稽古場見学、記者発表、インタビューなどから、近々公開される作品のおもしろさを探ります。

『ストリップ学園』

その人のためのカクテル『Xday』

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未知、そして交差を連想させる「X」の文字。
とびきり悪いことも、とびきり良いことも、
交差する時、出会ったその瞬間から動き出す。
未知の何かが起こるその日が「Xday」。

たった6人きりの地球ゴージャスの舞台。
岸谷五朗と寺脇康文、この二人が生み出すエンターテイメント感満載の舞台に、
中川晃教、陽月華、藤林美沙、森公美子。
この4人がそれぞれの技術とエネルギーを、出し惜しみせずに上乗せしていったような、
人数は少ないけれど、それを全く感じさせないボリューム感のある作品に仕上がっていた。

6つのACTに分かれた作りになっていて、ACTごとに中心となる人物が変わる。
どの場面にも個性を生かした笑いや、歌、ダンスなどが盛り込まれていていて、
単純に楽しめもするのだけれど、
話を追う中で見えてくるのは、人が抱える闇、拭いきれない孤独。
楽しいけれど、心の隙間にちょっと風が吹くような、寂しさも同時に味わう。

ACT6で、それまでバラバラに見えていた物語が、
パズルのピースを一つづつはめ込んでいくように、
パチパチと一つの形に向って、猛スピードで動き出した。
こんな偶然ってあるんだろうか?でもあり得ないとは言い切れない。
出会ってしまったから生まれる葛藤と、出会えたからこそ感じる幸せがある。
喜びも悲しみも、誰かと誰かが出会い、交差するからこそ生まれる。
人はそこから逃れられない。


「辛い時もあるよね?哀しい時もあるよね?
でも、前向いて、頑張って生きて、せっかくだから毎日を楽しもうよ。」

というようなメッセージがACT6からは伝わってきた。
痛みを受け入れてくれた上で、手を引いて一緒に歩もうとしてくれる暖かさ。
そのメッセージを受け取ることができたのも、
劇場という空間での出会いがあったからこそだ。

バーテンダーに扮した岸谷が、
「バーに来たお客さんの気持ちを少しでも救えるような、
そのお客さんの為のカクテルを、僕は作りたいと思っている」
というような台詞を言う場面があった。

それがそのまま『Xday』という舞台が目指した所だったと思う。
人の心をそっと元気付ける、その人のためのカクテル。
色とりどりの魅力を放つ6人が、出会って、混ざって、
そこから思いもよらない、新たな味が生まれる。
そう思って、チラシの6人の写真を見ると、また楽しい。
青・岸谷、紫・寺脇、黄色・中川、ピンク・陽月、オレンジ・藤林、緑・森。
一人一人の個性が持つ色。混ざった時に生まれる色。
その両方を味わった後に、自然と笑顔になれる作品だった。

 

 

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地球ゴージャスプロデュース公演 Vol.11

『Xday』

作・演出・出演◇岸谷五朗

出演◇寺脇康文、中川晃教、陽月華、藤林美沙、森公美子

●7/16〜8/8◎天王洲 銀河劇場

●8/13〜15◎札幌 道新ホール

●8/21〜22◎仙台イズミティ21大ホール

●8/28〜29◎福岡市民会館大ホール

●9/3〜5◎中京大学文化市民会館プルニエホール

●9/8〜9◎新潟市民芸術文化会館・劇場

●9/18〜29◎イオン化粧品 シアターBRAVA!

 

〈料金〉

銀河劇場/S席10000円 A席8000円(全席指定/税込)

札幌/8400円(全席指定/税込)

仙台/8400円(全席指定/税込)

福岡/8500円(全席指定/税込)

名古屋/8500円(全席指定/税込)

新潟/8500円(全席指定/税込)

大阪/9500円(全席指定/税込)

〈問合せ〉

銀河劇場/チケットスペース 03-6264-999

札幌/ハンドクラップ 011-615-8500

仙台/キョードー東北 022-217-7788

福岡/キョードー西日本 092-714-0159

名古屋/サンデーフォークプロモーション 052-320-9100

新潟/キョードー北陸チケットセンター 025-254-5100

大阪/キョードーインフォメーション 06-7732-8888

 

【文/岩見那津子】

謝珠栄の稽古場レポ『タン・ビエットの唄』

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日本のミュージカル界を代表する演出家の1人、謝珠栄の傑作舞台『タン・ビエットの唄』の公演が7月12日に長野からスタート、全国で公演中である(主催公演の東京・兵庫などは8月、下記に予定あり)。

