稽古場見学、記者発表、インタビューなどから、近々公開される作品のおもしろさを探ります。

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上川隆也の『隠蔽捜査』と『果断・隠蔽捜査2』とは?

隠蔽捜査

人気警察ドラマ『ハンチョウ』(TBSテレビ系)で知られる今野敏が描く警察小説を、魅力的なキャストで舞台化するのが、今回の『隠蔽捜査』と『果断・隠蔽捜査2』。
「エリートは、国家を守るために、身を捧げるべきだ」という信条で、国家を守るため組織を揺るがす連続殺人事件に真正面から対決してゆく警察キャリア官僚・竜崎伸也。
今の世の中にこんなヒーローがいてくれたなら…。そんな思いを抱かせる真正直で不屈の闘いをする主人公を、上川隆也が演じる。


原作を書いた今野敏(コンノビン)は、1955年北海道生まれ。
上智大学在学中の1978年に「怪物が街にやってくる」で問題小説新人賞を受賞。会社勤務を経て2006年『隠蔽捜査』で吉川英治文学新人賞を受賞。2008年『果断ー隠蔽捜査2ー』で山本周五郎賞と日本推理作家協会賞を受賞している。
伝奇、SFなど幅広いジャンルを執筆し、近年は質の高い警察小説の書き手として人気を博している。またこの『隠蔽捜査』はシリーズは外伝も含めると5冊刊行されていて、今回は1作目と2作目の上演となる。


シリーズ1作目である『隠蔽捜査』は、連続殺人事件という警察機構を揺るがす事件を描くなかで、独特の信念と自負心を持つ東大卒の警察キャリア官僚・竜崎伸也が、揺るぎない精神力と清らかさで、国家危機、治安そして警察全体の信頼のために立ち向かってゆく。
 

シリーズ2作目にあたる『果断・隠蔽捜査2』は、その竜崎が家族の不祥事により、警視庁第二方面大森署署長へと左遷。そして直面した「立てこもり事件」から物語が展開する。解決したかにみえた事件が実は…というなかで、竜崎の新たな闘いがはじまる。


この竜崎役を演じるために生まれてきたような上川隆也という俳優を得て、今回は一気に2作品を舞台化。『隠蔽捜査』と『果断・隠蔽捜査2』の交互上演という画期的な試みを行なう。
1と2は、内容の連続性はあるものの、それぞれ個別の完結した物語としても十分楽しめるものになっている。



『隠蔽捜査』『果断・隠蔽捜査2』

原作◇今野敏(新潮社刊)

脚本◇笹部博司

演出◇高橋いさを

出演◇上川隆也、中村扇雀、板尾創路、近江谷太朗/平賀雅臣、朝倉伸二、小林十市、斉藤レイ 他

●10/19〜30◎シアター1010

〈料金〉S席8500円/A席6500円/プレビュー公演S席7000円/A席5000円

〈問合せ〉シアター1010チケットセンター 03-5244-1011http://www.t1010.jp


演劇ぶっくチケットhttp://www.enbu.co.jp/kick/mirokuru/

 

『白夜−BYAKUYA−』奥秀太郎×黒田育世インタビュー

(左)奥秀太郎(右)黒田育世
観客もうっすらと月が浮かんでいるのを見つつ、ひんやりとした夜風を感じつつ…の野外公演。10月1日と2日の2日間、奥秀太郎が定期的に行っている舞台公演が品川にある原美術館で行われた。タイトルは『白夜−BYAKUYA−』。舞台美術もなにもないそのままの建物の外壁に映像を映し出すことで様々なシーンを構成した。
映し出されたモノトーンの映像と共にストーリーが展開していき、その中心で黒田育世が踊るというなんとも贅沢な公演。美術館という場所が放つ空気や、足元の芝生の感触、周りの人の呼吸、映像、風…全てのものに身体が素直に反応し、それが踊ることに真っ直ぐに繋がっている、自然に溶け込んでいくような黒田のダンス。最後の一つ見せ場となるダンスシーンの際に、それまであまり吹いていなかった風が急に吹きはじめたのには「この人は風まで味方に付けるのか!」と驚いたと同時に鳥肌が立った。
秋のはじめの落ち着いた空気が似合う、ちょっと物悲しいような、でも洒落た、大人っぽい雰囲気の漂う作品となっていた。

▼静と動、次々と姿を変える黒田のダンス
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公演は終了してしまったが、稽古中に奥秀太郎と黒田育世の二人に話を聞いたのでご紹介する。

