304稽古シーン1

蓬莱竜太の5年前の伝説的作品『304』が、間もなくプロデュース公演として再演されるが、その通し稽古を見ることができた。

 

『304』の初演は2004年、モダンスイマーズのメンバーで上演したもの。蓬莱作品ならではのエッセンスがぎゅっと詰まった面白い作品と、のちのちまで評判になっていた。

今回は、演出を扉座の茅野イサムが手がけ、キャストは若手役者として頭角を現してきた青柳翔を中心に、小劇場で活躍する津田健次郎、富岡晃一郎、小手伸也、平良政幸といった個性派たち。そして紅一点としてテレビや映画で活躍中の岩倉沙織が加わっている。このなかでボスと呼ばれ、他の4人をまとめる役割りを演じる青柳が、どこまで求心力を発揮できるかが今回の作品のポイントだろう。

 

この日は、稽古場での最後の通し稽古で、それだけにスタンバイ中の役者たちの気合いの入り方が違う。とくに青柳は以前インタビューで会ったときの爽やかな印象は、その体から消し去ったかのように、心に傷を持つ青年の屈託を抱えて黙々とセリフや動きを繰り返している。

 

いよいよ通し稽古が始まる。

物語は、蓬莱作品の原型ともいうべきワンシチュエーションの室内劇で、今回は古びた池袋のビルの304室で展開していく。

集まっているのは高校の同級生だった4人、無線マニアのデンパ(富岡)、袋いっぱいの食料を食べ続けるカロリー(小手)、ゲームに夢中のシロオビ(津田)、コミック本を読みふけるマンガ、そんな彼らのもとに「ヤバそうだけどわりのいい仕事」を運んでくるボス(青柳)が帰ってくる。

ドラマはこのあと、それぞれの事情やスタンスでかろうじて繋がっていた彼らの関係を一変させる出来事が起きるのだが、そこで見せる青柳と平良(シイナ)の魂をえぐるようなすさまじいやりとりは、後半の大きな見どころになっている。

304稽古シーン2

約75分という短い上演時間だが中身は濃密で、日常的な光景からふとこぼれ落ちる現実の危うさや、ボスと呼ばれる青年のまがまがしい記憶への視点は、蓬莱竜太の見る現代の日本そのものなのだろう。

そんな緊張感あふれるドラマの中で、シロオビとカロリーのアドリブが何カ所かあるのが、いいスパイスになってドラマを和ませる。

 

演出の茅野は「やっとみんなの呼吸がまとまってきた。青柳も一気によくなってきた」と、ホッとした様子。6人の出演者も、それぞれこの通し稽古の手応えで、本番への自信を感じているようだった。

初日は27日、観客の入った空間で、モチベーションがよりアップした役者たちの変化を確認するのが楽しみである。

 

あうるすぽっと提携公演『 304 』(サンマルヨン)

8/27〜9/1◎あうるすぽっと(豊島区立舞台芸術交流センター)

作◇蓬莱竜太

演出◇茅野イサム

出演◇青柳翔 津田健次郎 富岡晃一郎 小手伸也 岩倉沙織/平良政幸

 

<料金>\4500(前売・当日共通/全席指定)

<チケットに関するお問い合わせ>

サンライズプロモーション東京 0570-OO00-3337(全日10:00〜19:00)

<公演に関するお問合せ>

ネルケプランニング 03-3715-5624(平日11:00〜18:00)5469-5280

 

<公演概要> http://www.nelke.co.jp/stage/304/

<公式BLOG> http://sanmaruyon.jugem.jp/

                【取材・文/榊原和子】