稽古場見学、記者発表、インタビューなどから、近々公開される作品のおもしろさを探ります。

『ストリップ学園』

『印獣』制作発表レポート(8月31日)

印獣q





三田佳子がクドカンワールドに挑戦するというので、話題を集めている『印獣』の制作発表が行われた。
おりから台風が接近中で、強い風雨にもかかわらず集まった報道陣の多さは、この公演の注目度のバロメーターといえるだろう。

演劇界のチームリーダーである生瀬勝久、池田成志、古田新太の3人が、自分たちらしい芝居作りをするために結集したユニット名が《ねずみの三銃士》。その第一回作品『鈍獣』(2004年)は、この脚本で宮藤官九郎が岸田戯曲賞を受賞、映画化もされるなど大きな成果をもたらした。
今回の『印獣』も脚本は宮藤で、演出は前回と同じく河原雅彦が担当する。キャストは三田佳子と《ねずみの三銃士》のほかに、若手演技派の岡田義徳、お笑いトリオ〈キャラメルクラッチ〉の上地春奈というメンバーで、前回以上に異種格闘技的なバトルが舞台上で繰り広げられそうだ。


物語は、ケイタイ推理小説家と絵本作家そして風俗ルポライターの3人が、編集者に連れられてある屋敷にやってくることから始まる。そこは元大女優である長津田麗子の屋敷で、いきなり地下室に閉じ込められた3人は、麗子に「私の芸能生活45周年を記念して自叙伝を書いてほしい」と頼まれ、印税をエサに共同執筆をすることになる。その過程でサスペンスあり笑いありというクドカンらしい奇想天外なシーンが炸裂するという。

 

この制作発表に集まった記者と出演者の質疑応答を、まとめて紹介しよう。

生瀬勝久「これは大女優をめぐる話ですが、やはり三田さんは本物の大女優ですね。本の初読み合わせから説得力がありました。僕の役はケイタイ小説家なんですが、大女優の過去を3人が推測する過程でいろんな役で出てきます。親分とか(笑)ほかにもいろいろ」

池田成志「昨日からこの3人には珍しく朝の9時頃から稽古している状態で。自民は負けるし台風は来るしで、なんなんでしょうね(笑)。僕は絵本作家の役なんですが、実際に劇場で笑っていただくためにあまりネタを言いたくないんで、このくらいで(笑)」

古田新太「昨日、松方弘樹先輩と飲んでたんですが、先輩に“三田さんてどんな人ですか?こういう本でどうなんでしょうね?”と聞いたら、“いや僕の方が後輩だから何もいえない”と(笑)。宮藤くんの猿の落書きのような本でも、三田さんが読むと説得力があります(笑)。僕は風俗ルポライター役で、もうすぐ子供が生まれるという設定です」

岡田義徳「ドラマで古田さんと一緒になったとき、出ないかと声をかけてもらって、出演できて嬉しいです。僕は編集者の役なんですが、役の輪郭はまだぼやーっとしてる状態です」

上地春奈「とにかく迷惑をかけないようにがんばります。役は大女優の付き人とマネージャーですが、ほかにもいろいろやるかもしれません」

 

宮藤官九郎「三田さんが猿の落書きみたいな本を読んでいるのを聞きながら(笑)、ありがとうございますという気持ちだったし、楽しかったです。前回の『鈍獣』は3人が幼なじみの設定だったんで、今回は初対面にしました。彼らが監禁されて“私の小説を書きなさい”というところから始まります。見どころはいろんな三田さんですね(笑)。過去にさかのぼっていくのでいろんなエピソードを見せたり、サスペンス要素もあります」

河原雅彦「現在、鳩山さんのような重責を感じています(笑)。三田さんと一緒に仕事ができることなど想定外でしたから。こちらに飛び込んできてくださったので遠慮せずに、でも気分を害されない程度に好きにやらせてもらいます」

三田「日本の政治も変わるし、アメリカも変わったし、三田佳子も“チェンジ!”していきたいと思ってます(笑)。宮藤さん、河原さんをはじめ、いま最高潮の方々ばかり。私はふだんからあまり考えないほうで、渡れないような橋も気がついたら渡ってたりするんですが、今回ももう渡ってしまったのでやるしかないと。宮藤さんはとにかく才能の固まり。その人にこんなにめちゃくちゃに書いていただけて(笑)。たいへんな内容で目が回りそうです。9歳の少女でも出てきますし、女剣劇もあるので、古田さん立ち回りよろしくね(笑)。ドクマグロ?のかぶりものとか、悪漢のなんとかレンジャーにもなります(笑)」

