稽古場見学、記者発表、インタビューなどから、近々公開される作品のおもしろさを探ります。

えんぶ8月号

堂本光一の『Endless SHOCK』が4カ月公演。制作発表ルポ

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ミュージカル『Endless SHOCK』の制作発表が10月26日都内にて行われ、堂本光一、内博貴、神田沙也加、植草克秀が出席した。

『Millennium SHOCK』として2000年に初演された同作はリニューアルを重ね、昨年までの公演数は751回に登る。フライング、階段落ちなどのパフォーマンスのレベルの高さに加え、ショーアップしたステージは、帝劇の人気演目として最近は毎年2カ月以上のロングラン公演が定番となっていた。
今回は帝劇でしか叶わなかった舞台機構の問題をクリア、初の地方公演となる博多座で1月7日にスタート、2月から4月まで帝劇公演と、全4ヶ月、139公演と新たな記録を打ち出している。



【挨拶】
 

堂本 本日はお忙しい中お越しいただき、ありがとうございます。僕からすごくたくさんお伝えしたいことがあります。今年、『SHOCK』は3月11日の震災で一幕を終えたきり、そのまま全公演中止となりました。これは出演者も一幕で止まったままということなんです。このような中で、博多座からまた『SHOCK』を始められることをとても嬉しく思います。博多座は森光子さんも愛された素晴らしい劇場だと聞いております。『SHOCK』という作品をどう見せることが出来るか、とても楽しみです。

そして作品に関してですが、ジャニー(喜多川)さんから常々「長い」と言われてまして。「Youいったいどこまでやりすぎる気なの?」と(笑)。僕はジャニーさんにそう言われるのはいいことだと、「ジャニーさんに勝ったぞ!」と思ってたんですね。でも確かにちょっと長いと思うところもあったので、演出や内容を改めてもう一度考えることにしました。まだふわっとしたもので僕の頭の中にある程度ですが、ただ短くするのではなく、新しい形を取り入れたいと考えてます。そのために二幕のあるシーンをマイケル・ジャクソンの振付を担当したこともあるトラヴィス・ペインさんにお願いしました。来月ロスに行って振付と稽古をしていただく予定です。

自分にとっても4ヶ月公演は初めてで新しいチャレンジになります。スタッフの皆さん、先輩の植草さん、後輩の内は…どうでもいいですけど(笑)、神田さんなど支え合って公演が出来ることを楽しみにしてます。ぜひ期待してほしいと思います。ありがとうございます。


 皆さんお忙しい中ありがとうございます。僕は、2010年7月から『SHOCK』に参加させていただいてますが、初めて参加した時「何てすごい舞台なんだ、こんなにすごい舞台があったんだ!」と思いまして。光一くん、植草さんに支えていただきながら、自分の中で得られるものを見つけたいと思います。『SHOCK』という歴史ある舞台で、前回よりレベルアップしたところをお見せ出来るようにしますのでご支援の程よろしくお願いします!


神田 今回参加させていただきます、リカ役の神田沙也加です。『SHOCK』は10年以上も愛されているすごい作品で、参加出来ることをとても嬉しく思います。以前、別の作品の稽古終わりで『SHOCK』を見終えたお客様と一緒になったことがあったのですが、表情がとてもキラキラしていたのを思い出しました。ミュージカルなどショーに携わる身として、博多座は憧れの劇場です。

参加が決まってから光一さんの『SHOCK』のドキュメントを拝見したのですが、ストイックでプロフェッショナルな姿勢を知り、改めてこの場にいさせていただき光栄です。『SHOCK』の一員として、ヒロイン役として責任を持って演じることはもちろんですが、教えていただくことで自分でも何か得られたらと思います。一生懸命やらせていただきますので、よろしくお願いします。


植草
 後輩の舞台に出られることは自分にとっても幸せなことです。長い間やっていると、自分の中でも勉強になりますね。光一を見てるとこれでもかこれでもかという感じで自分を追い込んでいて、いい加減にしたら(笑)と思うくらいすごいです。内は…はっきり言ってどうでもいいですね(笑)。


 ちょっと二人して僕のこと、どうでもいいって言わないでください(笑)!


