稽古場見学、記者発表、インタビューなどから、近々公開される作品のおもしろさを探ります。

浪漫活劇譚『艶漢』第二夜

なんとも言えない余韻 NYLON100℃『2番目、或いは3番目』

 

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廃墟、ボロボロに壊れたアーケードの屋根、地中に住む白くて太くてなんかニョロっとした謎の生物、そのニョロっとした生物と仲が良い老人を含むその廃墟にすむ人々、遠くの町から人々を救うためにやってきたという来訪者たち寂れた街で誰かと誰かが出会って、会話を始め、それも全く噛み合わなかったりしながらだけれど、でもそこから物語が生まれていく。

オープニングがポップで、ちょっと不気味だけど、最高に可愛くて、そこで心をガシッと掴まれた。あれはもう本当に格好良い。ケラさん演出の作品はここ最近毎回、スクリーンに映像を流したり、そのまま舞台に映像を投影したり「こんなことが可能なんだ!」と驚かせてくれる演出があるのだけれど、今回ももれなく素敵。

客席の上に壊れたアーケードの屋根を作ったことも憎らしかった。空間の広がりが増す。かつてそこに一本大きな道が通っていて、その両脇に家やお店があったのだろうという失われてしまった賑やかな風景が、客席上に屋根があることで想像しやすくなった。劇場に入った瞬間から、これから上演される作品の匂いがする憎い舞台美術だった。

なぜこんなにも街が寂れてしまったのか、その原因は明かされない。困っている人を助けたいと街を訪れた来訪者の中には、惨めな生活をしている人を実感することで、自分の方が幸せだと信じ込みたい人もいる。端から見たらとても利己的。だけど、それが表に現れるか、そうでないかの違いだけで、自分より不幸な人を見て安心する心は少なからず誰もが持っているはずだ。日常から離れ、言動が誇張された登場人物たちを見て、自分自身の心を改めて発見する。少しげんなりする、けど、認めざるを得ない事実をちょっと作品の中に漂わせて、気付かせて、観ている人のお腹の中にストンと落とし込んでくるような感覚。笑いもたくさん散りばめられているし、先が見えない絶望もあるけれど、人と人とが繋がっている暖かさもある。ふわふわっとした作品のテイストは見る人毎に与える印象を変えると思う。

廃れた街で底抜けに明るくあっけらかんと生きて、ことある毎に爆笑している双子の姉妹。特に姉。街の暗さを感じさせない脳天気さは、救いなのか、頭のネジが少々緩んでしまっているのか。実りそうで、なかなか実らない、傍らをすり抜けていく恋。またそれとは別の若さの特権的キス。生きる意味を感じない世界から生まれてきた狂気。お見合い話。街では様々なことが起きるのだけれど、そのエピソードの一つ一つが最後に綺麗にまとまって観客を納得させるようなものではない。

わかりやすい所だと、白くて太くてなんかニョロっとした生物がなんだったのかは最後まで謎のまま。今もすごく気になったままだ。

上演時間も短くはないし、謎が謎のまま物語も終わりを迎えるけれど、人と人との間の距離感、関係を読み取ったりして考えを巡らせたり、単純に大笑いしたり、興味をそそられ続ける時間が続いた。飽きない3時間。最後には、ぽっかりとした暖かい気持ちと、希望のない真っ暗闇の両方を観た気がして、なんとも言えない余韻が残った。

 

NLON10035th SESSION

2番目、或いは3番目』

作・演出◇ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演◇犬山イヌコ みのすけ 三宅弘城 峯村リエ 大倉孝二 松永玲子 村岡希美 藤田秀世 長田奈麻 喜安浩平 白石 遥 伊与顕二 斉木茉奈/ 小出恵介 谷村美月 緒川たまき  マギー  

●6/217/19◎下北沢 本多劇場
●7/22◎中京大学文化市民会館 プルニエホール
●7/2425◎梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
●7/28◎アステールプラザ 大ホール
●7/318/1◎北九州芸術劇場 中劇場
●8/48/5◎りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館 劇場
●8/7◎いわき芸術文化交流館アリオス 中劇場

<料金>

東京・大阪公演/6,800円(全席指定・税込)
名古屋公演/7,300円(全席指定・税込)
広島公演/7,000円(全席指定・税込)
北九州公演/前売5,500円 当日6,000円(全席指定・税込)
新潟公演/6,300円(全席指定・税込)
いわき公演/1階席5,500 2階席4,500円 バルコニー席・車イス席4,000円 学生1,500円(全席指定・税込) 

