稽古場見学、記者発表、インタビューなどから、近々公開される作品のおもしろさを探ります。

カムカムミニキーナ『>(ダイナリィ)』

相葉雅紀が熱演!『君と見る千の夢』初日舞台稽古&囲み会見

 

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相葉雅紀×宮田慶子の4度目のタッグが話題の舞台『君と見る千の夢』の、公開舞台稽古と囲み会見が5月2日、東京グローブ座にて行われた。

相葉雅紀の主演で宮田慶子が演出した作品は、これまでに05年の『燕のいる駅』、07年『忘れられない人』、09年『グリーンフィンガーズ』と、それぞれ心に沁みる舞台を生み出してきた。
今回は脚本を、人気テレビドラマ『ナースのお仕事』などを手がけた金子ありさが担当、1人の男の昏睡状態の中での過去、現在と、生と死を超えた瑞々しいラブストーリーを描き出している。

物語の始まりは、ある病院に重体の青年が運ばれてくる。一緒に駆け込んできたのが、相葉演じる池辺春也。ほどなくして、春也の妹や友人も現れる。彼らに自分の無事を伝えようとする春也だが、そこで異常な事態に気づく。「もしかして、俺?」。幽体離脱状態のなかで、事故当時のことを思い出そうと必死に記憶を辿るにつれ、春也が知ることになる事故の真相とは…。

これが主演4度目の相葉はすっかり役になり切っての熱演で舞台役者らしさを見せれば、恋人役で舞台初出演となる上原美佐は初々しさを感じさせてくれる。相島一之、藤田朋子、田山涼成らベテランたちが懐の深い演技で支えるこの作品、春也の人生が観客の1人1人に迫るという意味でも、リアルでありながらファンタジーなラブストーリーに仕上がっている。

その初日前、本番さながらの熱の入った演技を見せた、相葉、上原、田山が公開稽古後の囲み会見に登場した。

(相葉さんの写真は掲載されません)

å??-1【一問一答】

ーーいよいよ初日を迎えられますが、心境は?

相葉 皆で作り上げてきたものを見せるだけです。場所は整いました。

ーー公開稽古の手ごたえはどうでしたか?

相葉 どうですか?お父さん。 

田山 手ごたえはグッとつかみましたよ。僕の心もグッとつかまれちゃって。歌も芝居も完璧で。(上原さんとの)2人のシーンは、涙が出ちゃった 。

相葉 2人のシーンが多いので、色んな路線で作っていたんですけど。一番落ち着いたところを今日お見せしました。 

ーー相葉さんは宮田さんと組まれて4作目ですね。 

相葉 しょっちゅう怒られてます(笑)。バラエティ番組の収録の翌日とかに稽古場へ行くと、「昨日何してたの?」とか言われて、気持ちの切り替えが出来ていないのとか見破られちゃうんです(笑)。プロローグが僕のセリフからなので、「毎日、そのテンションに持っていけるように気をつけなさい。そこがブレると全部がブレるから」と言われたので、しっかり守るようにしています

ーー稽古場でのエピソードは? 

田山 1ヵ月半もの稽古は久々で。相葉くんは忙しいのに毎日来てて、劇団のような稽古でしたね。おかげで(息子役の)相葉くんに顔が似てきましたけど(笑)。

相葉 (笑)。 

ーー上原さんは初めての舞台出演となりますが 

上原 共演者に恵まれてるなと思います。皆さんにひっぱってもらっています。 

ーー初共演となる相葉さんの印象はいかがですか? 

上原 TVで見ていたのとあまり変わらないです。そのままでしたね。すごく優しいです。 

相葉 (笑)。 

ーー最後に相葉さん、見に来られる方にメッセージをお願いします 。

相葉 1ヵ月半、死に物狂いで頑張って稽古をしてきました。見に来られる方は、ぜひ楽しみにしていてください。最高の舞台をお見せしたいと思います。

 

 

 

『君と見る千の夢』

●5/2〜 24◎ 東京グローブ座

演出◇宮田慶子

脚本◇金子ありさ

出演◇相葉雅紀 上原美佐 藤田朋子 相島一之/田山涼成 他

〈料金〉

S席/¥8500 A席/¥7500 B席/¥5500 (全席指定・税込)

