稽古場見学、記者発表、インタビューなどから、近々公開される作品のおもしろさを探ります。

カムカムミニキーナ『>(ダイナリィ)』

『演劇/大学 09秋』4大学公演、まもなく開幕

演劇の現場で活躍する人材は、幅広いフィールドから生まれてきているが、その動きを大学というアカデミズムの場でも積極的に取り入れる流れは、ここ数年ますます盛んになっている。
このF/Tの上演企画も、そんな大学を取り上げて、作品の上演とフォーラムを通じて、その動きを体感してもらおうという意味付けで行われる。今回は、桜美林大学、京都造形芸術大学、近畿大学、多摩美術大学の4校が公演を展開する。

その各大学からのアピール文が届いたので、2回に分けて紹介しよう。

 

●多摩美術大学公演
『ファスナー』『氷山のイッカク』『健康少年』
作・演出・出演◇多摩美術大学在学生
12/1(火)19時、12/2(水)14時◎シアターグリーン

ご覧いただく舞台は、いずれも2009年度の上半期に多摩美術大学映像演劇学科上野毛キャンパスで生まれ落ちたエンゲキたちです。今回はF/T版として、3本立てに再構成しての上演です。
映像演劇学科のカリキュラムの中核に“Field Trial”と称している、企画立案から制作、公開発表をおこなう科目群があります。ここから映像演劇学科の演劇や映画の作品が生まれます。
『ファスナー』『氷山のイッカク』は、09年度前期“Field Trial”からの選抜。『健康少年』はこの7月に学内で自主企画公演として初演。8月にはオープンシアターミュージアム[But-a-I](芸劇前アトリウム広場)にて再演。授業以外でも自主企画公演が目白押しの中から選抜したものです。
『F/T09秋 演劇/大学』の参加4大学の中で、唯一在校生の作・演出作品です。全く違ったテイストの3作品ですが、今日の若者が見ている世界、感じている社会に対する感情が、通底していると思います。
ショートピース3本を休憩無し80分で疾走します。
初日に向けての、全ての大騒動を力にして、総勢40名の大一座の幕が上がります。
作品が生まれ落ちる現場に是非ともお立ち会い下さい。

(多摩美術大学 映像演劇学科 加納豊美)

 

 

●京都造形芸術大学公演
『木ノ下歌舞伎ー伊達娘恋緋鹿子』
作◇菅専助ほか 演出◇木ノ下裕一 出演◇京都造形芸術大学生
12/5(土)15時、12/6(日)13時◎シアターグリーン

 

—たとえこの身をつらぬかれ、ほね骨はこ粉となれはい灰となれ、こん魂はこの世にとどまりて—

大火に類焼した八百屋の娘・お七は避難先の吉祥院の小姓・吉三郎と恋仲になってしまう。店の再建がなって別れた後も思いはつのるばかり。
一方、江戸の町では相次ぐ火災を警戒し、次々と火の見やぐらが建てられ、夜間は全ての木戸を閉め、通行が禁じられることになった。同時にそれは、火事ではない時に火の見やぐらの半鐘を鳴らせば、いかなる理由があろうとも火あぶりの刑に処すという法であった…。

いくつかの有名な作品を残しながら、作家としては近松などの影に隠れて、今まで注目されることのなかった菅専助(すがせんすけ)を取り上げた、長期プロジェクト「菅専助—見知らぬ作家—」。
木ノ下歌舞伎が08〜09年まで3回に渡り、京都で実施したこのプロジェクトの集大成として上演された『伊達娘恋緋鹿子(だてむすめこいのひがのこ)』を、東京バージョンへと進化させ上演します。木ノ下歌舞伎の主宰・木ノ下裕一が演出を担当し、メンバーであり演出家で「サミット」ディレクターでもある杉原邦生が美術、京都造形芸術大学の在学生・卒業生によるキャストとスタッフが「八百屋お七(やおやおしち)」で有名なこの物語に、新たな視点をもたらします。

(京都造形芸術大学 制作)

 

 

フェスティバル/トーキョー09秋

『演劇/大学 09秋』
桜美林大学『カサブタ』12/5(土)18時 12/6(日)16時 ◎東京芸術劇場小ホール
近畿大学『腰巻お仙〜義理人情いろはにほへと編』12/2(水) 19時 12/3(木) 14時 ◎東京芸術劇場小ホール

