稽古場見学、記者発表、インタビューなどから、近々公開される作品のおもしろさを探ります。

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私の観劇計画6月その4 植本潤(花組芝居)×坂口真人(演劇ぶっく編集長)

パルコプロデュース『幽霊たち』

Ghosts

原作◇ポール・オースター
構成・演出◇白井晃
出演◇佐々木蔵之介 市川実日子 有川マコト 細見大輔 原金太郎 斉藤悠 奥田瑛二

6/14〜7/3◎パルコ劇場
ほか地方公演有り。


植本 パルコプロデュース『幽霊たち』。ポール・オースター作。
坂口 それは白井晃さんが演出で、思い入れの強い作品だと思いますよ。
植本 出演が佐々木蔵之介くん、市川実日子さん、絶対王様の有川マコトくん、細見大輔さん、原金太郎さん、奥田瑛二さん。これさ、タイトルはよく聞くんだけど。
坂口 25年ぐらい前に書かれた小説ですね。存在のアイデンティティみたいな、抽象的な話かもしれないですね。見え方は具対的だけど、心理的な展開がある。
植本 「私立探偵のブルーは、ある男の追跡を依頼される。変化のない監視生活の中で、やがてブルーは自己の存在を見失っていく。」楽しそうだけど、はたして幽霊が出てくるのかはわからない感じですね。
坂口 直接は出てこないんでしょうね。佐々木蔵之介さんとかがそういう役をやるとリアリティがありそうじゃないですか。
植本 振付で小野寺修二さん、おのでらんが入ってる。振付のある舞台なんでしょうか?
坂口 白井さんってそういう演出に長けてるでしょ。
植本 そうだね。最近の白井さんの萩原聖人とやっているシリーズとか、フィリップ・リドリーの作品とかも半分精神世界が入ってたりする。
坂口 しかも佐々木蔵之介って“戸惑いが“似合いそうな感じがするんですよ。
植本 音楽の三宅純さんて、白井さんがやっぱりパルコでやった『中国の不思議な役人』のときの方ですね。衣裳は太田雅公さん。僕の好きな衣裳をつくる方ですよ。重い感じの質感の衣裳をつくる方です。『ゴースト〜幽霊たち』は6/14(火)〜7/3(日)パルコ劇場です。入場料金は7500円です。
坂口 あ、そうか。「幽霊たち」って彼らのことだね。存在が定まらない人たちのこと。
植本 紹介したあとに何を言うのかとドキドキしました(笑)。

私の観劇計画6月その5 植本潤(花組芝居)×坂口真人(演劇ぶっく編集長)

本能中枢劇団『リボンの心得』

リボン

作・演出◇西島明
出演◇猿飛佐助 吉原朱美 信川清順 鵜沼由佳 宮下今日子 田辺茂範 ほか

6/18〜26◎こまばアゴラ劇場

植本 6月に観られるお芝居を紹介します。
坂口 一番お客さんが少なそうなのからいきましょうか。
植本 なんてこと言うの!?それ、うれしくないんじゃないの?『リボンの心得』。本能中枢劇団。えーと、全然わからないんですけど。
坂口 西島明さんです。もとベターポーヅの方の作品です。
植本 「もと」なんだっけ。
坂口 「もと」ですよ。名前変えて本能中枢劇団になったんです。
植本 猿飛佐助さんってもともと劇団員だよね?
坂口 猿飛さんと吉原朱美さんという女性が残って西島さんと一緒にやってるんです。
植本 そこに今回は信川清順ちゃんとか出るんだ。
坂口 そうそう。
植本 なぜこれを出してきた!?
坂口 おもしろいからですよ。今回イチオシです。
植本 お客さんが入らないかもしれないということを心配されてるんですね。
坂口 うん、もう入らなくてもいいのかもね。
植本 ダメでしょう(笑)。
坂口 ものすごく想像力をかきたてられるし、観ていて楽しいですね。これは絶対外せない、という感じですね。
植本 宮下今日子ちゃんも出てるし、ロリータ男爵の田辺茂範さんも出てるんだ。
坂口 田辺さんはまあ、いいんですが。
植本 いいんだ。なんで?
坂口 うちで連載していただいていて。勝手に友達感覚なんです(笑)。
植本 そういうことか。『リボンの心得』…どういう話なのか全くわからないぞ。
坂口 キャッチフレーズも詩的ですよ。
植本 ちょっと読んでみようか?「俺は狙われている、リボンをつけた馬に。木の陰からじっと見てる、リボンをつけた馬が。馬の得意技は大外狩り。滅多に見れない踊りを踊る。キスと見せて歯形をつける。あなた言ったのよ、結婚するんだ、ゆずれない。ちきしょう。揺れてるよ。風もないのに。鬣に結んだリボンに。」もう全然わかんない!
坂口 ほら、おもしろいでしょう!これ、みんな行ってほしいな〜。
植本 馬が出てくるのかどうかもよくわかんない(笑)。6/18(土)〜26(日)駒場アゴラ劇場での上演。チケットは3000円、当日3300円。全10ステージ『リボンの心得』本能中枢劇団です。坂口さん、なんでそんなに満足げなんだ(笑)。
坂口 いやいや(笑)。

