稽古場見学、記者発表、インタビューなどから、近々公開される作品のおもしろさを探ります。

『ハンサム落語第十幕』

『イロアセル』レビュー&インタビュー

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新国立劇場で【美×劇】シリーズの第2弾『イロアセル』が公演中である。
 

古典2つにはさまれた唯一の新作で、倉持裕が書き下ろし、演出は鵜山仁。
キャストは藤井隆、島田歌穂、加藤貴子、剣幸、ベンガルなど多彩な顔が揃った。

劇作家で演出家でもある倉持裕は、どこかシニカルで醒めた目線で現代を俯瞰し、この世界の不条理をやや苦めのユーモアをまぶして描き出してみせるが、今回も「情報」という切り口から人間と現代社会を風刺している。
 

物語は、ある小さな島。その島民の言葉には色があり、それぞれ異なる固有の言葉を持っている。いつどこで発言しても、その色によって誰の言葉かが特定できてしまう。そのためこの島の住民はいつも慎重に発言し、決してウソをつかない。ある日、丘の上に檻が設置され、島の外から囚人と看守がやってくる。この男たちとの会話は無色透明で色が着かない。やがて島民が次々に面会にきて、打ち明け話をしていく。


島民の言葉である「色」を映し出すのは、舞台上方にある白く円いスクリーンで、そこにさまざまな色が映り、うごめく。濃い色、薄い色、汚い色、綺麗な色、強い色、弱い色…言葉が視覚化されて発言者が特定される、そのことの面白さとともに恐怖がひたひたと迫ってくる。

そして思い至るのは、言葉を特定されないでしゃべることの自由と無責任さ、特定されながらしゃべることの責任と不自由である。そのせめぎ合いは永遠のテーマであり、同時にインターネットやTwitterに代表される個人レベルの発信情報が、世界に拡散していく現代社会とその危うさを想い起こさせる。

そんなテーマを寓話的に突きつけるこの物語のエピローグは、ちょうど先頃終わった1人の独裁者の時代と重なって、実に衝撃的である。


囚人の藤井隆は島民を虜にするカリスマ性があり、看守らしい距離感が程よい小嶋尚樹。島の村長の剣幸と議員の木下浩之の尊大さと卑小さのバランス、独占企業の社長のベンガルと下請けの花王おさむの戯画化された面白さ。「カンチェラ」選手の加藤貴子と高尾祥子の島を背負わされる屈託。そして情報で殺された女の島田歌穂、良心に悩むカンチェラ審査員の松角洋平など10人の出演者たちは、ファンタジーな足場に立脚したこの物語世界を、自然に日常的に生きてみごとだ。



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【囲みインタビュー】

 この作品の初日前に公開舞台稽古が行なわれて、藤井隆、剣幸、島田歌穂の3人が記者のインタビューに答えた。


ーー自身の役どころと今回の舞台の見どころをお願いします。

 

藤井 囚人の役をやらせていただきます藤井隆です。意気込みですが、出演者にわりと大人が多くて(笑)、本当に穏やかに進みまして、早くもう本番にならないかな、なんて声もちらほらしております。一生懸命頑張りますので、是非お越しいただけたらと思います。よろしくお願い致します。

島田 ナラという前科のある女の役をやらせていただきます、島田歌穂です。今回は前科のある女ということで、どんな前科だったのか、台本の中では具体的に書かれていなかったので、本当に謎ばかりの役どころです(笑)。本当に藤井さんを中心に穏やかに、本当に素敵なカンパニーの皆さんの中にいながらも、一人ずっと悩み続けて本日に至ってしまった感じです(笑)。でもこの作品を信じて、カンパニーの皆さんとスタッフの皆さんを信じて、しっかり頑張っていきます。 

 大人というか、平均年齢をあげている…

藤井 そんなことないです(笑)。

 囚人がやってくる島の町長のネグロという役をやらせていただいておりますが、島の人たちには色が付いているという作品で、その中でも最も濃いであろう黒の5番という役をさせていただきます。この、色が濃いということが特権として政治家というか、力のあるところなのですが、それが色々な事によって崩壊していく様が、とても面白く不思議に描かれていると思います。それを皆で作り上げてピークへ持って行こうと思っています。

 

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ーー藤井さん、島田さん、剣さんは初共演だと思いますが、お互いの印象は?