植草 
正直始めは不安でしたが、内も頑張っていて今は大丈夫です。僕も頑張りますのでよろしくお願いします。


【質疑応答】
 

ーー4ヶ月というロング公演になりますが、心境は?

堂本 とてつもないなと思いましたね、正直なところ。3月11日に震災があった時、エンターテイメントで何が出来るのか、どういったことがいいのか考えさせられたんです。公演を中止したことが良かったのか続けるべきだったのか、何が正解だったか未だにわからない。こういう状況の中で4ヶ月やらせていただくことに何か大きなものを感じたんです。年の始めにエンターテイメントはどうあるべきか、ステージにどう立つべきか考えながらやりたいと思います。


ーー体力的には大丈夫ですか?

堂本 体力は全く心配してないです。それより、もう一度いろんなことを考えた上でステージに立つことが大事だと思ってます。


ーー植草さんはいかがですか?

植草 光一についていくしかないですね(笑)。ウチの錦織(一清)も博多座が好きで「代わりに出してくれないか」と言ってまして、俺はどうしたらいいんだと(笑)。まぁ、やってみないとわからないので、いざとなったら光一に助けてもらえばいいかって(笑)。

堂本 いやいや(笑)。こんな風に今は笑いにされてますけど、なんだかんだやってくださるので。大先輩ですし、締めるところは締めてくださる。僕が言うのも何ですが、俯瞰から見る目を持ってらっしゃるので。それより内の体力の方が心配ですね。いきなりの4ヶ月公演ですから。トレーニングとかしてるとは聞いてますけど。

植草 さっき聞いたら、「余裕」って言ってたもんな(笑)。

 余裕とは言ってないです(笑)。でも走り込みとか体力作りはしてますね。僕はやる気満々です! 


ーー光一さんは博多座に行かれたことは?

堂本 森さんの舞台を観に行かせていただいたことがあります。懐の深い劇場だなと思いました。これまでの帝劇に観に来てもらうスタイルを変えるのに不可能な場所が多い中、実現出来るのが博多座でしたので、その魅力を体感したいですね。今から楽しみです。


ーー特に変更される点はありますか?

堂本 全てが全て帝劇のようにはいかないでしょうし、これから細かく計算していかなければならないですね。そういう部分は博多座スペシャルになってくるのかなと思います。帝劇もいろんなところに(改修の)穴を開けてしまったので(笑)、僕は用意していただいた場所で思いっきりやるだけですね。


ーー博多公演で楽しみにされていることは?

堂本 僕はステージに立つことが一番楽しみなので…、そうですね…、先ほどお酒やお魚がおいしい季節だと伺いました。ステージ以外に力を使うのは難しいかもしれませんが、時々ならと楽しみにしてます。


ーー今回トラヴィスさんにお願いされたのはなぜですか?

堂本 以前、『SHOCK』を観に来ていただいた時に「アドバイスはありませんか?」と伺ったら「何もないさ」と。でも実際やっていただいたら、自分の頭の中にあるものがもっと濃密になるのでは、すごいエネルギーになるのではと思ったんですね。「言葉はわからなくても、何を伝えたいかわかった」と仰っていただいたので。振付家として超一流の方ですので、『SHOCK』にエネルギーが生まれるだけでなく、自分にとっても勉強になるのではないかと楽しみにしてます。皆さんも、ここからどんな新たなものが生まれるか楽しみにしていてください。


ーー最後に博多座公演を心待ちにされている皆様にメッセージをお願いします。

堂本 今までは帝劇に観に来ていただくという形で観に来られなかった方も、これをきっかけに足を運んでいただけたらと思います。たくさんの方に『SHOCK』を観に来ていただいて、博多座という空間を共有出来ることを楽しみにしております。


質疑応答後に写真撮影が行われたが、ここで博多座から出演者へサプライズで明太子500人分、25kgが贈られた。思わぬプレゼントを抱えての撮影に堂本は「すごい、こんな大きいの見たことない! 一個デカッ! 重っ!」と驚きの表情を浮かべていた。撮影を終え、引き続き囲みインタビューが行われた。


【囲みインタビュー】

ーー大きな明太子でしたね。

堂本 こんなに大きいのあるんだってビックリしました。聞いたら特注らしくて、取り寄せて漬け込んでくれたそうです。とてつもないですよね(笑)。


ーー初の地方公演になりますが。

堂本 そうですね、今までも何度か検討していたのですが、どうしても難しかったんですね。ここへきて博多座という劇場で何とか出来るだろうという目処が立ったので。博多の方にもぜひ観ていただきたいですね。


ーー博多座についてはいかがですか?