2004年の初演時から高い評価を得ていたが、2008年の再演でさらに評判をよび、その年、謝珠栄がミュージカルや演劇の賞を受賞した際に、評価の対象の1つになった作品である。

物語はヒロインのフェイが、20年ぶりに祖国ヴェトナムに戻り、離ればなれになった姉ティエンの消息を訪ねるところから始まる。 戦争中に姉妹を助けてくれた解放民族戦線の仲間たちを次々にたずね、姉と戦闘の話を聞くうちに、フェイは自分が逃げ出してきたベトナム戦争の意味、そしてその後のベトナムの現実と向き合うことになる。
謝珠栄のライフワークともいうべき、民族や血の繋がりというテーマ、また祖国の大地に長年育まれてきた「生活」や、そこで暮らす「家族」を守ることの尊さなど、心に突き刺さる数々のメッセージが、クオリティの高いダンスや歌声によって観客に届けられる傑作ミュージカルだ。

その『タン・ビエットの唄』の稽古場を見る機会を得たので、稽古風景のレポートとともに、主役姉妹を演じる安寿ミラと土居裕子のインタビューをお届けする。

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【稽古場レポート】

まだ初日まで半月近くあるという時期だが、稽古場は活気とエネルギーが溢れていて、すでに一幕の通し稽古をしてしまうという進み具合である。
それもそのはず、今回の出演者のほとんどが2008年のキャストそのままなのだ。なかでもメインキャストたちは、それぞれ他の舞台でも売れっ子の役者たちばかりなのに、2カ月近くにわたるこの全国公演への参加を希望して、スケジュールを空けて待っていたという。それだけ出演者にとって愛着と思い入れの深い公演なのである。

ヒロインの姉妹に扮するのは、安寿ミラと土居裕子。姉のティエンは初演から三度目という土居は、すっかり役と同化して、優しさのなかにも芯の強いベトナム女性になっている。
妹のフェイを2008年から演じている安寿は、心に傷痕を抱えながら姉を捜す女性を、ひたむきさと揺れる感情を大きな瞳にのぞかせて演じている。
取り巻く5人の元解放戦線の仲間たちは、畠中洋、吉野圭吾、宮川浩、駒田一、戸井勝海というミュージカル界の実力派や人気者揃いで、稽古段階からすでに役を生きて、セリフ1つ1つにもリアルな感情が込められている。

そんな熱い仲間に囲まれて、ダンスの振りや各場面のフォーメーションを生き生きと指示している演出の謝珠栄。
この日も一幕の通しを終えたあと、すぐに円陣を組み、各場面におけるキャストたちの心情や感情の表現で気づいたことを、わかりやすく細かく説明していく。その内容からは、「再演だからこそ改めてこの作品の持つテーマや目指すところを、全員の共通意識として把握していきたい」という強い思いが伝わってくる。シビアでストレートなメッセージだからこそ、それを演じる役者たちの内部のリアリティが必要だということなのだろう。

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休憩のあと、二幕の稽古に入る。今度は通しではなく1場面ずつじっくりという感じで運んでいく。
二幕冒頭のシーンは、姉の消息を探しあぐねるフェイが、ハンドバッグまで取られて絶望的になる場面。落ち込んでいる安寿フェイの切ない姿。やがて幻想の中に浮かぶ土居ティエンの姿と美しい主題歌。その「タン・ビエット〜」という清らかな歌声に、この物語がやがて到達する浄化された世界が浮かび上がる。

次は場面が一転して、ベトナムの人々の賑やかなダンスと歌に変わる。
仮面をつけた群舞の振りを出演者たちとともに試行錯誤する謝珠栄。1年半前に足の大きな手術してから、ずっと手放さないでいた杖も、今はほとんど使わずに動きまわり、場合によっては自分で振りをやって見せる。その凄まじいばかりのエネルギーとバイタリティ。これこそ、謝珠栄がカンパニー全員から愛されリスペクトされる理由だろう。
二幕の最初のシーンに振りとフォーメーションをつけ終わって、今日の稽古は終了。いつもより早めに終わったために、出演者たちの中の半数は稽古場に残って自分のセリフや動きを繰り返している。