<料金>¥1000《自由席》

問合せ◎F/Tチケットセンター03-5961-5209

http://festival-tokyo.jp/(パソコン)

http://festival-tokyo.jp/m/(携帯)

 

 

『マレーヒルの幻影』三宅弘城・荒川良々対談

対談インタビュー

『マレーヒルの幻影』

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荒川良々  三宅弘城

 

岩松了が、あの有名なF・スコット・フィッツジェラルドの小説、「グレート・ギヤツビー」の世界にインスパイアされて書き下ろした舞台が、12月5日に幕を開ける。
映画の「華麗なるギャツビー」でも知られているように、1人の女性に憧れ続け、やがては身を滅ぼすギャツビーの人生は、ロマンティシズムと同時に愛の苦さを突きつけてくる。その物語をモチーフに1929年のNYで暮らす日本人たちの人生そして愛憎を、岩松了ならではの鋭い人間観察と毒も甘さも深い言葉で描き出す。
物語の中心となる3人には、映像から今回が舞台初出演のARATA、映像でも舞台でも活躍する麻生久美子と松重豊が扮するが、彼らを囲む人間模様として岩松戯曲の面白さを伝える役割りを演じるのが2人の役者、三宅弘城と荒川良々。彼らに稽古場の様子や役柄などを語ってもらった。

 

【休憩も必要】

ーー三宅さんは今回初めて岩松さんの作品に出るわけですが、やはり独特の言語世界が戯曲にはありますか?IMG_0006

三宅 比喩的なことも多いし、ストレートではない面白さがありますね。例えかたとか言い回しとか岩松さんならではだなと。なんかセリフに色気があるっていうか。

荒川 ああ、そういう感じあるね。

三宅 稽古してても難しいなと思うし、でもそこがやってみたかったので。

ーー荒川さんは岩松作品は4度目ですね。所属する大人計画の芝居との違いはどんなところに? 

荒川 たとえば大人計画の舞台では、お客さんが笑ってくれることIMG_0014でどんどんテンションを上げていけたりするんですが、岩松さんの舞台は、笑いがきても「次のセリフが聞こえないといけないな」とかふっと思ったりするんです。どちらがどうっていうのではなく、作品世界が違うんだと思うんですけど。

三宅 セリフを聞いちゃうとこありますよね。麻生さんが「美しい本」と言ってたんですが、ホントそう思います。

ーー稽古場の岩松さんは恐いそうですが。

荒川 いや、別に恐くないですよ。あ、目が恐いかな(笑)。

三宅 うん、集中してるときは一見恐く見える(笑)。

荒川 今回もそうなんですが、初めて岩松さんの作品に出演した時は、僕は一番初めに登場する役だったんです。岩松さんはとくにオープングを大事にするかたで、「周りが見えてない」とか「セリフ言ったあと休んでる」とか(笑)。今はあまり言われなくなりましたけど、言われないほうがかえって心配ですね。

三宅 僕は初めてなのでまだ緊張感はありますが、言われることがすごく良くわかるし、しごく当然のことを言われているなと思います。

荒川 最近、役者の仕事が多くなったからか、ちょっと岩松さん変わりましたね。「やっぱり、休憩とらないとダメだな」とか(笑)。

三宅 だはは(笑)。

【それぞれの恋愛模様】

ーー1929年のNYが背景になっているそうですが、ご自分の役について教えてください。

三宅 僕はキタという役で、ARATAさん演じるソトオカの肩腕みたいな存在です。仕事で成功してる彼に仕事をもらったり一応フォローしたり。

荒川 僕はタナカという名前で市川実和子さんが演じるスージーの夫というかヒモというか(笑)。彼女はいわゆる立ちんぼみたいなことをしてるらしいんです。岩松さんの作品には珍しくまっすぐな人で。

ーーキタには恋愛部分は?IMG_0007

三宅 ないです。

荒川 いや、お手伝いさんといろいろあるでしょう?

三宅 あれは僕らがふくらませてる部分でしょ(笑)。

荒川 わざときつく言うのも女房的な部分があるかららしいです(笑)。

ーー岩松さんの芝居は、必ず愛ゆえの殺人とかが出てきますけど、今回も?

荒川 言えないです。

三宅 はい、言えません(笑)。

ーーキタとタナカには愛憎があるんですか?

