稽古場見学、記者発表、インタビューなどから、近々公開される作品のおもしろさを探ります。

『ストリップ学園』

演じ手とともに新しくなった『身毒丸』


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白石加代子と藤原竜也で1997年に再演してから、98年、2002年、08年と公演を重ね、海外でも高く評価されてきた蜷川幸雄&寺山修司の『身毒丸』が、新しいキャストで演じられている。

継母の撫子は大竹しのぶ、身毒丸は8523人の中から選ばれたという19歳の矢野聖人。

この組み合わせが、名作世界をどう塗り替えるかというのが、今回の大きな見どころである。


物語のオープニングは定番かつ何度見ても衝撃的な、「闇に弾けるバーナーの花火」で幕を開ける。

うら寂しいような懐かしいような古い日本家屋と、街並が整えられて、物語が始まる。

身毒丸の家には父と小間使いしかいない。母さえいれば完璧な家になるのだと父は母を買いに行く。大勢の女たちの中に、もと女芸人だったという撫子がいた。身毒丸と撫子の目が合った瞬間、父親は彼女を母に選ぶ。女には拾った連れ子があり、父は「お父さん」「お母さん」、そして「子供」が2人も揃って大満足である。撫子は子を欲しがるが、年老いた父は必要ないと相手にしない。

4人は団欒の時間に家族合わせゲームをするが、身毒は自分が疎外されているのを感じる。継母との距離は縮まらず、反抗する身毒に撫子は折檻してしまう。家を飛び出した身毒は、地下へ通じる奇妙な「穴」を持つ仮面売りの男に出会う。亡き母を求め、死人が棲むと言われている地下世界へ降りて行った身毒だが、そこで撫子の思いがけない姿を見ることになる。

やがて身毒が出ていった家では、義弟が跡継ぎとなって一見円満な日々が送られているが……。


撫子の大竹しのぶは、奥様に納まりながら、息が詰まるような家庭で鬱積していく情念を感じさせ、そのあまり狂気を帯びていく姿は、「女」そのものである。身毒丸を呪って髪を振り乱し釘を打つ様が、己の妄執を打つようにも見えて哀れささえも感じさせる。

身毒丸の矢野聖人は少年と青年の狭間にある危うい色気があって、後半で「男」の部分が見えてくるところはこれまでにない身毒だと言っていいだろう。

父役の六平直政は昭和の父親像をがっちりと描き出している。小間使いの蘭妖子、仮面売りの石井愃一といったいつものキャスト、また見世物小屋の人々が描き出すまがまがしい世界は、寺山ならではの日常に潜む悪夢の世界だ。


今回のいちばん大きな変更点はラストで、そこには母と子の幸せな道行きはない。そのかわり男と女の情念の果てが昇華されて描き出される。その結末を導き出したのは、大竹しのぶという女優の持つ「欲望」の強さであり、矢野聖人だからこそのセクシュアリティと言ってもいいだろう。

そんな二人の特性が、「母」へのタブーが強い寺山修司より官能の岸田理生に傾かせたとも言えるし、さらに書き加えるなら、愛をもてあます大竹(母)とそれに戸惑う矢野(子)の現代性は、どこか今日的な風景や事件までつながっていく。

そういう意味でも、古典化しつつあった『身毒丸』を壊そうとする蜷川幸雄のエネルギーを感じる舞台である。


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『身毒丸』

作◇寺山修司/岸田理生

演出◇蜷川幸雄

出演大竹しのぶ、矢野聖人、六平直政、蘭妖子、石井愃一、中島来星・若林時英(wキャスト)他

●8/26〜9/6◎天王洲 銀河劇場

●9/10〜12◎梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ

●9/17〜18◎愛知芸術劇場大ホール

http://www.horipro.co.jp/usr/ticket/kouen.cgi?Detail=165


【文/榊原和子 撮影/渡部孝弘】


西川貴教主演で人気ミュージカルを上演。『ロック・オブ・エイジズ』

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現在もブロードウェイで大盛況公演中の話題作で、2012年にトム・クルーズ出演で映画化もされるという『ロック・オブ・エイジズ』が、この秋、日本に初上陸する!

この作品は、2006年ロサンゼルスでの初演を成功に収め、2009年3月ブロードウェイに登場すると同時に大きな話題を集め、同年のトニー賞では作品賞を含む5部門にノミネートされている。
 

日本版の上演も豪華キャスト。キーマンのドリュー役を務めるのは西川貴教。T.M.Revolution でのライブ活動はもちろん、ミュージカルでも活躍しているだけに今回も期待は大きい。
ヒロインのシェリー役には、幅広いジャンルを歌いこなす島谷ひとみ。
そして、山崎裕太、高橋由美子、鈴木綜馬、川平慈英をはじめとする歌唱も演技も優れたメンバーが、ジャーニー、ボン・ジョヴィ、スティクス、REOスピードワゴンなどなど、永遠のヒットソングを歌い上げる!

