稽古場見学、記者発表、インタビューなどから、近々公開される作品のおもしろさを探ります。

『ストリップ学園』

モダンスイマーズ『デンキ島〜松田リカ篇〜』

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デンキ島の“デンキ”に“伝記”という漢字をあてたくなった。
本当は、島を浮かび上がらせる烏賊釣り舟の灯りが電気のように見えることから、
デンキ島、らしいのだが、どう観ても、どう感じても、
これは作・演出の蓬莱竜太さんが体感してきたことに違いないだろう、という思いに辿り着く。
思わず蓬莱さんの出身地を調べてしまった。
石川県とのこと。作品にも石川県のイメージが投影されているとの話だった。
やっぱり伝記に違いない。

何かに縛られてそこから抜け出したくても抜け出せない。
そんな思いは自分も感じるけれど、正直にいうと、
そこに土地や家族が絡むことは私の場合はないので、
そういう部分での共感は生まれにくかったかもしれない。

その土地特有の閉塞感。
重い雲や、雪に、行く手を阻む海。
逃げたい。脱出したい。
でも、脱出した先にだって明るい未来が約束されているわけではない。
そんな当たり前のことはわかってる。
でも、この土地から、この思いから解放されたい。
自分を解放するんだ。

島で暮らす女子高生・松田リカ(前田亜季)は父親の借金に悩まされている。
建築家を目指す底抜けに明るく、前に進んでいく力のある友人のスミエ(山崎真実)や、
島にやってきたヤクザ絡みの女・サツキ(松永玲子)とのやり取りの間で、
頑なに閉ざされていたリカの心が揺れる。
葛藤から未来に向って飛び出していくリカの話で、
最初の暗さから光をなんとか見出していくラストまで、物語に引き込まれた。
ただ少し、ほんの少しだけ気になったのは、例えばスミエの死に対する伏線の張り方。
自然にリカに感情移入できていたからこそ余計に、
“段取り上必要な台詞”っぽさに、コツンとつまづく。

本土に出たリカは一体どんな風に生きていくのだろうか。
頭が良くて、実は人の気持ちのわかる優しさを持っていて、
なにより強い子だったと思う、リカは。
きっと島にいたときと同じように悩んで、苦しむ。
でも島から出て一回り大きくなったリカは前に進む気持ちも忘れないはず。
もしかしたら、そんなリカの未来の先に、
今の蓬莱さんの姿もあるのかもしれないと思った。

 

 

モダンスイマーズ
『デンキ島〜松田リカ篇〜』

作・演出◇蓬莱竜太
出演◇前田亜季、古山憲太郎、津村知与支、西條義将、松永玲子、高橋努、山崎真実、野口かおる、小野健太郎、野本光一郎、成瀬功、梨澤慧以子、菅原大吉


<上演期間・会場>
3/93/16◎あうるすぽっと

<料金>
3,800円/2演目セット券7,500(全席指定・税込)

<問い合わせ>
Habanera
 03-5489-3740 
info@modernswimmers.com

<上演時間>
2時間

 

【文/岩見那津子】

イデビアンクルー『アレルギー』

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あぁ、あるある。
この人には強く出られるけど、
なぜかあの人は苦手。
負けちゃう。意地張っちゃう。
気があったり、あわなかったり。
そういう人と人との得意不得意。
不得意、拒絶反応…まさにアレルギー?
それが井手さんの振付でダンスに。

こういうイメージの作品を、という最初のイメージがあって、
さらにそのイメージに、その場で浮かんだ楽しい遊びや、思いつきを、
ペタペタ貼り付けた、ダンスのコラージュ作品といった風。

勝手に私がアレルギーマンと名付けた、蝶ネクタイにスーツ姿、
仮面を付けた、謎の3人組が面白い。

『いや、君、今、アレルギー出たよね?』

ってときに登場するような3人組。
1人だけ仲間はずれな様子で、シャツに短パン・サスペンダー、白い靴下。
という見た目の面白さからして、くすっと笑いが生まれ、
3人が動き出すと、また更にくすぐられたようなおかしさ。

見ているうちにダンサーさんの個性も見えてきたりと、
じわじわ面白さも増していく感じ。
全く堅苦しくないので、見ていて単純に楽しいです。
どこか親しみもあるけれど、この動き新鮮!というような、
振付の一つ一つも格好良かったり、可愛かったり。
イデビアンクルー、未見の方がいたら、一度は是非。

 

 

イデビアンクルー
『アレルギー』


演出・振付◇井手茂太
出演◇東
さくら、金子 あい、斉藤 美音子 、菅尾 なぎさ、中尾 留美子、依田 朋子、小山 達也、中村 達哉、松之木天辺、井手 茂太


<上演期間>
3/9
3/13◎新国立劇場 小劇場

<料金>
A
席:5,250円 B席:3,150円 Z席:1,500

<問い合わせ>
新国立劇場 Tel:03-5351-3011


【文/岩見那津子】

ROCKミュージカル『ピンクスパイダー』

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「借りものの翼ではなく、飛ぶなら自分の力で飛ぶんだ!」
というようなメッセージを受け取った。
ミュージカルというか、ライブというか、ショーというか、
簡単に分類できないところを進んでいった作品。
なのだが、タイトルではX JAPANのhideの楽曲を使用した、
“ROCKミュージカル”ということになっている。

ミュージカルとするなら、もう少し一曲一曲の歌詞を聞き取りたかったし、
hideの曲のメッセージを伝えたいなら、そのままライブをしたほうが、
もっとダイレクトに、強く、込められた思いが伝わるような気がしないでもなかった。
それぞれの表現手段の良いとこ取り、というところまでは到達できていなかったと思う。
すごく難しいところ。
それにノリを求めるには、自分も含めてだけれど、
演劇のお客さんは堅すぎるなぁ、というのも実感。
座って観る、という時点でちょっと非協力的になってしまう。恥ずかしさもある。
煽って、無理矢理にでも参加させてしまう、工夫があっても面白かったかもしれない。
でも、そうすると、それはミュージカルなのか?という疑問も浮かんでくるし、
やっぱり難しいところ。

でも音楽に疎い私でも、曲を聞いていて、
単純に、「格好良いな」、「もう少し聞いてみたいな」、と思う瞬間は多々あったし、
そういう意味では特定のアーティストの曲のみでミュージカルを作る。
そのアーティストのことを今まで知らなかった人に曲を届ける。
という試みは成功しているのかも。

芝居と音楽が一体となって人を楽しませるミュージカルの要素に、
ライブのような一体感と勢いが加わって、
更に見た目の華やかさや、美しさを発揮できるショーの面白さも味わえる。
そんな作品があったら、きっと刺激的で楽しいに違いない。
目指したい方向は見えた気がする。ので、更なる飛躍に期待!

 

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ROCKミュージカル
『ピンクスパイダー』


脚本◇竹内佑 
演出◇荻田浩一
音楽監督◇iNA  
出演◇武田真治/渡部豪太(
Wキャスト)、南沢奈央/高橋瞳(Wキャスト)、J(友情出演) ほか  


<上演期間・会場>
3/83/27◎東京グローブ座

<料金>
9,000円(全席指定・税込)

<問い合わせ>
サンライズプロモーション東京
0570-00-3337

<上演時間>
2時間


【文/岩見那津子】
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