稽古場見学、記者発表、インタビューなどから、近々公開される作品のおもしろさを探ります。

浪漫活劇譚『艶漢』第二夜

舞台芸術学院60周年記念公演『月にぬれた手』

1104-c005

高村光太郎と自分。
光太郎の妻・智恵子について。
そこから見えてきた、戦争、芸術、男、女。
書きたいことが、表現したいことが、
とにかく、たくさんたくさん渡辺えりの中にあったんだろう。

光太郎の半生を振り返るような形で、次々と場面も時代も変わり、
また次々と、思いが言葉になり、演技になり、提示されていく。
2時間という上演時間のわりに、詰め込まれた情報量が多いので、
少しでも気を抜いたら、ポツンと取り残されそうになる。

池袋にある舞台芸術学院の60周年を記念した公演。
作家、演出家、出演者、スタッフにいたるまで、舞芸出身者が勢揃いしている。
今回、公演が行われたのも、池袋の東京芸術劇場だ。

平岩紙の智恵子が印象的だった。
光太郎を愛していながら、最高に憎んでもいるというか、
劣等感と尊敬、全てが入り乱れて、精神が乱れてしまった女性。
一人何役かを振り分けられている中、平岩さんも田舎の娘などを演じていて、
その時は、ほわんとした可愛らしい感じなのに、
智恵子になった途端に目つきが変わるので、ぞくっとする。
木野花や、神保共子は男装から農家のおばさんまでお手のもの。
振り幅が広くて驚く。
もたいまさこの、一風変わったナゾの女からも目が離せないし、全体的に女優が強い。

その強い女優陣に翻弄される高村光太郎役の金内喜久夫は、
プログラムの光太郎の写真によく似ている。
ただ何かを内に抱えて芸術の世界に身を置いてきた人、というよりは、
隠居生活をほがらかに味わうおじいさん、というイメージが強かった。
本当の光太郎の姿は、いったいどこにあるのだろう。
心から優しい人でありながら、繊細な狂気を抱えていたのだろうか。

最後、女性がみな、赤いセーター姿で現れて、
それぞれが智恵子として登場する場面があった。
どんな女性の中にも智恵子のような激しさが潜んでいるという、
渡辺えりからの暗示だったのかもしれない。
その激しさに、ちょっと心をかき乱されて劇場をあとにした。

 

 

 

 

舞台芸術学園60周年記念公演
『月にぬれた手』


作◇渡辺えり
演出◇鵜山仁
出演◇金内喜久夫、神保共子、もたいまさこ、木野花、平岩紙、色城絶、半澤昇


<上演期間・会場>
3/173/31◎東京芸術劇場小ホール2

<料金>
一般:
6,000円 学生・シニア(65歳以上)5,000
高校生:
1,000円 ※枚数限定・前売のみ・舞台芸術学院のみ取扱
ペア:10,000
(全席指定・税込)

<問い合わせ>
舞台芸術学院 03-3986-3261

<上演時間>
2時間




【文/岩見那津子】

自転車キンクリーツカンパニー『〆』

thumbnail

見る前にちらっと目を通したあらすじは、

ライトノベル作家の元に、ゾンビ寸前の、その作家の大ファンが訪れる。
「完全にゾンビになってしまう前に、話の続きを読ませろ!」
と作家に迫る、ゾンビ未満の方々。
書けない作家と、そのゾンビ未満の方々とのお話。

というようなものでした。
『コメディーかな。』『楽しく笑って見終われそう。』
と思って観に行って、実際ゾンビたちと作家のやり取りに何度も笑い、
楽しい時間を過ごしていたものの、
終盤に近づくにつれて、「ん?これは・・・??」。

全く書けなくなった作家が抱えていた暗い闇が、
最後の最後にドバッと溢れてきて、
いや、これは笑って、すっきり終われない。

その作家は自分が書いていたライトノベルの最終章を書き上げていたのだけれど、
それをまず一番に自分の彼女に読ませたかったらしい。
今までで一番、面白い作品が書けたと信じていた。
だからこそ、彼女に・・・と思っていたのに、
その彼女がゾンビになってしまい、最終章を読んでもらうことが叶わなかった。
それだけでなく、彼はゾンビと化した彼女を自分の手で殺している。
だから、どんなにファンに迫られても、もはや脅迫されても、
キーボードを打つ手はいっこうに進まなかったし、
すぐにはぐらかして、執筆から逃れようとしていた。