堂本 博多座のステージは、本当にみんなが好きと聞くので、何がそこまでいいんだろうと。それを知ることが出来たらと楽しみですね。フライングの高さも変わるでしょうから、どういった光景になるのか、今までと違った光景も楽しみです。

植草 ご飯は旨いし、街はいいし、楽しみですねぇ。

 僕も非常に楽しみです。明太子も楽しみですね。


ーー神田さんは?

神田 はい、すいません、あの異常に緊張してまして…。製作発表ってこんなに緊張するっけって…。

植草 俺より全然余裕だよ。

堂本 全然そんな感じなかったですけど…って、目が合うの2回目なんですけど(笑)。

神田 今日初めてお会いしたんです。


ーー神田さんの印象は?

堂本 出演していた舞台を観たことがあるんですけど、やっぱりすごい華があってお芝居をストレートに伝える方だなと。今から非常に楽しみです。何年も続いている作品なのでアウェイ感があるかと思いますが、稽古を重ねて早く馴染んでほしいですね。

神田 足を引っ張らないように頑張ります!

 僕も、どアウェイなので今回もっと頑張ります!


ーー神田さんにとって馴染み深いところでの公演ですね。

神田 母だけでなく、親戚みんな博多にいるので非常に楽しみですね。久しぶりに連絡したら、みんな「『SHOCK』に出るんだって?!」って。影響力が凄いので改めて驚きました。


ーー光一さんはいつ頃から準備に?

堂本 来月から忙しくなりますね。


ーーロスにはどれくらい行かれるのですか?

堂本 だいたい1週間くらいです。ダメ元でお願いしたトラヴィスさんが快く受けてくださったので、そこからどんなものが生まれるか、僕らでは考えられないものが生まれるかもしれないので勉強してきたいと思います。


ーーいずれは海外公演を視野に入れてのことですか?

堂本 僕はその辺は全くわからないですね。その辺はとても受け身です(笑)。


ーージャニーさんのギネス記録にも貢献されている作品ですよ!

堂本 貢献したなんてとんでもないです。ジャニーさんの存在あっての僕らですから。

植草 「Youやっちゃいなよ」で、こうしてやってられるんだからな。

堂本 本当そうです。ネタにしたりしてますけど、頼るべきはジャニーさんですから。いつも最先端でどこからそんな案が生まれてくるんだって。僕らがジャニーさんの夢を叶えるなんて思わないですね。ジャニーさんの演出でやれることが、僕らにとって幸せなことですから。でもジャニーさんにしてもKinKi(Kids)にしても、記録を狙ってやってきた訳ではなくて、支えてくださる方がいるから記録が生まれるんだと思います。


ーーそれでは最後に意気込みをお願いします。

堂本 今回、博多座での初めての公演と帝劇で4ヶ月ロングラン公演になります。トラヴィスさんに振り付けていただいて、また新たな『SHOCK』になると自分も楽しみにしております。ぜひ多くの方に観に来ていただきたく、来られる方は楽しみにしてほしいと思います。



『Endless SHOCK』

作・構成・演出◇ジャニー喜多川

主演◇堂本光一

出演◇内博貴、町田慎吾、米花剛史、ふぉーゆー、石川直、神田沙也加、植草克秀(特別出演)

●2012/1/7〜1/31◎博多座

<料金>A席 1,3000円 B席 9,000円(税込)

●2012/2/7〜4/30◎帝国劇場

<料金>S席 1,2000円 A席 8,000円(税込)

