稽古場見学、記者発表、インタビューなどから、近々公開される作品のおもしろさを探ります。

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『白夜−BYAKUYA−』奥秀太郎×黒田育世インタビュー

(左)奥秀太郎(右)黒田育世
観客もうっすらと月が浮かんでいるのを見つつ、ひんやりとした夜風を感じつつ…の野外公演。10月1日と2日の2日間、奥秀太郎が定期的に行っている舞台公演が品川にある原美術館で行われた。タイトルは『白夜−BYAKUYA−』。舞台美術もなにもないそのままの建物の外壁に映像を映し出すことで様々なシーンを構成した。
映し出されたモノトーンの映像と共にストーリーが展開していき、その中心で黒田育世が踊るというなんとも贅沢な公演。美術館という場所が放つ空気や、足元の芝生の感触、周りの人の呼吸、映像、風…全てのものに身体が素直に反応し、それが踊ることに真っ直ぐに繋がっている、自然に溶け込んでいくような黒田のダンス。最後の一つ見せ場となるダンスシーンの際に、それまであまり吹いていなかった風が急に吹きはじめたのには「この人は風まで味方に付けるのか!」と驚いたと同時に鳥肌が立った。
秋のはじめの落ち着いた空気が似合う、ちょっと物悲しいような、でも洒落た、大人っぽい雰囲気の漂う作品となっていた。

▼静と動、次々と姿を変える黒田のダンス
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公演は終了してしまったが、稽古中に奥秀太郎と黒田育世の二人に話を聞いたのでご紹介する。

体験しているからには、やろう

──まずは簡単にストーリーを教えて下さい。
 日本で働いていたアメリカ人の男性が、パン工場で知り合った日本の女性と付き合っていて、でも彼はとあるタイミングで彼女を置いてアメリカに帰ってしまう…その間に地震が起こり、彼女が行方不明になるんです。それを聞いて彼はアメリカから日本に来て…というそんな話です。

──地震、というと、やはり3月の東日本大震災が影響している?
 体験しているからには、やろう、と思いました。地震が起こる前というのは自分が作る映画でも舞台でも警告というか、絶望だったりを全開にしていたのが、それを今更やる意味がなくなってきてしまって。だったら、そこを通過したあとに、どうするんだ?みたいなことができたらいいなと。地震が起こっても、なお力強く残っている場所というイメージが原美術館にもあったんです。芝生があって、建物があって…。外で作りたいという気持ちを抱き始めていたところに、この機会が重なりました。生き残った場所を自分たちの作品で、少しでも違う方向に変えていくことができたらな、と。これからも劇場じゃない所でなにかをやるというシリーズをやっていきたいという思いはありますね。

一面に花が広がったり、パン工場、教会になったりと映像で次々と場面が変わる
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やり放題の限界から大人の遊びへ

──黒田さんと奥さんの出会いは?
黒田 私が野田秀樹さんの『ザ・キャラクター』(10年)という作品の振付として参加させていただいていて、その時に映像を担当していた奥さんと初めてお会いしました。私は稽古場にほぼ毎日お邪魔していて、奥さんも結構来て下さっていたので。

 黒田さんの振付のシーンと映像が重なるところが多かったんですよね。「神」っていう字がポイントになる場面とか、秋葉原のシーンとか。その後、また野田地図の『南へ』(11年)でもご一緒して、2月にPARCO劇場でやった『サウスオブヘブン』という僕の作品に出演していただきました。それがまた絶望度MAXみたいな作品だったんですが(笑)。

黒田 でもこの間、奥さんが監督された映画の試写会にお邪魔したんですが、すっごく面白かったんですよ。怖がらない、帳尻あわせをしない。「ここまでやっちゃうと受け入れられなくなるかな?」とか、そういうのがないんです。ご自身のやりかたを引っ込めないからすごく気持ちが良い。舞台だと実際にはできないことを、映画だとやれちゃうから…もうやり放題ですよね(笑)。

 あはは(笑)やり放題。映画的には相当やり放題の限界までいってしまったので、今回の舞台では“大人の遊び”ができたら良いなと思ってます。何かパフォーマンスをやって、そういうものを通してみんなが遊べる状況ができたらいいな、と。学園祭よりはもちろんそれぞれの表現の質は上げていきますが、でもそんな感じでお客さんと一緒に色々楽しめたら。