三宅 具体的にはないですね。

IMG_0012荒川 あまり絡まないしね。でも愛憎という点では、タナカはお金がないせいもあるんでしょうけど、出てくる全員に憎しみを持ってて、そのせいかテンション高めで怒ってるシーンが多いですね。

三宅 キタは愛憎の“憎”はないと思います。岩松さんの作品では珍しい人間かもしれない。ソトオカさんをとにかく信頼してる男なんです。


【どんどんセリフを言っていく】

ーー言葉にさまざまな含みや裏があるのが岩松戯曲ですが、稽古場でセリフのダメだしでどんなことを言われますか?

荒川 僕の場合、あらかじめ台本読んでも、こうかなとか思わないようにしてるんです。稽古場で真逆のことを言われないようにというのもあるし、もともと「こういうことでしょう」みたいな意味を持たせる言い方はしないようにしてるので。岩松さんの場合、最初の頃に「そこ、もうちょっと大声で言って」と、それができて体が慣れてきたら「普通に戻していいや」と、そういう稽古なので動きも自分が先に決めたりとか、あまりしないようにしてるんです。

三宅 一度「最初に気持ちなんか作ってたらじれったくてしょうがない」みたいなこと言われるのを聞いて、なるほどなと。全然やりにくくはないですね。「どんどんセリフ、言ってきゃいいんだよ。あとから気持ちなんか付いてくるから」と。「はい、もう1回、もう1回」といやおうなしにやっていくうちに、気持ちも体も実際そうなってきたりするので、「ああ、ホントだ」と思ったし。IMG_0009

荒川 繰り返していくうちに体が慣れていくというか、機械的に反応していくんですよね。そこから気持ちも自然にできていくみたいな。

ーーそれはセリフの力もあるんでしょうね。

荒川 「動かされてるんだよ」とよく言われますね。動くんじゃなくて。

【新鮮な顔合わせで】

ーー映像からのARATAさんとか麻生さんは、おふたりは初共演ですか?

荒川 僕はARATAさんと『ピンポン』とか何回か一緒に出てます。麻生さんとも一緒の映画に出てるんですが、全然絡んだことはないですね。まあ映像と舞台は別ものなんで。

三宅 ARATAさんとは全くの初対面です。麻生さんとは映像で何回か一緒に出ていて、今思えば、その時に岩松さんとも少しだけ絡んでたんです。僕が物まね教室の先生でそこに岩松サンが習いにくるという(笑)。IMG_0003

ーーすごい出会いですね。ARATAさんとか麻生さんは稽古場で緊張してますか?

三宅 いや、そんなふうには見えないですよね?

荒川 いい感じになじんでると思いますよ。

ーーその2人と松重豊さんが、『グレート・ギャツビー』のような心理的な葛藤を繰り広げるわけですね。

三宅 そこはもう、すごく岩松さんの色気のある世界になってます。

荒川 それに、キタとお手伝いさんの関係もありますから。

三宅 いや、だからそれは出てこないって(笑)。

 

 

『マレーヒルの幻影

●2009/12/5〜27◎本多劇場

●2010/1/9◎梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ

 

作・演出◇岩松了

出演◇ARATA 麻生久美子 三宅弘城 荒川良々 市川実和子/松重豊 他

<料金>本多劇場/¥6800(全席指定/税込)

            梅田芸術劇場/¥7500(全席指定/税込)

<お問合せ>本多劇場/03-5475-3436 森崎事務所 

                http://www.morisk.com/

       梅田芸術劇場/06-6377-3800

                 http://www.umegei.com/

                                 【取材・文/榊原和子 撮影/岩田えり】

『血は立ったまま眠っている』制作発表

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2010年、シアターコクーンの年明けを飾るのは、寺山修司が23歳で書いた処女戯曲『血は立ったまま眠っている』である。
60年代安保闘争を背景に描かれた鮮烈な青春劇は、底辺で生きる人間たちの憤りや葛藤が生々しく描かれている。
この衝撃的な戯曲に挑むのは、演出に蜷川幸雄。主人公の若きテロリスト2人には、最近舞台での活躍が目覚ましいV6の森田剛、初舞台にして蜷川作品に挑む窪塚洋介。そして窪塚の姉役に扮する寺島しのぶをはじめ、六平直政、三谷昇、金守珍、またこれが役者として初舞台というパンクロッカーの遠藤ミチロウなど、多彩な顔ぶれが揃った。蜷川幸雄中心に個性豊かな役者たち、総勢18名が集まった熱気溢れる製作発表の模様をレポートする。(森田剛さんの写真は都合により掲載できません)

