稽古場見学、記者発表、インタビューなどから、近々公開される作品のおもしろさを探ります。

光より前に

関西演劇の雄? 優? 遊? が集う工藤俊作プロデュースプロジェクトKUTO-10『楽園!』

元劇団大阪太陽族(現:劇団●太陽族)の工藤俊作が率いるプロデュースプロジェクトKUTO-10。第12回目の公演は、作に突劇金魚のサリngROCK、演出にトリコ・A・プロデュースの山口茜を迎え、9日あでやかに初日を迎える。来週には初の東京公演も!大阪から宣伝に来てくれた首謀者・工藤俊作に話を聞いた。


ーープロジェクト名の「KUTO-10」というのは、一度見たら忘れられないのですが、読み方が分からなくて…。
「くとーてん」と読みます。「くとう」というのは僕の名前(工藤)や「苦闘」、「10」については、「十番勝負」という意味も含まれていて。この名前は昔いた劇団の先輩がつけてくれて。もらったときは、「ぱっとしませんね」と言ったりしていましたが、今はいい名前だと思っています。

ーー今回が12回目の公演ですが?
僕は以前、劇団大阪太陽族に所属して俳優として活動をしてたんですけど、劇団の本公演の合間にプロデュースで作品を作りはじめたのがこのプロジェクトのきっかけなんです。10年で10本やったらいいやと思ってたんですけど、結局10本やるのに20年かかってしまって。そしたらかえって止めるのはもったいないような気がして、続けることにしたんです。

ーー今回の作品は作も演出も女性ですね。
本はサリngROCKさんにぜひ何でもいいので書いて下さいと依頼しました。彼女の脚本はト書きが多くて、理解しないと演出しづらい独特の文体が特長なんですよね。その作品の演出をお願いしたのは京都の才女、山口茜さんです。

ーー出演者の方もバラエティに富んでいます。
上は49歳から下は22歳まで。僕が気になる人にお願いしました。関西で演劇をやっている人たちの交流の場になればと思っています。

ーータヌキのチラシが目を引きました。
サリngROCKさんから届いたあらすじを読んだら、信楽焼のタヌキが出てきたのでこれは!と思い、町中に信楽焼のタヌキがいる町に撮影に行ってきました。このチラシデザインは粟根(まこと)さんがしているんですけど、撮影してきた写真を渡したら、こんな風にデザインしてくれました。

ーー作、演出といい、出演者といい、チラシといい楽しみです。
今回は初めての東京公演を行いますので、ぜひ足をお運びください!

kuto-10

【あらすじ】
わたしの日々は、冴えない日々。
それはある日の残業終わり、会社の自転車置き場が象徴してた。
置いてあった、わたしの自転車。橙色の自転車の、前のタイヤがパンクしてた。
日付も変わって電車もなくて、どうしようもなくて、パンク自転車に跨った。
汗かきながらガタガタペダルを漕いでたら、道路の脇の信楽焼のタヌキが言った。

「解放されなくはないか!」

……解放
……なにから? 会社から? 社会から? 日々から? 人生から? パンクから?
……解放! されたい!

わたしの部屋は信楽焼のおタヌキ様でいっぱいになり、そこはわたしの国になった。

だけどここは、仮の国。ほんとの国を取り戻しに出かけなくちゃ。
わたしの国に集まった、わたしとセールスマンと大学生。わたしたちは旅に出る。
ほんとの解放を得るために。わたしたちは旅に出る。
ジャジャジャン、目指せ、エデンの国へ!

【公演情報】
工藤俊作プロデュースプロジェクトKUTO-10『楽園!』
2/9〜12◎in→dependent theatre 2nd(大阪)
2/15〜19◎こまばアゴラ劇場(東京)
作◇サリngROCK(突劇金魚)
演出◇山口茜(トリコ・A・プロデュース)
出演◇工藤俊作 久保田浩(遊気舎) 保(兵庫県立ピッコロ劇団) 村木よし子(劇団☆新感線) 久野麻子(スイス銀行) 原真(水の会) 岩田由紀 上田展壽(突劇金魚 ) 蔵本真見(突劇金魚 ) 中村茂昭
《料金》前売¥3300 当日¥3500 学生¥2800(当日要学生証)
《お問い合わせ》ライトアイ 06-6647-8243
http://plaza.rakuten.co.jp/kuto10/

