稽古場見学、記者発表、インタビューなどから、近々公開される作品のおもしろさを探ります。

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新国立劇場2011/2012シーズン演劇公演「シリーズ【美×劇】」製作発表

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東京初台の新国立劇場では、シリーズ【美×劇】の第一弾、三島由紀夫原作の『朱雀家の滅亡』が9月20日から開幕して、5人の俳優の描き出す三島の美しい言葉と滅びの世界を見せてくれている。

このあとも倉持裕の新作『イロアセル』、泉鏡花の『天守物語』と興味深いラインナップが予定されているが、9月9日にその3作の合同製作発表会が行なわれた。


新国立劇場の演劇部門は、シーズンを通してのテーマを掲げているが、昨シーズンは「JAPAN MEETS…現代劇の系譜をひもとく」と題して、海外の名作戯曲4作品を連続上演した。

今回の「2011/2012」では、「【美×劇】―滅びゆくものに託した美意識」を企画。芸術監督の就任2年目となるの宮田慶子は、「演劇は社会や時代を反映し変化を遂げてきたが、その中でも一本貫いていたものが描きたい。深いところでの日本人のアイデンティティ、日本独自の“美しさ”を探りたいと思った。今や“美意識”という言葉自体が死語になりかねない時代になったが、本来の日本人は“滅びていくものや儚いもの”に強く惹かれてきたので、その命題を改めて皆さんに表現していただこうと思った」と趣旨を語った。
 
その後、3作品それぞれのスタッフ、キャストたちが登場、それぞれが作品への抱負を述べた。



『朱雀家の滅亡』
 

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宮田慶子(演出)、
香寿たつき、國村隼、近藤芳正
 

宮田慶子 この作品は三島由紀夫の晩年に近い頃のもので、独特の美しく流麗な言葉と強いテーマ性とともに、登場人物が生身の言葉を吐露しているところに大きな魅力を感じます。5人の登場人物がちょうど五角形になっている、その葛藤というのを描きたい。また理想に届かんとするために言葉を重ねていってる、その言葉を大事に表現したい。
 

國村隼 一言で言えば難しいです。三島さんの本はリアルに心情を表現すれば「こんな華美な言葉いらんやろ」と思うのですが、だんだん稽古を重ねていくうちに、言霊といいますか、言葉がすごくパワーを持ってくるのがわかるんです。そういう言葉を練り上げてちゃんと届けられたらと。あと少ししか稽古期間がございませんが、期待してください。
 

香寿たつき おれいの役をやらせていただきます。稽古していても本当に三島さんの本は難しくて、毎日苦しいんですが、その苦しみ喜びに変わると信じて稽古に励んでおります。
 

近藤芳正 三島さんは初めてでやはり難しくて、1回読んだだけではわからず、2回3回と読んでやっと少し理解できるのですが、1回しか観ていただけないお客様にそれをちゃんと分かっていただくように届けることが役者の仕事ですから、そこにちゃんとやらないといけないなと。そして五角形の人間関係の中でそれぞれの役柄が引き立てばいいなと思ってます。私は國村さんの弟で少し気楽な立場ですが、それでも身構えるような役です(笑)。なんとか良い芝居をと思っております。
 


『イロアセル』
 

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倉持裕(作)、島田歌穂、藤井隆、剣幸、鵜山仁(演出)
 


倉持裕 新国立劇場では2回目です。前回は翻訳劇の演出をやらせていただき、今回は脚本という違う立場で呼んでいただけたことが嬉しいです。滅びの美学というテーマを受けて話していたとき、最近新聞が売れないらしいと。そこからマスコミやジャーナリズムが誕生して隆盛を極め、衰退するという話を寓話的に作りましょうということになって。見たことのない芝居になるんじゃないかなと思っています、いろいろな仕掛けがありますので。
 

鵜山仁 ネタバレになりますが、しゃべる言葉に色がつき、それが伝播していくという話です。聞いただけでツイッターとか私的なコミュニケーションのことだとおわかりになると思います。正直、こんなの初めてです。なんとか言葉に色が着くということ表現してみようと思ってます。
 

