稽古場見学、記者発表、インタビューなどから、近々公開される作品のおもしろさを探ります。

極上文學『こゝろ』

三谷幸喜の作・演出で竜也が啄木を。『ろくでなし啄木』公開稽古。

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東京芸術劇場で1月5日から開幕した三谷幸喜作・演出の『ろくでなし啄木』が、4日に公開稽古を行なった。

この『ろくでなし啄木』は、今年50歳を迎える三谷幸喜が「大感謝祭」と銘打って舞台、映画、TV、小説で新作7本を発表するその第一弾として上演されるもの。
純朴な文学青年というイメージで伝えられる石川啄木には、実は女と金にだらしのない酒飲みの「ろくでなし」という説もあり、その陰影に富んだ人間像を三谷幸喜ならではの切り口で描いている。
出演者は啄木を演じる藤原竜也のほかに、友人で香具師のテツに中村勘太郎、啄木の恋人トミを吹石一恵という、たった三人で繰り広げられるサスペンス仕立ての物語だ。

公開稽古で演じられたのは、啄木と恋人のトミがテツにお金を出してもらって温泉旅行に来ている旅館の一場面で、啄木はトミに気があるテツに美人局まがいのことを仕掛けて金を巻き上げようとする。
いやがるトミをあの手この手で口説き落とす啄木。藤原・啄木の捨て身の熱演が喜劇ではないはずのシーンなのに笑いを誘う。そんな藤原・啄木のテンションに引っ張られるかのように勘太郎・テツのドタバタが弾ける。また、吹石・トミの必死の誘惑芝居もどこかズレていて可笑しい。
この一件をもとに、嘘と真実の合間で揺れ動く3人の関係が見どころという、いかにも三谷らしい人間心理の洞察に満ちた舞台となっている。

本作品は東京芸術劇場のあと大阪公演を経て、天王洲・銀河劇場でも上演される。

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『ろくでなし啄木』

作・演出◇三谷幸喜

出演◇藤原竜也、中村勘太郎、吹石一恵

●1/7〜23◎東京芸術劇場 中ホール

●1/27〜2/13◎シアターBRAVA!

●2/17〜26◎天王洲 銀河劇場

〈料金〉

東京芸術劇場/S席10000円 A席8500円

シアターBRAVA!/S席11000円 A席9500円

天王洲 銀河劇場/S席10000円 A席8500円

〈問合せ〉

東京/ホリプロチケットセンター 03-3490-4949

大阪/キョードーインフォメーション 06-7732-8888

 

【取材・文/榊原和子】

 

一味違ったシェイクスピア喜劇。シアターコクーンで開幕『十二夜』。

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1月4日に初日を迎える串田和美演出・松たか子主演のシェイクスピア喜劇『十二夜』の公開舞台稽古が3日、Bunkamuraシアターコクーンにて行われた。

船の遭難によって生き別れた双子の兄妹。妹のヴァイオラが身を守るために男装し、オーシーノ公爵にシザーリオという名の小姓として仕えることから始まる、片思いに、片思いが続くハッピーエンドの喜劇なのだが、そこに串田の潤色が加わり、ピリっとシニカルな視点も感じさせる一味違った『十二夜』となった。

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次々と生まれる恋を目の当たりにして、双子の神秘に触れる思いがした。元は一人であった人間が、お互いを確かめ合いたいが為に二人に別れる。より感じ合うために別れることを望んだにも関わらず、二人の間に生まれた距離は、否応なしに二人を引き離していく。もう一度、一つに戻りたい。そう願う男女が「恋すること」の始まりなのかもしれない。

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双子の兄妹、セバスチャンとヴァイオラを一人二役で松たか子が演じる。松の持つ澄んだ少年性が違和感なく発揮されていたのが印象的だ。そんな中、ヴァイオラとして、女性としてオーシーノ公爵を想う気持ちが垣間見れると一層切なさが増す。石丸幹二も恋に燃えるオーシーノを堂々と演じ、存在感と色気で舞台を締める。男装したヴァイオラに恋をしてしまう、オリヴィアにはりょう。クールなイメージがあるが、そこから離れて恋にとことん盲目になってしまう様子が可愛らしい。笹野高史がフェステ(道化)役で登場し、軽やかに舞台をかき回し、マライアの荻野目慶子、サー・トービーの大森博史が、サー・アンドルー(片岡亀蔵)や、マルヴォーリオ(串田和美)をからかうことで、喜劇色が増す。

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旅役者たちが『十二夜』を演じている姿を、また見せるという入れ子式の舞台。演技に演技が重なり、どこに真実があるのかわからなくなる。出演者たちによる楽器の演奏も楽しげなのに、どこかノスタルジックな寂しさが漂う。そんなところが、世の中に対して良い意味で皮肉っぽい。喜劇をただの喜劇では終わらせない、串田流・大人のいたずら、一日限りのお祭のような舞台だった。

 


シアターコクーン・オンレパートリー2011
『十二夜』

作◇W.シェイクスピア
翻訳◇松岡和子
演出・潤色・美術・衣装◇串田和美
音楽◇つのだたかし
出演◇松たか子、石丸幹二、りょう、荻野目慶子、大森博史、真那胡敬二、小西康久、酒向芳、内田紳一郎、片岡正二郎、目黒陽介、小春、つのだたかし、飯塚直子、片岡亀蔵、串田和美、笹野高史

