つかさんの哲学というのをちゃんと考えていくことですね。それがないと深く入り込んでいけないと思ってます。
 

ーー今また、つかさんと向き合っている、みたいな感じなのでは?
 

神尾 原点に立ち返ってます。
 

ーー今だから実感するつかさんの凄さというのは?
 

神尾 僕は20代のときにつかさんに鍛えられて、劇団をやめて外に出て10年になりますが、今いちばん思うのは「つかさんが言ってたことって間違ってなかったな」と。つかさんはよく「品性」とか「恥」という言葉を口にして、「こういう芝居は下衆だ」とか、人間性が芝居には出てきてしまうとか。だから、どういうふうに生きてるかというのが大切で、意地汚く目立とうとか人を押しのけてでも前に出ようとか、そういう品のないことだけはするなと言ってました。今、それは間違ってなかったなと。そういうふうだと出遅れたりもするんですよね。でも長い目で見たら、そう生きたほうがいいんだなというのが、よくわかってきました。
 

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【つかさんの前ではいつも見抜かれている】
 

ーーここから吉田智則さんが話に加わってくれますが、吉田さんは『飛龍伝』にどんな思いがありますか?
 

吉田 まずつかさんの作品をやれることが嬉しくて。それで神尾さんと組めるなんて、次にいつあるかわからないので、ここで精一杯のことを、やり残したことにないようにやりたいです。
 

ーーつかさんについて、忘れられないことは?
 

吉田 僕は運転手とか付き人みたいなこともやってて、そばに密着してましたし、年齢的にも親に近いような感覚でした。そこで人間としても芝居でも、言葉ではなく教わってきた気がします。つかさんの見せる姿のなかから、芝居にかける思いみたいなものも吸収したし、そういう意味では演劇の父親であり私生活の判断基準でありという存在でした。
 

ーー優しさと同時に恐い部分もあったのでは?
 

神尾 その人のいちばん核に入って来るというか、つかさんの前で芝居してるといつも見抜かれてるって思いますし、「できねえのか」と言われると人間として落ち込みましたね(笑)。でもそうやって鍛えられただけに、今はどんなことがあっても強くいられますし、どんな現場に行っても怖くないです。
 

ーーつかさんの前では捨て身にならざるを得ない?
 

神尾 まさにそうです。

吉田 ぜんぶ剥ぎ取られますからね、つかさんの前では。
 

ーー今回は、そのつか劇団の解散公演ということ、そして代表的な作品を演じることで、ひときわ注目が集まっていますが、プレッシャーは?
 

神尾 自分がちゃんとやれるかというプレッシャーが強くて、どうみられるかというのはあまり意識してないんです。北区つかこうへい劇団については力のある人たちがいるので、僕が先頭きって世の中に出ていかなくてはいけないという気持ちがありますし、それがつかさんに対する恩返しでもあるので、「つかこうへいが育てた人間は間違いない」と思ってもらえるようにがんばりたいなと。でもまずはこの舞台をしっかりやり抜くことだと思います。食べて、寝て。体力がいる芝居ですから。

吉田 本当に体力勝負です。これをちゃんとやりきれたら大きな財産になると思いますから、がんばります。


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★☆北区つかこうへい劇団 解散公演「前進か死か」第二弾『ALL THAT 飛龍伝』
 

作◇つかこうへい

演出◇★☆北区つかこうへい劇団

出演◇

『初級革命講座 飛龍伝80』神尾佑、吉田智則、渋谷亜希 他

『飛龍伝90'】高野 愛、小川智之、北田理道、渡辺 昇 他

【飛龍伝2000】船越ミユキ、逸見輝羊、川畑博稔、時津真人 他

●6/1〜12◎紀伊國屋サザンシアター

〈料金〉3500円


★☆北区つかこうへい劇団 解散公演「前進か死か」
第三弾『売春捜査官』『ロマンス』『蒲田行進曲』
 

作◇つかこうへい

演出◇★☆北区つかこうへい劇団

出演◇

『売春捜査官』那須野恵、とめ貴志、松本有樹純、蟹田光国

『ロマンス』杉山圭一、伊澤 玲、南野真一郎、久保田 創、高畠麻奈 他

『蒲田行進曲』武田義晴、相良長仁、木下智恵、岩崎雄一、吉田 学 他

●6/22〜7/3◎滝野川会館大ホール

〈料金〉2000円


〈問合せ〉★☆北区つかこうへい劇団 03-5924-1126



【取材・文/榊原和子】









伊東四朗、三宅裕司の合同公演に真矢みきが参加!『こんにちは 赤ちゃん』

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東京の笑いの真髄を追求するために、第一線の喜劇人が集結した公演『こんにちは 赤ちゃん』が、5月27日から赤坂ACTシアターで幕を開けた。