家に遊びに来てください

──黒田さんが踊られると一瞬で物語が広がるというか、とても印象的でした。振りは即興で?
黒田 映像に反応している状態ですかね。もちろんお芝居で紡がれている所に乗って踊っているところもありますが、コラボレーションですね。さっきの稽古では花柄のライトに反応して…コラボレーションというか、バンド…バンドみたいな感じですね。

──そのバンドの一つとなるのが映像ですが、建物などに映像を映すプロジェクションマッピングという手法については?
 2008年に上演した『黒猫』という作品などでも使っている手法だったんですが、でもその当時は「プロジェクションマッピング」という言葉はなかったですね。宝塚の映像もやりますが、宝塚だと『カサブランカ』(09年、宙組)や『太王四神記』(09年、花組/星組)あたりもまさにですし、野田秀樹さんの作品だと『THE BEE』(07年)も技としてはマッピングと同じです。海外では宣伝広告などでも使われるようになったりと広く出始めた中で、だったらもう少し表現としてできないか?と。更にそれが野外劇じゃないですけど、そういうところと繋がっていったらどうなるかと思いまして。

──奥さんの映像、台詞の世界と黒田さんの踊りの世界がコラボレーションすることへの期待を最後に。
黒田 私はすごい緊張魔というか、あがり症なんです。でもそれってきっとお客さんを怖がっていたから緊張していたんだなと思って。お客さんは敵ではなくて、仲間でもあり、まず同じ人間だから。「魅せる」ってことよりも「一緒にいてもらう」という気持ちで作っていきたいです。稽古をしていても、芝生の空間、美術館の空間に一緒にいてもらう感覚があるし、本番ではお客さんも一緒にいてもらえたらいいなぁと。

 黒田さんがよく「家に遊びに来てください」って言ってくださるんですよ。そんな風なことをお客さんにも言えたらいいなって。地震の表現もありますし、観た方がどう思うかはわからない部分もありますが、やらないでいるより一度そこに触れた上で、そこからみんなでパーッと進んで行った方が面白いはず。そういうことが今言った「遊びに来てください」っていうような感じで、スタートできたらな、と思っています。

 
▼影が手紙を綴っているように見える、綺麗なのが哀しい場面
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▼縋りついてもすっと離れていってしまう。これがまた切ない。
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原美術館
Projection Mapping+Performance Vol.1
『白夜−BYAKUYA−』

作・演出・映像◇奥秀太郎
振付・出演◇黒田育世
音楽◇松本じろ
出演◇ 黒田育世/チャド・マレーン/亜矢乃/畠山勇樹/續木淳平/幸田尚恵/鈴木雄大/あらいまい/中本昂佑/森 一生/青木伸仁/富樫実生/馬屋原彩咲/賀本 航

●10/1、2◎原美術館

原美術館 http://www.haramuseum.or.jp/generalTop.html
OKU SHUTARO OFFICIAL WEBSITE http://www.okushutaro.com/



【取材・文/岩見那津子】

演劇で社会に貢献するために・舞台芸術集団 地下空港 伊藤靖朗インタビュー

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リーマンショックに想を得て、東京の中野区にギリシア神話の巨人がやってくるという音楽劇『巨人たちの国々』を上演した舞台芸術集団 地下空港の伊藤靖朗。私たちを取り巻く社会の問題を寓話的に転換し、エンタテインメントに可視化を試みる彼の作品が小説になったという。
舞台の小説化とは!? 演劇集団 地下空港とは!?


ーー小説化のいきさつを教えて下さい。

2009年に中野の劇場で上演した『轟きの山脈』を観て下さった日経新聞社の方が、全国紙夕刊の人物紹介コラム「フォーカス」というコーナーで紹介してくださり、その記事を読んだPHP研究所の方が、2010年に上演した音楽劇『巨人たちの国々』を観て、ぜひ小説化をと言って下さいました。

ーー小説化は大変そうですが・・・。

はい。一年かかりました。本文中の書体を変えたり、小説でここまでやっていいのかというチャレンジをさせていただきました。そもそも劇団公演では、観客を参加者にする仕掛けを作って上演していますので、小説にすることはそこからしないと意味がないと思い、いろいろ工夫をしてあります。もしかするとどこかからか、お叱りを受けるかも知れませんが。

ーー目次や注意書きなどちょっと面白そうですね。前から気になっていたのですが、地下空港という名前の由来を教えて下さい。

地下をのぞくと飛行機がゴーッと飛び立つようなイメージで。ぼくは空港がとても好きなんです。空港って、各国の女性たちがいい香水を使っていて、いいにおいがするんです。いろんな発見があって、言葉が通じなくて大変なこともあるけど、わくわくする場所だと思っていて。観ていただいたお客さんに、そんな気持ちになってもらえるといいなと思ってつけました。

ーー次回公演のご予定は?