 

藤井 剣さんは本当にコントロールが素晴らしく、なんて僕が言うのも失礼なんですけれども、普段はすごくご陽気だったりとか…。

 ご陽気!?(笑)

藤井 普段はデニムを履かれて稽古場に来られたりとか、そういうところから始めて。

 すいません(笑)。

藤井 いや、やっぱり勝手なイメージがあったので、本当にフランクに話してくださったりとか、ポテトチップスが好きだったりとかね…「え!?召し上がるんですか?」なんてお話しをしたりとかしましたね。ちょっと、どうするか迷っていたらヒントを下さったりして、台本では分からなかったことがすごくクリアになりますね。やっぱり台本の読み方から違うのかなあと思ったりして、すごく尊敬しました。そして歌穂さんは、もう本当に華やかなキャリアをお持ちなのに、先ほどご自身で迷っていらっしゃるとおっしゃっていたのですが、迷うというかセリフの一行一行と向き合って掘り下げるというか、詰めていく作業をされていましたね。稽古場で、横の席にいる僕なんかはテーブルの下に雑誌があったり、甘納豆があったりとかして(笑)。そういうことが申し訳ないくらい真摯に向き合っていらして、反省しました。今回はお菓子を食べながらだったりして活かせなかったのですが、もしまたある時にはその歌穂スタイルを見習って(笑)。

島田 私も甘納豆いただきましたよ(笑)。

藤井 (笑)優しい方ですよね、そういうのも受け取って下さって。出演者の方々と一緒にご飯を食べに行かせていただいた時には、ご自身の心情を吐露されながらロックでどんどん飲まれていく姿が…。
島田 あははは(笑)。飲みすぎました…。 

藤井 いえいえ、とんでもないです! 体調管理とかも含めてすごくこう、ピュアなのかなと思ったら意外とロックが進んでいらっしゃったので、もう本当にプロフェッショナルな方で、次の日なんて稽古は休みでしたけど、また合流した時には全くそんなことも見せずに、クリアにされるので頭が下がる思いでした。 

島田 次の日は本当に反省して(笑)。

藤井 とにかく、出演者の皆さん大先輩ばかりでそれぞれのやり方があって、普段知ることの出来ないことなので本当に良い経験をさせていただきました。


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ーーちなみになんのロックだったんですか?

 

藤井 言っていいですか? 焼酎でした(笑)。

島田 芋の…(笑)。 

藤井 5、6人で飲んでいて一本空いちゃって。

島田 皆さんで飲んだんですからね。もうこの話はいいから(笑)。

 もちろん藤井さんはテレビでは拝見していて、昔からすごく好きでした。この作品の中で一番大変な囚人さんで、他の役それぞれに対応して心を解いていくという様がとても自然なのと、藤井さんの中に引き出しが一杯あるから、あの小さな檻の中だけで、ものすごく表現していらっしゃるので、すごいなあと思います。やはり、生の現場でやっていらっしゃる方の感性というか、持っているもので、全部藤井さんがこの芝居を引っ張っていっていると思います。私たちの役は囚人に会いに行って、解きほぐされて自分たちが変わって行くので、藤井さんが発信する側なんです。とても見事に演じられていて、皆さんにもお気遣いいただいて、私がポテトチップスが好きだと言ったら3袋も買ってきてくれました(笑)。そういう配慮とかも心得ていらして、本当にすごいなと思っています。

島田 もう剣さんが全ておっしゃって下さいましたので(笑)。あ、こういう方にはお会いしたことないなっていうくらい、本当に素敵な方です。とても謙虚で、心配りもされるんですけど、時々お稽古の合間に気づくと踊っていらっしゃったりするんですよね(軽く踊る)。何かの練習なのかと思ったら趣味で「少女時代」の振りを踊っていらっしゃったんです(笑)。大変な役でいらっしゃるのに、持ち前の感性で力を抜いて演じられていましたね。最初から藤井さんの世界が見えていました。藤井隆、ここにありというかんじです。
 

ーー今回はスクリーンに色が映し出されますが、演じられる上での苦労は?