*チケット情報は東宝及び博多座オフィシャルサイトをご覧ください。


〈問合せ〉03-3213-7221 帝国劇場

東宝HP http://www.toho.co.jp/stage/


【取材・文/桜井麻子】


『イロアセル』レビュー&インタビュー

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新国立劇場で【美×劇】シリーズの第2弾『イロアセル』が公演中である。
 

古典2つにはさまれた唯一の新作で、倉持裕が書き下ろし、演出は鵜山仁。
キャストは藤井隆、島田歌穂、加藤貴子、剣幸、ベンガルなど多彩な顔が揃った。

劇作家で演出家でもある倉持裕は、どこかシニカルで醒めた目線で現代を俯瞰し、この世界の不条理をやや苦めのユーモアをまぶして描き出してみせるが、今回も「情報」という切り口から人間と現代社会を風刺している。
 

物語は、ある小さな島。その島民の言葉には色があり、それぞれ異なる固有の言葉を持っている。いつどこで発言しても、その色によって誰の言葉かが特定できてしまう。そのためこの島の住民はいつも慎重に発言し、決してウソをつかない。ある日、丘の上に檻が設置され、島の外から囚人と看守がやってくる。この男たちとの会話は無色透明で色が着かない。やがて島民が次々に面会にきて、打ち明け話をしていく。


島民の言葉である「色」を映し出すのは、舞台上方にある白く円いスクリーンで、そこにさまざまな色が映り、うごめく。濃い色、薄い色、汚い色、綺麗な色、強い色、弱い色…言葉が視覚化されて発言者が特定される、そのことの面白さとともに恐怖がひたひたと迫ってくる。

そして思い至るのは、言葉を特定されないでしゃべることの自由と無責任さ、特定されながらしゃべることの責任と不自由である。そのせめぎ合いは永遠のテーマであり、同時にインターネットやTwitterに代表される個人レベルの発信情報が、世界に拡散していく現代社会とその危うさを想い起こさせる。

そんなテーマを寓話的に突きつけるこの物語のエピローグは、ちょうど先頃終わった1人の独裁者の時代と重なって、実に衝撃的である。


囚人の藤井隆は島民を虜にするカリスマ性があり、看守らしい距離感が程よい小嶋尚樹。島の村長の剣幸と議員の木下浩之の尊大さと卑小さのバランス、独占企業の社長のベンガルと下請けの花王おさむの戯画化された面白さ。「カンチェラ」選手の加藤貴子と高尾祥子の島を背負わされる屈託。そして情報で殺された女の島田歌穂、良心に悩むカンチェラ審査員の松角洋平など10人の出演者たちは、ファンタジーな足場に立脚したこの物語世界を、自然に日常的に生きてみごとだ。



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【囲みインタビュー】

 この作品の初日前に公開舞台稽古が行なわれて、藤井隆、剣幸、島田歌穂の3人が記者のインタビューに答えた。


ーー自身の役どころと今回の舞台の見どころをお願いします。

 

藤井 囚人の役をやらせていただきます藤井隆です。意気込みですが、出演者にわりと大人が多くて(笑)、本当に穏やかに進みまして、早くもう本番にならないかな、なんて声もちらほらしております。一生懸命頑張りますので、是非お越しいただけたらと思います。よろしくお願い致します。

島田 ナラという前科のある女の役をやらせていただきます、島田歌穂です。今回は前科のある女ということで、どんな前科だったのか、台本の中では具体的に書かれていなかったので、本当に謎ばかりの役どころです(笑)。本当に藤井さんを中心に穏やかに、本当に素敵なカンパニーの皆さんの中にいながらも、一人ずっと悩み続けて本日に至ってしまった感じです(笑)。でもこの作品を信じて、カンパニーの皆さんとスタッフの皆さんを信じて、しっかり頑張っていきます。 

 大人というか、平均年齢をあげている…

藤井 そんなことないです(笑)。

 囚人がやってくる島の町長のネグロという役をやらせていただいておりますが、島の人たちには色が付いているという作品で、その中でも最も濃いであろう黒の5番という役をさせていただきます。この、色が濃いということが特権として政治家というか、力のあるところなのですが、それが色々な事によって崩壊していく様が、とても面白く不思議に描かれていると思います。それを皆で作り上げてピークへ持って行こうと思っています。

 

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ーー藤井さん、島田さん、剣さんは初共演だと思いますが、お互いの印象は?

