稽古場見学、記者発表、インタビューなどから、近々公開される作品のおもしろさを探ります。

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洒落たコメディに挑戦する若手俳優 山田ジルソン インタビュー


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TPT
などの舞台で注目されている若手俳優、山田ジルソンの新しい舞台が、まもなく幕を開ける。
オリジナルコメディを上演し続けているD.K HOLLYWOODの『Zip-A-Dee-Doo-Dah』が、その公演である。
D.K HOLLYWOODは、元ちびっこギャングの越川大介が1995年に設立し、今年15周年を迎える役者集団で、3秒に一度炸裂する笑い、映像的なカット割り、スピーディーかつスリリングな展開のコメディーで独自の舞台作りを続けている。

今回のストーリーは、経済恐慌後の1930年代のブロードウェイ、再起をかける落ちぶれプロデューサーをめぐってワガママ放題の大女優や、恨みを持つマフィアのドンなどが絡んで、抱腹絶倒の大爆笑劇へと展開していく。その舞台でサムという映画界の青年を演じる山田ジルソンに話を聞いた。

【フォッシーテイストのダンス】

ーー今回初めてのD.K HOLLYWOODの稽古場ですが、いかがですか?

ダンスがあるのでたいへんです。しかも普通のダンスと違ってて、演出されてる越川大介さんの振付けなんですが、ジャズ系でボブ・フォッシー風のものなんです。これまで僕はヒップホップみたいなのはずいぶんやってたんですが、ジャズ系は初めてで、やっぱり難しいですね。でも、ユニークでかっこいい振りになってますので、観たかたにはきっと喜んでいただけると思います。

ーーダンスは得意だと聞いていますが、もともとミュージカル志望だったのですか?

いえ、最初は喋るの好きだったのでタレント志望だったんです。でも舞台に出る機会があってから、もっとちゃんと芝居ができる俳優になりたいと思って、そこからどんどん意識が変わりました。

ーーこれまで舞台にはけっこう出てらっしゃいますね。

初舞台が2年前で、それ以来、朗読劇を含めて4本出ています。TPTには『血の婚礼』(09年)と『キレイじゃなきゃいけないワケ』(0910年)と、2本出演させていただきました。でもこれまで全部ストレートプレイだったので、今回はダンスのある舞台というのでちょっと緊張しています。

DSCF3591ーー稽古場の取り組みでとくに大変なことは?

今までなら1カ月の稽古期間を芝居に集中していればよかったんですが、今回は芝居の稽古とダンスの稽古という、そういう頭を切り替えるのがたいへんで、しかもコメディなので自分なりの工夫がいるし、同時に頭を2つも3つも働かせないといけので。そこがこれまでにない大変さだと思ってます(笑)。

ーー初めて経験するコメディの面白さは?

たとえばストレートプレイだと感情を強く出していいところでも、コメディだとちょっと押さえめに言うことで面白さを狙っていくと思うし、間とかニュアンスが違うなと感じます。それを軽く自然にやってる皆さんはすごいなと思って見ています。僕はまだ大げさに笑いを取りに行き過ぎてて、そこがずっと課題なんです。

 

【ぐしゃぐしゃになって?】

ーー本の中身とか物語はどんな感じですか?

1930年代の経済不況の時代に、アメリカの再生を図る公共事業促進局というのができるんですが、その利益をめぐって、ギャングからおばあちゃんまでさまざまな登場人物が現れて、ぐしゃぐしゃになって真っ直ぐになって、またぐしゃぐしゃになって、たいらになってみたいな。というのは越川さんの解説なんですが(笑)。そういう、芸能の世界に関係した人たちが集まって色々やっているところに、大型ハリケーンが来たり(笑)。そんななかで生まれる笑いをテンポよく作っているんです。僕はサムという映画関係の青年で、演じる為に当時の時代背景も勉強してはいるんですが、結局目の前の台本を読み込んで、その時代をまっすぐに生きるしかないと思っているんです。

ーージルソンさんから見たこのカンパニー、D.K HOLLYWOODならではの面白さは?

以前観た時にいちばん感じたのは、みんながアドリブっぽく喋ってて、こんなにアドリブがあっていいのかなと思ったんです。それが今回台本をいただいたら、全部セリフなんだとわかって。そこにすごくびっくりしました。そういう計算されたおしゃれな面白さなんですよ。それに見せ方としての映像的な面白さもすごくあるんです。

ーーそういうセンスや見せ方を自分にも感じてもらうように、というのが課題ですか?

