稽古場見学、記者発表、インタビューなどから、近々公開される作品のおもしろさを探ります。

カムカムミニキーナ『>(ダイナリィ)』

3人で演じる『ローマの休日』(舞台稽古取材と出演者コメント)

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オードリー・ヘップバーンとグレゴリー・ペックで有名な、あの『ローマの休日』がストレートプレイとして舞台化され、4月27日に初日を迎えた。

1953年に公開されたアメリカ映画で、以来60年近く経った今も、世界中で愛されているラブ・ストーリーである。ミュージカルでは舞台化されたことがあるが、ストレートプレイとしては日本で初めて。また今回はたった3人だけの舞台ということで話題を呼んでいる。

物語は、窮屈な親善旅行を抜け出して、ローマの街に飛び出したある国の王女アン。その彼女を王女と知らずに自宅に泊めてしまう新聞記者のジョー。彼は朝になってアン王女と気づくが、スクープを目当てに知らないふりをしてローマを案内する。そんな2人の間にいつしか恋心が芽生えて、というロマンティックなストーリー。

今回の舞台は、ジョーには吉田栄作、アン王女には朝海ひかる、ジョーの友人でカメラマンのアーヴィングには小倉久寛が扮している。

セットはジョーのアパートがメインで、その部屋は2階にあるという設定から、上手客席に降りる階段を作り、観客のそばを出演者が劇中で行き来するのが楽しい。

モノクロフィルムのよさを舞台でも生かすために、セットも衣装も、もちろん小道具もモノトーン。セピア色に撮影されたジョーとアンのローマ観光風景もどこか懐かしい美しさだ。観光名所の「真実の口」はもちろん登場して、よく知られている名場面が目の前で繰り広げられる。

スマートでありながら赤狩りで祖国を追われた屈折と陰を魅力的に漂わせる吉田栄作と、無邪気な可愛らしさと気品を感じさせる朝海ひかるのアン王女。凄腕のカメラマンなのに人の善い小倉久寛のアーヴィング。脚本・演出はマキノノゾミ、脚本を鈴木哲也が手がけて、この舞台でしか見られないオリジナル部分もある。映画の中でアンが乗り回すスクーターのベスパは、ガソリンは許可が出ないために電気仕掛けで、朝海が嬉しそうに乗っている。

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初日前の舞台稽古のあと、吉田栄作、朝海ひかる、小倉久寛が取材陣からの質問に答えた。

 

【一問一答】

ーーいよいよ幕が開くんですが。たまたま今日は映画が初公開された日でもあるそうですが。

朝海 えー、知らなかったです。

吉田 知ってて今日を初日にしたのかな(笑)。

朝海 プロデューサーに聞いてみましょう(笑)。

ーー今の気持ちは?

吉田 本当にいよいよという気持ちです。初日独特の、なんか感慨深いものがありますね。

朝海 とても緊張しますけど、落ち着いてやりたいです。

小倉 はい、すごいビビってます。楽しんでやりたいんですけどね。なんかドキドキしてます。

ーー改めて感じる『ローマの休日』のよさって?

吉田 本当に僕たちがずっと大好きだった映画ですし、それプラスアルファでそれぞれの人間関係が深まってる舞台ですし、なんといってもこれは生の舞台ですからね。

朝海 生の舞台ならでは息づかいとか、生の感覚をぜひ劇場で感じていただきたいです。あとは毎日大事に演じていきたいなと思ってます。

小倉 あれだけ素敵な映画ですし、あれだけ綺麗な物語ですから、負けないように可愛くキュートにと。

朝海 小倉さんがね(笑)。

ーー小倉さんのそのお腹は?

小倉 入れてますよ、もちろん。これだけあったらたいへんですよ。

ーー今回はセットもモノクロで素敵ですが、気に入ってるセットは?

吉田 基本的に僕のアパートが中心になってますし、やっぱり自分のアパートですね。居心地がいいです。ベッドも長椅子も。

朝海 私はこの「真実の口」が。鼻筋が通ってて、本物にそっくりなんですよ。

吉田 行ったことあるんですか?