藤井隆 今日から本読みが始まるということで、台本を緊張しながら読ませていただいて、完璧に覚えて稽古に参加しようと思ったんですけど、全然無理でした(笑)。これから間違えないように一生懸命やりますので。本当に緊張して来たんですけど、さっき扉の前でこのお二人(島田と剣)が優しくしてくださって、大丈夫だなと思いました(笑)。お二人に甘えながら頑張りたいと思います。
 

島田歌穂 今日がまったくの稽古始めで、わからないことだらけで、作家のかたがここにいらしてくださるので有り難いなと。たくさん質問しようと思ってます。さまざまなことが謎なんですが、これからその謎をひも解きながら、みなさんと作っていきたいです。

剣幸 私もこの本を読んで、情報化の時代である今だからこそ恐ろしいなと思いながら読んでおりました。皆さんとご一緒にがんばりたいと思います。




『天守物語』
 

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篠井英介、平岡祐太、奥村佳恵、白井晃(演出)
 


白井晃 私は新国立劇場は3本目で、喜劇1本と若い世代との共同作業が1本でした。それで今回が『天守物語』というので、30年くらい芝居をやっていますが和の世界は初めてで、あまり興味なくきましたが、そこが新鮮に思われたなのかなと。鏡花の世界を真正面から取り組んでみたいと思ってます。篠井さんとも30年前からの知り合いですがこういう形でやるのは初めてですし、平岡くんや奥村さんという若い世代といかに鏡花の世界を共有していけるかも楽しみです。そのままで変なアレンジは考えていません。西洋文化の中で育った私がどういう日本を発見できるか、それは自分がどういう日本人になっているかを発見することでもありますので楽しみです。
 

篠井英介 この時期に歌舞音曲もはばかられるような時に、こういう仕事をしている我々は心身を削ってライブ活動を行うことしかできないので、この3作品を観て「日本っていいじゃない」とか「日本人の心根っていいものね」と自分たちを発見する機会になったらと思っております。『天守物語』は色々な方で観てますのでとても怖いのですが、平岡くんたちは逆に彼らが見た鏡花世界を表現していってくれればいいし、白井さんの見た悪夢(笑)、いえファンタジーを、私たちは体現できるようにしたいと思っております。最後のお姫さま役だからと言ってチケットを売ってます。妖怪ですから、怖いもの見たさの人は来てください(笑)。
 

平岡祐太 ここ1年くらい時代物をテレビでもやってきたのですが、まさか古典をやるとは思ってなくて、周りの方達から大丈夫かと、海老蔵さんとかがされてるので。でも僕はチャレンジだなと思ってます。実際に時代劇もこういう古典もかけ離れすぎていて、逆にファンタジーなので、面白いなという感じですね。圧倒的な作り込まれた世界、そこに僕も引き込まれたので、お客さんが時間を忘れるくらいの美の世界を作れたらと思ってます。
 

奥村佳恵 初めての和物の世界なんですが、以前からとても憧れがありましたので、出演させていただけることを嬉しく思っています。役柄も物の怪の姫の役というのですごく楽しみですし、わくわくしてるのですが、古い日本語の美しさや所作など、自分がこれまで直面したことのない壁が目の前にたちはだかっていて、もうすでに怖いなという気持ちがあります。とにかく篠井さんをよく見て。今日、初めてお会いしたのですが美の化身のような方なので、私も少しでもその美を吸収して、たくさん稽古して、私の持っている恐さに抗っていきたいと思っています。