〈問合せ〉

03-3366-4020 東京グローブ座

 

 

 

 【取材・文/櫻井麻子】 

 

 

 


切ない分だけ輝く時間『ローマの休日』 

朝海ひかる演じるアン王女の目が、本当にキラっと光ったのを見た。光ったのは、公務から離れてジョーとカフェに行くと決めた瞬間。義務から逃れてしまうことへの罪悪感、それ以上に彼女の心を締めていた大きな責任感、そこから気持ちが解き放たれた瞬間にキラっ。もうそのアンの目を見ただけでも心が躍った。

ローマでの一日は、驚きや、ドキドキする出来事に溢れていて全てが幸せだった。オープンカフェでお茶をし、初めてのタバコ。映画でもお馴染みのベスパの二人乗り、真実の口、祈りの壁、船上でのダンスパーティー何気ないことが新鮮で楽しくて仕方がないのだけれど、このままではいられないこと、必ず終わりがくることを、アンとジョー、そして観客も知っている。「終わってほしくない」その気持ちが強ければ強いほど、一日の甘く切ない輝きが増す。

観客は二人と一緒になって欠けがえのないローマでの休日を楽しむ。それと同時に自分の中にある、過ぎ去ってしまった大切な時間を思い出すのだろう。舞台上の物語や人と同じ空間で同じ空気を共有できる「演劇」だからこそ、より色鮮やかに気持ちも蘇る。無くしてしまったものを思うと切ないけれど、その切なさすら愛おしい。

朝海ひかるのアンはとにかくキュート。しかし、立ち振るまいには王女らしい品を常に感じさせる凛々しさがあった。ジョーを演じた吉田栄作は斜に構えた言動の中で垣間見せる優しさや、熱さが、また渋くて格好良い。小倉久寛が演じるのはカメラマンのアーヴィング。ジョーとの友情をみせる重要な役割を果たし、更にくすっと笑える場面を巧みに作り上げる。

『ローマの休日』をたった3人の出演者で見せることに最初は誰もが驚いただろうが、実際に見てみると3人であることに、なんの違和感もなかった。映画にはないジョーとアーヴィングが新聞記者、カメラマンとして働く背景が書き加えられていたり、ローマを観光する場面などは映像を効果的に使い表現している。

映画のモノクロの雰囲気を形にしたようなシックな舞台美術。これがジョーが暮らすアパートの一室で、まず劇場に入って目にするのがこのセットなのだが、見た瞬間にふっと街の香りを感じた。劇場が持つ非日常性の楽しみを高めてくれる優れたセットであるとともに、そっくりであることで映画との接点を作り出している。

部屋を出て行ったアンが、ジョーにお礼をする為にもう一度アパートに戻ってくるという設定もポイントの一つだ。アンが街に出てヘアスタイルを変えたり、買い物を楽しんだりというシーンは舞台には出てこないそのエピソードを実際に表現しようとしたら、3人しか出ない構成そのものにおそらく無理が生じただろう。そのかわり、街で感じたときめきはアン自身の言葉で生き生きと語られる。新鮮な感動に満ちたアンの言葉はジョーの心を動かすし、その胸の高鳴りは観客にも伝わってくる。これこそが演劇の想像力だ。

映画を舞台化、しかも出演者は3人ということで表現手段は制約を受けたに違いないが、そこをアイディアで打開。そのアイディアがアンやジョーの心理描写をかえって深くしていることにも感動する。

最後、記者会見の場で、アンとジョーは見つめ合う。ただ見つめ合うだけで言葉はない。しかしそういった沈黙の場面にこそ、この作品が“演劇”である理由がある。視線に込められた想いも、何もかも全てを二人と一緒に体感することができるから。
もう戻ってこない過去の時間を思うと、とにかく切ない。でも、たった一日だけでも幸せな時間を過ごせた喜びも同じぐらい感じる。幸せだと思う瞬間は永遠に続かない。別れがあるからこそ、今その時の輝きが増す。アン王女とジョーと共に切なくて愛しい夢を見させてもらった。


『ローマの休日

●4/27〜5/9◎天王洲 銀河劇場 メインホール

●5/12〜16◎梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ

原作◇ダルトン・トランボ

演出・脚本◇マキノノゾミ

脚本◇鈴木哲也

出演◇吉田栄作、朝海ひかる、小倉久寛

<料金>銀河劇場/¥9000(全席指定/税込)

