稽古場見学、記者発表、インタビューなどから、近々公開される作品のおもしろさを探ります。

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漱石の現実と創作を描く傑作『アイ・ラブ・坊ちゃん2011』レビュー


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音楽座ミュージカル、『アイ・ラブ・坊ちゃん2011』は、日本人なら誰もが名を知る作家の夏目漱石が『坊ちゃん』を創作する姿を描いた物語で、1992年の初演時に「日本のオリジナル・ミュージカルの記念碑的傑作」と高く評価され、以来音楽座の代表作の1つとして何度も上演されてきたレパートリーである。


舞台は夏目漱石宅。『坊ちゃん』を書き始める漱石(広田勇二)の家には妻・鏡子(宮崎祥子)と子どもたち、女中、猫が暮す。その家には、本を届ける高浜虚子(五十嵐進)と、ボールを探す野球少年(大須賀勇登)、鏡子の姪・雪江(大川麻里江)がそれぞれにやってくる。

そして、家の奥からは創作する漱石の頭の中に住む人物たちが飛び出してくる。坊ちゃん(安中淳也)と清(秋本みな子)はじめ,『坊ちゃん』の登場人物たち。ドン・キホーテとサンチョ・パンサ、葬列の人々、ドレスの貴婦人。そして死んでしまった兄嫁や親友。

正岡子規(佐藤伸行)は、山嵐であり、サンチョ・パンサである。雪江はマドンナである。雪江を誘惑する音楽教師は赤シャツ(新木啓介)ではないか。現実の人物と、物語の人物がリンクして、話はどんどん面白くなっていく。


全編を通して、明快な楽曲を力のあるキャストが歌い、そのパワーが伝わってくる。『坊ちゃん』の登場人物のキャラクターは原作からして面白いが、それが立体感を持って現れ生きてくる。その世界と悩み多き現実の漱石と二本立ての物語を見るようだから、二倍魅力がある。


漱石役の広田勇二はその風貌が漱石そっくりに見えることで先ず驚く。繊細な神経の持ち主であることをよく表しながら、共感を呼ぶ魅力を持つ。宮崎祥子はサバサバした気性の鏡子と漱石のやりとりのおかしさを活かす。安中淳也は坊ちゃんをイキイキと演じ、『坊ちゃん』の世界を作っていた。佐藤伸行は豪傑な男らしさを出しながら、山嵐と子規を演じ分けた。ほかに赤シャツ役の新木啓介、野だいこ役の治田敦が目を引いた。二役を演じる役者もいて、その変貌ぶりも見所だ。

漱石が『坊ちゃん』の原稿用紙を丸めると登場人物たちが捻られた様子を示し、開くと元に戻るという演出は印象的。高田一郎の美術は墨絵の背景と屋根を持ち、色彩のある人々との対比が鮮やかだ。


音楽座ミュージカル

『アイ・ラブ・坊ちゃん2011』

脚本◇横山由和 

脚本・演出◇ワームホールプロジェクト

出演◇宮崎祥子 高野菜々 秋本みな子 井田安寿 広田勇二 安中淳也 新木啓介 佐藤伸行 ほか

●10/29〜11/6◎青山劇場

●11/12〜11/13◎イオン化粧品 シアターBRAVA! 

〈料金〉S席7.770円/A席5.670円【Rs' triangle料金】S席7,350円/A席5,250円/シニア席5,500円/スチューデント席3,500円

〈問合せ〉劇団 0120-503-404 

http://www.ongakuza-musical.com

【文/佐藤栄子



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「平成中村座 十一月大歌舞伎」の初日と一番太鼓


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11月1日、「平成中村座」の劇場正面で、初日を祝う「一番太鼓」が鳴り響いた。

浅草の隅田公園の中に作られた江戸時代の風情を感じさせる「平成中村座」では、今年11月から来年5月まで7カ月の長期公演を行なうことになっている。

その口開けとなる「十一月大歌舞伎」公演は、半年ほど難病治療で舞台を休んでいた中村勘三郎が、舞台復帰して初の東京公演ということもあって、ひときわ話題を呼んでいる。

この初日の開幕前に、中村勘三郎と田中傳次郎によって、平成中村座ならではの儀式「一番太鼓」の披露と勘三郎の挨拶が行なわれた。

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まずは中村勘三郎から田中傳次郎へ「撥渡し」があり、傳次郎による力強く晴れやかな太鼓の音が隅田公園と隅田川に鳴り響いていく。公演を観るために詰め掛けた観客から、「中村屋!」や「傳次郎!」という声がかかり、拍手の中で勘三郎が挨拶する。