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【出演者挨拶】

蜷川幸雄「この出演者を見ていただければわかるように、2010年の正月は禍々しい夢を見ていただこうと思ってます。無事初日が開きますかどうか、先ほどから賑やかなこのメンバー、雑多な感性を持った、身銭を払いながら生きてきた人たちと仕事をするのは楽しい。久方振りにいろいろ、あの手この手を使って、悪い夢を見ていただこうと思ってます。どうぞ期待してください。僕はこの仕事ができて本当に嬉しいと思っています。じゃ(出演者に)よろしくね」

森田剛「良役をやらせていだきます。稽古をしっかり頑張って、良い舞台をやりたいなと思います。みなさんよろしくお願いします。蜷川さんと仕事する気持ちですか?緊張してます。でも、声を掛けていただいて非常に嬉しく思っています」

DSCF1059窪塚洋介「初舞台になります。いつかは舞台をやってみたいなって思いは、ずっとあったんですけれども、なかなかタイミングが合わずにここまできました。未開のジャングルに素っ裸で入っていくみたいな気持ちがあります。コーディネーターが蜷川さんと言うことで、安心して委ねていきたいなと思ってます。実際台本を読んで、全然やっぱり映画の台本とは違うので、そんなことだけでも新鮮さを感じていたりはしてますけれども、一緒にあるプレッシャーみたいなものは集中力に変えて、稽古から楽しんでやってきたいと思います。よろしくお願いします」

寺島しのぶ「えっと、蜷川さんとは7年ぶりのお芝居で、7年前は確か稽古中に、私の芝居がダメで、目の前で胃薬を飲まれた記憶があって(笑)。それからちょっと7年も経ってるんで、もう、あんまりお互い若くはないので、迷惑を掛けないようにしたいと思います。とにかく本当に本が素晴らしいと思いますので、新春から生臭く匂い立つような、舞台を目指して頑張りたいと思います。よろしくお願いします」

遠藤ミチロウ「今日はありがとうございます。芝居と言うか演技をやることが生まれて初めてでして、小学校の学芸会さえもやってないので、そんな僕を使うって蜷川さんはすごいパンクだなって思います。もう本当に清水の舞台から飛び降りた気分でやってくれって言われましたけど、清水どころかなんかエッフェル塔から飛び降りるような気分で頑張りたいと思います。どうぞ、よろしくお願いします」

金守珍「僕は、新宿梁山泊というテント芝居をやっていまして、唐十郎、寺山修司、そのアンダーグランドという大海原で、今まで泳いでまいりました。実は僕は蜷川と言う川で生まれまして、演劇のいろはから全部、蜷川さんから叩き込まれてます。蜷川さんのところで生まれて、修行に行ってくると言って戻らないまま迷い道に入っちゃって、本当に三十数年ぶりに、やっと蜷川の川に戻ってくることができました。こんな嬉しいことはありません。蜷川さんに恩返しできるかどうかわかりませんが、六平ともども、ちょっと寺山修司の世界を遊んでみたいと思います」

三谷昇「三谷昇です。まだ死んでません。2年前体調をくずしたんですが、一日たばこ40本、お酒も飲んでましたけど、それを一切禁止されて、珍しく僕としてはそれを忠実に守ったおかげだと思います。俳優を辞めるつもりだったのが、声を掛けられて、おっちょこちょいですから、今回も世界の蜷川さんから声を掛けられ、役を聞いたら77歳の老人。半世紀以上役者をやりましたが、私にピッタリの役は初めてです(笑)。絶対に成功させます! これは間違いありません。台本に77歳の老人と書いてあります。今、誰もできません(笑)。頑張ります」DSCF1062

丸山智己「えっと、すごい意気込みを聞いた後で(笑)、僕はもう何も言うことは、あまりありません。本当に、エネルギーをそのまま持っていって、難しいことは考えずに、爆発させて。僕の持ってるものは全部持っていって、たぶんおつりが返って来ることはないと思うので…とにかく何が出てくるかって言うのを楽しみにやりたいと思います」

蘭妖子「私は寺山さんの作品には沢山出てるんですが、寺山さんが30歳の時に出会いました。この作品は彼が23歳の時に書いたもので、まだ私も寺山さんと出会っていないときの作品、最初の作品に出られるのはとても幸せなことで、蜷川さんから声を掛けていただいて、本当に感謝してます。あの頑張り過ぎないように頑張りたいと思います」

