観劇予報

『向日葵かっちゃん』舞台化決定!

まずは松たか子に拍手!『2人の夫とわたしの事情』

L036664


脚本、演出、キャスティング、役者の演技。舞台美術に、照明、衣装、極めつけに上演時間までもが心地良い、演劇ならではの贅沢な時間がここにあった。

イギリスの劇作家、ウィリアム・サマセット・モームの戯曲を徐賀世子が訳し、更にナイロン100℃のケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)が脚本に手を加える。演出を担当するのもKERAである。

ひょんなことから夫が二人になってしまったヴィクトリア(松たか子)と、その二人の夫、ビル(段田安則)とフレディ(渡辺徹)の顛末をシニカルに描いたこの作品。

とにかくまず魅力的なのが松たか子のヴィクトリア。「私は利己的ではないから。」としおらしく呟いたと思ったら、次の瞬間には二人の夫に無理難題を突きつけ、自分の希望が叶わないと感じた瞬間に夫を責める。
「利己的ではない」どころか、自分勝手としか言いようがない女性なのだが、どこか憎めない存在で、美しく、可愛らしくもある。発言に、行動に、ヴィクトリアとしてぶっ飛んだ魅力を放ち続けた松たか子に拍手を送りたい。

これだけ松の魅力が全開だと、松の独壇場になりかねないところだが、全くそうはならないのがこの作品の凄いところ。
二人の夫を演じた段田や、渡辺は夫の立場の弱さや、ちょっとしたズルさ、憎たらしいけど可愛くてたまらないヴィクトリアへの愛情を滲ませていて微笑ましかったし、ヴィクトリアの母、シャトルワース夫人の新橋耐子、ヴィクトリアに思いを寄せるレスター・ペイトンの皆川猿時、他、池谷のぶえや、西尾まり、皆戸麻衣、水野あや、猪岐英人と個性的なキャストが、適材適所で集められ作品の層を厚くする。
全ての歯車が噛み合って、一つの作品が出来上がるその気持ち良さは見ている側にも伝わるものだ。

何気ない台詞の間や、動きの間、気付かないような細かい演出の積み重ねが、この作品全体の面白さになっているのだと思う。演出と上演台本を担当したKERAの力は大きい。

10分間の休憩を2回挟んだ幕構成も見易い。1幕が大体45分前後。「もう少し見たいのに。」と思うところで幕が降り、それがまた次の幕への期待に繋がる。
幕それぞれガラっと変わるセットも見ごたえアリ。この夫婦どうなるの?次は?次は?と話に引き込まれていたら、いつの間にか終わってしまい本当に退屈する時間がなかった。

笑いは緊張と緩和で生まれるなどと言うが、それを心の底から実感した幕でのあの緊迫感が忘れられない。基本はコメディ、でも間に人の本質、狂気までもがチラっと顔を出す。作品、役者、演出、舞台に関わる全てのものが、高い位置で出会った贅沢な演劇だった。




シス・カンパニー公演
『2人の夫とわたしの事情』
作◇サマセット・モーム
演出・上演台本◇ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演◇松たか子、段田安則、渡辺徹、新橋耐子、皆川猿時、猪岐英人、水野あや、池谷のぶえ、西尾まり、皆戸麻衣
●4/17〜5/16◎Bunkamura シアターコクーン 
〈料金〉S席¥9000  A席¥7000  コクーンシート¥5000
〈問合せ〉シス・カンパニー 03-5423-5906
http://www.siscompany.com/


【文/岩見那津子】
 

神奈川芸術劇場 芸術監督発表会見

DSCF2635
横浜に2011年1月にオープン予定の神奈川芸術劇場の初代芸術監督に、演出家の宮本亜門氏の就任が決定、その発表会見と竣工中の劇場内の様子が4月7日、報道陣に公開された。
初代芸術監督に選ばれた宮本亜門氏は、芸術面での方向性の検討や運営方針の決定などに携わる。任期は2010年4月〜2014年3月の4年間となる。

