_MG_4815【傑作ミュージカルの再演】

ラテンアメリカの政治状況と牢獄に閉じ込められた2人の男の愛を描いて、カルト的ベストセラー小説となった「蜘蛛女のキス」。この小説は作者マヌエル・プイグの自身の手で戯曲化、映画になり、その後ミュージカル化されるなど伝説的な作品となった。

この名作を2007年秋に荻田浩一が演出、彼ならではの幻想性と陰影を加えた新しいプイグの世界を見せてくれた。その荻田演出により、再び来年初めに『蜘蛛女のキス』が帰ってくる。

キャストは、前回も牢獄のなかで愛と葛藤を繰り広げて好評だった石井一孝・浦井健治の主演コンビに加えて、タイトルロールの蜘蛛女とオーロラ役に、今回は『キャッツ』のグリザベラで圧倒的な歌声を誇った歌姫、金志賢(キム・ジーヒョン)を迎える。ますますパワーアップが期待されるこの『蜘蛛女のキス』の制作発表が、10月13日に行われた。

_MG_4615この日の制作発表の壇上では3曲が披露された。まず石井が劇中から「 彼女は女ーShe  is A Woman」を歌い、次に石井と浦井とキムの三重奏「彼のためならーAnything for Him」そしてキムのソロで「蜘蛛女のキスKiss of The Spider Woman」を歌い上げる。力強い石井、浦井の歌声や、キムのプワフルな歌声に、記者席も静まりかえって劇中の世界に誘われ、歌唱の終了後は割れんばかりの拍手が起きた。

その後、演出の荻田浩一も加わり記者との質疑応答が行われた。

 

【出席者コメント】

_MG_4753荻田「なかなか再演というものはできないなかで、2年の充電期間を経て、またこういう機会をいただけて幸せです。前回のキャストも、また新しく加わるキャストとも一緒にできる喜びを噛み締めています。この作品ですが、ハロルド・プリンスの演出した舞台はチタ・リベラと言う傑出した大スターがいて素晴らしいものになっていますが、原作も素晴らしい。その原作にいかに近づけるかというのが僕の挑戦です。新しく加わるキムさんと前回の朝海ひかるさんとの共通性は、ミステリアスなところ。でも質感の違うミステリアスをチラシの色の違いが表現していると思います」

石井「僕のミュージカルとしてのキャリアにとっても、とても大きな作品で、奥の深い本当の意味での名作だと思います。モリーナはゲイですが、僕は下町で男は男らしくと育てられて女性の気持ちがわからないので、前回は荻田先生にいいろいろ指導していただきました。そして浦井くんをとても愛していたんですが、今はまた忘れてしまったので(笑)、そこにたどり着けるようにと思っています。キムさんの役とは表裏一体なので心を合わせてがんばります。キムさんは歌稽古で声を聞いて、震えがきました。周りから“すごいよ”という評判は聞いていたのですが、ここまで身が震えるような歌声はめったにないと思います。一緒に出られるのが幸せです」

_MG_4674キム「この素敵な役をさせていただけることに心から感謝しています。観にいらっしゃるかたを失望させないように、共演者、演出家のかたから勉強させていただきます。この作品に関してはオリジナルDVDを観ました。素晴らしい作品で、出てくるキャラクターも面白かった。今回の共演者の浦井さんは『シラノ』を観て、かわいいかただなと(笑)。石井さんはコンサートに行って、すごくいい声で素晴らしいなと。今回ここで2人と歌ってみて、改めて素敵だなと思いました。みなさん優しく温かいかたたちで嬉しいです」


_MG_4624浦井「初演ではできると思わず、毎日ガチガチになりながら千秋楽まで突っ走りました。役作りで力みすぎてヒゲを生やしたり、外見で男っぽさを狙ってましたけど、今は実は男と女が逆の感じなのかなと感じています。新たに挑戦させていただくので、より深く考えながら、でも迷路から出て伸び伸びしたバレンティンになればと。キムさんの歌は身が引き締まる思いで聞いていました。噂通りというか噂にたがわぬ力強いパワー溢れた歌声で吸い込まれるようでした。お芝居でそれに負けじと頑張りたいです。」

 

_MG_4745 【会見のおまけ】

キム・ジーヒヨンのパワフルな歌声についてのやりとり。

浦井「大地のパワーと言うかアースを感じたというか」

キム「嬉しいです! 今夜のお食事はぜひ私に(笑)」

石井「キムさんのキャッチは“アース”で決まりだね(笑)」

ゲイのモリーナの役作りについて。

石井「前回、稽古場で最初はトレパンとTシャツで稽古してたら、鏡に映る自分がなんか違う、入り込めないなと。それで母に頼んでフリフリのスカートと髪に付けるパッチンって言うんですか?(笑)あれを買って来てもらいました。その稽古の延長で家でも足を揃えて座ってたり(笑)。そういえばリンゴをむくシーンがあって、全然できなかったのが、一本で途切れずにむけるようになりました。今回は裁縫ができるように(笑)」

_MG_4826

 

『蜘蛛女のキス

●2010/1/16〜18◎梅田芸術劇場 メインホール

●2010/1/24〜2/7◎東京芸術劇場 中ホール

 

原作◇マヌエル・プイグ

脚本◇テレンス・マクナリー

作詞・作曲◇ジョン・カンダー&フレッド・エッブ

演出・訳詞・上演台本◇荻田浩一

出演◇石井一孝 金志賢 浦井健治 初風諄 今井朋彦 朝澄けい 他

<料金>梅田芸術劇場/S席¥12000  S席¥8000 B席¥4000

           東京芸術劇場/S席¥11000  A席¥8500 Z席¥3000

<お問合せ>梅田芸術劇場/06-6377-3800

                 http://www.umegei.com/

                                 【取材・文/榊原和子 撮影/岩村美佳】