稽古場見学、記者発表、インタビューなどから、近々公開される作品のおもしろさを探ります。

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表と裏の顔を演じる黒木瞳。芸能生活30周年記念『取り立てやお春』

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明治座の11月公演『取り立てやお春』の制作発表が9月13日、都内のホテルにて行われた。

黒木瞳の明治座初出演、そして宝塚歌劇団での初舞台から芸能生活30周年となる記念の舞台ともなる今回のこの公演は、脚本演出に、今夏、惜しまれながらも解散公演を行った劇団M.O.Pの主宰であったマキノノゾミ。そのM.O.Pで上演し評判となった『ちゃっかり八兵衛』を大劇場向けにバージョンアップしての上演となる。

物語のベースになっているのは落語の「居残り左平次」で、その他に「品川心中」「太鼓腹」などのネタを織り交ぜ、さらに忠臣蔵の仇討ち、大石内蔵助・主税親子までもが登場。笑って泣ける人情喜劇を目指す。

黒木瞳は、表の顔は三味線の師匠、裏の顔は泣く子も黙る取り立てやといわれるお春を演じ、花魁姿も披露する予定。お春の取り立てを受けるのが石黒賢演じる弥七。また大石内蔵助には少年隊の錦織一清が扮し、息子の主税には大河ドラマ『竜馬伝』にも出演中の若手歌舞伎俳優・中村隼人。その他、新派の波乃久里子や、松竹新喜劇の渋谷天外らも出演し脇を固める。

この日の制作発表には、作・演出のマキノノゾミ、黒木瞳、石黒賢、錦織一清、中村隼人の5人が登場した。

【挨拶】
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マキノノゾミ「こういう制作発表の場では緊張していることが多いんですけど、今回はリラックスしております。徹頭徹尾愉快なお芝居ですので、僕自身も稽古に入るのが非常に楽しみです。稽古場が愉快であれば間違いなく愉快な舞台になると思いますので、どうぞ楽しみにしていただけたらと思います」 

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黒木瞳「私は舞台はどちらかと言いますと苦手でありまして、あまり好きなほうではありません(笑)。でも今年この作品に出会えるということはきっと初心に戻って、もっと頑張れと言われているのではないかと自分を叱咤激励して、覚悟を決めました。でも最近、嫌い嫌いも好きのうちなのかな?と舞台をとらえております(笑)。お客様だけでなく、舞台に上がる我々も、愉快に楽しんで、はじけられたらいいなと思っています。痛快、爽快、時代劇エンターテイメント。皆さまお楽しみにしていてください」

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石黒賢「舞台の経験はあまり多くなくて、今からどうしようかと緊張しているんですけど、でも本当に面白い台本を、こんな素晴らしい劇場で出来たら、良い意味でアンバランスな感じになるんじゃないかと思って、この役をやらせていただきたいと思いました。頑張りたいと思います。どうぞよろしくお願いします。」


錦織一清「喜劇というのはお客さんを楽しませることももちろんなんですが、たぶん演じている方が楽しくなきゃ、お客さんも楽しくないと思います。だから本当に楽しんで…でも僕は楽しむのを通り越してふざけちゃったりするんで(笑)、そこはマキノさんに怒っていただきながらまた新しい自分を発見できたらと思います。よろしくお願いします」
 
 
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 中村隼人「歌舞伎以外の舞台に立つのは初めての経験で、わからないことが色々あると思うので、共演者の方に教えていただいて色々吸収しながら頑張って行きたいと思います。また台本では歌舞伎の世界とは違う、大石内蔵助と松之丞が見られたので、すごく楽しみにしております。どうぞよろしくお願いします」

記者からの質疑応答では、黒木の印象を訪ねられた錦織が宝塚時代、黒木の相手役だった大地真央との共演経験を語り「真央さんも、黒木さんも…これで俺、制覇した感じです!(笑)」と会場を湧かせたり、ラッキィ池田の振り付けに挑む中村も「外国のダンスはやったことがないのですごく緊張しています。」と自然に出た歌舞伎俳優らしい一言で、場を和ませた。

11月1日に明治座で初日を迎え26日に千秋楽。その後、12月5日〜12月20日まで名古屋・御園座、年を越えて来年3月3日〜27日まで大阪松竹座で上演される。

 

