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『嫌われ松子の一生』長谷部優インタビュー

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映画やテレビで大ヒットした話題作『嫌われ松子の一生』が、舞台化されることになり、まもなく初日を迎える。

主役の松子に扮するのは、元女性ボーカル&ダンスグループ「dream」のメンバーで、現在は若手人気女優として活躍する長谷部優。テレビの『インディゴの夜』にも出演中だが、舞台にも意欲を燃やしていて、昨年は地球ゴージャスの『星の大地に降る涙』にも木村佳乃の妹役で出演した。今回は主演ということで、ひときわ張り切る長谷部優に抱負を聞いた。

 

【松子の心はわかる気がする】

ーーまずこの作品の主演と聞いたときは、どんな気持ちでした?

驚きしかなかったです。私は映画の中谷美紀さんの作品を観て印象に残っていたんですが。とにかく私でいいの?みたいな感じでした。そのあとでだんだん怖さが出て来て。ファンも多い作品ですから、私にやれるかすごく不安でした。でも役作りを考えたりしてるうちに、全然似てないと思ってた松子に、なんとなく似ている部分もあるかなと思いはじめて。たとえばすぐ人を信じてしまうところとか、困ってる人がいると放っておけないところとか。

ーーしかも松子って自分をダメにしてしまうくらい尽くすんですよね

たぶん自分では普通にしてるつもりなのに、気がついたらひどいことになってるんですよね。環境からか愛に飢えてて、すごく真面目だから人の面倒もみちゃうし、先生という職業をしてたからか育てたい精神もあるんだと思います。

ーーそういう松子の気持ちがわかったら、あとはそれをどう表現するかですね。DSCF1878

そうなんです。どう長谷部優の松子として見せるか、すごく難しいと思います。

ーーセリフ覚えは?

あまりいいほうでもないけど悪くもないです。ただ長ゼリフが出て来るので、それをちゃんと言えるか心配です。

 

【稽古場が大好き】

ーー舞台出演もここ数年、充実しているようですね。

1年前の『恋愛戯曲』で、初めて主役をさせていただきましたが、あれがなかったらこの松子も出来なかったと思います。5人芝居でほとんど出ずっぱり、セリフが沢山あって本当に覚えられるのかなと思いました。でもなんとかクリアできて役柄についてもいろいろ考えたり苦しんだりという体験をして、その結果、自分では成長できたと思うので、大きな自信になりました。

ーー長谷部さんにとって舞台の魅力とは?

ドラマとかは、短い時間にどれだけ集中できるかという感じで、そこにもっていく努力がいるんですけど、舞台はとにかく持続力だと思います。稽古から本番まで期間が長いですからね。昨年の地球ゴージャスは67公演ありましたから、体力も含めていい状態をキープしていく努力が必要でした。でも本番を含めて2カ月半くらい皆さんと一緒にいられて成長させてもらえるから、舞台は好きなんです。とくに稽古場が好きで、そこでいろんなことを考えたり提出したり、役のことだけでなくストーリー自体も深く知ることができる機会になるので楽しいんです。それにベテランの俳優さんから初舞台の人までいろいろいらして、新人さんからも学べるものはあるので。

 

【芝居の世界の奥深さ】

ーー確か地球ゴージャスの公演では木村佳乃さんの妹役でしたね。DSCF1883

すごく親しくしていただきました。綺麗な方なので一見近寄り難い風なんですが、すごくさっぱりしてて、でも可愛くて好奇心が強くて、ちょっとやんちゃな大人っていう面もあるんですが、仕事ではすごく真面目で。お姉ちゃんとしてたくさんお話してくれました。

ーー今回は周り中が男優さんで、それぞれと愛憎がありますね。

松子としてはとにかくまず好きにならないといけないなと。好きにならないと憎めないので。ちゃんとお話をして皆さんの人柄を知りたいなと思います。紅一点ですけど演出家のかたが女性で心強いです。年齢も近いのでいろいろお話できるので。

ーー長谷部さんは今は女優さんですが、もとは歌から入られたんですね。

10年前にオーディションを受けて女の子のグループでデビューしたんです。その事務所の方針でミュージカルもできるようにというのがあって、グループで公演をしたんですが、それが楽しかったし、お芝居って奥深いなとすごく惹かれるものがありました。とくにある公演で7人それぞれが主役みたいな公演があって、そこで7通りの分裂した自分を演じたんですがすごく面白かったんです。そのあと今の事務所に入って、一昨年、樫田正剛さんが作・演出された『どんずまり…』という作品に出たときにまた発見があって。皆がすごく役のことを考えてるし、衣装とか装置とか自分たちで作ったり、それまでスタッフさんが用意してくれたものしか知らなかったから、全てにすごく刺激を受けたんです。芝居を作ることの面白さを味わって、生き甲斐みたいなのをすごく感じた公演でした。

