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『フェスティバル/トーキョー09秋』が間もなく開催 vol.1 

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【全作品紹介】

F/Tのプログラム・ディレクター相馬千秋(写真右)が、自らフェスティバルのコンセプトや各演目の見どころを説明するプレトーク『リアルは進化する―検証!F/Tラインナップ』が、5日の夜に開催された。

会場になった自由学園の明日館は、有名な建築家のフランク・ロイド・ライトがデザインした重要文化財で、クラシカルな講堂に約100名ほどの観客が集まって、トークは催された。

ゲストには、F/Tの春と秋に連続で新作を発表する「サンプル」主宰の演出家・松井周(写真中)、聞き手は、エクス・ポ編集長の佐々木敦(写真左)という顔ぶれで、スライドによる各公演の解説をメインにトークは進んでいった。

そのトークのなかで出てきた話をもとに、今回の公演内容を演目ごとに紹介しよう。

 

ticket_061『ろじ式』維新派

相馬「6年ぶりの東京公演です。これまで離島の精錬所跡、野球のグラウンド、びわ湖の湖上など、つねにその場所でしか体験できない空間を作りだしてきた維新派が、今回は廃校である「にしすがも創造舎」のなかに舞台セットを組んで、一辺が60センチの立方体の標本箱を約600個組み立てる形で構成します。校庭には屋台村も作りますのでお楽しみに」

 

2『Cargo Tokyo-Yokohama』リミニ・プロトコル

相馬「舞台から外に出てしまうというプロジェクトです。今回はトラックの荷台に乗っていただいて物流の拠点を見る、というのがテーマですから、日本の物流のすごい景観を楽しめるはずです。走る車窓から見るパフォーマンスとか風景で、何かが起きても、それがすでにあったものか仕掛けられたものかわからないという、そこも面白いと思います。トラックはドイツから輸送するという大掛かりなものなんですが、トラックがどこを走るかまだ確定してなくて、そこも楽しみですし、1回に約40人しか乗れないので、チケット入手はお早めにぜひ」

 

ticket_083『あの人の世界』サンプル

松井「僕の新作です。ずっと物語ということにこだわっていて、といっても僕のいう物語は起承転結という意味ではなくて、たとえば“誰かを見たときに対象に対して貼り付ける思い込みみたいなもの”と、それがきっかけで動き出すものですね。貼り付け方というのは人それぞれ違うので、その人たちが集まってコミュニケーションしたらどうなるか、そういう物語を見せたいわけです。たとえば上にいる人と下にいる人、立っている人と座ってる人というだけでも関係というものはできるので。そういう方法を介して、今の僕たちの物語が見えるのではないかと思ってます」

 

4『H3』グルーボ・ヂ・フーア

相馬「ブラジルのストリートダンスからコンテンポラリーに入ってきたブルーノ・ベルトラオというかたが振付家で、ヒップホップのダンスの動きを解体していって再構築するんですが、世界的に注目されています。今のヨーロッパのダンスシーンでは、コンテンポラリーがやり尽くされた感のあるんですが、その中でまだこんな新しいことができるんだという独自のものを見せてくれます。絶対に勝てないブラジルのサッカーを見せつけられたというような、すごいダンスです」

 

5『個室都市 東京』PortB

相馬「ここまでくるともはや演劇なのかと言われるんですが、そこをあえて演劇だと言いはることが、演劇の可能性を考えることだと思ってます。池袋の西口公演に個室ビデオ店を作ります。そこでビデオ・インスタレーションを観ていただくんですが、西口広場のリアリティというのを流す予定です。24時間7日間流しっぱなしで、いつ観てもいいのですが、夜中にはパフォーマンスと称する山手線一周ツアーとかに連れていかれたりします。1時間500円で入れて好きなだけいられますし、一般の個室ビデオと同じなので、時間つぶしに芝居と芝居の間に入っていただくのもいいのでは」

 

6『花は流れて時は固まる』BATIK

相馬「日本だけでなくコンテンポラリーダンスの世界で活躍をしている黒田育代さんの振付けで、2004年に発表して出世作になったものです。ここまで踊るかというくらいすごいダンスです。なによりも驚いたのが、ダンサーのかたが8メートルの高さから飛び降りるんですよ。まさに身体をはってのパフォーマンスです。今回は大胆にリニューアルするそうですが、黒田さんの世界でしかできない表現を見せてくれると思います」