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『取り立てやお春』

作・演出◇マキノノゾミ
出演◇黒木瞳 石黒賢 錦織一清 波乃久里子 渋谷天外 中村隼人 ほか

●11/1〜26◎明治座

●12/5〜20◎御園座

●2011/3/3〜27◎大阪松竹座

<料金>

明治座 A席¥12,000 B席¥5,000

御園座 1 ¥12,000 2 ¥7,200 3 ¥3,600

大阪松竹座 一等席¥12,600 二等席¥7,350 三等席¥4,200

<問い合わせ>

明治座 03−3666−6666(明治座チケットセンター10:00〜17:00)

 

 

【取材・文/岩見那津子】


自分の内側への旅。『ハーパー・リーガン』

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ハーパーという中年にさしかかった1人の女性の、これは内面の旅を描いた物語である。

主人公のハーパーは旅に出る。家庭も仕事も放り出して。
父親が死にかけているというやむにやまれぬ思いがあるとしても、それは彼女にとって、いつかはしなければならない旅だった。
物語は、死を前にした父親に会いに行きたいと考えたハーパーの、それから2日間の出来事を、行く先々で出会った相手との対話形式で展開していく。


ハーパーの出奔のいわばきっかけになる休暇を与えようとしない支配的な上司、受験期でナーバスになって母親と対立する娘、幼児ポルノを撮っていたという疑いで仕事に恵まれず屈託のある夫。
そんな息詰まるような日常の中で、ふと口をきいた1人の少年とのやりとりや、頭を直撃しそうになったビルの瓦礫が、ハーパーの心を突き動かし、一気に父親のもとへの駆り立てる。だがハーパーが着いたときには父親は亡くなっていた。深い喪失感、そこから本当の意味でのハーパーの心の旅が始まる。

父親の病院を出てから、ふらっと立ち寄った朝のパブで、彼女は酔っぱらったジャーナリスの男から革ジャンを手に入れることになる。それまで地味で目立たない身なりだった主婦のハーパーが、身に添わない革ジャンをまとったときから意識的な変化が始まる。
出会い系サイトで知り合った中年男とホテルに行き、美しい少年に彼のあとをつけていたと告白する。一見、性的には抑圧的にも見えたハーパーが、次第に周囲にとってもセクシャルな存在になっていくのが興味深い。 

小林聡美のハーパーと母親役の木野花以外の出演者は、それぞれ2つの役をかけもちしていて、たとえば夫役の山崎一は出会い系サイトでハーパーとホテルに行く中年男も演じていたり、娘のサラ役の美波は病院で父親を看取ってくれた看護師にも扮している。その役割り分担が、演じる2つの役の本質を照射し合って、そこからまた見えてくるものがあって面白い。

結果的には、ハーパーは自分の家庭に戻っていき、娘や夫との関係を新たに始める。もう以前のような良い妻であり母ではないハーパー。だからこそ築ける新しい関係があることを示唆して物語は終わる。

人間同士を結びつけているさまざまな関係性と、それゆえの孤独や揺れを提示するサイモン・スティーブンスの翻訳劇を、長塚圭史が演出。構成も美術も、演じ方も、シンプルにそぎ落とされた空間だからこそ、会話と感情がくっきりと浮かび上がり、観る側にも深く問いかけてくる作品だ。

 

 

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『ハーパー・リーガン』

作◇サイモン・スティ−ブンス

演出◇長塚圭史

出演◇小林聡美、山崎一、美波、大河内浩、福田転球、間宮祥太郎、木野花

●9/4~26◎パルコ劇場  

●9/29◎水戸芸術館ACM劇場  

●10/2〜3◎梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ

〈料金〉

東京/7500円

水戸/S席6500円 A席6000円 B席4500円

大阪/S席7500円 A席5500円

〈問合せ〉

東京/パルコ劇場 03-3477-5858 http://www.parco-play.com/web/stage/information/harpar/

水戸/水戸芸術館 029-227-8123

大阪/キョードーインフォメーション 06-7732-8888

 

【文/榊原和子】

早乙女太一の剣が舞う公開殺陣稽古。『薄桜鬼 新選組炎舞録』

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テレビアニメとして今年4月に放送され話題となったゲーム『薄桜鬼』が、若手女形役者として人気の高い早乙女太一主演で舞台化されることになった。
『薄桜鬼』は、
08年に発売され女性ユーザーからの支持が高い恋愛アドベンチャーゲーム。新選組の土方歳三と、父親を捜す蘭方医の娘、雪村千鶴の出会いをきっかけに、新選組の男たちの夢と生き方を描いていく。