そのバンドメンバーとして、Leda(DELUHI) と LEVIN(La'cryma Christi)が出演することに決定! 
毎公演、生演奏を届ける。

 

 


 

 

ロックミュージカル

『ロック・オブ・エイジズ』

作◇クリス・ディアリエンゾ 

演出・上演台本◇鈴木勝秀 

音楽監督◇前嶋康明  

出演◇西川貴教 島谷ひとみ/山崎裕太 高橋由美子 misono 藤田玲 石橋祐 明星真由美 /なだぎ武 鈴木綜馬・川平慈英 他 

バンド◇Guitar:Leda(ex. DELUHI)  Guitar:中村康彦  Bass:渡辺大 Drums:LEVIN (ex. La'cryma Christi)  Piano:前嶋康明 

●10/28〜11/6◎東京国際フォーラム・ホールC 

●11/11〜13◎森ノ宮ピロティホール (チケット発売日:10月1日) 

●11/19◎アルモニーサンク北九州ソレイユホール (チケット発売日:9月19日) 

http://www.rockofages.jp

 

 

 

 

濱田めぐみと田代万里生が主演する『ボニー&クライド』制作発表

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2012年1月に上演されるミュージカル、『BONNIE&CLYDE(ボニー&クライド)』の制作発表が8月22日、テレビ朝日で行なわれた。
 

大恐慌時代にアメリカ中を震撼させた銀行ギャングの「ボニーとクライド」を描いた『俺たちに明日はない(原題Bonny&Clyde)』(1967年)は、アメリカン・ニューシネマの傑作として知られているが、そのボニーとクライドを主役に描くミュージカルが、日本で初上演される。

初演は2009年のカリフォルニアでトライアウトされ、10年にフロリダで再演、今年の12月にはブロードウェイでも上演されることが決まっている。

日本版はボニーに元劇団四季の濱田めぐみ、クライドに田代万里生という新鮮なキャスティング。演出はオペラ界から田尾下哲、作曲は日本のミュージカル界に次々に作品を提供しているフランク・ワイルドホーンが手がけている。


ボニーを演じる濱田は、昨年12月に15年在籍した劇団四季を退団、この作品が女優としての再スタートとなる。
田代万里生は09年の『マルグリット』でデビュー以来、プリンス系の俳優として人気だが、この作品で初めてアウトローに取り組む。

ともに高い歌唱力を持っている2人だけに、この日の会見でさっそく劇中の「Dyin' ain't so bad」(濱田ソロ)「This world will remember」(デュエット)の2曲を披露、会場から大きな拍手を浴びていた。
 

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【挨拶と質疑応答】
 

フランク・ワイルドホーン 
何年か前に企画が持ち上がりましたこの作品を紹介する機会を与えてくださったことに感謝します。私にとって非常に大切なプロジェクトで、それは『俺たちに明日はない』という有名な映画の脚本家、デビッド・ニューマンが私の友人で、この2人を主役にミュージカルにしたいという希望していました。彼はリサーチを重ねた結果、
映画をそのままミュージカル化するのではなく、2人の人生に立ち戻ってミュージカル化したいという考えになりました。そして作詞家のドン・ブラックさんに入っていただいて、この作品を作り始めました。
ニューヨークの有名作家の家でミュージカルを書くという、楽しい作業をしていたのですが、デビッドがちょっと気分が悪いと言うのでドンと私は予定より早く帰りました。そして非常に悲しいことに、その夜彼は体調を崩してそのまま亡くなってしまいました。ですから、今、彼も天からこの作品が出来ることを感謝してくれているんじゃないかと思います。
日本でもたくさんの作品が上演されていますが『BONNIE&CLYDE』は、どの作品とも違います。とてもアメリカ的というだけでなくテキサス的です。先ほど2人の歌を聞かせていただいたんですが、非常に作品についての予習をしてくださっていて、この人物たちの魂、心を把握しているという実感を持っています。今までも日本の観客の皆様とはさまざまな冒険を共有してきましたが、この作品で一歩進んだ冒険が共有できればと思っています。


田尾下哲 
私は今までほとんどオペラと芝居という仕事をやってきて、ミュージカルはあまりやってきませんでした。去年初めてブロードウェイの作品に参加したことはありますが、ほとんど経験がないんです。そういう中でミュージカル演出に挑戦させてくださる機会を与えてくださったことに感謝を捧げたいと思います。
この作品はワイルドホーンさんがおっしゃったように、21世紀の我々の胸にも突き刺さる作品です。テキサス、アメリカの大恐慌を描いた作品で、我々にも大きな震災があり、世界不況の経済的困難があり、この作品の持つ意味合いは非常に大きいと思います。彼らは名を成したいと思っていたわけですが、今、21世紀の日本で僕らが「ボニー&クライド」という名前を口に出すとは思っていなかったのではないかと、ましてやミュージカルになるなどと思ってなかったと思います。2012年1月に上演するときには我々の日本とかけ離れたものではなく関係性を持って描きたいと思っています。