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新国立劇場2011/2012シーズン演劇 

シリーズ【美×劇】


『朱雀家の滅亡』
●9/20〜10/10◎新国立劇場 小劇場
作◇三島由紀夫 

演出◇宮田慶子
出演◇國村隼、香寿たつき、柴本幸、木村了、近藤芳正

〈料金〉A席6300円/B席3150円/Z席1500円


『イロアセル』
●10/18〜11/5◎新国立劇場 小劇場
作◇倉持裕 

演出◇鵜山仁
出演◇藤井隆、小嶋尚樹、島田歌穂、剣幸、木下浩之、ベンガル ほか

〈料金〉A席5250円/B席3150円/Z席1500円


『天守物語』
●11/5〜11/20◎新国立劇場 中劇場
作◇泉鏡花 

演出◇白井晃
出演◇篠井英介、平岡祐太、奥村佳恵、江波杏子 ほか

〈料金〉S席7350円/A席5250円/B席3150円/Z席1500円

※Z席は公演当日朝10時よりボックスオフィス窓口にて一般販売。1人1枚。電話予約不可。

〈問合せ〉

ボックスオフィス 03-5352-9999

http://www.nntt.jac.go.jp/play/


※3演目通し券

小劇場公演『朱雀家の滅亡』『イロアセル』/A席

中劇場公演『天守物語』/S席

〈料金〉16,600円(正価18,900円)

〈申込〉新国立劇場ボックスオフィスのみ(窓口/劇場1階 電話03-5352-9999)

3演目のいずれかのチケットが完売、または『朱雀家の滅亡』の公演終了まで。


【取材・文/榊原和子】 


幸四郎の名演が7年ぶりに甦る!『アマデウス』制作発表

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松本幸四郎の代表作の1つで、ピーター・シェファーの
傑作、『アマデウス』が7年ぶりに上演されることになった。

この作品は音楽史上永遠の謎とされるモーツァルトの死を主題に、人間の心の闇を鮮やかにドラマティックに映し出す戯曲で、1979年にロンドンで初演され、1981年のトニー賞5部門に輝き、のちに映画化されて、アカデミー賞でも8部門を受賞するという優れた作品で、日本では1982年6月に初上演されている。


物語の背景は
1823年、晩秋のウィーンから始まる。
32年前のモーツァルトの死にまつわるある噂が街の人々の間で囁かれ始める。モーツァルトを殺したのは当時の宮廷楽長サリエーリだったというもので、なんとその噂の出どころはサリエーリ自身だという。そして70歳に達しようとするサリエーリは、衝撃的な告白を始める……。


初演では、宮廷音楽家サリエーリに松本幸四郎、天衣無縫の作曲家モーツァルトには江守徹が扮して、天才に嫉妬する凡才の心の闇や、音楽という魔物に取り憑かれた人間のドラマを、名優2人の火花を散らす演技で鮮やかに描き出してみせた。

1993年からはモーツァルト役に市川染五郎が扮し、親子共演ならではの緩急に富んだ舞台を見せるとともに、サリエーリの松本幸四郎が再演のたびに深めていく演技で観客を魅了し続けてきた。

また、演出も前回から幸四郎が手がけ、初演のピーター・ホールからジャイルズ・ブロックに受け継がれた形を引き継いでいる。そして前回公演の2004年の千秋楽には、上演回数400回という快挙もなしとげた。
 

今回は401回目からのスタートで、モーツァルトに武田真治、その妻コンスタンツェに内山理名と、若さと新鮮さを感じさせる2人を迎えて、松本幸四郎がどんな新しいサリエーリを見せてくれるか注目されるところだ。


新鮮な顔ぶれとなったこの『アマデウス』の制作発表が、9月23日に都内のホテルで行なわれ、松本幸四郎が武田真治と内山理名が抱負を語った。

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【挨拶と一問一答】
 

松本幸四郎 7年ぶりにサリエーリ役を演じます。ちょうど幸四郎という名前を襲名した直後の初演から29年間、前回の400回はいろいろな思いがありました。来年はちょうどサリエーリの年齢になることもあり、この若い息吹とともに良い作品になるようにつとめていこうと思っております。


武田真治 このたび、このような大きな役をいただき光栄で、緊張しております。7年前に染五郎さんが演じられていたモーツァルトを意識せずにはいられないですが、僕なりのモーツァルトを演じれたらと思っております。


内山理名 82年に初演ということですが、私は81年に生まれたので、初演時にはまだ1歳だったわけですが、そんな長い間、歴史のある作品に関われることになり、光栄に思っております。この作品を観て下さっている方が多くて、いろいろな方のコンスタンツェのお話を聞くので、私も良かったと言ってもらえるようにと思っています。幸四郎さん、武田さんと一生懸命つくっていきたいと思います。


ーー7年ぶりということですが、もっと早くやりたかったいう思いは?

