稽古場見学、記者発表、インタビューなどから、近々公開される作品のおもしろさを探ります。

カムカムミニキーナ『>(ダイナリィ)』

『蛮幽鬼』初日囲み取材(9月30日)

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劇団☆新感線の新作『蛮幽鬼』が30日、新橋演舞場で初日を迎えた。
この舞台は座付き作家中島かずきが、『朧の森に棲む鬼』以来2年ぶりに書き下ろした“いのうえ歌舞伎”で、「モンテ・クリフト伯」をモチーフにした復讐と策謀が渦巻く、スペクタクル・ロマン活劇である。

物語の背景になるのは古代の架空の国「鳳来」、その国の前途ある若者伊達土門(上川)が、「蛮教」を学ぶために留学したカダの国で、殺人のぬれぎぬを着せられて投獄される。やがて囚人サジ(堺)と出会い、ともに脱獄に成功、「鳳来」へ帰った土門は、サジとともに復讐へのシナリオを進めていく。

アクション満載、どんでん返しにつぐどんでん返しという錯綜した物語を、上川隆也をはじめとするキャストが熱い演技とすさまじい迫力で展開。ダイナミックなストーリーの面白さに加えて、それぞれのキャラクターがユニークかついわくありげで、最後まで目を離すことができない、まさに血湧き肉躍る舞台になっている。

初日前のフォトコールでは、復讐のため蛮教の教祖となった上川のカリスマぶりや、恋人だったミコト、稲森いずみとの再会場面、またミコトの護衛トウイ役の早乙女太一と上川、堺らの華麗で迫力ある立ち回りが披露され、劇団☆新感線らしいスケール大きなドラマの仕上がりぶりをアピールした。また、ロビーでは、メインキャストの上川隆也、堺雅人、早乙女太一、稲森いずみの囲み取材が行われた。

DSCF0299【囲み取材コメント】

上川「新感線ならではの豪華な衣装や舞台で、気持ちがアップします。いつもの自分ではない自分が立っている感じですね。下手に空回りするのもなんなので、気合を入れすぎないようにしたい。初共演の人ばかりなんですが、それを一度も意識せずにここまで来た。いまはもちろんですが、稽古当初から違和感のないキャストのかたたちで、これからの本番も一緒にがんばりたい」

堺「アクションがあるのが嬉しい。強いという設定なので殺陣はがんばりたい。上川さんも早乙女さんもすごく強くて、まともに闘ったら命がいくつあっても足りない状態です(笑)。いろんなキャラクターのいろんな立ち回りがあって贅沢なお芝居。座長の上川さんは芝居の面でもそうですが、役のうえでもいろんな思いをみんながぶつける。それを上川さんがお客さんに投げかけるという舞台です」

稲森「舞台は二度目なのですが、今は稽古場の通りやれればいなと思ってます、やっぱり緊張してますね。新感線の舞台は異空間というか現実離れしていて、その舞台の中に存在しているのが気持ちがいいですね」

早乙女「新感線も立ち回りも大好きなのですごく嬉しいです。女形でも出てきますが、僕は本当はこういう男の格好のほうが好きなんで、気合いが入ります」

早乙女の女形シーンに関して上川から「綺麗というか美しいですね。太一くんのそのシーンになると、いつのまにか出演者がバタバタと集まってくるんです(笑)」という証言もあり、ビジュアルもアクションも見せ場もりだくさんの作品。来年30周年を迎える劇団☆新感線の勢いを感じる舞台となっている。

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『蛮幽鬼 』

9/30〜10/27◎新橋演舞場

11/9〜26◎梅田芸術劇場メインホール

作◇中島かずき

演出◇いのうえひでのり

出演◇上川隆也 堺雅人 稲森いずみ 早乙女太一 橋本じゅん 高田聖子 粟根まこと 山内圭哉 山本亨 千葉哲也 他劇団☆新感線

 

<料金>

新橋演舞場 1等席¥12600 2等席¥7500 3階席A¥6300 3階席B¥3500(全席指定/税込)

梅田芸術劇場メインホール S席¥12500 A席10500 B席7500(全席指定/税込)

<チケットに関するお問い合わせ>

東京公演/新橋演舞場 03-3541-2600

大坂公演/キョードーチケットセンター 06-7732-8888

http://www.shochiku.co.jp

                    【取材・文/榊原和子】

 

『フェスティバル/トーキョー09秋』が間もなく開催  vol.2

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9『フォト・ロマンス』構成・演出:ラビア・ムルエ、リナ・サーネー

相馬「レバノンのアーティストで2004年、2007年に来日してます。今回は検閲制度を扱った作品で、今年のアヴィニョン演劇祭で絶賛されました。ヒットラーが初めてイタリアを訪れた『特別な1日』という1977年の名画のパロディを作り、それを検閲官にプレゼンテーションするやりとりを見せるメタ演劇です。レバノンは今も検閲制度があるので、彼らの現実をそのまま映し出すという意味でも、まさにメタメタフィクションです。でも中東とかレバノンの厳しい政治状況を変えるというより、その状況を表現の可能性を結びつけていくという意味では、ただの政治的なマニュフェスにならない豊かなドキュメントだと思います」