ーー長谷部さんはアイドル風なのに、実は地道なことが好きなんですね。

歌の華やかな世界から、役を追求していくお芝居の世界に触れて、私の中でいろいろ変化したと思います。地味で目に見えないことを丁寧にやっていかないといけない、そこが逆に好きなんです。

ーーそういう意味では、本物の女優への大きなチャンスがこの『嫌われ松子の一生』ですね。座長で主役ですからね。

そうなんです。タイトルロールなんですよねー。不安もありますが皆さんに助けていただきながら。でも終わったあと自分では120%やりきったという気持ちになれるようにがんばります。

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『嫌われ松子の一生』

原作◇山田宗樹(「嫌われ松子の一生」幻冬舎刊)

脚本・演出◇葛木英

出演◇長谷部優、木村了、津田健次郎、森山栄治、今奈良孝行、大堀こういち/KEIJI(EXILE)

●4/17〜28◎青山円形劇場

〈料金〉¥6800(全席指定/税込)

〈問合せ〉サンライズプロモーション東京 0570-00-3337(10:00〜19:00)  

 

 

【取材・文/榊原和子】

 

 

 


『滝沢歌舞伎』通算200回 囲み取材

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4月5日、日生劇場にて、滝沢秀明が主演する舞台『滝沢歌舞伎』の公演が通算200回を迎えるにあたり、囲み取材が行われた。

滝沢主演のこの作品は、06年に初めて、新橋演舞場にて『滝沢演舞城』として公開され、最新映像を駆使し、フライングやマジック等を取り入れたパフォーマンスの数々、源義経をクローズアップした歴史絵巻などで、以後、さまざまな新しい試みを加えながら、観客を魅了し続けた。
09年までの4年間に及んだロング公演が、今年は日生劇場に『滝沢歌舞伎』と銘打って登場。さらに進化したショーを魅せるべく、滝沢自身が初めて舞台演出を手掛ける。
日本初の4Dフライングでの立ち廻りシーンなどその演出家としての才能はもちろん、5月8日の千秋楽には250回を数える今公演に期待が高まっている。 

この公演の舞台衣装でステージ上に取材のために登場した滝沢。一問一答は以下の通り。

ーー昨日、初日を迎えられていかがでしたか?

今回、初めて演出を手がけまして。劇場が変わったので、洋式な演出を取り入れました。そして(ステージを覆った)布がなくなると、一気に和の世界になります。

ーー演出デビューされての感想をお聞かせください。

単純に仕事が2倍になりましたね(笑)。出来るだけお客様の目線で考えるように心がけました。やっと幕が開いたという感じです。

ーー目元に絆創膏を貼られていますが、どうされたのですか?

昨日のプレビュー公演で怪我をしてしまいまして。殺陣のシーンで切れたみたいです。僕は気付かなかったのですが、血が流れていたらしく。たまたまというか、僕にとってはラッキーだったんですけど、機材トラブルで舞台が中断されたので、そのまま病院に行きました。12ミリ位?切ってて縫いました。お医者さんに細 かく処置していただきましたので、大丈夫です。

ーー実際怪我をされて危険を伴うとなると、周囲の意見などで演出に影響は出てきませんか?

一人の演出家として作ったステージなので、ちゃんと自分が考えたものをやりたいんです。だから最後まで、このまま走りたいと思います。

ーー日本初となる4Dフライングが最も注目されますが、実際やられてみてどうですか?

フライングしながら、殺陣をしなければならないので大変ですね。でもこれも一つの新しい動きになればと思って挑戦しています。

ーー演出家として、今まで以上にお客さんの反応も気になるのでは?

喜んでいる様子を裏で見てるときとか、ニヤッとしちゃいますね(笑)。本当に嬉しいです。

ーー(総合演出を手掛ける)ジャニーさんからアドバイスはありましたか?

「問題ないから自信持ってやれ」と言ってくれてます。

ーー歌舞伎”がテーマになっていますが、オリジナルに近づけていくお考えですか?

