2009年11月27日、『トーマの心臓』の世界を彷彿とさせる早稲田奉仕園スコットホール(礼拝堂)にて、萩尾望都デビュー40周年記念原画展とスタジオライフ創立25周年記念公演『トーマの心臓』『訪問者』の製作発表が行われました。
今回は、スタジオライフ『トーマの心臓』『訪問者』の製作発表の様子をお伝えします。

スタジオライフチラシ

《ごあいさつ》
「25周年の感謝の気持ち」河内喜一朗(代表)
私たちスタジオライフは1985年に新宿の小劇場で旗揚げをいたしました。この25年もの間、劇団活動ができたのも、ひとえに1996年に萩尾先生の作品『トーマの心臓』を初演できたということにほかなりません。
まだまだ足りないことばかりの劇団で、これからもよりよい芝居と高みを目指して精進するつもりでございます。この記念すべき年に、切っても切れない大切な作品『トーマの心臓』『訪問者』を上演することができることを大変幸せに思っています。

「連鎖公演にかける思い」倉田淳(脚本・演出)
『トーマの心臓』は最初、優に3時間を超える脚本だったため、仕方なくオスカーの物語を削りました。この悲しい思いをいつかリベンジしたいと願い続けた結果が、『訪問者』の舞台化につながりました。『トーマの心臓』と『訪問者』はそれぞれが独立した物語でありながら、あぶり出しのように、それぞれの背景が広がっています。それを舞台にしていく過程で、わたしたちは今までにないくらい演技について考え、検討し、結果としてみんなの力を引き上げてもらったと思っています。この2つの作品世界を一時期に体験するということは、贅沢で本当にありがたく思います。

《公演に向けた言葉》
松本
松本慎也(『トーマの心臓』エーリック役)
前回2006年にエーリックをやらせていただいて、本当に人として役者としてたくさんのことを学びました。今、僕がここに役者として立っていられるのも、エーリックに出会えたからだと思っています。これまで役者として過ごし、得てきたものすべてをかけて、全力でお芝居に取り組んでいきます。一人でも多くの方に『トーマの心臓』の世界と感動を共にしていただきたいと思っています。

青木
青木隆敏(『トーマの心臓』ユリスモール役)
ぼくは『トーマの心臓』に3回参加させていただいていますが、いずれも5人組のイグー役でした。イグーにとってユリスモールとは憧れの存在で、イグーのヒーローはいつもユリスモールでした。そんなヒーローのユリスモールをイグーだったぼくが、演じさせていただくのはとても感慨深いです。不安もありますが、きちんと向き合って、日々一歩ずつ進んでいきたいと思っています。

岩崎
岩崎大(『トーマの心臓』オスカー役)
僕が入団したときに上演されていたのが『訪問者』で、自分の初舞台も『訪問者』でした。2000年の上演の際、『訪問者』で少年オスカーという役をやらせていただいて、ものすごく苦しみながら、悩みながら、世界観を探し、いろいろなことを感じました。それが今度『トーマの心臓』では、ちょっと大人になったオスカーをやらせていただきます。この劇団の25周年の年に立ち会えた喜びと、萩尾先生の作家生活40周年の時に、オスカーとして舞台に立てることの喜びを胸に、がんばっていきたいと思います。

山本
山本芳樹(『トーマの心臓』ユリスモール役)
ぼくはこの作品では、この役一筋でやらせていただいています。この作品と出会い、この役を演じさせていただくということは、ぼくの俳優人生の中ですごく幸せなことだと思っています。この役は、今のぼくを形成している諸々の中ですごく大きな割合を占めているといっても過言ではありません。そんな大切な作品を今回も精一杯つとめさせていただきます。

吉田
吉田隆太(『訪問者』オスカーの母親ヘラ役)
『訪問者』という作品では、家族はばらばらになってしまいます。本当に幸せを一生懸命探した家族3人が、それぞれに悩み、苦しみながら最後オスカーがシュロッターベッツの門をたたくまでのお話です。自分も幸せについて、稽古や本番を通じて深く深く旅をしていきたいなと考えています。お客さんには『トーマの心臓』と『訪問者』と2つの作品を見ていただいて、萩尾先生の世界を深く深く感じていただきたいと考えています。

高根
高根研一(『訪問者』グスタフ・ライザー役)
ぼくもこの『訪問者』という作品が初舞台なので、この作品でグスタフ・ライザーという役をやらせていただくことをとてもうれしく思っています。本当に全力でこの役に当たっていきます。お時間がありましたら、ぜひ劇場の方まで足を運んでいただきたいと思います。

曽世
曽世海司(『トーマの心臓』オスカー役)
僕はオスカー役を何回かやらせていただいている中で、『訪問者』という作品が、自分の役作りに不可欠なバイブルのような存在になっています。この2作品を同時に上演する連鎖公演は僕にとって、またオスカーにとっても、とても意味のあることだと思います。役者人生すべてをかけて演じさせていただきます。


最後に記者より萩尾望都さんに、質問がありました。

これまでスタジオライフによって上演された『トーマの心臓』と『訪問者』をご覧になり、具体的に印象に残ったシーンと、今回の舞台化に向けて気になるシーンがあれば教えて下さい。

萩尾望都さんのご回答

私は初回を見逃しまして、2回目のベニサンピットから拝見しています。漫画なり、小説なりという媒体が、まったく別のものとして、たとえば舞台として立ち上がる場合、演出家の意図によって、全然別の作品に作り替えられたりすることがあります。倉田さんは、ずっと原作のスピリットを大切にして、それを壊さないで表現するという制作方法を行っていらっしゃいます。それがまず、すごいなと思います。原作者と演出家は全然他人ですから、作品をどう読むかは、演出家の個性によるところが大きいと思います。倉田さんは私も及ばなかったようなところまで、作品世界にどっぷり浸かって、すべてを表すように舞台を構成してくださる。この能力が本当にすごいなぁって思います。ですからスタジオライフ、倉田さんの演出される作品はどれも本当に信頼していますし、わたしもどんな風に美しい倉田世界、スタジオライフの世界が表現されていくのか。ファンタジー? 魔法? のようなマジックアートを何度も見せていただいて、本当に原作者冥利に尽きるというか、感激しております。
今回もまた連鎖公演で、新しい登場人物達に会えるということをすごく楽しみにしております。何度も上演され、いろんなバージョンがありますが、本当に役者さんが違うとこんな風に雰囲気が違うのかという楽しみがあって、なかなか見所の尽きません。そういうところもみなさんにも、楽しんでいただけたらいいなと思っています。

★萩尾望都(漫画家)×倉田淳(演出家)によるスペシャル記念トークショーはこちら

スタジオライフ『トーマの心臓』『訪問者』
2/27〜3/22◎紀伊國屋ホール、3/27〜28◎名鉄ホール、4/13◎仙台市民会館・大ホール
公式ホームページ
http://www.studio-life.com/


萩尾望都デビュー40周年記念原画展
12/16〜23◎西武池袋本店別館2階=西武ギャラリー
公式ホームページ
http://www.hagiomoto-gengaten.com/


【取材・文◇矢崎亜希子】