<問い合わせ>
東京公演:キューブ 03-5485-8886(平日1218時)
名古屋公演:東海テレビ放送事業部 052-954-1161
大阪公演:梅田芸術劇場 06-6377-3888
広島公演:TSS事業部 082-253-1010
北九州公演:北九州芸術劇場 093-562-2655
新潟公演:りゅーとぴあチケット専用ダイヤル 025-224-5521
いわき公演:アリオスチケットセンター 0246-22-5800

 

【文/岩見那津子】 

笹本・高畑が飛ぶ! ブロードウェイミュージカル 『ピーターパン』舞台稽古インタビュー

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今年で30周年を迎える『ピーターパン』の公開舞台稽古と囲み取材が、初日公演を控えた7月19日の昼に行われた。
今回のピーターパンはWキャストで、98年に5代目ピーターパンとしてデビューした笹本玲奈が8年ぶりに復活。もう一人のピーターパン、高畑充希は今年4年目となる。

公開舞台稽古ということで、限られた数ではあるが客席には子供の姿が多く見られ、大人と一緒に舞台を楽しんでいる様子が感じられた。
キャストの客席降りがあれば、興奮し笑顔を見せ、フック船長役の橋本じゅんがレスポンスを求めれば大きな声で即反応。大人が集まる客席ではなかなか味わえない元気の良さがあって、舞台がより楽しくなってくる。「大人も子供も楽しめるピーターパン」ここに嘘はなかった。
実際見ていて私もまず空を飛ぶピーターパンの姿にときめいた。自由に空を飛ぶピーターパンたちの姿には夢がある。子供から大人になっていく中での、なんとも言えない切なさも物語から感じた。

約3時間に及ぶ舞台稽古を終えた笹本玲奈と、高畑充希が揃って囲み取材に登場した。

 

【一問一答】

──いよいよ公演が始まりますが、今の心境をお願いします。

笹本 8年ぶりであることを感じず、すんなりピーターパンに戻ってこられたな、と。すごく舞台に立てて楽しいですし、子供たちからもいっぱいパワーをもらっています。

高畑 私も、4年やらせていただいて、またこの暑い夏が来たなという感じで気合いが入ってます。

──笹本さんは、デビュー当時のことを思い出したりされますか?

笹本 デビューの時は右も左もわからない子供だったので、それがいいところでもあったと思うんですけど、直球過ぎたなっていう、反省点ばかり思い出します。今回は8年の間に色々な作品に出て、色々な経験を積んで、今だからこそやる意味があるんじゃないかなと感じています。女優としてすごく素敵な経験をさせていただいてるな、と。Wキャストで充希ちゃんとやれるってこともすごく意味があることですし、原点に返るっていうのも、なかなかないチャンスですので、デビューして13年目になりますが、ゼロのスタート地点に戻ってこれたのが嬉しいですね。

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──高畑さんは4年目ですが、いかがですか?

高畑 30周年という重みも感じつつ。私は小さい頃、玲奈ちゃんのピーターパンを実際に見てたので、その見ていたピーターパンと同じ役をやれるというのは、そうそうない機会ですし、すごく稽古も楽しくできて。次は玲奈ちゃんと共演したいなと思いました。今回は一緒に立てないので。

──見所はやはり…?

笹本 フライングですね! 2点吊りなので、前転したり後転したり、いろんな技ができるので、そこを是非見ていただきたいです。あと、キャラクターがすごく個性的なんです。それが楽しくて、神田沙也加ちゃんが演じるウェンディにしても、橋本さん演じるフック船長にしても、それぞれに物語があるので、そこに自分を重ねて見ることができる。そういうところもこの作品の魅力だと思うので、目が離せない!

高畑 私は今回初めて客観的に見ることができて、フック船長の悲しみだとか、ウェンディの初恋とか、大人の方も楽しめるような部分がいっぱい盛り込まれてるんだなっていうのを改めて感じたので、大人の方にはそういう部分を楽しんでいただけたら、と思います。

──笹本さんは8年ぶりのフライングですね。

笹本 10代の頃にやってたことなんで、体に染みついてるというか、飛んだ瞬間も違和感なく入ってきたというか、高いところも大好きなので(笑)。

高畑 私はジェットコースターも乗れないので、良く飛んでるなとぁ自分でも思いますが(笑)、楽しく飛んでます!

笹本 風を切って飛んでるので、人間じゃない気分になるっていうか、鳥ってこんな感じなのかなぁって。

高畑 とくに最後の時は、客席が真っ暗なんで、本当に夜空を飛ぶみたいな感じで、あそこは本当にたまらなく好きです。

s_RIMG1567──ピーターパンは大人にならない子供ですが、自分を子供だと感じる瞬間は?

