稽古場見学、記者発表、インタビューなどから、近々公開される作品のおもしろさを探ります。

観劇予報は2019年2月20日に引っ越しました。
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笹本・高畑が飛ぶ! ブロードウェイミュージカル 『ピーターパン』舞台稽古インタビュー

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今年で30周年を迎える『ピーターパン』の公開舞台稽古と囲み取材が、初日公演を控えた7月19日の昼に行われた。
今回のピーターパンはWキャストで、98年に5代目ピーターパンとしてデビューした笹本玲奈が8年ぶりに復活。もう一人のピーターパン、高畑充希は今年4年目となる。

公開舞台稽古ということで、限られた数ではあるが客席には子供の姿が多く見られ、大人と一緒に舞台を楽しんでいる様子が感じられた。
キャストの客席降りがあれば、興奮し笑顔を見せ、フック船長役の橋本じゅんがレスポンスを求めれば大きな声で即反応。大人が集まる客席ではなかなか味わえない元気の良さがあって、舞台がより楽しくなってくる。「大人も子供も楽しめるピーターパン」ここに嘘はなかった。
実際見ていて私もまず空を飛ぶピーターパンの姿にときめいた。自由に空を飛ぶピーターパンたちの姿には夢がある。子供から大人になっていく中での、なんとも言えない切なさも物語から感じた。

約3時間に及ぶ舞台稽古を終えた笹本玲奈と、高畑充希が揃って囲み取材に登場した。

 

【一問一答】

──いよいよ公演が始まりますが、今の心境をお願いします。

笹本 8年ぶりであることを感じず、すんなりピーターパンに戻ってこられたな、と。すごく舞台に立てて楽しいですし、子供たちからもいっぱいパワーをもらっています。

高畑 私も、4年やらせていただいて、またこの暑い夏が来たなという感じで気合いが入ってます。

──笹本さんは、デビュー当時のことを思い出したりされますか?

笹本 デビューの時は右も左もわからない子供だったので、それがいいところでもあったと思うんですけど、直球過ぎたなっていう、反省点ばかり思い出します。今回は8年の間に色々な作品に出て、色々な経験を積んで、今だからこそやる意味があるんじゃないかなと感じています。女優としてすごく素敵な経験をさせていただいてるな、と。Wキャストで充希ちゃんとやれるってこともすごく意味があることですし、原点に返るっていうのも、なかなかないチャンスですので、デビューして13年目になりますが、ゼロのスタート地点に戻ってこれたのが嬉しいですね。

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──高畑さんは4年目ですが、いかがですか?

高畑 30周年という重みも感じつつ。私は小さい頃、玲奈ちゃんのピーターパンを実際に見てたので、その見ていたピーターパンと同じ役をやれるというのは、そうそうない機会ですし、すごく稽古も楽しくできて。次は玲奈ちゃんと共演したいなと思いました。今回は一緒に立てないので。

──見所はやはり…?

笹本 フライングですね! 2点吊りなので、前転したり後転したり、いろんな技ができるので、そこを是非見ていただきたいです。あと、キャラクターがすごく個性的なんです。それが楽しくて、神田沙也加ちゃんが演じるウェンディにしても、橋本さん演じるフック船長にしても、それぞれに物語があるので、そこに自分を重ねて見ることができる。そういうところもこの作品の魅力だと思うので、目が離せない!

高畑 私は今回初めて客観的に見ることができて、フック船長の悲しみだとか、ウェンディの初恋とか、大人の方も楽しめるような部分がいっぱい盛り込まれてるんだなっていうのを改めて感じたので、大人の方にはそういう部分を楽しんでいただけたら、と思います。

──笹本さんは8年ぶりのフライングですね。

笹本 10代の頃にやってたことなんで、体に染みついてるというか、飛んだ瞬間も違和感なく入ってきたというか、高いところも大好きなので(笑)。

高畑 私はジェットコースターも乗れないので、良く飛んでるなとぁ自分でも思いますが(笑)、楽しく飛んでます!

