稽古場見学、記者発表、インタビューなどから、近々公開される作品のおもしろさを探ります。

浪漫活劇譚『艶漢』第二夜

大沢ファントムの熱演と初々しい杏クリスティーン。ミュージカル『ファントム』開幕。

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フランスの作家ガストン・ルルーによって約100年前に書かれたゴシックロマン「オペラ座の怪人」。この人気小説をもとに1986年に作られたロンドン発の同名のミュージカルが、世界的に大ヒットしたことは、よく知られている。
だが、そのアンドリュー・ロイド=ウェバー版には描かれていない陰のドラマを描き出して人気を博しているのが、1991年にアメリカで生まれたミュージカル『ファントム』。

脚本家アーサー・コピットが描き出した青年エリック(ファントム)の悲しい生い立ちと、オペラ座の地下で暮らすようになった経緯は、あまりにも切なく胸に迫る。また、そのファントムと出会う「天使の声」の持ち主である美しいクリスティーン。彼女に向けるファントムの愛と、それゆえに引き起こす悲劇は、モーリー・イェストンの叙情的な作詞・作曲とあいまって、涙なくしては見られない。

この『ファントム』の日本版を、大沢たかおが主演して大きな話題となったのが、2008年の初演時。仮面で顔を覆ったインパクト強い登場から一気に客席を支配し、じょじょに明かされる彼の内面の物語をドラマティックに演じ、低音のよく響く声で歌いあげる熱演には、ミュージカル界から大きな賞賛が寄せられた。

その大沢ファントムが、よりグレードアップして戻ってきた。
彼いわく「ミュージカル最終章という決意で立ち上げたい」という強い意欲をこめて打ち込んだ舞台は、よりパワフルになり、ファントムとして生きなければならなかった青年エリックの苦しみと愛が、ひときわ熱い思いとなって伝わってくる。
また、彼に愛される美しい声のクリスティーン役には杏が扮し、初舞台ならではの初々しさでこの大作に挑んでいる。そしてエリックの秘密を知るオペラ座の支配人キャリエールには篠井英介、オペラ座のプリマでクリスティーンの邪魔をするキャルロッタには樹里咲穂という絶妙なキャスティング。またクリスティーンの恋人役、フィリップ・シャンドン伯爵はダブルキャストで、海宝直人と古川雄大がフレッシュな魅力を競い合うという、話題満載の今回の再演となっている。

この公演について、初日を迎えた大沢たかおと杏からコメントが寄せられた。

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【初日コメント】

大沢たかお「再演となりますが、初演の作品に挑む感じで、一から作り上げてきました。たくさんのスタッフ、出演者と作品を作り上げていくことをとても嬉しく思っています。
これが最後のミュージカルになるかどうかはわかりませんが、最後になってもイイという気持ちで臨んでいます。
クリスティーン役の杏さんは、声が綺麗で人柄もとても素晴らしい人。杏さんや稽古場のみんなからエネルギーをもらいました。毎公演ベストを尽くします。ご期待下さい」

杏「無事に初日を迎えることが出来ました。初舞台初ミュージカルということですが、実はあまり緊張していません。というのも本当に素晴らしい方々に囲まれ、恵まれた環境の中で、今日までお稽古できてきたので、その成果を出し切るばかりと思っています。
素晴らしい音楽、脚本、演出の中で、精一杯今の自分が出せる全てを出して千秋楽まで駆け抜けたいと思います。
今回、大沢さんとご一緒させていただき、幸せだなと思っています。一つ人の役柄がキャラクターとしてではなく、血の通った人間として、舞台上で存在するということを感じさせて頂きました。大沢さんのファントムに舞台上で並べるようなクリスティーンになれるよう頑張りたいと思います」


11月22日まで赤坂ACTシアターにて公演中。11/28〜 12/9は梅田芸術劇場メインホールにて上演。(両劇場とも前売り券は完売だが、当日券、立ち見席は若干数有り) 

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ミュージカル『ファントム』

脚本◇アーサー・コピット

作詞・作曲◇モーリー・イェストン

上演台本・演出◇鈴木勝秀

出演◇大沢たかお、杏、樹里咲穂/篠井英介
海宝直人 古川雄大 他

●11/ 2 〜 11/ 22◎東京・赤坂ACTシアター
●11/28〜 12/9◎大阪・梅田芸術劇場メインホール

〈料金〉

東京/S席¥13000 A席¥9000 立見¥7000

大阪/S席¥13000 A席¥9000 B席¥4000

〈お問合わせ〉

東京/キョードー東京 03-3498-6666 http://kyodotokyo.com/phantom2010

大阪/梅田芸術劇場 06-6377-3800 http://www.umegei.com/phantom/

 

【取材・文/榊原和子  撮影/miow hirota】

 

