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『キャバレー』制作発表(9月14日)

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 ヒット・ミュージカル『キャバレー』が、藤原紀香主演で2010年の1月、日生劇場で上演されることが決まった。演出は宝塚歌劇や東宝ミュージカルで、次々に優れた舞台を作り出している小池修一郎、共演には諸星和己や阿部力など新鮮な顔ぶれが揃った。

『キャバレー』の初演は1966年のブロードウェイ、それ以後世界中で上演され、1972年には映画にもなっている。映画ではライザ・ミネリが演じたショーガールのサリー役に、今回挑戦するのは藤原紀香。今年1月に、同じ日生劇場『ドロウジー・シャペロン』でミュージカルデビューを果たし、2度目のミュージカル出演となる。

物語の背景になるのは1920年代のベルリン。ナチズム台頭の兆しが人々の心を不安にさせるなかで、退廃と享楽が渦巻くキャバレー「キット・カット・クラブ」を舞台に、ショーガールであるサリーと売れないアメリカ人作家の恋物語や、その周辺で生きる人々の姿を描いている。

DSCF0155この日の制作発表は麻布十番のクラブで行われ、「キット・カット・クラブ」を模した舞台上に、まずMCの諸星和己が現れ「キット・カット・クラブへようこそ!」という有名なセリフでショーの幕をあげる。サリー役の紀香はピンクのファーと大胆なスリット入りドレスで登場、主題歌の「キャバレー」を熱唱した。

その後、演出家の小池修一郎、共演の諸星和己、阿部力も加わり、記者とのやりとりが始まる。

小池「初演時のアメリカは公民権運動の時代で、社会的な関心が強く、この作品のナチスの問題ともリンクしやすかった。今の2010年の日本でどう受け止めてもらえるか、そこを考えて演出したい。何度も上演されている理由はエンターテインメントとして一級品だから。その部分と時代性とをうまく取り入れていければと思っています。紀香さんは『ドロウジー・シャペロン』で声が出るのを知ってるので、これでまた本格派のミュージカル女優への道が拓けるのではないでしょうか。諸星さんは以前観た作品で彼とは知らずに“すごい表現ができる役者だな、誰だろう”と思って観ていて、びっくりしたことを覚えてます。『キャバレー』という作品についても詳しく、その彼のMC役は非常に期待してます。阿部さんはこまつ座の公演を観て、芝居ができる人だと知っていたけど、オーディションで歌えることもわかったので楽しみです」

DSCF0164藤原「世界的に有名なこのミュージカルで、サリーをさせていただけることはとても光栄だし嬉しいです。ミュージカルは2度目ですが、今回はとくに夢のような舞台ですから、視覚も聴覚もプルプルふるわせながらいい舞台にしたいと思います。最初の舞台出演で学んだことは、毎日いかにベストコンディションを保つかで、そのメンテナンスはたいへんだなと。日々最大の力を出して乗り切っていく毎日に、いろいろな意味ですごく強くなりました。サリーはショーガール、そういう役はやりたかったのですが、でも歌姫なので、その点でもみなさんが満足していただけるように精一杯勉強しながらでがんばりたいし、役としても感情の部分などで、すごく深いものを感じながらできればと思っています」

阿部「ミュージカルはずっとやりたかったのですが、まさかこんな有名な作品に出られるとは思ってなくて。先ほど皆さんお会いしてまたいい意味で緊張してますが、僕たちの作った新しい『キャバレー』になればいいなと思っています。歌は役者になる前は歌の仕事をしたいと思っていたんですが、いつの間にか芝居のほうに進んでにいて、でも歌を忘れてはいなかったので、今回をきっかけに、自分でもうまいへたではなく好きだからとことん勉強したいと思ってます。あまりナンバーは多くないのですが丁寧に歌いたい」

諸星「ニューヨーク公演のアラン・カミングのMCを観て衝撃を受けました。すぐにオーディションを受けに行ったんですが、グリーンカードがないから当たり前で、落ちました(笑)。作品の内容だけでなくその時の客席との一体感とか、全てが強烈で、僕に演劇への新しい発見をさせてくれた思い出があります。もう会えないかと思っていただけに、今回MC役をやれることは本当に嬉しい。MCは大事な役どころですから、毎日がライブだと思って頑張りたい。悩みのない毎日を作ります(笑)」