 

この公演は「三宅裕司生誕60周年記念 伊東四朗一座・熱海五郎一座合同公演」というタイトル通り、5月3日に生誕60年を迎えた三宅裕司を祝う意味と同時に、伊東率いる「伊東四朗一座」と三宅率いる「熱海五郎一座」の2年ぶりの合同公演になる。
 

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2004年に「正統派の喜劇“軽演劇”の灯を消すな」という思いで、伊東を中心に三宅、ラサール石井、小宮孝泰、小倉久寛、東貴博といった喜劇人たちで旗揚げした「伊東四朗一座」。

初演の成功を受けて、2005年の再演では渡辺正行と春風亭昇太という強力な新メンバーが加わった。
 

2006年、伊東が参加できないとき、三宅が「伊東ならぬ熱海」、「四朗ならぬ五郎」というネーミングで「熱海五郎一座」を旗揚げ。

ゲストに辺見えみり、タカアンドトシ、南原清隆らを迎えるという豪華さで大人気を博す。

その後も戸田恵子、小林幸子、水野真紀などを迎えて、両一座は毎年公演を重ね、これまでに延べ9万人以上を動員、この公演で10万人を突破する予定という人気公演となっている。

今回は、2009年に続いて、両一座の合同公演という大きなイベントになり、ゲストには真矢みきを招いた。
 

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初日の前日の舞台稽古で公開されたのは2つのシーン。
 

経営不振のユートピアランドを盛り上げたい勅使河原(小宮)、アイドル事務所社長の南川(渡辺)、アイドルのスポンサーの爆天の二谷(ラサール)、3人がアイドルUFO連れ去り事件を仕込むために顔を合わせる。

初対面のはずがなぜか懐かしく、いきなりコントが始まると、その間のよさにお互いにびっくり!というシーンが展開。久しぶりに顔を揃えた「コント赤信号」の渡辺・小宮・ラサールで笑いを取る。
 

もう1場面は、課長(伊東)の奥さんで観覧車係の君代(真矢)がバトントワリングの練習をしているシーンから始まり、そこでまた連れ去り事件の打ち合わせをしていると、ちょっと天然な君代が絡み、さらに不穏な噂を聞きつけてやってきた刑事コンビ(小倉・東)が絡んで、シリアスな聞き込みがいつの間にかコント合戦になっていく。
 

ベタなのに笑わされてしまう「軽演劇」ならではの定番の笑いを、絶妙の間で展開していくベテラン喜劇人たち。ほのぼのとした笑いとシュールなボケとでもいったナンセンス・コメディがたたみ掛けるように炸裂する。 

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そんな笑いに溢れた公開稽古のあと、出演者の囲みインタビューが行なわれた。

【囲みインタビュー】

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ーーまず今回の公演とゲストの真矢さんについて。
 

伊東「2年ぶりで早いかなとも思ったけど、そろそろいいかなと。劇場を決めて大きな芝居を作るという時点で、今をときめく人をよぼうというので真矢さんになったわけです」

三宅「伊東さんが僕の還暦を祝ってくださる、というので合同公演になりました。大きな劇場ですし、歌、ダンス、芝居、そして何よりコメディが好きな人として選びました。真矢さんは誰よりも“笑わすぞパワー”がみなぎっております。ご覧になったとおり“ボケみき”さんになりきってます(笑)」

真矢「今回出していただけて光栄です。公演は客席でいつも観せていただいていたので、今日、こういうふうに初日を迎えられて嬉しいのですが、観客側で観れないのが複雑というか残念です」

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ーー見どころは?
 

