稽古場見学、記者発表、インタビューなどから、近々公開される作品のおもしろさを探ります。

浪漫活劇譚『艶漢』第二夜

河鹹照の初演出で名作オペラ『トスカ』を上演!稽古場レポート&囲みインタビュー

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新潟、東京、金沢、魚津、沖縄5都市による全国共同制作プロジェクトとして、10月15日のりゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館を皮切りに、12月7日の沖縄コンベンションセンターまで、プッチーニの歌劇『トスカ』が、映画監督・河鹹照の演出による《新演出》作品として上演される。

全国共同制作プロジェクトとは、日本のオペラの振興を目的とした平成21年度から開始されたプロジェクト。近年では野田秀樹演出でモーツァルト『フィガロの結婚』(平成27年度/全国10都市 計13公演)、笈田ヨシ演出でプッチーニ『蝶々夫人』(平成28年度/全国4都市 計5公演)等を開催し、好評を博している。
 
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今回の大きな話題は、映画監督の河鹹照が演出を手がけることで、カンヌ国際映画祭グランプリを受賞し、最新作『光』も、第70回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品されるなど、その才能を高く評価される河鶸篤弔、初めてオペラと取り組み、どのような『トスカ』を作り上げるのか、大きな期待が寄せられている。
さらに注目は、映像と舞台美術の融合で、河鵑龍い希望で舞台美術をデザインするのは、ニューヨーク在住の気鋭の建築家・重松象平。河麥┐い訐こ最高峰の映像スタッフと、世界をまたにかけて活躍する建築家とのコラボは、この作品に新たな息吹を吹き込むことだろう。

また歌手陣は、ヨーロッパ最高峰の歌劇場で活躍する名歌手、ルイザ・アルブレヒトヴァ(ソプラノ)とアレクサンドル・バディア(テノール)を招聘するとともに、三戸大久(バリトン)や森雅史(バス)三浦克次(バス・バリトン)など世界水準の歌手陣が競演する。
指揮は、新潟・魚津・沖縄を大勝秀也、東京・金沢は広上淳一がつとめる。

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原作の舞台は、ナポレオン時代(1800年代)のローマ。恋人同士の画家カヴァラドッシと歌姫トスカ。そこへ警視総監のスカルピアに追われた友人アンジェロッティが逃げ込み、彼をかばったことによりカヴァラドッシは処刑され、最後にはトスカも身を投げてしまう。
河鹹照による新演出『トスカ』の舞台は、古代日本の雰囲気が漂う「牢魔」という名のとある集落。そこで起きるスリルに満ちた陰謀、壮絶な愛と死を、「祝祭の1日に起きた悲劇」として描き出し、その悲劇性の中から一筋の光を見出し、死と生をテーマに未来へ向けた希望を描き出す。
役名もトス香〈トスカ〉、須賀ルピオ〈スカルピア〉、カバラ導師・万里生〈マリオ・カヴァラドッシ〉、アンジェロッ太〈アンジェロッティ〉、堂森〈堂守〉、スポレッ太〈スポレッタ〉というかたちで日本名に変えて、まったく新しい『トスカ』像を作り出す公演となる。その開幕を間近に控えた稽古場で、場面の一部をプレス用に公開、また囲み取材が行われた。

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【稽古場レポート】
どこかリラックスした趣の稽古場で、トス香〈トスカ〉のルイザ・アルブレヒトヴァと須賀ルピオ〈スカルピア〉の三戸大久に、河鹹照が丁寧に演出をつけている。時折り凛とした表情も見せる河鵑らは、今作にかける並々ならぬ決意が読み取れる。演出プランはすでに整っているようだ。
場面は食卓を囲んでいるシーン。三戸が演じる須賀ルピオが、トス香をどのように誘惑していくかについて河鵑汎念に話している。河鵑六宛佑留薺擦鮓ながら、トス香にどのように接していくのが良いのか詳細にアドバイスする。

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トス香役のルイザ・アルブレヒトヴァも、通訳を通しながらも真剣に聞いている。彼ら3人のやり取りから新しい『トスカ』を作り出すための情熱がうかがわれる。新しいものを貪欲に吸収しようとする三戸の真摯な表情と、それを受け止め、トス香の演技を膨らませようとする熱心なルイザ。オペラ通ならずともその名を知っている名作オペラ『トスカ』に、どのような新しい光を差し込ませるか、河鵑稜い想いや、燃え盛る情熱が胸に刺さってくるような稽古風景だ。

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いよいよその場面が始まる。トス香の運命を握っている須賀ルピオの三戸の迫力あるバリトンの歌声は圧倒的で、聴く者を引き込んでいく。
ルイザもそこでトス香の有名なアリアを披露するのだが、その深い悲劇性に満ちたソプラノは絶望を感じさせ、涙を誘う。

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最後に倒れた須賀ルピオに燭台を置き、彼の体の上に赤い羽をゆっくりと置くトス香。愛のために生きようとするトス香の激しくも美しい生き方が、河瀬監督の美意識あふれる演出によって、より鮮明に伝わってくる。

