稽古場見学、記者発表、インタビューなどから、近々公開される作品のおもしろさを探ります。

『ハンサム落語第十幕』

『血の婚礼』公開舞台稽古インタビュー

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Bunkamuraは設備改修工事のため7月より全館休館となるため、他の会場で公演する「大規模修繕劇団」の旗揚げ公演が、にしすがも創造舎体育館・特設劇場で6月24日より上演されている。


『血の婚礼』は、1986年に清水邦夫が発表した作品で、フェデリコ・ガルシーア・ロルカの同名戯曲がもとになっている。舞台は同じ86年にGEKISYA NINAGAWA STUDIO(現ニナガワ・スタジオ)で初演。その後も蜷川幸雄演出で再演、今回は12年ぶりの上演となる。


物語は、
結婚式で親友の花嫁を奪い、故郷から逃げてきた男だったが、2年後には女との仲は冷め切って、別居状態になっている。その2人が暮らす町に、花嫁に逃げられた男や親戚が訪ねてきて、再会したものの…という愛憎劇。


主演の窪塚洋介は、昨年のシアターコクーン公演で蜷川演出の『血は立ったまま眠っている』に続く2度目の舞台。
その他に中島朋子、伊藤蘭、田島優成、丸山智己、高橋和也、近藤公園などが出演。
舞台では上演時間100分のうち90分の間、7トンにおよぶ雨が俳優の上に降り続ける中で熱い演技を繰り広げている。


 

その初日を控えた22日に、公開舞台稽古が行なわれ、演出家の蜷川幸雄と窪塚洋介、中島朋子、伊藤蘭、田島優成、丸山智己、高橋和也、近藤公園が出席して、この舞台にかける気持ちを語った。

 【出席者挨拶】

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蜷川「この体育館すごいでしょ。日本で大災害があったときには皆さんが避難するところで、体育館というのは象徴的な意味を持ってる。我々は「大規模修繕劇団」の公演場所として体育館を選んでいたのですが、偶然とはいえ、3月11日以降、体育館でやるということはいろいろな意味を持つことになった。そこでこの『血の婚礼』をやるということは、まさに象徴的な意味を担っていると思います。1時間半、雨が降り続く中で激しい芝居が繰り広げられます。その中で、もう骨折者1名、滑って頭を打ったひと1人。というような苦難の公演ですが、我々の激しい試みを観に来て下さい」

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窪塚「今日は暑い中をありがとうございます。この中もクソ暑いですけど(笑)。大規模修繕劇団ということで、最初は演劇界の建て直しをということでは、若干、僕はまだ舞台は二度目なんで敷居の高い劇団になってるなと思ったんですけど、奇しくも3・11が起きた中で、未曾有の危機の中での大規模修繕劇団でできるということでは、意味があるというだけでなく、まさに今年これをやるためにここにいるとさえ思っています。自分の命ということとかみんなの命ということとか、この板の上で響かせ合って、雨に打たれて、それで何か感じてもらえたら。そしてみんなの明日からの元気だとか力だとか、今日を生きていく力になることを心から願っています。今日はありがとうございました」

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中島「今日は本当にありがとうございます。この舞台では、みんなエネルギーをぶつけていますが、生きるということをこの時期すごく感じさせられる戯曲だなと思って、体当たりしています。観てくださる方々にも、生きるということ、人と人とか関係を築くということ、言葉を交わし合うということに私たち人間にはとても深い意味があるということを、すごく感じる作品にしたいなと思っています」


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伊藤「今日はありがとうございます。今回は清水邦夫さんの詩情あふれる美しい言葉がたくさん詰まった戯曲を、熱い蜷川さんの思いでちゃんと形にしていくという様を拝見して、毎日毎日、私も充実した思いをしております。この時期に観に来てくださったかたがた1人1人と、何か同じ思いを分かち合いたいという気持ちでいっぱいです。この激しくも素敵な舞台を体感しに来てください」

