稽古場見学、記者発表、インタビューなどから、近々公開される作品のおもしろさを探ります。

観劇予報は2019年2月20日に引っ越しました。
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自転車キンクリーツカンパニー『〆』

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見る前にちらっと目を通したあらすじは、

ライトノベル作家の元に、ゾンビ寸前の、その作家の大ファンが訪れる。
「完全にゾンビになってしまう前に、話の続きを読ませろ!」
と作家に迫る、ゾンビ未満の方々。
書けない作家と、そのゾンビ未満の方々とのお話。

というようなものでした。
『コメディーかな。』『楽しく笑って見終われそう。』
と思って観に行って、実際ゾンビたちと作家のやり取りに何度も笑い、
楽しい時間を過ごしていたものの、
終盤に近づくにつれて、「ん?これは・・・??」。

全く書けなくなった作家が抱えていた暗い闇が、
最後の最後にドバッと溢れてきて、
いや、これは笑って、すっきり終われない。

その作家は自分が書いていたライトノベルの最終章を書き上げていたのだけれど、
それをまず一番に自分の彼女に読ませたかったらしい。
今までで一番、面白い作品が書けたと信じていた。
だからこそ、彼女に・・・と思っていたのに、
その彼女がゾンビになってしまい、最終章を読んでもらうことが叶わなかった。
それだけでなく、彼はゾンビと化した彼女を自分の手で殺している。
だから、どんなにファンに迫られても、もはや脅迫されても、
キーボードを打つ手はいっこうに進まなかったし、
すぐにはぐらかして、執筆から逃れようとしていた。

という過去が作家にはあった。
それまでのドタバタの会話劇からは、
想像も付かなかった終盤の重さに、ちょっと呆気にとられもした。
でも基本的には、面白い。くすくす笑える。
出てくる人、一人一人のキャラクターに愛着が湧いてくる面白さ。

作家の代田要(瀧川英次)は、受け身のキャラクター。
「書け!!」と迫るゾンビたちの要求を飄々とかわす。
次々と、その代田の自宅にゾンビファンが訪れるのだが、
茂子(星野園美)は、押しの強い、ある意味空気の読めない夢見がちな女。
かすみ(松坂早苗)は虚弱体質でひ弱ながら、
言葉で痛い所を付いてくるブラックさがあって面白いし、
美里奈(和田ひろこ)はサバイバル系美人。
彼女は他のゾンビの腕を振りちぎり、
ベランダをよじ登り、血だらけで代田の部屋までやってくる。
一人、男のファンである登呂(平塚真介)は警官でありながら、
代田の作品に登場する女の子キャラを溺愛する乙女な心を持ったオトメン。

主な流れはコメディーでありながら、
でも「書く」ことに対する苦しみが、じわじわと滲み出ていて、
その暗さが、心に引っかかる。
この話は、作・演出の飯島早苗さんの心情にもかぶるのだろうか?
観終わって、なんとなく考えてしまった。

 

 

 

自転車キンクリートSTORE
『〆』


作・演出◇飯島早苗
出演◇瀧川英次、星野園美、松坂早苗、和田ひろこ、平塚真介


<公演期間・会場>
3/173/27◎赤坂RED/THEATER

<料金>
3,800円(全席指定・税込)

<問い合わせ>
自転車キンクリーツカンパニー 
03-5489-4434

<上演時間>
1時間25

 

 

【文/岩見那津子】

東京スウィカプロデュース『光の庭』

 

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演劇プロデュース東京スウィカの新作が29日から赤坂レッドシアターで公演する。
福祉にも力を入れて毎公演招待などでも知られる東京スウィカは、主宰、比佐廉(脚本/演出)と、 女優吉田羊、制作部で福祉も手がける石津陽子の三人によって2000年にスタート。 2001年に旗揚公演『サーカスの唄』を発表。 その後毎年12本の新作及び再演公演を行ってきた。
現在は吉田と石津は抜けたものの、比佐廉を中心とするプロデュース集団として活動。 レギュラーメンバーのほかに、毎回新しいキャストによる公演を行っている。また福祉公演として毎回、障害児の招待、施設への貸切公演も行っている。

 