最後に小池修一郎が再びコメント。

DSCF0152「作られた当時も今も世の中の争いごとはなくなってないし、そういうことへの深いテーマがこの作品にはあるのですが、でも今回はそれを露骨に出すことなく、面白いエンターテインメントとして観ていただきたいし、ミュージカルらしい楽しさを見せていきたい。もう何回も日本でも上演されていて、手垢のついたものになりかねないけど、そこでいかに新鮮さを出すかでしょうね。たぶん多くの人は、紀香さんのサリー・ボウルズが観たいんだと思いますが、サリーという女性はある意味では女性の積極性を持っている。2010年の女性たちの共感を得られるんじゃないかと思ってます。男性のかたは阿部さんのクリフがサリーに襲われるではないけど(笑)、それに近いシーンもありますので、そういうところに好奇心を持っていただくことからでもいいので観にきてください。そこからこの『キャバレー』に託されたテーマを、最後に受け止めていただければいいので」

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ブロードウェイ・ミュージカル『キャバレー』

2010/01/7〜29◎日生劇場

2010/2/5〜7◎梅田芸術劇場メインホール

2010/2/12〜14◎ 愛知勤労会館

2010/2/20〜21◎北九州芸術劇場大ホール

 

修辞・訳詞・演出◇小池修一郎

出演◇藤原紀香 諸星和己 阿部力 高嶺ふぶき 戸井勝海 杜けあき 木場勝己 他

 

<料金>

日生劇場/S席¥12600 A席¥8400 B席¥4200
     キャバレーシート¥30000(ペア/プログラム1冊付)

梅田芸術劇場/S席¥12000 A席¥8000 B席¥4000

<チケットに関するお問い合わせ>

東京公演/ホリプロチケットセンター03-3490-4949          http://hpot.jp

大坂公演/梅田芸術劇場 06-6377-3800

愛知/キョードー東海 052-972-7466

北九州/北九州芸術劇場 093-562-2655                                                               【取材・文/榊原和子】

 

『真田風雲禄』制作発表 vol.2 (蜷川コメント) 

DSCF0086 蜷川幸雄&福田善之コメント



【安保なんて知らなくても】

ーーこれは60年安保闘争の頃の話ですが、それが今の時代にどう受け止められるか、また作るうえでの仕掛けは?

蜷川「60年代に限定して見る必要はないと思います。ただテレビなどを見てても、多くの番組は芸人たちがクイズに答えて、笑って食べてというものばかり。そんな文化の中で、もう少し考えることを恥ずかしがらなくてもいいじゃないかと。いま稽古してる『コースト・オブ・ユートピア』も、出てくる人間たちが何を思って生きてきたのか、それを考えてほしいということです。小さな劇場にしたのは小さなウソでも観客は見抜く。それを役者には知ってほしい。また逆に同じ世界を共有しやすい。そういうところで演技中心の芝居を作りたい。一応退屈してもいけないのでビジュアルは重視すると思います」

福田「僕は安保を書いたつもりではないんです。書きたいものが時代と素直に混ぜ込ぜになっただけです。それでいろいろ認めていただいたりもしましたが。この作品はそのあともぽつんぽつんと上演してるんです。でもある時期まで「こんな芝居はヤダわ」というお客さんの空気で始まる前に硬直していたんです。ただその空気が最初のセリフの「誰が好きなんだ、お霧さん」というのでフッと緩むんです。「あ、いつものお芝居なんだ」という空気になる。それは杉村春子さんが新しい『櫻の園』をやったときも、後半の江守徹のセリフで「あら文学座なんだわ」という空気が流れた。お客さんのほうが変わるんです。そして、ある時期からは安保なんて知らないから、やるほうの学生が非常に素直に受け止めて、お客さんも素直に受け止めてくれるようになった。その時期は今でも続いてると思います」

ーー今回の応募の中から選ぶにあたっては?