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田島「トランジスター少年の田島です。今日はありがとうございます。本当に恵まれた状況と幸せな環境の中で、この役に挑戦させてもらってます。最後までしがみついてがんばりたいと思ってます。自分と同じ若い世代のかたにたくさん観てもらいたいと思います。どうぞよろしくお願いします」

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丸山「春樹役の丸山です。今日はありがとうございました。チラシをみて大規模修繕劇団の劇団員になっていることにすごく興奮しました。去年も蜷川さんに出していただいて二度目なんですが、今まであまりやったことなかったものをやらせてもらっているというのを感じていました。今回もそれをひしひしと感じてやらせてもらってます。奇しくも3・11ということがあって、どこにも行き着かない思いとか、回収されない思い、みたいなものがこの作品に中にも息づいていると思うので、すごくリンクしながら、僕の中のそういう思いも乗っけていきながら最後までやらせていただきたいと思います。ぜひ多くの方に観ていただければと思っています。よろしくお願いいたします」

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高橋「兄さん役の高橋です。蜷川さんとお芝居をしてると眠れなくなります、毎日、毎日、楽しくてしょうがないです(笑)。20歳の時に初めて蜷川さんのお芝居でデビューしたんです。ですから20年ぶりに帰ってきて、「帰ってきたよ、お父様」(笑)という気持ちです。こういうときだからこそ、命がけで毎日、暑い夏をびしょびしょになりながらやろうと思ってます。たくさんの人に観てもらいたいです。よろしくお願いいたします」

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 近藤北の弟役の近藤公園です。和也さんの後だと何も言うことがないんですが、こういう学校だったところでやるのは観に来てくれる方も面白いと思います。あと、作品の熱量、雨の冷たさに負けないように、体温をガッと上げて僕らがんばりますので、どうぞよろしくお願いいたします」


蜷川
「今の手応えは、すごく良い芝居だなと思ってます。そして、3回目なんですが、実は一番いいかなと思ってます(笑)。前のもよかったと言われるんですけど、今回はだんぜん良いです(笑)。劇場が広いので(セットの)自販機なども多いし。音楽も新しく作り直してあります。窪塚ですか?雨にめちゃくちゃ打たれてる姿がすごくいいし、みんなを引っ張ってる。感動的です。もちろん雨もただの雨ではない、今の時期と現在進行形の意味を持っています。この公演は清水の故郷である新潟も回ります。劇団名は亡くなった井上ひさしさんが名付けてくれたし、ある意味では僕らの世代への鎮魂の作品でもあるんです」



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大規模修繕劇団旗揚げ公演

『血の婚礼』
演出◇蜷川幸雄
脚本◇清水邦夫
出演◇窪塚洋介、中嶋朋子、丸山智己、田島優成、近藤公園、青山達三、高橋和也、伊藤蘭 ほか
●6/24〜7/30◎にしすがも創造舎体育館 特設劇場(東京)
●2011/8/06〜8/07◎新潟市民芸術文化会館(新潟)
●2011/8/18〜8/21◎森ノ宮ピロティホール(大阪)
●2011/8/27〜8/28◎北九州芸術劇場(福岡)
〈料金〉8000円(全席指定/税込)

Bunkamuraチケットセンター 03-3477-3244

http://bunkamura.co.jp



【取材・文/榊原和子 撮影/冨田実布】


佐々木蔵之介の繊細なブルー。『幽霊たち』観劇レビュー

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ポール・オースターの原作はあるが、それを読み解いた構成・演出の白井晃ならではの作品に仕上げてある。

白井がオースター文学の舞台化をするのは『ムーンパレス』『偶然の音楽』に続いて3作目で、『幽霊たち』はこの作家の初期の傑作である。


物語は1947年のニューヨーク。

私立探偵のブルーがホワイトという男から依頼を受ける。ブラックという男を見張って、週1回報告書を送ってほしいという内容だ。

恋人のオレンジにしばらく会えなくなると電話をかけて、小さなアパートの一室を用意されて、そこにブルーはたてこもる。
そこからは、机に座り書きものをしているブラックの姿が見える。
だが監視の毎日が2か月経っても何も起こらない。ブラックは毎日、机に座って本を読むか、ノートに何かを書いているだけだ。 

