稽古場見学、記者発表、インタビューなどから、近々公開される作品のおもしろさを探ります。

『Like A Room 002』

リニューアルでさらに楽しめるものに。『ア・ラ・カルト2』高泉淳子インタビュー     

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今年もまた役者と音楽家のいるレストラン『ア・ラ・カルト』が開店した。
クリスマス・イブの老舗レストランを舞台に、そこに訪れる客と従業員たちの人生模様を、洒落た音楽とともに描いていくエンターテイメント性に富んだステージ。08年に20周年を迎えて一度クローズ。昨年の『リニューアル準備中』という公演を経て、今年から新装開店した。
『ア・ラ・カルト2』と銘打たれたこの新シリーズのメンバーは、作・出演の高泉淳子を中心に、パントマイマーの山本光洋と本多愛也、そして新メンバーとなった俳優の中山祐一朗。音楽はこれまで通り中西俊博率いる生バンドの演奏で、出演者たちがレストランのギャルソンやお客になって繰り広げる心温まるミニドラマのエンターテイメント。今年はひときわ多彩なゲストも登場する。
その新しい音楽レストラン『ア・ラ・カルト2』について、作・主演の高泉淳子にインタビュー。

 

【20周年でいったん終止符を打って】

ーー今年『ア・ラ・カルト2』という形で、作品がリニューアルオープンしましたが、ここに至るまでの経緯について聞かせてください。

一昨年に20周年を迎えて集大成という形のものをやったわけですが、それを境に、ずっと一緒にやってきた白井晃と陰山泰が抜けることになりました。そのあと私はどうしようか、やはり悩みましたし考えました。でもこの作品は自分たちの財産というか、演劇にさまざまな表現の舞台があるなかで、この『ア・ラ・カルト』のような形のものは他にないと思ったんです。20年やってきてお客様にも愛されて、私たち自身も大好きな世界ですしね。抜ける白井と陰山も、それぞれ体力とか個人的な事情で自分たちは抜けるけど「高泉は続けて欲しい」と。そう言われて複雑な気持ちもありましたが、演出の吉澤(耕一)と、音楽監督の中西さんが、賛同してくれたので、「また面白いものを創ろう!」と、力が湧いてきました。それに今回新しい世代の中山祐一朗くんも入ってくれたので、私ももう一度新しい気持ちで取り組みたいなと思いました。それこそ劇中に出て来るお婆ちゃんになるまでやっていこうかなと(笑)、覚悟を決めました。

ーー台本を書くときに、これまでと変える部分、変えてはいけない部分など意識しましたか?

去年も『おしゃべりなレストラン〜リニューアル準備中』ということで何を見せようか悩みましたが、今年ははっきりリニューアル・オープンの『ア・ラ・カルト2』ということですから、さらに考えました。20年やってきたことに触れないわけにもいかないし、そこにこだわりすぎてもいけない。ただ、去年の経験が役に立って、そのあたりをうまく融合させて作れたような気がします。たとえば去年は『ア・ラ・カルト』というタイトルをつけるかどうか悩んで、一応『おしゃべりなレストラン〜リニューアル準備中』というタイトルにして、副題に「ア・ラ・カルト」とつけたんです。でも今年は吉澤とすぐに「『ア・ラ・カルト2』でいいんじゃない」と簡単に決めてしまいました(笑)。

ーー去年の『準備中』をやったことで吹っ切れたのでしょうか?

昨年の『準備中』は、山本光洋さん、本田愛也さんというパントマイマーをメンバーに加えたこと、日替わりゲストを迎えたことなどで、どんどんアイデアが生まれました。今回は新しく加わった中山裕一朗さんの存在が大きいので、登場するキャラクターもどうしようかと。特にサラリーマン役の「高橋」とか、以前の人物を出すか出さないかどうしようかと。でも本を書いているうちに、そんなことは大したことじゃないと。大事なことは、レストランが舞台であること、中西さんたちの生の音楽があるということ、そこに洒落たいいお話があって、魅力ある人物が登場すればいい。古いとか新しいとか関係なく、そのときに生まれたものをやればいいと。20周年という節目で一回ピリオドを打ったことは、この作品を見直すいい機会だったなと思っています。

 

 

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【お客もギャルソンも新しく】

ーー改めて原点に戻ったという気がしますね。さてその中身ですが、新しい部分というのは?

