観劇予報

おん・すてーじ『弥次さん喜多さん』双

『上海バンスキング』制作発表パーティー

1月12日、『上海バンスキング』の製作発表が行われた。
94年のラスト公演から16年の時を経て蘇る、伝説の音楽劇『上海バンスキング』。
この日は、串田和美、吉田日出子、笹野高史、大森博史、小日向文世をはじめとする元オンシアター自由劇場のメンバーがほとんど集まり、作を手掛けた斉藤 憐も姿を見せ、久しぶりに再会の歓びを分かち合った。

DSCF1468パーティー形式で、演奏を交えた制作発表は、楽しい形で始まった。暗くなったシアターコクーンの稽古場に、ちかちかと裸電球の光が揺れる中、笹野高史のトランペットが響く。串田が壇上でクラリネットを吹き、吉田日出子がおなじみの主題歌「ウェルカム上海」をフラッパーに色っぽく歌う。
バックバンドには大森、真那古敬二、小日向、内田紳一郎をはじめ、昔のままの役者たちが嬉しそうに楽器を抱えている。

劇中で演奏されるジャズが、次々に出演者によって披露されるなかで、会場全体が作品世界の懐かしさに酔った.
 その演奏が一段落して、串田を中心にインタビューが始まる。

ーーまず六本木自由劇場での初演時の話をお聞かせください。DSCF1506

串田 自由劇場は100人ぐらいでいっぱいになる劇場なんですけど、初日はお客さんが47人!でも見てくださったお客さんが電話をすぐ掛けたりしてくださって、口コミで噂が広がり、どんどん客席がいっぱいになりました。入りきらなくて、マチネ、ソワレそれからもう一回夜中に…3回やったこともありました。お客様のパワーが凄かったですね。

ーー16年前のシアターコクーンでの公演をラスト公演と銘打っていましたが、それを今なぜ再演しようと?

DSCF1476串田 一番盛り上がっている時にやめるというのも一つの表現手段だと、高慢かもしれないけどその時は思いました。ただこの16年間、地下鉄のホームだとかで全く知らない人にも「上海バンスキングやってください!」って声掛けられたりもして、やっぱりやらなきゃいけないんだな、と感じていました。あと、ラスト公演の時も、もっと年をとった時にやったら面白いんじゃないかという思いはあったんです。あまり年を取りすぎてできなくなってもいけないので、今、上演するに至りました。

ーーみなさん良くスケジュールが合って。また今日演奏してくださった音楽もよく合いましたね。

笹野 譜面を見るのにメガネが必要になったのが、悲しかったんですが(笑)、譜面を追っかけるよりも、自分の身体に頼ったら指が覚えていて吹けた。これは自分の中でとても感動しました。お客さんもこの作品を愛してくれているし、僕達も愛している。だからみんな集まるんじゃないかな。

ーー斉藤さんは、今回の再演に対してどんな期待を持っていらっしゃいますか?

斉藤 昔、俳優座の稽古を見たことがあって、自分の芝居を見て泣いてらっしゃる作家さんがいたんですよね。僕はまだ当時生意気盛りだったから「嫌だなぁ〜自分の芝居を見て泣くなんて恥ずかしいよなぁ〜」なんて思っていたんですが、今、音楽を聴いていたら、ウルっときまして(笑)、あー俺も69だなぁ、なんて思った次第です。DSCF1489

ーー串田さんはいかがですか?

串田 こうしてファンの方や、メンバーとまた出会えたことはとても幸せなことですが、でもただの同窓会にはしたくない、今の芝居として、また表現していきたいとは思っています。

自由劇場のメンバー以外にも、会場には『上海バンスキング』の復活を喜ぶ著名人たちの姿もあり、それぞれ作品に対する思い出などを語った。(中村勘三郎はビデオメッセージ。)

和田誠 上海バンスキングの話を串田さんに聞いた時に、すごく良いことを2つ言ってたんですよ。芝居やりたくて入ってきた俳優さんに楽器を演奏しろと強要するのは辛くなかったか?って聞いた時、やっぱりそれは辛かった、と。でも、本当に俺達が吹いたり弾いたりしたほうが、芝居として感動できるものになるに違いないから強要したんだ、って言ってましたね。あとプロじゃないからそんな素晴らしい演奏はできないけど、でも上を目指してるんだって気持ちを感じてくれるお客さんが来てくれた。自分達とお客さんが、高いところでいいところで出会った、そういう幸せな芝居だったって。DSCF1477