 

藤井 剣さんは本当にコントロールが素晴らしく、なんて僕が言うのも失礼なんですけれども、普段はすごくご陽気だったりとか…。

 ご陽気!?(笑)

藤井 普段はデニムを履かれて稽古場に来られたりとか、そういうところから始めて。

 すいません(笑)。

藤井 いや、やっぱり勝手なイメージがあったので、本当にフランクに話してくださったりとか、ポテトチップスが好きだったりとかね…「え!?召し上がるんですか?」なんてお話しをしたりとかしましたね。ちょっと、どうするか迷っていたらヒントを下さったりして、台本では分からなかったことがすごくクリアになりますね。やっぱり台本の読み方から違うのかなあと思ったりして、すごく尊敬しました。そして歌穂さんは、もう本当に華やかなキャリアをお持ちなのに、先ほどご自身で迷っていらっしゃるとおっしゃっていたのですが、迷うというかセリフの一行一行と向き合って掘り下げるというか、詰めていく作業をされていましたね。稽古場で、横の席にいる僕なんかはテーブルの下に雑誌があったり、甘納豆があったりとかして(笑)。そういうことが申し訳ないくらい真摯に向き合っていらして、反省しました。今回はお菓子を食べながらだったりして活かせなかったのですが、もしまたある時にはその歌穂スタイルを見習って(笑)。

島田 私も甘納豆いただきましたよ(笑)。

藤井 (笑)優しい方ですよね、そういうのも受け取って下さって。出演者の方々と一緒にご飯を食べに行かせていただいた時には、ご自身の心情を吐露されながらロックでどんどん飲まれていく姿が…。
島田 あははは(笑)。飲みすぎました…。 

藤井 いえいえ、とんでもないです! 体調管理とかも含めてすごくこう、ピュアなのかなと思ったら意外とロックが進んでいらっしゃったので、もう本当にプロフェッショナルな方で、次の日なんて稽古は休みでしたけど、また合流した時には全くそんなことも見せずに、クリアにされるので頭が下がる思いでした。 

島田 次の日は本当に反省して(笑)。

藤井 とにかく、出演者の皆さん大先輩ばかりでそれぞれのやり方があって、普段知ることの出来ないことなので本当に良い経験をさせていただきました。


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ーーちなみになんのロックだったんですか?

 

藤井 言っていいですか? 焼酎でした(笑)。

島田 芋の…(笑)。 

藤井 5、6人で飲んでいて一本空いちゃって。

島田 皆さんで飲んだんですからね。もうこの話はいいから(笑)。

 もちろん藤井さんはテレビでは拝見していて、昔からすごく好きでした。この作品の中で一番大変な囚人さんで、他の役それぞれに対応して心を解いていくという様がとても自然なのと、藤井さんの中に引き出しが一杯あるから、あの小さな檻の中だけで、ものすごく表現していらっしゃるので、すごいなあと思います。やはり、生の現場でやっていらっしゃる方の感性というか、持っているもので、全部藤井さんがこの芝居を引っ張っていっていると思います。私たちの役は囚人に会いに行って、解きほぐされて自分たちが変わって行くので、藤井さんが発信する側なんです。とても見事に演じられていて、皆さんにもお気遣いいただいて、私がポテトチップスが好きだと言ったら3袋も買ってきてくれました(笑)。そういう配慮とかも心得ていらして、本当にすごいなと思っています。

島田 もう剣さんが全ておっしゃって下さいましたので(笑)。あ、こういう方にはお会いしたことないなっていうくらい、本当に素敵な方です。とても謙虚で、心配りもされるんですけど、時々お稽古の合間に気づくと踊っていらっしゃったりするんですよね(軽く踊る)。何かの練習なのかと思ったら趣味で「少女時代」の振りを踊っていらっしゃったんです(笑)。大変な役でいらっしゃるのに、持ち前の感性で力を抜いて演じられていましたね。最初から藤井さんの世界が見えていました。藤井隆、ここにありというかんじです。
 

ーー今回はスクリーンに色が映し出されますが、演じられる上での苦労は?


