稽古場見学、記者発表、インタビューなどから、近々公開される作品のおもしろさを探ります。

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キャストが扮装で登場。30周年を迎える『ピーターパン』制作発表

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今年30周年を迎えるブロードウェイミュージカル『ピーターパン』の製作発表と囲み取材が6月1日に行われた。

1981年に榊原郁恵がピーターパンを演じてから30年、毎年上演され続けてきた『ピーターパン』。今回は13歳で5代目ピーターパンとしてデビューし、今はミュージカルの世界で活躍中の笹本玲奈が、8年ぶりにピーターパン役として復活。今年4年目のピーターパンとなる高畑充希とダブルキャストで、30周年を盛り上げる。

演出は2005年の『ピーターパン』で、第47回毎日芸術賞千田是也賞を受賞した松本祐子が担当。製作発表にはピーターパン役の2人のほか、フック船長を演じる劇団☆新感線の橋本じゅん、ウェンディ役の神田沙也加、演出の松本らが出席し、それぞれ作品に対する意気込みを語った。

 

【挨拶】

松本 子供時代は、無限の可能性を信じられる唯一の素晴らしい時代だと思っています。今は、大人も子供も情報量の多さに疲れてしまって、夢を信じられなくなっている時代だと思うんですね。こういう時代だからこそ、自分の力を信じて「なんだってできるもん!」っていう、自分大好きなピーターが、空を飛んでいる姿を見ていただくことは、もの凄く力を与えられることだと思っております。素晴らしい楽曲と共に、この素敵なピーターパンの世界をご家族で楽しんでいただくことで、家に帰っても色々話をしてもらえるような豊かな演劇体験をプレゼントできる作品だと思っております。チーム一丸全力で頑張ってまいりますので、どうぞご期待ください。よろしくお願いいたします。

s_RIMG0679笹本 今になって、ピーターパンを振り返ってみると「こんなにも深い作品だったんだ。」って気付くことがたくさんありまして、25歳の今だから見える、ピーターパンの世界観を大切にしながら、また違った役作りで挑もうと思います。何よりも心からピーターを楽しんで演じて、今年の夏も子供達と一緒に楽しい時間を過ごせたら良いなと思っておりますので、よろしくお願いします

高畑 4年目になりますので、良い意味でも悪い意味でも、慣れてきてしまうところもあるんですけど、そこで、大先輩の玲奈ちゃんと一緒にピーターパンを作り上げられるっていうのは、すごく気が引き締まりますし、色んな所を見て盗んだりとか吸収したりとか、お稽古も凄く楽しみに思っています。30周年で益々パワーアップしたピーターパンをお見せできると思いますので、是非色んな世代の方々に観ていただきたいと思います。よろしくお願いします。

s_RIMG0728橋本 去年初めてやらせていただいたんですけど、とにかく楽しくて、楽しくて…でもお客さんが楽しんで帰ってくれたっていうのを耳にすることで楽しみは完成するものなので、「楽しかった!」言って帰ってくれる子供達を見ることで自分が楽しめたんですね。また初心に戻った気持ちで、みんなと一緒に作って生きたいなと思っています。このピーターパンは、親御さんからお子さん、おじいちゃんおばあちゃんにまで、楽しんでもらえるものを目指していて、自分が目指すエンターテイメントの理想にも重なります。とにかく劇場に足をお運びください。私たちが本当におもてなしをつとめあげたいと思っています。ろうにゃくにゃん…(笑)、ろうにゃ…すみません(笑)、お年寄りからお子さんまで、自信を持って、ね!老若男女…ね(笑)。

神田 ピーターパンが生まれて初めて見たミュージカルでして、最後にピーターパンが頭上まで妖精の粉をまいて飛んできてくれるのに衝撃を受けました。ずっとそれが印象に残っています。今度その中の登場人物として出演しているっていうのが不思議で仕方ないです。夢が実際に3Dになって目の前で起きているっていう、衝撃と嬉しさとときめく気持ちが観ている子供達、お母様、お父様たちにも伝わればいいなと思います。今年も初心に戻りまして、生き生きとピーターパンの世界の中で存在できたらと思っていますので、よろしくお願いいたします。

 

【囲み取材】

──役作りの為に行っていることは? 