三田の大真面目で正直な話しぶりに会場は笑いの渦に包まれる。そんな大物らしさは、まさにこの物語のヒロインである大女優・長津田麗子そのもの。そんな三田の“大女優らしさ”を、出席者に改めてたずねると。

生瀬「オーラが違いますね。それにどんなふざけたセリフでも、三田さんが真剣に読まれると違うものに聞こえる」

池田「ミステリアスな存在です。いろいろな想像を喚起させられる。それに台本を精読されているのがすごいなと」

古田「生活感がないところがさすが大女優ですね。それにあきらかに僕らと違ういい匂いがするんですよ(笑)」

宮藤「三田さんは、まず稽古場でジャージを着るのか(笑)、着るとしたらどんなジャージなのか(笑)。僕にはそういう存在です」

 

三田本人にも「大女優というのはどんなイメージだと思いますか?」という質問が投げかけられる。

三田「表面だけじゃなく、中身もあってキャリアもあって、尊敬される存在で、お客様にいいねと言っていただける人かなと思っています」

和やかなうちに進んだ会見の最後は、主演・三田佳子の抱負で締めるはずだったが。
三田「私は精一杯やります! 河原さんも一言」と演出家にむちゃぶり。
河原「もう。断れないですねー(笑)。三田さんが台本に黄色い蛍光ペンであちこち引いてるのを見て、なんだ僕らと同じだと安心しました。そのセリフがお猿さんが書いたようなセリフなのがあれなんですが(笑)。まあ、とくに構えることなく平常心でやれるかなと」

それを聞いて、さらに突っ込む大女優。 
三田「演出はどんなふうにしてくださるんですか?」

河原「断れない(笑)。本に書かれているとおりです!(笑)」

三田「演出家っていざとなるとイジメるから(爆笑)。あれやれ、これやれ、飛び降りろ、駆けあがれ、寝っころがれとか(笑)」

河原「(笑)、せめて敬語でいいます」

すっかり“大女優”三田佳子ペースで、会見は大きな笑いの渦のうちに終了した。

この作品は10月から11月までパルコ劇場 、11月中旬から12月中旬まで札幌、大阪、名古屋、新潟、福岡の各地で公演する。

 

PARCO PRESENTS 

《ねずみの三銃士》第2回公演「IN-JU」
『印獣』
 

作◇宮藤官九郎

演出◇河原雅彦

出演◇三田佳子/生瀬勝久・池田成志・古田新太/ 岡田義徳 上地春奈

●10/13〜11/8

<会場>パルコ劇場  

<料金>¥8400(プレビュー公演¥7500)

問い合わせ 03- 3477- 5858 (パルコ劇場)

●11/13〜11

<会場>札幌市教育文化会館 

<料金>¥8000

問い合わせ 0570- 00- 3337 (サンライズプロモーション東京)

●11/18〜23

<会場>シアター・ドラマシティ

 <料金>S席¥8400、A席¥6300

問い合わせ 06-7732- 8888(キョードーチケットセンター) 

●11/27〜29

<会場>名鉄ホール  

 <料金>¥8400

問い合わせ 052-331- 9966(メ〜テレ・イベント事業部)052-972- 7466(キョードー東海)

●12/3〜5

<会場>新潟市民芸術文化会館(りゅーとぴあ)

<料金>S席¥8400、A席¥7500

問い合わせ 025- 245- 5100(キョードー北陸チケットセンター) 025-281- 8000(TeNy チケット専用ダイアル)

●12/11〜13

<会場>嘉穂劇場

<料金>指定席¥8400、自由席¥6500

問い合わせ 092- 715- 0374(ピクニック)

 

www.parco-play.com
  
                  
           【取材・文/榊原和子】 

F/T09秋プレトークのお知らせ

トーキョー発の舞台芸術の祭典、『フェスティバル/トーキョー(F/T)09秋』が、10月23日〜12月21日の期間、開催される。今回のキャッチコピーは「リアルは進化する」で、国内外の約20作品が池袋を中心とした豊島区エリアに集結する。

そのF/Tのプログラム・ディレクターである相馬千秋が、フェスティバルのコンセプトや各演目の見どころを、豊富な映像や制作エピソードを交えて説明するトークセッション『リアルは進化する―検証!F/Tラインナップ』の開催が、緊急決定した
 
聞き手には、ニッポンのカルチャーシーンを思想、現場の両方から捉え続ける批評家で、「エクス・ポ」編集長の佐々木敦、ゲストにはF/T春、F/T秋と連続で新作を発表する「サンプル」主宰の演出家・松井周を迎えてのトークイベントで、参加者を募っている。
(その場で10月からのチケットの一般予約も受付けます)