江口のりこ「葉っぱ役をやらせていただきます。すごく楽しみな気持ちでいっぱいです。不安もあるんですけど、今日みなさんとお会いして、すごく賑やかな方たちなので、まぁとにかく(笑)、なんか嬉しい気持ちでいっぱいです」

柄本祐「えっと柄本です。ちょっと緊張しているんですが、あのほんとに、ちょっと、あの、ちゃんとやります。(笑)頑張ります。よろしくお願いします」

大石継太「寺山さんの作品は今回初めてなんですが、今このときに寺山さんの作品に出られてとても嬉しく思ってます。蜷川さんの演出と、すごいエネルギーのある役者さんたち。稽古するのが楽しみです。」

日野利彦「蜷川さんとは何回か芝居をやらせてもらってます。蜷川さんに怒られないように頑張りたいと思います」

市川夏光「この舞台に立たせていただくチャンスをくださったことを、心から感謝します。若輩者ですがノイズを残せるように頑張りますので、よろしくお願いします」

富岡弘「この作品が発表されました1960年に生まれました。来年50歳になります。50歳の最初の作品ですので、力の限り挑みたいと思います」

DSCF1064大橋一輝「たぶん座組の最年少になると思うので、元気良く、おもいっきりやりたいと思います。よろしくお願いします」

マメ山田「ハイ!マメちゃんですよろしくお願いします!今回このお話いただいて、大変嬉しく思っておりますので、張り切ってやりたいと思っておりますが、年が年ですからどこまで張り切れるかわかりません。みなさんの足を引っ張りながらやりたいと思いますので、どうぞよろしく、お手柔らかにお願いいたします」

六平直政「思い返せば、僕は唐十郎の運転手をやってたんですけど、あの寺山さんが、阿佐ヶ谷の河北病院で亡くなる日も、唐さんはもちろん寺山さんの親友でしたから、唐十郎を赤いコスモに乗っけて、病院に行って、ちょうどその夜に亡くなって。この本をやることになって、寺山さんがなんかこう、考えたら俺と繋がってんのかなぁーっと思うこともあって。なんかこう、むちゃくちゃドアングラみたいな芝居になったら面白いなと思ってるんですよね。蜷川さんもたぶん同じこと思ってると思うので、きっとなんか来年早々、むちゃくちゃな芝居が見れんじゃないかと思って、みなさんご期待くださいませ!」

【一問一答】

ーー長く暖めてきた作品ということで、上演を熱望した理由や作品の魅力を。

蜷川「この芝居は、俳優さんが関わることでどんどん面白くなる演劇だと思ってます。そういう意味では、この出演者が揃ったことが全てで、キャスティングの段階でどういう風になってるかってことを、ワクワクしながら、僕が一緒に走ろうという感じですね。
ちょうど1960年の時は、僕も俳優になりたてのころで、研究生としてデモに行ったり、この周辺のところにいたわけで、我々の鬱屈とかそういうものを垣間見るような形です。それを丸ごと再生してもしょうがないので、言ってみれば、渋谷の街の車越しにチラっと見えた光景のように、あれ?見えたかな?というような舞台にならないかなと。それを丸ごと再生するんではなくて、現在のサブカルチャーが蔓延している中で、ちょっと本物を見たぜ。あの光景忘れてたな。というような舞台にならないかなというのが僕の野心です。それを今やるってことに意味を見つけています。
そして、できるだけテレビでは見られないような舞台を作ろうと。あえて言い切ってしまおうと思います。どうぞ現場に来て、我々の「生」の舞台を見ていただきたい。言ってみればある種のライブのものですから、その魅力を充分発揮して、その事を鮮烈に見せることが僕の仕事だと思ってます」DSCF1083

ーー遠藤さんは蜷川さんだから出演されるのだと思いますが改めてその動機は?また提供する楽曲のイメージは?