橋本 フック船長は当然、最後ピーターと戦う船の上での大立ち回りがあるんですけど、それがですね、かなり大変な立ち回りで、船の上を上ったり降りたり、上ったり降りたりするんですね。 去年はそのシーンになると「あーちょっと憂鬱だなぁ。戦うのかぁ。話し合いですまないかなぁ。」 みたいな思いがあったんですけど(笑)、今年はそこも最後まで元気に乗り切りたいと思いまして、鋭意、絶賛減量中です。自分が元気良くやれてるっていうのは、必ず伝わると信じてますんで、体力づくりを去年に増してやるというのが今年の大きな備えというところですかね。 

笹本  8年ぶりですので、8年のブランクは大きいなと。私が最後にやったのは17歳でしたので、その時の体力と今の体力は、 全然違うと思うんですよね。 

橋本 いやいやいやいや!

笹本 いやいや、それが結構あるんですよ(笑)! やってみないとわからないですけど。とにかく充希ちゃんから若いエネルギーをもらいまして、乗り切ろうかな、と(笑)。25歳でピーターパンをできるのか?ってすごい悩んでたんですけど、 自分が子供にかえることが大事なんだと気付きまして、とにかくお稽古場でお行儀悪いことになっちゃうかもしれないけど、なるべく子供っぽくいようと思っています。 

s_RIMG0711高畑 毎年毎年、体力的にも大変で「来年はできないんじゃないか。」って思うんですけど、 5月、6月になると早くやりたいなって思いだす、中毒症状のような感じにピーターパンはなってきています。玲奈ちゃんと一緒に出来る緊張と楽しみと、吸い取られ過ぎないように(笑)、元気いっぱい頑張ります。 

神田 自信を持って、広い世代に方に見てもらいたいと思う作品ってありそうでないと思うんですよね。 あとウェンディの初恋というのも合わせて描かれていて、その瑞々しい初恋というか、なんでも素直に真っ直ぐに受け取って反応する子供らしさを研究したいですし、 リアルに胸がキュンキュンって動いてるなっていうのが見えるくらい、その部分を大事にやっていきたいと思っています。 

──楽屋とかは女性同士で盛り上がりそうですね。 

神田 そうですね!去年もこういう症状に陥ったんですけど、劇中で初恋をしてると、ピーターがお稽古場とかでも気になるんですよ。 タイガーリリーとかと喋ってると「もう!」ってヤキモチやいちゃったり(笑)。 

──今年ピーターパンも30周年、お母様の松田聖子さんも30周年ですが、30周年にまつわるお気持ちは何か? 

s_RIMG0737神田 そうなんです!最近まで、じゅんさんもいらっしゃる劇団☆新感線さんの作品に出させていただいてたんですけど、新感線さんも30周年で、今年は30周年ということに関わる機会が多くてですね、30周年女優として(笑)頑張っていこうと思います!!

──橋本さんはピーターパン発祥の地であるイギリスに留学経験がありますよね? 

橋本 留学ではなく、1年間滞在してました。 就労してました(笑)、働いておりました。 

──ネバーランドには行かれました? 

橋本 あのですねー「ネバーランドがあるかな?」 と思って行ったんですけど、ネバーランドっていうのは地球の裏に行ってもなかった(笑)。そこには仕事が待っていまして、ネバーランドっていうのは、僕達が作り出す以外にはこの世に存在しない。必ずそのネバーランドを見せてあげますって言える作品なので、とにかく劇場で体感して、この夏ネバーランドを見てほしいですね。 

──どんな人に見てほしいですか? 

橋本 沙也加も言ってましたが、大人の人にこそ見てほしい。世知辛い状態になっている中で、生きていく夢と希望、笑いでもいいですし、歌を聞いての感動でもいいですし、アナログ的な瑞々しさを感じて欲しいですね。

──子供にも大人にも、男性にも女性にも?

