稽古場見学、記者発表、インタビューなどから、近々公開される作品のおもしろさを探ります。

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小津安二郎の名作『東京物語』が山田洋次の演出で新派の舞台に。


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新派の初春公演『東京物語』の成功祈願と制作発表が、寅さんでおなじみの柴又帝釈天で11月16日に行われた。
 

小津安二郎監督の名作映画『東京物語』は、尾道に暮らす老夫婦が主人公。2人は東京で暮らす子供たちの家を久しぶりに訪ねるが、長女も長男も忙しさにかまけてかまってくれない。そんな2人をいたわり面倒をみてくれたのが戦死した次男の妻だった。

戦後の復興の中でいつしか失われていった大家族という形、きめ細かな情や優しさ、そんな日本人の原風景をさりげなく描きながら、背中合わせにある死の無常観を漂わせる傑作で、今もなお愛され続ける小津監督の代表作の1つである。
 

今回の初春新派公演『東京物語』は、映画監督の山田洋次が演出を手がけ、出演は水谷八重子、波乃久里子、安井昌二、英太郎、瀬戸摩純、そして劇団新派の俳優たちによって上演される。

小津作品を新派で山田洋次が演出するのは、2年前の『麦秋』に続いて二度目で、この『東京物語』は監督生活50周年を迎える記念作品ともなる。映画としても同時にリメークする予定だったが、震災のため中止になり、来年3月から撮影開始の予定となっている。

この日の成功祈願は山田洋次監督、水谷八重子、波乃久里子、安井昌二、英太郎、瀬戸摩純が参加。

まず柴又駅前にある寅さん像の前から出発、草団子でおなじみの店などが連なる帝釈天までの参道をお煉り。沿道の商店や観光客から拍手が送られた。

帝釈天では成功祈願の祈祷を受け、その後、境内にある会館で記者とのやり取りが行なわれた。

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【コメント】

 

山田 第二の故郷の柴又でこういう制作発表ができて嬉しい。一昨年の『麦秋』が楽しかったのでもう一度小津さんのものをやろうと思いました。今年はとくに、人との絆を感じたし、ひどい目に遭った時に助け合う日本人であることの大切さを感じた。明治、大正、昭和と苦しい時代を生きた人たちのことを見ていただき、何かをお持ち帰りいただきたい。内容はほとんど変わりません。登場人物も物語の移り変わりも映画のままです。一家は尾道の人というのは同じですが、お母さんは舞台では東京の旅先で亡くなることにしました。原作に出てくるのは荒川区なんですが、僕は江戸川沿いが馴染みがあるので葛飾の金町を舞台にしています。常磐線の列車の走る音なども聞こえて来る。また次男の嫁の紀子の故郷を石巻に設定しましたが、常磐線は東北に行っている。そのことによりお客様に思い起こさせる何かがあるのではないかと思います。


水谷 山田監督に付いていきます。小津作品を山田洋次先生が演出される新派の世界が、これから先もどんどんシリーズとして続いていってほしいです。


波乃 監督と巡り会えたことは有り難いと思ってます。新派を愛してくださればこそやってくださる、この機会を大事にしたいと思います。先ほどお賽銭をいっぱいあげてきたので、きっと御利益があります(笑)。


安井 小津監督の作品には26か27くらいの頃に出たことがあります。『麦秋』も『東京物語』も人の心を描き、夫婦愛や絆、そういったものをお伝えできればいいなと。笠智衆さんの、あののほほんとした感じとは正反対ですが、そういうものが出せるよう監督におまかせしたい。


 近所の小料理屋の女将です。すごく楽しみですが怖くもあります。『麦秋』から2本目ですから、先生の細かい指導を楽しみにしております。


瀬戸 原節子さんが演じた次男の妻、紀子役で、本当にプレッシャーで眠れなくて、どうしようかと思いましたが、あまり考えないようにして(笑)、自分なりに頑張ります。



東京物語チラシ表面東京物語チラシ裏面

新春新派公演 三越劇場提携

『東京物語』

脚本・演出◇山田洋次(小津安二郎・野田高悟「東京物語」より)

出演◇水谷八重子、波乃久里子、瀬戸摩純、安井昌二、英太郎 ほか劇団新派

●2012/1/2〜24◎三越劇場

〈料金〉8500円(全席指定・税込)

〈問合せ〉チケットホン松竹 0570-000-489 

http://www.shochiku.co.jp/shinpa/pfmc/1201/


【取材・文/榊原和子 撮影/冨田実布】

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陰影の深い幻想的なオペラ『ルサルカ』


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チェコの大作曲家ドヴォルザークの傑作オペラが、新国立劇場のオペラパレスで上演中である。

アンデルセンの「人魚姫」やフーケの「ウンディーネ」などがモチーフとなっているこのオペラは、人間の王子に恋した水の精、ルサルカの悲しい恋の物語。

今回の公演は、オスロのノルウェー国立オペラ・バレエによって2009年に初演されたもので、演出はポール・カラン。幻想的でスペクタクルなカランの演出は、闇に輝く大きな月、戯れるたくさんの精霊たち、神秘的な森や湖などによって観客をファンタジーの世界に引き込んでいく。