まずは中山祐一朗という人の存在は大きいですね。私はあまり存知あげなかったんですけど、うまい役者さんで、柔らかな部分もあるし、いい意味でサイコ的なところもあって素敵だし、笑いのセンスがいい。一緒のシーンは力を入れて書いてます(笑)。「高橋」という私が扮するサラリーマンは、いつも女装の白井と出てきてた登場人物なんですけど、今回はサラリーマン同士にしようということで、中山さんに「高橋」の後輩になってもらってます。稽古でなにをやっても彼はよく受けてくれるし、すごく面白い場面になってると思います。

ーーそしてパントマイマーの山本光洋さんと本多愛也さんは、対照的なギャルソン役だとか。

光洋さんは私の他の作品でも出てもらっていますが、彼のマイムは物語というかストーリーの組み立てが素晴らしいんです。今回は彼にあえて言葉をたくさん喋ってもらってます。役者ではないですから、言葉を話すことに慣れてないので苦闘してますけど、一度言葉がその身体に入ってしまったらすごいものを見せてくれると思っているんです。本多さんは逆に一切喋らないというギャルソンで、映画のイメージでいうと彼がレストランの扉を開けるところから始まるみたいな、物語をナビゲートするような役割りですね。イギリスの俳優のティム・ロスみたいなね、そんなイメージを彼には持っています。

ーー音楽は中西俊博さんが率いるいつものバンドメンバーですね。

去年も本当に助けられました。いつものミュージシャン4人、彼らがいればなんとかなるという安心感は大きかったです。やはり長い間一緒にやってきた中西さんならではの呼吸とか空気感があるんです。

ーーそして日替わりゲストがめちゃくちゃ豪華ですね。

はい。うれしい限りです。以前のアラカルトではできなかったことですね。まずはこの顔ぶれは1ヶ月も拘束できませんからね。日替わりということで実現したわけです。リハーサルは一回だけ。だけど皆さんにちゃんとお芝居をしてもらってます。台本にいろいろと工夫してあります。メニューを見ながらワインリストを見ながら話せば、シーンは成立するような。今年は一部分アドリブもありで、それぞれの個性が出て楽しいかなと(笑)。ゲストの皆さんはきっとドキドキでしょうね。そんなドキドキ感がお客様にも楽しんでもらえるのではないかと思ってます。

ーーそれぞれ歌を歌われるんですよね。

今井清隆さんは『ラ・マンチャの男』から「見果てぬ夢」を、今拓哉さんは「ユーレイズミーアップ」を。ミュージカル界からのお二人に共通なんですが、自分がやったことがないミュージカルの歌を見事に歌っちゃうんです(笑)。本当に好きなんだろうなと思います。コンドルズの近藤良平さんはセリフのある芝居は初めてだそうで、家に帰ってちゃんと覚えなくちゃと焦ってました(笑)。素敵なダンスを見せてくれます。これまで何回も出てくれたROLLYの歌「アベマリア」は感動します。川平慈英さんも、もうセミレギュラーみたいで歌って、踊って、喋って、エンターティナーぶりは脱帽。篠井英介さんとは、もう長いお付き合いです。一緒にお芝居できることは最高の楽しみ。最近は女装して歌うことが少ないからとショーも気合いを入れてくださって、去年も本当にお綺麗でした。それから山寺宏一さんは声優さんですが芝居も歌も抜群にうまくて、今年も彼のショータイムはすごいことになると思います。そしてヒカシューで有名な巻上公一さんにはオリジナル曲をももちろん歌っていただきます。顔ぶれが違うとお話も違って見えるので、全ゲストを観たいと通ってくれたお客様も昨年いらっしゃいました。

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【沢田研二さんと念願の共演】

ーー来年の高泉さんの女優業とか歌手の仕事を話していただきたいのですが。

来年3月から5月頭まで沢田研二さん主演の『探偵』という作品に出演させていただきます。これは初演(08年)が好評で再演されるものです。マキノノゾミさんが演出されていて、とても面白い作品です。沢田さんはもう10年以上ご自分のプロジェクトを続けていらっしゃって、本当にお芝居に取り組んでらっしゃって。今回は沢田さんの相手役をさせていただくのでとても楽しみです。歌もあります。しかも全国6都市をまわるんです。ですから稽古も含めて3カ月沢田研二さんとご一緒できるというので嬉しくて嬉しくて。

ーー役者高泉淳子に徹する期間という感じですね。

歌もちゃんとやりますよ。ライブは毎月あって、1月、2月はROLLYと。2月のヴァレンタインスペシャルでは、金沢で、道場六三郎さんの創作料理とパテシエの辻口博啓さんのデザートとコラボする芝居の、脚本・演出・出演をします。それから7月にはタカイズミプロジェクト第3弾ということで、宇野亜喜良さん美術で面白いことやります。宇野さんとは来年、大人の絵本を創ることになりました。