渡辺「すべてです」

三宅「バランスよく見せ場があります。あと赤信号ね」

渡辺「三人が揃うのは久しぶりで、これが最後です(笑)」

ラサール「私は60%は渡辺さんへの突っ込みです。みんなすごく自由にやってるので負けないようにしないと」

小宮「私は出ずっぱりで喋っているんですが大事な内容なのではずさないように」

小倉「えー、役は(みんなに「もっと前に出て。見えないから」と突っ込まれる。)アイドル連れ去り事件を解き明かしていく敏腕刑事です(笑)。ちょっとくだけている役なんですがグズグズになりすぎてはいけないと(笑)。どこを見ても楽しい舞台ですが、とくに楽屋が楽しいですね(笑)。伊東さんまで一緒で」

伊東「まで?」

小倉「いや、もっと構えててもいい方なのにという意味です(笑)」

昇太「ふだん1人で喋ってるんですが舞台でもほぼ1人で喋っております(笑)。今回も皆さんとご一緒できるのが楽しみです」

孝明「遊園地からなかなか帰れないカップルです」

河本「渡辺リーダーの自由さを見習いたいです」

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ーー楽屋が楽しいというのをもう少し詳しく。
 

渡辺「男性陣ばかりの楽屋で、前回はラサール石井のプラモデル作りで接着剤が臭かったことを思い出しました」

昇太「私はお茶がかりで、前座に戻ってます」

三宅「うるさいんですよ、お茶に。出身地の美味しい静岡茶を入れてくれるんですが」
 

ーー真矢さんはバトントワリングはもともと得意とか?
 

真矢「中学で部活でやってました。7人いたのが最後は4人になって、私が一応部長で、ピンクレディの振りとかつけてやってました。この公演にはいろいろな年代のこんなに自由な大人の方がいて、日本の平和をすごく感じます。ずっと一緒にいたいというか初日が始まるのが寂しいくらいです(笑)」

伊東「僕らは夫婦役で」

真矢「嬉しいです。コメディで新しい私を見つけたいです」

伊東「お芝居で多少の不満があっても、最後のショーで取り返します」

三宅「芝居に不満があるはずがないです! 笑い、ストーリー、音楽、全部いいし、皆の出番も均等になっててすごくうまくいってる。大笑いして最後に気持ちいいという舞台です」

伊東「こんな贅沢なお金の使い方するのか、東京の粋な笑いはこういうものかとわかっていただけると思うし、舞台上で誰も傷つけずに笑ってお帰りになっていただけると思います」
 

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三宅裕司生誕60周年記念 伊東四朗一座・熱海五郎一座合同公演

『こんにちは 赤ちゃん』

作◇妹尾匡夫

演出・出演◇伊東四朗、三宅裕司

出演◇渡辺正行、ラサール石井、小宮孝康、小倉久寛、春風亭昇太、東貴博、伊東孝明、河本千明/真矢みき 他

●5/27〜6/12◎赤坂ACTシアター

〈料金〉S席10500円 A席8400円

〈問合せ〉チケットスペース 03-3234-9999



【取材・文/榊原和子 撮影/冨田実布】

 

ニコミュー『カンタレラ』が8月に上演。

カンタレラキービジュアル

08年2月に【黒うさP】によってニコニコ動画に投稿された、ボーカロイドソフトのKAITOが歌い上げる人気楽曲、「カンタレラ」。そのドラマティックな世界観は大反響を呼び、2011年5月現在、約157万回以上の再生数を誇っている。

その楽曲「カンタレラ」を原案としたミュージカルが『カンタレラ』が、リアルとネットで同時に観られるニコニコミュージカルの8月公演として上演される。

 

「ニコニコから名作を!」という気概のもと、ニコニコ動画のユーザー、いわゆる“ニコニコの民”の英知を結集して、長く再演されるような作品を創り上げるために、
原案協力には約177万回再生を誇る『サンドリヨン』の作者である Dios/シグナルP、
そして約178万回再生を誇る『パラジクロロベンゼン』の作者であるオワタP\(^o^)/も名を連ねている。
 

演出は、ミュージカル『テニスの王子様』をはじめとする人気作品を手がける上島雪夫。
出演者にはミュージカル『テニスの王子様』や『テンペスト』など、舞台での活躍がめざましく、テレビや映画にも活躍の場を広げる兼崎健太郎。
そして、ニコニコ動画の【歌ってみた】 のカテゴリで活躍する人気ユーザーの少年T、弟の姉、こまんも出演する。




ニコニコミュージカル

『カンタレラ』 

演出◇上島雪夫 

原案◇「カンタレラ」黒うさP 

原案協力◇「サンドリヨン」Dios/シグナルP、「パラジクロロベンゼン」オワタP\(^o^)/ 

原作・脚本◇ドワンゴ 

出演◇兼崎健太郎、少年T、弟の姉、こまん/渡辺大輔(友情出演) 他 

●8/3〜7◎全労済ホール スペース・ゼロ 

(C)Crypton Future Media, Inc.www.crypton.net


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