高畑 おいしいものを見つけた時に、周りが見えなくなる(笑)。

笹本 私はお酒が苦手で、ご飯食べにいってもジュースばっかり飲んじゃうところですかね(笑)。おつまみとかはすごく好きで、たこわさとか(笑)大好きなんですけど、それに併せてジンジャエールとかになっちゃいますね(笑)。

──公演期間が夏休みですが、お二人の夏休みの思い出は?

笹本 …ないですねぇ(笑)。本当に中学1年の時から夏はこれだけだったので、一般的なその中学生、高校生が経験する夏休みの思い出っていうのがないんですよ。これだけなんで、本当に、私にとっての思い出というのはピーターパンですね。

高畑 私も夏はずっとピーターパンなんですけど、すごくカンパニーの仲が良いので、地方に行って空いてる時にみんなで河原で花火したりとか、夏だなっていうことは、カンパニーのみんなと色々やりました。

──今回、先輩である笹本さんとのWキャストということでプレッシャーはありましたか?

高畑 稽古に入る前とか、萎縮していた部分もあったんですけど、実際お稽古が始まると自分が今までやってきたピーターとは全然違う方向からの解釈で「なるほど!」ってなるときが何度もあって。全然違うピーターパンを見られるっていうのはすごく楽しいですし、自分のことも客観的に見れたりして、あっという間のお稽古期間でした。

笹本 私は今回、充希ちゃんと一緒にやれて良かったなと思って。まずはピーターパンって飛んだり跳ねたり大変な役なんで、体力的にも助かるなっていうのと(笑)、あとはピーターパンの解釈もそうなんですけど、女優さんとして稽古場で真っ直ぐに一生懸命やってる姿っていうのが、「こうでありたいな、こうあるべきなんだな」っていうのを、稽古場の充希ちゃんを見ていて学びました。本当に今回のこの経験は宝物になりそうですね。

──笹本さんは、これから迎える初日で150回目のピーターパンですよね。

笹本 そうなんですよ。前回149回って本当に微妙な回数で終わっちゃったんで、あと1回なんだったんだって(笑)、でもやっと答えが出たって感じで、今回のために149回で終わったのかなと。同じ役を100回以上演じられるっていうのは、なかなかない経験ですので、自分の成長を役を通して見ることができるし、怖い気もしますが、本当に良い経験だと思ってます。

──ピーターパンを演じるにあたって、具体的にイメージした役者さんとか、キャラクターはありますか?

笹本 私はアニメに出てくる男の子とかすごく参考にしましたね。ディズニーのピーターパンもですし。あとアラジンとかも。

高畑 もう結構大きくなっちゃったんですけど、1年目とかは従兄弟を参考に。自分の本能の赴くままに動くその従兄弟や、公園とかで遊んでる小さい子とかを研究してました。

──最後にメッセージをお願いします。

笹本 ピーターパンは今年で30周年を迎えました。新しいメンバーも加わって、今回久しぶりにWキャストということで、素晴らしいピーターパンになると思います。絶対損はさせないと思うので、是非見にいらしてください。

高畑 小さいお子さんから、おじいちゃんおばあちゃんまで幅広くわくわくドキドキできて、最後はちょっとホロっと切なくなる。素晴らしい作品になっています。是非劇場まで遊びにきてください。

 

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ブロードウェイミュージカル

『ピーターパン』

原作◇ジェームズ・M・バリ

演出・潤色・訳詞◇松本祐子

出演◇笹本玲奈/高畑充希(Wキャスト)

橋本じゅん 神田沙也加 神原麻由 比企理恵 ほか

7/19〜8/1●東京国際フォーラム ホールC

8/7、8/8●梅田芸術劇場メインホール

8/13●中日劇場

8/19●北九州芸術劇場 大ホール

8/22●名取市文化会館 大ホール

〈料金〉

東京 ドリームシート¥6800/S席大人¥7800子供¥4800/A席¥3000

大阪  S席大人¥7500子供¥5000/A席¥3500

愛知  A席大人¥8000/B席¥6000

福岡  S席大人¥5000子供¥3500/A席大人¥5000子供¥2500

宮城  大人¥6800/子供¥4800

〈問合せ〉 ホリプロチケットセンター 03-3490-4949  

 

【取材・文/岩見那津子】

「当たり前の世界を揺るがす」本能中枢劇団・吉原朱美インタビュー

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ナンセンスなんだけど感動的。
そう、ありきたりな理由なんかない。
シーンの積み重ねも、意味があるのかないのかわからない。
だけど、胸にジーンとくる一瞬がある本能中枢劇団の作品。
色白で博多人形のような容姿と身のこなしから、意外な台詞や動きが炸裂する!
そのギャップに一目見たときから虜になった劇団員、吉原朱美に本能中枢劇団の秘密を聞いた。


——西島さんが主宰していたベターポーヅの舞台を初めて見たとき、どう感じられました?

