稽古場見学、記者発表、インタビューなどから、近々公開される作品のおもしろさを探ります。

浪漫活劇譚『艶漢』第二夜

井ノ原快彦が取り組む芝浦の不動産。『芝浦ブラウザー』制作発表

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今では情報番組の朝の顔としておなじみの井ノ原快彦が、3年ぶりの舞台に取り組む。前作は『昭和島ウォーカー』として上演されたもので、若手人気劇団「ヨーロッパ企画」の主宰で、作・演出の上田誠と組んでの第二弾になる。

ヨーロッパ企画は京都を中心に活動を続けていて、上田は『サマータイムマシン・ブルース』や『冬のユリゲラー』が映画化されるなど、期待の演出家で、近未来のうらぶれたロボット工場とそこで働く人々を取り上げた『昭和島ウォーカー』に続いて、今回は芝浦を舞台に、高層ビル群とその隙間に立つある建物の話を、青春群像劇コメディの形で描き出す。

主演の井ノ原快彦は3年ぶりの舞台出演だが、前回も井ノ原からのラブコールで公演が実現したというエピソードもあり、気の合った上田との第二弾公演となる。
共演は、清純な役柄から妖艶な役柄までこなす新進女優・芦名星、北海道の人気劇団「TEAM NACS」の音尾琢真。また「猫のホテル」から味のある演技の市川しんぺー、「阿佐ヶ谷スパイダース」の個性派で多彩な顔を持つ伊達暁、そして上田が主宰するヨーロッパ企画からは永野宗典、本多力をはじめとする劇団員が多数出演する。
この公演の制作発表が、2月17日、都内で行われ、上田、井ノ原、音尾、芦名、市川、永野、本多が出席した。

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【一問一答】

ーー今回のみどころ。

上田 3年前の『昭和島ウォーカー』以来、待ちに待ったプロジェクトで、楽しみにしてました。前回はお互いに町工場の息子という共通項があり、それをもとに作品を作りましたが、その公演中に、井ノ原さんも僕も「物件」にただならぬ興味がある「物件フェチ」だとわかり、今回はそれをテーマにしました。井ノ原さんには不動産会社の社員になってもらうということで、「ブラウザー」というのはウェブの閲覧ソフトのことですが、芝浦の高層ビルの物件を見ているうちに、そこに似合わないある集合住宅を発見して、覗き見をするという話になります。芝浦は水路と運河の町ですがそこに道路が出来て重層的になってきたので、住宅を考えるのに最適な場所だなと。不動産へのこだわりは“思いがけない発見”ですね。実家の工場に大きくなって知らない小部屋を見つけたときはびっくりしました。

井ノ原 3年ぶりの舞台ということで楽しみにしています。上田くんともいろいろ話し合ってここに至ったのですが、前回に続いてタイトルも土地の名前と横文字です。これまで10回近くの引っ越しを経験してますし、一番興味あるものを舞台にできるのが嬉しいです。物件が好きというか、もともと間取りとか図面とか見るのが大好きで、ここの隙間にあの家具を入れたらぴったりだなとか考えてると幸せになるので(笑)。それが舞台になるだけで楽しみです。それに、もしかしたら新しい形の舞台が作れるかもしれないなと思ってます。不動産へのこだわりは、いろんなお店の人と仲良くなりたいので商店街が近いこと、あとは駅近ですかね(笑)、10分までならOKです。

芦名 管理人さんという役です。なかなかない役ですし、管理人さんという響きがいいなと思っています(笑)。上田さんがこの作品を書かれる前に料理の話とか聞かれたので、きっとそういう部分も生かされているのかなと思ってますし、期待にそえる管理人さんになりたいです。不動産へのこだわりは、“丸い穴(笑)”で、福島なので雪が降るのでかまくらの中とか大好きです。そういう自分を発見できたのはこの公演に出ることになったからで、これからもそういう発見が楽しみです。

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市川 3年前の作品の評判を聞いていたので、そこに入れていただけて嬉しいです。今日はみなさんがスーツでくるとは思わず、はずしてしまったなと(笑)。稽古前に上田さんはいろいろ話し合いをされるということで、一緒に作るのを楽しみしています。