次は12月を予定しています。今、自分が震災や原発問題を経て感じていることを劇にしないわけにいかない、と思ってタイトルを決めました。『増殖島のスキャンダル』。どこまでどう描こうか、これから1月かけて書き上げる予定です。

ーー最後に小説ついて一言お願いします。

かなり過激な方法論を用いた、危険なエンタテイメント小説です!中野の街が大変なことになります。小劇場発、今の日本を写し出す長編ファンタジー、ぜひぜひみなさまチェックしてみて下さい!

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伊藤靖朗プロフィール
いとうやすろう○1979年生まれ、静岡県出身。中学3年の時に、静岡市の代表としてカナダへ。現地の中学校でカルチャーショックを受ける。大学在学中に「ICU歌劇団」等に参加。2000年より、作品を発表。演劇で社会に貢献するために、日夜研鑽を重ねている。
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次回予定◇演劇集団地下空港『増殖島のスキャンダル』12/8〜18@恵比寿site

演劇集団地下空港公式サイト
http://www.uga-web.com/

【取材・文/矢崎亜希子】

西川貴教主演で『ロック・オブ・エイジズ』制作発表

ロック・オブ・エイジズ会見01

現在もブロードウェイで大盛況公演中の、全米ロックミュージカルの金字塔とも言われる『ロック・オブ・エイジズ』が、10月28日から日本に初上陸する。


ボン・ジョヴィ、ジャーニー、REOスピードワゴンなど80年代を代表する珠玉のナンバーで構成されたこのロックミュージカルは、2006年のロサンゼルスでの初演2009年にはブロードウェイに進出。トニー賞作品賞を含む5部門にノミネートされ、現在もブロードウェイで大盛況公演中である。また、ロンドン、オーストラリア、韓国などで上演され人気を集め、2012年にはトム・クルーズ主演での映画化も決定している。
 

今回の日本初演で、キーマンのドリュー役を演じるのは西川貴教。T.M. Revolutionでの活動はもちろん『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』『ハウ・トゥー・サクシード〜努力しないで出世する方法』『ザ・ミュージックマン』とミュージカルに主演しミュージカル界に新風を吹き込んできた。

また、ヒロイン・シェリー役には、幅広いジャンルを歌いこなす、実力派の島谷ひとみ、そして山崎裕太、高橋由美子、misono、なだぎ武、鈴木綜馬、川平慈英などが顔を揃えている。
 

この作品の制作発表会見が、9月30日、六本木のハードロックカフェ東京で行われた。ロックサウンドが流れる中、まさにロッカーといったド派手な衣裳で登場した出演者たちはお互いの発言にツッこんだりと、すでに息のあったかけ合いを見せ、笑いのたえない会見となった。

ロック・オブ・エイジズ会見03
 
【出演者コメント】
 

西川貴教(ドリュー/ロックシンガーを夢見て、あきらめずに生き抜く本作のキーマン)

ちょうど歌稽古が始まったところで、僕自身、一人のリスナーとして共演者のみなさんの歌を聴いてすごく楽しんでいます。この作品を日本で、このキャストで上演できること、その一員になれたことを本当にうれしく思っています。
この作品の中に詰め込まれている楽曲は、僕自身もリアルタイムで聴いていましたし、当時中学生で、バンドを始めたころで、Twisted Sisterのナンバーとか、最初にコピーした曲でもあるんです。
ある意味、このミュージカルを通して、自分の音楽の原体験をもう一度追体験させてもらいつつ、自分にとって音楽とは?ということをあらためて考えさせてもらえる気がしています。
リアルタイムで聴いてなくても、どれも「聴いたことがある!」と思っていただける楽曲ばかりです。ミュージカルというと、きちんと座って観劇する、というイメージがありますが、みんなで一緒に歌って盛り上がれるような、今までになかったミュージカルが作れたらいいなと思っています。