蜷川「似たような俳優が今のテレビでは出てくるけど、ここではもう少しノイズの多い顔にしたいと。ゴールドシアターはノイズばっかりだけど(笑)。若者たちに、いま情報に流布されているような顔ではなく、もう少しノイズがあっていいんだと言いたい。均一化された俳優ではなくて、少し悪そうだなというのも入れたし、もちろん二枚目も入ってますが、比較的個性的な美しい人ばかりではないのを集めました。(若者たちを振り返って)ざまあみろ(笑)」

DSCF0097【生身の他者を必要とするのが演劇】

ーーネクストは80年代以降生まれの人たちばかりですが、身体性と精神性の問題点は?それをどう変えようと。

蜷川「いま時代劇の所作とか日本舞踊とか殺陣とかしてるけど、それはすごく一生懸命なんです。でもすぐそばで『コ−スト〜』の稽古してるんだけど、自分たちと近い世代でもう少しマスコミなんかで活躍してる俳優が、そこでどんな稽古してるかというところを素通りして行っちゃう。バカだなと思う。これから何年間か何か月かを、ここで共有しなくてはいけない人たちが通路のすぐ向こう側にいるのに、帰っちゃう。それについてはがっかりしてる。こいつらには他人の生き方や、いろんなものが同時に進んでいることへの“共有したい”というのがない。関心がない。つまり道を歩いているときにぶつかりそうになる人に配慮がないし、自転車でぶつかりそうになっても配慮がないんだ。でもそれは間違いなく時代を象徴してるわけで、インターネットにしろパソコンにしろケイタイにしろ、機械は他者と間接的でも成り立つからね。でも演劇はそうはいかない。

そういうやつらに対して、僕は絶望したらやめりゃいいんだと思う。生身の他者を必要とすることに直面できなければ演劇なんかできないんだから。でも、そういうやつらから新しい時代の感性を持った俳優が生まれる可能性もある。だから僕としては、慎重に大切にその時代を象徴しうる身体、精神というものは残しながら、でも他者への関心がなかったら演劇は成り立たないから、その2つを共存させること、あるいはその方法を、どうやって発見していくのかが僕の任務だと思ってます。

若いやつらには不満はものすごくあるんだ。アルバイトのほうが職業になってる。もちろんエリートでないと演劇できないなんてのは馬鹿げてる。でもどこかで、自分の時間をあるいは経済的なリスクを負わないと何かを得られないというのも確かなんだ。この矛盾をこの若者たちはどう解決していくか、これはもう見応えのあるドラマだね。

彼らはこれからどうなるんだろうね。『コースト〜』を通過したお前の時間はどうなんだと、同じ世代の人間が稽古場で苦労している、それを通過したお前の時間はどうなんだと。それはこれからの稽古でビシバシやって立証させてやる。お前が失った時間はどうなんだと、何人落伍者が出るか見ものだね(笑)」

DSCF0088【欲望を持った言葉を語るために】

ーーゴールドでは本公演までにプロセス公演が行われたが、ネクストでは?

蜷川「初めにカリキュラムを用意するとこいつらは、この人たちは(笑)こなすわけだよ。じゃ、なぜ発声が必要なのか、なぜ身体的な動きが必要なのかということで、これからそれを身に沁みて発見していくわけだ。なぜ「い・え・あ・お・う」は成立するのに、欲望を持って語る言葉はきちっと言えないのか。あるいは、どういうふうにしてそれを作っていくのか、これからできあがるわけです。そこからまた日常的な課題というものに立ち戻ることが必要になってくる。だから昔と逆なんですね。昔は発声の前に言葉がちゃんと身体にあったんだよ。

それに外国と日本の違いもあるね。だから日本的であるということも併せて考えながら、若者をオルガナイズしていきます。もちろん僕も自分を絶対だと思ってませんから、修正したり、自分を問うための反対側の軸として若者を置いてるというのもあるから、その相互作用が出てくるといいなと思ってます。それだけエネルギーがあるじじいであればいいなと思ってる。やらしてみて出来なかったら、あそこを素通りしたことをバカだと言ってやる。バカは長生きしないんだよ。バカが生き残ることはないんです、この世界は」

ーーゴールドとネクストの向き合い方は違いますか?