朝海 はい、この間ローマに行って。

吉田 手を入れてきましたか?

朝海 はい。大丈夫でした(笑)。かまれませんでした。

吉田 この大きさ?

朝海 はい。毎日ローマにいるみたいです(笑)。

DSCF2919ーー客席で観ていてもローマそのものという雰囲気ですね。

小倉 それは嬉しいですね。僕もセットで好きなのはジョーのアパートですね。ちょっと段になってるとか、いいよね。

吉田 小倉さん的には狙いやすいんでしょ? こけるとか(笑)。

小倉 そういうわけじゃなくて(笑)。窓から見える景色なんかもいいよね。

吉田 実際、映画でも高台に住んでて、そういう映画の部分を大事にしてます。

小倉 ベスパに乗るし。ベスパはこの舞台用に排気ガスが出ないのを作ってもらって。2人で乗るところなんか袖で見てて、青春してて胸がきゅんとなっちゃいますよ(笑)。

ーー2人の腕前は?

小倉 彼は上手ですよ、もともと。朝海さんはみんなが心配してて、今でも心配ですよ。

吉田 今日もちょっとぶつかりそうだった(笑)。

朝海 あのスクリーンに、いつも(笑)。それがちょうどお芝居と重なっていいかなと(笑)。

小倉 朝海さんの場合、心配なところが2つあって。1つはベスパです。あと1つは自分で言ってください。

朝海 一幕の二場に寝てるシーンがあるんですが、そこで本当に寝ちゃいそうに(笑)。さっきは別に寝ちゃったんじゃないですからね。いろんなことを考えてて。

吉田 寝ちゃったんだ、さすがだなと思ってた(笑)。

朝海 そんなことはないです(笑)。

小倉 あの態勢なら俺は寝るな(笑)。

ーー3人きりということで苦労されたことは?

吉田 そうですね、ステージに乗ってる生きてる俳優は3人きりですからね、がんばらないと。

朝海 吉田さんがずっと喋っててくださるんで、なので私が間違ってはいけないな思うんですが、さっきも間違ってしまって(笑)、すみません。

小倉 僕がいちばんたいへんで、すみません。さっきもずっと見つめ合ってしまいました。

吉田 狙いだと思ってもらえたみたいだよ(笑)。

ーープライベートでも仲良し2人ということですが。

吉田 それを生かさないとね(笑)。ちょっと笑いそうになりましたが。

ーー小倉さん踊ってますね。かなりハードな。

小倉 ハードに見えますか?よかった。

朝海 終わってハアハア言ってますね。アップテンポで跳ねてる感じで、あれはハアハアすると思います。

吉田 ダンスは僕がいちばん劣等生ですから。初めてです。

朝海 いえいえ、経験者かと。エスコートもさすがです。

ーー最後に、見どころは?

吉田 皆さんの大好きな『ローマの休日』を、基本的にはそのまま皆さんのイメージを壊さないようにやれる努力をしてますし、みんなで一丸となっていい作品にしています。映画より深まってるので、そこを楽しみに劇場まで足を運んでください。

朝海 本当にローマに旅行にきた感じを味わっていただけるので、今回の火山噴火で、飛行機が止まってイタリア旅行をキャンセルしたかたがいましたら、ぜひ銀河劇場に足を運んでいただければローマにいれる気分になれます。

小倉 なんかロビーのバーにカクテルがあるそうですが、俺たちの。

吉田 そうそう、俺たち3人の役をそのままイメージしてるカクテルで、ジョーは緑で、小倉さんのアーヴィングが赤、アン王女は白で、3人を合わせるとイタリア国旗の色になるそうです。

小倉 いろいろな工夫があるので、ここにいらして『ローマの休日』を楽しんでいただきたいですね。

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『ローマの休日

●4/27〜5/9◎天王洲 銀河劇場

●5/12〜16◎梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ

原作◇ダルトン・トランボ

演出・脚本◇マキノノゾミ

脚本◇鈴木哲也

出演◇吉田栄作、朝海ひかる、小倉久寛

<料金>銀河劇場/¥9000(全席指定/税込)

           梅田芸術劇場/¥9000(全席指定/税込)

<お問合せ>銀河劇場チケットセンター/03-5769-0011(10:00〜18:00)http://gingeki.jp

梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ/06-6377-3800  http://www.umegei.com/

 

 

 

  【取材・文/榊原和子】

 


小劇場が19世紀のテムズ河になる!


