稽古場見学、記者発表、インタビューなどから、近々公開される作品のおもしろさを探ります。

観劇予報は2019年2月20日に引っ越しました。
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矢崎広の『MACBETH』ビジュアル撮影レポート


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これまでベテラン俳優が演じることがほとんどだったシェイクスピアのマクベス役。
今回は24歳の若手実力派俳優、矢崎広がチャレンジする。

矢崎広は、映画『バッテリー』、TVドラマ『ごくせん』『赤い糸』『東京DOGS』、舞台は『時計じかけのオレンジ』『ドラキュラ』『サンセット大通り』などに出演し注目を集めている男優で、本作が初主演作となる。

演出は、第三舞台出身で『キサラギ』、『ビューティフル・サンデイ』、最近作は『スピリチュアルな1日』など、人間の内面を丁寧に描く作風に定評がある板垣恭一が担当。
翻訳は野村萬歳とタッグを組み、『Hamlet』『国盗人』などを上演してきたシェイクスピア研究で有名な河合祥一郎が、ドラマターグを手がけ、脚本は劇団POOL-5
を主宰し、REMONLIVEなどの公演のプロデュース・作・演出で活躍する、気鋭の作・演出家の斎藤栄作が担当する。

また今回“劇場”として選んだのは、「ラフォーレ原宿」。ショッピングセンターの中に位置する、いわゆる「イベントスペース」を本気の「演劇空間」へと変貌させ、シェイクスピア時代のグローブ座を意識し、観客が舞台をぐるりと囲む形にする。


【あらすじ】

スコットランドの武将マクベスは、泡沫の如く現われし魔女達に謎めいた予言を聞かされた。やがて彼はコーダーの領主となり、更には国王になると。また同行の友バンクォーは子孫が王になると告げられる。愛しい妻に手紙でそれを知らせると、夫人はマクベス以上の野心を燃え上がらせる事に。マクベスの城に偶然宿泊する事となったダンカン王を暗殺せんと手はずを練り上げる二人。欲望の沼に足を踏み入れたマクベスの前に、亡霊のように短剣が浮かび上がった……。


このシェイクスピアの名作悲劇を、今回は、「若さ」ゆえの「過ち」、「若さ」ゆえの「痛み」、「若さ」ゆえの「野心」を浮き彫りにすることで“人間としてのマクベス”を描き出す。

このたび、舞台の宣伝用に新しく4種類のチラシを作成。6月中旬、その新ビジュアルの撮影を行った。そこで主演のマクベス・矢崎広、マクベス夫人・馬渕英俚可、マルカム・永田彬(RUN&GUN)、マクダフ・松村雄基が初めて顔を合わせた。そのレポートが届いたのでご紹介する。



【レポート】


6月中旬、都内スタジオにて『MACBETH』の新ビジュアル撮影が行われた。

この日は、マルカム役の永田彬から撮影がスタート。長髪をまとめ上げ、深緑色のクラシカルな衣装でカメラの前に登場。マルカムとは、マクベスに殺されたスコットランド王のダンカンの息子。父親殺害の嫌疑をかけられ姿をくらますが、祖国のため、最後はマクベスを倒し王位を取り戻すという物語の中でもキーパーソンの役どころ。
撮影中は「憎き相手を見るように!」などと厳しい表情をカメラマンから求められる永田、現場ではスタッフとも冗談を言い合い、明るい笑顔を見せていた。
 

永田永田

その次は主演のマクベス役の矢崎広の撮影がスタート。最初のチラシでは金髪のウィッグを付けていたが、今回の撮影では髪型、衣装ともに一新。髪を逆立て、紺のロングコートを羽織った姿で登場した。物語に沿った緊迫した空気の中で撮影は進行。カメラマンからの様々なリクエストに応え、新しいマクベス像を作り上げていく。現場では「格好いい!」とスタッフから声があがった。


矢崎&馬淵矢崎と馬渕

そして真黒のドレスを身につけた、マクベス夫人役の馬渕英俚可が登場。ダンカン王の殺害を共謀し、マクベスと一心同体とも言える存在のマクベス夫人。

過去に共演経験はなく、今回の撮影が初対面の矢崎と馬渕だが、2人が並んだ途端、思わずスタッフから「ほうっ」とため息がでるほど、不思議としっくりくる。少し緊張気味だった矢崎マクベスは、馬淵の肩にそっと手をのせようとしたが、思わず少しためらいがちになってしまい、スタッフの笑いを誘う一場面もあった。
その後の馬渕のソロカットでは、黒のドレスの上に白のロングコートを羽織った姿で撮影。華やか且つ気品を感じさせる姿でありつつも、冷徹なイメージをも感じさせるマクベス夫人像を作り上げていた。

