稽古場見学、記者発表、インタビューなどから、近々公開される作品のおもしろさを探ります。

カムカムミニキーナ『>(ダイナリィ)』

『滝沢歌舞伎』通算200回 囲み取材

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4月5日、日生劇場にて、滝沢秀明が主演する舞台『滝沢歌舞伎』の公演が通算200回を迎えるにあたり、囲み取材が行われた。

滝沢主演のこの作品は、06年に初めて、新橋演舞場にて『滝沢演舞城』として公開され、最新映像を駆使し、フライングやマジック等を取り入れたパフォーマンスの数々、源義経をクローズアップした歴史絵巻などで、以後、さまざまな新しい試みを加えながら、観客を魅了し続けた。
09年までの4年間に及んだロング公演が、今年は日生劇場に『滝沢歌舞伎』と銘打って登場。さらに進化したショーを魅せるべく、滝沢自身が初めて舞台演出を手掛ける。
日本初の4Dフライングでの立ち廻りシーンなどその演出家としての才能はもちろん、5月8日の千秋楽には250回を数える今公演に期待が高まっている。 

この公演の舞台衣装でステージ上に取材のために登場した滝沢。一問一答は以下の通り。

ーー昨日、初日を迎えられていかがでしたか?

今回、初めて演出を手がけまして。劇場が変わったので、洋式な演出を取り入れました。そして(ステージを覆った)布がなくなると、一気に和の世界になります。

ーー演出デビューされての感想をお聞かせください。

単純に仕事が2倍になりましたね(笑)。出来るだけお客様の目線で考えるように心がけました。やっと幕が開いたという感じです。

ーー目元に絆創膏を貼られていますが、どうされたのですか?

昨日のプレビュー公演で怪我をしてしまいまして。殺陣のシーンで切れたみたいです。僕は気付かなかったのですが、血が流れていたらしく。たまたまというか、僕にとってはラッキーだったんですけど、機材トラブルで舞台が中断されたので、そのまま病院に行きました。12ミリ位?切ってて縫いました。お医者さんに細 かく処置していただきましたので、大丈夫です。

ーー実際怪我をされて危険を伴うとなると、周囲の意見などで演出に影響は出てきませんか?

一人の演出家として作ったステージなので、ちゃんと自分が考えたものをやりたいんです。だから最後まで、このまま走りたいと思います。

ーー日本初となる4Dフライングが最も注目されますが、実際やられてみてどうですか?

フライングしながら、殺陣をしなければならないので大変ですね。でもこれも一つの新しい動きになればと思って挑戦しています。

ーー演出家として、今まで以上にお客さんの反応も気になるのでは?

喜んでいる様子を裏で見てるときとか、ニヤッとしちゃいますね(笑)。本当に嬉しいです。

ーー(総合演出を手掛ける)ジャニーさんからアドバイスはありましたか?

「問題ないから自信持ってやれ」と言ってくれてます。

ーー歌舞伎”がテーマになっていますが、オリジナルに近づけていくお考えですか?

いいえ。いわゆる古典的な歌舞伎ではなく、”滝沢歌舞伎”という新しいものを目指しています。海外の方にも伝わるように考えたので、僕だけの発想ですけど、海外公演を勝手に描いてます(笑)。地方も回りたいし、日本の美しさ、素晴らしさを海外の方にもぜひ見ていただきたいんです。

ーーでは最後に200回を迎えられてのご感想と、今後の意気込みをお聞かせください。

この200回はお客様、スタッフの皆さん、何より応援してくれたファンの皆様のおかげですので、一緒にお祝いしたいです。千秋楽には250回となりますが、それまで素敵な一日一日を送りたいと思います。
これからもっと本格的に歌舞伎の資料を見たり、観劇に行ったりして勉強し、この舞台を強化していきたいです。皆様、ぜひ見にいらしてください。

 

 

『滝沢歌舞伎 −TAKIZAWA KABUKI−』

 ●4/4〜5/8◎日生劇場 

作・構成・総合演出◇ジャニー喜多川

主演・演出◇滝沢秀明 他

〈料金〉¥12,000(全席指定/税込)

〈お問い合わせ〉03−5550−1686 松竹演劇興行部

 

【取材・文/櫻井麻子】

 

 