DSCF3576そうなんです。でも周りの皆さんがすごくセンスあるので、ちゃんと付いていけば大丈夫だろうと(笑)。自分が出てないところを見てると、本当に笑えるんです。こんなに笑ってていいのかというくらいオカシイ(笑)。それに今回は、時間軸がずれていくんです。こっちでこういうことが起きているとあっちでは別のことが起きてるみたいな。そういう感じで話が進んでいくから楽しいし、いわゆるバックステージものなので、そこにも興味を持っていただけるかなと思っているんです。

ーージルソンさんの話を聞いていると自分の出る公演を楽しんでるし、舞台がすごく好きなんだろうなと。TPTの作品などを観ていてもそんな感じがしました。

好きですね。いつも自分の役もそうですが、やればやるほど作品そのものが好きになっていくんです。今回も稽古場から作品の素敵さを感じていて、この機会にコメディもできるようになりたいし、役者としての可能性を少しでも広げられたらいいなと思っています。

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D.K HOLLYWOOD

Zip-A-Dee-Doo-Dah

作・演出・振付◇越川大介
出演◇鶴町美香、小貫昌子、山口草太、川田誠司、大崎慈益、外谷俊弥、石田太一、阿部将史、中嶋百合子、小西徹幸、越川大介、下宮里穂子、武下公美、葛西幸菜、丸高愛実/山田ジルソン、佐藤幹、近岡祥太

●6/1620◎シアターサンモール

〈料金〉前売り¥4000、当日¥4300(全席指定、税込)

〈お問合せ〉D.K HOLLYWOOD  03-5371-9005

*「ジルソン=元気ブログ」http://yaplog.jp/gilson0212/

【取材/榊原和子 文/岩見那津子】

 

 

新たなスタンダードへの旅『キャンディード』

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舞台に浮かぶ輪。
それが答えでもあり、物語が進む先をうっすらと指し示してくれる存在でもあった気がする。舞台上に登場する人物が全て、その輪の中にいるような、そんな感覚になる。

楽天主義を主張するパングロス博士(市村正親)。その対極に悲観主義者であるマーティン(村井国夫)が居て、主人公で“純真”という意味の名を持つキャンディード(井上芳雄)はその輪の中で旅を続け、たくさんの人と出会い、喜びも、悲しみも、ありとあらゆる経験をし、一つの考えに辿り着く。
楽天主義も悲観主義も、愛も、憎しみも、全てが同じ輪の上にある。キャンディードは世界中を旅することで人と人とを繋ぎ、そのことを発見するのだ。

対極に思えるものも実は全てが一つの輪の中の出来事であるということに加え、さらに、その物語自体が一人の作家によって生み出されたものだという入れ子式の構造によって、この『キャンディード』の世界は一層深みを増す。

パングロス博士の他、二役で市村正親演じる作家・ヴォルテールが、まるで音楽を紡ぎだすかのように自在に、軽やかに、一人ひとり、物語を生きる人々に命を与えていくのが、このミュージカルのオープニングだ。
キャンディードも、パングロスも、マーティンも、その他全ての人がヴォルテールによって創造された人物であり、キャンディードを中心として進む物語もヴォルテールの想像である。すなわち、純真なキャンディードも、楽天主義のパングロスも、悲観主義のマーティンも、全てがヴォルテール=「一人の人間」の中に存在するということだ。

どんな人間の中にも醜さは存在するし、また美徳もある。しかしそれがどう表にあらわれるかは、その人の置かれた環境も影響するだろが、何よりその人自身の心の持ちようなのかもしれない。醜くも美しくもなれる中で、自分がどう世界に存在すべきか、キャンディードは問い掛けてくる。

この入れ子構造の物語を見事に視覚的に表したのが、ロシアのマトリョーシカ人形のように、大きな箱から、どんどん小さな箱が出てくるという、宝箱状の舞台美術。セットはほぼこれだけなのだが、箱を組み合わせて馬に見立てたり、川を下る船に見立てたり、ただの箱は次から次へと姿を変える。
浮かぶ輪と入れ子状の箱。たったこれだけで舞台上には世界を巡る冒険の旅が広がり、また、たったこれだけの舞台美術が作品に込められたメッセージをより明確に浮かび上がらせる。シンプルさの中にぎゅっと詰まった美術の意味は、想像力を刺激するこの舞台の大きな醍醐味だったし、演劇的なジョン・ケアードの演出に心地良く浸る為の大きな手助けにもなった(装置/ユン・ペ、装置原案/ジョン・ネピア)。

