稽古場見学、記者発表、インタビューなどから、近々公開される作品のおもしろさを探ります。

えんぶ9号ラインナップ

陪審員たちの人間があばき出される、『12』〜12人の怒れる男より〜

s_DSCF7444

裁判劇の古典ともいうべき「12人の怒れる男」を、和田憲明がアレンジ、女性2人を交えた12人に書き直した舞台『12』が公演中である。
テーマは日本でも始まった陪審員制度で、人が人を裁くことの難しさや、それでもなお法と正義を行なわなければならない「人間の義務」を突きつけた名作ドラマだけに、いったん幕が開くと息詰まるようなディベート劇が繰り広げられる。映画では1957年のヘンリー・フォンダ主演作品が有名だが、アレンジ版である三谷幸喜演出『12人の優しい日本人』や、パロディもの、原作そのままなど、今までにさまざまな形で上演されている。

s_DSCF7449s_DSCF7457

罪を裁かれているのは、父親殺しの疑いをかけられているスラム育ちの少年。物証や目撃者の証言はそろっていて、有罪の疑いが濃い。だが、最後の審議で陪審員8号が疑問を投げかける。「このままきちんと審議もしないまま、1人の少年の命を奪っていいのだろうか? 」。
1つ1つの証拠を見直しはじめる12人。そのうちに見過ごされてきた疑問が浮かび、洗い直され、いつしか少年は無罪という方向へ意見が傾きはじめる。だが、どうしても少年は有罪だと主張し続ける1人の陪審員がいた。

公正中立であるべき審判が、個人的事情や感情によって揺れ動いてしまうことの怖さ、一方で、正義を行なおうとする人間の良心と意志。謎解きサスペンスのなかに心理劇の面白さもあり、物語が始まったら息もつかせず運ばれていくのは、やはり名作ならではの迫力である。

s_DSCF7437s_DSCF7440

今回の和田憲明アレンジで際立っているのは、場をリードする陪審員8号を女性にして田島令子に演じさせたことで、正しいことを当たり前に主張し続ける8号の柔らかな物腰と、個人的な思いから少年を憎む小嶋尚樹の3号の頑さという構図が鮮明に浮かび上がった。また8号に味方する9号の鈴木省吾や11号の外波山文明というベテランたちが舞台を引き締める。
主催がLDHということで、劇団EXILEの若手俳優たちも出演、スラム育ちの青年(5号/小澤雄太)、広告代理店のビオジネスマン(12号/春川恭亮)、年寄りを大事にする肉体労働者(6号/鈴木伸之)など、それぞれ背景を感じさせる役柄で健闘。またOL役の長谷部優(1号)や、ヤンキースマニアの平沼紀久(12号)なども目立つ役どころを演じている。

やや斜めにおいた長机の周囲で、心理と言葉のぶつけ合いで見せる室内劇だが、しだいに12人の人間としてのさまざまな顔があぶり出されていく面白さがあって、最後のシーンのカタルシスとともに、何度も上演されるにふさわしい名作である。

s_DSCF7464

『12』〜12人の怒れる男より〜

TWELVE ANGRY MEN by Reginald Rose

作◇レジナルド・ローズ

翻訳◇額田やえ子

脚本・演出◇和田憲明

出演◇中野英樹、長谷部優、小嶋尚樹、北村栄基、小澤雄太、鈴木伸之、平沼紀久、田島令子、鈴木省吾、多門勝、外波山文明、春川恭亮(陪審員番号順) 、 敷間優一 (守衛)
2/10〜27◎シアターサンモール
〈料金〉5,000円(全席指定・税込)
〈問合せ〉公演事務局 0570-064-807(平日12:00〜19:00)

【文/榊原和子】 

オーディション・ワークショップ 参加者募集 tpt77『イェルマ』 

優れた作品作りと新人発掘に長い歴史を持つTPT(シアタープロジェクト・東京)が、4月に公演するロルカ作『イェルマ』のための、ワークショップ/オーディションを開催する。

スペインの作家ガルシア・ロルカの戯曲『イェルマ』は、20世紀最大の劇詩人ロルカがギリシャ悲劇を源流に描いたシュールな世界。運命、社会と闘う女性のいのちの叫びを詩と音楽にのせ、ライブ感と祝祭性豊かに描く!

