稽古場見学、記者発表、インタビューなどから、近々公開される作品のおもしろさを探ります。

極上文學『こゝろ』

ネクスト・シアターに出演のこまどり姉妹と蜷川幸雄が対談。


こまどり24蜷川幸雄4C(正面)


彩の国さいたま芸術劇場芸術監督である蜷川幸雄が、多彩な各界のアーティストたちとトークセッションを行う、人気シリーズ『NINAGAWA千の目』。
第24回のゲストは、2月のさいたまネクスト・シアター『2012年・蒼白の少年少女たちによる「ハムレット」』に特別出演するこまどり姉妹。この伝説の「演歌の女王」をリスペクトしてやまない蜷川とのあいだに、いったいどんな話が飛び出すか!


蜷川幸雄が率いる演劇集団「さいたまネクスト・シアター」は、オーディションで選ばれた若き俳優たちで作られている。
第1回公演『真田風雲禄』
(2009年)では、現代の若者の内に潜んでいたパワーを引き出して群衆劇に挑み、戯曲世界をストレートに伝える魅力的な舞台となった。

第2回公演の『美しきものの伝説』(2010年)は、大正時代のアナキストや芸術青年たちの生き様をそのままカンパニーに置き換えた舞台が高い評価を得て、第18回読売演劇大賞優秀作品賞、同最優秀演出家賞を受賞するという快挙をなしとげた。
そして待望の第3回公演は蜷川幸雄の十八番、シェイクスピアの『ハムレット』に決定。『2012年・蒼白の少年少女たちによる「ハムレット」』というタイトルで、2012年2月20日から上演される。
 

これまで、さまざまなキャストや時代とともに変容を遂げてきた蜷川幸雄の『ハムレット』が、2012年の29名の無名の若者たちによってどのように生まれ変わるのか!

また、今回は伝説の演歌の女王「こまどり姉妹」が特別出演するが、浅草で流しの歌手として活動を始め、60年代に日本を代表する演歌歌手の座に就いたこまどり姉妹は、蜷川幸雄にとって自分の作品を照らすもう1つの目。

「上演中に突然、三味線を持ったこまどり姉妹が歌いながらくる。この時ぼくらの舞台は拮抗できるのか?」。1973年の『泣かないのか?泣かないのか?一九七三年のために?』の演出ノートにこう書いた蜷川の、演出家デビュー以来、40年越しの想いがついに実現する。



こまどり姉妹(姉・長内栄子 妹・長内敏子)

北海道釧路出身。1938年双子の姉妹として生まれる。51年、13歳で上京し、浅草を中心に流しの歌手として活動を始める。スカウトを受け、59年『浅草姉妹』でレコードデビュー。芸名を一般公募し、60年より「こまどり姉妹」として活動を開始する。61年から7年連続してNHK紅白歌合戦に出場。スターこまどり姉妹の名を不動のものとするが、73年、妹・敏子の癌治療のため、一時活動を休止。84年『浪花節だよ人生は』で活動を再開する。その後は現在まで、全国各地を飛び回りステージに立ち続け、ファンを魅了している。08年、第50回日本レコード大賞功労賞受賞。代表曲は『三味線姉妹』『ソーラン渡り鳥』『未練ごころ』『三味線渡り鳥』『石狩川』など多数。


NINAGAWA千の目 第24回

こまどり姉妹×蜷川幸雄

●2012/1/29◎彩の国さいたま芸術劇場小ホール

12時開演 約1時間 入場無料

当日は映像ホールで映画『こまどり姉妹がやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!』の上演もある

※「NINAGAWA千の目」への応募方法などの詳細は以下へ。

http://www.saf.or.jp/thousand_eyes/2012/vol024.html

 

さいたまネクスト・シアター

『2012年・蒼白の少年少女たちによる「ハムレット」』

作◇W・シェイクスピア

演出◇蜷川幸雄

出演◇さいたまネクスト・シアター、こまどり姉妹(特別出演) 他

●2012/2/20〜3/1◎彩の国さいたま芸術劇場 インサイド・シアター(大ホール内)