image008

【神奈川芸術劇場について】

●場所
みなとみらい線「日本大通り駅」と「元町・中華街駅」のちょうど中間地点で、山下公園にも近く、神奈川県民ホールの南側に位置している。

●建物
劇場デザインは、彩の国さいたま芸術劇場や可児市創造文化センターと同じ建築家香山壽夫氏。
高さ約50メートル(NHKアンテナタワーを含めると約110メートル)の地上10階・地下1階建ての鉄筋コンクリート。吹き抜けがあるアトリウムなど、横浜の明るく開放的なイメージをモリーフにしてある。
1300席の中ホール、220席の小劇場にもなる大スタジオと中スタジオ、小スタジオ(アトリエ)があり、稽古場としても活用できる。現在の神奈川県民ホールは、2488席の大ホールと433席の小ホールを持っているので、公演の規模によって使い分ける。

●演目
1年を四つの季節、4シーズンに分ける。1シーズン目の春は「温故知新」、まず『金閣寺』(演出・宮本亜門)でこけら落し、日本文学などがメインの演し物。2シーズン目の夏は「オープンシアター」で、アミューズメント的に使用。3シーズン目の秋は「アートトリエンナーレ」、横浜市と共同して外国のアーティストなども紹介。4シーズン目の冬は「パーティー」コンサートやカーニバルなど広場的な催しをメインに。

DSCF2653
(工事中の中ホール)

● 劇場コンセプト
○県内に不足している舞台芸術専用の高機能な施設として整備し、東京に依存して いる優れた舞台芸術作品(ミュージカル、演劇、ダンスなど)の鑑賞機会を県民に提供する。

○神奈川県民ホールを補完する中規模ホールとして整備し、県民ホール(本館)と一体的に運営することにより、神奈川県の文化芸術の広域拠点機能を果たす。本館は2488席の大ホールと433席の小ホールを持っているので、神奈川芸術劇場は1300席という中規模の公演のニーズに適応していくことになる。また220席の劇場にもなる大スタジオなど3つのスタジオ・アトリエがあり、稽古場としても活用できることになる。

○3つの「つくる」を満たす。
1、モノをつくる/演劇、ミュージカル、ダンス等の舞台芸術作品を創造し、発信する。県民の財産となるようなオリジナル作品を創造し、次代に引き継ぐ。
2、人をつくる/舞台技術者、アートマネージメント人材など文化芸術の人材を育成。よりよい作品作りのために、劇場スタッフが施設利用者をサポート。
3、まちをつくる/公演事業の積極展開、創造人材の交流及びNHKの横浜放送会館をはじめとした近隣施設との提携により、賑わいや新たな魅力を創出し、地域の価値を高める。 

DSCF2657
(工事中の大スタジオ)

この日の会見では松沢成文県知事が、「昨年の開国150年記念博で上演されたオリジナルショー『ヴィジョン!ヨコハマ』の成果が素晴らしかったので、断られるのを覚悟で芸術監督をお願いした。ジャンルを超えた、宮本さんの個性を生かしたソフトを神奈川芸術劇場から、全国そして世界に発信していきたい」と挨拶。

宮本亜門氏は「この神奈川芸術劇場を「我々はなぜ生きるのか、どのようにして生きるのか」ということを考える場にしたいと思っている。さまざまな人間の在り方を探り、提示しながら、「いかに生きるべきだろうか」と観客に問いかけ、ともに考えていきたい。
演目は、あえてジャンルにはこだわらず、ジャンルを超えたあらゆる方向から表現を提示していきたい。こけら落しの『金閣寺』は、小説の中の最高峰の傑作だが、それ以上に今の現代人に観て欲しい内面を見事に持っている作品。その他のプログラムも、日本の文学、戯曲を通じて日本を再認識したい。
また劇場という形態にも縛られず、ときには劇場の建物を飛び出して、神奈川や横浜の街でパフォーマンスを展開することも行ないたい。神奈川は、もともと素晴らしい歴史と独自の文化を持っている地域。そういう意味では新しい劇場が立つ意味は深い。ここだからこそ生まれる活気を大切に、将来的には劇場の建物そのものを、いつも人が集まっているような、活気ある広場にしていきたい」など抱負を語った。