 色に関してはスタッフの方がやってくれるので特に苦労はしないですね。

藤井 言う言葉のボリュームや感情が、映し出される色のサイズなどにも反映されるし、一度も同じものではないので、観ていて面白いんじゃないかと思います。またその色が邪魔になったり、楽しくなったりもするのですごく不思議な舞台だなと思います。家では子供がいたりしてなかなか台本を覚えられないんですけど、演出の先生にそろそろ覚えましょうかって言われて(笑)読んでましたけど、妻が驚いてましたね。

  

ーー最後に意気込みを

  

藤井 怪我の無いように、千秋楽まで頑張りたいと思います。アクセスもいいので、観劇後もご飯が食べられますし、来る前も来た後も楽しめる新国立劇場の『イロアセル』に是非いらして下さい! よろしくお願いします。 


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『イロアセル』
●10/18〜11/5◎新国立劇場 小劇場
作◇倉持裕 
演出◇鵜山仁
出演◇藤井隆、小嶋尚樹、島田歌穂、剣幸、木下浩之、ベンガル ほか
〈料金〉A席5250円/B席3150円/Z席1500円
〈問合せ〉
ボックスオフィス 03-5352-9999
http://www.nntt.jac.go.jp/play/


【インタビュー取材・撮影/冨田実布  レビュー/榊原和子】

宮藤官九郎スペシャルインタビュー

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今冬、岩松了の書き下ろし最新作『アイドル、かくの如し』に出演する宮藤官九郎。ウーマンリブ『サッドソング・フォー・アグリードーター』での共演に続き、本年2作目のコラボにあたる。
「演劇ぶっく」154号(11月9日発売)の記事に先がけて宮藤官九郎が語る「岩松了とのエピソード」とは−−。

岩松了の「意外な発見」

ーー『サッドソング・フォー・アグリードーター』に関して、岩松さんとの思い出をお聞かせ下さい。
 (宮崎)あおいちゃんと恋人同士ということをすごく気にしていて、「普段からそういう風に振る舞ったほうがいいんじゃないか」って、稽古場によくお菓子を買ってくるんですよ。で、実際隣同士に座ってもらったんですけど、あおいちゃんもお菓子を買ってきていて、「これ美味しいね」とか言いながら2人で食べる。それをちょっと離れた所から松尾(スズキ)さんが冷ややかな目で見ているという(笑)。すごく不思議な空気でしたし、そういう意味ではほんと打ち解けていましたね。岩松さんを演出するのは久し振りだったんですけど、リラックスしてやれました。楽屋でもずっと一緒でしたし、本番中に飲みに行く時も、だいたい岩松さんと荒川(良々)君と少路(勇介)と俺で飲んで、たまに松尾さんが来たり。

ーー宮藤さんと岩松さんは、そういう席でどんなお話を?
 普通の話ですよ。あの映画が面白かったとか、昔話とか。どうしても松尾さんとの比較になっちゃうんですけど、岩松さんと松尾さんは一回り世代が違って、更に僕もその一回り下なんです。世代が違うのもあるんですけど、岩松さんって意外と体育会系なんですよね。この2人の違いはそこだなって。タフなんですよねぇ岩松さん。体育会系って言うと語弊があるかな? 「労働者っぽい」とか?(笑)。労働が似合うというか「飯いっぱい食って今日も働くぞ!」みたいな感じがあって。あんな繊細なお芝居を作っているのに、そうなんだ〜っていうのが、意外な発見でした。

岩松演出、稽古の思い出

ーー岩松了演出作品に出演するのは『続ジョン・シルバー』(95年)以来でしょうか?
 そうですね。その時は唐(十郎)さんの本だったし、しかもその時ですら20年くらい前の芝居だったので、「アングラ芝居を、いま敢えて上演する」みたいな公演でした。それで、松尾さんの役が決まっていたから、うち(大人計画)の役者もオーディションを受けて、何人か出ることになったんですけど、その時は、とにかく出だしのシーンばっかり稽古するんですよ。毎日最初のシーンを稽古しては「はい、もう1回」って、ずーっと。僕ノドが弱いんで、気が付いたら完全に声が出なくなって。その時に、「宮藤君どうしたの? 今日声出てないね?」「すみません、枯れちゃって」「はい、もう1回」って(笑)。その印象が強くて、とにかく今一番気になっているのは、オープニングに俺が出るか出ないか(笑)。オープニングに俺がいたら大変なことだなぁ。出来れば途中から出ていきたい……って、それは言えなかったですけど。