神尾佑・吉田智則『飛龍伝』インタビュー


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吉田智則 神尾佑

つかこうへいの名作中の名作ともいうべき「飛龍伝」シリーズを3作上演する『ALL THAT 飛龍伝』が6月1日からいよいよ開幕する。

昨年の7月に亡くなった劇作家つかこうへいの最後の教え子たちである「北区つかこうへい劇団」。その解散公演となる『前進か死か』の第2弾にあたるのが、この「飛龍伝」シリーズ。

6月1日〜5日までが『初級革命講座 飛龍伝80』、そして7日〜9日『飛龍伝90』、10日〜12日『飛龍伝2000』という形で次々に上演していくことになっている。

そのスタートを飾る『初級革命講座 飛龍伝80』は、のちに大ヒットした『飛龍伝90』の原点となった戯曲であり、つか世界ならではの屈折した愛憎が、ひときわ色濃くエネルギッシュに描かれている作品だ。

そんな注目作に取り組むのは、北区つかこうへい劇団の1期生と2期生の神尾佑と吉田智則。

元学生運動家と機動隊という体制を異にする2人の男が対峙する物語に正面から取り組む2人に、
熱気あふれる稽古場で話を聞いた。


【つかさんの口調が聞こえてくる】
 

ーー最初にこの戯曲と向き合った時にどんなことを感じました?
 

神尾 読んだだけではやはり分かりにくい、難解な、まるで別役実さんを読んでるような不条理な感じがしたんですが、覚えてやっていくうちに、実はものすごく構造的にはシンプルだなと。間にいろんなものが入ってるから一見複雑に見えますが、本当は1人の男と男が向き合おうとしている、とてもシンプルな話だと思います。
 

ーー立場的に真逆な2人ですが、実は心情は分かリ合えるというような?
 

神尾 そうですね。つかさんの独特の人間の描き方で抱えているものを隠しながらわざとぶつかっていくし、相対する場所にいて違う方向を見ているようで、実は求めているところは同じだったりする。すごく矛盾するものを抱えながら自分自身も葛藤しているし、相手とも葛藤する。そういうところが非常に面白い、人間の愛憎劇だと思います。
 

ーー『飛龍伝』シリーズの原点でもある作品ですから、つか戯曲ならではのレトリックとかロジックなどもダイレクトに出ているのでは?
 

神尾 確かにつかさんのアイデンティティというか、哲学が色濃く出ている作品になってます。いたるところに、あのつかさん独特の口調が聞こえてくるような。やってて懐かしいし、楽しくて、その世界をいかに生々しく再現できるかと思いながら稽古しているところです。
 

ーー共演者は元学生運動家の熊田が吉田智則さんと、ヒロイン役の渋谷亜希さんですね。
 

神尾 渋谷さんは熊田の嫁とか、僕が演じる機動隊員の山崎が思いを寄せる小夜子とか、三役やってます。基本的には舞台上に1人か2人しかいない芝居ですから、出ている間は喋り続けるというたいへんハードな構造です。
 

ーー今まで出たなかでもいちばんセリフが多い作品では?
 

神尾 そうですね(笑)。『熱海殺人事件』も多かったんですけど、あちらはだいたい4人で出ていましたから。これは2人での濃い感じがずっと続きます。そういえば昔はこういうものをよくやっていたなと、ちょっと懐かしいです。
 

ーー1期下の吉田さんとはよく絡んでいたのですか?
 

神尾 ここまで絡むのは劇団の最初あたりにあったくらいで、意外と少なかったですね。
 

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【迷子にならないように読み解いていく】
 

ーーつかさんの稽古は、戯曲を覚えても口だてで毎日変わっていくわけですから、今回のように戯曲から直接というのは珍しいですね。
 

神尾 つかさんの戯曲を丸ごと覚えて、そのままやるというのは僕も初めてです。
 

ーーそのほうが役者さんとしては、やりやすいのでは?
 

神尾 いや、つかさんの言葉は覚えにくいんです。口だてでその場で付けられているので、普通に文章で書いていったらこう行くはずなのにこっちに行くみたいな感じで、文脈がおかしかったりするので覚えにくい。だから稽古しているなかで、いわば後付けになりますが、分析していかないと覚えられないし喋れないんです。このセリフはこういうことがあるから、ここでこいつに振ってるんだとか。
 

ーーそういうセリフに感情をのせていくには、自分なりに読み直す作業が必要なのでしょうね。
 

神尾 まさにそういうことをしています。こういうふうに書いてあるけど、本当はこういうことを言いたいんじゃなくて別のことを言ってる、というような独特の表現方法なので、迷子にならないようにちゃんと読み解いていく。そういうことを稽古場でやってます。
 

ーー迷子にならないためには何が大事なんでしょうか?
 