体験しているからには、やろう

──まずは簡単にストーリーを教えて下さい。
 日本で働いていたアメリカ人の男性が、パン工場で知り合った日本の女性と付き合っていて、でも彼はとあるタイミングで彼女を置いてアメリカに帰ってしまう…その間に地震が起こり、彼女が行方不明になるんです。それを聞いて彼はアメリカから日本に来て…というそんな話です。

──地震、というと、やはり3月の東日本大震災が影響している?
 体験しているからには、やろう、と思いました。地震が起こる前というのは自分が作る映画でも舞台でも警告というか、絶望だったりを全開にしていたのが、それを今更やる意味がなくなってきてしまって。だったら、そこを通過したあとに、どうするんだ?みたいなことができたらいいなと。地震が起こっても、なお力強く残っている場所というイメージが原美術館にもあったんです。芝生があって、建物があって…。外で作りたいという気持ちを抱き始めていたところに、この機会が重なりました。生き残った場所を自分たちの作品で、少しでも違う方向に変えていくことができたらな、と。これからも劇場じゃない所でなにかをやるというシリーズをやっていきたいという思いはありますね。

一面に花が広がったり、パン工場、教会になったりと映像で次々と場面が変わる
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やり放題の限界から大人の遊びへ

──黒田さんと奥さんの出会いは?
黒田 私が野田秀樹さんの『ザ・キャラクター』(10年)という作品の振付として参加させていただいていて、その時に映像を担当していた奥さんと初めてお会いしました。私は稽古場にほぼ毎日お邪魔していて、奥さんも結構来て下さっていたので。

 黒田さんの振付のシーンと映像が重なるところが多かったんですよね。「神」っていう字がポイントになる場面とか、秋葉原のシーンとか。その後、また野田地図の『南へ』(11年)でもご一緒して、2月にPARCO劇場でやった『サウスオブヘブン』という僕の作品に出演していただきました。それがまた絶望度MAXみたいな作品だったんですが(笑)。

黒田 でもこの間、奥さんが監督された映画の試写会にお邪魔したんですが、すっごく面白かったんですよ。怖がらない、帳尻あわせをしない。「ここまでやっちゃうと受け入れられなくなるかな?」とか、そういうのがないんです。ご自身のやりかたを引っ込めないからすごく気持ちが良い。舞台だと実際にはできないことを、映画だとやれちゃうから…もうやり放題ですよね(笑)。

 あはは(笑)やり放題。映画的には相当やり放題の限界までいってしまったので、今回の舞台では“大人の遊び”ができたら良いなと思ってます。何かパフォーマンスをやって、そういうものを通してみんなが遊べる状況ができたらいいな、と。学園祭よりはもちろんそれぞれの表現の質は上げていきますが、でもそんな感じでお客さんと一緒に色々楽しめたら。

家に遊びに来てください

──黒田さんが踊られると一瞬で物語が広がるというか、とても印象的でした。振りは即興で?
黒田 映像に反応している状態ですかね。もちろんお芝居で紡がれている所に乗って踊っているところもありますが、コラボレーションですね。さっきの稽古では花柄のライトに反応して…コラボレーションというか、バンド…バンドみたいな感じですね。

──そのバンドの一つとなるのが映像ですが、建物などに映像を映すプロジェクションマッピングという手法については?
 2008年に上演した『黒猫』という作品などでも使っている手法だったんですが、でもその当時は「プロジェクションマッピング」という言葉はなかったですね。宝塚の映像もやりますが、宝塚だと『カサブランカ』(09年、宙組)や『太王四神記』(09年、花組/星組)あたりもまさにですし、野田秀樹さんの作品だと『THE BEE』(07年)も技としてはマッピングと同じです。海外では宣伝広告などでも使われるようになったりと広く出始めた中で、だったらもう少し表現としてできないか?と。更にそれが野外劇じゃないですけど、そういうところと繋がっていったらどうなるかと思いまして。

──奥さんの映像、台詞の世界と黒田さんの踊りの世界がコラボレーションすることへの期待を最後に。
黒田 私はすごい緊張魔というか、あがり症なんです。でもそれってきっとお客さんを怖がっていたから緊張していたんだなと思って。お客さんは敵ではなくて、仲間でもあり、まず同じ人間だから。「魅せる」ってことよりも「一緒にいてもらう」という気持ちで作っていきたいです。稽古をしていても、芝生の空間、美術館の空間に一緒にいてもらう感覚があるし、本番ではお客さんも一緒にいてもらえたらいいなぁと。