           梅田芸術劇場/¥9000(全席指定/税込)

<お問合せ>銀河劇場チケットセンター/03-5769-0011(10:00〜18:00)http://gingeki.jp

梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ/06-6377-3800  http://www.umegei.com/

 

 

【文/岩見那津子】

2人で17役!『モジョ ミキボー』(稽古場ルポ&インタビュー)

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文学座の俳優、浅野雅博と石橋徹郎が、2人で17役を演じるというので注目の舞台『モジョ ミキボー』が、5月4日に初日の幕を開ける。

作者はオーウェン・マカファーティで、1961年生まれの北アイルランドを代表する劇作家。昨年、新国立劇場で上演された『シュート・ザ・クロウ』によって、日本の演劇界でも知られるようになった。

作品の背景は1970年代、場所は北アイルランドのベルファースト。
過激派のテロリズムや一触即発の政治状況のなかで、映画『明日に向って撃て!』のブッチとサンダンスに憧れる2人の少年、モジョとミキボーの冒険と彼らが生きる厳しい現実が、日常的な描写の中に浮かび上がってくる。
この戯曲は『ミキボーと僕』というタイトルで映画にもなり(英国映画 監督・脚本/テリー・ローアン)、日本でもノーザン・アイルランド・フェスティバルで2008年に上映されている。

演劇としては今回が日本初演。浅野と石橋が企画制作、演出の鵜山仁の協力を得て2人の手作り公演として立ち上げた。しかも下北沢OFF・OFFシアターを約1カ月借り切ってのロングラン公演ということでも大冒険である。
その稽古場を見学、そして役者でありプロデューサーという2人にインタビュー。

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【稽古場ルポ】

「モジョ」「ミキボー」、2人が並んで自分の名前を名乗るファーストシーンから稽古は始まった。浅野雅博がモジョで石橋徹郎がミキボー、実力派俳優の2人だけに、1970年代のベルファーストの少年がすでにそこに息づいている。
まだ椅子だけしかない稽古場での立ち稽古、2人のほかには演出の鵜山仁と演出助手の斎藤栄作、少人数だけにコミュニケーションが密で、まさに共同作業で作り上げている。

この作品の登場人物は全部で17人。モジョとミキボーとそれぞれの家族、喧嘩相手の少年たち、2人の冒険場所である映画館や町で出会う人々、それら17役を、2人の役者が分け合っている。
なかでもとくに大きな役割りを果たすのがナレーター。演じる浅野雅博のセリフで場面が変わっていくだけに荷は重い。だが立ち位置を移動した瞬間に、少年モジョの顔からナレーターの顔に変わり、口調もガラリと変化させてみせるのはさすがだ。
石橋も9役を演じていて、その見せ場の1つ、ミキボーと喧嘩相手がばったり出くわす場面での役の移動ぶりなどは実に鮮やか、大きな身体の乱暴者として出現して、先ほどまで自分が演じていたミキボーを脅かしてみせる。

DSCF2747演出の鵜山は、そんな2人の動きを見ながら、BGMや頭上に響く軍用ヘリの効果音を試してみたりしている。
音楽は1970年代ポップスで、少年たちが憧れたニューシネマ『明日に向って撃て!』の主題歌「雨にぬれても」が、懐かしさと哀愁をかき立てる。

台本の言葉はかなり言い換えられていて、戯曲の言葉から芝居の言葉、つまり生きた人間の生理から発するものに変わっている。その感性こそが鵜山仁の演出家としての力で、生き生きとした少年2人のリズミカルな会話が心地よい。
そんな稽古を約1時間ほど見学したところで2人に話を聞いた。



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【浅野雅博・石橋徹郎インタビュー】

ーーこの戯曲に決めるまでのいきさつを。

浅野 最初はとくに2人と決めずに、4、5人くらいでやろうと思って本選びをしてたんです。この『モジョ ミキボー』は鵜山さんが英文のままの戯曲で持っていたものなんですが、どうも2人芝居らしいと。しかも30代後半〜40代前半の男優が演じると書いてあるから、ますます2人にぴったりだなと(笑)。