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イギリスのユーモア小説として1889年に刊行され大ヒットした、ジェロームKジェローム原作の「ボートの三人男」がスタジオライフ公演『スリーメン イン ア ボート+1』として新井薬師にある小劇場のウエストエンドスタジオで上演されます。この小説はこれまでにも映画、テレビ、ラジオ、舞台、ミュージカルとあらゆるエンタテイメントのジャンルで作品化され世界中の人たちに愛されてきました。

原作では、3人の友人と1匹の犬が気晴らしのために、ちょっとしたボートの旅に出ます。みないいやつで(いろいろと問題もあるもですが)、大げさなホラ話や、土地ごとの歴史なども旅をしながら楽しく語られていき、イギリス作家のもつ思い切りの良いユーモアが満載の作品です。

今回の公演が行われるのは観客席が100人ちょっとの小劇場ですので、観客も彼らと一緒にテムズ河をボートに乗って楽しく旅をしている気分になることでしょう。スタジオライフは(ご存じの方も多いでしょうが)男性俳優が女性役を演じるのが特徴のひとつなのですが(もちろんそれはそれでステキなのですが)、今回は女性は登場しませんので、ビギナーの方にも安心しておすすめできる作品です。ぜひ小劇場ならではの醍醐味を味わってみてください。

念のため、劇団からのメッセージもごらんください。
「病気だと思い込んでいる働くことが大嫌いな三人の男たちが、健康を取り戻すために愛犬を連れ、テムズ河の旅へ出発します。世間知らずの彼らは無事に目的地へ辿り着けるのか…!?  '93ロンドン・フリンジで観客参加型の即興ドタバタライブとして大ヒットした作品です。笑いの渦に巻き込まれたい方必見!!」??

■スタジオライフ公演
『スリーメン イン ア ボート+ワン』
(東京公演)5/20〜30◎中野ウエストエンドスタジオ
(名古屋公演)6/4〜6◎七ツ寺共同スタジオ
(大阪公演)6/10〜13◎ウイングフィールド
脚本・演出◇倉田 淳
出演◇深山洋貴 関戸博一 富士亮太 三上俊 船戸慎士
篠田仁志 緒方和也 神野明人
問い合わせ:03-3319-5645(スタジオライフ)




アングラ役者ここにあり! 飯田孝男インタビュー


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芝居だけでなく生き方そのものがアングラな人生を歩んできた役者飯田孝男が、これもテント芝居などで名をはせている翠羅臼(作・演出)と組んで「ふるふるー山頭火の褥」以来の公演を7月に高円寺明石スタジオでおこなうことになった。筋金入りのアングラコンビが、ふじゃじゃけた現世に問うお芝居は意外なことに人情話のにおいなどもして・・・。なにはともあれ、首謀者飯田に話を聞いてみることにした。
 
――座組はどんな風になるのですか?
飯田 「山頭火」公演の時に妻役をやった月夜野たまという女の人。たまちゃんと元中村座の人と、最近「チンドンー聞き書きチンドン屋物語」という本を出した女性、最近でも東京にちんどん屋があるんですけど、そのちんどん屋に取材して分厚い本を出した。大場ひろみという人です。彼女も出演します。あとは20代の若い女の子もいて…、あっ、55歳のおっさんもいるので、出演者は全部で7、8人です。

―― 6年前に『ふるふるー山頭火の褥』をやって、その後飯田さんは何をしてたんですか。
飯田 2年ぐらい前に仙川に新しくできた劇場で風煉ダンスに客演しました。僕なんて死にそうで死なないから2年に1回ぐらいはどうなってもいいやということでやるんです。(作・演出の)翠なんてパレスチナに行こうなんて情熱もってるわけですよ。パレスチナの演劇人と爆撃の中をテントで人形芝居。2年前にパレスチナの人たちが来て、東京と名古屋と京都でやったんです。それを来年向こうでやろうとしてるんです。そんなこととは別なんですけで、ヤツの小さい芝居を観てその情熱に感動して、書いてよと頼んでいて、なかなか書いてくれなかったんですが。