神奈川芸術劇場の通称は「kaat カート」、イメージカラーはオレンジ色になる。

map

神奈川芸術劇場

住所/横浜市中区山下町281

問合せ/231-0005 横浜市中区本町1-5 西田ビル4F

TEL 045-633-3708  FAX 045-681-1691 

 http://@kaat.jp

 

【取材・文/榊原和子】

 

 

『博覧會〜世界は二人のために〜』公開舞台稽古と囲み

『博覧會〜世界は二人のために〜』の公開舞台稽古と囲み取材が、8日、東京グローブ座にて行われた。

冒頭から約40分間ほど稽古が公開されたのだが、達者な出演者たちによって、心地よいテンポでストーリーが進み、後半の展開へと一気に引き込んで行く。
背景となるのは戦前の台湾。博覧會のためにやってきた一座の話で、女形役者とその娘、一座の親方や座員たち、また現地の役人などの登場人物が繰り広げる、おかしくちょっと切ない人情劇になっている。
作は劇団「猫のホテル」主宰の千葉雅子。演出は昨年の『49日後…』などを手がけた池田成志。千葉と池田は役者としても作品に出演し、更に大人計画の荒川良々、映画でも活躍中の星野真里、女形ならおまかせの篠井英介、実力派の男優たち、大谷亮介や菅原永二という個性的な役者が集まった。

囲み取材には演出の池田のほか、荒川、星野、篠井が登場した。

s_P4080352

ーー初日を前にした今の心境をお願いします。

篠井 楽しいお芝居なのでエンジョイしてます。我々舞台に上がっている人間がすごく楽しそうなのが、お客様に伝わればと思います。

星野 あっという間にこの日が来てしまったなというような感じで、時間がもっとあったらいいのになって思うのと、でも、あんまりやり過ぎてもどうなんだろうっていうのもありますし、とりあえず、お客さんが楽しんでくれたら嬉しいです。

荒川 楽しくやってます。演じる、ことが、はい、楽しく。

池田 今日からいよいよお客さんが入るので、期待と不安が。でも喜んでもらえるんじゃないかなって思います。

ーー稽古場の雰囲気はいかがでしたか?

篠井 和気藹々ですよ。私とか大谷亮介さんは、こんな時代に生まれていれば、もう少し日の目をみたのにも関わらず現代に生まれてしまったので、懐かしいというか、あんな時代に生まれたかったね、って感じでやってますけど、お若い方々が、昭和の古きよき時代の雰囲気をすごく良く出してくださって、そして、現代的な味わいもいっぱい出してくださってるんで、若い人を見てるのがすごい共演者として楽しみでございます。

星野 この頃のことは全然知らないので、篠井さんや、成志さんや、大谷さんに色々教えていただきながら、みんなで意見を出し合うというか。成志さんはもちろんですが、篠井さんも色んなことを教えてくださるので、すごく勉強になってます。

荒川 僕も本当に勉強、勉強で。本当に勉強させていただくことから、始まりました。あのやはり喋り方であるとか、そういうことが。今の現代人はハッキリものをいう、語尾をしっかりとか。基本的な、あと大きな声でっていうのを、はい、非常に勉強になりました。

池田 最初は潰れかけてる一座っていう雰囲気、昔の芸人さんの雰囲気っていうのを、どう出せばいいのかみんなで考えてて。でも毎日稽古つけてくにつれて、みんなどんどんそういう雰囲気になりましたね。戦前の話なんで、当然僕も篠井さんも大谷さんもみんな知らないんですよ。僕らなりの想像力を駆使した感じで、そういう雰囲気だろうな、と。とても良い感じになってると思います。

ーー演出家としての池田成志さんについての印象は?

篠井 成志さんはご本人も役者さんなんで、役者の生理をよくわかってくださっていて、とてもわかりやすいです。今度の作品は意欲作でして、演出の力で老若男女、色んな人に、見ていただける作品に見事に仕上がっていると思います。

星野 意外と厳しいなっていうのが(笑)、素直な感想で。でも表裏が全然ないので、良かったら良いっていうし、悪かったら素直に悪いって言ってくださるので、私はすごく心地良かったです。

荒川 迷いながらも、やはり良い方向に向いたんじゃないですかね。

一同(笑)

池田 なに、お前上から言ってるんだ(笑)!