遠藤「楽曲は寺山さんの詩に僕が曲を付けるっていう形です。僕が人が書いた詩に歌を付けるのは初めてなんで、結構苦労しています。しかも曲がブルースなんで。僕、実はパンクで、ブルースやったことなかったんで(笑)、実際ブルースってどうなのかって、ここんとこブルース聞きまくってます。変なブルースになると思います。(笑)。
蜷川さんとは実は、1986年に一度、『オデッセイ1986セックス』っていう、僕の歌と、ニナガワスタジオの人たちと、台詞のない芝居の合体したやつをやったんです。その時僕は歌うだけだったんで、結構その気になってやってたんですけど、今回はちょっと芝居があるっていうんで、今回そっちの方が、プレッシャーがでかくて、訛りなおりませんよ?って言ったら、いや、いいですよって。実際演技やったことないから絶対下手ですよと言ったら。演技なんて下手でいいんだよ!なんて蜷川さんに言われまして、それが逆にプレッシャーになりまして。どうなるか僕も本当に初体験なんで、プレッシャーを感じつつ楽しみたいと思ってます」

ーー森田さん、寺山修司の処女戯曲ですが、作品の印象は?

森田「読ませていただいて、台詞がすごく独特で彼の舞台ならではかなぁと思ってます。それからお話が難しいんで、今回心強いユニークな先輩がたくさんいますので、とにかく聞いて、稽古頑張って行きたいと思います」

ーー森田、窪塚、寺島さん、蜷川さんに対するイメージ、期待や恐れは?

森田「僕は過去二回舞台に出させてもらってるんですが、全く違う演出方法になるのかなと思ってます。蜷川さんとお会いした時に、自由に勝手に動けよと言われたんで、そういうプレッシャーを感じながら、自分なりに考えて頑張って行きたいと思います」

窪塚「一番最初お会いした時は、人の噂の話しか聞いたことがなくて、灰皿を手裏剣のように投げられたりとか、色んな罵詈雑言が飛び出すみたいなことは聞いてたんですけど、お会いして本当に、すごく懐の深い方というか、優しさ、慈悲か!ってぐらいの、優しさに満ちた人だったんで、逆に怖かったです(笑)、これが変わるんじゃないだろうかって、急旋回を稽古中に見せるんじゃないかとか(笑)。 
いろいろまだ不安な部分がありますけれども、そこは、やると決めたからにはね、やるだけなので、委ねてやっていこうと思いますけど、まだちょっとしかお話していないのですけど、蜷川さんの歩かれてきた道っていうのが凄く魅力的だと感じたので、そういう意味を含めて、蜷川さんの地位だったりとか、みんなからの名声だったりとかを超えて、凄く一人の人として魅力的な人だなと思いますので、そこに自然と、素直に、委ねられるなという思いになりました。なので楽しみです、稽古が」

寺島「私はほぼ森田さんと窪塚さんの間に存在している女性なんですけど、本当に蜷川さんは綺麗な男性には優しいので(笑)、また私がサンドバック状態になるのかな?という予感はしております…ハイ」DSCF1085

蜷川「僕ら7年間に渡って喧嘩をしておりまして、(寺島は)僕の芝居は全然見ていません。その原因はほぼわかってるんですが、これでようやく僕らが口をきく仲になったという(笑)。どうか誤解しないでください(笑)。この三人については、きっと上手くいくでしょう。しのぶともこれでようやく仲直りができるんじゃないかな?と期待しております。失礼しました。
ついでですが、遠藤さんとは、彼がスターリンというバンドをしていたころ、渋谷陽一さんの紹介で知り合い、ベニサンで一緒に『オデッセイ1986セックス』という作品をつくりました。その頃の演劇人はそれぞれ孤立していて、寺山さんと唐さんは仲良かったけど、僕は寺山さんとあまり接点がなかった。そういういろいろあった時代の作品です。そういう作品をできるのは僕の喜びです」

 

 

『血は立ったまま眠っている』

●2010/1/18〜2/26◎Bunkkamuraシアターコクーン

●2010/2/22〜28◎シアターBRAVA!

作◇寺山修司

演出◇蜷川幸雄

出演◇森田剛 窪塚洋介 寺島しのぶ 遠藤ミチロウ 金守珍 三谷昇 六平直政 大石継太 柄本佑 冨岡弘 丸山智己 蘭妖子 江口のりこ 他

 

<料金>

シアターコクーン S席¥9500 A席¥7500 コクーンシート¥5000(全席指定/税込)

<チケットに関するお問い合わせ>

東京公演/Bunkkamuraチケットセンター 03-3744-9912(11/29 前売初日特電) 11/30以降 03-3744-9999

大坂公演/キョードーチケットセンター 06-7732-8888

 

    【取材/岩見那津子  文/榊原和子】

 

 

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