幸四郎 この作品は女性に観ていただきたいんです。なぜかというと、よく女性は嫉妬深いと言いますが、嫉妬は男のほうがすごいという(笑)。この世界で生きていますと、サリエーリのような気持ちを日々味わっております(笑)。努力を重ねても重ねても天才のモーツァルトにかなわない。そういう意味では毎日この世界を生きていたようなものなんです(笑)。


ーー共演の2人について。

幸四郎 舞台では初めてです。2人とも舞台にも大変意欲的なので、楽しみにしております。武田くんには「こんなオペラを書けるのは俺しかいない」というセリフを「役者でテナーサックスをこんなにうまく吹けるのは俺しかいない」という気持ちで喋ってくれと(笑)。内山さんは、私が出演した『カエサル』を、忙しいなか観に来てくれるような意欲的な女優さんです。女優という仕事は本当に苛酷だということもちゃんとわかっている。寡黙だけど芯のある感じですね。2人に安心していてもらいたいのは、僕は自分が役者だから役者が良く見えるような演出をします。多少わけわかんないことを言われても(笑)、役者を良く見せるためなので忍耐していただきたいと(笑)。


ーー自分への課題はありますか?

幸四郎 この作品を20世紀現代演劇の流れの中での傑作として定着させたい。そしてサリエーリとしては、最後をどんな気持ちで幕を降ろすのか、この若い2人の輝きの前にサリエーリの人生の終幕というものが浮かび上がると思いますので、2人の演技にかかってくると思います。


ーー武田さんと内山さんは幸四郎さんの演出について。

武田 言われた通りにやりたいと、心から願っています。モーツァルトはこうじゃないかと言うほど知らないし(笑)、役者の目線で演出されるというので、それを信じてやりたいです。でも昨日(本読み稽古)も今日も、おっしゃることが柔らかく入ってくるんです。柔軟な演出家だと思います。

内山 すごく心強いですし、従っていきたいです。コンスタンツェって日本女性にいないような性格で、ものすごく怒ったり泣いたりするし、モーツァルトをすごく愛すし、いい意味でどういう人かわからない人でいたいと思います。


ーー幸四郎さんにとってこの作品はどんな意味を持ちますか?

幸四郎 この仕事は観ている方に感動を与えることでお金をいただいている。感動を商売にしてるわけですから、ただただ誠実にやるしかない。そういう意味では「ぶる」なんてことはかなぐり捨てないとできない芝居です。そしてこの瞬間、今、この制作発表で作品について話をできることももったいないくらい有り難いことだと思っています。そういう思いを改めて感じながら舞台をつとめたいと思っています。


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松竹11月公演 

『アマデウス』

作◇ピーター・シェファー

演出◇松本幸四郎

出演◇松本幸四郎、武田真治、内山理名

●11/5〜25◎東京 ル テアトル銀座

〈料金〉S席12000円/A席6500円/2階BOX席12000円

●11/28◎福岡 博多座

〈料金〉A席13000円/特B席10000円/B席7000円/C席4000円

●12/2〜4◎大阪 イオン化粧品 シアターBRAVA!

〈料金〉S席11500円/A席9500円

●12/8◎松本 まつもと市民芸術館主ホール

〈料金〉S席9000円/A席7000円(10月2日発売)

●12/11◎富山 オーバード・ホール(富山市芸術文化館)

〈料金〉S席9000円/A席7000円/B席5000円

●12/15◎豊橋 アイプラザ豊橋(豊橋勤労福祉会館)

〈料金〉S席8000円/A席5000円/B席4000円/C席2000円


〈問合せ〉チケットホン松竹 0570-000-489

     チケットWeb松竹携帯 http://www.shochiku.co.jp/play/ticket-w/

     チケットWeb松竹PC  http://www.ticket-web-shochiku.com/pc/




【取材・文/榊原和子】


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『アパッチ砦の攻防』佐藤B作インタビュー

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東京ヴォードヴィルショーが、傑作レパートリーの1つ、『アパッチ砦の攻防』を、9月23日から紀伊國屋ホールで東京公演中である。