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この日は1場面だけだったが、作品の全体像が観られる開幕への期待がさらに高まる稽古風景だった。

【囲みインタビュー】
 
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プッチーニの歌劇『トスカ』の稽古場見学の後に、囲み取材が行われ、河鹹照、広上淳一、大勝秀也、ルイザ・アルブレヒトヴァ、アレクサンドル・バディア、三戸大久、森雅史、三浦克次、与儀巧らが登壇した。
 
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河鹹照(演出)
オペラは、すでに脚本があり、セリフも変えることができず、音楽も劇伴のように後からつけるわけではないので、映画とはまったく違います。そこから、どれほどオリジナリティを出せるのか考えています。『トスカ』というと誰しも知っているストーリーですし、結末もみなさんわかっているのですが、お客様に新しい風を吹き込むことができたらと思っています。『トスカ』を読んで、カヴァラドッシは女たらしだと思っていましたが、演じるアレクサンドルさんも女たらし度が高いんです(笑)。ルイザのトス香は敬虔なクリスチャンというピュアな役で、2人の絡み合う関係性が全面に浮き出たらいいですね。私が先ほどまで稽古場で演出をつけていた須賀ルピオの三戸大久さんは、とても優しい人なのに怖い人を演じなくてはいけない。そのバランスをどう作っていくか考えています。というのも、私は、原作のスカルピアをかっこいいじゃないかと思ってしまったんです。これは『トスカ』を知っている人にはびっくりする感覚かもしれないですね。スカルピアの愛情や独裁的な色彩がつよい性格は、男性の本質的なものじゃないですか。そういったことを色々考えながらとても楽しく稽古をしています。

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広上淳一(指揮/東京・金沢)
一番嬉しいことは、畑の違う監督が新鮮な感覚で僕らにいろんなアイデアを提供してくれることです。それはみなさんの想像したことのないような形になって進行しています。大勝先生とは、34年ぶりに再会し、一年先輩だったので威張っていたんです。ですが、34年間に各国のシアターで国際的なオペラの修行を積んできた成果が現れて、僕は先輩として頭が上がらなくなってきました(笑)。英語やドイツ語やイタリア語も自由自在に操りながら稽古場を勇敢に大胆に仕切っている姿は、全く別人ですね。彼がタクトを振るう新潟と魚津と沖縄もぜひ来て下さい。東京だけでは、河鵑気鵑療舛┐燭い海箸、100%伝わらないかもしれませんよ。ゲストのルイザさんとアレクサンドルさんは素晴らしい歌手ですが、性格も素敵な方達なので現場で助かっています。僕たちの意図を上手に理解されて、歌の実力もさることながら、我々の現場の中に偏見もなく溶け込んでいただけています。三戸大久さんをはじめ、ここにいらっしゃる歌手たちは、これから10年後の日本のオペラ界を背負って立つ人たちです。全力で舞台に取り組んでいるので、その姿もぜひ楽しみにしていただきたいと思います。明るい稽古場なので成功すること間違いなしですね。

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大勝秀也(指揮/新潟・魚津・沖縄)
今回のプロダクションに関していえば、河鵑気鵑涼經稘世録形です。僕たちは楽譜を読んで、歌い手と一緒に作り上げていくのですが、河鵑気鵑魯疋薀泙卜れる音楽から裏側に隠された真実を見ようとされる。僕らは30年以上やっていると『トスカ』に対する先入観があって、ルーティーンになっていた部分もありました。そこに新しい風が吹いているのを全員が感じています。奇をてらっているというわけではなく、テキストから誰もが持っているエゴや欲望を本当によく表現されていて、今の世の中だったら、こんなことあるよねと納得してくださると思います。オペラは普遍性を感じさせる芸術ですし、それを捉えて離さず再現することが河鵑気鵑療刑妖なところですね。僕たちマエストロは、歌手たちとプッチーニとをつなげる役割をしながら、舞台からお客さんへの橋渡しが仕事ですからそこに集中できますね。ゲストは、こんなにいい人はいない、こんなにいい声の人はいない人たちです。若い歌手たちも勉強になっていますが、演技もとてもナチュラルです。歌も演技も日本にはないパッションが出ているんですね。若い人たちも刺激になっているだろうと思いますし、その影響を受けて音楽もパッショナリズムになってケミストリーが生まれている現場だと思います。

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ルイザ・アルブレヒトヴァ(トス香)
私にとって大切なのは、一面的ではない何層にも積み重なったような役を、いかに、希望や絶望、嫉妬や笑いで、みなさんを納得させる説得力の持てる演技と歌にするかです。できれば、最後に涙を誘うことができれば嬉しいですね。例えば、この作品は、殺人や自殺と行ったネガティブなことがクローズアップされますが、それだけではなく、人々の人生は常に続くんだという生きることの喜びに誘っていけるように、太陽が毎日登るように希望を感じてもらえたら。そのために私は演じるのではなく、歌うのではなく、役そのものを生きたいと思っています。