 色に関してはスタッフの方がやってくれるので特に苦労はしないですね。

藤井 言う言葉のボリュームや感情が、映し出される色のサイズなどにも反映されるし、一度も同じものではないので、観ていて面白いんじゃないかと思います。またその色が邪魔になったり、楽しくなったりもするのですごく不思議な舞台だなと思います。家では子供がいたりしてなかなか台本を覚えられないんですけど、演出の先生にそろそろ覚えましょうかって言われて(笑)読んでましたけど、妻が驚いてましたね。

  

ーー最後に意気込みを

  

藤井 怪我の無いように、千秋楽まで頑張りたいと思います。アクセスもいいので、観劇後もご飯が食べられますし、来る前も来た後も楽しめる新国立劇場の『イロアセル』に是非いらして下さい! よろしくお願いします。 


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『イロアセル』
●10/18〜11/5◎新国立劇場 小劇場
作◇倉持裕 
演出◇鵜山仁
出演◇藤井隆、小嶋尚樹、島田歌穂、剣幸、木下浩之、ベンガル ほか
〈料金〉A席5250円/B席3150円/Z席1500円
〈問合せ〉
ボックスオフィス 03-5352-9999
http://www.nntt.jac.go.jp/play/


【インタビュー取材・撮影/冨田実布  レビュー/榊原和子】

宮藤官九郎スペシャルインタビュー

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今冬、岩松了の書き下ろし最新作『アイドル、かくの如し』に出演する宮藤官九郎。ウーマンリブ『サッドソング・フォー・アグリードーター』での共演に続き、本年2作目のコラボにあたる。
「演劇ぶっく」154号(11月9日発売)の記事に先がけて宮藤官九郎が語る「岩松了とのエピソード」とは−−。

岩松了の「意外な発見」

ーー『サッドソング・フォー・アグリードーター』に関して、岩松さんとの思い出をお聞かせ下さい。
 (宮崎)あおいちゃんと恋人同士ということをすごく気にしていて、「普段からそういう風に振る舞ったほうがいいんじゃないか」って、稽古場によくお菓子を買ってくるんですよ。で、実際隣同士に座ってもらったんですけど、あおいちゃんもお菓子を買ってきていて、「これ美味しいね」とか言いながら2人で食べる。それをちょっと離れた所から松尾(スズキ)さんが冷ややかな目で見ているという(笑)。すごく不思議な空気でしたし、そういう意味ではほんと打ち解けていましたね。岩松さんを演出するのは久し振りだったんですけど、リラックスしてやれました。楽屋でもずっと一緒でしたし、本番中に飲みに行く時も、だいたい岩松さんと荒川(良々)君と少路(勇介)と俺で飲んで、たまに松尾さんが来たり。

ーー宮藤さんと岩松さんは、そういう席でどんなお話を?
 普通の話ですよ。あの映画が面白かったとか、昔話とか。どうしても松尾さんとの比較になっちゃうんですけど、岩松さんと松尾さんは一回り世代が違って、更に僕もその一回り下なんです。世代が違うのもあるんですけど、岩松さんって意外と体育会系なんですよね。この2人の違いはそこだなって。タフなんですよねぇ岩松さん。体育会系って言うと語弊があるかな? 「労働者っぽい」とか?(笑)。労働が似合うというか「飯いっぱい食って今日も働くぞ!」みたいな感じがあって。あんな繊細なお芝居を作っているのに、そうなんだ〜っていうのが、意外な発見でした。

岩松演出、稽古の思い出

ーー岩松了演出作品に出演するのは『続ジョン・シルバー』(95年)以来でしょうか?
 そうですね。その時は唐(十郎)さんの本だったし、しかもその時ですら20年くらい前の芝居だったので、「アングラ芝居を、いま敢えて上演する」みたいな公演でした。それで、松尾さんの役が決まっていたから、うち(大人計画)の役者もオーディションを受けて、何人か出ることになったんですけど、その時は、とにかく出だしのシーンばっかり稽古するんですよ。毎日最初のシーンを稽古しては「はい、もう1回」って、ずーっと。僕ノドが弱いんで、気が付いたら完全に声が出なくなって。その時に、「宮藤君どうしたの? 今日声出てないね?」「すみません、枯れちゃって」「はい、もう1回」って(笑)。その印象が強くて、とにかく今一番気になっているのは、オープニングに俺が出るか出ないか(笑)。オープニングに俺がいたら大変なことだなぁ。出来れば途中から出ていきたい……って、それは言えなかったですけど。

ーーそれは「労働者っぽさ」という話題に繋がるような気が。
 うん、そんな感じがあるんですよ。考えなくていいから、やっているうちに違うものになっていく……みたいな稽古をされていて、そこはやっぱり凄いなぁと思いました。僕は考えちゃうんですよ。考えるというか、理屈に頼っちゃうというか。岩松さんの芝居を観に行って感じることなんですけど、やっぱ何か超えてるんですよね。「これをやったらお客さんは笑うだろう」とかいう部分を完全に超越しているなぁと常々思っていて。