これぞミュージカル!でもその裏に。 『サイド・ショウ』

09「サイドショウ」


実は誰にでも当てはまる物語。

結合双生児のデイジー(樹里咲穂)とヴァイオレット(貴城けい)。
舞台では、二人がテリー(下村尊則)とバディ(伊礼彼方)に、
才能を見出だされスターとして駆け登る様子や、二人の恋が描かれる。
しかし、その裏にあるものはとても重い。

デイジーがテリーに、ヴァイオレットがバディに想いを寄せた時、
結合双生児であるという壁が立ちはだかるのだが、
更にそこに、ヴァイオレットに惹かれるジェイク(岡幸二郎)の存在があることで、
この作品は広く深い視野を得た。

デイジーとヴァイオレットは美しい容姿を持っていながらも、
「結合双生児」ということで見世物扱いされ、世の中から差別される。
それでも、ありのままの自分を愛して欲しいと願い続ける。
ある時、ヴァイオレットは、
同じように見世物扱いされていた仲間のジェイクに想いを告げられる。
その時、彼女はどうジェイクに言葉を返したのか。
差別される苦しみを誰よりも知っているはずなのに、
自分達も誰かを差別することから逃れられない。

一番感情移入して見てしまう主役の二人が、被害者でもあり、加害者でもある。
それが見えた瞬間に、
誰にでも生じる気持ちの矛盾を突きつけられたような気がした。

デイジーとヴァイオレットを演じたのは、宝塚出身の樹里咲穂と貴城けい。
常に腰がくっついている状態での芝居。
衣装が繋がっている訳でもなく、自力でくっついているというのだから驚きだ。
姿形は本当にそっくりなのだが、
名声を夢見るデイジーと平凡な暮らしを望むヴァイオレット。
二人の違いは確実にそれぞれの演技から伝わってきたし、
二人のキャラクターにも合っていた。
歌に、演技に、息の合ったこの二人なくして、
『サイド・ショウ』の日本初演はありえなかっただろう。
一幕のラストで歌われる「Who Will Love Me as I Am?」は、
楽曲の良さに加え、デイジーとヴァイオレット、二人の祈り、願い、叫びが、
樹里と貴城の歌声を通して伝わってきて心揺さぶられた。

デイジーを愛するテリー役の下村は、大人の落ち着いた愛や苦悩をみせ、
対するバディ役の伊礼は若さゆえの勢いや、純粋さを感じさせた。
ジェイクを演じた岡も「Devil You Know」などで確かな存在感を発揮。
見世物小屋のボスを演じた大澄賢也の姑息ないやらしさも印象深い。

それぞれが演技に、歌に100%の力を持ってして挑んでいるのがわかるだけに、
そこから、もう一歩進んだ何かが見たかったようにも思う。
楽曲の素晴らしさと、役者の熱演は強く実感できたけれど、そこで止まってしまい、
物語のどこを一番に伝えたいのかが曖昧だったのではないだろうか。
見せたいものは、デイジーとヴァイオレット、二人の生き様なのか、
差別を含んだ広い問題なのか、愛なのか、その全てだったのか。
とにかくもう一つインパクトが欲しい。

それはそれとして、
ただもう、全て音楽と共に綴られる台詞、
聞いていてワクワクするような豊富なナンバー、
14着の華やかな衣装、
それだけでも見ごたえ、聞きごたえは抜群。
これぞミュージカル!を実感させてくれる作品だった。



『サイド・ショウ』
脚本・作詞◇ビル・ラッセル
作曲◇ヘンリー・クリーガー
演出◇板垣恭一
出演◇貴城けい 樹里咲穂 下村尊則 大澄賢也 伊礼彼方 岡幸二郎 他
4/7〜4/18◎東京芸術劇場 中ホール
〈料金〉
【平日】S席¥10,000、A席¥8,000
【土日】S席¥11,500、A席¥9,500(全席指定・税込)
〈問合せ〉オフィス・ミヤモト 03-3312-3526(平日11時〜18時)
【文/岩見那津子】

吉田栄作インタビュー

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名作映画『ローマの休日』が舞台化される。ストレート・プレイとしては日本で初上演、しかも出演者は3名だけというから、新しい試みの舞台である。

この舞台で新聞記者のジョーに扮するのは吉田栄作。オードリー・ヘップバーンが演じたアン王女には朝海ひかる、ジョーの友人でカメラマンのアーヴィングには小倉久寛、という3人が繰り広げる有名映画の世界。

演出のマキノノゾミが原作者からインスパイアされ、この舞台でしか観られない幻のオリジナルという視点を加えてあるという。その新しい『ローマの休日』の稽古場で、舞台俳優としての吉田栄作に語ってもらった。

 

【映画より深い部分も】

ーーこれは3人の芝居だそうですが、まずその話を聞いていかがでした?