 

7『4.48サイコシス』作:サラ・ケイン、演出:飴屋法水

相馬「春には平田オリザさんの『転校生』を演出して好評だった飴屋法水さんが、今度はまた話題作に取り組みます。イギリスの作家で10年前に若くして自殺したサラ・ケインの遺作です。この戯曲はト書きもなければ状況設定もなくて、詩のような数字のような言葉の断片で心象風景が描かれているのですが、飴屋さんの演出によって総合失調症患者である1人の女性の内的な問題としてだけではなく、私たちと共有できるものにしてくれるはずです」

 

8『デッド・キャット・バウンス』演出:クリス・コンデック

「映像作家であるコンデックが05年にベルリンで初めて上演した作品です。タイトルの意味は、高いところから落ちて死んだネコが跳ね返るように、株価が下落してるにもかかわらず一瞬だけ高値をつける現象をいうトレーダー用語です。まず観客から集めたチケット代でロンドンの株式市場の株を買います。ですから土日は休演なんですが。お客さんの合意の上でどの会社のどの株を買うかを実際に行って、損するか儲かるか、スリリングな時間を体験するパフォーマンスです」

(vol.2に続く)

 

●それぞれの公演時期と会場、料金は
以下のホームページでご確認ください。

 

『フェスティバル/トーキョー09秋』

期間◎10/23〜12/21

会場◎東京芸術劇場、あうるすぽっと、にしすがも創造舎、シアターグリーン、世田谷パブリックシアター

料金◎回数券やペアチケット、学生料金など種類は多数

問合せ◎F/Tチケットセンター03-5961-5209 

http://festival-tokyo.jp/(パソコン)

http://festival-tokyo.jp/m/(携帯)

 

                【取材・文/榊原和子】

 

映画『パンドラの匣』もうすぐ始まります。

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見終わった後、今までその世界に自分もいたような
夢から覚めたような不思議な感覚に包まれた映画でした。
太宰治とか小説とか分からなくても
あの雰囲気は感じる・・・そんな映画です。

音楽も美術も演技もetc.すべて素敵なのですが、
特にメインキャストの4人がーー。

主役の染谷将太さんの甘いマスクでもてそうなのに
ひねくれたというか、憂いを帯びた佇まいもよし。
ちょっとお調子者で人気者の看護婦に扮した仲里依紗さんは
女子からみてもかわいくて、キラキラしてる!
後からやってきた婦長の川上未映子さんは
貫禄もありつつ、謎めいた影を残す大人の女性!!
そして、婦長と入れ違いに退院していく患者を演じた
窪塚洋介さんがいい!!!
出番も、台詞もそんなに多くないのに、
ちらっと出てきたときの圧倒的な存在感がすごい。

そんな4人を中心に織り成すささやかな日常生活。
淡い光と色合いの景色、心地よい声と音楽に身を任せ
五感で味わう、そんな太宰作品の映画です。

『パンドラの匣』
10月10日(土)よりテアトル新宿ほか全国ロードショー
監督・脚本・編集◇冨永昌敬
原作◇太宰治『パンドラの匣』(新潮文庫刊)
音楽◇菊地成孔
出演◇染谷将太 川上未映子 仲里依紗 窪塚洋介
<配給>東京テアトル
http://www.pandoranohako.com/index2.html

【文/矢崎亜希子】

『宮城野』囲み&舞台稽古レポート(9月16日)

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【宮城野の心を伝えたい】

プリマ・バレリーナとして世界的に活躍してきた草刈民代が、今年の4月、そのバレエ人生に幕を下ろして女優に転身。初舞台となる『宮城野』が9月17日、開幕した。

この『宮城野』は、劇作家矢代静一の傑作戯曲で、1966年に初演、その後、何度も上演されている人気戯曲の1つ。幻の天才絵師「東洲斎写楽」の弟子である矢太郎と、彼を愛する女郎の宮城野の虚々実々のやりとりで見せる舞台だ。

今回は鈴木勝秀の演出で、2人芝居に絞り込み、遊女の宮城野と絵師矢太郎の言葉に隠されたひだの中から、男女の間の本音とウソ、裏切りと誠実が浮かび上がる。

 

