075_s

複雑に絡み合う感情に正解なんてない。
正解がわからないどころか、自分自身にだってその感情の揺れは理解できない。

パリの上流階級の家庭。
片付け魔の姉・レオ(佐藤オリエ)と、その妹・イヴォンヌ(麻実れい)。
レオはイヴォンヌの夫であるジョルジュ(中嶋しゅう)を愛している。
イヴォンヌとジョルジュの間には息子のミシェル(満島真之介)。
母親から溺愛されて育ったミシェルはマドレーヌ(中嶋朋子)という女性に恋をする。
しかし、そのマドレーヌは実はジョルジュの不倫相手。
マドレーヌはミシェルを愛しながらも、
自分に生きる希望を与えてくれたジョルジュへの愛も捨てきれない。
愛情と欲望と・・・とにかく様々な感情が一つの家族の中で渦巻く。

おそらくこの芝居、日々感情が揺れ動く。
言葉を発して感じたこと、またそれを受けて感じたことに、
役者がとても敏感で、感じたことを素直にまた次の言葉に乗せていく。
台詞として決まった言葉であるのに、
舞台の上から聞こえてくる言葉は生きている気がした。

愛しているのに憎い。
愛しているから憎い。
100%愛しているとか、100%憎いとか、
そんな混じりっけのない感情なんて誰も抱かない。
絶対に割り切れない。
割り切れない心を抱えて込んで生きている。

芝居が上演されているのはパリではなくて実は池袋だし、
演じているのはフランス人でもなく、日本に生まれた役者たち。

佐藤オリエ、麻実れい、中嶋朋子、中嶋しゅう、満島真之介

5人が見せてくれた「舞台」という嘘。
でもそこにあったのは、嘘のない人間の生々しい姿だった。

彼らの想いを瞬間瞬間で想像し、感じられる、観客でいられることを幸せに思った。
自由で、密度が濃くて、色んな匂いを感じることができる空間にいる幸せ。

終幕のレオの一言には本当にゾクゾクさせられた。
彼女が片付け魔であることが、最後、こんな風に生きてくるとは。

 

 

tpt 75th
『おそるべき親たち』


作◇ジャン・コクトー
台本◇木内宏昌
演出◇熊林弘高
出演◇中嶋しゅう 佐藤オリエ 麻実れい 満島真之介 中嶋朋子

●10/21〜11/3◎東京芸術劇場 小ホール2

<料金>
全席指定6,000円 学生3,000円

<チケット取扱い>
tpt電話予約 03-3635-6355
tptオンラインチケット
http://www.tpt.co.jp/tickets/index.html
チケットぴあ 0570-02-9999(Pコード406-885)