主演の早乙女太一は、大衆演劇の劇団朱雀の二代目座長として、その美しい女形ぶりや見事な立ち回りなどが魅力の役者だが、昨年は劇団☆新感線に客演して好評を博すなど、そのフィールドを広げている。また他の出演者としては、映像や映画でも活躍している黒川智花や木村了、そしてロックバンドORANGE RANGEのボーカルRYOなどが共演する。

今回の舞台は10月1日から17日まで天王洲の銀河劇場で上演されるが、公演に先だって、9月7日、都内の稽古場で殺陣稽古の様子が、取材陣に公開された。

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【囲み会見の挨拶】

早乙女太一「僕は土方歳三をやります。稽古の最初の1週間くらい出られなかったんですが、稽古場がすごく和気藹々としてて熱気があって楽しくやらせていただいてます。メンバーが若い人ばかりですから、すごく刺激を受けてます。新しい時代劇という感じの芝居だと思いますので、1回1回大事にやっていきたいです」

黒川智花「私は雪村千鶴という女の子です。周りが男のかたばかりで最初は緊張したのですが今はもう慣れました。あと目の前で着替えされるのにびっくりしました、できればそれはやめてほしいなと(笑)。殺陣は、間違えたら刺すと先生に言われてますのでがんばります」

木村了「早乙女くんたち新選組の前にたちふさがる風間千景です。楽しいですし、みんな仲いいです。太一くんとの殺陣が多いのですが、その楽しさが見てるかたに伝わればいいなと思ってます」

川岡大次郎「僕は山南敬助という新選組の副長です。のちに物語のキーになる役でも登場します。太一くんと了くんは息が合ってるみたいで殺陣も楽しそうにやってますね。僕もここまで殺陣が満載なのはめったにないと思いますので、太一くんに負けないようにがんばります」

RYO「僕は新選組と戦う天霧です。初舞台なので、最初は何もしゃべれないなくらい緊張してたんですが、本当にみんなが気軽に声をかけてきたくれたりするので、今はもうすっかり仲良く楽しくやれてます」

すでに食事会もしたというメンバーたち。太一が「コーラの一気飲み」を7杯もやってくれたと、和やかなムードがいっぱいだ。会見のあと公開殺陣稽古が始まった。


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●まず稽古場では「1場」の殺陣。

森の中を、新選組の土方歳三(早乙女)、沖田総司(窪田正孝)、藤堂(武田航平)、斎藤(中村倫也)、原田(橋本淳)、近藤勇(坂本爽)、永倉新八(中村誠治郎)、山南敬助(川岡大次郎)などが歩いていると、突然不逞の浪士に襲われ乱戦になる。そこに千鶴の父、雪村綱道(木下ほうか)が現れるという設定。

殺陣師の諸鍛冶裕太による立ち回りの段取りを聞いて、それぞれ、その通りに動いていく。稽古場全面を使っての斬り合いは迫力満点。不逞の浪士たちは斬られたはずなのに、次々に起きあがり襲ってくる。そこに現れた土方役の早乙女太一は、鮮やかな剣さばきで、浪士たちを切り捨てていくというシーンだ。

短いリハーサル時間なのに、段取りは完璧。それだけでなく土方の殺気さえ漂わせるところは、さすが早乙女太一ならではである。

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次は「6場」の稽古。

土方と千鶴が剣の稽古をしていると、2人の前に鬼の風間千景(木村了)天霧九寿(RYO)不知火匡(伊崎右典)が現れて斬りかかってくる。そこへ沖田、藤堂、斎藤、原田、永倉が現れて応戦する場面。

千鶴の夢のシーンから始まり、土方との会話が交わされる。そして千鶴と剣の手合わせをする土方。黒川相手の立ち回りとはいっても、動きの鋭さや形の決め具合が揺るぎない。

他の役者たちに殺陣がつけられているときは、他の役者たちの動きを位置を変えて見たり、黙々と自分の動きを繰り返したりと、太一の研究心は相変わらずだ。その磨きに磨き抜かれた立ち回りの魅力を見せてくれる公演本番が楽しみである。

 

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『薄桜鬼 新選組炎舞録』

演出◇キムラトシヒロ

脚本◇毛利亘宏

出演◇早乙女太一、黒川智花、木村了、RYO、川岡大次郎、窪田正孝、武田航平、中村倫也 他

10/117◎天王洲銀河劇場

〈料金〉S席8500円 A席5500

〈問い合わせ〉オデッセー 03-5444-6966

 

【取材・文/榊原和子】

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