宇崎竜童 ちょっと遅れて入ってきたら、もう真っ暗だったんですけど、演奏を聞いて「あれは笹野さんじゃないな。」と思ったんです、あんなに上手く吹けるわけねぇって。でも笹野さんだった(笑)。自由劇場とはもの凄く縁が深くて、麻布の自由劇場は地下で俺らはその3階にいて、でも僕、自由劇場が何なのか知らなくて、ただ自由劇場って言う名前がね、怪しい(笑)。うちのスタッフたちともね、「あそこに近寄るのはよそう!」って言ってたんで(笑)、地下の劇場では見てないんですけど。博品館で見て本当に泣いて泣いて、二、三度僕も見せていただきました。どんなバンドが再結成するよりも、これが最高です。

中村勘三郎 えーおかえりなさい。本当に、待ってました。この作品が同じ人たちで帰って来てくれるっていうのは、本当に嬉しくて仕方ありません。芝居見ながら何かむせ返るような思いと言うか、知らず知らず涙が出て来て、引きずり込まれた芝居です。初めてのコクーン歌舞伎の千秋楽の日に、みんなが裃で「SING SING SING」を演奏してくれて、僕らが歌舞伎の立ち回りをしたっていうのは、自分の人生の中でも一つの事件だと思っております。そのみんなが2月にまたコクーンで、嬉しくて泣きそうです。しっかりと見届けたいと思いますので、今、稽古大変でしょうが頑張ってください。

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『上海バンスキング』

●2/23〜3/14◎Bunkkamuraシアターコクーン

作◇斎藤憐

演出・美術◇串田和美

出演◇串田和美、吉田日出子、笹野高史、さつき里香、大森博史、真那古敬二、小日向文世、他

 

<料金>

シアターコクーン S席¥9500 A席¥7000 コクーンシート¥5000(全席指定/税込)

<チケットに関するお問い合わせ>

東京公演/Bunkkamuraチケットセンター 03-3477-3244(10:00〜19:00)
 http://ww.bunkamura.co.jp

 

    【取材・文/岩見那津子】


H・アール・カオスの東京文化会館コラボレーションコンサート公演迫る

東京文化会館コラボレーションコンサート1月30日

H・アール・カオス×大友直人×東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

『中国の不思議な役人』『瀕死の白鳥』『ボレロ』

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天才ダンサー白河直子を中心に、毎回、アーティスティックで美しく、クオリティの高いダンス公演を観せてくれるH・アール・カオスが、1月30日、フルオーケストラとのコラボレーションコンサートを行う。
東京文化会館で開催されるこのコラボレーションは、2005年、2008年に続いて今回が3度目、2年ぶりの公演となる。
演奏は東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団、指揮者は前回と同じ大友直人で、演目は2年前の初演時に大好評を博したバルトークの『中国の不思議な役人』とラヴェルの『ボレロ』、それに今回新作となるサン=サーンスの『瀕死の白鳥』が加わる。
『中国の不思議な役人』は、生と死と欲望を現代の解釈で読み解いて、退廃美と清廉なエロティシズムが印象的だった。繰り返されるメロディやリズムの意味を女性の視点から捉え直した『ボレロ』は、最後のシーンを踊り終えた瞬間に会場中がスタンディングするという、圧巻の舞台だった。
今回はさらに小品でありながら高い技術を要求される『瀕死の白鳥』も、2作品の間に上演するという。まさに贅沢なプログラムだ。その3作品の内容について、構成・演出・振付の大島早紀子に話を聞いた。

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大島早紀子インタビュー

 

ーーまず『中国の不思議な役人』ですが、ダイナミックなセットの中で起きる物語が、カオスならではのスピード感と退廃美で印象的に展開されました。

この作品はわりと上演される機会が少ない、もともとはパントマイムのための難解な曲なんです。それは、オーケストラとのコラボレーション自体がとても難しいこともあるし、物語の解釈が難しいこともあるんです。幸い前回の公演で得た手応えと成果を踏まえて、今回はさらにわかりやすく、ドラマティックに、完成度を上げていこうと思っています。
白河さんは、浮浪者、青年、役人とさまざまな顔を見せながら、この物語を踊ります。作品の中に浮かび上がるテーマは、生と死、欲望と愛ですが、それらを表現するために、スピード感と暴力的な動き、また前回と同じ高さや奥行きのある装置を使って表現していきます。その中で力強くダイナミックに踊る、白河さんやダンサーたちの身体のドラマを観ていただきたいと思っています。