そうですね。大人の人に子供を連れてきていただいて、大人の方、単独で来ていただいても大丈夫です。 そういう作品になっていると思います。 

 

ブロードウェイミュージカル

『ピーターパン』

原作◇ジェームズ・M・バリ

潤色・訳詞・演出◇松本祐子

出演◇笹本玲奈 高畑光希(ダブルキャスト)橋本じゅん 神田沙也加 神原麻由 比企理恵 他

 

●7/19〜8/1◎東京国際フォーラム ホールC

●8/7〜8◎梅田芸術劇場 メインホール

●8/13◎ 中日劇場

●8/19◎北九州芸術劇場 大ホール

●8/22◎名取市文化会館 大ホール

 

<料金>

東京国際フォーラム/ドリームシート¥6800 S席おとな¥7800/こども(3〜12歳)¥4800 A席¥3000(全席指定/税込)

梅田芸術劇場/S席おとな¥7500・こども(3〜12歳)¥5000 A席¥3500(全席指定/税込)

中日劇場/A席¥8000 B席¥6000・3歳以上有料(全席指定/税込)

名取市文化会館/おとな¥7800/こども(3〜12歳)¥4800

<チケットに関するお問い合わせ>

 

東京公演/ホリプロチケットセンター03-3490-4949 http://hpot.jp/peter/

大阪公演/梅田芸術劇場 06-6377-3800

愛知/中日劇場予約センター 052-290-1888

北九州/北九州芸術劇場 093-562-2655

名取/仙台放送 022-268-2174

 

【取材・文/岩見那津子】


生きることの美しさ『おくりびと』

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日本独特の納棺の儀式を扱い、アカデミー賞で外国語映画賞を受賞した映画『おくりびと』。その結末から7年後の物語を描いたのが今回の舞台版『おくりびと』である。演出はG2、脚本は映画と同じく小山薫堂が手掛け、音楽も映画に引き続き久石譲が担当している。

扱う題材は「死」。どう考えても暗く重い方向にいってしまいそうになるが、そこを生演奏の音楽が優しく、暖かく包み込む。音楽が救いにもなるし、また一緒に物語を生きているような感覚もあった。

映画では本木雅弘が演じた主人公の小林大悟役を中村勘太郎が演じる。底なしの闇に陥るような現実に直面した際の、狂気に近い怒りや哀しみの表現、そして何より、納棺の儀式を行う際の舞う様な美しさが印象に残る。それだけに、儀式の最後まできちんと見てみたかったのだが、途中で場面が切り替わってしまったのは残念だった。
大悟の妻、美香は田中麗奈。納棺師という夫の仕事も受け入れ、誇りに思い、更に母になったことで強さも優しさも増した、というような7年後の美香だった。

大悟を納棺の世界に引きずり込んだ張本人、
佐々木生栄役の柄本明の飄々としながらもどこか深さを感じさせる存在感、大悟たちに悲しみを背負いながら生きていく道を諭す、真野響子演じる見城恵子。
映画の世界を引き継ぎながらも、映画とは違う舞台の『おくりびと』の世界をそれぞれが作り出していた。

真面目で笑うことの許されないような場面であるからこそ、じわじわと広がってきてしまう自然な笑いの部分に映画の魅力があったと思うのだが、そこが舞台では誇張され過ぎていたような気がする。ドタバタすることで笑わせず、もう少し落ち着いて人と人との関係にスポットライトをあてれば、そこから見えてくるまた別の笑いがあったのではないだろうか。

誰もがいずれ死ぬということを、悲しむでも、諦めるでもなく、ただ真正面から受け止めるという「死」に対する一つの考え方を提示する『おくりびと』。死という現実は、時に心を引き裂かれるような痛みを人に与えるけれど、それでも生きる道を選ぶ大悟たちの姿に、生きる強さ、そして生きることの美しさを感じた。


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『おくりびと』

作◇小山薫堂

演出◇G2

音楽◇久石譲

出演◇中村勘太郎、田中麗奈、真野響子、柄本明、今井りか、木下政治 他

5/29〜6/6◎赤坂ACTシアター

6/9〜13◎イオン化粧品シアターBRAVA!