※大ホール舞台上の特設客席のため、客席及び椅子の形状が通常とは異なります。客席形状が決定次第、ホームページにて告知。

〈料金〉4000円

〈問合せ〉劇場 0570-064-939(休館日をのぞく10時〜19時)

http://www.saf.or.jp/arthall/event/event_detail/2012/p0220.html



【文/榊原和子】

演劇ぶっくのネットショップ【えんぶ☆ミロクル】にて

さいたまネクスト・シアター

『2012年・蒼白の少年少女たちによる「ハムレット」』

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『ア・ソング・フォー・ユー』松本紀保インタビュー

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全編カーペンターズの歌に彩られた楽しいミュージカルの幕が開いた。

12月6日から新国立劇場の中劇場で上演されている『ア・ソング・フォー・ユー』は、1970年代の熱い空気を舞台に持ち込み、今もなお全世界で愛されるカーペンターズの優しく、心地よいサウンドで綴るミュージカル。

キャストは人気と実力でミュージカルや演劇の世界で活躍するスターたち、川平慈英、春野寿美礼、吉沢梨絵、大和田美帆、羽場裕一、杜けあき、尾藤イサオ、上條恒彦などが顔を揃えている。

その作品で、春野、吉沢とトリオで歌うコーラスガール役に挑む女優の松本紀保に話を聞いた。


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【カーペンターズの普遍性】
 

ーー松本さんの役名と役割りを教えてください。
 

私はミチルという役なんですが、時代が1970年代で背景になるのが福生のライブハウス、そこでカーペンターズを歌うコーラスグループの1人で、グループは春野寿美礼さんと吉沢梨絵さんと3人です。ライブハウスで出会うのがロックバンドの川平慈英さんで、そこでいろいろなドラマがあって、それぞれの音楽への思いとか人間模様が描かれています。全編、歌とお芝居がうまく織り交ぜてある素敵なミュージカルです。
 

ーー出て来る曲はほとんどカーペンターズだそうですが?
 

そうです。とくに私たちはカーペンターズが好きで歌ってるグループですから、全部カーペンターズの曲になります。
 

ーー恋のお話もあるそうですが?
 

一応、劇中には出てくるんですが、具体的に話すとせっかく楽しみにきてくださるかたに申し訳けないので(笑)。1970年代に生きた人たちの青春のグラフィティという作品で、恋愛もあり夫婦愛もあり友情もあります。
 

ーー松本さんはカーペンターズについてはどんな思いが?
 

子供時代に観ていた深夜番組のオープニングテーマが「Yesterday Once More」だったんです。それがとても気になって母に聞いたら、カーペンターズのことを教えてくれたんす。それで聴くようになって、大好きです。
 

ーー彼らの歌のどこに惹かれたのですか?
 

皆さんも感じていることだと思いますが、カレンさんの歌声がとても素敵ですね。包容力があるというか、これは演出の菅野こうめいさんのお話なのですが、彼らのオリジナル曲はわりと少なくて、いろいろなカントリー曲とかをアレンジして世に出していると。でも、それをまるでオリジナルのように自分たちの色で歌ってしまうところがすごいんですよね。歌声の普遍性とアレンジのセンスというのでしょうか。そこが時代に関係なく、のちの時代の人にも通じるのでしょうね。
 

ーー皆さん何曲も歌われるそうですが、松本さんは?
 

7〜8曲歌ってます、みんなと一緒とかコーラスがほとんどですが。


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【歌に詰まっている人生】


ーーミュージカル出演は久しぶりですね?
 

本格的にミュージカルに出るのは02年の『ラ・マンチャの男』以来です。裏方(演出助手)ではずっと関わってはいるのですが、やはりデビュー作品以来、出演するものはストレートプレイのほうが多いです。
 

ーーご家族もミュージカルに出演されることが多いのですが、松本さんにとってミュージカルというジャンルは?
 

観るのはすごく好きです。音楽があることで溶け込みやすいというか、台詞だと少し照れくさかったり伝えにくい気持ちでも、メロディに乗せると伝えやすくなったりしますから。それに3分間くらいの曲の中にお芝居1本分ぐらいのドラマが入っている。たとえば恋人同士の出会いと別れとか、自分の生きてきた人生とか、凝縮されているものの壮大さが音楽というものの素晴らしさで、それはストレートプレイにはない要素ですし、普通の芝居を観ているときとまた違う感動があると思います。歌は聴くのも歌うのも嫌いではないので、今回のような作品に出ていると、改めてミュージカルっていいなと思います。
 

ーーまた『ラ・マンチャの男』公演がありますが、この作品で変化がありそうですね?
 