話は哲学的で少し難しい部分もあるかもしれないけれど、ストンと入り込んでしまえれば、キャンディードと一緒に観客も、自分の中に芽生える様々な感情や、様々な人と出会い、経験し、学び、成長する旅を体感できるはずだ。
ジョン・ケアード版『キャンディード』は、これが日本初演。その時その時で見る人に何かを語りかけてくれる『レ・ミゼラブル』のようなスタンダードとなるミュージカルが、また新たに誕生したというワクワクする高揚感が観劇後に残った。

 

 

ミュージカル

『キャンディード』

原作◇ヴォルテール

作曲◇レナード・バーンステイン

作詞◇リチャード・ウィルバー

上演台本・演出・◇ジョン・ケアード

出演◇市村正親、井上芳雄、村井国夫、新妻聖子、坂元健児 他

●6/2〜27◎帝国劇場

〈料金〉S席¥12500、A席¥8000 B席¥4000

お問い合わせ◇ 03-3201-7777(東宝テレザーブ)

 

【取材・文/岩見那津子】

冒険と哲学の旅、ミュージカル『キャンディード』プレビュー・インタビュー

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『ウエストサイド・ストーリー』などを手掛けた作曲家、レナード・バーンスタインの音楽で有名な『キャンディード』が、6月2日に帝国劇場で幕を開けた。
フランスの啓蒙思想家ヴォルテールの原作をもとに、作られたこのミュージカルは、これまでも沢山の演出家により上演されてきたが、今回は1999年にロンドンで大評判となったもので、日本でも『レ・ミゼラブル』や『ベガーズ・オペラ』で有名な演出家のジョン・ケアードが、台本改訂・演出を手がけている。

物語は、ラテン語で“白”という意味を名前を持つ主人公のキャンディードが、さまざまな国を放浪して困難と出会い、愛と人生を知る冒険の旅で、ファンタスティックで笑いと示唆に富んだミュージカルで、バーンスタインならではの名曲がちりばめられている。
その舞台の公開稽古と囲み取材が6月1日行われた。

主催側の説明によると、まだ一度も通し舞台稽古が行われていなくて、初めて通して演じるのがこの日のプレビュー公演ということ。それだけに、いきなりお客さんが入った状態での公開稽古を前にして、出演者たちは、やや緊張した面持ち。だが稽古を積み重ねて深まったカンパニーならではの突っ込みや冗談も出て、楽しい取材風景となった。

取材に登場したのは、『キャンディード』という物語の作者でありミュージカルの進行役となるヴォルテールと、楽天主義を主張する博士パングロスの二役を演じる市村正親。タイトルロールで名前の意味は“純真”というキャンディード役の井上芳雄。美しい男爵令嬢なのだが、世界が自分を中心に回っていると思っているような一面も持つクネゴンデの新妻聖子。パングロスが主張する楽天主義とは正反対の悲観主義者であるマーティンを演じる村井国夫の4人。

 

【一問一答】

──いよいよ今日から始まりますが、心境をお一人づつお願いします。

市村 今日はこれからプレビューで明日が初日なんですけど、今しがた舞台稽古を全部終えたばかりで。本来なら通し稽古をやってからプレビューにいきたいところなので、今が一番緊張してますね。手作り感のある良い話に出来上がってるんで、そういう意味ではお客様の期待に応えられるかなぁと。

新妻 今日お客様の前で演じるということで緊張もあるんですが、今までやってきたことを信じて、舞台上にどなたもご覧になったこともない世界が広がってる気がするので、私自身もどうなるの楽しみだなと。ドキドキとワクワク、半分ずつの気持ちです。

井上 頑張って稽古はしてきたんですけど、本当にギリギリというか、もうお客様に見せるのかという戸惑いは多少あります。冒険というか、キャンディードは色んな人が色んな経験をする話なので、それを含めて楽しんで、お客さんと一緒に冒険できたら、思ってもみないところに辿り着くのではないかと楽しみにしてます。

村井 最初の日など10ページも進まないぐらいの演出の仕方で、本当に丁寧に丁寧に作りまして、この世界がお客様にどう受け取っていただけるか、それが凄く期待でもあり、楽しみでもあり。この三人は出っぱなしですから、僕は最後にちょっと出るだけなんですけど、素晴らしいです。

──今回入念に稽古をされたということですが、ジョン・ケアードさんの演出については?