僕の80年代は中学生で、ちょうどバンドを始めた頃で、本当にこの「ロック・オブ・エイジズ」で使われている曲をリアルタイムで聴いていました。
のっけのTwisted Sisterとか、けっこう簡単なコード進行で出来る曲だったりするので、中学の時にコピーをしたり。今と違うのは服装ですね。校則で男子は丸坊主、女性はおかっぱと決められていたので、バンドをやりながら、とにかく髪の毛を伸ばすことに憧れていましたね(笑)。初めてのライブも学校でやったので、白いTシャツを墨汁で染めたりして(笑)。その思い出の曲を今、こうしてまた舞台で歌えるのですごくうれしいですね。


島谷ひとみ(シェリー/女優を夢見て田舎からロサンゼルスへ。ドリューと恋に落ちるヒロイン)

今日の私たちの姿を見ての通り、派手に行きたいなと思っています。私自身ロックなイメージが無いと思うんですけど、今回は私の中にあるロックな部分をお見せします。稽古はまだまだこれからですが、すでにみんなで盛り上がっていて、賑やかな空気が出来上がっています。ミュージカルを観に行くというよりも、ロックを聴きにくる気持ちで劇場にいて頂きたいですね。もう西川さんがすごいので、ぜひ見にいらしてください!


山崎裕太(ステイシー/ロックバンドのボーカル。シェリーと関係を持つ)

クドく、飽きられるぐらいに濃い男を演じたいと思っています。今年30歳になり、いろいろな意味で節目だなとも感じています。そうした時期に演じるこの作品では、ロック、ミュージカル、芝居という3つの割合をしっかり保ちつつ、ロックできればと思っています。僕は本当に恵まれていて、みんながおそらく歌いたい曲を歌わしてもらっていると思います。だから楽しんで歌いたいです。


高橋由美子(ジャスティス/ライブクラブを飛び出したシェリーを雇うストリップクラブのママ)

今回は歌も含めてこれまでにない迫力のある役なので、「分厚く」やっていけたらいいなと思います。迫力を出せるようにお稽古していきたいです。とにかく今は、自分の担当を一生懸命覚えている段階です。起きている時も寝ている時も、お酒を飲んでいる時も(笑)ずっと歌が流れている感じで……その状態から脱出して、楽しんで歌えるようになりたいです。


misono(ワギーナ/ロックの大ファンで、ロックを町から排除しようとする動きに立ち向かう市の職員)

現在、アーティスト活動は休養中ですが、お芝居はやりたいと思っていましたし、こうして歌える機会を頂けたことに本当に感謝しています。私はもともとネガティブの魂から生まれる、ネガティブロックをやっていて。応援ソングとか書けなくて、なかなか共感してもらえなかったんですけど(笑)今回はお兄ちゃんとして、親しくさせて頂いている西川さんと共演できることもあり、とても楽しみです。


川平慈英(ロニー/現代から物語の舞台となる1980年代のロサンゼルスへと観客を導く案内役)

ロニーはこのミュージカルの水先案内人的な役割りなんですが、ちょこちょこ出て来てよくしゃべります(笑)。なるべく濃く、クドくなり過ぎず、お客さんに飽きられないように役を全うしたいと思います。物語自体はマンガみたいなんですけど、1曲1曲がメガトンパンチのような、「キターッ!」と言いたくなるものばかりです。本当にアメリカの大学の週末のパーティーのような、「Let’s Rock’n Roll!」というミュージカルに久々に出会えて、本当にうれしく、参加させていただけることに心から感謝しています。劇場に来て頂いたお客様一人ひとりに、パワーと癒しすら与えられるミュージカル、これは絶対になります!
 

ロック・オブ・エイジズ会見02

ロックミュージカル

『ロック・オブ・エイジズ』

作◇クリス・ディアリエンゾ

演出・上演台本◇鈴木勝秀 

音楽監督◇前嶋康明

出演◇西川貴教 島谷ひとみ 山崎裕太 高橋由美子 misono 藤田玲 石橋祐 明星真由美 /なだぎ武 鈴木綜馬・川平慈英

●10/28〜11/6◎東京国際フォーラム・ホールC

●11/11〜13◎ 森ノ宮ピロティホール

●11/19◎アルモニーサンク北九州ソレイユホール

http://www.rockofages.jp 

【文/榊原和子】

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