ーー『ア・ラ・カルト』のリニューアルとともに、高泉淳子も新しいスタートという感じですね

とくに節目の年ということでもないのですが、30年近くやってきて、面白い舞台、音楽を創りたいと強く思いますね。これから何本創れるか挑戦です。海外でも通用できるものをやってみたいですしジャンルを超えていろんな方と出会いたいです。鈴木忠志さん、バーコフ、マクバーニーとか、以前刺激のある演出家のところで鍛えてもらったように、また機会があればどなたかとやってみたいなとも思いますね。まだ動けるうちに、なにができるかチャレンジしたい。日々精進したいです。

 

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■公演情報■

『ア・ラ・カルト 2』

演出◇吉澤耕一

台本・出演◇高泉淳子

出演◇山本光洋 本多愛也 中山祐一朗 /中西俊博 クリス・シルバースタイン 竹中俊二 林正樹

日替わりゲスト/今井清隆(21.22.23日) 川平慈英(5.6日) 今拓哉(10.11.12日) 近藤良平(7.8.9日) 篠井英介(14.15日) 巻上公一(16.17日) 山寺宏一(18.19日) ROLLY(24.25.26日)

12/4〜12/26●青山円形劇場

[お問合せ]こどもの城劇場事業本部 03-3797-5678


【取材・文/榊原和子】
 

ミュージカル『おもひでぽろぽろ』出演者募集/オーディション

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このたび、わらび座では、来春、初演となるスタジオジブリアニメーション映画「おもひでぽろぽろ」を原作とした、ミュージカル『おもひでぽろぽろ』のキャストを募集。本作品は劇団わらび座創立60周年記念として企画し、スタジオジブリのアニメーションの舞台化としては、初めての作品となり話題を呼んでいるもの。 

初演は、銀河劇場(東京都)、その後、わらび劇場(秋田県)と坊っちゃん劇場(愛媛県)でのロングラン公演を予定。オーディションの概要は以下の通り。


【オーディション概要】 

■日時 12月16日(木)18:00~20:30 

18:00~集合・説明。説明後に歌と台詞のレッスン。 
19:00~オーディション。 

■会場 新宿村 (オーディション...3スタジオ、控室...12スタジオ)(新宿区北新宿2‐1‐1) 

【募集キャスト】

子タエ(主人公タエ子の子ども時代)...女性1名
アンサンブル(子ども時代を演じる)...女性2名

【応募条件】

以下の1~3の条件を満たす方 
1 年齢...16歳~35歳
2 身長...155cm以下 
3 稽古期間(1月11日(火)~13日(木)、3月15日(火)~4月15日(金))参加 

【出演期間】

以下の公演期間より、最低3カ月程度の出演が可能な方。 
☆天王洲 銀河劇場(東京都) 4月16日(土)~4月29日(金・祝) 
☆わらび劇場(秋田県) 5月8日(日)~7月22日(金)、8月21日(日)~2012年1月3日(火) 
☆坊っちゃん劇場(愛媛県)7月29日(金)~8月15日(月) 

【選考方法】

書類審査後、12月16日(木)に実技オーディションと面接。 

◎実技オーディション 
1 音楽...課題曲(ミュージカルおもひでぽろぽろより)、自由曲 各1曲ずつ 
2 ダンス...自由曲 1曲 
3 演劇...当日配布 
※音源は各自で持参ください。

【審査員】

栗山民也(演出)、甲斐正人(作曲)、わらび座制作部 

【応募方法】

以下の書類を用意し、郵送またはメールにてお送り下さい。 
1.プロフィール1枚(市販のプロフィール用紙で可) 
2.顔写真・全身写真 

【送り先】 

わらび座制作部 おもひでぽろぽろオーディション係 
 〒014-1192 秋田県仙北市田沢湖卒田字早稲田430 
 Tel:0187-44-3975   
E-mail:omohide2011@warabi.or.jp 


【応募締め切り】

2010年12月14日(火)必着 

 

『新春浅草歌舞伎』市川亀治郎・片岡愛之助会見

 

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若手人気役者を揃えて浅草の正月を彩る恒例の『新春浅草歌舞伎』が、2011年の1月2日から幕を開ける。

今回は市川亀治郎が河竹黙阿弥の名作『三人吉三巴白浪』のお坊吉三、家の芸・猿之助四十八撰の1つ『黒手組曲輪達引』の三役をどれも初役で演じるほか、片岡愛之助も『三人吉三巴白浪』の和尚吉三、義太夫狂言『壺坂霊験記』の座頭沢市を初役で勤める。