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アレクサンドル・バディア(カバラ導師・万里生)
日本に来ることが決まった時に、仕事仲間や友人に、日本に来て仕事をすることはセラピーを受ける感じだよねと話しました。とてもリラックスしています。英語があまり得意ではないので、オペラについて書かれた素敵な文章を少し読みます。これは愛、名誉、そして殺人の物語。そして悲しいけれど感動せずにはいられない恋愛の物語、それも、トスカとカヴァラドッシの恋の物語。同時に、アンジェロッティとの友情の物語でもある。それがスカルピアによって犠牲になってしまう。そして美しきトスカが悪魔の生まれ変わりを殺すわけです。『トスカ』の初演で歌ったのがハリクレア・ダルクレーですが、彼女は当代を代表するソプラノ歌手でした。彼女の出身地は私と同じルーマニアです。そして生まれた場所はブレイラ、つまりの私の妻が生まれた所でもあります。今回のお仕事で、素敵な方達とご一緒させていただけることを心から嬉しく感謝しております。忘れてはならないは河鵑気鵑如∋笋燭舛録靴靴だこΔ鮓せていただいています。これは一つのチャレンジですね。彼女の見せてくれる美的世界の地平線の向こうに見える新たな世界を楽しんでいただきたいと思います。

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三戸大久(須賀ルピオ)
スカルピアは初役ですが、バリトンの人は絶対やりたいという役を41歳にしてやらせていただき幸せです。僕らがいつも考えているスカルピア像を最初の立ち稽古で河鵑気鵑呂屬漸したんですね。僕らがステレオタイプに思っていたスカルピアを全く違うところからアプローチしていただいて、戸惑いながらも全力で演じ切りたいです。歌は、大勝先生、広上先生の音楽に助けていただいて切磋琢磨して歌わせていただいています。ゲストもお世辞抜きでいいやつなので現場も楽しいですね。同じ世代の森くんと話し合ったり、先輩の三浦さんからご指導いただいているのもいい経験です。ひとすじの希望の光をどのように見せられるか、探っていきたいと思います。ぜひいらしていただければと思います。

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森雅史(アンジェロッ太)
オペラの幕開きに最初にお話しをさせていただく役ですが、一幕でいなくなってしまう。けれど、河鵑気鵑蓮∪犬房甲紊靴織▲鵐献Д蹈誕世鮑遒辰討い蕕辰靴磴辰拭深い人間味を出せるのか、三浦さんやアレクサンドルにアドバイスをもらいながら演じていきたいです。とても刺激的で観たことのない『トスカ』になると思います。故郷の富山でも歌わせていただくので、『トスカ』の導入はもちろんですが、オペラという芸術でみなさんを感動させられるような公演に携われて幸せです。

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三浦克次(堂森)
スカルピアとアンジェロッティは演じたことがあるのですが、堂守の役は初めてです。大変な役所で、この役をやることになって音楽的にも演劇的にもとても苦労しています(笑)。みんな死んでしまう悲劇的なオペラの中で、一筋の光のように、少しホッとできる役ですから。スカルピアはスカルピアで、その時に一番いいと思ったことをやった結果が悲劇につながって、いい人、悪い人、面白い人、面白くない人の区別はないとお客様がトータルで感じていただければと稽古に励んでいます。『トスカ』を含め、オペラは30年以上も演じていますが、先入観で頭が固くなっているところを、毎日の稽古で河鵑気鵑縫汽献Д好船腑鵑鬚い燭世と、『トスカ』に対する固定観念が壊れていくんです。こんな稽古場は初めてです。そして、河鵑気鵑留撚茲離侫.鵑諒がオペラをご覧になられる。オペラのファンの方が河鵑気鵑留撚茲鬚翰になられる。そんな相乗効果が2倍だけではなくて4倍になってくれたら嬉しいですね。さらには、オペラと映画、クロスオーヴァーしてお客様が加わっていただき、どちらの業界の垣根がなくなるきっかけになればいいと思います。

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与儀巧(スポレッ太)
1つのプロダクションに2人の指揮者がいるということにまず驚きました。主役はスーパースターで、世界で活躍されているお2人。本当に勉強できるなと思っています。個人的にはアレクサンドルさんとは2回目で、彼の仕草を盗みたいと思っています。僕の演じる役は、ほとんど触れられることのない小さな役なんです。ですが、河鵑気鵑、一言一言、鋭い質問を投げかけてくるんです。ですので、こんなに重要な役なんだ、こんなに重要な言葉を発しているんだというのを再認識しています。彼のテクニックを盗む前に自分の演技に飲み込まれているぐらいです。早く河鵑気鵑貿柴世靴討い燭世韻覬薺擦鬚靴董彼のテクニックを盗もうと思っています。僕の出身は沖縄なので、沖縄代表として言わせていただくと、北から南まで、風土も気候も違います。マエストロも変わりますし、オーケストラも変わります。それぞれの劇場、それぞれの地域で、まったく違った素晴らしい演奏が見られると思いますので、全国の皆さん、メンソーレ・ウチナーンチュ。

