稽古場見学、記者発表、インタビューなどから、近々公開される作品のおもしろさを探ります。

『真夜中の弥次さん喜多さん』三重

さいたまネクストシアター『2012年・蒼白の少年少女たちによる「ハムレット」』レビューとインタビュー

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こまどり姉妹の出演で話題の「さいたまネクスト・シアター」公演『2012年・蒼白の少年少女たちによる「ハムレット」』が、2月20日、初日の幕を開けた。

その前日の昼間に通し舞台稽古が行なわれ、プレス関係者に公開された。


蜷川幸雄が選んだ若き無名俳優たちによる劇団「さいたまネクスト・シアター」、その3作目はシェイクスピアの『ハムレット』。
29名の若者たちがこの名作に挑むわけだが、今回の大きな話題は、蜷川の熱烈なリクエストで「演歌の女王 こまどり姉妹」が特別出演することである。 
 

北海道から 13歳で上京し、60年代の高度経済成長期に日本を代表する演歌歌手として絶大な人気を誇ったこまどり姉妹は、まさに日本人の思いと情緒を代弁する歌い手だった。

当時から彼女たちをリスペクトしていた蜷川は、今回の舞台の中で、2012年の若者の身体と感情に大衆芸能のシンボル、こまどり姉妹の圧倒的なエネルギーをぶつけ、そこに果たして何が生まれるのかを提示してみせる。


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この公開稽古で明らかになったこまどり姉妹の出演場面は、蜷川いわく「誰も当てることができなかった」というだけあって、実に衝撃的。
 
父王殺しの復讐を秘めて狂気を装うハムレットと、彼の変貌に苦しむ恋人のオフィーリア、その背後の幕が開くと、煌煌と注ぐライトを全身に浴びながら、華やかな着物姿のこまどり姉妹がヒット曲「幸せになりたい」を歌いながら、恋人たちのいる風景の中を通り過ぎていく。

「幸せになりたい」という歌声の明るい悲しみ、そして艶やかな力強さは、復讐へ死へと突き進むハムレットと、ハムレットを失い狂気へと落ちてゆくオフィーリアの、絶望的な運命を照らし出し、同時に2人の若者のうちにある生への渇望とでもいうべきものを引きずり出してみせる。そのことにより、この物語を覆う悲劇がよりいっそう痛みを伴って伝わってくるのだ。

この他にも二幕にもう1カ所の出番があって、そこではさらに、この作品自体を相対化してしまうほどの「生」の輝きを放ってみせる。そういう意味では蜷川の意図通り、2012年の若者たちが全力で対峙するに相応しい強靭な魂、それが「こまどり姉妹」なのである。


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また、この『2012年の蒼白の少年少女たちが演じる「ハムレット」』は、いつもながら劇場作りから
蜷川演出らしい企みが加えられていて、今回の彩の国さいたま芸術劇場の大ホールに作られたインサイド・シアターは、透ける舞台という斬新さ。

舞台下の空間を、透き通ったアクリル板越しに眺められるようにしてあって、奈落でも物語が演じられるという仕掛けになっている。
 

この公演で7度目と『ハムレット』を知り尽くしているからこそ新しい試みで取り組む蜷川と、「ネクスト・シアター」のキャストたちの若さ、そして「こまどり姉妹」という伝説的大スターの出合いで、これまでになく生々しく美しく、真に悲劇的な『ハムレット』が、そこに立ち上がった。


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写真は一幕のみ


【囲みインタビュー】

この公開稽古前に、蜷川幸雄とこまどり姉妹が囲みインタビューに登場した。

蜷川「40年恋い焦がれてきたお二人が出てくれて幸せです。出て来るところは誰も当てることが出来なかった(笑)。歌ってきた歴史が体現されているお二人にノックアウトされると思います」

こまどり姉妹「昔、コロンビアに入るとき妹はいやがったんですが、1年間だけやりましょうよと言って始めたのが、もう54年です(笑)。長い間一緒に歌ってきたからこそ、こんな奇跡が起きました。蜷川先生に呼んでいただけて嬉しいです」