実際どうしたら現実的になるんだろうと疑問でしたし、皆さんが不可能だろうと思っても当たり前だと思いました。でも出来上がった脚本を見てみたら、ちゃんと成立するんだと、それはいい意味で驚きでした。

ーーいわゆるローマ観光のシーンとか出て来るわけですか?

映像で見せる部分もありますが、たとえば観光名所の「真実の口」など、有名なシーンも舞台上に出て来ますから、皆さんが見たいと思っている場面はいろいろ出てくると思いますよ。

ーー名作映画でイメージが出来上がっているということは、どう受け止めましたか?

僕もあの映画のファンの1人ですから、オードリー・ヘップバーンとグレゴリー・ペック以外はやってはいけないと思ってましたし、それがファンの気持ちだと思います。でも話を聞いてやらせていただこうと思ったのは、映画よりも深いところが描かれているんです。
映画ではなぜ新聞記者のジョー・ブラッドレーがローマにいるのかは説明されてないんですが、舞台ではそれを説明する場面があるんです。当時のアメリカという国の中で起きていた社会背景に“赤狩り“というのがあって、この「ローマの休日」の原作者のダルトン・トランボは、実際に“赤狩り“にあってハリウッドを追放されているんです。
そんな時代のことを、今回、演出のマキノノゾミさんと脚本を共同執筆された鈴木哲也さんが投影しています。そこがあるのでカメラマンのアーヴィングとの友情もさらに深くなってますし、ある意味ではそこは映画より勝ってるところだと思います。

ーージョーはローマに逃れてきたわけですか?

逃れて来たのか追われて来たのか。どちらにしろそういう自分の国に対しての憂いみたいなものがベースにあるんです。そして第二次世界大戦で大きな犠牲を払って勝ち取った自由と民主主義を、今度はソ連との冷戦下でまた失おうとしている。アメリカは何をやってるんだろうという愛国心があるからこその葛藤があるんです。
そういうブレやすい政治への怒りみたいなものを抱きながらローマにいる、というのがだんだん見えて来るので、そこが面白いと思います。皆さんの知ってるあの映画を、自分たちによってより深めることができるのが楽しみです。

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【ロックな役】

ーーここ数年、とても面白い舞台に出ていらっしゃいますが、最初の舞台が永井愛さんの『やわらかい服を着て』(06年)でしたね。

僕はそれまで舞台に立ちたいと思わなかったし、立てるとも思わなかった。それが永井愛さんのおかげで、舞台の面白さに気づかされたんです。
まず出ると決めた時点で、永井さんが、いろいろ話し合ったうえで書きたいと言ってくれて、内容についてもお互いの話の中で出来上がった部分がだいぶありました。それに第三場の途中で歌う場面があったんですが、それは僕の中から出てきた歌だったんです。僕の役が歌が好きということもあって、なんとなく戦争中のイラクの子供たちに向けて歌う歌があればいいなとギターを爪弾いてたら、わーっと降ってきたみたいにスルッとできて、気づいたら泣きながら歌ってる自分がいたんです。
そういう経験もあったりして、僕にとって舞台で表現するということでは、テレビとか映画とは違う楽しさが感じられたんです。

ーー次が白井晃さん演出の『三文オペラ』(07年)でしたね。

あれは特殊な作品でしたが、面白かったですね。それまで白井さんとは面識がなかったんですが、世田谷パブリックシアターのそばのイタメシ屋に軟禁されて、出てほしいと詰め寄られて(笑)。60年前の作品ですからそのままやっても面白くないとか、今の時代の池袋とか渋谷とか、そういう設定でも十分通じるからそういうことをやりたいとか、そういう話をした覚えがあります。

ーー取り組みが難しそうな作品でしたが、いかがでしたか?