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「この隅田公園にまた中村座が帰ってこさせていただきました。しかも今度は7ヶ月もこの地に建てさせていたただきまして、地元の皆様にもたいへんご迷惑をかけておりますぶん、良い舞台をお送りしなければと思っております。今日は秋晴れでたいへん良い陽気なのですが、雨が降りましてもこのように濡れないように改良もしてございます。舞台の後方を開ける演出のお芝居もありますが、ど真ん中に東京スカイツリーも見えてまいります。でも中村座のほうが先にここにありましてスカイツリーのほうが後ですので(笑)。またこのそばに待乳山聖天様がございます。歌舞伎の隅田川ものに出てくる小山は聖天様で、私も毎日お参りさせていただいてます。ぜひ皆様も東京スカイツリーを見ながら、1人でも多くのお客様にご覧いただきたいと願っております。本日からどうぞよろしくお願いいたします」

 


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開幕セレモニーが終了すると初日の舞台となる。

勘三郎は昼の部の二演目である『お祭り』に登場。祭りの一景を賑やかに軽やかに踊る。
その姿に大向こうや客席から「中村屋!」「待ってました!」と盛んに声がかかる。その声に勘三郎も「待ってくれてたぁ、ありがてえ!」と返すなど、舞台と客席の一体感と活気に溢れた「平成中村座」の初日だった。

この「平成中村座」公演は、来年3月には勘太郎の勘九郎襲名披露公演も行なわれるなど、今後も注目のラインナップが続く。


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平成中村座 

『十一月大歌舞伎』

《昼の部》

一、双蝶々曲輪日記(ふたつちょうちょうくるわにっき)

二、お祭り(おまつり)

三、義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)

《夜の部》

一、猿若江戸の初櫓(さるわかえどのはつやぐら)

二、伊賀越道中双六(いがごえどうちゅうすごろく)

三、弁天娘女男白浪(べんてんむすめめおのしらなみ)
出演◇片岡仁左衛門、中村橋之助、片岡孝太郎、中村勘太郎、中村七之助、坂東彌十郎/中村勘三郎 

●11/1〜26◎平成中村座 (隅田公園内仮設劇場)

〈料金〉松席(1階平場)14,700円 竹席(1・2階)14,700円 梅席(2階)11,500円 
    桜席(2階)10,500円  お大尽席(2階)35,000円

〈問合せ〉チケットホン松竹 0570-000-489

     チケットWeb松竹携帯 http://www.shochiku.co.jp/play/ticket-w/

     チケットWeb松竹PC  http://www.ticket-web-shochiku.com/pc/


【取材・文/榊原和子 撮影/冨田実布】

 

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松本潤の『あゝ、荒野』レビュー&インタビュー


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寺山修司の長編小説を演出家・蜷川幸雄が舞台化した『あゝ、荒野』の公演が始まっている。10月29日〜11月6日は彩の国さいたま芸術劇場で公演して、そのあと青山劇場で11月13日〜12月2日というロングランである。


この作品は1966年に出版された寺山修司の小説を、今回、初めて舞台化したもので、昨年2月の『血は立ったまま眠っている』と同様に寺山ならではの叙情性の中で、
戦後という荒々しい時代に生きた若者の青春を描き出している。

 

舞台は昭和の「架空の新宿」がけばけばしいネオンで再現され、その猥雑な街を彷徨していた2人の若者、「荒ぶる魂と強靭な肉体を持て余す新宿新次(松本潤)」と「どもりの青年バリカン(小出恵介)」が、元ボクサーの片目のコーチ(勝村政信)の経営するボクシングジムで出会うところから始まる。奇妙な友情で惹かれ合う2人だったが、どこか彼方へと誘われるようなバリカンの魂が、ついには新次との死闘を呼び寄せることになる。リングに上がる2人……。

そして、その2人と交差する人々、街娼や自殺研究会の大学生、金持ちの人生失敗者などが行き交う世界は、寺山らしいレトリックと毒に満ちている。


新宿新次の松本潤は絞り込んだ体で派手なアロハと白スーツをかっこよく着こなし、刹那的な中にも生きる野心と欲望、そして闘うエネルギー秘めて、実に魅力的。

小出恵介はバリカンという吃音者のもどかしい心と言葉を詩と拳にたくす青年で、いつも居どころを探し続けているような思い詰めた眼差しが哀しい。

この2人が、夜の公園でジャングルジムに登り、星を見ながら語り合う場面は美しく切ない。そんな青春の瑞々しさを衒いなく描き切る蜷川演出の若さに圧倒される作品である。


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この舞台の初日朝にフォトコールと蜷川、松本、小出の囲みインタビューが行なわれた。


【囲みインタビュー】
 

ーー今日は初日ですが、見どころは?

蜷川 2人が4回戦を闘うんですが、そこは本物のリングを買ってちゃんとセットに使ってるんです。


ーーネオンがいかにも新宿らしいですね。

蜷川 ネオンの洪水にしようかなと。僕らは60年代、寺山も一緒にああいう光景の中で生きてたからね。


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ーー松本さんたちにとってああいう新宿は?

松本 僕の中では昔の写真とか眺めてセピア色な感じがあるんですが、今回はビビッドですね。その時代を僕ら2人が生きるというのはすごく新鮮です。


ーー60年代なのでその工夫は?