ーーそれは「労働者っぽさ」という話題に繋がるような気が。
 うん、そんな感じがあるんですよ。考えなくていいから、やっているうちに違うものになっていく……みたいな稽古をされていて、そこはやっぱり凄いなぁと思いました。僕は考えちゃうんですよ。考えるというか、理屈に頼っちゃうというか。岩松さんの芝居を観に行って感じることなんですけど、やっぱ何か超えてるんですよね。「これをやったらお客さんは笑うだろう」とかいう部分を完全に超越しているなぁと常々思っていて。

汗をかいているか、あるいは……

ーー今回、宮藤さんと夏川(結衣)さんが演じる「古賀夫妻」が物語の中心になるそうですが、こういう場合、宮藤さんはリーダーシップを取ったりします?
 いや、全然とらないです(笑)。だから今回、ムードメーカーがいないんですよ。……いや、どうなんだろう? いるのかなぁ? 伊勢(志摩)さん以外は初めてご一緒する人ばっかりですし。逆に伊勢さんいるのが気まずい(笑)。

ーー稽古場での宮藤さん、どんな様子だと想像されますか?
 やっぱ、最初の5分に出るか出ないかによると思います(笑)。ものすごく汗をかいているか、ものすごく見ているか。でも、この間の『サッドソング〜』の時もそうでしたけど、みんな個人個人で楽しむ人達だったんで、率先して束ねてくれる人がいなかったんですよ。僕はそういう空気がとても好きなので、今回もそうなるといいなぁと思っていて。そういう意味では、岩松さんは大変かもしれませんけど、僕は気楽です(笑)。

ずっと観続けてきた岩松作品

ーー以前、演劇ぶっくのインタビューで「岩松さんと松尾さんの背中を見てきた」と仰っていたのが、とても印象的でした。
 松尾さんと岩松さんに関しては、自分でもどういう影響を受けたのかはっきり説明できないくらい……、細かく刻みすぎて元がピーマンだか何だか分からなくなるくらいの。いや、ぜんぜん良い喩えじゃないですけど。

ーーそれほど強い影響を受けている?
 はい。そこはもう完全にお客さんですからね。松尾さんの芝居は、実は最近やっと観る機会が増えたんです。自分が出ていることが多かったから観たことなくて。「面白かったよ」って言われて、「あ、面白いんだ」と実感したり。逆に岩松さんの芝居は、ずっと客として観てきた。だから、やっぱ違うんですよね。

ーー『アイドル、かくの如し』に出演することで、新しい何かを感じられるかもしれませんね。
 そうですね。岩松さんと会話をしていて、たまに置いてかれることがあるんですよ。「なに言ってるか分かんないなー」って(笑)。だから多分、俺とは全然違う感覚を持っている方だと思っています。


宮藤官九郎プロフィール

くどうかんくろう○70年生まれ、宮城県出身。脚本家、監督、俳優、ミュージシャン、etc。91年より大人計画へ参加。96年にはウーマンリブを立ちあげ、以降全作品で作・演出を担う。現在、テレビ朝日系金曜ナイトドラマ『11人もいる!』にて脚本を担当している。

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公演情報
M&O playsプロデュース
『アイドル、かくの如し』
12/8〜29◎本多劇場、2012/1/8◎梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ、1/11◎キャナルシティ劇場、1/14◎名鉄ホール
作・演出・出演◇岩松了
出演◇宮藤官九郎 夏川結衣 津田寛治 伊勢志摩 上間美緒 足立理 金子岳憲 宮下今日子 橋本一郎

M&O plays 公式サイト
http://www.morisk.com/

【取材・文/園田喬】


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