笹本 風を切って飛んでるので、人間じゃない気分になるっていうか、鳥ってこんな感じなのかなぁって。

高畑 とくに最後の時は、客席が真っ暗なんで、本当に夜空を飛ぶみたいな感じで、あそこは本当にたまらなく好きです。

s_RIMG1567──ピーターパンは大人にならない子供ですが、自分を子供だと感じる瞬間は?

高畑 おいしいものを見つけた時に、周りが見えなくなる(笑)。

笹本 私はお酒が苦手で、ご飯食べにいってもジュースばっかり飲んじゃうところですかね(笑)。おつまみとかはすごく好きで、たこわさとか(笑)大好きなんですけど、それに併せてジンジャエールとかになっちゃいますね(笑)。

──公演期間が夏休みですが、お二人の夏休みの思い出は?

笹本 …ないですねぇ(笑)。本当に中学1年の時から夏はこれだけだったので、一般的なその中学生、高校生が経験する夏休みの思い出っていうのがないんですよ。これだけなんで、本当に、私にとっての思い出というのはピーターパンですね。

高畑 私も夏はずっとピーターパンなんですけど、すごくカンパニーの仲が良いので、地方に行って空いてる時にみんなで河原で花火したりとか、夏だなっていうことは、カンパニーのみんなと色々やりました。

──今回、先輩である笹本さんとのWキャストということでプレッシャーはありましたか?

高畑 稽古に入る前とか、萎縮していた部分もあったんですけど、実際お稽古が始まると自分が今までやってきたピーターとは全然違う方向からの解釈で「なるほど!」ってなるときが何度もあって。全然違うピーターパンを見られるっていうのはすごく楽しいですし、自分のことも客観的に見れたりして、あっという間のお稽古期間でした。

笹本 私は今回、充希ちゃんと一緒にやれて良かったなと思って。まずはピーターパンって飛んだり跳ねたり大変な役なんで、体力的にも助かるなっていうのと(笑)、あとはピーターパンの解釈もそうなんですけど、女優さんとして稽古場で真っ直ぐに一生懸命やってる姿っていうのが、「こうでありたいな、こうあるべきなんだな」っていうのを、稽古場の充希ちゃんを見ていて学びました。本当に今回のこの経験は宝物になりそうですね。

──笹本さんは、これから迎える初日で150回目のピーターパンですよね。

笹本 そうなんですよ。前回149回って本当に微妙な回数で終わっちゃったんで、あと1回なんだったんだって(笑)、でもやっと答えが出たって感じで、今回のために149回で終わったのかなと。同じ役を100回以上演じられるっていうのは、なかなかない経験ですので、自分の成長を役を通して見ることができるし、怖い気もしますが、本当に良い経験だと思ってます。

──ピーターパンを演じるにあたって、具体的にイメージした役者さんとか、キャラクターはありますか?

笹本 私はアニメに出てくる男の子とかすごく参考にしましたね。ディズニーのピーターパンもですし。あとアラジンとかも。

高畑 もう結構大きくなっちゃったんですけど、1年目とかは従兄弟を参考に。自分の本能の赴くままに動くその従兄弟や、公園とかで遊んでる小さい子とかを研究してました。

──最後にメッセージをお願いします。

笹本 ピーターパンは今年で30周年を迎えました。新しいメンバーも加わって、今回久しぶりにWキャストということで、素晴らしいピーターパンになると思います。絶対損はさせないと思うので、是非見にいらしてください。

高畑 小さいお子さんから、おじいちゃんおばあちゃんまで幅広くわくわくドキドキできて、最後はちょっとホロっと切なくなる。素晴らしい作品になっています。是非劇場まで遊びにきてください。

 

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ブロードウェイミュージカル

『ピーターパン』

原作◇ジェームズ・M・バリ

演出・潤色・訳詞◇松本祐子

出演◇笹本玲奈/高畑充希(Wキャスト)

橋本じゅん 神田沙也加 神原麻由 比企理恵 ほか

7/19〜8/1●東京国際フォーラム ホールC

8/7、8/8●梅田芸術劇場メインホール

8/13●中日劇場

8/19●北九州芸術劇場 大ホール

8/22●名取市文化会館 大ホール

〈料金〉

東京 ドリームシート¥6800/S席大人¥7800子供¥4800/A席¥3000

大阪  S席大人¥7500子供¥5000/A席¥3500

愛知  A席大人¥8000/B席¥6000

福岡  S席大人¥5000子供¥3500/A席大人¥5000子供¥2500

宮城  大人¥6800/子供¥4800

〈問合せ〉 ホリプロチケットセンター 03-3490-4949  

 