この『イェルマ』の、ワークショップ/オーディション参加者を募集する。

2月22日(火)〜28日(月)@ tpt Riverside Studio
エクササイズ/シーンスタディ/オーディション
(女優10名&男優5名)
昼クラス:2〜5pm  夜クラス6〜9pm
参加費:30000円
リハーサル:3月

電話での問い合わせ/tpt 03-3635-6355

http://www.tpt.co.jp/



tpt77 『イェルマ』

作◇フェデリコ・ガルシーア・ロルカ 
台本◇広田敦郎
演出◇門井均
ステージング◇グスタヴォ・ザジャク
美術◇朝倉摂
4月2日〜13日(予定)◎BankART Studio NYK


【文/榊原和子】

ニコニコミュージカル 2作『ココロ』『DEAR BOYS』同時上演決定!

 

ニコニコ動画が、ネットとライブの融合による新たなエンターテイメント事業として始めた「ニコニコミュージカル」が、昨年から始動しているが、新たな試みとして舞台劇『ココロ』と『DEAR BOYS』を、ゴールデンウィークに同時上演する。  

舞台劇『ココロ』は、2008年3月にニコニコ動画に投稿された楽曲を世界観にしたもの。
プログラムによって心を得たロボットの溢れる感情を鏡音リン(ボーカロイド)が切なく歌い上げ、再生数は 120 万回を超えたという人気動画が元になっている。
すでに2009年に水戸市芸術祭演劇フェスティバルで上演され、2010 年には東京で再演された作品。 

『DEAR BOYS』は、八神ひろき原作のバスケットボール漫画で、2007 年第31回講談社漫画賞少年部門受賞。
2007 年冬にミュージカル化されて、2008年夏には続編が上演されている。  

  この『ココロ』と『DEAR BOYS』の2作品を、マチネとソワレで入れ替え、同じ劇場で上演する。  

 

ニコニコミュージカル第4弾 

舞台劇『ココロ』 

原作◇トラボルタ ココロ(作詞・作曲 トラボルタ) 

脚本・演出◇石沢克宜 

音楽◇トラボルタ 

 

ニコニコミュージカル第5弾

『DEAR BOYS』 

原作◇八神ひろき (講談社「月刊少年マガジン」連載) 

演出◇宇治川まさなり 

脚本◇三井秀樹 

音楽◇坂部剛 

イメージイラスト・コスチュームデザイン◇redjuice 

特別協力◇クリプトン・フューチャー・メディア株式会社 

 

● 4/29〜5/8◎THEATRE 1010 

(※公演予定は予告なく変更することがございます) 

4 月 29 日(金) 『ココロ』19 時開演  

4 月 30 日(土) 『DEAR BOYS』12 時開演/『ココロ』18 時開演  

5 月  1 日(日) 『ココロ』12 時開演/『DEAR BOYS』18 時開演  

5 月  2 日(月)  休演日  

5 月  3 日(火) 『DEAR BOYS』12 時開演/『ココロ』18 時開演  

5 月  4 日(水) 『ココロ』12 時開演/『DEAR BOYS』18 時開演  

5 月  5 日(木) 『DEAR BOYS』12 時開演/『ココロ』18 時開演  

5 月  6 日(金)  休演日  

5 月  7 日(土) 『ココロ』12 時開演/『DEAR BOYS』18 時開演  

5 月  8 日(日) 『DEAR BOYS』12 時開演/『ココロ』18 時開演 

 

 http://www.nicovideo.jp/nicomu/

【文/榊原和子】

 

記事検索
演劇キックラインナップ

演劇キック

観劇予報

宝塚ジャーナル

演劇人の活力源

日刊えんぶ

えんぶ情報館

えんぶショップ

えんぶミロクル

えんぶfacebook

広告について