いいえ。いわゆる古典的な歌舞伎ではなく、”滝沢歌舞伎”という新しいものを目指しています。海外の方にも伝わるように考えたので、僕だけの発想ですけど、海外公演を勝手に描いてます(笑)。地方も回りたいし、日本の美しさ、素晴らしさを海外の方にもぜひ見ていただきたいんです。

ーーでは最後に200回を迎えられてのご感想と、今後の意気込みをお聞かせください。

この200回はお客様、スタッフの皆さん、何より応援してくれたファンの皆様のおかげですので、一緒にお祝いしたいです。千秋楽には250回となりますが、それまで素敵な一日一日を送りたいと思います。
これからもっと本格的に歌舞伎の資料を見たり、観劇に行ったりして勉強し、この舞台を強化していきたいです。皆様、ぜひ見にいらしてください。

 

 

『滝沢歌舞伎 −TAKIZAWA KABUKI−』

 ●4/4〜5/8◎日生劇場 

作・構成・総合演出◇ジャニー喜多川

主演・演出◇滝沢秀明 他

〈料金〉¥12,000(全席指定/税込)

〈お問い合わせ〉03−5550−1686 松竹演劇興行部

 

【取材・文/櫻井麻子】

 

 


これぞミュージカル!でもその裏に。 『サイド・ショウ』

09「サイドショウ」


実は誰にでも当てはまる物語。

結合双生児のデイジー(樹里咲穂)とヴァイオレット(貴城けい)。
舞台では、二人がテリー(下村尊則)とバディ(伊礼彼方)に、
才能を見出だされスターとして駆け登る様子や、二人の恋が描かれる。
しかし、その裏にあるものはとても重い。

デイジーがテリーに、ヴァイオレットがバディに想いを寄せた時、
結合双生児であるという壁が立ちはだかるのだが、
更にそこに、ヴァイオレットに惹かれるジェイク(岡幸二郎)の存在があることで、
この作品は広く深い視野を得た。

デイジーとヴァイオレットは美しい容姿を持っていながらも、
「結合双生児」ということで見世物扱いされ、世の中から差別される。
それでも、ありのままの自分を愛して欲しいと願い続ける。
ある時、ヴァイオレットは、
同じように見世物扱いされていた仲間のジェイクに想いを告げられる。
その時、彼女はどうジェイクに言葉を返したのか。
差別される苦しみを誰よりも知っているはずなのに、
自分達も誰かを差別することから逃れられない。

一番感情移入して見てしまう主役の二人が、被害者でもあり、加害者でもある。
それが見えた瞬間に、
誰にでも生じる気持ちの矛盾を突きつけられたような気がした。

デイジーとヴァイオレットを演じたのは、宝塚出身の樹里咲穂と貴城けい。
常に腰がくっついている状態での芝居。
衣装が繋がっている訳でもなく、自力でくっついているというのだから驚きだ。
姿形は本当にそっくりなのだが、
名声を夢見るデイジーと平凡な暮らしを望むヴァイオレット。
二人の違いは確実にそれぞれの演技から伝わってきたし、
二人のキャラクターにも合っていた。
歌に、演技に、息の合ったこの二人なくして、
『サイド・ショウ』の日本初演はありえなかっただろう。
一幕のラストで歌われる「Who Will Love Me as I Am?」は、
楽曲の良さに加え、デイジーとヴァイオレット、二人の祈り、願い、叫びが、
樹里と貴城の歌声を通して伝わってきて心揺さぶられた。

デイジーを愛するテリー役の下村は、大人の落ち着いた愛や苦悩をみせ、
対するバディ役の伊礼は若さゆえの勢いや、純粋さを感じさせた。
ジェイクを演じた岡も「Devil You Know」などで確かな存在感を発揮。
見世物小屋のボスを演じた大澄賢也の姑息ないやらしさも印象深い。

それぞれが演技に、歌に100%の力を持ってして挑んでいるのがわかるだけに、
そこから、もう一歩進んだ何かが見たかったようにも思う。
楽曲の素晴らしさと、役者の熱演は強く実感できたけれど、そこで止まってしまい、
物語のどこを一番に伝えたいのかが曖昧だったのではないだろうか。
見せたいものは、デイジーとヴァイオレット、二人の生き様なのか、
差別を含んだ広い問題なのか、愛なのか、その全てだったのか。
とにかくもう一つインパクトが欲しい。

それはそれとして、
ただもう、全て音楽と共に綴られる台詞、
聞いていてワクワクするような豊富なナンバー、
14着の華やかな衣装、
それだけでも見ごたえ、聞きごたえは抜群。
これぞミュージカル!を実感させてくれる作品だった。



『サイド・ショウ』
脚本・作詞◇ビル・ラッセル
作曲◇ヘンリー・クリーガー
演出◇板垣恭一
出演◇貴城けい 樹里咲穂 下村尊則 大澄賢也 伊礼彼方 岡幸二郎 他
4/7〜4/18◎東京芸術劇場 中ホール
〈料金〉
【平日】S席¥10,000、A席¥8,000
【土日】S席¥11,500、A席¥9,500(全席指定・税込)
〈問合せ〉オフィス・ミヤモト 03-3312-3526(平日11時〜18時)
【文/岩見那津子】
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