稽古場見学、記者発表、インタビューなどから、近々公開される作品のおもしろさを探ります。

『Like A Room 002』

マネーゲームの戦いをミュージカル化『エンロン』レビュー

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巨大企業の破綻という実際に起った「エンロン事件」事件を背景に、権力欲にとりつかれた男たちの生きざまを描き出す舞台がミュージカル『エンロン』。

2001年12月に起きた「エンロン事件」では、売上高全米第7位、世界第16位の巨大企業が破綻して世界経済に大きな影響を与えた。この事件を題材に戯曲を書いたのはイギリスの若手劇作家ルーシー・プレブル。2010年度のローレンス・オリヴィエ賞最優秀演出賞に輝き、ブロードウェイ進出も果たした。今回の日本公演では、演出をイギリスのデヴィッド・グリンドレーが手がけている。


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難しいマネーゲームの表現は映像を駆使して、迫力のあるダンスや歌でシリアスなストーリーをエンターテインメント化、楽しめる作品にしていて、トレーダーたちのメカニックな動きは、「冨士山アネット」を主宰する長谷川寧がコンテンポラリーダンスふうに振付けている。そんな中で市村正親が演じるジェフリー・スキリングを中心に、エンロン社が次第に綻びを大きくしていく様子が描かれる。


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市村正親のスキリングは、野心家でエンロン社で権力闘争を勝ち抜きいた男。終始出ずっぱりで経済用語ばかりの台詞をひたすら喋る大変な役だが、女性幹部クローディアとの微妙な男女関係や、部下のファストゥの巧みな言葉に乗せられてマネーゲームに没頭してしまう様子に、人間の愚かさや弱さ、傲慢さが表れている。世界最大の汚職事件に手を染めてしまったスキリングの転落人生を、エネルギッシュに、そして人間味たっぷりに演じて、独白のシーンはとくに見事。

豊原功輔はアンディー・ファストゥ、最初はスキリングに頭が上がらなかったが、エンロン社の窮地を打開するためシャドーカンパニーの経営を持ちかけてからは対等な立場に立とうとする。策略が上手くいき、段々と傲慢になっていくファストゥの変化がをよく表現。ずる賢さも垣間見えて、人間ドラマをさらに面白くしている。

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女性幹部クローディア・ロウの香寿たつきは、エンロン社社長のお気に入りで次期社長のポストも囁かれる存在。知性と色気を持ち合わせ、自信に満ち溢れたキャリアウーマン役をシャープに演じる。劇中ではコスプレスタイルになる場面もあったり、出番ごとに強い存在感を残す。

エンロン社社長のたかお鷹は創業者らしい人間くささで、このビジネス劇に膨らみを持たせている。

ほかにエリート弁護士や若手アナリストなど何役も演じる伊礼彼方、女性アナリストの末次美沙緒やちすん、宮下今日子。トレーダーたちには若手俳優の秋山真太郎や植原卓也、古川雄輝、満島真之介、実力派の林勇輔、松原剛志などがいて、ビジネス現場で働く人々の野心や欲望をカリカチュアされた動きも交え、迫力を感じさせながら見せてくれる。
 

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冒頭に大きなネズミが登場する。社員らに指示を出し、会社を破滅へと導いた幹部役員たちを茶化したもので、恐竜の被り物をした人物は物語の中に出てくるシャドーカンパニーの負債を食べてしまう生き物。ほかにも破綻したリーマン・ブラザーズを双子のキャラクターで描いたりと、随所にユーモアも用意してある舞台だ。

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『エンロン』

作◇ルーシー・プレブル

演出◇デヴィッド・グリンドレー

翻訳◇常田景子

出演◇市村正親、豊原功補/秋山真太郎、伊礼彼方、植原卓也、末次美沙緒、ちすん、長谷川寧、林勇輔、古川雄輝、松原剛志、満島真之介、宮下今日子/香寿たつき、たかお鷹 他

●4/13〜29◎天王洲 銀河劇場

●5/2〜3◎部イオン化粧品 シアターBRAVA!