指揮はスロヴァキア国立劇場の首席指揮者を務めている、チェコ出身のヤロスラフ・キズリンクで、重厚かつロマンに溢れたドヴォルザークの音楽をドラマティックに指揮している。


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森に棲む水の精ルサルカは、人間の王子に恋をしている。
ある月の美しい夜、ルサルカは王子と結ばれたいと魔法使いイェジババに相談する。魔法使いは、人間の姿と魂を手に入れたいというその望みをかなえるには引きかえに"声"を失い、もし王子の裏切りにあえば、二人とも呪いがかかり破滅すると答える。ルサルカはそれを受け入れて人間の姿にしてもらう。美しい人間の乙女になったルサルカと森で出会った王子はたちまち恋に落ち、城に連れて帰る。

王子はルサルカとの結婚式の準備が進めるが、口がきけないルサルカに物足りなさを覚え、祝宴のために訪れていた外国の公女へと心を移す。嘆き悲しむルサルカを連れ戻しにきた水の精ヴォドニクは、裏切った王子に呪いをかける。

人間でも精霊でもなく永遠にさまよい続けるルサルカの前に魔法使いが現れ、短剣を手渡し王子の血によって水の精に戻れると教える。だが王子への想いが断ち切れないルサルカは短剣を湖に捨てる。
呪いに苦しむ王子が湖にやってきてルサルカに許しを乞う。ルサルカは、自分の接吻は王子に死をもたらすものだと言うが、王子は自分の不実を償うためルサルカに口づけして、安らかに息絶える。


タイトルロールのルサルカ役はオルガ・グリャコヴァ。美しい容姿と美しいソプラノで歌うアリア「白銀の月(月に寄せる歌)」は絶品だ。声を失ってからのルサルカは、その内面のドラマを表す演技力が必要だが、王子への愛や孤独、嘆きや悲しみを全身で表現する。

王子はペーター・ベルガーで、テノールの魅惑的な声と男らしい姿で登場、心変わりの残酷さと呪いをかけられた後の苦悩が印象的。

外国の公女役はブリギッテ・ピンタで、ルサルカと対照的に生命力あふれる人間の女として強烈な存在感。

魔法使いのイェジババのビルギット・レンメルトや水の精ヴォドニクのミッシャ・シェロミアンスキーは物語の重しになるに相応しい歌唱と演技力。

物語は入れ子構造になっていて、ルサルカという1人の少女の夢の世界という解釈もできるし、観客を現代から超自然世界にスムースに誘い込むための巧みな仕掛けといえる。
裏切られても王子を殺せない
ルサルカと自分の不実を死の口づけで償う王子。愛とともに訪れる別れが切ない。

ファンタジーらしい夢々しい場面も多いが、「ルサルカ」という言葉が人を水に引き込む美しい幽霊を表すように、どこか魔界の妖しさも漂って、陰影の深い作品世界になっている。
 

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新国立劇場の今シーズンのオペラは、12月1日〜11日にはヨハン・シュトラウスの『こうもり』、2012年1月9日〜29日はプッチーニの『ラ・ボエーム』を上演。さらに2月は『沈黙』で宮田慶子・演劇部門芸術監督がオペラ演出デビュー、4月は演劇ファンにはお馴染みの『オテロ』や、オペラ座の怪人の劇中劇「ドン・ファンの勝利」で知られる『ドン・ジョヴァンニ』と、話題作が続く。
 


新国立劇場オペラ

『ルサルカ』

指揮◇ヤロスラフ・キズリンク

演出◇ポール・カラン

出演◇オルガ・グリャコヴァ、ペーター・ベルガー、ブリギッテ・ピンタ、ビルギット・レンメルト、ミッシャ・シェロミアンスキー 他

●11/23〜12/6◎新国立劇場オペラハウス

〈問合せ〉03-5352-9999 

http://www.nntt.jac.go.jp/opera/

『ルサルカ』特設サイト http://www.atre.jp/11rusalka/


【文/榊原和子 撮影/三枝近志】



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いよいよ開幕。『ア・ラ・カルト2』高泉淳子×中山祐一朗対談

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クリスマス・シーズンの定番、青山円形劇場の『ア・ラ・カルト2』が12月3日から開幕する。
高泉淳子が演出する音楽と笑いに溢れたこのレストランには、昨年から新キャラとして中山祐一朗が加わっている。
所属する阿佐ヶ谷スパイダースとは
180度違った感覚の舞台でありながら、不思議になじんで小粋にお洒落に店のギャルソンをこなし、店の客となって観客を沸かせている。
そんな中山にますます創作意欲をかき立てられるという高泉淳子。2人が語る今年の『ア・ラ・カルト2』は?


【カメレオンみたいな良い役者】
 

ーー中山さんがこのシリーズに出てみようと思ったきっかけは?
 

