稽古場見学、記者発表、インタビューなどから、近々公開される作品のおもしろさを探ります。

えんぶ最新号

伝説の二人芝居が新バージョンで甦る『ピカレスク・ホテル』

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1991年〜94年にかけて、新宿の小劇場のメッカとして知られたシアタートップスで上演された人気シリーズ、「ピカレスク・ホテル」が、新しい装いとなって登場する。

ホテルの一室を舞台に繰り広げられる、男と女の二人芝居の2本立て、音楽はピアノの生演奏のみ。しかも劇場受付から座席までベルボーイがアテンドをしてくれるというリアルホテル感。そんな洒落たコンセプトの舞台が、赤坂レッドシアターという都会の真ん中の劇場で、20年ぶりに復活する。


今回の2つのドラマは、第1話「リボン、ちゃんと結びなさい」、第2話「男か、女か、」の2作品。

第1話は、シリーズの企画者であり、ほとんどの作品を手がけてきたプラチナ・ペーパーズの堤泰之が作・演出。ラッパ屋などで知られる男優のおかやまはじめと、小劇場から井上ひさし作品まで活躍する女優、内田慈という組み合わせ。

第2話は、TRASHMASTERSを主宰する気鋭の作・演出家、中津留章仁が手がけ、俳優は映像や舞台で活躍する2人、元ジョビジョバの長谷川朝晴と東京乾電池の江口のりこという組み合わせになる。


ホテルの一室を舞台にした「男と女」の物語は、晴れの日もあれば曇りも、そして雨の日もある。暑い日もあれば身も凍るほど震える夜もある。そんな幾つものストーリーがこの一室で生まれては様々な形の終焉を迎える。

都会の片隅のホテルの一室で、今夜も様々な人間模様が生まれる。



『ピカレスク・ホテル』

第1話『リボン、ちゃんと結びなさい』 

作・演出◇堤 泰之  
出演◇おかやまはじめ 内田慈

第2話『男か、女か、』 

作・演出◇中津留章仁  

出演◇長谷川朝晴 江口のりこ 

ピアノ◇小林 洋  

特別ゲスト◇小林 桂(12/18 19:00 スペシャルジャズライブのみ)

●12/13〜18◎赤坂RED/THEATER

〈料金〉5000円(全席指定・税込)

〈問合せ〉ジェイ.クリップ 03-3352-1616 (平日10:00〜19:00)  

http://www.j-clip.co.jp/jCLIP/stage.html#pcrc(PCのみ)



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白井晃の美意識で彩られる泉鏡花世界。『天守物語』レビュー

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演出家の白井晃が初めて「和」に挑むことで話題の、『天守物語』が新国立劇場で上演中である。

中劇場という空間の高さと奥行きを生かして、美術の小竹信節が線と面の幾何学模様のような造りで、百年来魔界の者が住むという「白鷺城」の天守を創造し、そこで泉鏡花の物語が生き生きと息づき、動き出す。


物語は、富姫の妹分の亀姫が手鞠をつきに白鷺城にやってきたことから始まる。
そこに城主の播磨守の一行が鷹狩りから戻って来るが、播磨守の所有する白鷹を気に入った亀姫のために、富姫は鷹を捕らえて進呈する。やがて日が暮れた頃、居なくなった鷹を探しに姫川図書之助が天守まで登ってくる。
彼は鷹を逃した罪で切腹を命じられたが、命を助ける代わりに人も恐れるこの天守に鷹探しに登れと言いつけられたのだ。言葉を交わすうちに、その涼しい姿と心に魅入られる富姫。図書之助もまた、美しい富姫に心を奪われてしまう。
 

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外枠には現代を描く趣向があるが、それはこの作品への白井晃のアプローチだろう。そのあと一気に鏡花世界へとスライド、妖怪の女の童たちが遊ぶ秋草釣りの賑やかな様子に変わる。その賑わいの中に篠井英介扮するヒロインの富姫が登場する。その登場は鮮やかだ。

舞台奥の光の中にすーっと幻のような姿が立つ、と見れば、それが蓑と笠をまとった富姫で、姫が歩く足元には次々に道がセリ上がりで作られて、その渡り廊下のような道をスルスルと進んで、富姫は四角い能舞台のような住まい、すなわち「白鷺城」の天守へと戻ってくる。
その
スペクタクルで手品のような舞台装置の楽しさや、美しい魔界の光景に心をときめかせているうちに、観客もいつの間にか図書之助のように人間界から魔界へと足を踏み入れているのだ。

 

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富姫の篠井英介は、女形として培った技術で立ち居振る舞いなどを美しく細心に表現し、また、男性ならではの強さを魔界に棲むものの妖しさに生かして、作品全体の様式美を引っ張っていく。

姫に恋する図書之助の平岡祐太は、劇中で形容される「涼しさ」を姿そのままで伝えてくると同時に、富姫が恋するにふさわしい気高い心根と男らしさ、そして包容力がある。

亀姫の奥村佳恵は、若い姫の美しさと無邪気な魔性で場を一気に明るくする。

また富姫に仕える江波杏子の薄(すすき)や村岡希美の桔梗は雅びで、舌長姥の田根楽子は不気味なだけでなく滑稽味もある。けれんたっぷりに場を弾ませる朱の盤坊の坂元健児や、出番は少ないが重しとなる桃六の小林勝也と、共演陣も層が厚い。