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ーーそして『ボレロ』は鮮烈に赤く彩られた空間で、白河さんの周囲に巡らされていた赤い環と降りしきる赤い紙吹雪が、すさまじいばかりの美しさでした。

赤いセットは、島田清徳さんという現代美術家のかたの作品です。『ボレロ』というと、どうしても男性の踊りというイメージがあるので、私たちは女性的なイメージを入れたくてあの色と形を思いつきました。赤い環は花でもあり炎でもあって、同時に命そのものでもあるのです。その環の中で、『ボレロ』の終盤に向けて、白河さんが命をかき立てていきます。
曲が円環構造になっていることで、出られない環のなかで踊るダンサーは、与えられた時間の中で死に向かっていく人間に重ね合わせることができますし、踊ることに命を懸けた白河さんの人生にも重ね合わせられます。
曲の最後の瞬間は、死であると同時に生の歓び、解放があります。今回も、白河さんと4人のダンサーによる、素晴らしいエネルギーの円環を感じてください。

ーーこの2つの作品の間に『瀕死の白鳥』を白河さんが踊るわけですが、新しい振付けだとか?

『瀕死の白鳥』はバレエではよく知られている小品で、新しい振付をするのはチャレンジなのですが、やはり時代と身体というものをつねにテーマとして問いかけてきたH・アール・カオスとしては、この『瀕死の白鳥』で、自分たちの現在というものを表現してみようと思ったんです。
この物語では白鳥は死へ、最後の瞬間へと向かっていきます。その命の儚さとか悲しさは、現代という時代のなかで、自分たちの作り出してきた情報や環境に溺れかけている私たちを象徴しています。
わずか4分〜5分くらいの作品ですが、踊る白河さんの命を通して、生の恍惚とか命の儚さが表現されるものになります。

ーー3つの作品は形や時間は違っていても、H・アール・カオスならではのどこか共通のものがあるような気がします。

今回、偶然なのですが、3作品が同じテーマで通低しているんです。『中国の不思議な役人』は、死にかかった役人の身体、そういう身体を抱えながらも生きる恍惚とか、限られた時間だからこその生の歓びを表現しています。また『ボレロ』は死の欲動と生の恍惚の円環の中から最後に解き放たれる。そして『瀕死の白鳥』は文字通り死に向き合う作品です。H・アール・カオスらしい3作品ですし、また大きな成果になればと思います。


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東京文化会館コラボレーションコンサート

H・アール・カオス×大友直人×東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

『中国の不思議な役人』『瀕死の白鳥』『ボレロ』

 

●1月30日/17時 東京文化会館大ホール

構成・演出・振付◇大島早紀子

出演◇白河直子、木戸紫乃、小林史佳、斉木香里、泉水利枝、池成愛、野村真弓

指揮◇大友直人

演奏◇東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

〈料金〉S席¥7000  A席¥5000  B席¥3000  Ex席¥1000

〈問合せ〉東京文化会館事業企画課03-3828-2111 http://www.t-bunka.jp/

 

【文/榊原和子 舞台写真/松山悦子】


『血は立ったまま眠っている』初日囲み (1月18日)

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1月18日、シアターコクーン公演『血は立ったまま眠っている』が初日を迎えた。

この作品は、寺山修司が23歳で書いた処女戯曲で、60年代安保闘争を背景に描かれた、底辺で生きる人間たちの憤りや葛藤が生々しく描かれている。
演出は、蜷川幸雄。主演は舞台でも活躍するV6の森田剛、これが初舞台の窪塚洋介、そして7年ぶりの蜷川演出という寺島しのぶ、役者として初舞台というパンクロッカーの遠藤ミチロウ。ほかにも六平直政、三谷昇、金守珍と個性派揃いだ。

この日、公開された場面はオープニングなど2場面、まずは60年安保闘争当時の騒然とした空気を漂わせる町の風景のセットのなかで、赤旗をひるがえす人々の登場から始まる。
その裏町に住みついて、自衛隊を相手に破壊活動をおこなっている2人のテロリスト。少年ぽさを残した森田剛演じる良、彼が憧れる灰男は窪塚洋介、ともに内面にある怒りや鬱屈を感じさせて、みずみずしい。
場面がかわると良の姉、夏美の寺島しのぶが、客席からリンゴをかじりながら清潔感と妖しさを漂わせて登場する。彼女と恋仲になった灰男が臆病になったとなじる良。その3人の前に、どこかうさんくさい男(大石継太)が現れ、物語は不穏な空気を孕んでいく。

そんな、寺山作品らしい鮮烈な青春風景のフォトコールのあと、演出の蜷川幸雄と主役の良を演じる森田剛の、囲み取材が行われた。(森田剛さんの写真は都合により掲載できません)DSCF1635

【一問一答】 

ーー初日を迎えての心境は?