●5/16◎名鉄ホール

〈料金〉

銀河劇場 S席9500円 A席5500円

シアターBRAVA!9000円

名鉄ホール 9800円

〈問合せ〉

銀河劇場 ホリプロチケットセンター 03-3490-4949

シアターBRAVA! 06-6946-2260

名鉄ホール メ〜テレ・イベント事業部 052-331-9966

公式HP http://hi-sekoshin.com/enron/


【取材・文・撮影/冨田実布 文/榊原和子

訂正/香寿たつきさんがロックコスチュームで歌うという記述は間違いでした。訂正してお詫びを申し上げます。


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蜷川幸雄公開対談シリーズ 『NINAGAWA千の目』尾上菊之助がゲスト

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彩の国さいたま芸術劇場の芸術監督である蜷川幸雄が、多彩な各界のアーティストとトークセッションを行う人気シリーズ『NINAGAWA千の目(まなざし)』。

賑わいのある劇場を目指し、蜷川が芸術監督に就任した2006年からスタート。これまでに野村萬斎、宇崎竜童、松本幸四郎、笑福亭鶴瓶、野田秀樹ら様々なジャンルのアーティストをゲストに迎え、いずれも好評を博してきた。

第25回となる今回は、7月8日に熊谷会館で開催。その日、会場で『松竹大歌舞伎』に出演する歌舞伎俳優の尾上菊之助をゲストに迎えてのトークとなる。 

 

七代目尾上菊五郎の長男である尾上菊之助は、女方はもちろん、近年では舞踊や立役でも本領を発揮して、音羽屋の未来を背負って立つ歌舞伎界の若き花形の一人。
祖父・梅幸や父・菊五郎から家の芸を継承する一方、現代演劇の分野にも意欲的に取り組み、00年『グリークス』で初めて蜷川演出作品に出演した。

その後、05年に菊五郎劇団が歌舞伎座の『七月大歌舞伎』をつとめるにあたり、自ら蜷川に演出を依頼、歌舞伎とシェイクスピアの融合と演劇界で大反響を呼んだ『NINAGAWA 十二夜』を実現させた。 

 

今回の『千の目』では、そんな2人が顔を合わせる。
基本的には演出家を置く習慣のない歌舞伎の世界で、蜷川に演出を依頼した菊之助の“熱い思い”とは? 

そして「歌舞伎の世界に留学」する決意で菊之助の依頼を引き受けた蜷川の挑戦とは?

今後の歌舞伎界を担う菊之助と、日本の演劇界を牽引する蜷川という、フィールドを越え、強い信頼に結ばれた2人からどんな熱いトークが飛び出すだろうか。



尾上菊之助
尾上菊之助(おのえ・きくのすけ)     

1977年生まれ。七代目尾上菊五郎の長男。84年歌舞伎座『絵本牛若丸』で六代目尾上丑之助を名乗り初舞台。 96年5月歌舞伎座『弁天娘女男白浪』の弁天小僧菊之助ほかで五代目尾上菊之助を襲名。現代演劇の分野でも、蜷川幸雄演出の『グリークス』でオレステス役を演じ注目を集める。05年には『NINAGAWA 十二夜』を実現させ、獅子丸、主膳之助、琵琶姫の三役を替わり、読売演劇大賞杉村春子賞、朝日舞台芸術賞寺山修司賞、芸術選奨文部科学大臣新人賞など多数受賞。近年『伽羅先代萩』の政岡、『摂州合邦辻』の玉手御前など女方の大役をつとめるとともに、『京鹿子娘道成寺』、『春興鏡獅子』などの舞踊、また『髪結新三』の勝奴、『入谷』の直侍など立役にも意欲的に取り組んでいる。 



『NINAGAWA千の目(まなざし)』

●日  時   2012年6月23日(土) 開演12:00〜(約1時間) 
●場  所   熊谷会館 (熊谷市末広3-9-2 JR熊谷駅北口下車 徒歩約15分)

●定  員   1,176名(全席自由・入場無料・要事前申込)

●応募方法 ハガキに以下の事項をご記入の上、締切日までに応募。 

※応募者多数の場合は抽選とする。 

(なお、入場券の発送をもって抽選結果の発表にかえさせていただきます)

※当財団メンバーズの方への優先枠を設けている。 

●記入事項 (1)郵便番号・住所 (2)氏名(フリナ) (3)年齢  

(4)会員番号(財団メンバーズの方のみ記入)   

(5)希望人数(1枚のハで2名様まで) 

●応募締切 2012年6月8日(必着 

●応 募 先 〒338-8506 埼玉県さいたま市中央区上峰3-15-1 

(公財)埼玉県芸術文化振興財団 「千の目6/23 入場募集係」 

●問合せ 財団メンバーズ事務局  TEL 048-858-5507(休館日を除く) 

http://www.saf.or.jp/thousand_eyes/2012/vol025.html


『松竹大歌舞伎』熊谷公演

●日  時     2012年7月8日(日)  

