紀伊國屋つかこうへい復活祭
『熱海殺人事件』


熱海殺人事件

作◇つかこうへい 演出◇岡村俊一
出演◇山崎銀之丞 長谷川京子 柳下大 武田義晴

2/4〜14◎紀伊國屋ホール

植本 今までさ、なんとなく重なっているチラシを出していたじゃない。新年になったからそんなの関係なく、お互いかわりばんこに出してみようか?
坂口 じゃ、チラシじゃないのから。
植本 うわー、これチラシじゃねえ(笑)。これなに? 演劇ぶっくの原稿?
坂口 そう(笑)。
植本 『熱海殺人事件』。もちろんつかさんのですけれども、紀伊國屋ホールでやって、演出が岡村俊一さんで。
坂口 つかさんが亡くなって、紀伊國屋で。
植本 「紀伊國屋つかこうへい復活祭」と書いてあって。昔は紀伊國屋でずいぶんやってらっしゃって。久しぶりにつかさんの作品をやるということか。
坂口 しかも岡村さんだったらずっと後期のつかさんと一緒にお仕事をしていたし。出演する人たちもなかなか。
植本 注目すべきは破格と書いてある料金設定ですかね。2500円。どうだ!
坂口 つかさんの志にあったわけでしょ。安い値段でお芝居を楽しんでもらいたいというのが。これ、本当に破格だと思いますよ。
植本 主演 山崎銀之丞、長谷川京子。どうでしょう。
坂口 大変ですよ。
植本 「新春です!!つかです!!熱海です!!」と書いてあるよ。2/4からです。
坂口 チケットは早々になくなっちゃうかもね。
植本 公演期間が2/4から14までであまりないから、取りにくいかもしれませんね。
坂口 前々から決まってた企画じゃないですからね。つかさんが亡くなってから決まった企画だから劇場もそんなに長期にとれないだろうし。岡村さんがんばってますよ。
植本 紀伊國屋もつかさんをやるんだったらどうぞと空いてる期間を差し出してくれそうな気がするし。
坂口 本も売れますね。
植本 そう、そうか!なるほど!さすが出版業界に長くいらっしゃると(笑)。『熱海殺人事件』2/4〜14、新宿の紀伊國屋ホールでの上演です。破格の2500円でございます。

花組芝居オフシアター
『六人のへそ曲り 〜明治文豪青春賦〜』


花組

作・演出◇大野裕明 
出演◇各務立基 大井靖彦 
水下きよし 美斉津恵友 蔵本康文 松崎賢吾
2/9〜13◎下北沢「劇」小劇場


植本 『六人のへそ曲り 〜明治文豪青春賦〜』花組芝居オフシアター、ハナオフと呼ばれてます。本公演とは別に、今ハナオフというのと、花組ヌーベルというのをやっていて、花組ヌーベルは加納さんのプライベートレーベルですが。ハナオフでうちの演出助手を長年勉めてる大野裕明が作・演出です。六人のへそ曲りは全部文豪の方で、森鷗外、夏目漱石、尾崎紅葉、正岡子規、泉鏡花、高浜虚子となっています。
坂口 『劇』小劇場だね。小さい100人ぐらいの劇場ですね。とはいえ、明治の文豪を演じるのは大変だよ。心してやってほしいね。なーんて(笑)。
植本 うちの劇団には珍しく、俳優座からお二人役者さんをお招きしてます。本当に珍しいですよ、こういうことするの。『六人のへそ曲り 〜明治文豪青春賦〜』下北沢『劇』小劇場での公演です。ぜひぜひ。
坂口 正岡子規は誰がやるの。
植本 そこまではちょっとわからないな。なんで?
坂口 だってすぐ死んじゃうし。彼のこと誰もが好きじゃない? 芭蕉より蕪村をほめているのもなんかいいですね。俳句のこと全くわかりませんが。
植本 この間大河ドラマで香川照之さんがやってた役だ。
坂口 テレビはあんまり観ないからわからないけど。大変な人じゃないですか。他の作家はなんとなく文豪といったって、と思うけど。
植本 そうもいかないんじゃない!?(笑)
坂口 そうかな? 正岡子規は違う。と、僕の中では思ってるんだけど。
植本 だ、そうです。もし皆さんご覧になったら正岡子規にご注目ください。

