稽古場見学、記者発表、インタビューなどから、近々公開される作品のおもしろさを探ります。

『Like A Room 002』

人気少年マンガの世界が登場! 『ろくでなしBLUES』

最新「ろくでなしBLUES」

90年代にヤンキーの学園ものとして一大ブームを巻き起こした『ろくでなしBLUES』。その漫画世界が劇団EXILEの若手ユニット「華組」と「風組」の合同公演として舞台化される。

音楽界の最前線にいる人気グループEXILE、そのリーダーであるHIROが意欲的に取り組んでいる「劇団EXILE」の演劇活動。
メンバーたちが歌、ダンスに加えて演技力も磨くことで、さらに新しい地平をめざすというのがゼネラル・プロデューサーHIROの夢でもある。
そして08年に、「劇団EXILE」の若手ユニットとして結成されたのが、「華組」「風組」「響組」の3つの組。

今回の『ろくでなしBLUES』には、「華組」の青柳翔、磯村洋祐、春川恭亮、施鐘泰、秋山真太郎、小澤雄太。そして「風組」の白濱亜嵐、山下健二郎、ELLYが参加、ほかにも劇団EXILEの新人を含めて生きのいい若手メンバーたちが顔を揃えた。

その彼らが、取り組む人気マンガの世界は、主役の前田太尊とそれを取り巻く若者たちの夢と日常を描いて、炸裂するギャグとアクション、そして愛と友情で見せる青春群像劇。
笑いの中に涙あふれる少年マンガの熱い世界を、体当たりで見せる「劇団EXILE」の若いパフォーマーたち。天王洲・銀河劇場で間もなく開幕である。

 

 

劇団EXILE 華組×風組合同公演

『ろくでなしBLUES』

原作◇森田まさのり

脚本◇丑尾健太郎

演出◇茅野イサム

ゼネラル・プロデューサー◇HIRO

出演◇劇団EXILE華組、劇団EXILE風組 他

●12/4〜12◎天王洲 銀河劇場

〈料金〉

5800円(全席指定、税込)

〈お問い合わせ〉

公演事務局 0570-064-807 (平日12:00〜19:00)

http://www.gekidan-exile.com

 

 

【文/榊原和子】

 


1時間半の別世界『令嬢ジュリー』

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この上なく濃厚な1時間半。
息つく暇を与えない、薄暗い地下室でのたった二人っきりのやり取り。
光によって、より陰影が濃くなるような、密な空間。
パッと客電が点いて、芝居の終演を理解した瞬間、「戻ってこれた」と一息つきたくなった。
そのくらい観客も芝居の中に引きずり込んでいくような作品だ。

感情の揺れを自分でも持て余しているようなジュリー。
ジャンと一緒に墜ちていってしまいたいのも、
伯爵家に生まれたプライドも、女としての誇りも、愛情も、狂気も・・・
全てが彼女の中にある真実の感情なのだと思う。
ジャンとのやり取りの中で、
ジュリーの心は次々と移り変わっているようにみえるが、実のところ嘘がない。
ただ全てが愛おしくて、同じぐらい全てが憎い。
そんな感情が彼女の中でふつふつと湧き上がり続ける。
彼女の中には様々な思いが渦巻き過ぎていて、
その感情が発するエネルギーにジュリーの身体はついていけなかったのかもしれない。
もうそれ以外に方法がない。
死が彼女を解き放つ。

変化自在などという言葉では表しきれない、毬谷友子にしかない、
聖なる美しさと、その対極にあるような自分を含めた人を引きずり落とすような魔性を
ジュリーの演技で堪能する。

その毬谷の演技を受け、時には上から見下ろした谷田歩のジャン。
下僕の身でありながら、どこか紳士的でもあり、
しかし身分の差を超えられない本能的に植え付けられた畏怖が彼の中にはある。
崇拝に近いジュリーへの思いと、恐れの中でジャンも激しく揺れる。

冒頭ではジュリーとジャンは向き合わずにお互い言葉を交わし続ける。
実際には触れていないのに触れ合っているように感じられる演出は、
目に見える以上に官能的で創造力を刺激された。

光と影が際立たせる人間の欲望を見つめ続ける1時間半の別世界。
別世界を感じられる。
それこそ芝居の醍醐味だ。






『令嬢ジュリー』



原作ストリンドベリ
台本
木内宏昌
演出
毬谷友子
演出協力
千葉哲也
出演
毬谷友子 谷田歩

東京公演●11/2712/2◎赤坂レッドシアター
兵庫公演
●12/45◎兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール

<料金>
全席指定・税込 
4000

<ご予約・問い合わせ>
東京公演 ジェイ.クリップ 03-3352-1616
兵庫公演 芸術文化センターチケットオフィス 
079868-0255

 

