稽古場見学、記者発表、インタビューなどから、近々公開される作品のおもしろさを探ります。

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新春から太一が舞い、踊る!『龍と牡丹 vol.1』

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劇団朱雀の二代目として、またエンターティナーとしてますますフィールドを広げている早乙女太一。今年は1月2日から天王洲・銀河劇場で新春公演『龍と牡丹 vol.1』をスタートさせている。

この公演は第1部が「19*ザベスト Nineteen The Best」というタイトルで、文字通り今年10代最後の年となる太一の集大成。また第2部は「絵島〜大奥・許されざる恋」という演目で、「絵島生島」の悲恋をもとに、男女2役を演じるという画期的な試みになっている。

この公演の初日の舞台をレポートした。

第1部の「19*ザベスト Nineteen The Best」は、現代的で洒落たセンスのパフォーマンスショー。
まず、太一が好きなモノトーンを基調にしたモダンな衣裳や背景と映像のコラボレーションが目を楽しませてくれる。

ダンスは太一のタップソロに始まり、弟の早乙女友貴がメインとなるストリートダンス系のダンスや、今回参加しているダンサーたちのコンテンポラリー、また朱雀らしい日本舞踊を取り入れた鈴花奈々メインの群舞などがテンポよく展開される。
もちろん太一得意の殺陣を生かした舞いもあれば、今回の目玉というべき映像の影とリアル太一が切り結ぶゲーム感覚の斬新な殺陣もあり、太一ならではのパフォーマンスが次々に続く。
大詰めは太鼓奏者・茂戸藤浩司と太一の和太鼓の競演で、リズム感と迫力で圧巻の時間が終わるとそのまま再び太一のタップ。そして全員のフィナーレへと賑やかになだれ込んでいく。

第2部の「絵島〜大奥・許されざる恋」は、約300年前に起きた「絵島生島事件」をもとにした舞踊作品。大奥の年寄りという高い地位にある奥女中の絵島と、人気歌舞伎役者の生島の悲恋を、太一が両役踊り分けという珍しい趣向で見せている。
オープニングは賑やかな大奥の風景に始まり、ややカリカチュアされた将軍や奥女中たちの日常、その中で暮らす位高い絵島の姿。そんなドラマが、クラシックからJ-ポップまでさまざまなジャンルの音楽と舞いによって表現され、音楽の変化とともにシーンの色もくっきりと変化していく。

絵島の太一は大奥女中らしく、派手ではないが豪華な打ち掛けや、参拝におもむく際の落ち着いた色めの被布を上品に着こなして美しい。参拝の道中が上手側の客席通路を使っているのも観客には嬉しい演出。
一方、人気役者の生島の生きる歌舞伎の世界は、歌舞伎の様式的な動きをアレンジしたショーで表現されていて、その中で生島に扮して踊る太一は、猛々しさとともに、男姿ならではの涼やかな色気を見せる。
そして一番の話題の、大奥で忍び逢う絵島と生島の2役は、紗幕と舞台袖を使っての鮮やかな早替わりとなっている。

フィナーレは、女形の太一を中心に朱雀のメンバーやダンサーたち、ジャパンアクションエンタープライズのメンバーなどが華やかに登場。
新しい方向性を感じさせるような新鮮な舞台でありながら、ファンの見たい太一も満載で、まさに充実のステージだ。

この舞台のスタッフワークは、LDEや影などの優れた映像の猪子寿之、音楽監督の高梨康治、モードを衣裳にした野田源太郎、振付と演出の蓮伊万里と、いずれも気鋭のアーティスト揃い。太一自身のアイデアも取り込んでいるというだけに、これからの早乙女太一の可能性を多様に感じさせる世界となっている。

天王洲 銀河劇場での公演は1月5日まで。当日券は劇場で販売中。

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早乙女太一新春特別公演

『龍と牡丹 vol.1』

第1部「19*ザベスト Nineteen The Best」

第2部「絵島〜大奥・許されざる恋」

出演◇早乙女太一、劇団朱雀

●1/2〜5◎天王洲 銀河劇場

〈料金〉8500円(全席指定・税込)

〈問合せ〉03-5459-7461(株)うぼん(12:00〜18:00)