市村 非常にマジカルな人で次々に発想が出るので、こっちも負けないように輪をかけて発想していくと、どんどん積み重なって、思いがけない演技ができたりとかね。彼は非常に日本通でよく日本語を喋るんで、そういう意味では非常に楽ですね。

井上 市村さんが逆にジョンの英語を覚え始めましたね。

市村 (笑)まぁね。

村井 メイビーね、メイビー。何度もメイビー。

井上 セイムプレイスとかね。

市村 そうそう(笑)。

──市村さんは製作発表の時に、キャンディード役は自分の方がいいと。

市村 やっぱり僕はヴォルテールだなと思いました(笑)。

井上 今からでも、もしよかったら(笑)。

市村 どっちがいいかなぁー。俺マーティンがいいかもしれない(笑)。いやもう、長くって、全編出ずっぱりなんでね。傾斜なんで、ちょっと油断すると前につんのめって、結構足にきてますよ。

──井上さんのキャンディードをご覧になっていかがですか?

市村 いいですよー。あのね、芳雄のキャンディードを見てるとね、僕も彼ぐらいの年齢の時に、劇団四季でこういう若い役やってたなぁーと思って…まぁ、以上です。

一同 (笑)。

──役と自分、似ているところ、似てないところありますか?

村井 僕はもう役そのままの悲観主義者で、常に人生悲観しながら生きてます。もうなんの芝居もしなくても、そのままで出ればいいと言う感じでやっております。

井上 「純真」という役なんで、まぁ、かつては純真だったので、そこは思い出すかな、と。

村井 アジアの純真ね。

井上 (記者に)全然気にしなくていいです(笑)。聞こえてない(笑)。色んな目にあって、ちょっとづつ自分の考えを変えていくところは、僕だけじゃないと思いますが、わかるなぁ、と。

──と、いうと今は?

井上 今はですね、僕は舞台始めて10年なんですけど、10年で色んな目に遭いまして、もうちょっと純真とは言い切れないところも、残念ながら出て来てるんですけど、思い出してやりたいと思います(笑)。信じてたことが裏切られる、そんな辛いことはないんですけど、でもそこからですよね。そうでしょ?そこから自分の考えを探していくわけでしょ? 人の考えの、うけ、受け入りじゃ…もういいよ!!(笑)

村井 いいこと言ってる、言ってる(笑)。

井上 観ていただければわかるんですけど、本当に自分の手で見つけたい、人生をと思っております。

新妻 クネゴンデは女性の裏も表も全部見せますという強烈な役で、井上さんとか見たくなかったなっていう面もあると思うんですね。知りたくなかったな、みたいな、ね?

井上 知ってた、知ってた。

新妻 え(笑)?クネゴンデ役だよ? えっとそれで、似てるところですかね。

井上 今のなんだったの(笑)?前置き?

新妻 やはりキラキラしたものが好きだったりとか、着飾っていたいという気持ちは女の子はみんな持ってると思うので…うわーどうしよう!?

井上 綺麗にまとまりましたね(笑)。

市村 僕はメガネをかけているときはパングロスという役で、メガネを取るとヴォルテールなんですが、ヴォルテールと僕がどこが合ってるかというと、ほとんど合ってないですね。物を作るとか、本を書くなんてことは僕には一切できない。あんまり人に教えるのは好きじゃないけど、物事を前向きに生きるというパングロスの役は僕的かなぁ、と。これからプレビューがあるけれど、本来ならドキドキドキドキしてるんだけれど、全部失敗も、全て最善の為にあるんだ!と(笑)、自分で一生懸命言い聞かせて、何回間違えても、間違えることは最善であるということで(笑)、やっております。

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ミュージカル

『キャンディード』

原作◇ヴォルテール

作曲◇レナード・バーンステイン

作詞◇リチャード・ウィルバー

上演台本・演出・◇ジョン・ケアード

出演◇市村正親、井上芳雄、村井国夫、新妻聖子、坂元健児 他

●6/2〜27◎帝国劇場

〈料金〉S席¥12500、A席¥8000 B席¥4000

〈問い合わせ〉03-3201-7777(東宝テレザーブ)

 

【取材・文/岩見那津子】

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