冒頭にも書いたように小竹信節の美術の仕事が白井演出の独自の色となっていることに加え、大田雅公の衣裳の手描きで手染めという深みのある贅沢さ、音楽の三宅純が作り出す和洋の入り混じった音のリズムとドラマ性をはじめ、スタッフワークのクオリティが生み出す力は大きい。そのすべてが白井晃ならではの美意識となって結実して泉鏡花世界の実現を支えている。
 

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『天守物語』
●11/5〜11/20◎新国立劇場 中劇場
作◇泉鏡花 

演出◇白井晃
出演◇篠井英介、平岡祐太、奥村佳恵、江波杏子 ほか

〈料金〉S席7350円/A席5250円/B席3150円/Z席1500円

※Z席は公演当日朝10時よりボックスオフィス窓口にて一般販売。1人1枚。電話予約不可。

〈問合せ〉

ボックスオフィス 03-5352-9999

http://www.nntt.jac.go.jp/play/



【文/榊原和子 撮影/谷古宇正彦】


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芸術に憑かれた市村ゴッホ『炎の人』レビュー


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市村正親の憑依したかのような入魂の舞台『炎の人』が好評再演中である。

天才画家であり、ときに狂気の画家として知られるゴッホの「炎のような生涯」を三好十郎が描き出したこの戯曲は1951年、ちょうど60年前に書かれた。

芸術に携わる自分に重ね合わせて饒舌に語られる三好十郎の言葉は、同じく演劇という芸術に取り憑かれた俳優、市村正親の身体と声をかりて、まさしくそこにゴッホの魂と生涯として浮かび上がる。


物語の始まりはベルギーの炭鉱町。宣教師を志したヴィンセント・ヴァン・ゴッホだが、その並はずれた献身から職を失い、放浪の果てに絵画で生きることを決意する。
オランダに移り住み、酒場で知り合った身重のシィヌ(富田靖子)をモデルに絵の修業を始めるが、周囲から孤立し、シィヌにも去られてしまう。そんな彼を理解し支援し続ける弟のテオ(今井朋彦)。
やがてヴィンセントはパリに出て、若い印象派の画家たちとの交流で刺激を受ける。なかでもゴーガン
(益岡徹)の才能に強い憧れと嫉妬を抱き、自分独自の技法と世界を求めて憑かれたように絵を描き続ける。そんな日々にヴィンセントの精神と肉体はすり減っていく。

やがてパリを逃れアルルに移り、明るい陽光の中でゴーガンとの共同生活が始まる。美しい田園風景とそこで知り合った踊り子ラシェル(富田靖子・二役)の優しさに癒されるが、芸術家同士の激しさゆえにゴーガンとぶつかり合い、ついに狂気の発作が起こしてしまう。

 

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市村正親のヴィンセント・ヴァン・ゴッホは、一幕では、自分の進むべき道を求めるあまり、周囲の人々とズレていく不器用な人間の葛藤を激しさと若さを感じさせて演じ、後半のアルルの場面では、創造の苦しみに灼かれ、安らぐことのない日々に次第に狂気を帯びていく芸術家の懊悩を抱いて、舞台空間に生々しく存在する。

共演の俳優たちも、そんな市村ゴッホの熱に引きずられるように熱い芝居を見せて、とくに市村と対峙する益岡ゴーガンは、ゴッホに憧れられる大きさと激しさで立ちはだかる。ゴッホが愛した女性二役の富田靖子は、彼が妄想する女の優しさ、したたかさ、温かさなどを持つ「女の本質」ともいうべきものを感じさせる。弟のテオを演じる今井朋彦は、誠実さが心に沁みる。そのほかに大鷹明良、銀粉蝶、中嶋しゅうなど芸達者が何役も演じながら舞台を固めている。

この舞台で特筆しておきたいのが、堀尾幸男の美術と勝柴次朗の照明で、とくに二幕を飾るゴッホのアルルの風景画の美しさ、ゴッホの内面などを映し出す明かりの変化などは、この物語のテーマをより鮮明に表現して効果的だ。

最後はその耳を削ぎ落とし、それでも足りずに命まで絵画という表現に食い尽くされるゴッホだが、彼が生み出した数々の「絵」の美しさと魂の純粋さを伝えて余りある、芸術への愛に溢れた舞台となっている。


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『炎の人』

作◇三好十郎 

演出◇栗山民也
出演◇市村正親、益岡徹、富田靖子、今井朋彦、大鷹明良、中嶋しゅう、銀粉蝶 ほか

●11/4〜13◎天王洲 銀河劇場
〈料金〉S席9,000円/A席7,500円(全席指定・税込)
〈問合せ〉ホリプロチケットセンター 03-3490-4949

●11/16◎七飯町文化センターパイオニアホール(北海道)
●11/18◎たきかわ文化センター(北海道)

●11/20◎深川市文化交流ホール み・ら・い(北海道)
●11/23◎大空町教育文化会館(北海道)
●11/30〜12/1◎神奈川芸術劇場


【文/榊原和子 撮影/田中亜紀】

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