【質疑応答】
──日本のどこかの集落と思われる舞台ですが、その意図はどこにありますでしょうか。また、ほとんどの登場人物が死んでしまう絶望のドラマですが、そこからどのような希望を紡ごうとしますか。
 とある日本の集落ですが、いつの時代かはっきり明記しておらず、いつかのどこかの集落、という設定にしています。そうした方が人間の普遍的な感情を感じてもらえると思ったからです。例えば、日本で、ローマの教会を出せば異国の物語を見ているような感覚になってしまうんですが、少し時代と場所をアバウトにすることで、人間そのものが際立って見えてくるかなというのが最初のアイデアでした。ですから、小道具さんが悩んでいて、これは何時代の何ですかと問われることもあります。私の映画も初期の若い時は、美術部さんに「あの屋根の色は何色にすればいいんですか」と言われて、「私が撮影している場所の半径何キロぐらいのところを見てきてください。その中でよかった色に塗ってください」と言うと、この監督は思想がないと思われたこともありました(笑)。美術や道具にだけリアリティーを持たせるのではなくて、むしろ人間の内面や人間そのものの普遍性を持たせるところから始めようと考えています。このお仕事をいただいたときに、どうして私ですかと聴いた時に、河鵑気鵑覆蕁∪篷召寮茲砲すかに希望を見いだせると感じたので依頼されたそうです。確かに、人間は悪いやつだし、世界もそんなに良くないと思っているので、だからこそ、どの時代も宗教やルールの中で人間は人間を殺しちゃいけない、悪いことしちゃいけないと学んでいくと思うんです。それでも、動物ですから、そこに刃を向けるのは本質で、そこに過剰に反応していくと国家や民族間で争いになっていく。世界の戦争からなくなったことがないとはいえ、芸術で一筋の光を見出すことが、戦争がなくなるきっかけになるのではないかと信じています。今回の『トスカ』でも、須賀ルピオが悪いのではなくて、その時代のその瞬間の人間関係がこの悲劇を産んだと描きたいです。

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──チラシやポスターの『トスカ』の題字を担当されていますね。
 私は自分の作品のタイトルはすべて自分で書いているんです。『トスカ』も新潟の方がデザインをされるということで、私の奈良の事務所に来ていただいて、たくさんのみなさんに囲まれ、打ち合わせをしているところに、題字も書いていただけたらということで、筆ペンを持って書きました。トス香は鷹みたいな女性だと思っていて、激しさの中の情熱を表現しました。
――ご自身で製作された映像はどの程度の比重があるのですか。
 オペラは音楽と歌とそこで体現している役者たちが前に立っていないとダメだと思っています。それを邪魔しないように映画監督として作る映像を取り入れて、舞台をうまく作用させられたらと思っています。ですので、決して映像が前に出ることはないと思います。スクリーンが、出入り口にもなる舞台を作っているので、そこから役者が出たり入ったりします。今はどんな映像になるのかわかってなくて、自分だけがイメージできている状態で、言葉で説明しながら稽古をしています。実際に映像ができて、みなさんが立って動いてやっと初めて新しい何かが生まれてくると思います。
──トスカは、40代をすぎて声が成熟して歌えるという意見もあると思いますが、ルイザさんは、トスカは初役でしょうか。
ルイザ 今回で3回目です。確かに、女性・男性関わらず、レパートリーは幾つになったら歌うのがふさわしいということは昔から言われてきました。歌劇場に属し、じっくりと小さい役から始め、指揮者の方や、ソプラノの方から役をいただいて階段を登っていくのですが、目まぐるしく変わる現代の歌劇場ではステージディレクターからこの役を歌ってくれないかと申し出を受けます。ですから、どんな役もいただけるのであれば嬉しいですね。それから、ソプラノ歌手の過去の偉大な方を見ていると25歳ぐらいで大きな役を歌っているので違和感はありません。そういったチャンスに巡り会えたということを嬉しいと思うとともに、このまま続けていけたら素敵だなと心に秘めながら歌わせていただいています。
 
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──河鵑気鵑音楽にもたらしてくれる新しい視点はありますでしょうか。
大勝 公演をご覧になっていただければわかりますよ(笑)。私たちはプッチーニのスコアはしっかりと再現しているんです。その上で、演出家は演出をどのようにやるのか指揮者は見るのですが、空間の間ということに関しては、音楽をやっている人ではない感性とインスピレーションを感じます。目をつぶって耳をそばだてれば、プッチーニの『トスカ』ですが、河鵑気鵑留藹个靴振間を目の当たりにするとまったく新しい『トスカ』になっている。プッチーニのスコアをリスペクトしてくれていますので、今まで味わったことない音楽になっていますね。
広上 僕らが抱くのとは違う視点を持っていらっしゃいます。気がつかなかったことを発見させてくれる嬉しさがありますね。例えば、スポレッタはあまり台本に書かれていない、ただ動作しか書かれていないのに、河鵑気鵑論┐泙犬だ弧燭鮨瓩込むことがお上手です。さらに、音楽を尊重してくれ、それぞれの歌手の良さを引き出しながら、最終的には、何を伝えたいのだろうというコンセプトや理想があるので、それがお客様に伝わるようにすることが我々の使命ですね。大先輩の武満徹先生は、映画館が唯一の癒しの場だったそうです。1000曲以上の映画音楽を書いていらっしゃいます。若い頃の彼の出す作品は、日本の批評家に叩かれて、泣く場所は夜中の深夜の映画館だったそうです。そして新しい曲を書いて、世界で認められるようになって、感謝の気持ちを込めて映画の曲を書いたという逸話があります。まさに視点の違う才能を受け入れて舞台を作る喜びに僕らは浸っているところなんです。
 