●3/9〜16◎名古屋 名鉄ホール
 
〈料金〉8000円(全席指定・税込)

〈問合せ〉03-5459-7461(株)うぼん(平日12:00〜18:00)



※お知らせ
演劇ぶっく2月号(1/9発売)の早乙女太一さんのインタビューページで以下のクレジットが掲載されていませんでした。お詫びとともにこちらで掲載させていただきます。

ヘアメイク◇D&N/MENGUL越智めぐみ スタイリング◇Rockey(ジァケット:BOISNONVERNI)03−5673−8666

 

【取材・文/榊原和子 撮影/橋本雅司】

ナンセンスとミステリーの融合〜サイバー∴サイコロジック・松澤孝彦インタビュー

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主義主張や難しいことはやりたくない!
”冷戦”、”少年犯罪”、”減反政策”、”原爆”など社会的なテーマを扱ってはいるけれど、「んなアホな!」なトリックで笑いに転化するという。
早稲田演劇倶楽部出身の松澤孝彦が2007年に結成したサイバー∴サイコロジックの目指すものとは!?


ーーチラシにある「義眼の公演」という文字が気になるのですが。

一応、戦争物なので。義手、義眼みたいな。

ーー負傷兵とか?

負傷兵は出てこないですし、もっと言うと戦場がモチーフというわけではないんですけど・・・。この公演は予備校が舞台の話で、遊園地の隣で同時経営されている大学予備校の話なんです。そこに戦争がちょっと絡んでくる。1970年代の話なので冷戦が水面下で関係してくる話です。

ーーちょっと頭が良くないとわからなかったりしそうな気が・・・。

全然そんなことないです。主義主張とか難しいことはやりたくないので。基本的にナンセンスで、わかりやすい作品だと思います。

ーー最後にどんでん返しがあったりするのですか?

伏線を張っておいて最後に探偵みたいな謎解きをする人がいて、その人が真相を看破して笑いに転化するみたいな作風です。実はブルースカイさんにすごく影響を受けていて。突っ込みのない笑いやひねくれた笑いとかが好きなんです。あと昔から小説も好きで、ミステリーや探偵小説をたくさん読んできたので、それとの融合。意味のないミステリーを目指しています。ミステリー作品というのは、舞台上で作るのは難しいと思うんです。映像の方が効果的だし、小説の場合は読者が頭の中で想像ができますし。舞台でやるんだったら見せる物、証拠を提示するだけでタネ明かしをするみたいな感じで、バカな方にもっていった方がおもしろいだろうと思いまして・・・。ちゃんと観ている人をいい意味でバカにするという。

ーー挑発的ですね(笑)。

そうですね(笑)。怒らせることが目的ではないんですけど。

ーーお客さんの反応はいかがですか?

中には、「そんなトリックはおかしいんじゃないの?」みたいな堅いことをおっしゃる方もいますけど・・・。何かを伝えようとか、お客さんの心を動そうという気が全くないので。観ている瞬間におもしろかったなと思ってもらえれば、次の日には忘れてもらっていいと思っています。

ーー私はおもしろかったら、3日くらい反芻したり1週間ずーっと夢中になったりすることもありますけど・・・。

それはそう思っていただければうれしいですけど、目標とするところではないですね。自分たちとしては、その一瞬だけに賭けたいなと。取り扱う題材が社会的なものなので、どうしても社会派と言われたりするんですけど。それもちょっと目指しているところではないんです。

ーー題材が社会的だと、主義主張があるような雰囲気を感じてしまうのですが。

シニカルな笑いに転じたいと思うと、真面目な題材を逆に笑いに転化すると効果的かなと考えていて。たとえば前回公演は原爆の話なんですけど、「原爆が悪だ。悪かった」ということを残すのではなく、「原爆があった」ということだけを作品として抽出したいという思いがあって。ともすれば、原爆=笑いではないですけど、原爆を扱っているのにメイントリック自体は「そんなアホな!」っていう感じに持っていくという。本当に嫌いな人は「何やってんだ!」みたいな感じになるかと思うんですけど。。。純粋に僕が社会的な題材が、テーマ的に好きなのかもしれません。