蜷川「ゴールドは高齢だけど、決して笠智衆ではなく原節子でもなく、僕が40人いるんだから迷惑な話だよな(笑)。自己主張が絶えない。ゴツゴツしたジャガイモがザルの中に入ってる。でも正しいことを言うとすぐに聞いてくれる、その代わりすぐにはできないから、なかなか煮えない新ジャガかな。ネクストの若者たちはこれまで優れた指導者に出会ってないという気がする。その個性を消さないまま、もっともっと違う世界があるという関心を持つともっとよくなる。

怒っちゃダメなのか寄り添うべきか、まだ性格がわからないのをそれぞれ見ながらだから、ものすごく手間暇かかるんだ。その人固有の感性とか生き方を見極めながらダメだしして付き合っていくからね。結局は普遍性ではなく個別性しかないんじゃないかと思うし、個別性をもって接しながら、それを束ねながらで、こちらは疲れ果てます。僕から見たら1対44だからね(笑)。

この前、寺山さんの本を読ませたんだけど、つまんなかった。愚かしくつまんない。勉強してないからね。自分のたいしたことのない経験を絶対だと思ってるから、想像力がないんだ。いいのがいたら抜擢してやろうと思ったのに。他所にはいるからね、そういう役者が。おっこの役を若いヤツはこう捉えるんだと、僕の考えてるイメージと全然違う動きすれば面白いんだけどね。いまの若い人はこういうふうに考えてるんだと思わせてほしい。僕がいっぱいいてもしょうがないんだから」

DSCF0095【場だけは確保しておく】

ーーこれから彼らをどんなところまで育てようと思っているか。

蜷川「まず3年間を考えてます。ゴールドが3年目にすごく面白くなってきたんです。彼らでないと発見できないものが出てきた。このネクストから何人残るかわからないけど、この人たちの時代の固有の空気をちゃんと身体に宿して、なおかつ古典的なーー人間が普遍的に持続してる時間の中で学んだーーものを併せて演じきれる、そういう俳優が何人いるかだね。

最近の僕の関心は「俳優だ」と思っていて、いい俳優が育っていい俳優が戯曲をリードしていく、または逆に戯曲の言葉で俳優が前面に出てくる。どちらにしろ演出家はそこでアジテーターであり続ければいい。と同時に、このゴールドとネクストの2つの劇団を用意することで、若いスタッフ、演出家たちも育っていく。老害のようにはびこっている老人たちは、そういう若者たちの場所を、文化的に追いつめられている中で、少なくとも場所だけは確保しておいてやる。それは先行する世代の演劇人の大事な役割りだと思ってる。だから経済性だけでなくさまざまな問題を抱えながらも、若者の場だけは確保してやること。いずれ若い演出家、作家、スタッフたちが僕らに取って代わって出てくるまでは、それまではなんとか場所は確保しておいてやる。それが野心といえば野心です」

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さいたまネクスト・シアター 開館15周年記念公演

『真田風雲禄

●10/15〜11/1◎彩の国さいたま芸術劇場インサイドシアター(大ホール内)

作◇福田善之

音楽◇朝比奈尚行

演出◇蜷川幸雄

出演◇さいたまネクスト・シアター 横田栄司 原康義 山本道子 妹尾正文 沢竜二

<料金>¥3800

<お問合せ>彩の国さいたま芸術劇場 0570-064-939(10時〜19時)

                http://www.saf.or.jp

                                             【取材・文/榊原和子】

この公演のチケットを「えんぶ特選チケット」として、会員の方を対象に割引価格で販売しています。

http://www.enbu.co.jp/kick/shop/index.html

 

『真田風雲禄』制作発表 vol.1  

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【「カッコよく死にてぇ」が合言葉】

彩の国さいたま芸術劇場では、芸術監督である蜷川幸雄の演出で、10月15日から『真田風雲録』を上演するが、その製作発表が9月4日開催された。

この作品は戦国の武将、真田幸村と、それを取り巻く真田十勇士の活躍など描いた青春群像劇で、1962年、安保闘争の時代に、劇作家の福田善之が書き下ろしたもの。「カッコよく死にてぇ」を合言葉に、敗北を覚悟しながらも、大坂(現・大阪)での戦いに青春と命を燃やす若者たちの姿に、生きることの意味を問いかける問題作だ

【無名の44人】

今回この舞台のほとんどのキャストを占めるのは、無名の若手俳優44人で結成した劇団「さいたまネクスト・シアター」。全国からの応募総数1225人の中からオーディションで選ばれた44人で、平均年齢24.8歳という若い世代ばかり。

彩の国さいたま芸術劇場の劇団には、55歳以上の中高年者で結成した「さいたまゴールド・シアター」があり、2006年の創設以来、本公演3回を成功させている。その実績もあるだけに、今回の「さいたまネクスト・シアター」も、その成果が大いに期待できそうだ。

