稽古場見学、記者発表、インタビューなどから、近々公開される作品のおもしろさを探ります。

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上川隆也の「一日署長」レポとインタビュー

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シアター1010で10月19日から公演される2本立ての舞台、『隠蔽捜査』『果断・隠蔽捜査2』で主演する上川隆也が、9月23日、劇場に近い千住警察署の一日署長をつとめた。

この舞台は今野敏の同名小説が原作となっていて、上川は警察庁長官官房の総務課長、竜崎伸也を演じる。

その公演のPRも兼ねて、この一日署長の大役を担うことになった上川は、北千住駅前で行なわれた「秋の全国交通安全運動」のPRイベントに凛々しい制服姿で登場。一日署長を見に来たお客さんに整理券を配り、その全員にプレゼント手渡しを行ったり、警察のマスコットの「ピーポくん」と共演するなど大活躍。集まった町の人たちに街頭で署長としての挨拶も行なった。

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【一日署長 上川隆也の挨拶】

 

皆様こんにちは。本日、千住警察署の一日署長を拝命していただました上川隆也と申します。

本日は連休中で、色々な所でイベントがあるにも関わらず、こちらにおいでいただきまして本当にありがとうございます。こんなに沢山の方々に来ていただけるとは思いませんでした。本当にありがとうございます。

ただ今ご紹介にありましたように、この度、10月19日から30日までシアター1010にて『隠蔽捜査』という舞台を演じさせていただきます。

その中で、私が演じる竜崎という男も警察署長になる場面があります。そんな関係もあって、この度は一日署長という栄えある任を頂けたと思っております。

このような立派な制服も着させていただきました。本当に光栄に感じております。

その物語の原作はもうジリーズが5まで書き進められていて、舞台は2までの上演ということで舞台には出てこないのですが、竜崎が勤める大森署に一日署長がやってくるシーンがあるんですね。そこでは身長170cmくらいある綺麗な女性タレントがやってきて、その日一日署内が華やいで色めきたったなんていう記述があるんですが、今回はこんなおっさんがやって参りました(笑)。

皆様の中にはがっかりなさっている方もいらっしゃるのではないかと思いますが、おっさんはおっさんなりにしっかり交通安全を訴えてまいりたいと思います(笑)。どうぞよろしくお願いいたします。

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僕自身は車の運転は本当に大好きでして、休みがあると家内とドライブに出かけることもあります。山道などに走りに行って一日楽しんだりもします。また、仕事場に車で出かけることもあります。どちらもとても楽しい時間です。ドライブはとても楽しい時間だと思います。

ですが、ついつい誘惑に負けて、山道を攻めたくなったり、ちょっとスピードを出してみたりとか、したくなることもないことはありません。

また、仕事で現場に向かう時も、どうしてもスケジュールの関係で時間がギリギリになってしまったりして、アクセルに力が入りかねない場面も、ないことはないと思います。

どうしてもそういう思いに駆られてしまうことがあります。ですが、最近強く思うのは、何よりも大事なのは目的地に無事に着くことなのではないかと。無事に着いて無事に帰ってくる。それが、運転をする時においては一番大事なのではないかと思うんですね。何か途中に起こってしまったら、せっかくの楽しいドライブが、その瞬間に台無しになってしまいます。仕事場に行く道すがらに、もし何かあったら、関係者の皆様に多大なご迷惑をおかけしてしまいますし、何より、ドライブより好きな芝居が出来なくなってしまいます。

これは痛いです。とにかく無事に現場に着く。そして、無事に待っている人の元に帰っていく。それが何より大事なことなのかなというふうに思っています。

そのためには何が必要なのか、僕は「ゆとりの心」なのではないのかなと思います。急ぎたくなる心、もちろん分かります。僕にもあります。でもそれをぐっと堪える。

また、一緒に走っているドライバーの皆さんや、または歩行者、通行人の方々、皆さんと、ゆとりの心を持って譲り合う心。それが、一歩、交通安全に近づく道なんじゃないかなと思っています。車の運転がとても大好きな僕だからこと言えることなのかなと思いますが、今後もゆとりの心を持って僕も運転に努めてまいりたいと思います。