そんななかで、安寿ミラと土居裕子、それぞれに話を聞いた。

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安寿ミラ「前回は、私はできあがった方たちの中に入って、まずその熱いエネルギーにびっくりしたし付いていくだけで必死でした。しかもフェイという役は、自分がいつもやっていたような役どころと真逆に近かったので、その役を把握することと、膨大なセリフをこなすのに精一杯で、自分が目指すところになかなか到達できなかったという思いがありました。
それで今回は思いきって、6月初めにベトナムに行ってきたんですが、やっぱりその場所を自分の目で見たことですごく変わったなと思います。実際に戦場になったところにも行きましたし、博物館で当時の写真を見ました。
やっぱり幼い子どもだったら逃げたくなるだろうなというような殺伐とした風景で、でもそこで赤ちゃんを背負った女性たちが田植えをしている写真もあるんです。すごい暑さの中で…。ああ、強いなと。私にとって前回のフェイは、台本をただなぞっただけだなと思いました。でも今回は少しはベトナムを知ったことで、役も深めていけるんじゃないかと思ってます。
土居さんとは、前回は私が憧れていたかたとの共演できるという、それだけで嬉しかったんですけど、公演が終わってからも仲良くしていただいて、お互いの舞台を観たり一緒にご飯を食べたりして、今ではすっかり姉妹感覚です。でも土居さんって私より年上だし先輩なのに、どこか守ってあげたくなるような可愛い方なんです(笑)。その深まった間柄が観ているお客様にも伝わるといいなと思ってます。
今回、東京だけでなく、いろいろな地方のかたに観ていただけるのが嬉しいです。美しい歌や素晴らしいダンス、そして心の深いところに届くテーマがありますので、ぜひたくさんの方にご覧になっていただきたいですね」

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土居裕子「初演からずっと出させていただいて大好きな作品ですし、大好きな役です。重いテーマですが、ひたむきに生きている人たちの話ですので、私たちがどう演じるかがいちばん大事だし、鍵になってくると思います。
今の時代って、ひたむきとか真っ直ぐとかいうと、えっ?とか思う人が多いし、素晴らしい国を作りたいというような言葉は、口に出すのも気恥ずかしいみたいな風潮がありますけど、そんなふうに考える方たちにこそ観ていただきたいような心に響く作品です。
1つ1つのセリフがとても心に沁みるし、曲はメロディも歌詞も美しくて、歌っているといろいろな感情が湧いてきます。妹役の安寿さんとは、初めてお会いしたときからとても気が合って、今では私生活でも仲良くしていて、私のほうがすっかり甘えるというか頼ってます(笑)。
謝先生はいつも、再演といっても必ず時代の変化をすごく敏感に取り入れた演出をされるんですが、今回も劇中では現在のベトナムというものを、よりくっきりと表現されていると思います。そのことで過去の戦争や、その時代に生きていた私のティエンの悲劇などが、より鮮明に映し出されるのではないかと思っています。
この作品は謝先生の愛が溢れていると思いますし、カンパニーはそういう謝先生を信じて付いていってます。そんなカンパニーの作り出す舞台の熱さを感じていただければいいなと思っています」

 

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TSミュージカルファンデーション

『タン・ビェットの唄』

演出・振付◇謝珠栄
出演◇安寿ミラ、土居裕子、畠中洋、吉野圭吾、宮川浩、駒田一、戸井勝海、川本昭彦、福永吉洋、滝沢由佳、島田邦人、小林遼介、長尾純子、久積絵夢、彩橋みゆ

●8/13〜15◎東京芸術劇場 中ホール
●8/27◎宇和島・南予文化会館 
●8/29◎兵庫県立芸術文化センター中ホール

〈料金〉
東京公演/S席¥9000 A席¥6000(全席指定・税込)
宇和島公演/前売A席¥5000 B席¥4000/当日A席¥5500 B席¥4500(全席指定・税込) 
兵庫公演/A席¥8000 B席¥7000(全席指定・税込)

〈問合せ〉
東京/TSミュージカルファンデーション 03-5738-3567
宇和島/宇和島市生涯学習センター 0895-25−7514
兵庫/芸術文化センターチケットボックス 0798-68-0255


【取材・文/榊原和子】

大きな音を鳴らしてやろう!ガレキの太鼓・舘そらみインタビュー

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2009年に旗揚げした劇団ガレキの太鼓の主宰、作、演出を手がける舘そらみ。
旗揚げからがむしゃらに走ってきた1年と数ヶ月。
そろそろ落ち着いて生活をしないと・・・といいつつ、今年の9月にはパレスチナに行くという!
いつも全力で突き進み、あっちこっち壁にもぶつかって、なんとか前へ進んできたのかなと感じさせる真っ直ぐな視線。言葉を選びつつ、自分の思いを口にする彼女は眩しかった!
8月の公演はこじんまりしたカフェシアターで、出演するのは女優7人。「きっとガッツリ抱え込む感じになりそうです」という。
たまには濃密な劇空間に、どっぷり身を任せてみるのもいいかもしれない。

——2009年旗揚げでこの8月で4作品目って、作品数が多いですよね?