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〈公演情報〉
logo_red_題字:河瀬直美

全国共同制作プロジェクト
プッチーニ 歌劇『トスカ 』《新演出》 
全3幕・イタリア語上演 日本語字幕付
演出◇河鹹照
指揮◇大勝秀也 広上淳一
出演◇トス香〈トスカ〉:ルイザ・アルブレヒトヴァ(ソプラノ)
カバラ導師・万里生〈マリオ・カヴァラドッシ〉:アレクサンドル・バディア(テノール)
須賀ルピオ〈スカルピア〉:三戸大久(バリトン)
アンジェロッ太〈アンジェロッティ〉:森雅史(バス)
堂森〈堂守〉:三浦克次(バス・バリトン)
スポレッ太〈スポレッタ〉:与儀巧(テノール)
シャル郎〈シャルローネ〉:高橋洋介(バリトン)
看守:原田勇雅(バリトン)
ほか
●10/15 14:00◎りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館(新潟県新潟市)
●10/27 18:30◎東京芸術劇場 コンサートホール(東京都豊島区)
●10/29 14:00◎東京芸術劇場 コンサートホール(東京都豊島区)
●11/8  19:00◎金沢歌劇座(石川県金沢市)
●11/12  14:00◎新川文化ホール 大ホール(富山県魚津市)
●12/7   19:00◎沖縄コンベンションセンター(沖縄県宜野湾市)
 

【取材・文・撮影/竹下力】


ふくふくや『くるんのぱー』
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パーヴォ・ヤルヴィ指揮で若手実力派メンバーによる演奏会形式『ウエスト・サイド・ストーリー』来年3月に上演!

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来年はレナード・バーンスタイン生誕100周年。株式会社東急文化村は、それを記念し、バーンスタイン作曲『ウエスト・サイド・ストーリー』を〈演奏会形式〉にて2018年3月4日・6日に上演する。
指揮はパーヴォ・ヤルヴィ(NHK交響楽団首席指揮者)、演奏はNHK交響楽団という最高の組み合わせでおくるこの公演のメイン・キャストが決定。ミュージカル界、オペラ界からいま注目のアーティストを中心に、これ以上ないキャストが集結する。
 
悲劇の物語の中心となる主役は、ジュリア・ブロック(マリア役)、シャイアン・ジャクソン(トニー役)という実力派が決定。さらに、ニューヨーク・タイムズが「魅力的な声」と称賛したアマンダ・ボトムス(アニタ役)、ミュージカル出演のみならずオーケストラとの共演も数多いケヴィン・ヴォートマン(リフ役)、オペラ、コンサートで活躍するケリー・マークグラフ(ベルナルド役)が、それぞれの魅力的な人物像を浮き上がらせてくれる。
 
シャイアン・ジャクソン、ケヴィン・ヴォートマン、ケリー・マークグラフの男性陣3名は、マイケル・ティルソン・トーマス指揮/サンフランシスコ交響楽団演奏によるコンプリート・ブロードウェイ・スコア版の、世界初録音として話題を呼んだライブ録音公演にも、同じ役で出演している。そのCDにはジュリア・ブロックも、劇中で非常に重要な「SOMEWHERE」を歌うAガールとして参加していたが、今回、マリア役に抜擢され、全編を通してその美声を聴かせる。 
今回の公演は、極めて高い評価を受けたそのCDのメンバーが再度集結し、東京で彼らの歌声を聴くことができるという大変貴重な機会でもある。
 
若手実力派歌手陣と、日本最高峰のオーケストラが、バーンスタインに薫陶を受けたパーヴォ・ヤルヴィの指揮で奏でる名曲の数々を堪能したい。

〈公演情報〉
レナード・バーンスタイン生誕100周年記念
パーヴォ・ヤルヴィ&N響『ウエスト・サイド・ストーリー』〈演奏会形式〉
〜コンプリート・ブロードウェイ・スコア版(原語上演・字幕付き)〜
●2018/3/4、6◎Bunkamura オーチャードホール 
指揮◇パーヴォ・ヤルヴィ(N響首席指揮者)
管弦楽◇NHK交響楽団
出演◇ジュリア・ブロック、シャイアン・ジャクソン、アマンダ・ボトムス、ケヴィン・ヴォートマン、ケリー・マークグラフ 他
〈料金〉SS席18,000円 S席15,000円 A席12,000円 B席9,000円 C席5,000円(全席指定・税込) 
〈前売開始〉 2017年11月5日(日)10:00〜
〈お問い合わせ〉Bunkamura 03-3477-3244 (10:00〜19:00)
   http://www.bunkamura.co.jp