皆様も、ゆとりの心を大切にした運転をどうぞ心がけていただきたいと思います。

この秋は『隠蔽捜査』の公演で約2週間ほど、この千住の町にお邪魔することになります。千住と言えば、昔ながらの町並みを色濃く残しながらも、現在では多くの路線が乗り入れ、大変活気のある素敵な街だと伺っております。

僕自身も公演期間中、この街並みを散策などさせていただける機会があるかもしれません。

その機会を心から楽しむためにも、僕は安全運転に努めたいと思っています。

皆様のこの素敵な街が、より一層安全で健康な街であり続けていけるように、皆様にもどうぞ繰り返しになりますが、ゆとりの心を大切にドライブを楽しんでいただきたいと思います。

簡単にというわけにはいきませんでしたが、以上をもちまして私、上川隆也一日警察署長のあいさつとかえさせていただきます。

ご清聴ありがとうございました。

 

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【インタビュー】

署長としてのイベント終了後、上川隆也は集まった報道陣とのインタビューに答えた。
 

ーー一日署長お疲れ様でした。制服お似合いでしたが、袖を通された感想をお聞かせいただけますか?
 

ありがとうございます。「馬子にも衣装」だなとは思いますが、やはり気は引き締まります。装いからくる気の持ちようは間違いなくあると思いますし、今回やらせていただく警察署長の役柄や佇まいの一端を垣間見たような気がします。


ーー就任のご挨拶はご自分で考えられたんですか?
 

そうですね、僕なりにではありましたけど、原稿を一から書かせていただきました。どうだったかは、まあ皆様のむしろ感想をお伺いしたいと思いますけれども……どうだったんでしょうね(笑)?

 

ーーとても立派でした。
 

とんでもない(笑)、ありがとうございます(笑)。

 

ーー地元の皆さんと触れあった感想は?
 

こんな拙い挨拶にも関わらず、皆さん本当に熱心に聞いて下さいまして、むしろこちらが感謝の念に駆られるくらいの思いでした。天候にも恵まれましたし、とても良いイベントだったなあと思います。


ーー警察のマスコットキャラクターの「ピーポくん」と共演されてましたね?
 

嬉しかったです(笑)。ちょっと舞台の袖で右往左往している姿も拝見できましたし、微笑ましかったですね(笑)。親近感がわきました。

 

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ーー一日警察署長をつとめるのは今回が初めてですか?
 

はい、初めてつとめさせていただきました。


ーー舞台を前に貴重な経験になったのでは?
 

そうですね。疑似体験としてはこの上ないことです。

 

ーー舞台は同じ期間内に2本立てで、大変ですね?
 

実質、普通の公演の二倍の作業をこなしていかなければならないのは確かにその通りなので、ここはもう出演者、演出家、スタッフ一丸となって挑んでいくしかないなと思っています。一方で蜷川さんと『表裏源内蛙合戦』は4時間、『ヘンリー六世』は7時間、そういう作品も体験させていただいておりますので、公演時間や体力的なものに対しては懸念は抱いておりません。ただ作品の形が違うので同じ地平にのせることが出来ないのも確かですから、今回は今回で改めて気を引き締めて行きたいと思っています。

 

ーー長い公演への体調管理は?
 

あまり僕はこれをやれば乗り切れるだとか、これを常に心がけているとか、ジンクスに繋がるような行動や規範を持ち合わせていないんですよね。好きなものをいただいて、寝不足などもないことはないんですが、でも、むしろそれが精神的なストレスにならないほうが、常態を保てるのかなというふうに思っています。

 

ーー2回公演ということで、セットとか変わるとかはありますか?
 

今回原作があるので、ネタやオチは皆様があらかじめご存じになれるので、公演形態に関してはできればベールの向こう側において、幕が開いた時にご覧になっていただく、それを楽しみにしていただきたいと思いますね。ただ、趣向を凝らすことにはみんなが知恵を絞っている最中ではあります。

  

ーー竜崎は感情の起伏があまりないですが、役作りに関しては?
 

原作は読者として楽しませていただいたぶん、尊重はしたいと思います。ただ、やはり文学作品、文字媒体としてご覧になっていただくエンターテインメントと、舞台に乗せた時の作品の上がりというか、皆さんにご覧いただくときの形は違っていても然るべきだと思っていますし、そこには僕自身が演じることによって生じるプラスアルファがあって然るべきだとは思っています。ただ、それをどのようにしようかというふうなのに関しては、全体の話になってきますので、勝手にコース料理の一つだけがコースからそぐわないものになってしまうのも望むものではありませんので、そこは全体との稽古の進展において加減していきたいと思っています。


ーー稽古はもう始まっているそうですが、稽古も一日に2作ですか? 
 