今は稽古場で皆さんに付いていくだけで必死なんですが、たぶんこの作品を経たことで自分の何かが拓けるような、そういう方向を見つけることができるのではないかと思ってます。
 

ーー稽古場の雰囲気はどんな感じなのでしょうか?
 

稽古場全体はすごく楽しい雰囲気で、でもプロフェッショナルな人ばかりですし、ミュージカルの経験の多い方ばかりですから刺激されます。とくに私は春野さんと吉沢さんと3人で歌うのですが、おふたりとも素晴らしくて、つい聞きほれてしまいます(笑)。カンパニー全体の空気感がすごくいいので、一緒にがんばっていこうという気持ちになりますね。


【稽古場が反映する舞台】


ーー松本さんは女優であるとともに演出助手のお仕事もしているわけですが、それによって特別な見方や意識はありますか?
 

舞台を観るときには、普通の1人の観客という部分を大切にしてますし、逆にそれを意識して見るようにしています。どうしても普通のお客様の見方とは違う部分はあるのですが、できるだけ全体を見るようにしているし、どんな作品でも1つはプレゼントを受け取ってこれるようにと。どんな作品でも何かを感じられるように、つねに自分の感性を開いていたいなと思っています。
 

ーー女優としても色々なカンパニーに出られて、舞台を数多く経験されていますが、舞台ならではの魅力はどんなところにあると?
 

映像をそんなに数多く経験しているわけではないのですが、一番感じるのは、同じ作品に出ているのに1度も出会わない人もいることで。違う日に違う場面を撮っている方とは、まったく出会わないままなんです。でも同じ台本を読んでいる中で、そういうキャストの方たちを考えながら読んでいく、そういう作業が映像ならではの仕事かなと。一方、舞台というのは稽古初日から一緒にスタートして、稽古から千秋楽まで、ときには家族よりも長い時間一緒にいます。作る過程も全部見えていて、ほかの方の変化するプロセスも自分の変化するプロセスも見ることができる。そういう時間の間にあったいろいろな経験が、きっと舞台上にも出ていると思うんです。そこが面白いし恐いし。そしてまた、毎日お客様の声とか拍手で変化していく。そういう過程全部が舞台の素敵なところだと思います。
 

ーーカンパニーの空気が舞台に反映するということですが、稽古場の楽しい雰囲気がきっと伝わる舞台なのでしょうね。
 

はい。カーペンターズの音楽も素晴らしいですし、素敵なカンパニーの素敵な舞台を観ていただけると思います。




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ミュージカル

『ア・ソング・フォー・ユー』

脚本・作詞・演出協力◇鈴木聡

上演台本・作詞・演出◇菅野こうめい

音楽◇久米大作

監修◇栗山民也

出演◇川平慈英、

松本紀保、吉沢梨絵、大和田美帆、杜けあき 

羽場裕一、山口賢貴、上田悠介、尾藤イサオ、上條恒彦

春野寿美礼 

●2011/12/6〜18◎新国立劇場中劇場

〈料金〉S席9500円 A席7500円

〈問合せ〉東京音協 03-5774-3030

●2011/12/21◎中日劇場

〈料金〉A席9500円 B席8000円

〈問合せ〉中日劇場 052-263-7171 

●2012/1/7〜8◎兵庫県立芸術文化センター

〈料金〉10000円 

〈問合せ〉梅田芸術劇場 06-6377-3888

●2012/1/11◎金沢歌劇座

〈料金〉7500円 

〈問合せ〉北國新聞社事業局 076-260-3581

http://www.duncan.co.jp/web/stage/asongforyou/


【文/榊原和子 撮影/石郷友仁】



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小津安二郎の名作『東京物語』が山田洋次の演出で新派の舞台に。


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新派の初春公演『東京物語』の成功祈願と制作発表が、寅さんでおなじみの柴又帝釈天で11月16日に行われた。
 