 

【文/岩見那津子】

『くにこ』で作家向田邦子を演じる、栗田桃子インタビュー

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鋭い人間観察と切れ味のいい文章で、今でも多くの読者から熱い支持を集めている向田邦子。人気絶頂期に事故で亡くなるという衝撃もあって、よりいっそう日本人の心に残る作家となっている。その向田邦子をモチーフにした作品、『くにこ』が中島淳彦によって書き下ろされ、文学座の舞台として26日から新宿の紀伊國屋ホールで上演されている。

物語は、向田邦子という作家が生まれるまでの評伝的要素と、遺されている彼女の珠玉の作品群から、そのエッセンスを取り出して盛り込んである。

この舞台でタイトルロール「くにこ」を演じるのは、文学座の女優、栗田桃子。2008年にこまつ座に出演した『父と暮らせば』で朝日舞台芸術賞の寺山修司賞を受賞するなど、その実力は高い評価を受けている。今年もワイルダーの『わが町』や平田オリザ戯曲の『麦の穂の揺れる穂先に』に出演、日常感の中で揺れ動く人間の感情を豊かな表現力で描き出して好評だった。この『くにこ』では、有名作家の多感な少女時代から作家を目指すまでの日々を演じ、おかしくも哀しい中島淳彦の戯曲世界を生きる。その「くにこ」役の栗田桃子に稽古中にインタビューした。


【鋭い言葉で描かれる向田世界】

——向田邦子さんの小説やエッセイはもちろん読まれていると思うのですが、どんなところが魅力だと?

最初はたしか『あ、うん』だったと思います。まだ若い頃に読んだのですが、若いなりに向田さんという作家のすごさをすごく感じました。登場人物たちの目線がそれぞれの立場から描かれていて、それが向田さんの短いけれど切れ味のいい言葉で表現されていて、言葉と言葉のやり取りに色々なエッセンスがつまっていて、本当に面白いなと思いました。

——その向田さんの役を今回演じられるわけですが、かなりのプレッシャーでは?

それがあまり意識してないんです。中島淳彦さんの本も1人の女の子がだんだん大人になっていくプロセスが描かれていて、そこをちゃんと血の通った体温のある人として演じられたらいいなということしか考えてないんです。妹さんの向田和子さんが「誰も知らない時代ですから、好きに演じていいですよ」とおっしゃってくださったんですが、たぶんご家族しか知らない邦子さんの少女時代が多く出てくると思いますので。

——栗田さんは、等身大というかどこにでもいるような普通の女性像を演じて、いつも自然体だなという気がしますが。

あまり自分を四角とか丸とか決めないで、まず周りのかたたちを見ながら作っていくようにしているのですが、この間の『麦の穂の揺れる穂先に』でいえば、まず江守徹さんの娘であるという気持ちを大事にしていました。一番の理想は、そこで何をするというのではなく、舞台の上でただそこにスッとその役でいることなのですが。

——日常的な演技というのが、実は難しいのではないかと思うのですが?

『麦の穂の〜』は平田オリザさんのセリフが難しかったです。「えー」とか「あー」とか似たような言葉が出て来るからなかなか覚えられなくて(笑)。それに倒置法がすごく多いんです。「と思ってる。〜〜を」というふうに、ひっくり返して言うので全然覚えられなかったんです。でもそれを江守さんは一番に覚えてこられて、「やっぱりすごいな」と思いました。

——今回の中島さんのセリフは、かなり言いやすいのでは?

そうですね。中島さんもすごく素敵な言葉を書かれますし、本当にセリフが優しいんです。まだ稽古中ですから聞き込むような状態ではないのですが、余裕ができたら取っておきたくなるような言葉がたくさんあります。私も後半にたくさんしゃべるシーンがあって、そこは最初の台本ではまだ出来てなくてあとから来たんですが、中島さんが溜めに溜めて書かれたんだろうなと思うくらい、バーッと素敵な言葉を喋ってます。でもすごく言葉が素敵なだけに、そこで中島さんのセリフに負けちゃいけないなと思うんです。どうしても「いいセリフ」って酔ってしゃべってしまいそうになるじゃないですか。でもそれをやるとお客さんが気持ち悪くなると思うので。

——確かに。日常のなかでさらっとすごい言葉を喋るからいいのかもしれませんね。

そういうところを中島さんが苦しみながら書いて、すごく素敵な言葉にされるので、同じくらい役者も苦しまなければと思っています。

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【芝居とは過酷なものなんだなと】

ーー栗田さんは役を引きずるほうですか? 切り替えるほうですか?