まだ3日目なので、そこまで全体の流れをご報告できないんですけど、少なくとも初日には全部通しました。


ーーすごいですね。
 

初日に全部粗通ししちゃいました(笑)。びっくりしました(笑)。

 

ーーそれだけ皆さん準備万端だったってことですね?
 

そうですね、別に動きや何もかもを全部付けるわけじゃないんですが。大まかなセット作って、台本持つ持たないも自由にやって、通せちゃったので(笑)。みんながその場で即興で舞台を作っていた感じなので、とても楽しかったですよ。いや上手く流れるもんだなぁと、やりながらちょっと感心してました(笑)。

 

ーーやはり2本とも観ていただきたいですか?
 

そうですね、前後編という形はとっておりませんけれど、大きく俯瞰して観た時には一本の途切れのない流れの物語ではありますし、『ハリーポッター』シリーズの最終話の後半だけ観ても面白くないですから(笑)。同等に捉えていただいて構わないと思います。でも1本だけでも楽しめる作品にはなっていますので。どちらかというと『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の2と3に近い感じですかね(笑) 同時に制作されてますし、どちらかだけでも面白い。そんな感じの色合いの作品ですね。


ーーでは作品の見どころとPRをお願いします。
 

今、警察を題材とした作品が数多くテレビもしくは映画などでも制作されておりますけれども、それらとはまた一線を画す、小説として発表された時にもそのような評価をいただいた作品です。警察小説を変えたかもしれないというものですし、これまでご覧になったことがないような警察ドラマをご覧いただける舞台だと思います。ぜひご期待いただきたいです。

 

 隠蔽捜査
『隠蔽捜査』『果断・隠蔽捜査2』

原作◇今野敏(新潮社刊)

脚本◇笹部博司

演出◇高橋いさを

出演◇上川隆也、中村扇雀、板尾創路、近江谷太朗/平賀雅臣、朝倉伸二、小林十市、斉藤レイ 他

●10/19〜30◎シアター1010

〈料金〉S席8500円/A席6500円/プレビュー公演S席7000円/A席5000円

〈問合せ〉シアター1010チケットセンター 03-5244-1011

http://www.t1010.jp
 

上川隆也公式ホームページ

http://kamikawatakaya.com/

演劇ぶっくチケットhttp://www.enbu.co.jp/kick/mirokuru/
 


【取材・文/冨田実布】 

上川隆也の『隠蔽捜査』と『果断・隠蔽捜査2』とは?

隠蔽捜査

人気警察ドラマ『ハンチョウ』(TBSテレビ系)で知られる今野敏が描く警察小説を、魅力的なキャストで舞台化するのが、今回の『隠蔽捜査』と『果断・隠蔽捜査2』。
「エリートは、国家を守るために、身を捧げるべきだ」という信条で、国家を守るため組織を揺るがす連続殺人事件に真正面から対決してゆく警察キャリア官僚・竜崎伸也。
今の世の中にこんなヒーローがいてくれたなら…。そんな思いを抱かせる真正直で不屈の闘いをする主人公を、上川隆也が演じる。


原作を書いた今野敏(コンノビン)は、1955年北海道生まれ。
上智大学在学中の1978年に「怪物が街にやってくる」で問題小説新人賞を受賞。会社勤務を経て2006年『隠蔽捜査』で吉川英治文学新人賞を受賞。2008年『果断ー隠蔽捜査2ー』で山本周五郎賞と日本推理作家協会賞を受賞している。
伝奇、SFなど幅広いジャンルを執筆し、近年は質の高い警察小説の書き手として人気を博している。またこの『隠蔽捜査』はシリーズは外伝も含めると5冊刊行されていて、今回は1作目と2作目の上演となる。


シリーズ1作目である『隠蔽捜査』は、連続殺人事件という警察機構を揺るがす事件を描くなかで、独特の信念と自負心を持つ東大卒の警察キャリア官僚・竜崎伸也が、揺るぎない精神力と清らかさで、国家危機、治安そして警察全体の信頼のために立ち向かってゆく。
 