神尾 それぞれの役に対してつかさんがどういう思いで書いたのか、つかさんの哲学というのをちゃんと考えていくことですね。それがないと深く入り込んでいけないと思ってます。
 

ーー今また、つかさんと向き合っている、みたいな感じなのでは?
 

神尾 原点に立ち返ってます。
 

ーー今だから実感するつかさんの凄さというのは?
 

神尾 僕は20代のときにつかさんに鍛えられて、劇団をやめて外に出て10年になりますが、今いちばん思うのは「つかさんが言ってたことって間違ってなかったな」と。つかさんはよく「品性」とか「恥」という言葉を口にして、「こういう芝居は下衆だ」とか、人間性が芝居には出てきてしまうとか。だから、どういうふうに生きてるかというのが大切で、意地汚く目立とうとか人を押しのけてでも前に出ようとか、そういう品のないことだけはするなと言ってました。今、それは間違ってなかったなと。そういうふうだと出遅れたりもするんですよね。でも長い目で見たら、そう生きたほうがいいんだなというのが、よくわかってきました。
 

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【つかさんの前ではいつも見抜かれている】
 

ーーここから吉田智則さんが話に加わってくれますが、吉田さんは『飛龍伝』にどんな思いがありますか?
 

吉田 まずつかさんの作品をやれることが嬉しくて。それで神尾さんと組めるなんて、次にいつあるかわからないので、ここで精一杯のことを、やり残したことにないようにやりたいです。
 

ーーつかさんについて、忘れられないことは?
 

吉田 僕は運転手とか付き人みたいなこともやってて、そばに密着してましたし、年齢的にも親に近いような感覚でした。そこで人間としても芝居でも、言葉ではなく教わってきた気がします。つかさんの見せる姿のなかから、芝居にかける思いみたいなものも吸収したし、そういう意味では演劇の父親であり私生活の判断基準でありという存在でした。
 

ーー優しさと同時に恐い部分もあったのでは?
 

神尾 その人のいちばん核に入って来るというか、つかさんの前で芝居してるといつも見抜かれてるって思いますし、「できねえのか」と言われると人間として落ち込みましたね(笑)。でもそうやって鍛えられただけに、今はどんなことがあっても強くいられますし、どんな現場に行っても怖くないです。
 

ーーつかさんの前では捨て身にならざるを得ない?
 

神尾 まさにそうです。

吉田 ぜんぶ剥ぎ取られますからね、つかさんの前では。
 

ーー今回は、そのつか劇団の解散公演ということ、そして代表的な作品を演じることで、ひときわ注目が集まっていますが、プレッシャーは?
 

神尾 自分がちゃんとやれるかというプレッシャーが強くて、どうみられるかというのはあまり意識してないんです。北区つかこうへい劇団については力のある人たちがいるので、僕が先頭きって世の中に出ていかなくてはいけないという気持ちがありますし、それがつかさんに対する恩返しでもあるので、「つかこうへいが育てた人間は間違いない」と思ってもらえるようにがんばりたいなと。でもまずはこの舞台をしっかりやり抜くことだと思います。食べて、寝て。体力がいる芝居ですから。

吉田 本当に体力勝負です。これをちゃんとやりきれたら大きな財産になると思いますから、がんばります。


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★☆北区つかこうへい劇団 解散公演「前進か死か」第二弾『ALL THAT 飛龍伝』
 

作◇つかこうへい

演出◇★☆北区つかこうへい劇団

出演◇

『初級革命講座 飛龍伝80』神尾佑、吉田智則、渋谷亜希 他

『飛龍伝90'】高野 愛、小川智之、北田理道、渡辺 昇 他

【飛龍伝2000】船越ミユキ、逸見輝羊、川畑博稔、時津真人 他

●6/1〜12◎紀伊國屋サザンシアター

〈料金〉3500円


★☆北区つかこうへい劇団 解散公演「前進か死か」
第三弾『売春捜査官』『ロマンス』『蒲田行進曲』
 

作◇つかこうへい

演出◇★☆北区つかこうへい劇団

出演◇

『売春捜査官』那須野恵、とめ貴志、松本有樹純、蟹田光国

『ロマンス』杉山圭一、伊澤 玲、南野真一郎、久保田 創、高畠麻奈 他

『蒲田行進曲』武田義晴、相良長仁、木下智恵、岩崎雄一、吉田 学 他

●6/22〜7/3◎滝野川会館大ホール

〈料金〉2000円


〈問合せ〉★☆北区つかこうへい劇団 03-5924-1126



【取材・文/榊原和子】









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