じゃじゃ馬ならし


美人で金持ち姉妹の結婚話に興味のない人は、まずいないでしょう。そしてその関係者たちが全員強烈な個性の持ち主とくれば、なおさらにスキャンダラスな成りゆきを期待してしまうのは必定であります。16世紀末に作られた、シェイクスピアの『じゃじゃ馬馴らし』が今でも面白く上演される可能性を持つのはここ、下世話な興味につきるような気がします。

シェイクスピアはずるがしこい男ですから、縦横に策略を張り巡らし、次々に事件を起こして観客の興味をそらしません。従順で美しい妹娘ビアンカには大勢の結婚希望者がいるのですが、父親が”じゃじゃ馬“の姉キャタリーナが結婚するまでは妹は結婚させないと宣言しています。これをなんとかしようと、色と金に目がくらんだイタリア紳士たちが策略をめぐらします。最後にはタイトルどおり”じゃじゃ馬“娘をペトルーチォという男が、強引な努力で従順な妻に仕立て上げるという落ちになるのですが・・・。

いま博品館で公演されているスタジオライフの『じゃじゃ馬ならし』はシェイクスピアの肝をきっかり捕まえて、おおもとの”シェイクスピア的な要素“はしかりと残しつつ、(稽古でつちかわれたと思われる)俳優たちの存在感や、第三者的存在の「売れない女優とネコおばさん」を配した巧みな構成で、上品に味付けされた濃厚な逸品になりました。

シェイクスピア劇は当時男優のみで上演されていたので、今回のように男優だけで上演されるケースもよく見かけるのですが、男性が女性を演じるという部分が生煮えで、一生懸命さしか伝わってこない作品が多いと思っていました。今回のスタジオライフの作品はそういった意味では、覚悟のある、自分たちがどう見えているかをしっかりと見極めた上で、エンターテイメントに作り上げています。長年にわたり手間暇かけて複雑な作業を続けてきた成果が、シェイクスピアのオールメールという男優だけの上演スタイルと出会って、ここに花開いた感があります。時代を超えての、奇跡のようなしあわせな出会を目撃したいま、人ごとながらこの出来事を祝わずにはいられない気分であります。

スタジオライフ『じゃじゃ馬ならし』
7/8〜28◎銀座 博品館
7/31〜8/1梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
作◇W・シェイクスピア 演出◇倉田 淳
出演◇松本慎也 青木隆敏 山本芳樹 曽世海司 関戸博一 岩崎大 穗積恭平 坂本岳大 ほか
お問い合わせ◇スタジオライフ 03-3319-5645
http//www.studio-life.com/


文◇坂口真人