神奈川芸術劇場オープニングラインナップ
長塚圭史 新プロジェクト「葛河思潮社」旗揚げ公演!
『浮標(ブイ)』

浮標

作/三好十郎
演出/長塚圭史 

出演/田中哲司 藤谷美紀 佐藤直子 大森南朋 安藤 聖 峯村リエ
江口のりこ 遠山悠介 長塚圭史 中村ゆり 山本剛史 深貝大輔
2/1〜13◎吉祥寺シアター


植本 これは、追加公演で東京公演。神奈川芸術劇場オープニングラインナップで1/17〜23まで上演なんですけど。そのあと東京公演が2/1〜13まで吉祥寺シアターなんですね。これは阿佐ヶ谷スパイダースの長塚圭史くんが新たに立ち上げたユニットでよろしいんでしたっけ。このカンパニーの名前、なんて読むんだっけ? 第一回公演ということで『浮標(ブイ)』です。三好十郎さん。
坂口 神奈川のオープニング企画の一環ですよね。
植本 日本文学シリーズです。これ、豪華ですよ。出演者が田中哲司くん、藤谷美紀さん、大森南朋くん、安藤聖さん、峯村リエちゃん。江口のりこさん。圭史くんも出る。深貝大輔さん。おお、渋いね。ということで、何を思ったか、圭史くんが新しいユニットを立ち上げました。どうしたんだろうね。
坂口 それどういうこと?
植本 僕に聞かれてもわからない。
坂口 違う違う。ユニットって、何人かがチームになっているということでしょ?
植本 どうなんだろ。葛河思潮社というユニットを立ち上げられました。葛河に何か意味があるんだろうけど、神奈川のあたりの地名なのか、不勉強な私たちにはわかりませんが。どうしてこれが気になったの?
坂口 日本文学シリーズで、三島由紀夫のあとに三好十郎が出てくるところがおもしろいなと思って。だって三好十郎さんってそんなに有名じゃないじゃないですか。
植本 三好十郎さんの代表作ってなんですか。
坂口 演劇で言ったら『炎の人―ゴッホ小伝―』かな。
植本 ああー! はいはい。また近々やりますよね。
坂口 小説とかももちろん書いていて。戦前、左翼をやめて別の思想をもって戦後も知識人たちに対して攻撃的な立場をとっていた強烈な人なんですね。話も愛憎の強い切ない話で。この作品はとくにね、自分の私戯曲みたいな。立場は置き換えてあって、絵描きさんの話になってるんですけど。奥さんが亡くなるときの話で、つらいんです。そういうのをあえてとりあげてるところに興味をもったんです。
植本 劇場の姿勢を示していくというのでいいですね、日本文学シリーズというのは。1月に見逃した方は2/1から追加公演で13日まで延びてます。後ろに3つついたってすごい。本当は10日までだったらしいんだけど、11・12・13と追加がでています。吉祥寺シアターです。葛河思潮社、第一回公演、長塚圭史・演出、三好十郎『浮標(ブイ)』です。

Bunkamuraシアターコクーン
ミシマダブル『サド侯爵夫人』『わが友ヒットラー』

ミシマダブル

作◇三島由紀夫
演出◇蜷川幸雄
出演◇(サド侯爵夫人)東山紀之 生田斗真 木場勝己 大石継太 岡田正 平 幹二朗

(わが友ヒットラー)東山紀之 生田斗真 木場勝己 平 幹二朗
2/2〜3/2◎Bunkamuraシアターコクーン


植本 蜷川幸雄さんと三島由紀夫さんということで。ミシマダブル『サド侯爵夫人』『わが友ヒットラー』の交互上演です。これはもちろん僕が観たいのは平幹二朗さんの『サド侯爵夫人』のサンフォン夫人ですが。これ、もうがんばってくださいとしかいいようがないです、この交互上演は。
坂口 一日のうちに二つ別々にやるスケジュールになったりしてますね。
植本 あ、今僕間違えました。サンフォン伯爵夫人は木場勝己さんだ。平幹二朗さんはモントルイユ夫人だ。
坂口 おばあちゃんでしょ?
植本 お母さんですね。
坂口 夫人のお母さんだからおばあちゃんだ。
植本 これね、前に鈴木勝秀さんが演出で、篠井英介さんとうちの座長の加納幸和が一緒にやったとき、サド侯爵夫人を英介さんがやって、モントルイユ夫人を加納さんがやってたんですね。同じ役をやるんですね。僕、平幹二朗さんと観に行ったんですよ。たまたま新国立で『山の巨人たち』で一緒だったので、「平さん一緒に行こう」って言ったら「いいよ」って二人で観に行って(笑)。平さん、楽しそうに「ふぉっふぉっふぉっ」と笑ってましたけどね。この役をやることになったんだと思って。ぜひ観たいと思ってます。そしてサンフォン夫人も、木場勝己さんがすごく好きなので楽しみです。
坂口 そうですよね。無理のあり具合がおもしろいでしょ。
植本 もちろん主役をなさる東山紀之さん、妹役の生田斗真くん、皆様はここに注目するでしょうけど、僕なんか、たぶん編集長もそうだと思うけど、平さんとか他の方気になりますよね。大石継太さんとかね。岡田正さん。
坂口 ものすごく気になります。木場さんのおっさんが、どう伯爵夫人を演じるのか。
植本 サンフォン夫人悪い人だからね。
坂口 じゃあいいんだ。木場さんはいい人だけどね。
植本 木場さんはいい方ですよ。
坂口 『わが友ヒットラー』は二人が主演なんでしょ。ヒットラーが生田斗真くん。
植本 そう。このチラシではイラストになってますね。
坂口 これ大変だわ。もともと三島由紀夫が偽翻訳劇として書いたものですよね。
植本 はいはい、翻訳劇に似せたものね。
坂口 彼は歌舞伎とかもやってて、僕は自分のものより似せて書いたものの方が好きだな。
植本 奇想天外な話だからね。
坂口 きっとおもしろいと思います。
植本 2/2〜3/2、Bunkamuraシアターコクーンで。ミシマダブルと題しまして、『サド侯爵夫人』『わが友ヒットラー』の日替わり交互上演となります。
坂口 『わが友ヒットラー』は三島由紀夫は女性でやりたかったというような話をきいたような。
植本 そうなの?『サド公爵夫人』は男だけだもんね。
坂口 違うかな。あえてそうしなかったのは、組み合わせのおもしろさかどうかわからないですけど。僕は女の人でも見たいな。宝塚の人とかでね。三島由紀夫が女性が男をやる様式が日本にはないという認識だったんじゃないですかね。だからこれを女性でやるのは無理なんじゃないかと。でもね、宝塚とかあるから。
植本 様式もってますからね。
坂口 昔宝塚でやった『無法松の一生』などは、すばらしくすてきなお芝居だったですからね。ぜひこっちでもやってほしいです。
植本 ほうほう。僕はとりあえず『サド公爵夫人』に行こうと思ってます。
坂口 でもこれはチケットとるの大変そうだね。
植本 そうだね。斗真くんだもんね。