永野 3年前も出ていましたが、すごく好きな公演でしたし、いつかヤツらは戻ってくると思ってました(笑)。その「昭和島」を超える、すみません。あ、超えていいんですか? じゃ、そういう公演になるようにがんばります。

本多 こんな(永野)先輩と一緒に一緒にヨーロッパ企画でずっとやってます。3年前の公演も楽しい思い出しかないので、この公演も、今ここでしゃべってることから、もう楽しくてしかたありません。

音尾 京都の劇団ヨーロッパ企画と、NACSは北海道の劇団で、これまでも交流はあったんですが。今回は出演できるというので、上田さんの作り方を楽しみにしています。イノッチについては、みんながいい人だと。そんないい人がいるとは思えないので、公演中に絶対にブラックな部分を暴いていきたいと思ってます(笑)。

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『芝浦ブラウザー』

作・演出◇上田誠

出演◇井ノ原快彦、芦名星、市川しんぺー、伊達暁、永野宗紀、本多力 ほか/音尾琢真

●4/2〜19◎東京グローブ座

〈料金〉S席¥8500 A席¥7500 B席¥5500(全席指定・税込)

〈問合せ〉サンライズプロモーション東京 0570-00-3337

●4/22〜24◎シアター・ドラマシティ

〈料金〉¥8500 (全席指定・税込)

〈問合せ〉キョードーインフォメーション 06-7732-8888

 

【取材・文/榊原和子】

私の観劇計画3月その1 植本潤(花組芝居)×坂口真人(演劇ぶっく編集長)

楠美津香
超訳 タイタス・アンドロニカス


楠美津香













原作◇ウイリアム・シェイクスピア
作・演出・出演◇楠美津香
3/1◎タイニイアリス


植本 3月に観られるお芝居を紹介していきます。『超訳 タイタス・アンドロニカス』。あー! 知ってるこの人。
坂口 3月1日だから早く紹介したほうがいいと思って。
植本 楠美津香さん? …の一人芝居ですよね。
坂口 コントっぽい一人芝居なんですよね。このチラシを見て「あー!」と思い出したんだけど。昔はシェイクスピアじゃなくて、一人芝居っぽい、いろんな女性を点描したりするコントをやっていて、すごくステキなおばさまなんですよ。
植本 そうなんですか。40台後半ぐらいなのかな。チラシに「こちらのメニューは、冠婚葬祭スラップスティックコメディとなっております」と書いてあるよ(笑)。
坂口 現代風、コント風にアレンジした一人芝居なんですよ。もともとの存在自体がインパクトがある方だから。シェイクスピアのストーリーを借りて、彼女の存在を見せるということになるんでしょうね。
植本 シェイクスピアの中ではもちろん『ロミオとジュリエット』とか有名な作品もやってますけど、『ヘンリー8世』とか、『コリオレーナス』とか、渋好みもやってますね。『リチャード鏡ぁ戮箸『シンベリン』もやってる。
坂口 彼女のキャラクターがとてもステキだから、ぜひ一度観ていただきたい。
植本 『終わりよければすべてよし』『ペリグリーズ』『ウィンザーの陽気な女房たち』もやってる〜。すごいな! …パワフルなの?
坂口 圧倒的にパワフルですよ。一人でシェイクスピアをやっちゃおうというぐらいだから。コント、エンターテイメントだし。ぜひぜひ。場所はタイニイアリスですね。
植本 プロフィールを読むと、特技が「たびをはくところから着物を3分44秒で着る」、趣味が「ヴァイオリンでチャルダッシュを弾く」、そして「ボディビルディング」って書いてある(笑)。
坂口 まあとぼけたおばさまなんだけどねえ(笑)。とっても色っぽい。芸人さんにある色っぽさってあるじゃないですか。とくに女の芸人さんの色っぽさってすごく魅力的だと思うんですけど。それが生きてますよね。
植本 紹介します。『超訳 タイタス・アンドロニカス』。楠美津香さんの一人芝居で新宿タイニイアリスで3/1、…1回公演!?
坂口 それね、3月に別の演目でどこかでもう一回やりますから気にしておいていただくと、これに行けない方はそっちに行けばいいんじゃないですかね。
植本 7時半開演です。料金は前売2500円、当日が3000円。学生2000円です。そうか1ステージなんだ。贅沢だね。


