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昨年の夏に演劇活動を再開した元ベターポーヅの西島明。
昨年、猿飛佐助と吉原朱美とともに旗揚げした本能中枢劇団では、個性的な客演陣を迎え、大成功を収めた。
出演者も最後までどこがおもしろいか不安というほどのナンセンスさは、西島の台詞や間、音楽、美術、動きの選択により、そのシーンの“意味”は分からないけれど、なぜか心を打つ感動的な作品に昇華されていた。
待ちに待った今回の公演のタイトルは『家庭の安らぎの喜びと恐怖』。
穏やかなような、そうでもないような気持ちが揺らぐタイトルのチラシにはこうある。

わたしの心の本棚は
悩み別に並んでいる
恋? だめ 昔?
あー言えばよかった
ずっと? ぎゅっとよ
もうベテランなのよ
結社のこともくわしいの
簡易ディスコに行って
コタツのことを
キスと言おう

客は皆、劇場に
パンを持参すること!


この文章に胸を打ち抜かれ、彼の独特の世界ができるヒントを探しに稽古場へ潜入してきました。

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私が到着したのは7月5日の稽古が始まる18:00の少し前。
すでにほとんどの出演者が着替えを済ませ、ストレッチなどをしながら談笑している。
壁には模造紙で書いた予定表が書いてあり、ここでの稽古は6月22日から始まっている。劇団員の吉原朱美によると稽古は今3合目あたり。
昨日まで本番中だったクロムモリブデンの森下が到着し、歓待を受けている。
いよいよ今日から全員が揃っての稽古が始まるのだ。

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和やかな雰囲気の中、おもむろに「4ページから」と指示を出し、床に座る演出の西島。
このシーンは、主に飯野遠、成田さほ子、森下亮の3人が演じている。
寝ている森田ガンツにちょっかいを出す中国人の妹が飯野。
その妹をたしなめ、「姉さん」と読んでくれないことを気に病むしっかり者の姉が成田。
ふらっと登場し去っていく謎めいた兄が森下。
妹だけが中国人、あるいは兄がやたらに妹たちに優しい、というあまり実際には見あたらない設定だが、妹思いの一生懸命の成田の演技で妙に親近感のわくシーンになっている。

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西島は、今日から参加した森下には、「ここはもう少し抑えめに、ところどころで台詞を張るように」と具体的な指示を与え、カタコトの日本語での演技に苦戦している飯野には、中国人のぞんざいな感じを彼の独特の中国人観(「何でも食べちゃう。食べれないものは薬にしちゃうぞ」という乱暴な感じ)を披露し、役のニュアンスを伝える。

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まずは椅子に座って、次に立って演じる3人。
立つ位置も最初は特に指示がないため、各自でこの台詞の時は、ここがいいかなと探りながら演じていく。
数回演じたところで、西島から徐々に位置や並びについての指示が入る。
西島は時にはお手本を見せたり、役の関係性を説明したりしながら稽古は進んで行く。

意外なくらい穏やかな雰囲気の中進む稽古には、終始リラックスしたムードが漂っている。
西島の指示をすぐに理解し、自分のものにしようとする俳優の姿勢に、作品が出来るまでの秘密の一つを垣間見た気がした。

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出演者のみなさんと作・演出の西島さん。この日は森下さんのお誕生日でした。


この日にお話をお伺いした劇団員の吉原朱美さんのインタビューはこちらでご覧いただけます。

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公演情報
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本能中枢劇団
『家庭の安らぎの喜びと恐怖』

7/23〜8/1◎こまばアゴラ劇場
作・演出◇西島明
振付◇山田うん
出演◇猿飛佐助 吉原朱美 森下亮(クロムモリブデン) 飯野遠(民藝) 真下かおる(くねくねし) 成田さほ子(拙者ムニエル) 森田ガンツ(猫のホテル) 横塚真之介 宮下今日子
<料金>前売¥3000  当日¥3300(整理番号付自由席)
<お問い合わせ>三村里奈  090-2916-1739 mrco@m8.dion.ne.jp

http://honchu.net/

【取材・文/矢崎亜希子】