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激しさと熱さが胸に迫る井上芳雄の『ハムレット』

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チェコの天才音楽家ヤネック・レデツキーがミュージカル化した『ハムレット』が、シアタークリエで2月1日から上演中である。ロック・ジャズ・ポップスなど多彩なジャンルの音楽を駆使した、まさに新しい『ハムレット』で、主演の井上芳雄がこの悲劇の主人公に渾身の力で挑んでいて、その姿が作品内容と重なって強く悲劇性を訴えてくる。


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このミュージカルは1999年に初演されたチェコ・ミュージカルで、チェコで最も有名なミュージシャンの1人であるヤネック・レデツキーの楽曲の魅力もあって、大ヒットを記録。その後、アメリカや韓国でも上演されるというグローバルな人気作品
となった。

今回の日本初演では栗山民也が演出を手がけ、主役のハムレットを演じるのは、ミュージカル界のプリンス、井上芳雄。共演者もミュージカル界で活躍する俳優たちばかりで、恋人のオフィーリアには新進の昆夏美、その兄のレアティーズには伊礼彼方、ハムレットの親友ホレーショーは成河、王妃ガートルードには涼風真世、国王クローディアスは村井國夫、オフィーリアの父のポローニアスは山路和弘という豪華な顔ぶれになっている。


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作品の大きなポイントは、ハムレットという主人公の行動と心理に添ってスポットを当て、それ以外とでもいうべき部分を大胆にカットしてあることだろう。ハムレットが亡き父王のため復讐を企てる時期に、デンマーク国を通りかかる隣国の王子フォーティンブラスの存在や、ハムレットの学友であるローゼンクランツとギルデンスターンのエピソードはすっかり割愛されている。

そのぶんハムレットとオフィーリアのベッドシーンなどで2人の関係に踏み込んだり、レアティーズとオフィーリアの兄妹愛も詳細に描かれるなど、明確に「愛」を物語の軸の1つに据えていて、それがハムレットとレアティーズの激しい死闘へとつながり、悲劇に至る導線として有効になっている。


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そんな「愛」による悲劇の主人公ハムレットを演じる井上芳雄は、1人の青年が短い生を自分の思いのままに燃焼するまでの、まさに疾走する日々を全身で熱く激しく生きてみせる。内面を吐露する場面や狂気はロックで激しく歌い上げ、愛や嘆きのバラードは愁いをこめて美しい。

まだ少女のようなオフィーリアの昆夏美は、柔らかい声質で井上や伊礼との叙情的なデュエットにとくに力を発揮してみせる。姿が可憐なだけに後半での狂気が涙を誘う。


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伊礼彼方のレアティーズがハムレットと対峙する存在としてフィーチャーされていて、オフィーリアへの愛情の深さと、その反動としてのハムレットへの憎しみをくっきりと描き出す。大詰めの井上との決闘は、2人の迫力あるぶつかり合いがすさまじく圧巻の見せ場だ。

ホレーショーの成河は、身のこなしの軽さから原作の語り部的な位置よりはどこか王子に従う道化的な役割り。

ガートルードの涼風真世は、夫の弟や息子のハムレットに愛されて当然の美しい「女」そのもので、この悲劇の原因であることに説得力を持つ。

兄王殺しのクローディアスは村井國夫で、欲望と野心満々な大きさがあり圧力を感じさせる。

山路和弘のポローニアスはやや誇張した卑小さがあり、その部分がのちにハムレットによる死骸のダンスという侮辱へと繋がっていく。
 

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セットは高い壁面とホリゾント、上手階段などで場面の変化をつけ、カーテンや照明の陰影で物語のドラマ性や進行を巧みに演出し、大詰めの決闘では階段の高低を効果的に使っている(美術は松井るみ、照明は服部基)。

ヒットミュージカルだけにヤネック・レデツキーによる楽曲は魅力的で、バラード調のソロやデュエットはじっくりと聞かせてくれるし、ロックやジャズはアップテンポでエネルギッシュで乗りがいい(音楽監督は甲斐正人)。その音楽に身をゆだねながら、ハムレットという1人の青年王子の凄まじいまでの生き様を見届ける舞台である。



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ミュージカル

『ハムレット』

原作◇ウィリアム・シェイクスピア

脚本・作曲・作詞◇ヤネック・レデツキー

演出◇栗山民也

出演◇井上芳雄、昆夏美、伊礼彼方、成河(ソンハ)、阿部裕、山路和弘、涼風真世、村井國夫

川口竜也/小西のりゆき/俵 和也/照井裕隆

岩崎亜希子/木村晶子/園田弥生/平田愛咲(50音順)