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濱田めぐみ
まずは今回この機会を与えてくださいました関係者の皆さまに心よりお礼申し上げます。「ボニー&クライド」という実在した人物を演じるにあたって、私が今まで生きてきた人生と経験を踏まえて、より日本人の方に身近に感じられる役作りをしていきたいと思いますし、

ワイルドホーンさんと田尾下さんのお話をしてくださったように、今、この地球上でいろんな災害が起きていて、スタッフやキャストもよくチャレンジという言葉をよく口にしているのが印象に残っていて、自分にとってもチャレンジというか、新しい創造に向って歩いて行く、『BONNIE&CLYDE』という作品だけでなく、全世界が地球が一丸となって前に向って進んでいくべきタイミングなんだなとすごく思っています。私もそういう意味では、ここから次のステップに足を進めようと思って第一歩を踏み出しました。皆様と力を合わせていい舞台にしていきたいと思います。

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田代万里生
ワイルドホーンさんとは昨年の3月にガラコンサートに出演させていただきまして、そのときに1曲、作曲家ご自身のピアノ演奏で『BONNIE&CLYDE』の曲を歌わせていただきました。僕は作品としては出演するのは初めてなのですが、楽曲としては親しんできましたので、念願のワイルドホーンさんの作品に出演させていただくことになります。
昨年の11月に田尾下さんと一緒にフロリダに行き『BONNIE&CLYDE』のプレビュー公演を拝見させていただきました。そこでもワイルドホーンさんと近くの美術館で偶然お会いして、一緒に食事をしようとフレンドリーに接してくださいました。
本当にその舞台を観て、クライドを演じるということで自分の役名がタイトルになっているという責任を強く感じますけど、このミュージカルは自分にとっても挑戦ですし、『BONNIE&CLYDE』みたいなミュージカルは他にはないと思うんですね。それは文化というかテキサス、アメリカ、そのテイストが音楽にも表れているし、ボニーとクライドの生涯にも反映しているのかなと思います。
公演まで数ヶ月ありますが、昨年から田尾下さんのワークショップが行なわれていまして、台本を使いながら1行1行作り上げていっています。音楽稽古は始まったばかりですが、濱田さんの素敵な歌をずーっと聴いていたいと思うくらい、歌うのを忘れちゃうほど聴きほれてしまいます。劇中でもボニーの歌に対してクライドは聴きほれているので、そこは素のままでいけるなと(笑)。伝説のギャング役ということで、今までの田代万里生になかったものを一から作り上げていけたらと思います。


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ーー自分と役については?
 

濱田 実在の2人の本を読んだときに日本人の感覚にない情熱的な女性だなと思いました。1930年代大恐慌の貧困のアメリカで育った中にある情熱というものが、自分の中にあるものと響くものがあった。私も1人で田舎から飛び出てきたので、その部分はすごく似ているところもあり、彼女は飛び出たくても飛び出ることができなかった閉塞感の中にいた。そういう部分から解いていけるかなと。

田代 僕も映画を観たり、写真や資料を見ていますが、ボニー&クライドの印象がだいぶ違ってきて、一番強く感じたのは、クライドはワイルドで強くて大人でというイメージでしたが、写真を見るといわゆるインドアな印象です。静かにふつふつと熱いものが中にあって、外はクールなかっこよさやお洒落な感じ。そういうところを濱田さんと作り上げていければいいなと思います。


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ーーお互いの印象については?
 

濱田 初めてセッションしたときに彼の中に精神的な強さを持つクライドがいて、私がイメージしていた『BONNIE&CLYDE』の中のクライドの芯の部分があって、ああこういうクライドになるんだなと思いました。年齢はおいておいて(笑)すごく頼れる男性だなと思いました。
田代 濱田さんは初共演ですけど、すごく自然に僕の中にすーっと入ってきました。もちろん優しいですし温かいですけど、ホッとさせてくれるようなところもあって、第一声から数年前から一緒に舞台をやってきた仲間のようなニュアンスで接してくれたので肩の荷がおりました。もうボニーにしか見えないですし、髪の色も染めて日に日にボニーになっていくような気がします。演じるのではなく気付いたらボニー&クライドになっているみたいな、リアルな2人にしていけたらいいなと思います。


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ミュージカル

『BONNIE&CLYDE』

作◇アイヴァン・メンチェル

作曲◇フランク・ワイルドホーン

作詞◇ドン・ブラック

上演台本・演出◇田尾下哲

出演◇濱田めぐみ、田代万里生、岡田浩暉/白羽ゆり/藤岡正明、中河内雅貴(ダブルキャスト)/明星真由美、岸祐二、つのだ☆ひろ、戸井勝海/池田有希子/木場勝己 ほか

●2012年1/8〜22◎青山劇場

〈料金〉S席11000円 A席8500円 B席3500円

〈問合せ〉ホリプロチケットセンター 03-3490-4949

ホリプロオンラインチケット http;//hpot.jp

【取材・文/榊原和子 厚英/冨田実布】
 

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