今回の『ローマの休日』もそうですが、僕は自分に都合のいい解釈から入るんです。たとえばアルセーヌ・ルパンではなく孫のルパン三世をやると思えば、すごくラクになるじゃないですか(笑)。古典とか時代劇をやるのではなく、現在の物語をやるという気持ち、それでいいんじゃないかと。『三文オペラ』の主役のメッキー・メッサーなんかも結局伝えたいことはシンプルだったり、民主主義に対する反発で、それは今の我々が政治に対して疑問を投げかけるというのと同じだし。そういう解釈でやってました。

ーー次の『オットーと呼ばれる日本人』(08年)も問題意識の高い内容でしたね。

これもやりがいのある作品でした。主人公はあの戦争が悪いと分かっててそれを命がけで回避しようとしたわけですから。なんていうのかな、本当の意味のロックを感じますよね。そういう意味ではその前の2本の役もそれぞれロックですね。それは今回の『ローマの休日』でも、増えた部分にもちゃんとロックがあるので、僕もやりがいがあるなと思ってます。

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【芝居筋が鍛えられる】

ーー舞台という表現について感じることは?

ある意味ではやっかいな表現だなと思うんです。一番前のお客さんと一番後ろのお客さんがいる空間で、そこで自分が話してることを同じように伝えなきゃならないこと自体に矛盾がある。だから最初は関わりたくないと(笑)。そもそも自分が志したのは映像でしたし、たぶん一生関わらないだろうなと思ってたんですが、永井愛さんとの出会いをきっかけにいい作品に巡り会えて、いい演出家に巡り会えた。
僕はいつも思うんですが、“芝居筋”という筋肉があるならばそれを確実に鍛えてくれる場所だなと思います。それで1作1作ちゃんとやって映像に帰ったときにーーあえて帰るといいますがーーそれが生かされるのを感じることができる。たとえばバッターで言えば、前は打てなかった球が打てるようになってる。そういうのを実感するんです。それは同時に自分の未熟さを実感することでもあるわけですから、まだしばらくは舞台にお世話になったほうがいいかなと思ってます。

ーー芝居筋というのを具体的にいうなら?

反復運動をすることで身につくもの、先程言ったような矛盾をなんとかしようとするために必要なもの、いろいろな方向から役にアプローチできる表現力とか、そういう全部ですね。

ーー舞台は長丁場ですが、それだけに、より試行錯誤も可能ですね。

僕はバスケットボールを小さい頃からやっていたんですが、なんか演劇の現場って似てるなと思うんですよ。合宿所があって選手が集まって、コーチがぎゃーぎゃー言って指導して(笑)、試行錯誤があって、フォーメーションがあって、1人できないヤツがいたら出来るまでみんなでやって。でも試合が始まったら選手にまかせるしかない。

ーーこの『ローマの休日』は、その選手が3人ですね。

新たな競技です(笑)。

ーー共演の朝海ひかるさんはどんな印象ですか?

まだ語れるほど稽古をしてないんですが、昨日、ダンスできない僕に付き合ってくれて、有り難いなと。

ーー小倉久寛さんとは飲み友達だとか?

出会いは10年ぐらい前の大河ドラマだったんですが、飲み会みたいなので仲良くなって、そこからずっと飲み友だちみたいにさせていただいてます。そのときは芝居ではちゃんと絡むことがなかったから、今回初めて正面から芝居をやれるのが嬉しいですね。もちろんSETの舞台は何度も観に行ってますから、彼の役者としての凄さもわかってるのですが。

ーー3人きりなので、お互いが頼りだし、逆に言えば責任も重いですね。

それもやりがいですからね。これから3人で、稽古と本番をチームワークよくやって行きたいと思ってますので、楽しみにしていてください。

 

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『ローマの休日』

演出◇マキノノゾミ

脚本◇鈴木哲也 マキノノゾミ

出演◇吉田栄作、朝海ひかる、小倉久寛

4/27〜5/9◎天王洲 銀河劇場

5/12〜16◎梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ 

〈料金〉¥9000 (全席指定、税込)

〈問合せ〉

東京/03-5769-0011  銀河劇場チケットセンター(平日10時〜18時)http://gingeki.jp(pc&携帯)

大阪/06-6377-3888  梅田芸術劇場  http://umegei.com

 

【取材・文/榊原和子 撮影/岩村美佳】

 

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