【公演情報】
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サイバー∴サイコロジック 義眼の公演
『大戦死遊園』
2011年1月26日(水)〜1月30日(日)
@ 下北沢 OFF・OFFシアター

脚本・演出◇松澤孝彦
出演◇白井肉丸 平平平平 正木英恵 松澤孝彦
朝日望 木下幸太郎 こまつざきさちこ 酒井尚志 菅原達也 泊ヶ山まりな 二宮則子
<お問い合わせ> 090-6091-9366(いさき) c-psy@bt.main.jp

http://c-psy.main.jp/
【取材・文/矢崎亜希子】

井上ひさしの音楽劇の原点『日本人のへそ』

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1969年に発表された井上ひさしの実質的デビュー作、『日本人のへそ』が2011年の3月8日から27日にBunkamuraシアターコクーンにて上演される。井上ひさしが亡くなった2010年4月9日から一年の間に上演される5公演、6作品を追悼公演と銘打って上演してきたこまつ座であるが、この『日本人のへそ』がその追悼公演の最後を飾る。

「自分に関係ない言葉は吃らない、歌を歌う時は吃らない。ならば吃音症の治療にはミュージカルが一番と提唱するうさんくさい大学教授が仕立てた浅草ストリップの華、ヘレン天津の一代記。」

作者である井上が好きなもの、喜劇、ミュージカル、日本語、推理劇、どんでん返しの連続・・・全てを注ぎ込んだのがこの作品。

田舎から都会に憧れて上京し、クリーニング店で仕事を始め、流れ流れて浅草でストリッパーとなるヘレン天津役にはミュージカル界で活躍中の笹本玲奈。笹本は今回がこまつ座初出演となる。また劇団四季を退団後『エリザベート』ではトートを演じるなど、幅広い活躍を見せている石丸幹二が、会社員役を演じる。石丸も笹本と同じく、こまつ座初出演である。その他、今まで数多くの井上作品に出演してきた辻萬長や、たかお鷹、山崎一や、植本潤らが出演する。

演出は1985年のこまつ座での初演、1992年の再演でも演出をつとめた栗山民也。今や、こまつ座の演出と言ったら栗山民也という印象も強いのだが、この1985年の上演の際に、栗山はこまつ座デビューを果たしている。振付は、TSミュージカルファンデーションの主宰でもある謝珠栄。妹尾河童が舞台美術、小曽根真が音楽を担当し、小曽根は全編新曲を書き下ろす。

「一瞬の間でしたが、こんなおもしろい芝居をだれが書いたのだろうと首を捻ったぐらいでした。そしてじつにこのときです、『芝居というものがこんなにおもしろいものであるならば、本腰を入れてやってみよう』と決心したのは。」

と井上自身も語った『日本人のへそ』。劇作家・井上ひさしの原点となるこの作品は、シアターコクーンでの上演の後、山形、大阪、千葉、愛知でも上演される。

 

井上ひさし追悼ファイナル
こまつ座第九十三回公演
『日本人のへそ』

井上ひさし
演出
栗山民也
音楽
小曽根真
振付
謝珠栄

出演石丸幹二 笹本玲奈 辻萬長 植本潤 吉村直 古川龍太 久保酎吉 明星真由美 今泉由香 高畑こと美 町田マリー たかお鷹 山崎一 小曽根真

【東京】2011/3/83/27Bunkamuraシアターコクーン
【山形】
2011/3/303/31◎シベール・アリーナ
【大阪】
2011/4/164/17◎シアター・ドラマシティ
【千葉】
2011/4/20◎市川市文化会館・大ホール
【愛知】
2011/4/23◎パティオ池鯉鮒

<料金>
【東京】
S席:8,400A席:6,300円 コクーンシート:5,000円 学生割引:5,000円(全席指定・消費税込み)
【山形】
S席:7,000A席:5,000円(全席指定・税込)
【大阪】
8,000円(全席指定・税込)
【千葉】
S席:5,500A席:4,000B席:3,000円(全席指定・税込)
【愛知】一般:
4,500円 パティオシート(会館友の会)会員:4,100円 バルコニー席:3,000

<問い合わせ>
こまつ座 TEL 03-3862-5941


【文/岩見那津子】 

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