という過去が作家にはあった。
それまでのドタバタの会話劇からは、
想像も付かなかった終盤の重さに、ちょっと呆気にとられもした。
でも基本的には、面白い。くすくす笑える。
出てくる人、一人一人のキャラクターに愛着が湧いてくる面白さ。

作家の代田要(瀧川英次)は、受け身のキャラクター。
「書け!!」と迫るゾンビたちの要求を飄々とかわす。
次々と、その代田の自宅にゾンビファンが訪れるのだが、
茂子(星野園美)は、押しの強い、ある意味空気の読めない夢見がちな女。
かすみ(松坂早苗)は虚弱体質でひ弱ながら、
言葉で痛い所を付いてくるブラックさがあって面白いし、
美里奈(和田ひろこ)はサバイバル系美人。
彼女は他のゾンビの腕を振りちぎり、
ベランダをよじ登り、血だらけで代田の部屋までやってくる。
一人、男のファンである登呂(平塚真介)は警官でありながら、
代田の作品に登場する女の子キャラを溺愛する乙女な心を持ったオトメン。

主な流れはコメディーでありながら、
でも「書く」ことに対する苦しみが、じわじわと滲み出ていて、
その暗さが、心に引っかかる。
この話は、作・演出の飯島早苗さんの心情にもかぶるのだろうか?
観終わって、なんとなく考えてしまった。

 

 

 

自転車キンクリートSTORE
『〆』


作・演出◇飯島早苗
出演◇瀧川英次、星野園美、松坂早苗、和田ひろこ、平塚真介


<公演期間・会場>
3/173/27◎赤坂RED/THEATER

<料金>
3,800円(全席指定・税込)

<問い合わせ>
自転車キンクリーツカンパニー 
03-5489-4434

<上演時間>
1時間25

 

 

【文/岩見那津子】

東京スウィカプロデュース『光の庭』

 

tirashi_s2

演劇プロデュース東京スウィカの新作が29日から赤坂レッドシアターで公演する。
福祉にも力を入れて毎公演招待などでも知られる東京スウィカは、主宰、比佐廉(脚本/演出)と、 女優吉田羊、制作部で福祉も手がける石津陽子の三人によって2000年にスタート。 2001年に旗揚公演『サーカスの唄』を発表。 その後毎年12本の新作及び再演公演を行ってきた。
現在は吉田と石津は抜けたものの、比佐廉を中心とするプロデュース集団として活動。 レギュラーメンバーのほかに、毎回新しいキャストによる公演を行っている。また福祉公演として毎回、障害児の招待、施設への貸切公演も行っている。

 

今回のキャストの1人、石橋徹郎さんからコメントが届いた。

「舞台は群馬県の古い農家。過疎化打開のために悪戦苦闘したり、子供の問題に悩んだりと、普通の人たちの悲喜こもごもの様子です。
激しい人物が出てきたり、強烈な出来事が起きたりはしません。かといって淡々と静かに進行するわけではなく、賑やかに展開してゆき、そのなかにほろ苦さが加味されて、そこはかとなく幸福感が漂う、優しくて澄んだ気持ちになるような物語です」

 

 

東京スウィカプロデュース
『光の庭』

出演◇石橋徹郎(文学座)、比佐一成、長州小力、竹内正男、気谷ゆみか、山素由湖、緒方和也(Studio Life)、下川江那、最所美咲(OH!LABANBA)、石川なつ、松宇一聖

3/294/3◎赤坂レッドシアター

〈料金〉前売 3,500円/当日 3,800円 
平日割引 3301400〜の公演 2,500円 
高校生までは前売・当日共に2,200

〈お問い合わせ〉J-stage Navi 03-5957-5500(平日11:0018:00
東京スウィカHP http://www.tokyoswica.net/

 


記事検索
演劇キックラインナップ

演劇キック

観劇予報

宝塚ジャーナル

演劇人の活力源

日刊えんぶ

えんぶ情報館

えんぶショップ

えんぶミロクル

えんぶfacebook

広告について