ふくふくや『くるんのぱー』
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成河・ミムラ・加藤諒らが笑いと恐怖を巻き起こし続ける舞台『人間風車』レビュー&囲み取材

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後藤ひろひとの傑作『人間風車』が、東京芸術劇場プレイハウスにて9月28日より上演中だ(10月9日まで。その後、仙台公演の11月2日まで続く)。

舞台『人間風車』は、1997年に後藤ひろひとが劇団「遊気舎」に書き下し上演された。2000年には、パルコ劇場にてG2演出のもと、生瀬勝久、斉藤由貴、阿部サダヲ、八嶋智人、大倉孝二など錚々たるキャストが集結し再演。おかしな爆笑童話の世界から、一転して展開される恐怖のストーリーと凄まじいエンディングの衝撃度で演劇界の伝説となっている。さらに2003年には永作博美、入江雅人、河原雅彦らにより再演。
それから14年を経た今回は、03年でサム役を務めた河原雅彦を演出に迎え、キャストを一新、新たな『人間風車』として満を持して上演することになった。

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主演の売れない童話作家の平川役は、高い身体能力と演技力で八面六臂の活躍をする実力派俳優、成河(ソンハ)。ヒロインのアキラ役は存在感と透明感、確かな演技力に定評があるミムラ。そして、物語のキーとなる青年サム役は、バラエティ番組でブレイクを果たし唯一無二の存在感を放つ加藤諒。また、平川に憧れる則明少年には、『男水!』や『東京喰種トーキョーグール』に主演、人気急上昇中の松田凌。平川の友人でテレビ局で働く小杉にストレートプレイからミュージカル『ジャージーボーイズ』まで出演している若手演技派の矢崎広。同じく友人の国尾は、ライブ・スペクタクル『NARUTO-ナルト-』など2.5次元舞台からミュージカルまで幅広く活躍中の良知真次が演じる。さらに、元・キングオブコメディで、テレビや舞台の俳優にも挑戦中の今野浩喜、放送作家で個性派俳優でもある堀部圭亮など、多彩な役者が揃っている。

演出は、2003年版でサムを演じた河原雅彦。エンターテインメント性とカルトな世界観を両立させる独特な美学に定評がある彼が、どのような2017年版『人間風車』を作り上げるか注目を集めている。その作品の通し舞台稽古と囲み取材が初日の前に行われた。
 
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【あらすじ】
童話作家の平川(成河)は、作品のひねくれ度のせいで一冊の本も出版出来ない。それでも、新聞配達をしながら、せっせと童話を書いている。毎週末に怪獣公園と呼ばれる近所の公園で、平川は子供たちに自作のへんてこ童話を語って聞かせるのだった。友人の童話作家・国尾(良知真次)は作品を発表しろと忠告するが、平川はマイペースで、今日も公園で子供たちに話を聞かせている。そんなある日、子供たちと一緒に童話を聞く青年が現れた。彼の名前はおさむ。自らをサムと名乗る彼、サム(加藤諒)は平川の童話を聞くとすぐにその話を覚え、自分で工夫した衣裳を身にまとい童話の登場人物になりきって現れる。見た目は大人だが、まだ幼い少年のような言動の不可思議な青年だった。ある日、どうしてもお金が足りなくなり、大学時代の友人で今はテレビ局のディレクターをしている小杉(矢崎広)にお金を借りようと局を訪れた平川。ひょんなことで、女優でレポーターのアキラ(ミムラ)と知り合い、恋心が芽生える。そして平川はアキラと知り合ってついに傑作童話を書きあげる。しかしそのことが発端となって、平川は親友だと思っていた男に裏切られ、恋人からは誤解され、そして世間から見捨てられてしまう。理不尽な目に会い、転落した平川が取った行動とは…。

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舞台は、4人の幼い子供の母親が童話を朗読している。そして成河が演じる平川が登場し、舞台が明るくなると、平川の書いた童話のお話が劇中劇として始まる。中世の貴族の衣装をまとった貴族同士が、他国の王女を妃に迎えようとして諍いをしているのだが…。友情、信頼、そんな胸の熱くなるお話かと子供たちは期待するが、貴族は最終学歴を問われるなどファンタジー要素のかけらもないオチになり、平川はそれを嬉々として子供達の前で話す。

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売れない作家の平川は、同期の小杉(矢崎広)というテレビディレクターにお金を借りにテレビ局にいく。そこには元・女優でテレビキャスターを務めるアキラ(ミムラ)がいて、ある事件をきっかけに平川は密かに恋心を抱くようになる。そのことで次第に彼の内面に変化が現れ、自由な想像力の羽ばたきではないかと思わせてくれるファンタジーを追い求め始める。そして童話の文学賞へ応募を決心、彼は新しい童話を書くのだが…。   