小出 やっぱり寺山さんの原作をよく読むしかないですね。

松本 自分たちの知らない時代ですから写真とか資料とかでイメージを膨らませてました。

小出 新宿のゴールデン街に飲みに行きました。松本くんも、皆さんも一緒に。

松本 写真を撮ってもらったんです。チラシに写ってるのがそうです。

小出 つまみが柿ピーしかなくて(笑)。それをつまみに飲んでました(笑)。


ーー2人の役作りの姿をどうご覧になってましたか?

蜷川 よくやってます。ボクシングの稽古をよくやってたし。この2人がえらいのはどんなにたいへんでも音を上げない。

小出 こんなときしか言わないんですよ。

松本 (小出に)せっかく誉めてくれてるのだから、もうちょっと聞こうよ(笑)。

蜷川 肉体的にもたいへんだし、台詞の数も多いしたいへんなんですよ。でもよくやったね。だてにアイドルやってない(笑)。


ーー痩せましたね?

松本 絞りました。体重だけでも一番多いときより5キロくらい。

小出 僕も頑張りました。でも快楽主義者なので(笑)食事とか行っても控えるものと控えないものとあるんです。油物は一切とらないんですが、僕はどうしても美味しいものに目が行ってしまって、今日くらいいいかなとか(笑)。


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ーー試合のシーンもありますしたいへんですね。

小出 もう、ばっちんばっちんです。

松本 信用してやるしかないです。ずっと練習してきたので信用してます。

小出 かなり容赦ないんですよ、この人は。ボディって実際に殴り合ってるんですけど、たまにロウブロウが入るとがーんと(笑)。一回止まりました。容赦ないです。

松本 実際入るとかなり目つき変わりますね。僕もやられてます。なんか一応殺陣があって段取りがあるんですが、たまに段取りじゃないのを出すんですよ。

小出 すごいイラッって顔になる(笑)。

松本 ちょっとしたパンチでもかなりくるんです。


ーー蜷川さんは今回恐い、厳しい、優しい?

松本 優しい、ですかね。

小出 僕は1回やらせてもらってますが、前より厳しいです。容赦ないです(笑)。遠慮ないです。けちょんけちょんです。チビ、デブとか(笑)。昨日ゲネ中にだめだしされました。もっと鬱屈しろ、すっきりするな!って。でも難しいんですよ。久方ぶりにものを投げたかったらしいです(笑)。

蜷川 そう。投げてやろうかなと(笑)。こいつはラクをしようとして手を抜くからね。


ーーそんなに絞られて変化しましたか?

小出 周りがバリカンにしか見えないと言ってくれてます。松本くんも哀れで泣けてくると。

松本 うん、可哀想ですね。

小出 2人でやるシーンが少ないんですよ。だから感動もひとしおで、思い入れがある。ジャングルジムのシーンとか。

松本 あそこ2人だけじゃないですか、だからぐっとくるんです。


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ーー泣けますか?

松本 涙は出す役ではないんですが、内心はぐっときてます。

蜷川 小出はときどき泣いてます(笑)。ハナ垂らして。

小出 ぐちゃぐちゃです(笑)。ダメですね、台詞が出なくなるから。


ーー台詞も難しいですね。

小出 難しいんです。何言ってるかわかってないとか。いやそんなことないですけど(笑)。危ない、危ない(笑)。詩のような感じなので。

松本 ここ1カ月くらい稽古させてもらって、ふだん色々なことをやらせてもらってますけど、本当にレベルの高いことをこの現場では求められていたと思いますし、ここで1カ月間稽古できたのは贅沢な時間でした。これから本番は楽しんで、時間を大切にして過ごしたいなと。


ーー嵐のメンバーは?

松本 来ると言ってました。全員というのは断りました(笑)。さっき「初日おめでとう」というメールが、それは櫻井(翔)からです。

ーー最後に意気込みを。
松本 寺山さん独特の綺麗で恐いというか、狂暴なところもある作品で、そんな寺山さんの作品を蜷川さんが演出する。感覚で味わってもらえるのが一番いいと思うので、楽しんで観てもらえたらと思ってます。

蜷川 僕が思ってたよりずっといいんで、ほっとしてます。

小出 いまこの年齢でしかできない役だなと思います。20代でパワーもまだ残ってるし、今、この作品に出会えたのが嬉しいです。



『あゝ、荒野』

原作◇寺山修司

演出◇蜷川幸雄

出演◇松本潤、小出恵介、勝村政信、黒木華、渡辺真起子、村杉蝉之介、江口のりこ、月川悠貴、立石涼子、石井愃一 他

●10/29〜11/6◎彩の国さいたま芸術劇場大ホール

●11/13〜12/2◎青山劇場

〈料金〉S席10500円 A席9500円

〈問合せ〉Bunkamura 03-3477-3244(10時〜19時)

http://www.bunkamura.co.jp


※舞台写真は小出恵介さんのみ掲載。
※「演劇ぶっく」1/9発売(2月号)では、充実した舞台写真とともに『あゝ、荒野』特集記事を展開いたしますので、お楽しみに!




【取材・文/榊原和子 撮影/冨田実布】


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