 

10『演劇大学09秋』桜美林大学、京都造形芸術大学、近畿大学、多摩美術大学

相馬「いま教育現場に広がっている演劇関連の学部や学科に注目する企画で、演劇大学、美術系の大学4つに出てもらいます。桜美林はダンスの木佐貫邦子さんが指導、京都造形芸術は歌舞伎を上演、近畿大学は唐十郎さんの演出で、多摩美大は学生の作・演出です。各大学とも、それぞれすごいメンタリティで実践的な教育に取り組んでいて、たとえば発表会も厳しいオーディションがあって、学校とはいっても機会平等じゃないんです。才能のある人は何度もいい演出家の作品に出られる。でもそうじゃない人は役者になれない。精鋭を作り出そうという体制があるんです。そういう大学の演劇現場を検証するいい機会だと思います」

 

11『卵を立てることからー卵熱』山海塾

相馬「今さら説明するまでもないほど、世界的に有名なダンスカンパニー山海塾の名作です。1986年の初演から32カ国137都市で上演され続けていて、今回は8年ぶりの東京公演ですので、ぜひお見逃しなく」

 

ticket_1312『太陽と下着の見える町』庭劇団ペニノ

相馬「タイトル通り、女性の下着が見えるさまを舞台芸術にすることに情熱を注ぐという作品です。作・演出家のタニノクロウさんいわく、今回はとにかくパンチラがやりたいと。自宅マンションを公演ごとに改造したり、空き地に巨大テントを作ったりと、まず劇場作りから始める彼が、にしすがも創造舎の空間でどれだけ妄想をふくらませてくれるのか“世界に通用するパンチラ”という誇大妄想をどんなスケールで見せてくれるのか楽しみです」

 

13『神曲ー地獄編』ソチエスタ・ラファエロ・サンツィオ

14『神曲ー煉獄編』ソチエスタ・ラファエロ・サンツィオ

15『神曲ー天国編』ソチエスタ・ラファエロ・サンツィオ

相馬「イタリアのアーティスト集団で、昨年のアヴィニョン演劇祭で大きな話題になりました。ダンテの『神曲』から想を得たもので3部作になってます。地獄篇は演出家のロメオ・カステルッチ自身が登場して自分の罪を問いかける、悪夢を見るようなイメージ。煉獄篇は魂を清めるプロセスなんですが家庭の風景で、ここはパイパーリアルすぎてかえって非現実にさえ見えます。最後の天国篇はライブ・インスタレーションで、観客自身が孤独と作品に向きあうことになります。3つの会場で1つだけ観てもいいし、順番に全部観てもいいのですが、とにかく衝撃的であり圧倒される世界が展開されます」

 

16『F/Tステーション』

相馬「池袋の西口広場に、あの『おやじカフェ』が再び作られます。自称“おやじ”な店員は、皆さん公募で集まってきた人たちで、伊藤キムさんの身体ワークショップを経て、店で踊ったりします。彼らの“おもてなし”とパフォーマンスをお楽しみください」

 

それぞれの公演時期と会場、料金は
以下のホームページでご確認ください。

『フェスティバル/トーキョー09秋』

期間◎10/23〜12/21

会場◎東京芸術劇場、あうるすぽっと、にしすがも創造舎、シアターグリーン、世田谷パブリックシアター

料金◎回数券やペアチケット、学生料金など種類は多数

問合せ◎F/Tチケットセンター03-5961-5209 

http://festival-tokyo.jp/(パソコン)

http://festival-tokyo.jp/m/(携帯)

 

                【取材・文/榊原和子】

 

『フェスティバル/トーキョー09秋』が間もなく開催 vol.1 

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【全作品紹介】

F/Tのプログラム・ディレクター相馬千秋(写真右)が、自らフェスティバルのコンセプトや各演目の見どころを説明するプレトーク『リアルは進化する―検証!F/Tラインナップ』が、5日の夜に開催された。

会場になった自由学園の明日館は、有名な建築家のフランク・ロイド・ライトがデザインした重要文化財で、クラシカルな講堂に約100名ほどの観客が集まって、トークは催された。

ゲストには、F/Tの春と秋に連続で新作を発表する「サンプル」主宰の演出家・松井周(写真中)、聞き手は、エクス・ポ編集長の佐々木敦(写真左)という顔ぶれで、スライドによる各公演の解説をメインにトークは進んでいった。

そのトークのなかで出てきた話をもとに、今回の公演内容を演目ごとに紹介しよう。

 

ticket_061『ろじ式』維新派

相馬「6年ぶりの東京公演です。これまで離島の精錬所跡、野球のグラウンド、びわ湖の湖上など、つねにその場所でしか体験できない空間を作りだしてきた維新派が、今回は廃校である「にしすがも創造舎」のなかに舞台セットを組んで、一辺が60センチの立方体の標本箱を約600個組み立てる形で構成します。校庭には屋台村も作りますのでお楽しみに」