●出  演     昼の部12:00/夜の部17:00 

●場  所     熊谷会館 

●出  演     尾上菊五郎 中村時蔵 尾上松緑 尾上菊之助 ほか 

●演  目     「義経千本桜 」三幕   

●出  演     鳥居前 道行初音旅 川連法眼館 

●チケット (税込) 特等席6,000円/一等席4,500円/ 

●出  演      二等席2,000円/おためし席1,000円 

●発売日      一般/5月13日(日)  

                  メンバーズ/5月9日(水) 

●前売所【窓口販売】熊谷会館、彩の国さいたま芸術劇場、埼玉会館 

             【電話予約】財団チケットセンター TEL.0570-064-939 

             【インターネット予約】SAFオンラインチケット(24時間受付) 

            PCからhttp://www.saf.or.jp 携帯からhttp://www.saf.or.jp/mobile

     http://www.saf.or.jp/kuma/event/event_detail/2012/p0708.html

 

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スタジオライフ『天守物語』イベントレポート

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2012年4月23日(月)、山の上ホテルにて新作舞台『天守物語』の記念イベントが開催されました。
当日は、美術・衣装を担当するイラストレーターの宇野亞喜良氏、急きょ来場が決定した音楽担当のロックバンドBUCK-TICKのギタリスト 今井寿氏、そして、演出 倉田淳の3名によるトークショー、及び、姫川図書之助、富姫を演じるメインキャスト4名による挨拶、全員登壇してのフォトセッションが行われました。

トークショーでは、宇野氏から「2010年に発売したBUCK-TICKのアルバム『RAZZLE DAZZLE』で、ジャケットイラストを担当した縁で、今回の舞台に誘いました。BUCK-TICKの魅力は、お客さんを巻き込むアクチュアルでエネルギッシュなステージ。その音楽が異形の人がたくさん登場する『天守物語』に合う」と、秘話も飛び出しました。今井氏は、2月に新宿シアターサンモールで上演された『OZ』を観劇し、スタジオライフを初体験したそう。「見る前は全員男性の舞台がどういうものになるのか、想像できなかったのですが、実際に見てみるとすごく良かった」とのこと。そんな今井さんは、演出の倉田から「誰が聞いてもわかるけど、誰も今まで聞いたことがない曲を作ってほしい」という難しい依頼をされているとか。今井さんは「すでにいくつかメロディーができていて、3曲ぐらいは譜面にしてある」そうです。宇野氏や倉田からは「ミック・ジャガーのように“かっこいいのにかわいい”今井さんを、役者として引っ張り出したい」という仰天プランも飛び出しました。劇中には日本を代表するわらべうた『通りゃんせ』も登場しますが、どんな今井流アレンジが施されるのか楽しみです。

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続いてのキャスト挨拶では、姫川図書之助役の荒木健太朗、松本慎也、そして富姫役の及川健、岩大というメインキャストが登場。意気込みを語りました。

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2年ぶりに劇団スタジオライフの作品に出演する荒木健太朗(Quartzチーム)は「劇団も僕もこの2年でたくさん成長したはず、それが楽しみでも不安でもあります。同じチームで演じる及川さんからはいつも教わることばかりですが、僕も入団して9年目なので『一緒に作っていく』ことができたらと思っています。『天守物語』は、出会いと出発までの過程を描く物語。人間も妖怪も大事にしていることを貫く様を表現したいと思います」とコメント。

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一方の及川は「役作りのため、妖怪について勉強をしています。宇野先生の衣装がどれだけ素晴らしものになるのか楽しみです」。

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Jadeチームの松本慎也は「宇野さんと今井さんのコラボがどのように昇華するのかまったく想像がつきません。とても楽しみです。泉鏡花の美しい世界を表現したいです」。

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岩大は「『天守物語』に出てくる妖怪には、狂気の中で自分の正義を貫く芯がある。人間と妖怪に違いはあるのだろうかと最近ずっと考えています」と、それぞれ作品への想いを語った。

泉鏡花が描いた究極な美の世界。スタジオライフによる新たな解釈と、刺激的なクリエイターとのコラボレーションで、今までにない輝きを放つ舞台に仕上げます。 (ライター:石川 香苗子)

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スタジオライフ
『天守物語』
作:泉鏡花 上演台本・演出:倉田淳 美術・衣装:宇野亞喜良 テーマ曲:今井寿(BUCK-TICK)
2012年6月9日〜6月24日 紀伊國屋ホール
2012年6月30日〜7月1日 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ

公式HP http://www.studio-life.com/stage/tenshu2012/index.html

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