三谷幸喜が佐藤B作からの、「思いっきり笑える芝居を書いてくれ」という要望に応えて15年前に執筆したこの作品は、三谷ならではのワンシチュエーションコメディで、テンポの良さと登場するキャラクターの面白さで、何度も再演を重ねてきた。


物語は、ある高級マンションの1室に、以前この部屋の持ち主だった鏑木が、テレビの修理屋を装ってやってくることから始まる。彼は妻子と別れ愛人と暮らしているが、娘が婚約者を連れてくることになり、4日前まで住んでいたこのマンションで会うために一芝居打つことを思いついたのだ。ところが、今の居住者の鴨田夫妻が留守の時間帯を調べて入りこんだはずが、次々に夫妻が帰宅してきてしまう。そのうえ、マンション自治会の副会長夫妻や不動産屋、鏑木の前妻や愛人、ついには娘の婚約者の両親までが、入れ替わり立ち替わりやってきて……。


このたいへんな騒動を引き起こす?主人公であり、周囲を混乱に巻き込む鏑木役に扮するのが佐藤B作で、そのエネルギッシュな疾走感がこの作品のいちばんの見どころとなっている。5月から全国を巡演してきて、東京公演を前にした佐藤B作に、この作品の魅力を話してもらった。


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【休憩なしで一気に引き込んでいく】


——何度も再演されている作品ですが、毎回変化があるそうですね。


初演には、鏑木の前の奥さんは登場しなかったんです。三谷さんが「奥さんがマンションにやって来たら、もっと混乱してもっと笑えるようになる」と思いついて、最初の再演で書き直して、それから06年から鏑木の愛人のビビアンも出るようになって、再演ごとに人が増えていくというヘンな芝居なんです(笑)。でもたぶんこれが打ち止めの形だと思います(笑)。今回も変化は一応ありまして、人は増えてないんですが、休憩なしで2時間10分にしたんです。


——それは何か理由が?


この芝居はリアルタイムでいろいろなことが起きていく緊張感が見どころなんですが、騒ぎが収まって本当の修理屋さんがテレビを直したときがちょうど5時半で、『笑点』が始まってあの音楽が聞こえてくる。そのタイミングが大事なんです。そのリアルな時間の感覚を出すには、休憩が入らない方がいいかなと思って、一気にいくことにしたんです。


——1幕のシチュエーションコメディらしい作りに戻したんですね。


おかげで最初はきつかったですね(笑)。今も、こんなに汗かく芝居はないというくらい汗かいてます(笑)。


——全編、タイミングと段取りの面白さが満載ですね。


ちょっとはずすとたいへんなことになるんです。とにかく最初の笑いがくるまでは丁寧に丁寧に芝居をやってて、そこからあとはリズムに乗って次々に出て来る登場人物とのやり取りで進んでいくという感じです。


——すごくよくできてるお話で、ドタバタ調の笑いの中にきちんと泣かせる部分もあるし、女の人たちが素敵です。


僕の鏑木をはじめ男はみんなダメで(笑)鏑木は元の奥さんにも愛人にも助けてもらってます(笑)。


——その鏑木のダメさが笑いにつながっていきますね。


事態を収拾するのに必死で、かなり強引なんですよね。追い込まれてしかたなくやってるうちになんとかなるというか、結局全部バレちゃうというか(笑)、ホント、ダメなんです(笑)。


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【抜群のチームワーク】


——鴨田の角野卓造さんがまた良い味で、他の作品でも共演されてますが、この作品も2度目ですね。


世代が同じだからか、すごく気が合うんです。好き嫌いが合うというか、似てますね。舞台上でも、どう出ても受けてくれるし安心感があります。


——テレビの『渡る世間は鬼ばかり』でも、おやじバンドがブレイクしましたし。


なんかCDも出たり最後にきていろいろありました(笑)。僕は出番がそんなに多くなかったからいいんですが、角野さんはこの舞台と掛け持ちでちょっとたいへんだったようです。