 松村松村

撮影のラストは、祖国のためマルカム王子を擁して立ち上がり、軍隊を率いてマクベスと戦う、将軍マクダフ役の松村雄基が登場。黒のクラシカルな衣装が、松村の長身に映え、迫力ある将軍マクダフ像を作り上げていく。矢崎マクベスとの2ショット撮影では、真剣に睨みあい2人が対峙するショットや、少し離れた場所からのショットも撮影した。

この日、初めて顔を合わせた4人。撮影中は本編に沿い緊張感ある雰囲気だったが、撮影以外では冗談を言い合ったりと和やかなムードとなった。

今回の新ビジュアルを使用したチラシは4種類のパターンを作成予定。どのようなチラシが出来上がるのか、乞うご期待!

そして今後、稽古に入ってどんな新しいマクベス像を創り上げていくのか、開幕をどうぞお楽しみに!




『MACBETH』

原作◇ウィリアム・シェイクスピア

翻訳◇河合祥一郎

脚本◇斎藤栄作

演出◇板垣恭一

出演◇矢崎広、馬渕英俚可/永田彬(RUN&GUN)、国沢一誠(ヒカリゴケ)、小林且弥、二瓶拓也、末原拓馬、マーク、長倉正明、山本侑平、加藤啓 /松村雄基  

●8/11〜19◎ラフォーレミュージアム原宿

〈料金〉6800円(全席指定/税込み)

 る・ひまわり http://le-himawari.co.jp/

 オフィシャルブログ http://ameblo.jp/yazakimacbeth/



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残酷で愛嬌のある萬斎の杉の市。『藪原検校』レビュー

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井上ひさしが描いた人間像の中でも屈指の極悪人といえる主人公・藪原検校、その生涯を描いた舞台『藪原検校』が、野村萬斎の主演で世田谷パブリックシアターで上演中である(7月1日まで)。

初演は1973年で、西武劇場(パルコ劇場)のこけら落とし公演の1つ。以後、何度も上演されて、最近では07年に蜷川幸雄演出で主演は古田新太が演じている。今回の演出は栗山民也、主役は野村萬斎で、狂言の世界で活躍する萬斎ならではの動きと話術が利いて、リズム感があり諧謔性に富んだ舞台となっている。


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【あらすじ】
 

時は江戸の享保年間、塩釜の魚売り七兵衛(小日向文世)は女房(熊谷真実)のお産の費用に困り、番ヶ森峠で座頭を殺して金を奪う。だが生まれた赤子は盲目だった。その赤子・杉の市(野村萬斎)は幼少の頃から盗み、脅し、強姦はお手のもの。師匠である琴の市(たかお鷹)の女房お市(秋山菜津子)に手を出し、ついには誤って母親を殺してしまう。その後、師匠を殺し、江戸に出ていく途中で宮司を殺して名刀正宗を奪いとるなど悪行三昧を働く。江戸では藪原検校に弟子入りし、貸し金の取立てで見る間に頭角をあらわし、二度目の師匠殺しをして、出世街道を駆け上り、ついに盲人の最高位「検校」の地位を得る。だが二代目藪原検校の襲名披露の日、その悪行がすべて明るみに出てしまう…。


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杉の市を演じる萬斎は、まるでこの極悪人を楽しんでいるのではないかと思うほど役に馴染んでいて、残酷な殺しの場面も大胆な濡れ場もてらいなく、愛嬌たっぷりに演じてみせる。それだけに時代と社会の“生け贄”となって惨殺されていく最期が哀れだ。

萬斎と同じようにこの舞台を乾いた感覚に引き上げているのが盲太夫の浅野和之で、オープニングから最後までめりはり良く語りをつとめ、伴奏のギタリスト千葉伸彦とのアドリブなどで、闇の世界からバランスよく笑いに戻してくれる。

秋山菜津子は琴の市を裏切る女房のお市で、こぼれるエロチシズムとしたたかな生命力はいつもながら鮮やか。杉の市との濡れ場で見せるアクロバティックな動きが美しい。

小日向文世は小悪党の七兵衛とその対極にあるような大学者の塙保己市、それに母親の間夫や首斬り役人など大活躍だが、藪原検校を“生け贄”にと箴言する保己市の冷徹さは、穏やかな物言いと表情だけに凄みが漂う。