蜷川「3.11以来、日本人というものが歌謡曲と無縁ではないことを立証したと思う。こまどり姉妹には今年の紅白に出て欲しいね」

こまどり姉妹「蜷川先生は灰皿を飛ばすと聞いていたけど飛んで来なくて。思い出にしたいので飛ばしてほしいと思っていたんですけど(笑)」

黒の振袖に鮮やかな刺繍だけでなくスパンコールまで縫い付けて、年齢を感じさせない華やかなこまどり姉妹は、最後に加わったハムレット役の川口覚とオフィーリアの深谷美歩とともに記念撮影を行なった。


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さいたまネクスト・シアター第3回公演 

『2012年・蒼白の少年少女たちによる「ハムレット」』 

作◇W.シイクスピア 

演出◇蜷川幸雄 

翻訳◇河合祥一郎

出演◇さいたまネクスト・シアター 

浅場万矢、浦野真介、大橋一輝、川口覚、熊澤さえか、小久保寿人、佐々木美奈、周本えりか、 

鈴木彰紀、朕紗友、手打隆盛、土井睦月子、隼太、深谷美歩、堀源起、松田慎也、茂手木桜子、 

露敏、内田健司、内田真莉奈、岡部恭子、長内映里香、河内耕史、白川美波、高橋クレア、 

高山皓伍、平山遼、何嘉晃、吉武遥、中西晶 

こまどり姉妹(特別出演) 

●2/20〜3/1◎彩の国さいたま芸術劇場 インサイド・シアター(大ホール内)

〈料金〉4000円(全席自由) 

〈問合せ〉彩の国さいたま芸術劇場 0570-064-939(休館日を除く10:00~19:00)

Webサイトhttp://www.saf.or.jp/


【取材・文/榊原和子】
 

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『さまよえるオランダ人』衣裳デザイナーひびのこづえトークセッション


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3月8日に初日を迎える新国立劇場オペラ『さまよえるオランダ人』は、2007年に初演、そのときに衣裳を手掛けたのは、オペラ初登場のコスチューム・ デザイナーのひびのこづえ。
今回の再演に先立ち、ひびのこづえと演出家マティアス・フォン・シュテークマンによるトーク・セッションが、2月27日夜に開催される。(入場無料)


リヒャルト・ワーグナーの傑作オペラ『さまよえるオランダ人』のモチーフである幽霊船は、映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』と同じ“フライング・ダッチマン”。不老不死の呪いがかけられ海をさまようオランダ人の船長は、7年に一度上陸し、永遠の愛を誓う乙女と出会わなければ救われない。そこに現れるのが、オランダ人船長との運命的な出会いで魅せられて純愛を捧げるゼンタ…。 

 

この作品の「今だから語れる『さまよえるオランダ人』の舞台」ということで、マティアス・フォン・シュテークマンとひびのこづえで、創造の裏側や、見どころをトーク。

また、2人がチームで取り組んだ新国立劇場作品、こどものためのオペラ劇場『ジークフリートの冒険』(04年)や『魔弾の射手』(08年)のエピソード、さらには舞台、テレビ、映画など幅広い分野で活躍する2人の活動など、盛りだくさんの内容を予定している。

オペラや演劇など舞台芸術に興味を持つ方はもちろん、将来ディレクターやデザイナーなど、クリエイティブな仕事を目ざす学生の方にも役に立つイベントである。 

〈登壇者プロフィール〉

マティアス・フォン・シュテークマン (Matthias von Stegmann) /演出

ミュンヘン生まれ。バイロイト音楽祭やロイヤルオペラなどで演出補を経て、新国立劇場やヨーロッパでワーグナー、ヴェルディ、モーツアルトなどを演出。新国立劇場でワーグナーのこどものためのオペラ劇場『ジークフリートの冒険』のテキストと演出。同作は絶賛を博しウイーン国立劇場、チューリッヒのオペラハウスでも上演された。俳優としてメトロポリタン・オペラ『後宮からの逃走』でセリム・パシャを演じ、 TV や映画分野ではドイツ語版の翻訳、演出。『シンプソン」ドイツ語版が好評。今後の予定は新国立劇場の 12 年 6 月「ローエングリン」、ミンデンオペラ劇場の「トリスタンとイゾルデ」。バイロイトの 2013 年ワーグナー生誕記念公演「リエンツィ」、指揮はクリスティアン・ティーレマン。 