小津安二郎監督の名作映画『東京物語』は、尾道に暮らす老夫婦が主人公。2人は東京で暮らす子供たちの家を久しぶりに訪ねるが、長女も長男も忙しさにかまけてかまってくれない。そんな2人をいたわり面倒をみてくれたのが戦死した次男の妻だった。

戦後の復興の中でいつしか失われていった大家族という形、きめ細かな情や優しさ、そんな日本人の原風景をさりげなく描きながら、背中合わせにある死の無常観を漂わせる傑作で、今もなお愛され続ける小津監督の代表作の1つである。
 

今回の初春新派公演『東京物語』は、映画監督の山田洋次が演出を手がけ、出演は水谷八重子、波乃久里子、安井昌二、英太郎、瀬戸摩純、そして劇団新派の俳優たちによって上演される。

小津作品を新派で山田洋次が演出するのは、2年前の『麦秋』に続いて二度目で、この『東京物語』は監督生活50周年を迎える記念作品ともなる。映画としても同時にリメークする予定だったが、震災のため中止になり、来年3月から撮影開始の予定となっている。

この日の成功祈願は山田洋次監督、水谷八重子、波乃久里子、安井昌二、英太郎、瀬戸摩純が参加。

まず柴又駅前にある寅さん像の前から出発、草団子でおなじみの店などが連なる帝釈天までの参道をお煉り。沿道の商店や観光客から拍手が送られた。

帝釈天では成功祈願の祈祷を受け、その後、境内にある会館で記者とのやり取りが行なわれた。

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【コメント】

 

山田 第二の故郷の柴又でこういう制作発表ができて嬉しい。一昨年の『麦秋』が楽しかったのでもう一度小津さんのものをやろうと思いました。今年はとくに、人との絆を感じたし、ひどい目に遭った時に助け合う日本人であることの大切さを感じた。明治、大正、昭和と苦しい時代を生きた人たちのことを見ていただき、何かをお持ち帰りいただきたい。内容はほとんど変わりません。登場人物も物語の移り変わりも映画のままです。一家は尾道の人というのは同じですが、お母さんは舞台では東京の旅先で亡くなることにしました。原作に出てくるのは荒川区なんですが、僕は江戸川沿いが馴染みがあるので葛飾の金町を舞台にしています。常磐線の列車の走る音なども聞こえて来る。また次男の嫁の紀子の故郷を石巻に設定しましたが、常磐線は東北に行っている。そのことによりお客様に思い起こさせる何かがあるのではないかと思います。


水谷 山田監督に付いていきます。小津作品を山田洋次先生が演出される新派の世界が、これから先もどんどんシリーズとして続いていってほしいです。


波乃 監督と巡り会えたことは有り難いと思ってます。新派を愛してくださればこそやってくださる、この機会を大事にしたいと思います。先ほどお賽銭をいっぱいあげてきたので、きっと御利益があります(笑)。


安井 小津監督の作品には26か27くらいの頃に出たことがあります。『麦秋』も『東京物語』も人の心を描き、夫婦愛や絆、そういったものをお伝えできればいいなと。笠智衆さんの、あののほほんとした感じとは正反対ですが、そういうものが出せるよう監督におまかせしたい。


 近所の小料理屋の女将です。すごく楽しみですが怖くもあります。『麦秋』から2本目ですから、先生の細かい指導を楽しみにしております。


瀬戸 原節子さんが演じた次男の妻、紀子役で、本当にプレッシャーで眠れなくて、どうしようかと思いましたが、あまり考えないようにして(笑)、自分なりに頑張ります。



東京物語チラシ表面東京物語チラシ裏面

新春新派公演 三越劇場提携

『東京物語』

脚本・演出◇山田洋次(小津安二郎・野田高悟「東京物語」より)

出演◇水谷八重子、波乃久里子、瀬戸摩純、安井昌二、英太郎 ほか劇団新派

●2012/1/2〜24◎三越劇場

〈料金〉8500円(全席指定・税込)

〈問合せ〉チケットホン松竹 0570-000-489 

http://www.shochiku.co.jp/shinpa/pfmc/1201/


【取材・文/榊原和子 撮影/冨田実布】

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