シリーズ2作目にあたる『果断・隠蔽捜査2』は、その竜崎が家族の不祥事により、警視庁第二方面大森署署長へと左遷。そして直面した「立てこもり事件」から物語が展開する。解決したかにみえた事件が実は…というなかで、竜崎の新たな闘いがはじまる。


この竜崎役を演じるために生まれてきたような上川隆也という俳優を得て、今回は一気に2作品を舞台化。『隠蔽捜査』と『果断・隠蔽捜査2』の交互上演という画期的な試みを行なう。
1と2は、内容の連続性はあるものの、それぞれ個別の完結した物語としても十分楽しめるものになっている。



『隠蔽捜査』『果断・隠蔽捜査2』

原作◇今野敏(新潮社刊)

脚本◇笹部博司

演出◇高橋いさを

出演◇上川隆也、中村扇雀、板尾創路、近江谷太朗/平賀雅臣、朝倉伸二、小林十市、斉藤レイ 他

●10/19〜30◎シアター1010

〈料金〉S席8500円/A席6500円/プレビュー公演S席7000円/A席5000円

〈問合せ〉シアター1010チケットセンター 03-5244-1011http://www.t1010.jp


演劇ぶっくチケットhttp://www.enbu.co.jp/kick/mirokuru/

 

『白夜−BYAKUYA−』奥秀太郎×黒田育世インタビュー

(左)奥秀太郎(右)黒田育世
観客もうっすらと月が浮かんでいるのを見つつ、ひんやりとした夜風を感じつつ…の野外公演。10月1日と2日の2日間、奥秀太郎が定期的に行っている舞台公演が品川にある原美術館で行われた。タイトルは『白夜−BYAKUYA−』。舞台美術もなにもないそのままの建物の外壁に映像を映し出すことで様々なシーンを構成した。
映し出されたモノトーンの映像と共にストーリーが展開していき、その中心で黒田育世が踊るというなんとも贅沢な公演。美術館という場所が放つ空気や、足元の芝生の感触、周りの人の呼吸、映像、風…全てのものに身体が素直に反応し、それが踊ることに真っ直ぐに繋がっている、自然に溶け込んでいくような黒田のダンス。最後の一つ見せ場となるダンスシーンの際に、それまであまり吹いていなかった風が急に吹きはじめたのには「この人は風まで味方に付けるのか!」と驚いたと同時に鳥肌が立った。
秋のはじめの落ち着いた空気が似合う、ちょっと物悲しいような、でも洒落た、大人っぽい雰囲気の漂う作品となっていた。

▼静と動、次々と姿を変える黒田のダンス
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公演は終了してしまったが、稽古中に奥秀太郎と黒田育世の二人に話を聞いたのでご紹介する。

体験しているからには、やろう

──まずは簡単にストーリーを教えて下さい。
 日本で働いていたアメリカ人の男性が、パン工場で知り合った日本の女性と付き合っていて、でも彼はとあるタイミングで彼女を置いてアメリカに帰ってしまう…その間に地震が起こり、彼女が行方不明になるんです。それを聞いて彼はアメリカから日本に来て…というそんな話です。

──地震、というと、やはり3月の東日本大震災が影響している?
 体験しているからには、やろう、と思いました。地震が起こる前というのは自分が作る映画でも舞台でも警告というか、絶望だったりを全開にしていたのが、それを今更やる意味がなくなってきてしまって。だったら、そこを通過したあとに、どうするんだ?みたいなことができたらいいなと。地震が起こっても、なお力強く残っている場所というイメージが原美術館にもあったんです。芝生があって、建物があって…。外で作りたいという気持ちを抱き始めていたところに、この機会が重なりました。生き残った場所を自分たちの作品で、少しでも違う方向に変えていくことができたらな、と。これからも劇場じゃない所でなにかをやるというシリーズをやっていきたいという思いはありますね。

一面に花が広がったり、パン工場、教会になったりと映像で次々と場面が変わる
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やり放題の限界から大人の遊びへ

──黒田さんと奥さんの出会いは?
黒田 私が野田秀樹さんの『ザ・キャラクター』(10年)という作品の振付として参加させていただいていて、その時に映像を担当していた奥さんと初めてお会いしました。私は稽古場にほぼ毎日お邪魔していて、奥さんも結構来て下さっていたので。