ーー池田さんは今回個性的な俳優陣を演出していますが、いかがですか?

池田 本番に入ったら良くなるよってことを前提に先に先に言うんで、そこはみんな辛かったんじゃないかと。亀の人とうさぎの人をみんなうさぎにしようとするタイプなんですよ。でも今回はそういうこともいけないなと思いもいながら、行っては帰り、行っては帰りで。みなさん、舞台の上じゃ個性的ですけど、まっとうな方たちなので今回は本当に楽でしたね。

ーー荒川さんは二枚目の役だということですが。一味違った荒川さんが見られる?

荒川 そうですね。いや、どうですかね?自分自身では二枚目だとあんまり意識してなくて。自然にやっぱ出てくるものが、はい。

ーー二枚目の荒川さんはいかがですか?

星野 頼りがいのある背中をいつも見せていただいて。温もりを感じながらやらせていただいてます。

荒川 そうですね。身体、温かいですからね。背中は温かい、はい。

ーー星野さんのお父さん役が篠井さんですが、舞台の上で篠井さんを父親のように頼れるなっていう瞬間はありますか?

星野 本当にもう、男性としての動き、女性としての動き、全部わかってらっしゃるので、私にも、色々細かいところアドバイスしてくださいますし、ほかの方にもアドバイスしてくださいます。お稽古場で色んな人の事を見てくださっていて、それはすごくありがたいなって毎日感じていました。

篠井 うるさいおばちゃんなだけで(笑)、ただ芝居が好きなので、みんなを見ちゃう。この二人(荒川・星野)とかラブシーンやるんですよ。それがまたね、すごく意外って言ったらあれなんですけど、綺麗なんです。すごく素敵なんです。なので、みんなにそこを見てもらいたいって思います。とっても二人が美しく、清らかで綺麗で切ないんです。ちょっと想像できないでしょ、今ここに並んでるの見ても(笑)。みんな元々ファンなんですけど、改めて共演のみなさんのファンになりましたから、それはやっぱり嬉しいし、素敵なことなんですね。一緒にやってて。なので、嬉しい公演になってます。

ーー意気込みを最後にお願いします。

池田 若い方でも、お年を召した方でも、男でも、女でも、落語の人情噺のような、軽い気持ちで、ちょっと良い話見にいこうかなって感じで見ていただけると、本当に楽しめるんじゃないかと思うので、是非見にいらしてください。

荒川 最近、この難しい時代のなか、本当に簡単な、簡単なって言ったらあれだけど、人と人との繋がりが…まぁ(笑)、楽しんで見て頂ければ嬉しいです。

星野 私自身はあまり馴染みのない時代なんですけれども、そんな私でも、すごい素敵なお話だなぁと。自分が出ていなかったら見に行ってみたいなと思うような作品なので、一人でも多くの方に見ていただけたら嬉しいです。

篠井 脚本の千葉雅子さんと池田成志さんの力で、素敵だなぁ、楽しいなぁ、面白かったわ、なんか胸を打たれたわ、っていう風なものになってると思うので。割と今回、料金もちょっとお安めになっております。もうみなさん、演劇もいいよ!駆けつけてください!

hakurannkai

パルコ・プロデュース

『博覧會〜世界は二人のために〜』

作・出演◇千葉雅子

演出・出演◇池田成志

出演◇荒川良々 星野真里 篠井英介 大谷亮介 菅原永二

●4/8〜21◎東京グローブ座

●5/1◎ももちパレス(福岡県立ももち文化センター)

●5/4、5◎梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ

〈料金〉

東京/¥5800 (8日プレビュー公演¥5000) (全席指定/税込)

福岡/¥6300

大阪/¥6300

〈お問合せ〉

東京/パルコ劇場 03-3477-5858

福岡/ピクニック092-715-0374

大阪/キョードーインフォメーション 06-7732-8888

http://www.parco-play.com/

 

 

【取材・文/岩見那津子】

記事検索
QRコード
QRコード

演劇キック

観劇予報

宝塚ジャーナル

演劇人の活力源

日刊えんぶ

えんぶ情報館

えんぶショップ

えんぶミロクル

えんぶfacebook

広告について