稽古場見学、記者発表、インタビューなどから、近々公開される作品のおもしろさを探ります。

ミュージカル『GRIEF7』

「心」も「お腹」も満たすハンバーグ屋『東京バーグ』

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美味しそうなハンバーグにつられて見に行こうと決めたら、
本気でかめはめ波的なエネルギー砲を撃ち合ってる悪魔がそこにいました。

「役者がいるところが舞台だ!」をモットーに俳優・渡部将之が旗揚げした円盤ライダー。
今回の舞台は東京バーグという渋谷の宮益坂方面にあるハンバーグ屋さん。
カフェっぽい外観で、
もちろん公演のないときは普通に営業しているレストランなんですが、そこが舞台。
劇場の中で全員が客席に座り、正面を向いて芝居を観るという状態からはかけ離れていて、
それだけで新鮮な気持ち。

お店に入るとウェイターさんが2人いてお客さんを席まで案内し、
ドリンクやフードのオーダーを聞いてくれます。
席に付いてドリンクを飲みながらパラパラと受付でもらったチラシを見ていると、
チラシの写真とウェイターさん2名の顔が一致。

『そうか、役者さんだったのか。
 役者さんっぽいとは思ったけど、やっぱり。』

他にもホールのお手伝いをしていた女性のスタッフさん、
そしてキッチンには、これまた美味しいハンバーグを作りそうなスタッフさん2人がいましたが、
彼らはおそらく本当にお店の人。
終演後にハンバーグを食べて帰ることもできるので、
芝居が始まってからも、その料理の用意をずっとしてくださってました。

芝居は軽くノンストップで90分。
表向きはハンバーグ屋さん。
でも実はそこで働いているのは悪魔で、
人の記憶を代償に願い事を叶えるという裏メニューが存在。
裏メニューを求めて、ある男女が別々にお店に訪れて・・・というお話。

ジャンプ黄金期、mixi、Twitterなんとなく世代を感じる言葉の数々。
ボケもツッコミも両方心地良いし、くすくす笑える場面もいっぱい。
登場人物も憎めない可愛いキャラクターばかり。
何より同じように観客である自分もそのハンバーグ屋にいるという状況が面白い。
キッチンからはトントンと包丁で野菜か何かを刻む音だったり、
水道から水が流れる音が聞こえ、
終盤ではチーズニョッキのチーズの匂いまでしてきた。
音も匂いも確かにその場で感じるリアルなのに、
ウェイターは人の記憶で願いを叶えられるという悪魔。
リアルと物語とが混ざる。

役者さんたちみんな、
特に主宰の渡部さんの「真っ直ぐ前だけ見てるんだな」って思わせる目が印象的。
そこから「心」も「お腹」もいっぱいになる時間が生まれるんだなぁ、と。

演劇っていう世界でなら、悪魔にもなれるし、
かめはめ波も本気で撃てる。
バカバカしいかもしれないけど、でもその勢いが人の心に響いて、心を動かす。
最後には、ホロっとしてしまう暖かいお芝居でした。



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ちなみに終演後は絶対ハンバーグ食べたいよね!
ということで、1プレートを女性二人でシェアして食べてきましたが、
200gのハンバーグに、チーズニョッキ、
真カジキの燻製、たっぷり野菜のラタトュイユ、中華粽と盛り沢山で、
文字通りお腹もきちんと満たされて帰ってきました。


 

 

円盤ライダー第11
『東京バーグ』

●9/24〜10/10◎東京バーグ

脚本・演出御笠ノ忠次
出演
伊藤栄之進 エリックまたひら 加古臨王(Func A ScamperS 009) 川上冠仁 塚原直彦 藤枝直之 横大路伸 富田麻帆 渡部将之

<料金>
前売
3,500円/当日3,800円(日時指定・全席自由/ワンドリンク付)

<問い合わせ>
円盤ライダー 090-8677-247412:0024:00

【文/岩見那津子】 

クセになる歪み。奥秀太郎「FREAKS」

目を背けたくなるぐらいグロテスクな愛情表現なのに、
完全に拒絶できないのは自分の中にもそういった偏愛を抱えているからなのだろうか。
少し怖くなる。

10月のはじめに東京芸術劇場小ホールにて行われた奥秀太郎作・演出の舞台『FREAKS』。
麻薬中毒、知的障害、不倫に殺人。
映し出される映像によって次々と変化していく場所。
雨の降る公園、夜の高速道路、都会的なマンションの一室、刀鍛冶を営む男の庵・・・
冒頭、能舞台のような所から話が始まったり、
「刀」がポイントとして使われたりと日本的な空気感が舞台上には漂う。
そこから見えてくるのは人のドロっとした暗く重い欲望だった。
でもその欲望は、真っ当に発散させることのできなかった愛情と紙一重である気がした。
紙一重だから怖い。

それにしても、作・演出の奥は自身の内側に一体どんな思いを秘めているのだろうか。
同じく東京芸術劇場の小ホールで行われた『赤い靴』、
先日シアターコクーンで上演された『キミドリ』、
いずれにしても歪んだ感情の中に純粋さがあるというか、
普通の人ならなんの疑問も持たずに進んで行くだろう線路から、
だいぶ前に脱線して、そのまま生きてきた人の物語というか、少し曲がっている。