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杉の市の母親には熊谷真実、我が子に無償の愛を注ぐ包容力と優しさをたっぷりと見せる。
ほかに熊の市や佐久間検校などの山内圭哉、琴の市や初代藪原検校などのたかお鷹、松平定信や宮司などの大鷹明良、強請られる母娘や物売りなどの津田真澄と山崎薫といったキャストたちが、何役も兼ねて舞台を膨らませているのは井上ひさし作品ならでは。
その俳優たちが聞かせる日本橋の賑わいや物売りのさまざまな声が楽しい。声といえば杉の市の見せ場である浄瑠璃「早物語」は、萬斎のみごとな口跡でまさに語りのエンターテイメントという一場を見せてくれる。

そんなふうに溢れる音への想像力を邪魔しないように黒を基調に道具のない美術(松井るみ)は、赤いロープを命綱やバリアーとして張りめぐらし、杉の市が人を殺すたびに上から垂れてくる細い布も同様に赤く、まがまがしい。


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杉の市は二代目藪原検校という地位に手がかかったとき、28年という短い生涯を無惨に閉じる。
その処刑のされ方まで残酷で救いのないような物語だが、作者井上ひさしはこの作品を書くに
ついてこんなふうに語っている。
「東北の片田舎に生まれた盲の少年が、晴眼者に伍して生きて行こうとしたとき、彼の武器はなにか、という禅問答における問いかけのような、奇妙な声が響き渡った。わたしは思わず、“悪事以外にない”と、その声に答えていた」(こまつ座HPより
http://www.komatsuza.co.jp/)。

もちろん「悪事が武器」というのはレトリックでもあるのだが、そんなふうに何が何でも這い上がり、生きて勝ち抜こうとする杉の市の必死のエネルギーが痛ましくもあり、同時に眩しいまでにギラギラと輝いている舞台だ。
 


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井上ひさし生誕77 フェスティバル2012 第四弾

こまつ座&世田谷パブリックシアター

『藪原検校(やぶはらけんぎょう)』
作◇井上ひさし
演出◇栗山民也

出演◇野村萬斎、秋山菜津子、浅野和之、小日向文世、熊谷真実、山内圭哉、たかお鷹、大鷹明良、津田真澄、山崎薫/千葉伸彦(ギター奏者)

●6/12〜7/1◎世田谷パブリックシアター

〈料金〉S席8500円 A席6500円 高校生以下とU24チケットは半額

〈問合せ〉世田谷パブリックシアター 03-5432-1515
http://setagaya-pt.jp/
 


【文/榊原和子 撮影/谷古宇正彦】

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池田鉄洋率いる表現・さわやか『ロイヤルをストレートでフラッシュ!!』が始まります!


さわやか画像

近年、映画やTVドラマの脚本を手掛けたり、俳優として連ドラに出演したりと、多方面で活躍する池田鉄洋が主宰を務めるユニット「表現・さわやか」が、6月24日(日)より下北沢・本多劇場にて新作公演『ロイヤルをストレートでフラッシュ!!』を上演します。コント公演なので、お客様を笑わせることのみにトコトンこだわったと語る本人から、作品に関するメッセージを頂きました。

「今回の作品は卑怯な手段だろうがなんだろうが全て使うつもりです。今まで作ってきた名物キャラクターも再登場? コントという自由度の高いジャンルですからね、やらなきゃ損。(いい意味で)ヒドい作品になると思います。(最高に)くだらないコント集。自信をもって先に謝れます。「ヒドくてくだらなすぎてすみません!」(池田鉄洋/作・演出・出演)

出演者には表現・さわやかのメンバーに加え、小林顕作、及川奈央などが参加。作・演出家が自ら「ヒドくてくだらないコント」と宣言する、最高にくだらなくて最高に楽しい時間は、劇場まで足を運んだ人にしか体験できません。

表現・さわやか
『ロイヤルをストレートでフラッシュ!!』

6/24〜7/1◎本多劇場、7/6〜8◎ABCホール

作・演出・出演◇池田鉄洋

出演◇小林顕作 佐藤真弓 いけだしん 村上航 岩本靖輝 伊藤明賢 石毛セブン ぽんず 及川奈央 

<料金>前売\4,800 当日\5,000 フレッシュ券\3,500(※22歳以下、劇団のみ取り扱い)
<お問い合わせ> Little giants 090-8045-2079(平日12:00〜19:00)
【公式サイト】http://h-sawayaka.com/
【チケット予約フォーム】
http://h-sawayaka.com/royal_ticket_yoyaku.html


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