********************************************************

F/T09秋プレトーク 
チケット前売開始連動企画トークセッション
『リアルは進化する―検証!F/Tラインナップ』
日時:2009年9月5日(土)19:30〜21:00
  (開場19:00〜)
   入場無料
会場:自由学園明日館 講堂

司会:佐々木敦(批評家、エクス・ポ編集長)
出演:松井周(サンプル主宰・演出家)、
   相馬千秋(F/Tプログラム・ディレクター)

↓詳細はこちらから
http://festival-tokyo.jp/event/pretalk/

↓ご参加のお申し込みはこちらから
http://festival-tokyo.jp/event/pretalk/form.html
************************

『304』稽古場ルポ

304稽古シーン1

蓬莱竜太の5年前の伝説的作品『304』が、間もなくプロデュース公演として再演されるが、その通し稽古を見ることができた。

 

『304』の初演は2004年、モダンスイマーズのメンバーで上演したもの。蓬莱作品ならではのエッセンスがぎゅっと詰まった面白い作品と、のちのちまで評判になっていた。

今回は、演出を扉座の茅野イサムが手がけ、キャストは若手役者として頭角を現してきた青柳翔を中心に、小劇場で活躍する津田健次郎、富岡晃一郎、小手伸也、平良政幸といった個性派たち。そして紅一点としてテレビや映画で活躍中の岩倉沙織が加わっている。このなかでボスと呼ばれ、他の4人をまとめる役割りを演じる青柳が、どこまで求心力を発揮できるかが今回の作品のポイントだろう。

 

この日は、稽古場での最後の通し稽古で、それだけにスタンバイ中の役者たちの気合いの入り方が違う。とくに青柳は以前インタビューで会ったときの爽やかな印象は、その体から消し去ったかのように、心に傷を持つ青年の屈託を抱えて黙々とセリフや動きを繰り返している。

 

いよいよ通し稽古が始まる。

物語は、蓬莱作品の原型ともいうべきワンシチュエーションの室内劇で、今回は古びた池袋のビルの304室で展開していく。

集まっているのは高校の同級生だった4人、無線マニアのデンパ(富岡)、袋いっぱいの食料を食べ続けるカロリー(小手)、ゲームに夢中のシロオビ(津田)、コミック本を読みふけるマンガ、そんな彼らのもとに「ヤバそうだけどわりのいい仕事」を運んでくるボス(青柳)が帰ってくる。

ドラマはこのあと、それぞれの事情やスタンスでかろうじて繋がっていた彼らの関係を一変させる出来事が起きるのだが、そこで見せる青柳と平良(シイナ)の魂をえぐるようなすさまじいやりとりは、後半の大きな見どころになっている。

304稽古シーン2

約75分という短い上演時間だが中身は濃密で、日常的な光景からふとこぼれ落ちる現実の危うさや、ボスと呼ばれる青年のまがまがしい記憶への視点は、蓬莱竜太の見る現代の日本そのものなのだろう。

そんな緊張感あふれるドラマの中で、シロオビとカロリーのアドリブが何カ所かあるのが、いいスパイスになってドラマを和ませる。

 

演出の茅野は「やっとみんなの呼吸がまとまってきた。青柳も一気によくなってきた」と、ホッとした様子。6人の出演者も、それぞれこの通し稽古の手応えで、本番への自信を感じているようだった。

初日は27日、観客の入った空間で、モチベーションがよりアップした役者たちの変化を確認するのが楽しみである。

 

あうるすぽっと提携公演『 304 』(サンマルヨン)

8/27〜9/1◎あうるすぽっと(豊島区立舞台芸術交流センター)

作◇蓬莱竜太

演出◇茅野イサム

出演◇青柳翔 津田健次郎 富岡晃一郎 小手伸也 岩倉沙織/平良政幸

 

<料金>\4500(前売・当日共通/全席指定)

<チケットに関するお問い合わせ>

サンライズプロモーション東京 0570-OO00-3337(全日10:00〜19:00)

<公演に関するお問合せ>

ネルケプランニング 03-3715-5624(平日11:00〜18:00)5469-5280

 

<公演概要> http://www.nelke.co.jp/stage/304/

<公式BLOG> http://sanmaruyon.jugem.jp/

                【取材・文/榊原和子】

 

記事検索
演劇キックラインナップ

演劇キック

観劇予報

宝塚ジャーナル

演劇人の活力源

日刊えんぶ

えんぶ情報館

えんぶショップ

えんぶミロクル

えんぶfacebook

広告について