 黒田さんの振付のシーンと映像が重なるところが多かったんですよね。「神」っていう字がポイントになる場面とか、秋葉原のシーンとか。その後、また野田地図の『南へ』(11年)でもご一緒して、2月にPARCO劇場でやった『サウスオブヘブン』という僕の作品に出演していただきました。それがまた絶望度MAXみたいな作品だったんですが(笑)。

黒田 でもこの間、奥さんが監督された映画の試写会にお邪魔したんですが、すっごく面白かったんですよ。怖がらない、帳尻あわせをしない。「ここまでやっちゃうと受け入れられなくなるかな?」とか、そういうのがないんです。ご自身のやりかたを引っ込めないからすごく気持ちが良い。舞台だと実際にはできないことを、映画だとやれちゃうから…もうやり放題ですよね(笑)。

 あはは(笑)やり放題。映画的には相当やり放題の限界までいってしまったので、今回の舞台では“大人の遊び”ができたら良いなと思ってます。何かパフォーマンスをやって、そういうものを通してみんなが遊べる状況ができたらいいな、と。学園祭よりはもちろんそれぞれの表現の質は上げていきますが、でもそんな感じでお客さんと一緒に色々楽しめたら。

家に遊びに来てください

──黒田さんが踊られると一瞬で物語が広がるというか、とても印象的でした。振りは即興で?
黒田 映像に反応している状態ですかね。もちろんお芝居で紡がれている所に乗って踊っているところもありますが、コラボレーションですね。さっきの稽古では花柄のライトに反応して…コラボレーションというか、バンド…バンドみたいな感じですね。

──そのバンドの一つとなるのが映像ですが、建物などに映像を映すプロジェクションマッピングという手法については?
 2008年に上演した『黒猫』という作品などでも使っている手法だったんですが、でもその当時は「プロジェクションマッピング」という言葉はなかったですね。宝塚の映像もやりますが、宝塚だと『カサブランカ』(09年、宙組)や『太王四神記』(09年、花組/星組)あたりもまさにですし、野田秀樹さんの作品だと『THE BEE』(07年)も技としてはマッピングと同じです。海外では宣伝広告などでも使われるようになったりと広く出始めた中で、だったらもう少し表現としてできないか?と。更にそれが野外劇じゃないですけど、そういうところと繋がっていったらどうなるかと思いまして。

──奥さんの映像、台詞の世界と黒田さんの踊りの世界がコラボレーションすることへの期待を最後に。
黒田 私はすごい緊張魔というか、あがり症なんです。でもそれってきっとお客さんを怖がっていたから緊張していたんだなと思って。お客さんは敵ではなくて、仲間でもあり、まず同じ人間だから。「魅せる」ってことよりも「一緒にいてもらう」という気持ちで作っていきたいです。稽古をしていても、芝生の空間、美術館の空間に一緒にいてもらう感覚があるし、本番ではお客さんも一緒にいてもらえたらいいなぁと。

 黒田さんがよく「家に遊びに来てください」って言ってくださるんですよ。そんな風なことをお客さんにも言えたらいいなって。地震の表現もありますし、観た方がどう思うかはわからない部分もありますが、やらないでいるより一度そこに触れた上で、そこからみんなでパーッと進んで行った方が面白いはず。そういうことが今言った「遊びに来てください」っていうような感じで、スタートできたらな、と思っています。

 
▼影が手紙を綴っているように見える、綺麗なのが哀しい場面
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▼縋りついてもすっと離れていってしまう。これがまた切ない。
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原美術館
Projection Mapping+Performance Vol.1
『白夜−BYAKUYA−』

作・演出・映像◇奥秀太郎
振付・出演◇黒田育世
音楽◇松本じろ
出演◇ 黒田育世/チャド・マレーン/亜矢乃/畠山勇樹/續木淳平/幸田尚恵/鈴木雄大/あらいまい/中本昂佑/森 一生/青木伸仁/富樫実生/馬屋原彩咲/賀本 航

●10/1、2◎原美術館

原美術館 http://www.haramuseum.or.jp/generalTop.html
OKU SHUTARO OFFICIAL WEBSITE http://www.okushutaro.com/



【取材・文/岩見那津子】

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