【取材・文/岩見那津子】

「当たり前の世界を揺るがす」本能中枢劇団・吉原朱美インタビュー

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ナンセンスなんだけど感動的。
そう、ありきたりな理由なんかない。
シーンの積み重ねも、意味があるのかないのかわからない。
だけど、胸にジーンとくる一瞬がある本能中枢劇団の作品。
色白で博多人形のような容姿と身のこなしから、意外な台詞や動きが炸裂する!
そのギャップに一目見たときから虜になった劇団員、吉原朱美に本能中枢劇団の秘密を聞いた。


——西島さんが主宰していたベターポーヅの舞台を初めて見たとき、どう感じられました?

本当にすごいおもしろい! 今までに見たことのない感じだったし、この中に入って自分もしゃべったり動いたりしたいって思いました。

——実際に参加してみて、いかがでしたか?

最初は夢中だったので、楽しいとか難しいとか感じなかったですね。ただ言われたままにやってみる感じでした。

——単語そのものは普通の単語なのに、組み合わせの妙というか、独特の世界を形成しているあの台詞をもらって、まず最初に考えるのは何ですか?

最初はとにかく台詞を覚えて、その書かれている人がどういうふうにやったら一番魅力的に見えるかということですね。見た目はとっぴなことをやっている芝居かもしれないですけど、リアルなお芝居とベースは一緒だと思っていて。お客さんが、その世界をリアルに感じるかどうかだと思うんですよ。一見支離滅裂な台詞でも、それを言っている私はその世界では真面目に生きていて、その世界を当たり前として生きている人として、本当に説得力を持つように、見ている人に届くようにやりたいなと思っています。

——リアルに感じるように届けるために、実際はどんな風に演じるのですか?

自分がどう思うかとかはあんまり考えないんですけど・・・、やるときはできるだけ普通に入っていけるようにしますね。リラックスして。でも、なんかね、力んじゃうんですけどね(笑)。今回も新しい方とかいっぱいいて、みんな面白かったりすると「自分ができることって何だろう?」とか余計なことを考え始めると力が入って、おかしなことになっちゃうんで。もっとリラックスしてどんどんやれたらなと思っているんですけど。

——今日もいろんな劇団で活動されている方が集まっていますが、どの方も魅力的に見えて、びっくりしました。

西島さんは誰も気付かなかった魅力とか、その人がチャーミングに見えるように書くのが上手だなと思います。

——台詞のあるシーンもそうですけど、ダンスシーンも毎回印象的ですが、踊っているときは何を考えているのですか。

私はダンサーじゃないのであれですけど、台詞がない分よりコミュニケーションをしようっていう気持ちが強くなるっていうか・・・なんて言い表したらいいかわからないけれども、何かを共有できたらという感じがあります。

——前回、初参加された出演者の方たちが、西島さんの世界に戸惑いを感じていたと耳にしましたが。

これまで当たり前だったことが、当たり前じゃなかったんだというか。戸惑っている人の姿を見て、改めて西島さんの本のことについて考えられるというか、すごい新鮮に受け止められました。前回も今回も出演者の方には、すごく恵まれていて。みんな分からないと言いながら、絶対よくしようと思って取り組んでいらっしゃるので、そういう姿を見て刺激を受けています。

——稽古が意外と穏やかで、価値観の押しつけがないようなので、驚きました。

稽古はまだまだの段階ですね。たぶん6合目くらいだと思います。西島さんはすごく自分のアイデアとか台詞に執着しないというか、ばっさり面白いシーンをカットしたりするんです。その執着のなさはすごいなと思ったりします。でも結果それより面白いものが出てくるので、すごいですよね。

——稽古場のリラックスした空気感も印象的でした。本番間近になるとピリピリした雰囲気になったりするのですか?