中山 実は一度も観たことがなかったんです。でも話をいただいて、もともと新しいことには飛び込んでみたいほうだし、なにかしら勉強になるんじゃないかなと。実際、一緒に出ているパントマイマーのおふたりなんか本当にすごいし、いろいろ勉強になってます。

高泉 祐一朗くんは、これまで映像や舞台を拝見して不思議な味のある面白い役者さんだと思っていました。もっと違った顔も出せる人じゃないかと。ちょうどこの『ア・ラ・カルト2』に、もう一つ色が加わるといいなと思っていたところだったので、お願いしました。私がサラリーマンになって演じてる「高橋」という、とんでもない人物がいるんですが、祐一朗くんには彼の部下で負けず劣らず変なサラリーマン、それをいちばんやってもらいたかった。彼が相手だったら、森繁さんと三木のり平さんのようなダイアローグが書けるんじゃないかと。それからもう1つ、このレストランのキーマンになるような個性的なギャルソン、その2人の人物を、全く違うキャラクターで、まるで2人の役者がやってるみたいにやってほしいとリクエストしたんです。
 

ーーすごくいいスパイスになってて、また、こんなにはまるとは思いませんでした。
 

中山 お店のユニフォームさえ着れば、それらしく見えますから(笑)。僕がつらいのは役者しかできないことで、他のかたは歌とかマイムとか別のこともできる。だからせめてサラリーマンとお店の人くらいきちんと演じないと申し訳けないなと思ってやってます。

高泉 祐一朗くんは勇気があると思う。この舞台は新しく入ってくる側にとってけっこうハードルが高いと思うんですよ。なのに颯爽と飛び込んできてくれたましたからね(笑)。20年以上続いているわけですから観ているお客さんも多いし、レストランということで舞台上で料理、ワイン絡みの仕事もたくさんある。そのうえ個性的なゲストが日替わりで出てくるし(笑)。
 

ーー純粋に俳優さんというのは中山さんだけなのに、周りのマイマーやミュージシャンと馴染んで、どこかシロウトっぽさも感じさせてしまうのがいいなと。
 

高泉 そこが彼のズルいところで(笑)、カメレオンみたいに周りの色に敏感に自分を変えていくことができる上手い役者さんなんです。この舞台で大切なのは演技くささが見えないようにすることなんですね。さりげなく演じ分け、難しい料理をさりげなく説明する。歌も踊りもさりげなく。やってます!という感じになるとダメなんです。レストランだしお客さんがそばにいるし、難しいんです。でも祐一朗くんはそこの微妙な距離を計算できる、上手くてズルい役者さんなんですね。



【サラリーマンの目玉が登場?】
 

ーー稽古場ではいわゆるエチュードで作る場面も多いと聞いていますが、その経験はいかがでしたか?
 

中山 稽古場で即興で遊ぶことはすごく面白かったんですね。でもその調子で本番でも夢中になって遊んでいたら、突然頭が真っ白になつたことがあって(笑)。万一のときのためにメモ帳を置いておいてよかったなと(笑)。そういうことがあったんです。

高泉 そう! 「ちょっと待ってください」と言ってメモ帳をにらんでるの(笑)。稽古場では私もアドリブが好きだしあまりにやり取りが面白くて、止めずにやってたら20分の予定が50分にもなったこともあったり(笑)。だから、「また遊んでるのかな?」と思ったら、じーっと汗かいてメモを見てるから(笑)。

中山 高泉さんって、頭が真っ白になって言葉が出てこないなんてことないでしょう?

高井 ない(笑)。でも稽古場も楽しかったけど、舞台上でも祐一朗くんとのダイアローグは今までで一番面白かったです。
 

ーーすごくいいサラリーマンコンビって感じでした。
 

高泉 去年がね、面白くできたので、今年はどんな話を書こうか悩んでいるんです。固定してしまうか別のキャラクターで出でもらおうか。寅さんではないけど、おなじみのキャラクターで、お話だけ変えていくのもいいし。
 

ーー中山さんは2回目なので、かなり度胸もつきましたね?
 

中山 そんなことないです。同じ役をやるのは意外とプレッシャーなんです。でもそれを楽しみに観てくださるかたもいると思うので、また高泉さんと稽古場で楽しく作っていければと。

高泉 そういえば、今年の新登場のゲストが池田鉄洋さんと昇太さん。私は2人のファンでやっと夢が叶いました。石井一孝さんは1年ぶり、近藤さんは去年に引き続き、英介さんと山寺さんは3年目。うれしいです。みんな強烈なメンバーでしょ?祐一朗くん、がんばろうね(笑)。


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青山円形劇場プロデュース

『ア・ラ・カルト2』ー役者と音楽家のいるレストラン

作・演出・出演◇高泉淳子

出演◇山本光洋 本多愛也 中山祐一朗

ミュージシャン/中西俊博 クリス・シルバースタイン 竹中俊二 林正樹

日替わりゲスト/池田鉄洋 石井一孝 近藤良平 篠井英介 春風亭昇太 山寺宏一

●12/325◎青山円形劇場

〈料金〉6300円

〈問合せ〉03-3797-5678

こどもの城青山円形劇場 http://www.aoyama.org/topics/alacarte/vol23.html



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