ひびのこづえ衣裳

雑誌、ポスター、テレビコマーシャル、舞台(演劇・オペラ・ダンス)、映画、など幅広い分野でファッ ション・デザイナーと異なる視点で独自のコスチュームをつくり続けている。また多くのブランドへのデザイン提供や、個展、作品集、展示会、イベントやワークショップ、ウェブサイト等を通じて、多くのファンに支持されている。その活動の一部を紹介すると、数多くの野田秀樹演出作品、愛・地球博、映画「ゲゲゲの鬼太郎」、NHK教育テレビ「にほんごであそぼ」「ハピえいご」「からだであそぼ」、著名シンガーのPV・舞台への衣装提供、「Tama Rivers〜空飛ぶめだかの学校〜」イベントプロデュース・パフォーマンス衣装、数々の森山開次とのコラボレーション・パフォーマンス衣装、等々。東京芸術大学美術学部デザイン科卒業。

 

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ひびのこづえデザイン画。

幽霊船の乗組員たちの衣裳、全員が集まると帆船になる。「群衆に興味がある」ひびのこづえならではのデザイン。



国際連携プロジェクト 
『さまよえるオランダ人』
トークセッション
「今だから語れる舞台創造の裏側」

演出家マティアス・フォン・シュテークマン×衣裳デザイナーひびのこづえ

日時:2月27日(月) 6:30〜

会場:新国立劇場 オペラパレス・ホワイエ

講師:マティアス・フォン・シュテークマン(演出)

   ひびのこづえ(衣裳デザイナー)

イベント参加について:劇場HPでの受付は23日まで。申込みが間に合わない場合は、当日会場受付で「演劇キックを見た」と言えば入場できます。

劇場サイトのイベント案内:http://www.nntt.jac.go.jp/release/updata/20001830.html



新国立劇場オペラ2011/2012シーズン公演

オペラ『さまよえるオランダ人』

●3/8〜20◎新国立劇場オペラパレス
チケットボックス 03-5352-9999 

特設ページ http://www.atre.jp/12hollander/index.html 




文/榊原和子】

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仲代達矢の無名塾が英国流ホームコメディの傑作『ホブソンの婿選び』を上演!

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役所広司、益岡徹、若村麻由美など多くの俳優を輩出したことで知られる無名塾。俳優として、人間としての磨きをかけ、品格の高い芸質を備えた役者を育てることを目的に仲代達矢と夫人の宮崎恭子(演出家隆巴・故人)により設立されました。この春、仲代達矢が無名塾のメンバーとともに、英国流ホームコメディの傑作の舞台に立ちます。


今作は仲代達矢が役者になりたての頃に観て大感動したイギリスの傑作喜劇映画の原作戯曲。映画では名優のチャールズ・ロートンが頑固親父のホブソンを主演、監督は憧れのデビッド・リーン。

仲代曰く「此の度、思い切って、チャールズ・ロートンの、ホブソンに挑んでみようと思う。無名塾の若者たちと共に…。演出は大好きな丹野郁弓さんです。どうぞ御笑覧の程を。」


1886年のイギリスの片田舎を舞台に、靴屋を営むホブソン一家の大変化。1886年はイギリスではビクトリア時代後半。商人たちが力を持ち始め、そのエネルギーが産業革命の旗印となり、その後の大英帝国経済圏へと発展していく頃です。そんな時代に妻に先立たれ、飲んだくれている頑固親父ホブソンに、反旗を翻した娘達。面白おかしく、簡潔で力強い人物たちが生き生きと描かれた『ホブソンの婿選び』。きっと今の私たちに笑いと元気がやってくる!



【公演情報】

無名塾
『ホブソンの婿選び』
3/17〜24◎ル テアトル銀座
作◇ハロルド・ブリッグハウス 訳・演出◇丹野郁弓
出演◇仲代達矢 渡辺梓 樋口泰子 松浦唯 ほか

無名塾

http://www.mumeijuku.net/

オフィシャルフォトムービー公開中!


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