この歪んだ感情とリアルなのに幻想を孕んだ綺麗な映像とが混ざり合った所に、
奥秀太郎独特の世界があるのだと思う。
鞘から覗く刀の冷たく鋭い輝きが彼の作品と少し重なる。
出てくる人たちの感情は、
それぞれにぐちゃぐちゃしているので目を背けたくなる時もあるが、
そこも含めてクセになる世界だ。

 


『FREAKS』

作・演出◇奥秀太郎
出演◇畠山勇樹 中本昂佑 幸田尚恵 嶋崎朋子 今奈良孝行 野村恵里 鈴木雄大 岡本孝 倉持哲郎 續木淳平 あらいまい 内田悠一 森一生 小根山悠里香 嶋田菜美 松谷友香

●10/2、3◎ 東京芸術劇場小ホール

<料金>
5,000円(税込)




【文/岩見那津子】

 

KERA×コクーン第五弾!昭和三部作『黴菌』製作発表


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製作発表の場にいるだけでも期待が高まる豪華キャストが揃った。
ケラリーノ・サンドロヴィッチ×シアターコクーンのプロデュース公演、第五弾。去年の『東京月光魔曲』に続く昭和三部作の第二弾『黴菌』の製作発表が9月30日に行われた。
前回の『東京月光魔曲』は盆回りを多用したダイナミックな舞台転換も印象的だったが、今回は打って変わって密室劇になるとの話。台本はまだまだ未完成だということだが、KERA作品ではおなじみのメンバーと、意外だけれどその意外さがまた楽しみに繋がるキャストが勢ぞろい。個性的かつ大人な役者たちが集まった12月のシアターコクーンで、一体どんな密室劇が繰り広げられるのだろうか。
この日の製作発表には作・演出をつとめるケラリーノ・サンドロヴィッチと、仕事で欠席の生瀬勝久以外の出演者全員が登場した。


【挨拶】

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ケラリーノ・サンドロヴィッチ
今回の『黴菌』は敗戦の年、昭和20年を舞台にした密室劇です。昭和三部作ということなんですが前回の『東京月光魔曲』は東京の街に見立てた舞台がダイナミックに回転して、時間や場所が飛んだんですけれども、今回は完全に密室劇で、ある数日を切り取る形になります。昭和20年の3月、東京大空襲の月から始まって、終戦の日8月15日、そして最後はこの上演時期と同じ年末に終わらせようと思っておりますが、まだ台本は全然完成しておりません。でも一応そういう構想でございます。戦争を背景にしたドラマというと、戦争の強大さというものが大きな影を落とすことになると思うんですけど、僕なりにその時期を描くとしたら、「どんなことをやったら自分の仕事になるかな?」ということを考えました。今回五斜池家という巨大な邸宅が舞台になるんですけど、そこには戦争を避けて育った放蕩三兄弟が住んでおりまして、山崎さんと生瀬さんと北村さんに演じていただくんですけど、その兄弟たちとその家族、そこに訪れる人たちのドラマになります。リアリスティックに始まって、最終的にはいつもそうなんですけど、散文的に始まって詩的に終わる。みたいなことになると思います。最後に思いもよらないところまで台本的にいければ面白いと思ってます。どうぞよろしくお願いします。

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北村一輝
色々話したいんですが、台本がないので何をどう話したら良いかわからないんですが(笑)、素直にこのスタッフ、キャストの中でできることが一俳優として凄く楽しみです。尊敬している俳優さんと共演できることっていうのは数少ないことでありまして、この中で自分なりに精一杯頑張っていきたいと思ってます。今まで舞台っていうのは、どこかでアウェー感があってそんなに楽しめたって経験がないんですが、今回本当に楽しむつもりで精一杯やりたいなと思ってます。できるだけ…できるだけというか、必ず良い作品になるように精一杯頑張りますのでみなさんよろしくお願いします。

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仲村トオル

この話を最初にいただいた時には、商社マンとありまして割と経済的に豊かな役と書かれていました。あとプレスシートにもある写真を撮る時には資産家だと言われていたんですが、昨日の夜、届いたFAXには“人を疑うことを知らない実直な工場の工員”とありました(笑)。ちょっとビックリしました。どのくらいビックリしたかというと、今朝頼んだ本がさっきAmazonから届いたと孫に言われてビックリしているおじいちゃんぐらいビックリしています(笑)。「そんな遠くからそんなに早く!?」、「今自分がどこにいるかわからない!」みたいな状態ですが(笑)、なんとか自分の居場所を見つけたいと思います。

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ともさかりえ

私も最初は仲村さんの奥さんの役だって聞いていて、でも昨日いただいた最新の登場人物の設定では“謎の女”になっていました(笑)。KERAさんとはこれまで映像、舞台、何度かご一緒させていただいてきたんですけど、KERAさんの新作でご一緒するのは初めてのことですので、とても楽しみにしております。