こまつ座 日本人のへそ


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作◇井上ひさし
演出◇栗山民也
音楽◇小曽根真
出演◇石丸幹二 笹本玲奈 辻萬長 植本潤 他

3/8〜27◎Bunkamuraシアターコクーン

植本 軽く自分のを紹介します(笑)。『日本人のへそ』。井上ひさし追悼ファイナル。こまつ座第93回公演です。これ、今稽古してるんですけど。
坂口 どうですか。
植本 あのね、1幕2幕でガラッと変わる話なんですけど。1幕は20曲近く歌があって。作曲とピアノ生演奏が小曽根真さんなんですけど。さすが世界の小曽根で、すごいんですよ。こちらが絶対音感あるわけじゃないから、ふっと歌い出すじゃないですか。そのキーに合わせてあとからついてきてくれるので、なんかとても自分がすごくなったような(笑)。
坂口 勘違いしないほうがいいですね(笑)。ここにキャッチコピーがあるんだけど。東北の岩手から集団就職してきた人の話がベースになってます。今、もう集団就職ってないじゃない。若い人が知らない時代の背景をつくり出そうとしているわけですよね。そのへんは上手にできそうですか? 
植本 この劇の構造自体が複雑というか、お客さんを裏切っていく芝居だからまだ今の段階でははっきりはしてませんけど、その世界に近づこうとはしてますね。
坂口 曲がたくさんあることも、スピード感がいろんなことの潤滑油になってくる。お客さんを巻き込むということも含めてね。おもしろいお芝居がつくれる要素になっているのかなと思います。
植本 演出の栗山さんはそういうところがあるみたいで。たとえばピアノの間奏で長いところがあると「短くして」とよく言います。『日本人のへそ』こまつ座第93回公演。3/8〜27、bunkamuraシアターコクーンでの上演です。演出が栗山民也さん、音楽が小曽根真、振付が謝珠栄さんです。

奥秀太郎の5本目の舞台 『SOUTH OF HEAVEN』

 

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映像作家として才能を発揮している奥秀太郎は、演劇でも作・演出家として独自の世界を作り上げているが、その5本目の作品が、2月26日と27日にPARCO劇場で上演される。

奥秀太郎は映像プランナーとして東宝、NODA・MAP、宝塚歌劇団、大人計画等に参加して、東宝ミュージカル『エリザベート』『モーツァルト!』、NODA・MAP『ザ・キャラクター』『南へ』、宝塚歌劇団『カサブランカ』などの作品で活躍。
映画監督としては『壊音』、『日雇い刑事』、『日本の裸族』、『赤線』、『カインの末裔』(ベルリン国際映画祭正式出品)、『ドモ又の死』、『USB』などを発表している。

また、舞台の演出作品は、これまでに『黒猫』、『赤い靴』、『キミドリ』『FREAKS』と、どれもそのイメージ豊かな映像を駆使した舞台作りで話題を呼んできた。
今回の『SOUTH OF HEAVEN』は、主演と振付に「BATIK」としてコンテンポラリーダンス界で活躍する黒田育世、出演にパフォーマンス的演劇ユニット「冨士山アネット」の長谷川寧を迎えて、さらにレベルアップした作品をめざし、奥秀太郎らしい「美しく獰猛、凄惨な復讐劇」になるという。

【物語】時は現代。関東近郊のとある工業都市が舞台。中学生のとき同級生たちのいじめが原因で植物状態に落ちいった青年が10年間の植物状態からある日めざめ、かつての同級生たちを相手に凄惨な復讐を繰り広げる。「天国の南側には地獄へとつながる階段がある」旧約聖書の一節をモチーフに現在の日本の薄暗い風景をあぶりだす。

 

 

『SOUTH OF HEAVEN』

脚本・演出・映像◇奥秀太郎

出演◇黒田育世(BATIK)、長谷川寧(冨士山アネット、畠山勇樹、鈴木雄大、岡本孝、 あらいまい、内田悠一ほか

● 2/26〜27◎PARCO劇場

開演時間 26日(土)19:00   27日(日)14:00 / 18:00 

〈料金〉5900円(全席指定/税込) 

〈問合わせ〉NEGA 03-3405-5715

www.okushutaro.com

【文/榊原和子】
 
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