4年ぶりの来日公演!ロベール・ルパージュ演出『The Blue Dragon』

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世界のアートシーンから注目されている舞台演出家・ロベール・ルパージュの4年ぶりの来日公演『The Blue Dragon』が間もなく開幕します。
オペラにも携わり、更にはシルク・ドゥ・ソレイユのショー『KÀ』、『TOTEM』で作・演出をつとめるなど、多種多様な作品で幅広く観客を魅了してきたロベール・ルパージュ。
日本では2006年に世田谷パブリックシアターで『アンデルセン・プロジェクト』や、 2002年に同じく世田谷パブリックシアターにて『月の向こう側』などを上演しています。

今回の公演は「書」をはじめとする独創的な空間デザイン、出演者の一人であるタイ・ウェイ・フォーの伝統舞踊とコンテンポラリー・ダンスを融合させた舞、また仏語・英語・中国語の3カ国語の不思議なハーモニーが見所。日本語字幕付きの公演となりますが、言葉を超えた刺激をこの作品で味わえるのではないでしょうか。

1985年に上演され、ルパージュが世界に羽ばたくきっかけとなった上演時間9時間にも及ぶ大作『The Dragons' Trilogy』の登場人物ピエールがこの作品の中心となります。
物語の舞台は中国・上海でアートシーンの中心になっているギャラリー。ピエールの恋人である中国人アーティスト、シャオ・リンもそのギャラリーに作品を出品中。ここで彼はかつての恋人で、今はモントリオールの広告会社幹部であるクレアーと再会します。この再会をきっかけに、ピエール、クレアー、シャオ・リンの3人にとって予想もしなかった変化が・・・。

4日間、全5公演という短い上演期間ですが、世界のアートシーンで活躍する演出家の作品に触れることができるまたとないチャンスです。

 

 

 

 

The Blue Dragon


マリー・ミショー ロベール・ルパージュ
演出ロベール・ルパージュ
出演マリー・ミショー アンリ・シャッセ タイ・ウェイ・フォー

●11/1111/14◎東京芸術劇場 中ホール

<料金>
S席:6,500円 A席:4,500円(全席指定・税込)

<問い合わせ>
チケットについて 東京芸術劇場チケットサービス 03-5985-1707
公演について   東京芸術劇場事業企画課    03-5391-2111

 

 

【文/岩見那津子】

 

 

 

空間に酔う幸せ『おそるべき親たち』

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複雑に絡み合う感情に正解なんてない。
正解がわからないどころか、自分自身にだってその感情の揺れは理解できない。

パリの上流階級の家庭。
片付け魔の姉・レオ(佐藤オリエ)と、その妹・イヴォンヌ(麻実れい)。
レオはイヴォンヌの夫であるジョルジュ(中嶋しゅう)を愛している。
イヴォンヌとジョルジュの間には息子のミシェル(満島真之介)。
母親から溺愛されて育ったミシェルはマドレーヌ(中嶋朋子)という女性に恋をする。
しかし、そのマドレーヌは実はジョルジュの不倫相手。
マドレーヌはミシェルを愛しながらも、
自分に生きる希望を与えてくれたジョルジュへの愛も捨てきれない。
愛情と欲望と・・・とにかく様々な感情が一つの家族の中で渦巻く。

おそらくこの芝居、日々感情が揺れ動く。
言葉を発して感じたこと、またそれを受けて感じたことに、
役者がとても敏感で、感じたことを素直にまた次の言葉に乗せていく。
台詞として決まった言葉であるのに、
舞台の上から聞こえてくる言葉は生きている気がした。

愛しているのに憎い。
愛しているから憎い。
100%愛しているとか、100%憎いとか、
そんな混じりっけのない感情なんて誰も抱かない。
絶対に割り切れない。
割り切れない心を抱えて込んで生きている。

芝居が上演されているのはパリではなくて実は池袋だし、
演じているのはフランス人でもなく、日本に生まれた役者たち。

佐藤オリエ、麻実れい、中嶋朋子、中嶋しゅう、満島真之介

5人が見せてくれた「舞台」という嘘。
でもそこにあったのは、嘘のない人間の生々しい姿だった。

彼らの想いを瞬間瞬間で想像し、感じられる、観客でいられることを幸せに思った。
自由で、密度が濃くて、色んな匂いを感じることができる空間にいる幸せ。

終幕のレオの一言には本当にゾクゾクさせられた。
彼女が片付け魔であることが、最後、こんな風に生きてくるとは。

 

 

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『おそるべき親たち』


作◇ジャン・コクトー
台本◇木内宏昌
演出◇熊林弘高
出演◇中嶋しゅう 佐藤オリエ 麻実れい 満島真之介 中嶋朋子

●10/21〜11/3◎東京芸術劇場 小ホール2

<料金>
全席指定6,000円 学生3,000円

<チケット取扱い>
tpt電話予約 03-3635-6355
tptオンラインチケット
http://www.tpt.co.jp/tickets/index.html
チケットぴあ 0570-02-9999(Pコード406-885)

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