稽古場ではできるかぎり役になりきって、でも家には持ち込まないようにしてます。駅から自宅まで自転車に乗ってるんですが、そこでだいたい切り替えられますね。公演期間中はどうしてもその作品にずっとひたってることになるのですが、私はそれはあまりよくないんじゃないかと思っていて、冷静に違う方向から見ることや、いったん離れて全体から見ることなどが必要ではないかと思うんです。

——それがいつまでもフレッシュさを保つ秘訣かもしれませんね。ところで小さい頃から女優志望だったのですか?

それが文学座に入るまで演劇をやったことなかったんです。ずっとバスケットをやっていて。ただ高校の文化祭でクラスで劇をやったとき、おばあちゃん役がきて、頭を白くしたいと思って家から小麦粉を持っていったんです(笑)。それを観た人たちがすごく笑ってくれて、笑われたのが嬉しくて。そこから女優になってみたいなと思って。でも本当に演劇のことを何も知らなくて、文学座も杉村春子も知らなかったんです。私も大学に行くつもりだったんですが、落ちてしまって(笑)、お芝居でもやろうかなと。

——文学座も大学以上に競争率は高かったはずですが。

知らない強みですね(笑)。何もできないで受けて、受験場で皆さんが発声練習とかしてるのを意味もわからず見ていたし、筆記試験も「ブレヒトはどの作品か?」とか全然わからないから、あみだで適当に線をつないで(笑)。漢字試験だけはなんとかできたんですけど。そんな状態だったのになぜか受かってしまいました。

——では研究所時代に演劇的なものに触れたという感じですか?

何もかも初めてですから、すごく楽しかったです。まずいろんな大人のかたがいるのが珍しくて、それまで先生とか親くらいしか大人の人とは喋らなかったですから。演技もダンスも全部初めてでしたが面白かったし、文学座の附属演劇研究所は本科と研修科で3年あるのですが、その期間はまさに青春で、半分遊んでるようなものでした(笑)。

——舞台とか役者の面白さというものを感じたのはいつ頃ですか?

初舞台から4年目に『みみず』という作品があって、そのときに役者って過酷なんだなと思いました。裸にならなくてはいけなかったんです。まだ23歳くらいでしたから「私、こんなことやりにきたんじゃない」と思って。しかも行為をしてるところから始まるんです。相手役は同期の内野聖陽だったんですけど、あの人は役作りに集中すると、それ以外気にならない人で(笑)、でも私は最後まで抵抗があって体を隠すものを巻いてたりしたんですけど、それが見えると言われたので、もういいやと。そのとき芝居って過酷だなと、ちゃんと覚悟を決めてやらないといけないもので、きれいね、かわいいねで、ちょこっとやって終わりでは成り立たないんだなと、身に沁みて感じました。でも同時に、思いきりよくやることで、ちゃんと認めてくれる人がいるということもわかりました。

——役者さんが潔いと、観ているほうも余計なことを考えなくなりますから。

表面的なことを超える表現というのがちゃんとできればいいので、隠そうとか思うことで肝心のものが見えなくなったらそのほうが恐いですから。

——演じること自体、心の中まで見られるような恐さがあるのでは?

舞台ってそういう意味ではいつも裸で立ってるも同然で、日常生活や普段の生き方をさらけ出すようなものだし、本当に恐いなと思います。それは30代になってからより強く感じるようになって、まるでここを(胸を指して)スケルトンで見せてるような感覚で、すごくたいへんなことをしてるんだなと思います。

——それでも面白いからやめられない?

そうですね。恐いからこそやめられないみたいな(笑)。

ーー今回はとくにタイトルロールということでひときわ緊張しそうですが。

でも私1人で作るのではないし、角野卓造さんをはじめ信頼できる先輩もたくさん出ていますので。とにかく観に来たかたに「明日もがんばろう」とか思ってもらえるものをお見せしたいですね。そのためにも出演者だけでなくスタッフの方がたと一緒に力を合わせて作っていきたいと思っています。装置もすごく面白いんですよ。時代の変化や場所の変化を盆を回して見せるんですが、小さい遊園地みたいに楽しんでいただけると思います。その中で「くにこ」を伸び伸びと生きられたらいいなと思っています。

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文学座

『くにこ』

作◇中島淳彦

演出◇鵜山仁

出演◇塩田朋子、山本郁子、栗田桃子、太田志津香、鬼頭典子、上田桃子、角野卓造、関輝雄、亀田住明

●11/26〜12/5◎紀伊國屋サザンシアター

〈料金〉

前売 6000円/ユースチケット(25歳以下) 3800円/中・高校生 2500円

〈問合せ〉

文学座 03-3351-7265

http://www.bungakuza.com

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