今日なんて、全然ゆるゆるでしたよね(笑)。これから本番に向けてピリピリすることは・・・ないと思います。西島さんの芝居の場合はそれがいいですよね、きっと(笑)。
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稽古の様子はこちらでご覧いただけます。

演ぶShop【チケット 店】では、公演日の一週間前まで、割引価格でチケットを販売中です。
http://www.enbu.co.jp/kick/shop/

公演情報
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本能中枢劇団
『家庭の安らぎの喜びと恐怖』

7/23〜8/1◎こまばアゴラ劇場
作・演出◇西島明
振付◇山田うん
出 演◇猿飛佐助 吉原朱美 森下亮(クロムモリブデン) 飯野遠(民藝) 真下かおる(くねくねし) 成田さほ子(拙者ムニエル) 森田ガンツ(猫のホテル) 横塚真之介 宮下今日子
<料金>前売¥3000  当日¥3300(整理番号付自由席)
<お問い合わせ>三村里奈  090-2916-1739 mrco@m8.dion.ne.jp

http://honchu.net/

【取材・文/矢崎亜希子】

意味があるのか、意味はないのか、なくていいかも 『透明感のある人間』

 

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意味がない、ナンセンスという所に分類される作品。確かに意味がない。意味がないを通り越して、さっぱり訳がわからない時だってある。だけど、そこに笑ってしまうし、むしろその意味のなさ、くだらなさこそ魅力!と思ってしまうのはなぜなんだろうか。

演劇弁当猫ニャーとして2004年まで活躍し、その後はフリーで作家活動を続けているブルースカイが作・演出を務めたこの作品。2009年の『この世界から消える魔球』に続き、今回も所属事務所ダックスープのプロデュース公演という形で上演される。

なぜ?の理由は「脱力感」にあるのかもしれない。例えば世界平和を訴えたり、愛を叫んでみたりだとか、作品を通じて何かを伝えたい!!という思いを大して感じない。
見る側に何かを強いることがなく、ゆるい。何かを感じてくれるのなら、それはそれでありがたいし、でもただ笑って帰って行くだけでも全然構わないし、こっちはこっちで好きなことしてみたから、お客さんはお客さんで、好きなように楽しんでください。
でも、チケット買って見に来てくださっている訳だから、その部分はエンターテイメントとして最低限頑張ります。というような、作る側と見る側のまったりした関係性を客席で感じた気がする。

常に濃く深くたくさんの人と繋がっていたいとはあまり思わないのだが、それぞれの意志で成立する自由な繋がりや、暖かさは無くさずにいたい。そんな作品が醸し出す雰囲気が肌に合う。だから、こちらも見ていて楽だったし、面白いと感じた。

一つ一つが細かく、しかもくだらなすぎて、具体的なネタというか、笑った部分はあまり思い出せないし、仮に思い出して文章にしてみたとしても絶対に面白さは伝わらないと思うのだが、ずば抜けて印象に残っているのは、とりあえず池谷のぶえの存在。
突拍子もない台詞になんだか訳のわからない色気を持たせたり、「鳩の写真集を出版したい」とかいうリアリティのない願いに、妙な現実味を漂わせたり、とにかく池谷のぶえという個性を言葉に植え付けてガツンと成立させてしまう、そのインパクトがすごい。場をさらっていく。

ナンセンス、くだらなさが魅力的と書いてきたけれど、それでも、その無意味さを連発させて一つ作品を書き上げたブルースカイという人の意識をちらっと感じられるような所がある。開場時に配られたチラシの中にあったブルースカイの挨拶には「選択肢が増えてしまったことによる不幸」についてが書かれていた。

意味のないところに、意味を見つけようとしてしまうのは、人の性なんだろうか。無意味さに、勝手に意味を見出すという、不思議な面白がり方をした。まぁでも、そんな面白がり方も意味ないかもしれない。

 

ダックスープ プロデュース

『透明感のある人間』

作・演出◇ブルースカイ

出演◇池谷のぶえ 野間口徹 黒田大輔 永井秀樹 いせゆみこ 眼鏡太郎 ほか

●7/37/11◎ザ・スズナリ

 

【文/岩見那津子】

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