6/16〜24◎御園座

 

〈料金〉

東京/S席¥10000 A席¥8500
大阪/¥10000  
大阪/一等¥10000 二等¥6000 三等¥3000  

〈問合せ〉
東京/チケットスペース 03-3234-9999 

大阪/06-6946-2260

名古屋/052- 222-8222    


【文/岩見那津子】 

「ありがとう」が言える世界を『ムサシ』

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井上ひさしさんが亡くなって一ヶ月半ほどのこの時期に、『ムサシ』が再演されていることに運命めいたものを感じた。「命を大切にしてください」というなんの混じりっけもない、シンプルで純粋なメッセージがすっと心に染みる。ふと、井上さんが劇場のどこかにいるのではないか、そんな気分にもなった。

初演の際は、正直肩透かしを食らったような印象を受けた作品なのだが、作者が亡くなり、その命の重さをこちらが実感し、その上で観た再演でやっと作品に込められた思いに触れられた気がする。もう井上ひさしの新作公演を見ることができないという事実にはどうしようもない喪失感を覚えるのだけれど、今まで綴られた言葉はいつまでも残る。その残されたかけがえのない言葉の力をまざまざと感じた公演だった。

宮本武蔵(藤原竜也)と佐々木小次郎(勝地涼)という宿命のライバル同士。巌流島の戦いで敗れたとされる小次郎が実は生きていた、というところから始まるこの作品。結局、武蔵と小次郎は戦わない。この「戦わない」というのが最大のポイントだ。二人がどんなに因果を感じていても、憎しみを顕わにしていても、また観客が武蔵と小次郎の火花散るような決闘シーンを望んだとしても、それでも二人は戦わない。

戦うどころか、仇の命を奪うための剣術指南は、いつの間にかタンゴが流れる中での愉快なダンスシーンになってしまうし、武蔵と小次郎を引き離すための作戦である五人六脚も滑稽で笑える。恨みつらみを、ほわんとした笑いにしてしまう。それでいいのだと感じたし、そのある意味くだらない笑いに作品全体を和らげる温かみを感じた。

しかし、笑わせてばかりではない。見せるところは見せ、訴えるべき所は訴える。父の仇の腕を切り落とした乙女(鈴木杏)はその仇の命を奪わずに、自身に刃を向けることで「恨みの鎖」を断ち切る。復讐は新たな復讐を生むだけなのだから、誰かがどこかでその鎖を断ち切らねばならないという、至極単純で、しかしこの上なく困難なことを心のままにやってのけた少女の姿に、舞台に込められた願い、祈りをみた。

願いが届き、戦わず、友人となった武蔵と小次郎。その二人に「ありがとう」という感謝の言葉がとある人物から送られる。この一言に、とても大きな優しさと輝きを感じた。恨みの鎖が断ち切られた「ありがとう」が溢れる世界。それは役者や、演出家、そして作家舞台に込めた祈りが、どんどん広がっていけば叶うかもしれない理想の世界だ。心の片隅にずっとこの『ムサシ』という舞台を留めておくことが、その理想に近付くための一歩になるに違いない。

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ロンドン・NYバージョン
『MUSASHI』

作◇井上ひさし(吉川英治「宮本武蔵」より)
演出◇蜷川幸雄
出演◇藤原竜也 勝地涼 鈴木杏 六平直政 吉田鋼太郎 白石加代子 大石継太 塚本幸男 飯田邦博 堀文明 井面猛志 

●5/5〜8◎ロンドン Barbican Theatre

●5/15〜6/10◎埼玉 彩の国さいたま芸術劇場 大ホール

●7/7〜10◎NY David H. Koach Theatre

〈料金〉S席10500円 A席8500円(全席指定・税込)
〈問い合わせ〉

ホリプロチケットセンター 03-3490-4949


【文/岩見那津子】

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