本当にすごいおもしろい! 今までに見たことのない感じだったし、この中に入って自分もしゃべったり動いたりしたいって思いました。

——実際に参加してみて、いかがでしたか?

最初は夢中だったので、楽しいとか難しいとか感じなかったですね。ただ言われたままにやってみる感じでした。

——単語そのものは普通の単語なのに、組み合わせの妙というか、独特の世界を形成しているあの台詞をもらって、まず最初に考えるのは何ですか?

最初はとにかく台詞を覚えて、その書かれている人がどういうふうにやったら一番魅力的に見えるかということですね。見た目はとっぴなことをやっている芝居かもしれないですけど、リアルなお芝居とベースは一緒だと思っていて。お客さんが、その世界をリアルに感じるかどうかだと思うんですよ。一見支離滅裂な台詞でも、それを言っている私はその世界では真面目に生きていて、その世界を当たり前として生きている人として、本当に説得力を持つように、見ている人に届くようにやりたいなと思っています。

——リアルに感じるように届けるために、実際はどんな風に演じるのですか?

自分がどう思うかとかはあんまり考えないんですけど・・・、やるときはできるだけ普通に入っていけるようにしますね。リラックスして。でも、なんかね、力んじゃうんですけどね(笑)。今回も新しい方とかいっぱいいて、みんな面白かったりすると「自分ができることって何だろう?」とか余計なことを考え始めると力が入って、おかしなことになっちゃうんで。もっとリラックスしてどんどんやれたらなと思っているんですけど。

——今日もいろんな劇団で活動されている方が集まっていますが、どの方も魅力的に見えて、びっくりしました。

西島さんは誰も気付かなかった魅力とか、その人がチャーミングに見えるように書くのが上手だなと思います。

——台詞のあるシーンもそうですけど、ダンスシーンも毎回印象的ですが、踊っているときは何を考えているのですか。

私はダンサーじゃないのであれですけど、台詞がない分よりコミュニケーションをしようっていう気持ちが強くなるっていうか・・・なんて言い表したらいいかわからないけれども、何かを共有できたらという感じがあります。

——前回、初参加された出演者の方たちが、西島さんの世界に戸惑いを感じていたと耳にしましたが。

これまで当たり前だったことが、当たり前じゃなかったんだというか。戸惑っている人の姿を見て、改めて西島さんの本のことについて考えられるというか、すごい新鮮に受け止められました。前回も今回も出演者の方には、すごく恵まれていて。みんな分からないと言いながら、絶対よくしようと思って取り組んでいらっしゃるので、そういう姿を見て刺激を受けています。

——稽古が意外と穏やかで、価値観の押しつけがないようなので、驚きました。

稽古はまだまだの段階ですね。たぶん6合目くらいだと思います。西島さんはすごく自分のアイデアとか台詞に執着しないというか、ばっさり面白いシーンをカットしたりするんです。その執着のなさはすごいなと思ったりします。でも結果それより面白いものが出てくるので、すごいですよね。

——稽古場のリラックスした空気感も印象的でした。本番間近になるとピリピリした雰囲気になったりするのですか?

今日なんて、全然ゆるゆるでしたよね(笑)。これから本番に向けてピリピリすることは・・・ないと思います。西島さんの芝居の場合はそれがいいですよね、きっと(笑)。
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稽古の様子はこちらでご覧いただけます。

演ぶShop【チケット 店】では、公演日の一週間前まで、割引価格でチケットを販売中です。
http://www.enbu.co.jp/kick/shop/

公演情報
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本能中枢劇団
『家庭の安らぎの喜びと恐怖』

7/23〜8/1◎こまばアゴラ劇場
作・演出◇西島明
振付◇山田うん
出 演◇猿飛佐助 吉原朱美 森下亮(クロムモリブデン) 飯野遠(民藝) 真下かおる(くねくねし) 成田さほ子(拙者ムニエル) 森田ガンツ(猫のホテル) 横塚真之介 宮下今日子
<料金>前売¥3000  当日¥3300(整理番号付自由席)
<お問い合わせ>三村里奈  090-2916-1739 mrco@m8.dion.ne.jp

http://honchu.net/

【取材・文/矢崎亜希子】
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