石橋 映画のDVDも観たら3人ともピンときて、直感でこれだ!と。2人芝居なんだけど2人で17役やるというのもいいなと。2人芝居で2つの声しか聞こえてこないと、客席で退屈してしまう可能性もあるけど、これはいろんな人になって出てくるので、面白がってもらえるんじゃなかと思って。やるほうはたいへんですが(笑)。

ーー他の役にどんどん変身していくのがすごいですね。

石橋 1つの役でもたいへんなのに、人格を変えるのがこんなにたいへんだとは思いませんでした。でもそこがこの芝居の醍醐味なんでしょうけど。

浅野 観てる人もそこが面白いと思ってくれるんじゃないでしょうか。僕はナレーターが一番プレッシャーですね。次のシーンがナレーターによって始まるわけですから。なんと35個所、ナレーターのセリフはあるので、「1日に1個所は、絶対とばすと思う」と言ってるんです(笑)。

ーー背景ですが、1970年代当時の北アイルランドの状況があるわけですね。

浅野 橋を隔ててプロテスタントとカトリックに分かれてて、僕のモジョは丘から転がっていってミキボーに会うんです。

石橋 そういうことは全て大人がやってることというか、2人は家庭環境の違いで引き裂かれる。橋が象徴的な存在というか。橋なんか壊しちゃえばいいのにっていうセリフもあるんですが。

浅野 僕はその橋を渡って会いに行く。でもいろいろなことがあって、また最後に橋を渡るんですが、その気持ちがとても複雑ですね。

ーー悲劇的な物語ですか?

石橋 じゃないと思います。

浅野 悲劇的なことも起きるけどね。悲劇ではないです。

石橋 北アイルランドということで、そういうイメージはあるんですが、やっぱり暗い気持ちでお客様を帰したくはない。そこで子供が主役ということは大きいと思ってるんです。子供たち自身は、どれだけ屈託ないかというのを見せたい。DSCF2764

浅野 「ベトベトになってる飴を紙ごと食べるのが好き」とか(笑)、子供ならではの面白い会話がえんえんと続くんです。

石橋 そういう話を兵隊さんを見ながらしてたりするんだよね。

浅野 そうそう。

石橋 それをオジさん2人でやれと書いてあるところが素敵なんです。

浅野 鵜山さんが改めて「この本はけっこう深いよ」と言ってたんですが、他愛のない会話なのに裏に深いものが見えてくるんです。

ーー出てくる大人たちも、モジョとミキボーの目から見た大人たちという構造になってる気がします。

浅野 そうですね。僕はミキボーのお母さんもやるんですが、モジョから見たミキボーのお母さんなんですよね。そこに何役もやる意味があると思ってます。

石橋 その何役を、せいぜいエプロンつけたり帽子をかぶるくらいの変化で見せるので難しいんですが。観ているお客さんの想像力をかき立てたいですね。

浅野 まさに演劇でしかできない、演劇ならではの作品だと思います。

ーー期間もロングランですごいですね。

石橋 実はそれがやりたくて。

浅野 NYのオフオフみたいに、評判の芝居がその小屋に行ったらやってるというのがやりたかったんです。

石橋 とりあえず1カ月やってたらこちらも変わるし、来てくれるお客さんも入れ替わる。最後にはお客さんが増え過ぎて観られなかったというのが理想です(笑)。

浅野 口コミで観たい人が増えるという形になってほしい。

石橋 35年後までロングランが続いてるって夢を、鵜山さんが見たそうですから(笑)。

浅野 夢じゃないと思う。いろんな役者さんで出来る戯曲だから。

石橋 それも僕ら2人にかかってます(笑)。

 

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『モジョ ミキボー』

作◇オーウェン・マカファーティ

翻訳◇平川大作

演出◇鵜山仁

出演◇浅野雅博 石橋徹郎

●5月4日〜5月30日 下北沢OFF・OFFシアター

5月4日(火・祝)〜 7日(金) 2,000円(全席自由・前売当日共)

5月8日(土)〜30日(日) 3,500円(全席指定・前売当日共)

コマンドエヌ 03-5338-6215

http://ameblo.jp/mojo-mickybo/


【取材・文/榊原和子】
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