 黒田さんがよく「家に遊びに来てください」って言ってくださるんですよ。そんな風なことをお客さんにも言えたらいいなって。地震の表現もありますし、観た方がどう思うかはわからない部分もありますが、やらないでいるより一度そこに触れた上で、そこからみんなでパーッと進んで行った方が面白いはず。そういうことが今言った「遊びに来てください」っていうような感じで、スタートできたらな、と思っています。

 
▼影が手紙を綴っているように見える、綺麗なのが哀しい場面
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▼縋りついてもすっと離れていってしまう。これがまた切ない。
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原美術館
Projection Mapping+Performance Vol.1
『白夜−BYAKUYA−』

作・演出・映像◇奥秀太郎
振付・出演◇黒田育世
音楽◇松本じろ
出演◇ 黒田育世/チャド・マレーン/亜矢乃/畠山勇樹/續木淳平/幸田尚恵/鈴木雄大/あらいまい/中本昂佑/森 一生/青木伸仁/富樫実生/馬屋原彩咲/賀本 航

●10/1、2◎原美術館

原美術館 http://www.haramuseum.or.jp/generalTop.html
OKU SHUTARO OFFICIAL WEBSITE http://www.okushutaro.com/



【取材・文/岩見那津子】

演劇で社会に貢献するために・舞台芸術集団 地下空港 伊藤靖朗インタビュー

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リーマンショックに想を得て、東京の中野区にギリシア神話の巨人がやってくるという音楽劇『巨人たちの国々』を上演した舞台芸術集団 地下空港の伊藤靖朗。私たちを取り巻く社会の問題を寓話的に転換し、エンタテインメントに可視化を試みる彼の作品が小説になったという。
舞台の小説化とは!? 演劇集団 地下空港とは!?


ーー小説化のいきさつを教えて下さい。

2009年に中野の劇場で上演した『轟きの山脈』を観て下さった日経新聞社の方が、全国紙夕刊の人物紹介コラム「フォーカス」というコーナーで紹介してくださり、その記事を読んだPHP研究所の方が、2010年に上演した音楽劇『巨人たちの国々』を観て、ぜひ小説化をと言って下さいました。

ーー小説化は大変そうですが・・・。

はい。一年かかりました。本文中の書体を変えたり、小説でここまでやっていいのかというチャレンジをさせていただきました。そもそも劇団公演では、観客を参加者にする仕掛けを作って上演していますので、小説にすることはそこからしないと意味がないと思い、いろいろ工夫をしてあります。もしかするとどこかからか、お叱りを受けるかも知れませんが。

ーー目次や注意書きなどちょっと面白そうですね。前から気になっていたのですが、地下空港という名前の由来を教えて下さい。

地下をのぞくと飛行機がゴーッと飛び立つようなイメージで。ぼくは空港がとても好きなんです。空港って、各国の女性たちがいい香水を使っていて、いいにおいがするんです。いろんな発見があって、言葉が通じなくて大変なこともあるけど、わくわくする場所だと思っていて。観ていただいたお客さんに、そんな気持ちになってもらえるといいなと思ってつけました。

ーー次回公演のご予定は?

次は12月を予定しています。今、自分が震災や原発問題を経て感じていることを劇にしないわけにいかない、と思ってタイトルを決めました。『増殖島のスキャンダル』。どこまでどう描こうか、これから1月かけて書き上げる予定です。

ーー最後に小説ついて一言お願いします。

かなり過激な方法論を用いた、危険なエンタテイメント小説です!中野の街が大変なことになります。小劇場発、今の日本を写し出す長編ファンタジー、ぜひぜひみなさまチェックしてみて下さい!

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伊藤靖朗プロフィール
いとうやすろう○1979年生まれ、静岡県出身。中学3年の時に、静岡市の代表としてカナダへ。現地の中学校でカルチャーショックを受ける。大学在学中に「ICU歌劇団」等に参加。2000年より、作品を発表。演劇で社会に貢献するために、日夜研鑽を重ねている。
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次回予定◇演劇集団地下空港『増殖島のスキャンダル』12/8〜18@恵比寿site

演劇集団地下空港公式サイト
http://www.uga-web.com/

【取材・文/矢崎亜希子】
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