汗をかいているか、あるいは……

ーー今回、宮藤さんと夏川(結衣)さんが演じる「古賀夫妻」が物語の中心になるそうですが、こういう場合、宮藤さんはリーダーシップを取ったりします?
 いや、全然とらないです(笑)。だから今回、ムードメーカーがいないんですよ。……いや、どうなんだろう? いるのかなぁ? 伊勢(志摩)さん以外は初めてご一緒する人ばっかりですし。逆に伊勢さんいるのが気まずい(笑)。

ーー稽古場での宮藤さん、どんな様子だと想像されますか?
 やっぱ、最初の5分に出るか出ないかによると思います(笑)。ものすごく汗をかいているか、ものすごく見ているか。でも、この間の『サッドソング〜』の時もそうでしたけど、みんな個人個人で楽しむ人達だったんで、率先して束ねてくれる人がいなかったんですよ。僕はそういう空気がとても好きなので、今回もそうなるといいなぁと思っていて。そういう意味では、岩松さんは大変かもしれませんけど、僕は気楽です(笑)。

ずっと観続けてきた岩松作品

ーー以前、演劇ぶっくのインタビューで「岩松さんと松尾さんの背中を見てきた」と仰っていたのが、とても印象的でした。
 松尾さんと岩松さんに関しては、自分でもどういう影響を受けたのかはっきり説明できないくらい……、細かく刻みすぎて元がピーマンだか何だか分からなくなるくらいの。いや、ぜんぜん良い喩えじゃないですけど。

ーーそれほど強い影響を受けている?
 はい。そこはもう完全にお客さんですからね。松尾さんの芝居は、実は最近やっと観る機会が増えたんです。自分が出ていることが多かったから観たことなくて。「面白かったよ」って言われて、「あ、面白いんだ」と実感したり。逆に岩松さんの芝居は、ずっと客として観てきた。だから、やっぱ違うんですよね。

ーー『アイドル、かくの如し』に出演することで、新しい何かを感じられるかもしれませんね。
 そうですね。岩松さんと会話をしていて、たまに置いてかれることがあるんですよ。「なに言ってるか分かんないなー」って(笑)。だから多分、俺とは全然違う感覚を持っている方だと思っています。


宮藤官九郎プロフィール

くどうかんくろう○70年生まれ、宮城県出身。脚本家、監督、俳優、ミュージシャン、etc。91年より大人計画へ参加。96年にはウーマンリブを立ちあげ、以降全作品で作・演出を担う。現在、テレビ朝日系金曜ナイトドラマ『11人もいる!』にて脚本を担当している。

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公演情報
M&O playsプロデュース
『アイドル、かくの如し』
12/8〜29◎本多劇場、2012/1/8◎梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ、1/11◎キャナルシティ劇場、1/14◎名鉄ホール
作・演出・出演◇岩松了
出演◇宮藤官九郎 夏川結衣 津田寛治 伊勢志摩 上間美緒 足立理 金子岳憲 宮下今日子 橋本一郎

M&O plays 公式サイト
http://www.morisk.com/

【取材・文/園田喬】


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D-BOYSの『検察側の証人』初日レビューとインタビュー

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若手俳優集団「D-BOYS」が、アガサ・クリスティーの名作『検察側の証人』を昭和初期の日本に置き換えて上演する舞台が上演中である。

2人組の弁護士役に瀬戸康史と五十嵐隼士。2人に弁護依頼する被告に柳下大、その妻に馬渕英俚可。検察官藤堂新之助に荒木宏文、弁護士事務所の事務員に橋本汰斗、その昔なじみのチンピラの神谷吾郎に堀井新太がキャスティングされてる。


物語は緒方と星野の弁護士事務所に、未亡人殺しの嫌疑をかけられた立花が依頼人として現れることから始まる。彼のアリバイを実証するのは妻だけ。この不利な裁判をどう闘うか、2人の奔走が始まる。そして法廷ではエリート検察官の藤堂が、この事件の担当になって2人との対決を待っていた。


冒頭は昭和初期の弁護士事務所から始まる。
緒方行長(瀬戸)と星野太吉(五十嵐)はそれぞれ個性的過ぎて仕事がうまくいかない。真面目な緒方と遊び人の星野。この弁護士2人のやりとりや性質の差のぶつかり合いが面白い。