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高橋惠子

私はKERAさんとは今日お会いするのが二度目ぐらいです。それも、最初にお会いした時に「日本人ですよね?」って聞いたぐらいで、そのぐらいしかお話していないんです。でも今回お話をいただいてとても嬉しく思いました。是非一緒に仕事がしたいと思っていましたので、今回どんな役なのかもまだハッキリとはわかりませんが、私にとってはちょっとした冒険旅行に出掛けるような気分でありまして。地球以外の星に行くのかどうか…でもそのくらいの覚悟はしておりますので、どんなことになっても楽しんで本当に良い作品にして行きたいと思っております。

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山崎一
僕はKERAさんの舞台はしょっちゅうやってるんですけど、今回、面白いなと思ってるのは、北村さん、仲村さん、高橋さん…というKERAさん色というか、KERAさんにはないかなというキャスティングをされているような気がして、そこにすごく期待していますし、どういう形でこれらが作品に繋がっていくのかに今からとてもワクワクしています。今回は密室の作品になるということで、それにも期待しています。

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岡田義徳

まずこのキャストの中にいられることだけで僕は幸せなんですけど、本当に足を引っ張らないように頑張りたいなと思っているのと、昨日いただいた台本の中で僕の役が“クスリ漬けのモルモット”という役になっておりまして(笑)、どうこれをやろうか?って思いもありますけど、これだけのキャストのみなさんがいれば楽しくやれそうな気がします。あと、自分の役に奥さんが付いたのも初めてなので、そこもすごく楽しみにやっていきたいと思います。

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犬山イヌコ
その岡田さんの奥さんの役になりました、犬山イヌコです。昨日の時点では私は生瀬さん、五斜池家の妻ということで「やったお金持ちだ!」と思ったんですけど、モルモットの妻ということで(笑)、頑張りたいと思います。やりがいがありそうです。私はKERAさんのナイロン100℃の劇団員なので、しょっちゅうやっているといえばそうなんですけど、今回山崎さんが言ったように、新鮮かつゴージャスなキャストでやるのが非常に楽しみであります。あとこの『黴菌』っていうタイトルを周りの人が既に間違えていて「『細菌』ってお芝居やるんでしょ?」って言われるので、その辺を間違わないでいただければなと思います(笑)。

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緒川たまき

年末のコクーンという劇場は独特の華やかさがあって一度は立ってみたいなと思っていました。あの中に立てるということ、このメンバーで立てるということを凄く楽しみにしています。私はちなみに仲村さんと兄妹の役なんですけど、ずっとお会いしたことがなくて、今年初対面でお会いして、夏に映画で夫婦の役をやらせていただいて、そして今回は兄妹ということで、急にこんなにご縁ができて個人的に嬉しく思っております。みなさんとご一緒できること、とっても楽しみにしています。

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みのすけ

ナイロン100℃のメンバーとして、今回犬山と僕が出るんですが、KERAさんとは高校時代から僕は一緒なので長いんですけど、外部公演では初めてケラさんと一緒にやることになったので、とてもそこは嬉しく思っています。いつもやっているメンバーと、また初めてやるこの豪華のメンバーとの融合が密室劇という濃い中でどう繰り広げられるかが楽しみです。

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小松和重
今回は五斜池さんの運転手という役で、これから免許取りに行って、みなさまに華麗なドライビングテクニックを見せられるように頑張ろうと思います(笑)。あとあの、本当にあれですね、今、言うかどうか、迷ったんですけど、このタイミングではないとは思うんですけど、KERAさん、緒川さん、ご結婚おめでとうございます。(場内:笑)なかなか言えなくて(笑)。みなさんと楽しい現場になるように頑張りたいと思います。

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池谷のぶえ

今回の現場は自分にとっては何度かご一緒させていただいてる方と、初めてご一緒させていただく方と、ちょうど同じぐらいのバランスで安心感がありつつ、刺激的な現場になるのではないかなと楽しみにしております。KERAさんの作品も新作が5年ぶりぐらいになるので楽しみです。一番初めにこのお話をいただいた時に私は早々に謎の死を遂げていたんですけれども、一日も長く生き延びられるように頑張りたいと思います。

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長谷川博己
今回初めてKERAさんの作品に出られてとても嬉しいです。KERAさんは本当にバンド時代から見ていて、KERAさんの作品に出たいなと思っていたので、その念願が叶って嬉しく思っています。この豪華なキャストの中で先輩方の背中を見ながら自分も成長していけたらと思っております。







シアターコクーン・オンレパートリー2010
『黴菌』

作・演出◇ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演◇北村一輝 仲村トオル ともさかりえ 岡田義徳 犬山イヌコ みのすけ 小松和重 池谷のぶえ 長谷川博己 緒川たまき 山崎一 高橋惠子 生瀬勝久

●12/4〜12/26◎Bunkamuraシアターコクーン

<料金>
特設S席 9,500円/S席 9,500円/A席 7,500円/コクーンシート 5,000円(全席指定・税込)

<問い合わせ>
Bunkamura 03-3477-3244(10:00〜19:00)



【取材/文 岩見那津子】 

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