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現実の世界と童話の世界が風車のようにとめどなく回る舞台なので、ほとんどの俳優が何役もこなす。変わらないのは、成河の平川と加藤諒のサムぐらいで、平川を中心とした世界がくるくる回っていき、誰も止めることのできない人間模様と、それが織りなす台風のような怒濤のストーリー展開が圧巻だ。
 
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成河の平川は童話作家らしい純粋さがあり、人を疑わない純真さもある。だがそんな彼が裏切りにあったことで、その想像力に秘められていたブラックな部分が噴出する。そんな劇的な人間を、成河ならではの豊かな表現力で見せ、観客を牽引していく。
 
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アキラのミムラは、一見、オープンマインドで屈託ない明るい女性なのだが、実は影を持っていて、その屈折感を美しい表情に覗かせる。

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サムの加藤諒は、まさにトリックスター。平川の作る物語のどんな主人公にでもなり切ってしまう青年として、あらゆる表現を駆使して、ストーリーに風を起こし続ける。打算も現実も関係ない、ファンタジーの世界こそが彼の世界なのだという説得力に溢れている。
 
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則明少年の松田凌は、公園に集まる子供たちの親分的な存在。そして平川に絶大な信頼を寄せている。平川の話のリアルなオチが大好きで、そんな少年の内面世界も感じさせ、独自の存在感がある。

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小杉の矢崎広は、テレビ業界アルアルを感じさせる人間で、アキラに密かに恋心を抱いているようだが、だが本気でもなさそうな、かなりチャラい男をフットワークよく演じてみせる。
 
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国尾の良知真次は、平川の良き理解者である一面とともに、相手より売れているという傲慢さを覗かせる。その人間くさくて小物な部分が物語の展開に大きな役割を担うのだが、そんなキャラクターを的確な演技で印象づけ、劇中のミュージカル部分でも大活躍。

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また、童話の王様かと思えば刑事役をこなしたりと、何役も演じ分けて、大活躍するのが、今野浩喜と堀部圭亮。刑事役でのどこか斜に構えた堀部と部下の今野も突っ込みも楽しいし、劇中劇での2人のボケの応酬は笑いをさらう。

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そのほか、則明の友だちの少年少女たち、のん役の菊池明明、かっつん役の山本圭祐などが子供の幼さを全開。小杉の部下、中野役の川村紗也はアキラが心を許せる存在感。小松利昌は童話賞の選考委員として物語の核心を背負うような不気味さがある。近所の親たちのリーダー紺野の佐藤真弓は、平川を毛嫌いしているが子供は言うことを聞かないというジレンマを感じさせる。

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注目すべきは石原敬の美術で、空へ伸びるように積み上げられた、まるでバベルの塔のようなセットは、今にも傾きそうなぐらい儚く、キッチュでポップでカラフルだ。回り舞台なので、童話の世界と現実世界、メリーゴーランドのように様々な仕掛けを見せて表情豊かだ。
 
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演出を手がける河原雅彦は、舞台上での現実と虚構の世界をシームレスに回転させながらスペクタクルを見せてくれる。その中で、次第に加藤諒のサムの存在が収拾がつかなくなるぐらいに早く回転し始める。そして浮かび上がる人間の暗部に吹き荒れる嵐、その猛々しさを感じさせて見事な演出だ。
 
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後藤ひろひとは、この作品で作家の仕事とその影響力というものを、自らにも突きつけながら、さらに普遍的な人間の内部へと洞察を広げていく。自らが求めるものと現実とのギャップにもがく人間たち。その果ての狂気を孕んだ人生をモチーフにした悲劇であるとともに、乗り越えた先には光が見えるような喜劇にも思える。悲劇と喜劇、人間たちは永遠にその風車の中で回り続けるのだ。
 
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矢崎広、良知真次、ミムラ、成河、加藤諒、松田凌
 
初日前に公開舞台稽古と囲みインタビューが行われ、成河、ミムラ、加藤諒、松田凌、良知真次、矢崎広が登壇した。

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──2003年以来、脚本も改定され、新演出になった『人間風車』の初日をいよいよ迎えます。
成河 約5週間、河原さんも粘り強く、僕たちにお付き合いいただいて、充実した稽古ができました。河原さんは役柄の繊細な部分にまで演出してくださり、たくさんディスカッションをしながら稽古ができたので、かけてきた時間と仲間を信じ、本番でもっともっと成長していきたいと思います。現代劇として14年のブランクをどう埋めるかを、後藤ひろひとさんもお考えになられて改訂してくださって感謝しています。今を生きている僕たちのリアルな感覚が届くように、お客さんにとって嘘のないものにすれば、この作品の本質的で普遍的な部分をお見せできると思っています。

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──ミムラさんご自身も大変な読書家で童話も好きだそうですが、平川の作る童話はいかがですか。
ミムラ 平川の作るお話は王道ではないのですが、時々ものすごい光を放つ原石もあると感じることがあって、ちょっと転がし方を変えれば、グンと作家としての腕を上げられるリアリティを感じられる人です。私は複数の役をやるのが初めてで、いつかやってみたいと思っていました。今回は3役をやらせていただくので楽しいです。それから、舞台特有の同じことを何回もできる楽しさがあって、体脂肪が5%落ちて、体重が5キロ増えました(笑)。