——角野さんに加えて、今回の『アパッチ』は、とくにヴォードヴィルのメンバーのチームワークのよさを感じます。


まとまりが出て来たというか、芝居らしくなったというか。やっとこの作品を余裕もってやれるようになったかなと。初演の頃は余裕なかったですからね(笑)。今は僕がいちばん余裕がないかもしれないな。とにかく1度出たら忙しくて忙しくて(笑)。


——部屋の主人と修理屋さんとの変身を行ったり来たりですからね。


あんまり演劇をしてるみたいじゃないんですよ。なんかスポーツやってるような感じで、引っ込んだら汗ふいてシャツ着替えて、また出て行って。これは本当に芝居なんだろうか?と悩むことも多々あるくらいで(笑)。とにかく一気に行くしかないんで、若いときみたいに大きな声出して動きまわってがんばってます。


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【ふるさと福島への思い】


——ところで東京公演の前に17日に1日だけご出身の福島で無料公演をされたとか。


原発への複雑な思いは前からあったつもりだったんですが、あらためてああいう問題が起きて、故郷の町がなくなっていくという状態にショックを受けています。核の怖さとか文明の発達の怖さ、人間はどこにいくんだろうという怖さを感じました。兄弟がまだ50キロ圏にいるんですが、田舎の人間は辛抱強いから愚痴を言わないんです。そういうときに自分は何をしてやれるのか。東京に憧れて出てきた人間が、この年になってもう一度ふるさとに目を向けさせられる。これはなんなんだろうと考えたりするんです。募金箱は地方公演の会場に置かせてもらっていたんですが、この芝居を見せてあげるということもできないかと思って。電力ホールという会場が使えたので2ステージ、入りきれないほどの応募があったそうです。どのくらい力になるかわからないんですが、やっぱり一番笑えるこの芝居を観てもらいたいという気持ちでした。


——なによりの励ましでしょうね。


肩の力をちょっと抜いて「ああ、笑えた」と思ってもらうだけでいいんですよ。自分自身、ほかの芝居を観て救われたり元気になったりするので。いろいろある時代だからこそ、良い芝居や笑える舞台に出会って、一緒に少しでも幸せになれればいいなと。


——東京公演のあとは北海道もあるそうですね。大病もされたことですしお身体に気をつけて、疾走してください。


ほんとに人のことを心配してる場合ではないんですけどね(笑)。汗かきながらがんばります(笑)。



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東京ヴォードヴィルショー

『アパッチ砦の攻防』

作◇三谷幸喜

演出◇永井寛孝
出演◇佐藤B作、佐渡稔、石井愃一、市川勇、たかはし等、大森ヒロシ

あめくみちこ、山本ふじこ、市瀬理都子、フジワラマドカ、金澤貴子

客演/角野卓造・斉藤清六・沖直未・小林美江

★公演地により、出演者が異なります。詳しくは下記HPをご覧下さい。

●9/23〜28◎新宿紀伊國屋ホール 

〈料金〉当日5000円 (前売は完売です)

〈問合せ〉03-3227-8371 東京ヴォードヴィルショー

公式HP http://www.vaudeville-show.com/65tokyo/

●10/4〜15◎北海道各地

★会員制の演劇鑑賞団体での公演です。

詳細は各地の鑑賞団体へお問い合わせ下さい。

10/4〜5 釧路市 くしろ演劇みたい会 0154-25-6405

10/7〜8 旭川市 旭川市民劇場 0166-23-1655

10/10 江別市 江別演劇鑑賞会 011-383-3222

10/11 岩見沢市 岩見沢演劇鑑賞会 0126-25-0856

10/12 苫小牧市 苫小牧演劇鑑賞会 0144-36-1560

10/14〜15 函館市 函館演劇鑑賞会 0138-51-7376

詳細はこちら http://www.vaudeville-show.com/65hokkaido/



【取材・文/榊原和子】

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