何も起こらないことがあまりに日常となったとき、ブルーは疑いを抱き始める。むしろ見張られているのは自分ではないと。
1年が過ぎたある日、ついに彼は決心する。この仕事の目的は何なのか、その答えを暴き出そうと。ブルーは変装をしてブラックに接触する。

そして、ブルーがブラックの机の上に見た書き物とは…。
 

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舞台上には湾曲した1枚の背景が立っている。

背景の前を出演者たちが通行人となって流れて行く。街並みが流れ、時間も流れていく。ブルーの中にさまざまに流れて行く時間。

出演者が道具を運んでくると、一瞬にして室内にも酒場にも公園にも変わる。

椅子や机、ベッドといった具体的なモノの存在感は、生活という形でリアルな現実を突きつけ、ブルーが閉じ込められている場所の閉塞感を感じさせる。

その中で「見張る」「見張られる」という関係の逆転と、自分の深層へと踏み込んでしまうブルーが、やがて1つの行動へと自分を追いつめていくのが伝わってくる。
 

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佐々木蔵之介は、生命力があり明るかったブルーが、いつしか自分自身の存在に疑いを持ちはじめ、澱のように暗さが宿り、濃いブルーに、そしてブラックに近ずいていく過程を繊細に表現してみせる。

奥田瑛二はホワイトとブラックで、正体不明のうさんくささとともに、ブルーの心に不安を芽生えさせるにふさわしい色気と毒がある。

市川実日子はブルーの恋人のオレンジのほかに、ヴァイオレットやミセスグリーンなど三役を演じているが、実在と不在の合間に漂うような雰囲気がある。

鋭さを残した引退した老探偵ブラウンの原金太郎。どこか血の熱さを感じさせるレッドマンの有川マコト。グレーとグリーンの細見大輔はハードボイルドなテイストが強い。ナイーブなゴールドの少年の斉藤悠。それぞれ役名以外にも何役も演じていて、細見、斉藤、有川の3人はブルーの分身となるシーンもある。
 

美術の松井るみはシンプルなのに陰影の深い美術。
三宅純の音楽はニューヨークの街と風を感じさせる。
振付は小野寺修二で、道具の移動にいたるまで計算されたステージングは小気味よい。

カラフルな名前をそのまま生かしたスタイリッシュな衣裳は太田雅公。
 

劇中でブルーは何度か変身するのだが、その変装がどこかユーモラスで人間くさいのは、いい意味で佐々木蔵之介の持ち味だといえるだろう。
この物語のラストは、ブルーの想念が行き着く果てに起こす1つの事件とその後で締めくくられる。

それは悲劇的ではあるのだが、あたかも迷路の先にある開放を示唆するようで、どこか優しさのあるエンディングである。


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パルコ・プロデュース

『幽霊たち』

原作◇ポール・オースター

翻訳◇柴田元幸
構成・演出◇白井晃
出演◇佐々木蔵之介 市川実日子 有川マコト 細見大輔 斉藤悠 原金太郎/奥田瑛二

●6/14〜7/3◎パルコ劇場

●7/5◎須坂市文化会館メセナホール

●7/8◎広島ALSOKホール

●7/14◎ももちパレス福岡県立ももち文化センター大ホール

●7/16〜18◎森ノ宮ピロティホール

〈料金〉7500円(全席指定/税込)
〈問合せ〉東京/パルコ劇場 03-3477-5858
 http://www.parco-play.com/



【文/榊原和子 撮影/冨田実布】

ミュージカル『嵐が丘』稽古場映像&トークショー決定の告知

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月11日から赤坂ACTシアターにて開幕する、ミュージカル『嵐が丘』。
この作品は、映画や舞台など、世界中で様々なバージョンで上演されているエミリー・ブロンテの名作古典「嵐が丘」を多彩なスタッフ・キャストでミュージカル化するということで話題を呼んでいる。
 