『三人吉三巴白浪』は同じ「吉三」という名の若い盗賊三人が運命の糸で結ばれて義兄弟の契りを結ぶ白浪もの。「月も朧に白魚の篝も霞む春の空」という七五調の台詞で有名。『黒手組曲輪達引』は歌舞伎十八番の一つである「助六」をパロディーにした河竹黙阿弥の作品。伯父の猿之助の演出で亀治郎が早替わりで助六など三役を勤め、猿之助以来22年ぶりに大詰めの「水入り」まで演じる。そのほかに亀治郎が一人で踊る猿翁十種の1つ『独楽』と、全4演目を昼と夜の部に分けて上演する。

その公演の会見が行なわれ、市川亀治郎と片岡愛之助に話を聞いた。

 

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市川亀治郎

『新春浅草歌舞伎』は、この劇場だからこそ初めて歌舞伎を観にいらっしゃる方も多いですし、そういう意味ではいい演目が並んだと思っております。僕はもう10年やってますから年中行事という感覚ですね。演目については、昔はすごく考えましたけど、おかげさまで毎年観てくださるお客様も増え、ある程度つらい演目でもついてきてくれるようになりました。また観劇料が安いのは一番の魅力だと思いますね。敷居が高いというのは、内容じゃなくてハードのほうだと思うので、安くなることでいろいろなかたに見ていただくチャンスが広がると思います。
今回初めて勤める『黒手組曲輪達引』は、伯父の猿之助が、前から僕にやらせたいと思っていたそうですし、やはり家の宝なのでやらない手はないと思いました(笑)。『黒手組曲輪達引』では権九郎、伝次、助六の三役早替りを初役で勤めることと、大詰の水入りが22年ぶりに上演されることで、大きな挑戦ですが、水は冷たいほうが上がってから風邪を引かないそうなので(笑)、それも含めて緊張しながら挑もうと思っています。
『三人吉三巴白浪』では、やはり初役のお坊吉三を演じます。名台詞の七五調は音楽のように耳に心地よいと思うのですが、逆に台詞の中身をどう理解していただくかが難しいですから、心地よい部分とは別に台詞としてしっかりと伝えたいし、またリズムを変えて語らないといけないと思っています。
それから舞踊の『独楽』は中学生の時に踊って以来で、こちらも22年ぶりとなります。設定が浅草・雷門の前で物売りをするという踊りなので、ぜひご当地でやりたかったんです。夢が叶いました。


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片岡愛之助

この『新春浅草歌舞伎』は、同世代同士で芝居ができるのですごく楽しいです。父なり叔父なりの大先輩たちいないのでのびのびやれますが、そのぶん修正が効かないし、よりいっそう自分との戦いになるので、ちょっと怖い部分もあります。
『三人吉三』では和尚吉三を演じさせていただくのですが、実は僕の出身の上方歌舞伎ではあまり上演されない演目なんです。ですから演じるにあたって叔父の片岡仁左衛門に聞いてみたところ、“アウトローな若者を描いたものだから、若いお前たちが感じるままやればいい”と言ってくれました。そういう舞台を勤められることが、『新春浅草歌舞伎』に参加させてもらって面白いところです。
通し狂言については、たとえば江戸時代だったら物語の大筋を知って来られるお客様が多かったと思いますので、1場面だけお見せするだけでも泣けたわけですが、今は、初めて歌舞伎をご覧になる方も多いと思うので、より深く歌舞伎を知っていただくためにも、通しで観ていただくのはいいんじゃないかと思います。
やはり初役の『壺坂霊験記』では、目の不自由な沢市と妻の情愛が見どころです。難しいところは盲目の男の眼があくところですが、叔父の片岡我當に教わってしっかり勤めたいと思います。今回はまさかという初役ばかりですし、いつもは白塗りの役どころが多かったのですが、白塗りの役が1つもなくて珍しいなと思います。
この劇場では、『お年玉』という年始のご挨拶があるので、お客様にとっても、役者の素顔が見られるめったにないいい機会だと思います。

 

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『新春浅草歌舞伎』

出演◇市川亀治郎、片岡愛之助、中村七之助、中村亀鶴 他

●2011/1/2〜26◎浅草公会堂

〈料金〉1等席9,000円 2等席 5,500円 3等席2,000円
(学割・浅草公会堂窓口のみ発売1等席6,500円 2等席4,000円)
〈問合せ〉チケットホン松竹 0570-000-489

 

※お知らせ
WOWOWオンエア。『新春浅草歌舞伎』千秋楽の2日後から2日間にわたって、「三人吉三巴白浪」2011/1/28深夜0時より、「黒手組曲輪立引」1/29日午後2時半より放送予定。

 

【取材・文/榊原和子】【撮影/田中亜紀】

 

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