●1/4〜1/26◎Bunkamuraシアターコクーン

<料金>
S¥9,500 A¥7,500 コクーンシート¥5,000 (税込)

<問い合わせ>
Bunkamura 03-3477-3244 (10:00〜19:00)

 

【取材/文 岩見那津子】

新春から太一が舞い、踊る!『龍と牡丹 vol.1』

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劇団朱雀の二代目として、またエンターティナーとしてますますフィールドを広げている早乙女太一。今年は1月2日から天王洲・銀河劇場で新春公演『龍と牡丹 vol.1』をスタートさせている。

この公演は第1部が「19*ザベスト Nineteen The Best」というタイトルで、文字通り今年10代最後の年となる太一の集大成。また第2部は「絵島〜大奥・許されざる恋」という演目で、「絵島生島」の悲恋をもとに、男女2役を演じるという画期的な試みになっている。

この公演の初日の舞台をレポートした。

第1部の「19*ザベスト Nineteen The Best」は、現代的で洒落たセンスのパフォーマンスショー。
まず、太一が好きなモノトーンを基調にしたモダンな衣裳や背景と映像のコラボレーションが目を楽しませてくれる。

ダンスは太一のタップソロに始まり、弟の早乙女友貴がメインとなるストリートダンス系のダンスや、今回参加しているダンサーたちのコンテンポラリー、また朱雀らしい日本舞踊を取り入れた鈴花奈々メインの群舞などがテンポよく展開される。
もちろん太一得意の殺陣を生かした舞いもあれば、今回の目玉というべき映像の影とリアル太一が切り結ぶゲーム感覚の斬新な殺陣もあり、太一ならではのパフォーマンスが次々に続く。
大詰めは太鼓奏者・茂戸藤浩司と太一の和太鼓の競演で、リズム感と迫力で圧巻の時間が終わるとそのまま再び太一のタップ。そして全員のフィナーレへと賑やかになだれ込んでいく。

第2部の「絵島〜大奥・許されざる恋」は、約300年前に起きた「絵島生島事件」をもとにした舞踊作品。大奥の年寄りという高い地位にある奥女中の絵島と、人気歌舞伎役者の生島の悲恋を、太一が両役踊り分けという珍しい趣向で見せている。
オープニングは賑やかな大奥の風景に始まり、ややカリカチュアされた将軍や奥女中たちの日常、その中で暮らす位高い絵島の姿。そんなドラマが、クラシックからJ-ポップまでさまざまなジャンルの音楽と舞いによって表現され、音楽の変化とともにシーンの色もくっきりと変化していく。

絵島の太一は大奥女中らしく、派手ではないが豪華な打ち掛けや、参拝におもむく際の落ち着いた色めの被布を上品に着こなして美しい。参拝の道中が上手側の客席通路を使っているのも観客には嬉しい演出。
一方、人気役者の生島の生きる歌舞伎の世界は、歌舞伎の様式的な動きをアレンジしたショーで表現されていて、その中で生島に扮して踊る太一は、猛々しさとともに、男姿ならではの涼やかな色気を見せる。
そして一番の話題の、大奥で忍び逢う絵島と生島の2役は、紗幕と舞台袖を使っての鮮やかな早替わりとなっている。

フィナーレは、女形の太一を中心に朱雀のメンバーやダンサーたち、ジャパンアクションエンタープライズのメンバーなどが華やかに登場。
新しい方向性を感じさせるような新鮮な舞台でありながら、ファンの見たい太一も満載で、まさに充実のステージだ。

この舞台のスタッフワークは、LDEや影などの優れた映像の猪子寿之、音楽監督の高梨康治、モードを衣裳にした野田源太郎、振付と演出の蓮伊万里と、いずれも気鋭のアーティスト揃い。太一自身のアイデアも取り込んでいるというだけに、これからの早乙女太一の可能性を多様に感じさせる世界となっている。

天王洲 銀河劇場での公演は1月5日まで。当日券は劇場で販売中。

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早乙女太一新春特別公演

『龍と牡丹 vol.1』

第1部「19*ザベスト Nineteen The Best」

第2部「絵島〜大奥・許されざる恋」

出演◇早乙女太一、劇団朱雀

●1/2〜5◎天王洲 銀河劇場

〈料金〉8500円(全席指定・税込)

〈問合せ〉03-5459-7461(株)うぼん(12:00〜18:00)

●3/9〜16◎名古屋 名鉄ホール
 
〈料金〉8000円(全席指定・税込)

〈問合せ〉03-5459-7461(株)うぼん(平日12:00〜18:00)



※お知らせ
演劇ぶっく2月号(1/9発売)の早乙女太一さんのインタビューページで以下のクレジットが掲載されていませんでした。お詫びとともにこちらで掲載させていただきます。

ヘアメイク◇D&N/MENGUL越智めぐみ スタイリング◇Rockey(ジァケット:BOISNONVERNI)03−5673−8666

 

【取材・文/榊原和子 撮影/橋本雅司】

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