演出は劇団文学座のヒットメーカー西川信廣。脚本は劇団・自転車キンクリートの主宰で大劇場からミュージカルまで幅広く活躍する飯島早苗。音楽には『冬のソナタ』の挿入歌などメロディ、旋律の美しさで海外まで人気を誇る倉本裕基。 


主演のヒースクリフ役は、5月に武道館での100曲ライブでギネス記録を樹立したばかりの河村隆一。

キャサリン役はWキャストで、初めてのミュージカルに挑む超人気声優の平野綾と、『三文オペラ』『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』などで実力を増した安倍なつみ。

エドガー役には、『モーツアルト!』の主役に抜擢され今年の「菊田一夫賞」受賞した山崎育三郎という、フレッシュな顔ぶれが揃った。

 

 【物語】

 イングランド北部のヨークシャー。激しい嵐が吹き荒れる荒野にそびえ立つ「嵐が丘」と呼ば 

れる邸の主人アーンショウが、一人の孤児を連れて帰った。 

孤児はヒースクリフと名づけられて、息子のヒンドリーと娘のキャサリンとともに育てるがヒンドリーはヒースクリフを憎悪して虐待する。
だがキャサリンはヒースクリフをかばって一緒に遊ぶ。そんなキャサリンの存在がヒースクリフには心の支えで、2人はよくヒースの丘に登っては、夢を語り合った。 
やがてアーンショウが亡くなると、ヒンドリーは放蕩三昧で家運を傾かせる。
そんなとき、裕福な隣
家のエドガーがキャサリンに求婚。キャサリンの気持ちを誤解したヒースクリフは、「嵐が丘」から姿を消してしまう。 

数年後、外国で財産を築いたヒースクリフが「嵐が丘」に戻り、財産を蕩尽したヒンドリーから邸を買いとり、復讐の目的でエドガーの妹イザベルに求婚する。
エドガーの妻となってもヒースクリフを愛していたキャサリンは病の床についてしまう。そして死の間際にヒースクリフへの愛を告白して逝った。
ヒースクリフはキャサリンの遺骸に、自分の生ある限り亡霊となって「嵐が丘」にとどまってくれと絶叫する。

この公演の稽古場映像が届いた。
3週間を切った稽古場で順調に稽古を進めている河村隆一と平野綾。 
 

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【アフターイベント】
この公演終了後に行われる新たなアフターイベント内容が発表された。


既に公表ずみ

■7月13日(水)19時

河村隆一×倉本裕基 トークショー 司会/岩崎大

■7月17日(日)18時 

山崎育三郎ピアノ弾き語りミニライブ


新たに公表

■7月18日(月・祝)14時 

安倍なつみ×特別ゲスト中澤裕子 トークショー

■7月20日(水)19時 

平野綾×特別ゲスト渡辺直美 トークショー



ミュージカル『嵐が丘』

原作◇エミリー・ブロンテ   

演出◇西川信廣   

脚本◇飯島早苗   

音楽◇倉本裕基  

補作詞◇高橋知伽江   

出演◇河村隆一、平野綾/安倍なつみ、山崎育三郎、 荘田由紀、岩大、杜けあき、上條恒彦 ほか 


●7/11日〜24◎赤坂ACTシアター  

〈料金〉S席 11000円 A席 8500円 B席 6500円 (全席指定・税込)  

〈問合せ〉キョードー東京  0570-064-708 (発売日以降10:00~18:00)

www.kyodotokyo.com(PC)

www.tbs-act.com(PC)

  

 ●7/27〜31◎ 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ   

〈料金〉SS席 11000円 S席 8500円 (全席指定・税込)  

〈問合せ〉梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ 06-6377-3888

http://pia.jp/koume(PC&携帯)

 


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