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──加藤さんのサムという役は作品のキーになりますが、今回挑戦したことはありますか。
加藤 今までは例えば喧嘩をするシーンは、受け身になることが多かったのですが、今回は攻めていくぞ!というところが挑戦ですね。

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──今回、稽古を通じて楽しかったことを教えてください。
矢崎 僕と松田くんは若手ですが、河原さんは若手に対しても細かくご指導くださいますし、先輩方の芝居を見ても勉強になりました。若手にとっては幸せな現場だと思う毎日の連続です。みなさん稽古場でもすごく仲良くしてくださって楽しかった。ご飯も何度も行ったんです。加藤くんが、攻めると言っていますが、稽古着からトラ柄の短パンを履いて、稽古から攻めていましたね。
加藤 そのこと今言う!?(笑)
成河 加藤くんは攻め間違えていますね(笑)。

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松田
 矢崎くんがおっしゃったように、素敵な先輩に恵まれました。お芝居の作り方から勉強になるし、河原さんと成河さんとミムラさんが役柄や重要なシーンで話しているところを拝見すると、羨ましくもあり、悔しくもあり、こんな自分も、もっと河原さんとお話できるような刺激的な現場に…。
成河 完璧だったもん。
松田 幕明けてないですからプレッシャーかけないでください(笑)。場当たりで、加藤くんが舞台から足を踏み外したことがあって、河原さんがお前みたいな生物の代わりはいないから、ちゃんと大事にしてくれと言われて、その通りだなと。加藤くんは唯一無二の人だと思いました。

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良知
 初挑戦のことが多くて、稽古場から新鮮な気持ちで、河原さんにお世話になって気持ちよく稽古をさせていただきました。稽古では成河さんに支えられたので、舞台上では僕が支えることがあるから、成河さんに何かお返しができるように頑張りたいと思います。
──演じる上で一番注意したところはありますか。
成河 平川はものすごく周りに振り回されて、葛藤したり振れ幅の大きな役なんですね。最後には人間の業を背負っていく部分も描かれていて、プレッシャーや責任も感じています。ただ、自分にとって嘘にならないように気をつけようと思いました。あまり見世物になりすぎないようにするのが一番大変ですが、やりがいを感じています。
ミムラ 後藤さんとお話をする機会があった時に、アキラはどんな女性ですかと聞きました。思ったことが口から出てしまうすごく瞬発力がある女性ということでした。もちろんダークな部分もあるんです。ただ、演出の河原さんからあまり沈み込まずに、あえて明るく表情や仕草で演技することで透けてくる裏側が見えたらいいというお話だったので、基本的には明るく溌剌とチャーミングに、その裏に何があるのか想像してもらうように演じられたらと思います。
加藤 平川さんが話した童話の主人公になってしまう役で、童話が沢山出てきて6役ぐらい演じますが、どう演じ分けるか成河さんに相談しながら稽古を積み重ねてきたので、僕の変身ぶりを見てください。

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──ご自身に恐怖体験はありますか。
加藤 場当たりのとき、セットの中心部は暗いんですよ。そこで待機していたら肩を叩かれて、ふっと振り向いたら演出部の方しかいなかった。演出部さんは仕事中だから絶対にしないじゃないですか。おばけじゃない?
全員 (笑)。

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──最後に楽しいところを伝えていただければ。
成河 見渡すと全員が私服みたいですよね。これでストイックな会話劇をやるのかという印象を持たれるかもしれませんが、これがリアルな世界の人間で、その世界から飛び出す童話の世界に入るとめちゃくちゃになります(笑)。いろんな国の服装や被り物が出てくるので、思いっきり笑い転げるシーンがたくさんあります。現実と童話のシーンを行ったり来たりする演劇的仕掛けも豊かで、劇場でこその演劇の醍醐味が詰まっている作品だと思います。そういう演劇体験をしたことのない方にも、この機会に足を運んでいただければ嬉しいですね。

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〈公演情報〉
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PARCO&CUBE20th present 『人間風車』
作◇後藤ひろひと 
演出◇河原雅彦 
出演◇成河 ミムラ 加藤諒 矢崎広 松田凌 今野浩喜 菊池明明  川村紗也 山本圭祐  小松利昌 佐藤真弓 堀部圭亮 良知真次 
●9/28〜10/9◎東京芸術劇場プレイハウス
〈料金〉S席8,900円、A席7,800円 U-25チケット:5,000円(全席指定・税込)
その他、高知、福岡、大阪、新潟、長野、仙台公演あり
 〈お問い合わせ〉
パルコステージ 03-3477-5858(月〜土11:00〜19:00/日・祝11:00〜15:00)
キューブ 03-5485-2252(平日12:00〜18:00)
http://cubeinc.co.jp/stage/info/ningen2017.html




【取材・文・撮影/竹下力】



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