今回のキャストの1人、石橋徹郎さんからコメントが届いた。

「舞台は群馬県の古い農家。過疎化打開のために悪戦苦闘したり、子供の問題に悩んだりと、普通の人たちの悲喜こもごもの様子です。
激しい人物が出てきたり、強烈な出来事が起きたりはしません。かといって淡々と静かに進行するわけではなく、賑やかに展開してゆき、そのなかにほろ苦さが加味されて、そこはかとなく幸福感が漂う、優しくて澄んだ気持ちになるような物語です」

 

 

東京スウィカプロデュース
『光の庭』

出演◇石橋徹郎(文学座)、比佐一成、長州小力、竹内正男、気谷ゆみか、山素由湖、緒方和也(Studio Life)、下川江那、最所美咲(OH!LABANBA)、石川なつ、松宇一聖

3/294/3◎赤坂レッドシアター

〈料金〉前売 3,500円/当日 3,800円 
平日割引 3301400〜の公演 2,500円 
高校生までは前売・当日共に2,200

〈お問い合わせ〉J-stage Navi 03-5957-5500(平日11:0018:00
東京スウィカHP http://www.tokyoswica.net/

 


『カスケード〜やがて時がくれば〜』

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なんだか、作品全体で一人の人間みたいだったというか、
登場人物はたくさんいるんだけれど、
それぞれに明確な性格や考えは、あるようでない、気がした。
一人一人が詩みたいで、不思議で、ものすごく感覚的。

若手の役者がチェーホフの『かもめ』を上演する、その稽古場での様子。
観劇後にチラシを見てびっくりしたのは、役者さんの名前と役名が同じだったこと。
役名と名前が違ったのは演出家のミナミを演じた、小林竜樹さんだけ?
この『カスケード』自体、作・演出の岩松了さんが、
若手との創作を望んで作った、ということなのだが、
実際に若手俳優である役者さんたちの姿と、芝居の中で役として生きる姿が重なって、
今、考えると余計にリアルだ。

『かもめ』の稽古場ということで、
トレープレフを演じるのは誰か。ニーナは?アルカージアは?トリゴーリンは?
と、『かもめ』の登場人物の名前が飛び交い、
また、ところどころで『かもめ』のワンシーンが演じられる。
でも、それが果たして稽古なのか、彼らの心情をあらわしたものなのかは、わからない。
その嘘に嘘を重ねていくような感じが、
すごく意地が悪いと思うのと同時に、
なんとなく惹かれてしまう作品そのものの魅力でもあったと思う。

ニーナ役を渇望する吉牟田さんが、ぶっ飛んでいてインパクト大。
稽古場の管理人である駒木根さんも、掴みどころのない飄々としたキャラクターが、
良い意味で確かに気持ちが悪くて印象に残る。
(劇中でも何度か「気持ちが悪い」という言葉を投げかけられていた)

チェーホフの『かもめ』のトレープレフは作家志望の青年。
でも、彼は苦悩に耐え切れず最後は自殺してしまう。
トレープレフを演じる予定だった、尾上君はすでに死んでいて、
そこから話ははじまっている。
ニーナは女優志望で上昇志向のある娘。彼女の行く末も決して明るいものではない。
岩松さんが書いた『カスケード』と生身の役者とチェーホフの『かもめ』とが入り混じる。

「カスケード」というのは、“連なった小さな滝”のこと。
演じることの苦さを突きつける残酷な愛情と、
でも滝のように大きく激しい流れにもなって欲しいという純粋な愛情と、
その両方が作品の中に詰まっている気がした。

 


『カスケード〜やがて時がくれば〜』

作・演出◇岩松了
出演◇安藤聖、青山ハル、今村沙緒里、尾上寛之、小林竜樹、駒木根隆介、清水優、滝沢恵、田中慎吾、永岡佑、橋本一郎、罐献腑鵐潺腑鵝⊂硝椶舛機吉牟田眞奈〈五十音順〉

<上演期間・会場>
3/16〜3/27◎下北沢 駅前劇場

<料金>
指定席3,800円、自由席3,500円

<問い合わせ>
鈍牛倶楽部 03-3400-2131

<上演時間>
約2時間

 

【文/岩見那津子】

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