そうなんですよ(笑)。スタートダッシュしちゃって・・・。みんな疲弊しているので、これからはちょっとペースを落として長期的にやっていけるようにしていこうと思っています。

——劇団のメンバーは何人ですか?

正式メンバーは私と宣伝美術の大木の二人だけです。あとは準劇団員みたいな感じで、手伝ってくれる人たちもメンバーみたいな感じでやっています。

——お芝居を始めたきっかけは?

小さい頃から興味はあったんですけど、やっぱりダサいものだという印象があったので、やったことなかったんですけど、大学がくだらないから辞めようと思ったときに、辞める前に1ヶ月間くらいならダサイと思っていた演劇もやってみようかなーみたいな感じで始めたら、まんまとはまりまして。辞めるつもりだった学校も辞めず、サークルに通う感じで大学も卒業しました。

——大学では役者として参加していたのですか?

始めは役者で。3年のときに急に書かなきゃいけないみたいなのが芽生えて。初めて自分で書いて演出をしました。もっと演劇は訴える力があるはずだ!みたいな。当時、自分が世界を救えると思っていたくらいエラそうな若者だったので。今から考えると恥ずかしいくらい暑苦しい、世の中を変えるぞみたいな学生運動の時代を扱った作品を作りました。お客さんを集めるために学生会館の入り口にバリケードみたいなのを作って、そこで「体制反対!」みたいなビラを配ったりして。作った瞬間に学校側の人がやって来て。「いったい何をやっているんだ。責任者を出せ」とこっぴどく怒られて撤去したくらい向こう見ずで、世界を変えるんだという勢いでやっていました。
で、終わってみても世界が変わらなかったので、当たり前なんですけど(笑)。すごい落ち込みまして。演劇も辞めて、学校を1年間休学して、一人で世界を回る旅行に出ちゃいました(笑)。


——一度、辞めた演劇を再び始めたんですね?

帰ってきて1年くらいは演劇もやらずに、悶々としてたんですけど。今度は1年間、休学して旅で見てきた生活を伝えなくてはいけない、それは演劇だみたいな思いがむくむくと。
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——劇団名の「ガレキ」と「太鼓」って、普段はあまり耳にしない単語ですよね。

選び抜いてこれっていうよりは、最初っからこれしか浮かばないっていう感じだったんですけど・・・。世の中でゴミみたい、ガレキでしかないと思われている物を使って、大きな音を鳴らしてやろうみたいな。・・・一応、そういうつもりで名前を付けました。

——タイトルの『吐くほどに眠る』というのも、聞いたことのある単語ではあるけど、意外な組み合わせですね。眠るのは好きだけど、吐くほどっていうのは・・・ちょっと怖い印象があります。

今回の作品は今までと大きく作風を変えようと思っていて。今までは群像劇というか、社会を切り取った感じの作品を作ってきたんですけど、今回、初めて1人の人間の内面にどっぷり入って、描いていくつもりなんです。1人の人間を深めて考えていこうと思ったら、ちょっと怖い感じになりました。ある一人の女性の子どもから30歳くらいまでの人生を辿っていく作品で、人間の記憶とかトラウマとか、そういったものを題材にする予定です。生きるって大変だよね、危なっかしいよねということをもう一度感じて、頑張って生きようよっていう。私が本当に一番弱っている時期に書きたいな、すがりたいなと思った作品なので、弱さがいっぱい入っていると思うんですけど、弱さの中にかすかな希望を見れたらなと思っています。

公演情報
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ガレキの太鼓
『吐くほどに眠る』

8/19〜26◎APOCシアター

作・演出◇舘そらみ
出演◇石井舞 上村梓 木崎友紀子(青年団) 北川裕子 菅谷和美 高橋智子(青年団) 由かほる(青年団)
<料金>前売¥2500  当日¥2800 ペア割¥2300(19、20日割引あり)
<お問い合わせ>ガレキの太鼓  080-4295-2009  info@garekinotaiko.com

http://garekinotaiko.com
【取材・文/矢崎亜希子】
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