上演する劇場は、彩の国さいたま芸術劇場の大ホールの舞台上に作られる300席のインサイド・シアター。舞台と観客が一体化した密な空間で、蜷川演劇の醍醐味を身近に体験できる公演だ。

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【公共の劇団になるということは】

この日の会見も、大ホールの舞台上で行われた。

まずは出席者の挨拶がある。

財団法人埼玉県芸術文化振興財団の竹内理事長から、設立15年目の記念の年であること、2つの幅広い年代の劇団を持つことは世界でも珍しいということ、そしてこの「さいたまネクスト・シアター」が日本の演劇界に新しい風を巻き起こす存在になってほしいという希望が語られた。

続いて演出家の蜷川幸雄が挨拶する。

「ネクストシアターの構想は、ゴールドを作ったときから当たり前のようにあった。若い人たちと高齢者という2つの劇団は車の両輪です。東京の劇場が有名な売れている俳優たちに場を与えるとしたら、無名の人たちが表現の場を獲得できる、自由に表現できる場も必要ではないか。それをこの劇場なら可能にできる。彼らをどういう形で支援してもらうか、たとえば給料制にするか出来高にするかとか、経済的には難しい問題ではあるけれど、これからの活動で埼玉の市民が支援するのは当たり前だと思ったときに、支援してもらえばいいと思ってます。

ゴールドもそうです。初めは素人の集団が、岩松了さんが本を書いてくれて、この間はケラリーノ・サンドロヴィッチが書いてくれた。これこそ埼玉でしか出来ないことだし、既成の演劇とは違った演劇の幅を広げる作業だと思ってます。ゴールドはスタートからこの間の公演まで沢山メディアにも取り上げてもらえたし、一種の社会現象として支持されるまでになった。

今度のネクストも同じで、他の集団とは違う演劇上の価値を持ち、ユニークな主張を持ち、日本の文化の大事な財産になっているということで、初めて公共のものとして認められていく。ここにしかあり得ない劇団だということで初めて認められる。そういう存在になっていけばいいなと思ってます。

今回取り上げる作品は福田善之さんの仕事で、若い頃に出会って、日本で初めてブレヒト作品のようだという感覚を覚えた。我々は歴史の連続性を学んでもいいんじゃないか。ゴールドのためには若い作家が書く。ネクストのためには高齢の劇作家が作品を提供する。その交差で日本の演劇の欠けているところが埋められるのではないか。

福田さんもよく知ってると思うけど、むかし新演劇研究所というところがあって、下村正夫さんがやってらしたんですが、そこのプロではない役者がやった『どん底』とか素晴らしかった。のちに有名になる杉浦直樹とか内田良平とか、若くて無名で才能のある俳優がそこにはいた。そういう劇団になればいいと思ってる」

DSCF0097続いて作家の福田善之から挨拶がある。

「この作品は何回か桐朋大学でやってるんです。蜷川さんは実はそこの学長です。一度33期生が東京芸術劇場で公演するはずなのにいろいろあって校内でやったんですが、そのときに蜷川さんが学生たちにきめ細かに稽古してるのを見て感心しましたので、今回も文句なしにお受けしました。その33期生が今回のメンバーにもいるし、他にも教え子がたくさんいます。よろしくお願いいたします」

今回の音楽を担当する朝比奈尚行が作曲した「下克上のブルース」に合わせて44名が入場する。続いてゴールドシアターがゲストで登場して代表からエールが送られる。ネクストの44名とゴールドの42名とともに並んだ蜷川幸雄と福田善之へ、記者からの質疑応答が行われた。

vol.2に続く)

さいたまネクスト・シアター 開館15周年記念公演

『真田風雲禄

●10/15〜11/1◎彩の国さいたま芸術劇場インサイドシアター(大ホール内)

作◇福田善之

音楽◇朝比奈尚行

演出◇蜷川幸雄

出演◇さいたまネクスト・シアター 横田栄司 原康義 山本道子 妹尾正文 沢竜二

<料金>¥3800

<お問合せ>彩の国さいたま芸術劇場 0570-064-939(10時〜19時)

                http://www.saf.or.jp

                                             【取材・文/榊原和子】

この公演のチケットを「えんぶ特選チケット」として、会員の方を対象に割引価格で販売しています。

http://www.enbu.co.jp/kick/shop/index.html

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