2人の間に入る事務員(橋本)がしっかり者をきっちりと表現している。

そこに訪れる依頼人・立花洋一(柳下)の茫洋とした人物像が不思議で、物語に引き込まれる。続いて登場する立花の妻の志摩子(馬渕)は、女のさまざまな面を見せて物語のアクセントになる。

エリート検察官藤堂(荒木)は、まさに立て板に水といった様子で切れ者ぶりを表現。そのほかに殺された未亡人に仕える礒野カツ(平田敦子)、跳ねっ返りの留美子(高橋愛美)、裁判官(有福正志)、警部(若杉宏二)など、脇を固めるキャストがそれぞれ個性派ぶりを発揮している。

鈴木哲也と飯島早苗が脚本を手がけ、鈴木裕美が演出。青山劇場の盆を生かして弁護士事務所と裁判所という2つのセットを使うことで時系列がわかりやすく、リアルなセット、雰囲気あるレトロな衣裳も時代をよく表現している。


その初日を前にフォトコール(一部抜粋上演)が行われ、瀬戸康史、五十嵐隼士、柳下大、荒木宏文、橋本汰斗、堀井新太、馬渕英俚可が意気込みを語った。


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【囲みインタビュー】 
 

━━「D-BOYS STAGE」初の本格ミステリーということですが、初日を迎えていかがですか?

瀬戸 稽古最中は役者として気持ちでいけない部分が多くて、演劇的に見せるっていうのが僕のなかでテーマであったんですけど。芝居のしがいがあるというか稽古中から楽しかったですね。初日を迎えられることになって、皆様の前で芝居ができるっていう幸せを感じています。

 

━━たいへんでした?

五十嵐 たいへんでした。演出家の鈴木裕美さんがお芝居をまず自由にやりなさいっていう方だったんで、星野っていういい加減な役なんですよ。だから色々なアドリブとかも採用していただいて。楽しくやらせていただきました。

 

━━それぞれどんな役かを。

瀬戸 僕は若手の弁護士の越方行長という、堅物で法廷に立つとあまり喋れなくなる上がり症の弁護士です。

五十嵐 瀬戸くんの相方の星野太吉という役で、性格が真逆で、法廷では喋れる。だけど、調べ物一切しない。2人が揃って一人の弁護士になる、そういう役です。

荒木 2人の大学の先輩で、法廷で闘う検察官の役です。法廷で闘う。

堀井 腕っ節に自信のあるチンピラの役です。橋本汰斗くんが更正して越方・星野事務所の事務員をやっているのを、こっちの世界に戻したくて説得する役。

━━その衣裳は寅さん?

堀井 いや(笑)、寅さん的な下町の。寅さんを参考にしてみたり、寅さん記念館にも行ったことあるんで。なんか嬉しいです。


━━本格ミステリーですが堀井くん出てきたら笑っちゃうかもしれませんね

堀井 それだけはやめてね。

五十嵐 始まりは新太だからね。

柳下 僕の立花は元々は訪問販売をやっているんですけど、夫婦で一緒にやっていて。容疑をかけられたので弁護依頼に行くという。

橋本 2人の事務所の事務員さんで、2人が熱く言い争いするんですけど、それを冷静にまとめるような役です。

馬渕 容疑をかけられた立花の妻です。私が喋りだすと全部ネタバレになりそうなので…。昭和初期の衣裳着ると皆すごい可愛くて嬉しいです(笑)。


━━イケメンに囲まれてる感じも

馬渕 幸せですね。どこ見ていいか分かんないです(笑)。

 

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━━アガサ・クリスティ原作をどこをどう脚色していったのでしょうか?

瀬戸 先ず時代背景を日本の昭和初期にしたので見やすくなったという部分はすごくあると思います。バディものにしたっていうのも、変化した形。原作の冒頭に「この演劇を舞台化するうえで」みたいなことが書いてあるんですよ。この役は一人二役でもいいとか。アガサ・クリスティさんという人は役者に対して愛がある方なんだなと感じてます。若い役者がやるので、緊迫感やそういう雰囲気を作れるのか不安だったんですけれども、人間関係やその人のバックボーンが滲み出てきたりもするので、舞台としては楽しめる作品になっているんじゃないかと思います。

 

━━難しかった点や苦労した点は?