蜷川 すごく面白いよな!?

森田 はい、面白いです。わくわくします。

ーー蜷川さんの印象は?

森田 人から聞く話は、やっぱりすごい怖い話を聞いてたんですが、実際お会いして、稽古してるとすごい優しい。稽古場もすごく活気があるし、蜷川さんの愛が伝わりました。

ーーしごかれたりは?

蜷川 しねぇよ。(笑)。

森田 点数は付けられましたけど。ずっと45点って言われてましたけど、昨日90点いただいて。よかったです。

蜷川 (森田は)いいんですよ。狙いを定めて森田君、森田君って言ってたのは正しかった。(公開稽古を)今日ご覧になって結構よかったでしょ? 1言えば100ぐらいの答えが返ってくる。まぁ、一時期42点っていう日がありましたけど(笑)、翌日クリアしてましたね。

森田  言われてもしょうがねぇな、と思いました。(笑)

ーー役者としての森田剛の魅力は?

蜷川 それはもうピュアですしね、真面目だしね、芯があって、台詞ちゃんとしてるし、声が枯れないし、通る。言えばすぐ直るから、すごくいいですね。嘘じゃない、嘘じゃないよ。

森田 (笑)嬉しいです。

ーー良を演じるにあたって印象的な部分は?

森田 良の真っ直ぐな部分や、キラキラした部分は何回も言われてるんで、そこを思いっきり演じたいなと。

ーー蜷川さんの念願の舞台ですね。

蜷川 森田君も、窪塚君も、寺島さんも、もう本当に一緒に仕事がしたくて、みんなが集まってくれて嬉しくて、入院してたときは、これが実現するまで死なねえぞとか言ってたから、本当によかったと思ってます。若い寺山さんって才能あるんだよな、言葉いいんだよな?

森田 (うなずく)。

蜷川 (記者たちに)ぜひ最後まで観てください。チケット買って。(笑)

ーーV6については?

蜷川 坂本君とも長野君とも仕事してるし、だから見てる。その中でも、森田君ってひねくれて隅っこにいるような印象があった。(笑)それがよかったんだよね。これを貫き通すのは大変だろうなと。ジャニーズって面白いなぁ、懐深いなぁって。よくあんなウジウジしてて、隅っこに居るような、野ねずみの……(笑)偉いね。

森田 褒め言葉として受け取っておきます(笑)。

ーー最後にメッセージを。

森田 共演する人たちもすごくみんな面白い人ばっかりだし、エネルギーが詰まった舞台だと思うので、みなさんぜひ観に来てください。よろしくお願いします。

蜷川 俺のはどうせ使わないだろうけど(笑)、さっき皆さんに見ていただいたのは美しいところです。もう少し色々猥雑なところがあるんで、そっちも合わせて、美と醜、猥雑なものと純粋なものがごちゃまぜになってる、ぜひ両方を見ていただきたいです。

 

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『血は立ったまま眠っている』

●2010/1/18〜2/26◎Bunkkamuraシアターコクーン

●2010/2/22〜28◎シアターBRAVA!

作◇寺山修司

演出◇蜷川幸雄

出演◇森田剛 窪塚洋介 寺島しのぶ 遠藤ミチロウ 金守珍 三谷昇 六平直政 大石継太 柄本佑 冨岡弘 丸山智己 蘭妖子 江口のりこ 他

 

<料金>

シアターコクーン S席¥9500 A席¥7500 コクーンシート¥5000(全席指定/税込)

<チケットに関するお問い合わせ>

東京公演/Bunkkamuraチケットセンター 03-3744-9912(11/29 前売初日特電) 11/30以降 03-3744-9999

大坂公演/キョードーチケットセンター 06-7732-8888

 

    【取材/岩見那津子  文/榊原和子】

 


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