●2/1〜22◎シアタークリエ

〈料金〉S席11000円 A席8500円

〈問合せ〉シアタークリエ 03-3201-7777

●2/25〜2/28◎梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ   

〈料金〉11,500円 

〈問合せ〉梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ  06-6377-3888

●3/3〜4◎中日劇場

〈料金〉A席11,000円 B席8,500円

〈問合せ〉中日劇場  052-263-7171
公式HP 
http://www.tohostage.com/hamlet/index.html


【文/榊原和子 撮影/冨田実布】

「第19回読売演劇大賞」の受賞者が決定!大賞に前川知大。


2011年に上演された演劇の中から優れた舞台作品、人物を顕彰する読売演劇大賞(日本テレビ放送網後援)の選考結果が2月5日に発表された。
 

この賞は1993年に創設され、歌舞伎や能などの伝統演劇からミュージカル、商業演劇、新劇、小劇場などまで、ジャンルを問わず、すぐれた舞台作品、演劇人が選ばれることになっている。
 

まず選考委員会9名の協議で杉村春子賞と芸術栄誉賞以外の5部門各5件をノミネート。その中から最優秀を選ぶもので、全国の演劇評論家、劇場関係者、プロデューサー、新聞記者、雑誌編集者ら100名(今回は101名)の投票委員による投票で、最多票を得たものがベストワンとなる。ノミネートされた作品と人物も各部門で受賞する。
 

また投票委員は杉村春子賞と芸術栄誉賞の推薦も行ない、その推薦を受けて選考委員会で杉村春子賞と芸術栄誉賞が選考される。杉村春子賞の趣旨は男優・女優・演出家・スタッフの新人が対象。芸術栄誉賞は長年に渡り演劇界に多大な貢献、もしくは優れた企画を推進してきた個人および団体が選ばれる。


【今回の各部門受賞作品と人物】
 

 大賞/前川知大(世田谷パブリックシアター「奇ッ怪 其ノ弐」、イキウメ「太陽」の演出)


 最優秀作品賞/「国民の映画」(パルコ)

    作品賞/「大人は、かく戦えり」(シス・カンパニー) 

                          「奇ッ怪 其ノ弐」(世田谷パブリックシアター)

        「猟銃」(パルコ)


 最優秀男優賞/小日向文世(「国民の映画」)

    男優賞/尾上菊之助(「盟三五大切」、「京鹿子娘道成寺」、「髪結新三」)

                        段田安則(「大人は、かく戦えり」、「国民の映画」)

        平幹二朗(「サド侯爵夫人」、「エレジー」)

        村井國夫(「秘密はうたう」)


 最優秀女優賞/大竹しのぶ(「大人は、かく戦えり」、「ピアフ」)

    女優賞/麻実れい(「トップ・ガールズ」、「みんな我が子」)

        シルビア・グラブ(「国民の映画」)

        中谷美紀(「猟銃」)

        三田和代(「秘密はうたう」)


 最優秀演出家賞/前川知大(「奇ッ怪 其ノ弐」、「太陽」)

    演出家賞/小川絵梨子(「12人」、「夜の来訪者」、「プライド」)

         中津留章仁(「黄色い叫び」「背水の孤島」)

         蜷川幸雄(「あゝ、荒野」、「ルート99」)

         三谷幸喜(「国民の映画」)


 最優秀スタッフ賞/松井るみ(「トップ・ガールズ」「雨」「GOLD 〜カミーユとロダン」美術)

    スタッフ賞/デヴィッド・フィン(「猟銃」照明)

          原田保(「奇ッ怪 其ノ弐」)

          福田暢秀(「背水の孤島」美術)

          フランソワ・セガン(「猟銃」美術)


 杉村春子賞/小川絵梨子(オフィスコットーネ「12人」、響人「夜の来訪者」、tpt「プライド」)


 芸術栄誉賞/別役実


 選考委員特別賞/中津留章仁(TRASHMASTERS「背水の孤島」)



大賞受賞者にはブロンズ像「蒼穹」と200万円。
各部門の最優秀賞、杉村春子賞、芸術栄誉賞にはブロンズ像
「蒼穹」と100万円。

各部門の受賞者にはトロフィーと10万円が贈られる。

授賞式は2月末に都内にて開催される。

(各受賞の表記は50音順になっています)




【文/榊原和子】

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