―― 持ち掛けたのは飯田さんなんですね。
飯田 僕がワーワー言っても、周りがしっかりしてるから、大丈夫じゃないかなと思うんですけど。

―― 飯田さんは何でそんなにやる気になってるんですか? 所属している発見の会は?
飯田 来年あたり、平岡(正明)さんが亡くなったことで、昔、“新左翼三バカトリオ”いわれていた人たちがいたらしいんだけど、平岡、竹中労ともう一人、太田竜かな。上杉(清文)さんが書いて、明治三部作の二部まではやってるからそれをやろうと。でも演出家などの事情でどうなりますかね。そのときは僕は手伝いますけど。

―― 飯田さんCMによく出てますよね。
飯田 あれはプロダクションからの仕事ですね。

―― なんのCMですか。
飯田 今は某食品会社のインスタント食品を季節で売り出してて、そのCMのナレーションをやりました。「ある晴れた雪景色の昼下がり、スーザンは〜」と30秒で流れている。そのギャラで今回の公演チケットの買取ができるようになった(笑)。

―― 昔、CMで「頭に花が咲く」みたいなことをやってましたね。
飯田 ああ、あれも同じ会社です。あれはディレクターが山内健司さん。あの人は芝居好きで変わった方なんですよ。だからオーディションのとき僕なんかをとってくれたんです。

―― 宮藤官九郎の芝居に出たことがありますよね。
飯田 あれは金子清文がやってたから。

―― 金子さん? 毛皮族に出ている。
飯田 彼は長島選手の息子の一茂と同じ年ですよ。田園調布で保育園の頃息子をいじめていたとか言ってましたが(笑)。

―― 飯田さんは昔のようにお酒を飲んでますか?
飯田 すいません。金もないのに。部屋でほとんど飲んでる、おとなしい酒になりました。でも翠なんかと居酒屋で飲むと…、あいつも部屋で仕事するからたまに外で飲むと大酒食らう。そういうときはダメ。二日ぐらい死んでます。昔と同じ。

―― 公演について教えてください。飯田さんが言いだしっぺで、翠さんが書いて・・・。そういえば昔、飯田さんがセリフを覚えられなくて文庫本もってチェーホフの芝居をしていたのをみましたが。
飯田 ああいうふうにならないように、立て板に水のようにセリフが出るように(笑)。みんなも初めて一緒にやる人ばかりだけどなんとか楽しくやろうぜと。題は少ししめっぽいですけど、哀愁あり、漫才みたいな部分もあるような、絶対料金に見合うというものをつくります。

―― でも翠さんや飯田さんのファンは、破綻を楽しみにしているお客もいるんじゃないですか。失敗すら楽しむというお客さんがけっこういると思いますが。そういう感じではないんですね。
飯田 発見の会は独特ですから違うと思うんです。翠は発見の会に出たことないですからね。彼はテント系。今度は劇場ですから。『山頭火』は劇場でやって、作・演出は翠でしたけど。その芝居は評判はよかったんですよ。

無人駅公演
『泪橋哀愁倶楽部』
[ものがたり]戦後間もなく、地図にない街、山谷・泪橋近くの粗末な芝居小屋「哀愁倶楽部」が炎上した。焼け跡から芽吹き、花開いた一株の紫陽花が語る炎上事件の意外な真相とは?!  失われた時代のチンドン屋一家と、現代の若者が時を超えて織りなすペーソス溢れるサスペンス幻想劇。
●7/2〜4(3日はマチネ有り、4日はマチネのみ)◎明石スタジオ
作・演出◇翠羅臼
音楽◇バッキー
出演◇飯田孝男 月夜野たま 後呂良子 大鯔さより 他
<料金>前売¥3000  当日¥3300(全席自由)
<お問い合わせ>03-3389-1524(飯田)

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