五十嵐 セリフですね、法廷ミステリーなので検察官と弁護士のセリフは難しかった。聞いたことはあるけど、ふだん絶対口にしない言葉とかが言いづらかったり苦労しました。

荒木 知らないことが多かったです。裁判所のルールだったり、法律って興味がないと深く知ろうとしないじゃないですか。知識として得なきゃいけないことが多くて大変だったし。青山劇場という大きな劇場で動きのない法廷シーンを見せるというのは、皆でひとつの絵を作らないと、お客様に伝わらないので、個々でできることが少ない。皆でやらないと成り立たないことが多くて、稽古の回数は何度も繰り返すのがたいへんでした。

 

━━堀井くんは初舞台で、どんな意気込みで稽古を続けてきましたか?

堀井 初舞台だからといって緊張してできなかったとかそういうのはなしにして、皆と同じスタートラインで一生懸命やりたいなというのを思いました。練習期間の1ヵ月半は長いと思ったんですけど、今日に至るまでに、アレこんなに短かったっけ、いろいろ稽古しとけばよかったなという点は僕自身はまだあったりするんですけど、そのなかで自分で成長していけたらいいなと思って、今日は役になりきって頑張ります。

 

━━柳下くんは見てほしいところはありますか?

柳下 僕が出来ているところは常に僕を見ていてほしい。見てて損はないので。人が喋ってても僕を見て欲しい。(一同納得)


━━それでいいですか?

五十嵐 できれば全体的に見てほしい(笑)。

 

━━汰斗くんはどこを見てほしい?

橋本 新太と二人のシーンがすごい見せ場なんで、その二人のシーンを見てほしいです。最初全然コミュニケーションがとれなくて、言葉を投げるんですけど受け取ってくれなくて。めっちゃ苦労して、新太をうちに泊めたりして、寝ずに稽古行ったり、お風呂泡だらけにされたりとかして(笑)。すごい仲良くなってコミュニケーションがとれるようになりましたね。
 

━━なんで泡だらけにしちゃったの?

堀井 泡好きなんですよ。橋本くんの家にボディソープばっかあるんで、泡だらけにしてやろうかと(笑)。

 

━━馬渕さんはどこを見てほしいですか?

馬渕 本自体がよく出来た、面白いしっかりした作品なので、最後まで観たら納得していただけることが沢山あると思うんです。あと、若いメンバーでやってることで、皆可愛いんですよ。彼らのキュートが沢山出てるので、その辺ですね。
 

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━━アガサ・クリスティですから最大の見せ場の大どんでん返しがあったりしますか?

瀬戸 アガサ・クリスティさんですから、今回もありますね。隅々まで見れば、こんなところに伏線があったのかと、二度も三度も楽しめる作品になっていると思います。ミステリーだからといって構えて見ずに、芝居を単純に楽しむ感じで観にきていただければいいかなと思います。

 

━━観にいらっしゃってるお客様にメッセージをお願いします。

瀬戸 今回、アガサ・クリスティさんの本格ミステリに挑戦します。僕たちにとっても初めての挑戦が多くて悩んだりとか考えることが沢山ありました。

アガサ・クリスティさんといえばイギリスを代表する作家で、もうひとつイギリスを代表するものとしてハリー・ポッターがあるじゃないですか。そのハリー・ポッターに負けないくらいのいい作品になっていると思うし、僕たちのバディもかなり面白いものになっているので、皆さん是非足を運んでください。


━━イバル、ハリー・ポッターって、いいんですか?

瀬戸 大丈夫です

五十嵐 舞台上で僕たちの魔法をかけます。大きく出ました(笑)。

 


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D-BOYS STAGE 9th
『検察側の証人』ー麻布広尾町殺人事件ー

原作◇アガサ・クリスティー

脚本◇鈴木哲也/飯島早苗

演出◇鈴木裕美

出演◇瀬戸康史、五十嵐隼士、柳下大、荒木宏文、橋本汰斗、堀井新太 

/平田敦子/有福正志、若杉宏二、高橋愛美/馬渕英俚可

●10/15〜23◎東京・青山劇場

〈料金〉S席7000円 A席6000円

サンライズプロモーション東京 0570-00-3337(10:00〜19:00)  

●11/3〜6◎大阪・イオン化粧品シアターBRAVA!ピロティホール

〈料金〉S席7000円 A席6000円

〈問合せ〉キョードーインフォメーション 06-7732-8888(10:00〜19:00)

公式サイト http://www.d-boys.com/d-boysstage2011/index.html
 

【取材・文/佐藤栄子 撮影/冨田実布】
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