16日、公開稽古の前に、草刈民代と安田顕が、この舞台にかける思いを語った。

草刈「音楽と装置と衣裳、全てが美しい舞台になっていると思います。私の演じる宮城野は貧しく生まれ、つらい境遇を生きてきたんですが、どこかで美しくありたいと思っている。そこを大事にしたいしお客様に伝えたい。安田さんは、NACSの舞台を観に行って、とても繊細な感じのする役者さんだと思いましたし、演技のキャリアも豊富で、リハーサルをしていてさすがだなと感じました。私は女優としての初舞台ですが、この素敵な作品に出会えたことは幸せです」

安田「矢代静一さんの名作を鈴木勝秀さんが素晴らしい空間に仕上げてくれました。その中で僕らはまた新しい『宮城野』を見せられればいいなと思っています。矢太郎はダメな男ですが、わかる部分もあります(笑)。草刈さんは、バレエ界でスターだったかたですから、言葉が有るなしではなく、伝わるものは持っているすごいかたです。その草刈さんに一途に惚れていただくのですから、惚れがいのある男になりたいと思います(笑)」

 

宮城

【傑作戯曲を新しいイメージに構築】

舞台上は江戸・麻布の遊郭の一部屋。

さむざむとした座敷で、女郎の宮城野が馴染み客の矢太郎と向き合っている。矢太郎を愛する宮城野は、彼がいつもと違っているのに気づいている。実は矢太郎は、ここに来る前に師匠の東洲斎写楽を殺してきたのだ。

2人が交わす何気ないやりとりから次第に見えてくるのは、それぞれが背負ってきた人生と、お互いへの思い、そのズレ。師匠殺しの本当の動機を知ったときの宮城野の絶望、そしてある決心をするのだが、それは愛なのかそれとも復讐なのか。淡々とした会話劇のなかからあぶり出される男女の本音が、切なく悲しい。

 

初舞台の草刈民代は、遊女衣裳の着こなしはさすがで、安女郎役とはいえ気品のある風情が、宮城野の心根を感じさせて美しい。今回は膨大なセリフへのチャレンジだが、その長ゼリフのなかに揺れ動く宮城野の気持ちをしっかり乗せて届けてくる。

安田顕は、所属する「TEAM NACS」だけでなく、外部の舞台やテレビでも活躍する二枚目俳優だけに、宮城野に惚れられるいい男ぶりがよく似合う。同時に、師匠殺しを犯した荒んだ心や、追いつめられたものの弱さ、卑小さなどを表現してみせる。

音楽と美術は、いつもながら演出の鈴木勝秀の世界観を表現してスタイリッシュ。遊女の座敷の空間には、2人の絆を象徴するかのように赤い糸を張りめぐらせてある。その舞台横の暗がりでは、作曲も手がけた横川理彦のバイオリンが、ときには2人の心の悲鳴のように鳴り響く。

江戸物ではあるけれど、そこで繰り広げられているのは、いつの世も変わらない男女の愛の物語で、最後に行き着いた宮城野の選択と、そこに秘められた想いの複雑さに、作家の深い洞察が感じられる作品だ。

この作品は草月ホールで23日まで 、その後大阪、名古屋、札幌の各地で公演。10月10日には再び東京に戻ってくる。

 

 

 

『宮城野』

作◇矢代静一

演出◇鈴木勝秀

出演◇草刈民代 安田顕

●9/17〜23

<会場>草月ホール  

<料金>S席¥7600 A席¥6500

問い合わせ/0570- 00- 3337 (サンライズプロモーション東京)

●9/26〜27

<会場>シアターBRAVA!

問い合わせ/06-7732- 8888(キョードーチケットセンター) 

●9/29〜30

<会場>名鉄ホール

問い合わせ/052-957-3333(中京テレビ事業) 

●10/5〜7

<会場>札幌共済ホール  

問い合わせ/011-219- 0939(オフィスキュー)

●10/10〜11

<会場>東京グローブ座

<料金>S席¥7500、A席¥6500

問い合わせ/0570- 00- 3337 (サンライズプロモーション東京)

http://e-miyagino.com

 

【取材・文/榊原和子】

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