 

2『Cargo Tokyo-Yokohama』リミニ・プロトコル

相馬「舞台から外に出てしまうというプロジェクトです。今回はトラックの荷台に乗っていただいて物流の拠点を見る、というのがテーマですから、日本の物流のすごい景観を楽しめるはずです。走る車窓から見るパフォーマンスとか風景で、何かが起きても、それがすでにあったものか仕掛けられたものかわからないという、そこも面白いと思います。トラックはドイツから輸送するという大掛かりなものなんですが、トラックがどこを走るかまだ確定してなくて、そこも楽しみですし、1回に約40人しか乗れないので、チケット入手はお早めにぜひ」

 

ticket_083『あの人の世界』サンプル

松井「僕の新作です。ずっと物語ということにこだわっていて、といっても僕のいう物語は起承転結という意味ではなくて、たとえば“誰かを見たときに対象に対して貼り付ける思い込みみたいなもの”と、それがきっかけで動き出すものですね。貼り付け方というのは人それぞれ違うので、その人たちが集まってコミュニケーションしたらどうなるか、そういう物語を見せたいわけです。たとえば上にいる人と下にいる人、立っている人と座ってる人というだけでも関係というものはできるので。そういう方法を介して、今の僕たちの物語が見えるのではないかと思ってます」

 

4『H3』グルーボ・ヂ・フーア

相馬「ブラジルのストリートダンスからコンテンポラリーに入ってきたブルーノ・ベルトラオというかたが振付家で、ヒップホップのダンスの動きを解体していって再構築するんですが、世界的に注目されています。今のヨーロッパのダンスシーンでは、コンテンポラリーがやり尽くされた感のあるんですが、その中でまだこんな新しいことができるんだという独自のものを見せてくれます。絶対に勝てないブラジルのサッカーを見せつけられたというような、すごいダンスです」

 

5『個室都市 東京』PortB

相馬「ここまでくるともはや演劇なのかと言われるんですが、そこをあえて演劇だと言いはることが、演劇の可能性を考えることだと思ってます。池袋の西口公演に個室ビデオ店を作ります。そこでビデオ・インスタレーションを観ていただくんですが、西口広場のリアリティというのを流す予定です。24時間7日間流しっぱなしで、いつ観てもいいのですが、夜中にはパフォーマンスと称する山手線一周ツアーとかに連れていかれたりします。1時間500円で入れて好きなだけいられますし、一般の個室ビデオと同じなので、時間つぶしに芝居と芝居の間に入っていただくのもいいのでは」

 

6『花は流れて時は固まる』BATIK

相馬「日本だけでなくコンテンポラリーダンスの世界で活躍をしている黒田育代さんの振付けで、2004年に発表して出世作になったものです。ここまで踊るかというくらいすごいダンスです。なによりも驚いたのが、ダンサーのかたが8メートルの高さから飛び降りるんですよ。まさに身体をはってのパフォーマンスです。今回は大胆にリニューアルするそうですが、黒田さんの世界でしかできない表現を見せてくれると思います」

 

7『4.48サイコシス』作:サラ・ケイン、演出:飴屋法水

相馬「春には平田オリザさんの『転校生』を演出して好評だった飴屋法水さんが、今度はまた話題作に取り組みます。イギリスの作家で10年前に若くして自殺したサラ・ケインの遺作です。この戯曲はト書きもなければ状況設定もなくて、詩のような数字のような言葉の断片で心象風景が描かれているのですが、飴屋さんの演出によって総合失調症患者である1人の女性の内的な問題としてだけではなく、私たちと共有できるものにしてくれるはずです」

 

8『デッド・キャット・バウンス』演出:クリス・コンデック

「映像作家であるコンデックが05年にベルリンで初めて上演した作品です。タイトルの意味は、高いところから落ちて死んだネコが跳ね返るように、株価が下落してるにもかかわらず一瞬だけ高値をつける現象をいうトレーダー用語です。まず観客から集めたチケット代でロンドンの株式市場の株を買います。ですから土日は休演なんですが。お客さんの合意の上でどの会社のどの株を買うかを実際に行って、損するか儲かるか、スリリングな時間を体験するパフォーマンスです」

(vol.2に続く)

 

●それぞれの公演時期と会場、料金は
以下のホームページでご確認ください。

 

『フェスティバル/トーキョー09秋』

期間◎10/23〜12/21

会場◎東京芸術劇場、あうるすぽっと、にしすがも創造舎、シアターグリーン、世田谷パブリックシアター

料金◎回数券やペアチケット、学生料金など種類は多数

問合せ◎F/Tチケットセンター03-5961-5209 

http://festival-tokyo.jp/(パソコン)

http://festival-tokyo.jp/m/(携帯)

 

                【取材・文/榊原和子】

 

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